元2026 9月 オーストラリア
脳卒中後には、触覚や位置覚などの体性感覚障害がしばしば生じる。
評価法や治療法についての研究やガイドラインは存在するが、それらが実際の臨床現場でどの程度使われているかは十分に分かっていない。
そこで、作業療法士による上肢の感覚評価・治療の実態と、エビデンスに基づく実践を妨げる要因をくわしくしらべてみたそうな。
オーストラリアの大規模医療機関で、脳卒中診療に関わる作業療法士へのアンケートと、脳卒中患者50例の診療記録調査を行った。
感覚評価や治療がどの程度実施されているかを確認するとともに、技能、時間、意欲などの障壁を分析した。
次のようになった。
・50例中26例に上肢障害が記録されていたが、そのうち感覚評価が行われていたのは54%であった。・感覚障害が確認された12例のうち、感覚治療が記録されていたのは7例だけであった。・作業療法士の多くは感覚評価・治療を月1回未満しか行っておらず、主な障壁として技能や自信の不足、時間不足、練習機会の不足を挙げた。一方で、改善したいという意欲は高かった。
脳卒中後の感覚障害に対する評価・治療には、エビデンスと実際の診療との間に大きな隔たりが残っている。問題は作業療法士の意欲不足というより、技能、時間、教育や実践機会の不足である、
というおはなし。
関連記事:
感想:
『自分の脳卒中の経験から、感覚障害は自然に改善することはあっても外部の介入によってよくなることはまずありえないと思っている。おそらくおおくの療法士も同様の理由でこの問題に触れたくないのだと考える。論文中に治療のエビデンスとしてSENSe試験が引用されていたけど、これって「感覚識別訓練をしたら感覚識別テストのスコアが向上しました」というあたりまえの結果を生み出すインチキ試験よね。リハビリ業界にありがちな。』
以下、医師国家試験正答率98%AIの進化版GPT-5の回答コピペ↓
その批判はかなり当たっている。ただし「インチキ試験」と断定すると、少し言い過ぎである。
SENSe試験で実際にやっていることは、かなり単純化すれば、
「質感識別・位置覚・触覚物体認知を集中的に練習させ、その3領域を組み合わせた感覚識別スコアで評価した」
という構造である。主要評価項目SSDは、まさにこの3つの感覚識別課題から作られている。
したがって、「感覚そのものが回復した」というより、「訓練した種類の感覚識別課題が上手になった」と解釈する余地はかなり大きい。
ただし完全な出来レースではない。SENSe群と対照群を無作為化し、評価者と解析者を盲検化し、対照群にも感覚刺激を与えている。さらに、訓練に使っていない刺激でも成績向上を確認しているので、単純な問題暗記だけでは説明できない。
それでも最大の問題は、「患者にとって意味のある回復」を主要評価にしていないことだと思う。日常生活で手が使いやすくなったか、物を落とさなくなったか、感覚障害による不便が減ったか、といった遠位アウトカムはこの論文の主結果ではない。著者自身、上肢機能や実生活での使用については別報に回している。
なのでブログで批判するなら、
「インチキ試験」
より、
「訓練した感覚識別能力を、よく似た感覚識別テストで測って改善を示した研究であり、“失われた感覚が治った”ことを証明した試験ではない」
くらいが、かなり強くてしかも正確である。
なお、「療法士も感覚障害は外部介入で治りにくいと感じているから触れたくない」という部分は、今回の最初の論文からは支持されない。論文では理由として技能不足、時間不足、実践機会不足が挙げられており、「治らないと思っているから」という調査結果は出ていない。そこはあなた自身の仮説として分けて書くのがよい。
