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2017年12月31日

Stroke誌:PTの運動指導 まったく効果なかった


Efficacy and Safety of Individualized Coaching After Stroke: the LAST Study (Life After Stroke)
2017  12月  ノルウェー

脳卒中後の身体機能は最初の6月間にいちじるしく改善する。この期間にしっかりと身体を動かしておくとその後の回復もよい。さらに慢性期であっても機能維持と再発予防の観点から積極的な運動が必要である、と固く信じられている。

退院した患者は動かなくなりがちなので、「定期的な指導をおこなうことで運動が促され機能回復が進むはずである」、という仮説を検証してみたそうな。


発症後10-16週のすでに退院している脳卒中患者380名について、定期指導グループと通常ケアグループにわけた。

定期指導は、月に1回面談または電話にて理学療法士が 患者本人に適した運動メニューを個別に作成して指導を行う。患者には毎日の運動内容の日記もつけさせた。

これを18ヶ月間つづけて以下の複数の指標で比較したところ、
Motor Assessment Scale、
Barthel index、
modified Rankin Scale、
Berg Balance Scale、
Timed Up and Go test、
gait speed、
6-minute walk test、
Stroke Impact Scale


次のことがわかった。

・"Motor Assessment Scale" では通常ケアグループがスコアが良かった。

・"Barthel index", "modified Rankin Scale", "Berg Balance Scale" にグループ間の明らかな差はなかった。

・再発などの有害事象はいずれも少なく、日記によると運動強度は低かった。

脳卒中患者への個別定期指導による運動機能の改善と維持の試みはまったく効果がみられなかった、


というおはなし。
図:

感想:

自然に回復できた患者が活発に運動しているだけであって、運動したから症状が改善するわけでないことは患者のおおくがなんとなく気づいている。

だから仕事のための運動指導を作業的におこなわれても患者のこころには響かない。
そういうことだとおもうよ。
作業療法士さんに来てもらったけど効果が無いばかりか気晴らしにもならなかった
追記:
理学療法士さんのコーチング 役に立たなかった

2017年12月30日

慢性期の失語症リハビリに適した訓練時間は


Efficacy of intensive aphasia therapy in patients with chronic stroke: a randomised controlled trial.
2017  12月  ドイツ

慢性期脳卒中の失語症リハビリは、短期の集中訓練が効果的であることが最近あきらかになってきた。

しかしどのくらい集中すればよいのかはわかっていない。

これを探るべく実験してみたそうな。


脳卒中の発症後1年以上経つ失語症患者30人を2グループにわけた。
いっぽうには1回2時間、もういっぽうには4時間の失語症リハビリ訓練を4週間継続した。

その後の改善度を複数の指標で評価 比較したところ、


次のようになった。
・"Aachen Aphasia Test" では訓練時間によらず両グループで言語パフォーマンスに同程度の明らかな改善が見られた。

・"Action Communication Test" では後半の2週間に4時間訓練グループの改善が見られなかった。

4週間の失語症リハビリでは1回2時間を超える訓練をおこなってもさらなる効果は確認できなかった。むしろ集中度はそのままに期間をすこし延長するとよいだろう、


というおはなし。

図:失語訓練に適した時間

感想:

これ。↓
ランセット誌:慢性の失語症でも3週間の集中訓練で治る

2017年12月29日

過労で血栓ができやすくなるしくみ


Overwork accelerates thrombotic reaction: implications for the pathogenesis of Karoshi.
2017  12月  日本

労働時間が長くなると脳卒中リスクが高くなることがさいきんの研究であきらかになった。
しかしそのメカニズムはよくわかっていない。

ストレスからの血栓形成のプロセスが考えられるので、血液の凝固 溶解にかかる時間の変化を測定して検証してみたそうな。


健康な研修医46人について、

休日の早朝と 救命室での夜勤明けの血液サンプルをとり、"global thrombosis test"(GTT)をおこない血栓形成までの時間 occlusion time (OT)と、血栓溶解までの時間 lysis time (LT)を測定した。


