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2018年2月3日

感覚遮断が脳の可塑性をうながす理由


Sensory deprivation after focal ischemia in mice accelerates brain remapping and improves functional recovery through Arc-dependent synaptic plasticity
2018  1月  アメリカ

脳卒中のあとの手足の麻痺からの回復はダメージをうけた脳皮質周辺での機能の再編能力にかかっている。

このプロセスをうながすべくネズミのヒゲを刈り取り無感覚にすることで脳に機能的空きスペースを作ってみたそうな。

2018年1月15日

脳卒中の比例回復則 リハビリはほんとうに必要か?


Does Stroke Rehabilitation Really Matter? Part A: Proportional Stroke Recovery in the Rat.
2018  1月  カナダ

脳卒中で失われた患者の機能が、障害の程度に比例してその70%くらいまで自発的に回復する現象を "proportional recovery rule"(比例回復則)と呼ぶ。

これまで比例回復則は上下肢の運動機能および半側空間無視、失語症でも報告されていて、脳卒中患者のおよそ80%がこの現象をしめす。

皮質脊髄路や運動誘発電位の健全性が比例回復則と関連するとの見方もある。

回復が自発的にすすみリハビリの有無によらないことから生物の持つ本質的な治癒メカニズムと考えられ、脳卒中リハビリの存在意義が問われている。

ところが人で実験する場合、いかなるリハビリ行為もまったく行わない群を設けるのはほとんど不可能に近い。

そこで完全管理の動物をつかって比例回復則を確認できるものか 実験してみたそうな。

2017年12月2日

梗塞で死んだ脳組織が勝手に再生するタイミング


Specific Features of SVZ Neurogenesis After Cortical Ischemia: a Longitudinal Study.
2017  11月  スペイン
いっぱんに脳細胞は再生しないと考えられているが、脳には2箇所だけ神経細胞が生まれ続けている場所がある。

1つは海馬歯状回の顆粒細胞下帯で おもに記憶や学習に関係する。もう1つは側脳室の脳室下帯(SVZ)で、通常ここで生まれた神経細胞は脳の嗅球とよばれる位置へ移動する。

しかし脳が損傷を受けた場合にはSVZで生まれた神経芽細胞がそこへ移動して脳組織の再生に寄与すると考えられている。

こんかい、これらの過程がどのようなタイミングおきるのか動物で確かめてみたそうな。

2017年11月26日

脳卒中で低下した学習記憶力が運動で回復するメカニズム


Physical Exercise Promotes Novel Object Recognition Memory in Spontaneously Hypertensive Rats after Ischemic Stroke by Promoting Neural Plasticity in the Entorhinal Cortex.
2017  11月  中国

脳卒中後の積極的な運動には肥満防止や心血管機能の改善効果があり、さらに梗塞の拡大を抑え神経症状の回復をうながす効果も報告されている。

最近では 運動によって脳卒中後の認知学習記憶の障害を改善できるとする報告もあるが、脳のどの部位に影響して どのようなメカニズムによるものなのかはわかっていない。

そこで動物で確認してみたそうな。

2017年11月3日

1回でBDNFが増える歩行強度がわかった


A single session of moderate intensity walking increases brain-derived neurotrophic factor (BDNF) in the chronic post-stroke patients.
2017  10月  ブラジル

脳由来神経栄養因子(BDNF)は神経細胞の可塑性をうながし運動学習やリハビリに不可欠なタンパク質である。

BDNFは脳卒中患者の長期の有酸素運動によって増加することがわかっているが 短い運動でも増える可能性はある。

そこで、1回でBDNFが増える運動の種類と強度をさぐるべく実験してみたそうな。

2017年10月10日

脳卒中で海馬の神経新生に異常


Adult hippocampal neurogenesis poststroke: More new granule cells but aberrant morphology and impaired spatial memory
2017  9月  ドイツ

脳卒中を経験すると海馬の機能に障害がおきて記憶力が低下することがわかっている。

海馬の歯状回は 生涯をとおして新たな神経細胞がつねに生まれている箇所の1つである。

脳の虚血刺激によってこの神経新生が活発になることがわかっているが、なぜか記憶力が改善するわけではない。

最近の研究では代わりに異常な神経新生がおきている可能性が指摘されているので、実験でたしかめてみたそうな。

2017年9月18日

脳卒中の回復に本当に適した運動強度とは


Effects of High- Versus Moderate-Intensity Training on Neuroplasticity and Functional Recovery After Focal Ischemia
2017  9月  フランス

