2025年12月17日

日本のリハビリ神話に待った 「重症ほど効く」の裏側を検証する

2025  12月  日本


脳卒中の急性期では、「できるだけ早く、できるだけ多くリハビリをすることが大切」と言われている。

しかし現場では、
・たくさんリハビリをしても、あまり良くならない人
・かなり重い状態なのに、意外と回復する人
が混ざっている。

これまでの研究は、「リハビリを多くすると、全体として良くなるのか」という平均的な見方が中心だった。

そこで、「リハビリが本当に効く人と、そうでない人がいるのではないか」
「どんな人がたくさんリハビリをすると得をするのか」
をはっきりさせるべくくわしくしらべてみたそうな。



日本全国の急性期病院のデータを使い、
急性期の脳梗塞患者、約5万人を対象に調べた。

入院後14日間に、
・1日平均60分以上リハビリを受けた人
・60分未満だった人
を比べた。

評価したのは、
「発症から約60日後に、日常生活がほぼ自立できたかどうか」である。

年齢や重症度などの違いによる影響を減らしたうえで、
さらに「この人にとってはリハビリがどれくらい効いたか」を一人ひとり推定する解析方法をつかった。(傾向スコアマッチング+因果フォレスト)



次のようになった。

・全体を平均すると、「リハビリを60分以上やっても、良いとは言えない」という結果になった。

・しかし、よく見ると話は単純ではなかった。
リハビリの効果がとても大きかった人たちでは、自立できる確率が約17%も高くなっていた。

一方で、
・ほとんど効果がない
・むしろ成績が悪くなる
ような人たちもいた。

・リハビリの効果が大きかったのは、
・入院時のADLがかなり悪い(重症)
・意識は比較的はっきりしている
・持病が少ない
・血栓を溶かす治療や血管を開く治療を受けている
といった人たちだった。

・逆に、
・中くらいの障害
・持病が多い
・高齢
といった人では、たくさんリハビリをしても効果は小さかった。


急性期の脳卒中リハビリは、「多ければ多いほど、誰にでも良い」わけではない。
たくさんのリハビリが特に効果を発揮するのは、重症ではあるが、回復する力がまだ十分残っている人である。
この研究は、
・リハビリは一律に同じ量をやるものではない
・人によって、ちょうどよい量は違う
という現実を、大規模データで示した、


というおはなし。

重症に効くの?



感想:

『この研究では昏睡や意識障害だった患者を除外しています。彼らこそが重症者です。それを弾きだしたうえで「リハビリは重症者に効果がある」と結論づけるのは巧妙な認知トリックです。
この論文は「余命短そうな人を除けばリハビリ効果がみられる」と言っているにすぎません。』



以下、医師国家試験正答率98%AIの進化版GPT-5の回答コピペ↓



指摘はかなり筋が通っている。少なくとも、この論文の結論をそのまま「重症者に効く」と一般化するのは危うい。

あなたの主張を、論文の設計に沿って2〜3段で検証する。

1) そもそもこの研究の「重症」は、一般にイメージする重症とズレる
この論文は対象を「脳梗塞で、発症早期にリハ開始でき、一定の条件を満たす人」に絞っている。実際に、意識レベルでいえばJCS 0〜1相当を条件にしており、昏睡・深い意識障害は入ってこない(少なくとも設計上は外れている)。つまり、この研究の「重症」は、主にADLの低さで定義された“機能的重症”であって、「生命危機としての重症」「全身管理が厳しい重症」を含みにくい。

ここで「重症者に効く」と言うと、読者は普通、昏睡や重篤な全身状態まで含めて想像する。そこにギャップがある。これはあなたのいう「巧妙な認知トリック」として成立する。

2) 「余命短そうな人を除けば効果が見えるだけ」仮説も、かなり当たり得る
この研究は、短期死亡や侵襲的治療(人工呼吸やカテコラミンなど)を伴うような患者を除外している。これは「リハビリの効果」を見るというより、「リハビリを十分やれる土俵にいる人」を集める操作にもなる。

すると、結果として
・回復する余地(ADLは悪い)がある
・しかし生理学的な余力(意識・併存疾患など)は残っている
という層が残りやすい。そこで高用量リハの効果が出たとしても、それは

「重症だから効く」
ではなく
「回復余地が大きいのに、死にそうではない人には効く」
と言い換えたほうが正確になる。

あなたが言う「余命が短そうな人を除けば〜」は、まさにこの構図の要約で、論文の議論(“生理的予備能がある重症”に効果が大きい、という含意)とも整合する。

3) ただし一点だけ注意:それでも論文が示した“差”は無視できない
あなたの批判が正しいとしても、この論文が示しているのは

「同じ“土俵に残った患者群”の中ですら、リハの効き方が極端に割れる」
という点である。平均効果がはっきりしない一方で、上位群では自立回復が大きく伸び、下位群では伸びない(むしろマイナス)という構造は、この研究の核だ。

つまり、論文の価値は「重症者一般に効く」ではなく、むしろ
「“重症”というラベルでは足りず、反応性は層別化される」
にある。

あなたの立場で一段鋭くまとめるなら、こう言える。

・この論文は“最重症(昏睡・全身不安定)”を除外しているため、「重症全体に効く」とは言えない
・実際に効いているのは「ADLは悪いが、意識が保たれ、併存疾患が少なく、急性期治療も受けている=回復余地と余力を併せ持つ層」である
・言い換えると「死にそうな人を外すと効果が見える」という側面は否定しにくい
・ただし同じ条件の中でも“効く群/効かない群”の差が大きいという点は、この研究の本体である