次のようになった。
・休日にくらべ夜勤日の睡眠時間は 2.3 vs. 6.0h で明らかに短かった。

・夜勤明けのOTは休日にくらべ明らかに短くなり(310→284s)、LTは延長した(1470→1547s)。

過労により血栓形成反応が促された。これが過労死メカニズムの1つではないか、、、


というおはなし。
図:過労と血栓形成

感想:

出血はどういうメカニズムなのかね。
長時間労働と脳卒中との関係

脳卒中になりやすい労働時間がわかった ランセット誌

2017年12月28日

「糖尿病がくも膜下出血を予防する」の真相


Antihyperglycemic Agents Are Inversely Associated With Intracranial Aneurysm Rupture
2017  12月  アメリカ

診断や治療技術の進歩にもかかわらず いまだくも膜下出血の死亡率は50%と高く 50歳未満が患者の半数を占める。

その原因は不明で 喫煙や高血圧がリスクらしいことがわかっている程度である。

さいきん糖尿病が脳動脈瘤の破裂を防いでいるのではないか、、といった報告が続いているものの サンプルサイズや血糖値の評価方法で信頼性に疑問がある。

そこで高血糖とくも膜下出血との関連を探るべく、過去12週間の血糖変動を反映するヘモグロビンA1cおよび血糖降下薬の使用もふくめきっちりとしらべてみたそうな。


計6411個の脳動脈瘤のある患者4701人の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・血糖降下薬の使用は脳動脈瘤の破裂と逆相関にあった。

・いっぽう、ヘモグロビンA1cレベルと脳動脈瘤の破裂にはあきらかな関連を確認できなかった。

高血糖よりむしろ血糖降下薬の使用が脳動脈瘤の破裂リスクを低下させていた、


というおはなし。
図:

感想:

これ↓。
糖尿病がクモ膜下出血の予防になる理由

2017年12月27日

突発性難聴と脳卒中との関連があきらかに


Association of Sudden Sensorineural Hearing Loss With Risk of Cardiocerebrovascular Disease: A Study Using Data From the Korea National Health Insurance Service.
2017  12月  韓国

突発性難聴のおおくは(32-65%)自然に治ってしまうものの原因はよくわかっていない。血管疾患や感染症、内耳の問題、自己免疫疾患などが原因候補に挙げられている。

そこで突発性難聴のあとの脳卒中や心筋梗塞との関連についてしらべてみたそうな。


2002年韓国の国民健康保険データベースから突発性難聴患者154人と 条件が似た別の患者616人を抽出して2013までの心血管疾患の有無との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・11年間に 全体で66人が脳卒中や心筋梗塞になった。内訳は突発性難聴グループで18人(1000人あたり年間13.5人)、比較グループが48人(1000人あたり年間7.5人)だった。

・関連要因を考慮にいれると突発性難聴グループの心血管疾患リスクは2.18倍で、

・特に脳卒中と関連がつよく、心筋梗塞とのあきらかな関連は確認できなかった。

突発性難聴患者はのちの脳卒中発生率があきらかに高かった、


というおはなし。

図:突発性難聴と脳卒中リスク

感想:

長くても数日のあいだにびっくりするほど聴こえなくなるんだって。

[突発性難聴]の関連記事



2017年12月26日

喫煙者が葉酸サプリメントをとるべき脳卒中的理由


Effect of Smoking and Folate Levels on the Efficacy of Folic Acid Therapy in Prevention of Stroke in Hypertensive Men
2017  12月  中国

喫煙者では動脈硬化の原因になるホモシステインがおおく、その代謝に必要な葉酸が少ないという報告がある。

そこで葉酸サプリメントと喫煙状況が脳卒中リスクに与える影響を大規模に調査してみたそうな。


高血圧症の男性8384人を2グループにわけ、
いっぽうには降圧薬と葉酸サプリメント(0.8mg/日)をあたえ
もういっぽうには降圧薬のみとした。

脳卒中の発生を4年半フォローした結果、


次のことがわかった。
・降圧薬のみのグループでは脳卒中リスクはもとの葉酸レベルによって異なった。

・特に 非喫煙者では葉酸レベルが高いほど脳卒中リスクは低かった。

・しかし喫煙者では葉酸レベルと脳卒中リスクにこのような関連は見られなかった。

・全体として、葉酸が欠乏している非喫煙者では葉酸サプリメントにより脳卒中リスクがあきらかに低下した。

・どうように、葉酸が欠乏していなくても喫煙者は葉酸サプリメントで脳卒中リスクがおおきく低下した。

もとの葉酸レベルと喫煙状況が脳卒中リスクに影響した。喫煙者には非喫煙者よりもおおくの葉酸サプリメントが必要かもしれない、


というおはなし。

図:葉酸値と脳卒中と喫煙

感想:

また葉酸だわ。

[葉酸サプリメント]の関連記事

2017年12月25日

日本人は動物性脂肪をガッツリ摂ると脳卒中予防


High Dietary Saturated Fat is Associated with a Low Risk of Intracerebral Hemorrhage and Ischemic Stroke in Japanese but not in Non-Japanese: A Review and Meta-Analysis of Prospective Cohort Studies.
2017  12月  日本

脳卒中など心血管疾患を防ぐためのガイドラインでは食事から摂る飽和脂肪酸を減らすことが勧められている。

しかし日本で行われた研究のおおくは飽和脂肪酸と脳卒中リスクとの逆相関を示していてガイドラインにそぐわない。

そこでこれまでの研究から 人種や脳卒中の種類別に飽和脂肪酸との関連をまとめてみたそうな。


食事から摂る飽和脂肪酸と脳卒中についての研究を厳選し、データを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・脳内出血の5つの研究と脳梗塞の11の研究が見つかった。

・日本人の脳内出血(くも膜下出血を除く)リスクは飽和脂肪酸が増えるにつれ明らかに低下した。日本人以外ではそうはならなかった。

・日本人の脳梗塞リスクは飽和脂肪酸が増えるにつれゆるやかに低下した。日本人以外ではそうはならなかった。

・飽和脂肪酸の脳卒中リスク低下の効果量は脳内出血で強く48%、脳梗塞では18%だった。

日本人に限定すると、食事から摂る飽和脂肪酸は脳内出血リスクと脳梗塞リスクの低下に関連していた。これは飽和脂肪酸を摂る量や遺伝的感受性、ラクナ梗塞のメカニズムなどと関係しているのではないか、、、


というおはなし。
図:飽和脂肪酸と日本人の脳梗塞リスク

感想:

脳内出血はわかるけど、脳梗塞リスク低下はしっくりこない。

うえのグラフは脳梗塞。日本人はもともと摂る量が少なすぎるみたい。

飽和脂肪酸を摂って減少したのはラクナ梗塞が主で、ラクナ梗塞と脳内出血はどちらも細動脈の変性という点で共通しているので同じ傾向を示した、という解釈があった。
ランセット誌:糖質で死亡、動物性脂肪は脳卒中予防

飽和脂肪酸は脳卒中予防になるの?

【ラクナ梗塞予防】日本人は飽和脂肪酸をたくさん摂るべし

2017年12月24日

長時間労働と脳卒中との関係


Long working hours and stroke among employees in the general workforce of Denmark.
2017  12月  デンマーク

労働時間は脳卒中のリスク要因の1つと考えられ、最近のメタアナリシスでは用量関係が示されている。たとえば週55時間以上の労働では脳卒中リスクが1.33倍になるという。

また日本では過労死での補償対象者の35.6%が脳出血で 6.8%が脳梗塞だったという報告もある。

これらの報告に再現性があるものか、脳卒中の種類別にたしかめてみたそうな。


1999-2013に行われたデンマーク労働力調査データベースを使って解析したところ、


次のことがわかった。

・およそ15万人が調査対象となり、2184件の脳卒中があった。

・週35-40時間の労働と比較しての脳卒中リスクは、41-48時間で0.97倍、49-54時間で1.10倍、55時間以上では0.89倍となった。

・労働時間カテゴリが1つアップするごとに脳卒中全体ではリスク0.99倍、脳梗塞は0.96倍、脳出血は1.15倍となった。

今回の解析調査では長時間労働と脳卒中リスク上昇との関連は確認できなかったが、脳出血に限定すると関連があるのかも、、、


というおはなし。
図:過労で脳出血

感想:

これ。↓
脳卒中になりやすい労働時間がわかった ランセット誌

2017年12月23日

LDLコレステロールが高い脳内出血患者の末路


Higher low-density lipoprotein cholesterol levels are associated with decreased mortality in patients with intracerebral hemorrhage.
2017  12月  アメリカ

脳内出血患者のLDLコレステロール値と回復の良し悪しとの関連については未だ結論がでていない。

これを詳しくしらべてみたそうな。


平均年齢62の脳内出血患者672人の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・発症前のスタチンの使用は回復程度に関連がなかった。

・LDLコレステロール値は血腫体積の三乗根と逆相関にあり、

・入院時にLDLコレステロールが高かったというだけで患者の血腫拡大スピードは遅く、

・院内死亡率も低く、10mg/dl増えるごとにオッズ比が0.68倍になった。

脳内出血で入院時にLDLコレステロールが高かった患者は それだけで血腫拡大が小さく院内死亡率も低かった、


というおはなし。
図:LDLコレステロールと脳内出血死亡率

感想:

平均は100mg/dlだったとのこと。110-120くらいをめざすといいんじゃないかな。

2017年12月22日

心原性脳梗塞で再発や出血する可能性


Recurrent Stroke and Bleeding Events after Acute Cardioembolic Stroke-Analysis Using Japanese Healthcare Database from Acute-Care Institutions.
2017  12月  日本

脳卒中のうち75.9%は脳梗塞で、さらにそのうちの27.7%が心原性である。心原性脳梗塞は高齢者におおく症状が重い。再発率も高く 久山町研究では10年で75.2%の再発率だった。

日本人の心原性脳梗塞について再発率の推移、抗凝固薬と出血率との関連をくわしくしらべてみたそうな。


2008-2013のヘルスケアデータベースから心原性脳梗塞 9804人の患者記録を抽出して解析したところ、


次のことがわかった。

・観察期間の中央値68日間では10.3%が脳卒中を再発し、その率は年間100人あたり20.8人だった。

・同様に、心原性脳梗塞の再発率は16.6人/100人年で、頭蓋内出血率は13.2人/100人年だった。

・抗凝固薬使用者の脳梗塞再発率は低かったが脳出血率が非常に高かった。

・再発リスクは 脳卒中歴、糖尿病、高血圧、心房細動などで、

・脳出血リスクは高血圧、腎不全、プロトンポンプ阻害薬使用だった。

心原性脳梗塞の患者は再発率が高かった。抗凝固薬は脳梗塞の再発率の低下に効果的だったが、脳出血リスクが非常に高くなった、


というおはなし。
図:抗凝固薬の脳出血率推移

感想:

うえのグラフを見てなお抗凝固薬を飲みつづける勇気とは。

2017年12月21日

地球温暖化で激増する脳卒中の種類とは


Long-term projections of temperature-related mortality risks for ischemic stroke, hemorrhagic stroke, and acute ischemic heart disease under changing climate in Beijing, China.
2017  12月  中国

脳梗塞や脳出血 虚血性心疾患のリスクの1つは気温であり 地球温暖化による影響が予想される。

このまま気候変動が続いたとして、2080年までのこれら心血管疾患の死亡率を予想してみたそうな。


IPCC予測の2つのシナリオ RCP8.5(高レベルのCO2排出が続く)とRCP4.5(中レベルCO2で安定する)について、北京での気候モデルを適用して 2020、2050、2080年での脳梗塞、脳出血、虚血性心疾患での死亡率を推定した。


次のようになった。
・RCP8.5に基づくと、2080年には脳梗塞での死亡率は1980年代のおよそ2倍になり、

・脳出血は1980年台とほぼ変わらず、虚血性心疾患は約20%の上昇になった。

・また 2080年代での脳梗塞死亡者のあらたな増加は1年のうち夏に集中していた。

地球温暖化により脳梗塞死亡率に将来 劇的な上昇が予想された。いっぽう脳出血と虚血性心疾患におおきな変化は起きそうになかった


というおはなし。
図:地球温暖化で脳梗塞が激増する

感想:

地球温暖化についてはトランプ大統領の考えを支持する。だからまったく心配していない。

2017年12月20日

網様体脊髄路と聴覚驚愕反射でリハビリ?