脳卒中からの回復には中強度の有酸素運動(MOD)が適しているとおおくの実験が示しているいっぽう、その効果は今ひとつである。

高強度のインターバルトレーニング(HIT)がより効果的であるという報告があるので動物で実験してみたそうな。

2017年7月7日

落ちたら死ぬかも アクロバティック・トレーニングとは


Motor Skills Training Enhances α-Amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazolepropionic Acid Receptor Subunit mRNA Expression in the Ipsilateral Sensorimotor Cortex and Striatum of Rats Following Intracerebral Hemorrhage.
2017  6月  日本

脳内出血は脳卒中のなかでも死亡や重い障害が残る率がたかい。

この障害から回復させる方法として、失敗したら命にかかわるかもしれない環境で高度なスキルの要求される訓練を行う「アクロバティック・トレーニング」の有効性が動物実験で示されている。

この効果を分子レベルでたしかめてみたそうな。

2017年6月1日

脳卒中がきっかけでアル中になるメカニズム


Stroke triggers nigrostriatal plasticity and increases alcohol consumption in rats
2017  5月  アメリカ

アルコールは脳卒中のリスク要因の1つであるが、逆に脳卒中をきっかけに飲酒がやめられなくなる患者もいるという。

このあたりのメカニズムをネズミでしらべてみたそうな。

2017年5月15日

上肢機能の回復はBDNF遺伝子の型で決まっていた


Association Between Brain-Derived Neurotrophic Factor Genotype and Upper Extremity Motor Outcome After Stroke
2017  5月  韓国

脳卒中後の回復の鍵となる神経可塑性には脳由来神経栄養因子(BDNF)が深くかかわっていると考えられている。

BDNFには遺伝子多型 "Val66Met"(66番目のアミノ酸がバリン→メチオニンに変化)があり、BDNFの分泌能低下との関係が報告されている。

そこで、脳卒中後の上肢運動機能とBDNF遺伝子型との関連をしらべてみたそうな。

2017年4月6日

Stroke誌:下肢運動機能の比例回復則からわかること


Proportional Recovery From Lower Limb Motor Impairment After Stroke
2017  3月  ニュージーランド

脳卒中のあと皮質脊髄路にダメージが無い場合、その後のリハビリ訓練量にかかわらず 低下した運動機能の一定の割合≒70%が3ヶ月後には自発的に回復するという経験則があり "Proportional Recovery Rule"(比例回復則)ともいわれている。

比例回復則は上肢機能についてはよく調べられているが下肢の報告は無いのでしらべてみたそうな。


脳卒中患者32人の下肢運動機能を3日後と3ヶ月後に評価した。

皮質脊髄路の健全性はTMSとMRIで評価した。
これらと運動機能の回復度、リハビリ訓練時間との関連を解析したところ、


次のようになった。

・3ヶ月後、低下した下肢運動機能の74%が回復した。

・皮質脊髄路の健全性は下肢回復度の予測の役に立たず、

・しかも回復度はリハビリ訓練時間にもよらず、初期の運動機能低下度のみで決まった。

・上肢の研究では患者の30%は比例回復則にフィットしないはずなのに、今回そういった患者群はなかった。

脳卒中での下肢運動機能の低下は 3ヶ月後にその70%まで回復した。上肢研究でみられた比例回復則に沿わない患者群がいなかったことは 微力ながら別の神経経路(網様体脊髄路)の寄与があったことをうかがわせる。訓練量にもよらなかったことから、比例回復則はもともと備わっている生体プロセスなのであろう、


というおはなし。
図:下肢の比例回復ルール
回復度ΔFMは訓練時間と相関しない。


感想:

比例回復則は2006年ごろから話題になりはじめて、すでに失語や半側空間無視でも同様の効果が確認されている。

ようするに神経インフラさえ残っていれば、リハビリしようがしまいが 落ち込んだ機能スコアぶんの70%は勝手に回復する ってこと。

リハビリ訓練と回復はまったく関係ないというこれ↓に通じるものがある。
題指向型訓練 いくらやっても役には立たない

[比例回復則 "proportional recovery rule"]の関連記事

2016年12月14日

心を改め運動を始めるだけで脳の可塑性は復活する


Physical Exercise Preserves Adult Visual Plasticity in Mice and Restores it after a Stroke in the Somatosensory Cortex
2016  12月  ドイツ

