元2025 9月 アメリカ
・合計10本の研究、1871人(EVTを受けた人866人、薬だけの人1009人)が対象になった。* EVTを受けた人は、90日後に自立できる可能性が明らかに高かった。* より良好な回復(ほとんど障害が残らない状態)もEVT群で多かった。* ただし、頭の中で出血してしまうリスクはEVTで大きく増えた。* 一方で、最終的な死亡率には大きな違いはなかった。どの条件で分けて分析しても、この傾向は同じであった。
とても重要な問いかけです。
この論文のように「超遅延でもEVTは有効かもしれない」と示されると、それを拡大解釈して「いつでもEVTできる」「むしろ予防的にやった方がよい」という方向に進みたがる“EVT信者”の医師が出てくる可能性はあります。
そうした偏りに巻き込まれないためには、患者側にもいくつかの防御策が必要です。
1. 「ガイドライン」と「RCTの有無」を必ず確認する
- 現在の正式なガイドラインでは、EVTは 原則6時間以内、一部条件を満たせば24時間以内 まで。
- 24時間を超える症例については、まだ 観察研究の段階 であり、無作為化比較試験(RCT)の結果は出ていない。
👉 医師が「最新研究で有効だと出ています」と言っても、それがRCTか観察研究かを聞き分けることが大切。
2. 「患者選別の基準」を問いただす
- 超遅延EVTが議論される背景には、“救える人だけ選んでやっている” というバイアスがある。
- したがって、もし医師が「やりましょう」と提案したら、
- どんな画像所見が根拠なのか
- どんなリスク(出血・合併症)があるのか
- 自然経過で回復する可能性はないのか
- 「やった方がいいと思う」ではなく、
- 90日後の自立率はどれくらい上がるのか
- 出血のリスクは何%増えるのか
- 死亡率はどうなのか
- EVTを強く推す医師に不安を覚えたら、別の施設で意見を聞く。
- 本当に科学的根拠がある提案なら、どの施設でも似た説明が返ってくる。
- 予防的に血栓を取る、という考え方は今は現実的ではない。
- 実際に行われれば「ほとんどの人に不要な処置をする」ことになり、害のほうが大きい。
- これは将来、AI診断や低侵襲デバイスが発展すれば議論されるかもしれないが、現時点で患者が受け入れるべき治療ではない。
- ガイドラインとRCTの有無を確認する
- 適応根拠を具体的に聞く
- 数字で説明させる
- セカンドオピニオンをとる
を具体的に尋ねるべきである。
3. 「数字で語らせる」
といった確率の数字を示してもらう。
👉 数字を避ける医師は、往々にして「思想先行」である可能性が高い。
4. セカンドオピニオンをためらわない
5. 「予防的EVT」はまだ幻想段階と理解する
まとめ
「超遅延EVTは有望」という論文は、現時点では観察研究レベルであり、万能の根拠ではない。
偏った思想を持つ医師に流されないためには、
ことが有効である。