The Reticulospinal Pathway Does Not Increase Its Contribution to the Strength of Contralesional Muscles in Stroke Survivors as Compared to Ipsilesional Side or Healthy Controls.
2017  12月  アメリカ

運動には皮質脊髄路と網様体脊髄路がかかわっていて、脳卒中からの回復途上にある患者は網様体脊髄路の興奮性が亢進していると考えられている。

網様体脊髄路は聴覚刺激で興奮し、聴覚驚愕反射(acoustic startle reflex:ASR)で短時間の筋収縮反応を示すことが知られている。

そこで脳卒中患者への聴覚驚愕刺激によって麻痺側の腕の筋力と反応スピードが向上するものか 確かめてみたそうな。


脳卒中で片麻痺の患者13人と健常者12人について、
肘屈筋の随意収縮中に小さいビープ音(80dB)または大きいビープ音(105dB)の刺激を与え、筋電図と筋力を記録した。


次のようになった。

・麻痺側2頭筋のASRの頻度は健常側や健常者にくらべあきらかに多く、遅延時間も短かった。

・最大随意筋収縮中の聴覚驚愕刺激によって患者と健常者で筋収縮の反応スピードとトルクが強まった。

・随意筋収縮強度を変えた時、麻痺側のASRは健常側よりも強まったが有意なほどではなかった。

これらの結果から脳卒中患者の網様体脊髄路は過興奮状態にあると考えられた。しかし聴覚驚愕刺激が脳卒中患者の筋力アップに役立つとはおもえない、



というおはなし。
図:

感想:

音楽療法でリズムに載せて何かの動作を、、ってのは この網様体脊髄路がどうのこうのらしい。
startReact効果 「よーい」「どん」って言ったらスタートね、、

2017年12月19日

イチョウ葉エキスが認知機能の低下にストップ


Ginkgo biloba extract improved cognitive and neurological functions of acute ischaemic stroke: a randomised controlled trial
2017  12月  中国

中国では古くから イチョウ葉エキスが記憶障害やうつ、耳鳴り、せん妄の治療薬として用いられてきた。

イチョウ葉エキスには虚血脳の活性酸素から神経を保護する効果や血流を改善する効果が報告されているが患者に勧められるだけのエビデンスはまだない。

そこで急性期の脳梗塞患者348人についてイチョウ葉エキスによる回復効果、認知機能への影響をしらべてみたそうな。


発症から7日以内の脳梗塞患者を2グループにわけ、
いっぽうには1日にイチョウ葉エキス(GRE)450mgとアスピリン100mgを与えた。
比較グループにはアスピリン100mgのみとした。

30日、90日、180日後の回復度を比較したところ、


次のようになった。

・認知機能評価MoCAスコアの低下するスピードはGREグループで明らかに遅かった。

・神経症状NIHSSや自立度mRS,BIスコアは いずれもGREグループで有意に改善した。

・認知症検査MMSE等でGREグループに改善がみられた。

・有害事象はほとんどなかった。

急性期脳梗塞患者へのイチョウ葉エキスは認知機能や神経の障害を緩和し、副作用もなかった、


というおはなし。
図:イチョウ葉エキスの脳卒中治療効果

感想:

これは期待できる。
イチョウ葉エキスが脳梗塞に効く理由

イチョウ葉エキスの脳梗塞治療効果が明らかに

2017年12月18日

後方歩行トレーニングの効果


A Backward Walking Training Program to Improve Balance and Mobility in Acute Stroke: A Pilot Randomized Controlled Trial.
2017  12月  アメリカ