脳の可塑性を評価する方法に眼優位性可塑性(一方の眼を数日塞いだときに生じる脳視覚野の活動変化)がある。

この能力は加齢や脳損傷により低下することが知られている。
また刺激豊富な環境で育ったネズミでは眼優位性可塑性が生涯保たれ、刺激の無い環境のネズミではやがて消失することがわかっている。

そこで脳卒中後の運動が眼優位性可塑性に影響するものかどうか実験してみたそうな。


次のことがわかった。

・カゴの中に走行輪を置き自由に走れる環境で育ったネズミは脳卒中後でも眼優位可塑性を維持し、走行輪のないカゴのネズミでは脳卒中後に眼優位可塑性が消失した。

・もともと走行輪のない環境で育ったネズミでも、脳卒中から14日後に走行輪アクセスを2週間可能にしただけで眼優位性可塑性が復活した。

脳卒中のあとに自発的な運動を始めるだけで 失われつつあった脳の可塑性が復活した、


というおはなし。


図:眼優位可塑性

感想:

「自発的な」運動ってところがポイントだと思う。「強制」したら治るものも治らない、、
リハビリは動かせばイイってもんじゃぁない. 本人がやる気になるまで待て.

2016年10月21日

音の追加で上肢が改善 スパイクタイミング依存可塑性とは


Spike Timing-Dependent Plasticity in the Long-Latency Stretch Reflex Following Paired Stimulation from a Wearable Electronic Device
2016  10月  イギリス

上肢の運動伝達はおもに皮質脊髄路をとおる。 歩行や姿勢制御を司る網様体脊髄路も一部関わっている と考えられている。

脳卒中で損傷した皮質脊髄路の代わりに 網様体脊髄路のコネクションを強化できれば上肢麻痺のリハビリがはかどるかもしれないと考えた。

脳幹網様体の活性化には音刺激が有効であることから、クリック音と目標筋肉を収縮させる電気刺激を組み合わせて実験してみたそうな。


健常者の上腕二頭筋に電極を貼り、長潜時反射を観測した。

このとき電気刺激に先立つかまたは遅れてクリック音をイヤフォンから流し、反射強度との関連を調べた。

電気刺激装置は小さなウェアラブルタイプに設計し、身体に7時間装着して日常生活をさせたところ、


次のようになった。

・長潜時反射強度は 電気刺激→クリック音 の順番のとき49%アップし、

・クリック音→電気刺激の順だと31%低下して いわゆる "スパイクタイミング依存可塑性"を示すようになった。

ウェアラブル装置による音と電気刺激の組み合わせで脳幹網様体からの上肢運動経路の強化に成功した、


というおはなし。
図:Spike Timing-Dependent Plasticity

感想:

別のニュース記事だと あまりにも結果がよかったのでインドの病院で患者150人の臨床試験を開始して年末に成果がでる予定とある。

当初はTMSで動物実験してたんだけど、よくしらべると磁気刺激ではなくコイルの放電時に生じるバチンって音に反応していることがわかって 「よっしゃ 磁気は捨てて音刺激で行こう!」ってことになったという。↓
Reticular formation responses to magnetic brain stimulation of primary motor cortex

2016年6月20日

BDNFが7年かけて脳を修復してくれるという根拠について


Low Circulating Acute Brain-Derived Neurotrophic Factor Levels Are Associated With Poor Long-Term Functional Outcome After Ischemic Stroke.
2016  6月  スウェーデン

脳由来神経栄養因子(BDNF)は脳の可塑性、神経新生の重要な役割を担い、脳卒中の予後に大きく影響すると考えられている。

脳卒中で入院時の血中BDNF濃度が患者の短期的 長期的な回復にどう影響するのか調べてみたそうな。


脳梗塞患者491人の入院時血中BDNF濃度を測定し、健常者513人と比較した。

3ヶ月、2年、7年後の生活自立度を測定してBDNFとの関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・脳梗塞患者のBDNF濃度は健常者に比べ明らかに低かった。

