元2024 4月 スイス
ULTRA(Ultra-early TRAnexamic acid treatment after subarachnoid hemorrhage)試験では、くも膜下出血(SAH)におけるトラネキサム酸(TXA)の超早期投与の有効性が検討され、TXAが臨床転帰の改善を伴わないものの、再出血リスクを低下させることが示された。
SAH以外の脳出血を対象とした別の試験では、抗線溶療法の開始までの時間が転帰に影響を及ぼすことが示されている。
そこで、ULTRA試験の事後解析において、出血からTXA投与開始までの時間が、動脈瘤性SAH後の再出血および機能的転帰に影響するかどうかをくわしくしらべてみたそうな。
ULTRA試験の動脈瘤性SAH患者において、TXA投与と通常治療を受けた患者および通常治療(コイルやクリップ)のみを受けた患者の間で事後比較解析を行った。
6ヵ月後の再出血率、良好な転帰(mRS 0-3)を評価し、出血からTXA投与開始までの時間が治療効果に及ぼす影響を3つのカテゴリー(0-3時間、3-6時間、6時間超)に層別化して検討した。
次のことがわかった。
・TXA群では394例中64例(16.2%)が再出血を経験したのに対し、通常治療のみの群では413例中83例(19.9%)であった。・TXA投与開始までの時間は再出血率に対するTXAの効果を変化させ、再出血率の減少が観察されたのはTXA投与が6時間後に開始された場合のみであった(絶対的減少率1.4%)。・トラネキサム酸治療は良好な転帰割合に影響を及ぼさなかった。
くも膜下出血後の再出血に対するTXAの効果は治療までの時間によって変化した。治療を6時間以降に開始した場合にのみ、保護効果が得られることを示唆していた、
というおはなし。
感想:
再出血リスクを減らせるのに、転帰良好割合に影響がなかったのだからトラネキサム酸のルーチン使用は勧められない!って結論なんだけど、
ULTRA試験をつかった他のいくつもの研究によると、くも膜下出血の動脈瘤治療を早くにおこなうほど転帰が悪くなることがあきらかになった。↓
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最初の出血の直後ほど再出血しやすいはずなのに、それを防ぐための手術を迅速におこなうと状態が悪くなるフシギ。
たぶん、クリップやコイルによる無意味な介入の悪影響がひどすぎて、トラネキサム酸の良い効果がほとんど相殺されてしまっているんだとおもう。