後方歩行トレーニングは膝への負担がちいさいことから整形外科シーンで用いられることがある。

脳卒中患者の後方歩行では視覚的に予期できない状況への対処や通常とは異なる運動パターンから、バランス改善と転倒予防効果が期待できる。

そこで後方歩行トレーニングの実行可能性と効き目を実験で確かめてみたそうな。


発症から1週間ほどの脳卒中患者18人について、
後方歩行トレーニング(BWT)と立位バランストレーニング(SBT)にわけ、1回30分間のセッションを8回行いその前後と1ヶ月後までの歩行 バランス能力を比較した。


次のようになった。

・トレーニング直後、前方歩行速度は BWT: 0.75 m/s; SBT: 0.41 m/s、

・後方歩行速度は BWT: 0.53 m/s; SBT: 0.23 m/s で いずれもBWTグループが高く、

・1ヶ月後もBWTグループがすぐれていた。

・バランス能力も "Activities-Specific Balance Confidence Scale" でBWTグループがあきらかにすぐれていた。

1回30分間の後方歩行トレーニングを1週間おこなったところ、前方後方への歩行速度とバランス能力がおおきく改善した。後方歩行トレーニングは転倒防止に役立つかも、


というおはなし。
図:後ろ向き歩行訓練

感想:

公道で後ろ歩きは危ない。グーグルグラスに後方カメラをつないでクールにバックしたい。
後ろ歩きの効果をきっちりと検証することにした

2017年12月17日

脳卒中で死なない最適なコレステロール値が判明


Total cholesterol and stroke mortality in middle-aged and elderly adults: A prospective cohort study.
2017  12月  韓国

コレステロールと脳卒中との関係については未だ結論がなく、スタチンなどの脂質降下薬を積極的にもちいるべきとする考え方と、コレステロールを下げると脳出血が増えるので危険だとする考え方がある。

この問題をあきらかにするべく 総コレステロール値と脳卒中の種類別死亡リスクとの関連を大規模に調査してみたそうな。


40-80歳の韓国人503340人を2002年から10年あまりフォローしたところ、


次のことがわかった。
・脳卒中全体では コレステロール値にたいし死亡リスクがU字カーブを描き、200mg/dlでリスク最低をしめした。

・200mg/dlより低いと逆相関にあり、主に脳内出血の死亡リスクが上昇した。

・脳梗塞はコレステロール値にたいし弱いながらも正の相関をしめした。

・200mg/dl以上ではいずれの脳卒中の種類でも逆相関になるものはなかった。

・これらの関連は若年層(40-64歳)と高齢者層(65以上)とで違いはなかった。

総コレステロール値は200mg/dlのとき脳卒中死亡リスクがもっとも低く、年齢層によらなかった。
200mg/dlを超えると脳内出血を含めて死亡リスクは高くなった、



というおはなし。

図:総コレステロール値と脳卒中死亡リスク

感想:

白人あいてじゃなく おなじアジア人なのでとても参考になる。

総コレステロール値200mg/dlのとき韓国人のばあい LDLコレステロール110mg/dl相当なんだって。
これより低いと脳内出血で逝きやすくなる。

2017年12月16日

腕をぐるぐるさせると歩行が改善するしくみ


Rhythmic arm cycling training improves walking and neurophysiological integrity in chronic stroke-the arms can give legs a helping hand in rehabilitation.
2017  12月  カナダ

人の脊髄には四足歩行時のなごりから手足を周期的に連動させる仕組み "Central Pattern Generator" (CPG) がある。

そこで脳卒中患者の腕を周期的に運動させることでCPGネットワークを活性化させ歩行能力を改善できるものか実験してみたそうな。


慢性期脳卒中患者19人について、ハンドエルゴメータで上肢回転運動を1秒1回転ペースで30分間おこなった。

これを週3回x5週間おこない、前後での歩行 バランス能力を比較した。

また各筋力、橈骨神経の皮膚反射や両ヒラメ筋のストレッチ反射もしらべた。


次のようになった。

・麻痺脚の足底筋、背屈筋の活動が強化され、

・ヒラメ筋ストレッチ反射の増強から四肢間カップリングの増強が考えられた。

・歩行、バランス能力も改善を示した。

アームサイクリングによってCPGネットワークに変化が起き、四肢間の結合が強まり歩行能力の改善につながったと考えられる、


というおはなし。

図:アームサイクリングセラピー

感想:

だから歩行には腕の振りが重要で、たとえばトレッドミル訓練で体重支持機能がない装置だと 両腕は手すりを掴んでいることになり、腕振りができず訓練効果があがらないんだって。

2017年12月15日

血糖値と脳内出血の関係


Prospective Study of Fasting Blood Glucose and Intracerebral Hemorrhagic Risk
2017  12月  中国

糖尿病はあきらかに脳梗塞のリスク要因の1つであるが、血糖値と脳内出血との関連については未だ結論がでていない。

これを大規模に調査してみたそうな。


中国 唐山市の健康な住民96110人について、
2006-2015に2年毎の空腹時血糖値を測定しながら 脳内出血の発生をフォローして関連を解析したところ、


次のようになった。
・この間に755件の脳内出血があり、脳内出血リスクのもっとも低い血糖値は5.3mmol/l(=95.4mg/dl) だった。

・血糖値が4.0mmol/l(=72mg/dl)よりも低い場合や、6.1mmol/l(=110mg/dl)よりも高い場合に脳内出血リスクがあきらかに高かった。

・この関連はなんらかの薬剤使用者を除いても変わらなかった。

空腹時血糖値と脳内出血の関連を大規模に調査した結果、標準的な範囲4.00-6.09mmol/l より高くても低くても脳内出血リスクは高くなった、


というおはなし。
図:空腹時血糖値と脳内出血リスク

感想:

グラフみると低いときヤバイね。

血糖高いと動脈硬化がすすんで微小動脈瘤ができる。血糖低いのは身体が弱いか高ストレス下にある、ってこと。

2017年12月14日

血糖値が高いから代わりに肉をたくさん食べると脳卒中?


Meat intake and incidence of cardiovascular disease in Japanese patients with type 2 diabetes: analysis of the Japan Diabetes Complications Study (JDCS).
2017  12月  日本

脳卒中などの心血管疾患は糖尿病の合併症の1つでもあり、肉の過剰摂取が原因になりうる と考えられている。

これら研究のおおくはアメリカのもので、肉の摂取カロリーが欧米の1/4程度のアジア人についてはほとんどわかっていない。

そこで、日本人の糖尿病患者について肉の摂取量との冠動脈疾患や脳卒中との関連をしらべてみたそうな。


40-70歳の糖尿病(HbA1c ≥ 6.5%)の患者1353人について、食事調査をおこない心血管疾患の発生を8年間フォローしたところ、


次のようになった。

・肉の1日の摂取量は9.9-97.7gの幅があり、

・肉を多く摂ると冠動脈疾患のリスクは高くなった。

・特に 1日に20g以上摂ると冠動脈疾患リスクは2.94倍になった。

・肉の摂取量と脳卒中とのあきらかな関連は確認できなかった。

日本人の糖尿病患者が肉を多く摂ると冠動脈疾患リスクが上昇した。いっぽう脳卒中リスクとの関連はなかった、


というおはなし。
図:肉の摂取量と冠動脈疾患

感想:

脳卒中は必ずしもアテローム性動脈硬化がだけが原因ではないからこういう結果になったんだろう、とのこと。

糖尿病治すには糖質を制限して代わりに肉を食べればよいから、脳卒中的にもんだい無いならどんどん肉食べるべき。
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1日に6000歩以上で脳卒中の再発予防になることを日本の研究者が解明
脳出血で損傷した脳が勝手に再生する可能性について

脳卒中患者がネットを使いこなす理由
若年脳卒中患者は脳の老化が10-20年進んでいた
マルチビタミンの脳卒中予防効果は〇〇年後に現れる
最新の音楽療法 バイノウラルビート (Binaural Beat)
脳卒中になりやすい労働時間がわかった ランセット誌
脳卒中が軽症だからって運転させていいの?
健康のために毎日いっしょけんめい運動するとかえって脳卒中になりやすいことが100万人の調査で明らかに
足をクロスしていたら半側空間無視 確定か?
療法士さんよりもビデオゲームの方が優れていると判明!
両手準備運動をすると脳が刺激されて上肢リハビリが加速することが判明!