・BDNF濃度は3ヶ月後の回復度合いには関連しなかった。

・しかしBDNF濃度が特に低いグループでは2年後 7年後の回復不良リスクが高かった。

・この関連は高血圧や糖尿、脳卒中重症度に依らなかった。

急性期脳梗塞患者の血中BDNF濃度は低かった。そのうちさらに低い者は長期的な機能回復不良になりやすかった、


というおはなし。

図:BDNFと2年、7年後の回復

感想:

リハビリはすぐ頭打ちになって諦めがちになるけど、このBDNFのように早期には影響なくても 2年-7年かけてじっくりと脳と身体を癒やす仕組みが備わってるのかもね。
傷ついた脳に効くBDNFが増えるサプリメントが明らかに

2016年4月28日

脳が回復する手の動かし方 運動前野腹側部


Increased ventral premotor cortex recruitment after arm training in an fMRI study with subacute stroke patients.
2016  4月  ドイツ

リハビリ訓練によって手が健常者なみに改善した脳卒中患者の脳の活動を調べてみたそうな。


発症から2-9週間経つ軽症-中等度麻痺の脳卒中患者12人および健常者について、

1日1時間の上肢機能訓練を3週間行った。

訓練前後でfMRIを撮影し脳の活動域を確認した。

fMRIは麻痺手または非麻痺手を能動的に握りしめる課題と 空気圧スプリントで受動的に開く課題とで測定した。


次のことがわかった。

・麻痺手の運動機能は大きく改善し健常者レベルに近くなった。

・病側脳の運動前野腹側部は麻痺手を能動的に動かす課題でのみ活動が増加した。

・このような変化は受動運動や非麻痺手の能動運動では見られなかった。

・さらに 麻痺手を能動的に動かした時のみ両側の運動前野腹側部に健常者よりも高い活動が見られた。

訓練によって手の運動機能が大きく改善した結果、脳の活動域が健常者と同じになるかと考えていたら追加の活動域が現れた。運動前野腹側部が重要な役割を担っているのではなかろうか、


というおはなし。

図:運動前野腹側部

感想:

能動的に動かさないと意味がないってことでもあるのかな。他人が指や手首を曲げ伸ばししてくれても 気持ちがいいだけで脳の肝心な場所はピクリとも反応しない。

2016年3月22日

磁気刺激が脳卒中の神経ネットワークに与えるえいきょう


Shaping Early Reorganization of Neural Networks Promotes Motor Function after Stroke.
2016  3月  ドイツ

脳卒中患者への磁気刺激治療が脳活動にどう影響するのか調べてみたそうな。


発症から16日以内、手に麻痺のある脳卒中患者26人について1回45分の理学療法訓練を5日間行った。

各訓練の直前に5分間のシータバースト磁気刺激を 損傷脳側の運動野に与えた。
比較グループではつむじのあたりを刺激した。

直前、直後、3ヶ月後までの各段階での手の機能、安静時の脳機能MRIを測定したところ、


次のことがわかった。

・運動野へ刺激を受けたグループで握力が明らかに強くなった。

・運動ネットワーク結合度と手の機能回復には関連があり、

・特に比較グループで両半球間および半球内の結合性が低下した。これは運動野刺激グループには見られなかった。

脳卒中患者への理学療法訓練の直前にシータバースト磁気刺激を追加することで運動ネットワークの質の低下を食い止めたのかもしれない、


というおはなし。

図:結合度変化iTBSによる


感想:

最近ネットワーク評価おおい。たぶんデータ取得が異常に簡単で あとはソフトウェアの力だけで表現の自由度の高いグラフィカルな結果が得られるとこがウケてるんだと思う。
ディフュージョンテンソル描画も同じで、、、

2016年2月4日

脳ネットワークの可塑的変化をグラフ解析したところ、、


Functional reorganization and prediction of motor recovery after a stroke: A graph theoretical analysis of functional networks.
2015  10月  韓国

回復途上にある脳卒中患者の 脳機能ネットワークの可塑的変化をグラフ理論にもとづき解析してみたそうな。


12人の脳卒中患者について、発症後2週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の各時点で
安静時の脳機能MRI測定および上下肢の運動機能を評価した。