心を改め運動を始めるだけで脳の可塑性は復活する
知らない音楽を聴くと脳が広く活動して新しい回路が、
なんとか復職しても仕事は続けられるのだろうか?
NEJM誌:脳卒中で死なない血圧は120未満だからね
脳卒中の言語障害はウェルニッケやブローカのせいではなかった!
手の指を繰り返し動かしてあげても脳への影響はゼロ
片足立ち20秒未満 →小さな脳梗塞や脳出血の可能性高!
[住みやすい国] 日本の脳卒中と自殺との関連について
再発予防のために血圧を120以下にすると長生きできない
【いますぐ実践】片鼻呼吸法で失語症が改善することが明らかに

悪玉善玉比L/Hが低いと脳内出血で死ぬことが明らかに
鼻炎のメリット→脳梗塞予防効果
脳卒中 幹細胞治療のダークサイドについて
ランセット誌:握力よわくなったら脳卒中が近いと知りなさい
だいたい5年後に脳卒中経験者が悩んでいること
ハゲを治そうとして脳卒中になってしまった日本人2例
退院したての元患者が感じていること
麻痺側の触覚を刺激し続けると梗塞を最小限にできる可能性について
脳卒中経験者は自動車運転をナメきっていることが判明
減塩に真面目な人ほど脳卒中で死亡するという事実

納豆を食べると脳卒中で死なない 2万9千人調査
NEJM誌:幹細胞ツアーに参加したら癌ができた
脳梗塞から脳出血へ コレステロールとの関連が明らかに
脳出血で死なないための睡眠時間が判明!
音楽サポート療法の「音楽」はほんとうに必要なのか?
患者に毎日好きな音楽を聴かせたところ、脳に構造改革が起きた模様
感情失禁になる患者の割合について
脳の可塑性のおかげで2年経っても運動機能が回復することが判明
【悲報】脳卒中後、杖を使い続けると麻痺していない手まで動かなくなる
血圧が高いひとは、他人の気持ちがわからない

生活習慣を改めれば脳卒中の再発は防げるの?
カニ歩きと後ろ歩き 片麻痺リハビリに効果的なのは、、
鍼治療の「得気」は小脳のはたらきだった
脳梗塞実績No.1漢方薬 → ほようかんごとう
閉じ込め症候群の患者にあえて生活の質を問うてみた結果、、
砂糖の代わりに甘味料を使うと脳梗塞がさらにひどくなることが判明
ダメージを負った脳組織が勝手に再生する仕組みが明らかに
指ストレッチはいいらしいから さっそくこのビデオで実践することにした
【肥満パラドックス】脳梗塞で長生きするBMIが判明
リハビリの合間のお昼寝は大切 → 訓練がはかどるゾ

刺激豊富な環境で脳梗塞が治る理由
猫を飼う女性は脳卒中で死なないことが判明!
美容院で脳卒中になる女性が続出!
「ストレスが原因」と語る脳卒中患者ほど実はなにもわかっていない
傷ついた脳に効くBDNFが増えるサプリメントが明らかに
運転リハビリに良さそうなおすすめドライブゲーム
【アロマテラピー】ラベンダーの香りが脳梗塞にすごく効く
脳卒中後の疲労感は 只の疲労とはわけが違う
脳卒中がきっかけでホモになることがあるらしい
ダイエットコーラを毎日飲むと脳卒中になることが判明

高コレステロールに朗報 葉酸サプリの脳卒中予防効果
BDNFが7年かけて脳を修復してくれるという根拠について
朝ごはんを食べない日本人は脳内出血になることが判明!
脳卒中予防に最適なビタミンBサプリメントの組み合わせがわかった!
脳卒中経験者の血圧を十分に下げたら死亡者が続出した
痙縮が治る ただの風呂と温泉を比較した
歩きスマホが脳卒中患者のリハビリに適しているという根拠について
磁気嵐が脳卒中を引き起こす と判明!
リハビリは動かせばイイってもんじゃぁない. 本人がやる気になるまで待て.
『足首を鍛えたいのに麻痺して動かないの』→『もう一方の足を鍛えなさい』