脳機能ネットワークの位相幾何学的な再編状況をグラフ理論で解析したところ、


次のことがわかった。

・損傷脳半球でネットワークの再編活動が起きていた。

・ネットワークのランダムネスは最初の3ヶ月間は非常に活発だったが、

・3ヶ月以降は止んでしまった。

・発症直後の損傷脳半球グラフの平均最短距離が小さいほど3ヶ月以降の回復度が良かった。

グラフ理論的アプローチは脳卒中患者の脳機能ネットワークの動的変化を理解するのに役立つだろう、


というおはなし。


図:脳機能MRI


感想:

3ヶ月で止まっちゃうのね、、、
2度めの脳卒中で可塑性が再び高まる可能性について

2016年1月14日

回復の良い脳卒中患者は脳のここが違う


Enhanced Effective Connectivity Between Primary Motor Cortex and Intraparietal Sulcus in Well-Recovered Stroke Patients.
2016  1月  ドイツ

脳梗塞での運動障害は脳の広範に影響を及ぼす。運動機能の回復過程での前頭葉と頭頂葉との関連の変化を調べてみたそうな。


発症3ヶ月時点で回復良好な脳卒中患者15人について、
麻痺手の握り動作時の脳活動をMRIで測定し、
損傷側の頭頂葉の頭頂間溝と 前頭葉の運動野の結合性を評価して
健常者のデータと比較したところ、


次のことがわかった。

・健常者に比べ 損傷側の一次運動野と頭頂間溝前部との結合性が明らかに強化されていた。

・さらに頭頂-前頭ネットワークの結合パターンが健常者のそれとほぼ同じだった。

損傷脳半球の頭頂-前頭ネットワークが脳卒中後の可塑的変化に大きく関わっていることが示された、


というおはなし。

図:頭頂間溝
頭頂間溝

2016年1月4日

2度めの脳卒中で可塑性が再び高まる可能性について


Paradoxical Motor Recovery From a First Stroke After Induction of a Second Stroke: Reopening a Postischemic Sensitive Period.
2015  12月  アメリカ

脳卒中のあとには 訓練に応じて回復がとてもはかどる期間がある。このときの脳の可塑性の高さは虚血によってもたらされたと考えられる。

そこで、脳卒中の慢性期にもう一度脳卒中になったら再び可塑性が高まるのではないか、、という仮説を動物で検証してみたそうな。


えさを掴む訓練を充分に施したネズミの運動野に脳卒中を起こして、
7日後から前肢のリハビリを19日間施した。

途中、別のグループには2度めの脳卒中を起こし その翌日から前肢リハビリを継続した。


次のようになった。

・2度めの脳卒中がないグループでは前肢の機能回復が不十分だった。

・2度めの脳卒中を起こしたグループは元のレベルにまで劇的に回復した。

あらたな虚血状態が脳の可塑性を再度促し、続くリハビリにより元の運動機能を取り戻すことができた、


というおはなし。
図:2度めの脳卒中


感想:

すごいはなしだ。となると脳卒中の再発はさらなる回復へのチャンスなのか!?

2015年6月5日

健側ばかり使っていると脳に異常なシナプスが形成され麻痺手の回復が遅れる可能性について


Experience with the “Good” Limb Induces Aberrant Synaptic Plasticity in the Perilesion Cortex after Stroke
2015  6月  アメリカ

脳卒中のあと 麻痺していない側の手を使う「代償運動」が脳に与える影響を調べてみたそうな。


一方の脳半球を人為的に梗塞にしたネズミを使って 非麻痺手に頼る訓練をしたグループとそうでないグループを設け、その後のリハビリ効果および脳皮質活動、シナプス密度を比較した。


次のようになった。

・非麻痺手に頼る訓練をしたグループでは病巣近傍の運動野の活動が低下した。

・また、病巣周辺のシナプス密度が高くなったが その後の麻痺手のリハビリ成果は低くなった。


麻痺していない手に頼る訓練の結果、脳梁を介して病巣周辺に異常なシナプス形成がもたらされ、結果として麻痺手の回復が妨げられたのではないか、、


というおはなし。


感想:

入院して間もないころ、左手は感覚ゼロ、グニャグニャでまったく使い物にならなかったけど 「右手があるからなんとかなるな、、」 と 妙に心強かった思い出。
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