~ 5000超の記事をシンプルな単語で検索するよ!

2016年2月7日

エルニーニョは脳梗塞で ラニーニャは脳出血の理由


Impact of seasons, years El Nino/La Nina and rainfalls on stroke-related morbidity and mortality in Kinshasa.
2016  1月  コンゴ

季節や気象条件と脳卒中が関連することはよく知られている。

そこで エルニーニョ現象と脳卒中について調べてみたそうな。


コンゴ民主共和国キンシャサの大学病院で1998-2004の脳卒中患者について、
太平洋赤道域東部の海水温が上昇する「エルニーニョ現象」 および
逆に海水温が低下する「ラニーニャ現象」が発生した年との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・470人の脳卒中患者のうち34.5%が亡くなった。

・気候が平年通りの場合 脳卒中の発生率に変化はなかった。

・エルニーニョの年には降雨が減少し脳梗塞が増えた。

・ラニーニャの年には降雨が増加して脳出血が増えた。

・特にエルニーニョの年の脳卒中は死亡率が高かった。

気象状況をみて脳卒中への注意を促すシステムが必要かもしれない、


というおはなし。

図:エルニーニョ


感想:

「ラニーニャ」 を初めて耳にしたので関心をもった。

2016年2月6日

脳内出血を起こす虫歯菌の種類が判明


Intracerebral hemorrhage and deep microbleeds associated with cnm-positive Streptococcus mutans; a hospital cohort study
2016  1月  日本

虫歯の原因菌のひとつであるミュータンス菌の中には血液中で積極的にコラーゲンに結合して血小板凝集を阻害するタンパク質を作り出すcnm遺伝子を持つ種類がある。

そこで 実際の脳卒中患者にこの種類のミュータンス菌を持つ患者がどれくらいいるのか調べてみたそうな。


脳卒中患者100人について唾液中のミュータンス菌のDNAを調べ、脳卒中の種類との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・患者内訳は 脳梗塞67人、TIA5人、脳内出血27人、協力拒否1人だった。

・このうち11人のミュータンス菌にcnm遺伝子がみつかった。

・cnm種は脳梗塞にくらべ脳内出血患者で4.5倍の頻度で存在し、

・特に深部微小脳出血の数と関連が強かった。

cnmタンパク質を生成するミュータンス菌を持つ人は、脳内出血や深部微小脳出血を起こしやすいのかも知れない、


というおはなし。

虫歯菌で脳出血
cnmミュータンス菌を持つ57歳女性が脳内出血を再発した例


感想:

歯医者さん大喜びだろうな、、、

2016年2月5日

抗血栓薬をやめなければならない理由と頻度


Withdrawal of Antithrombotic Agents and the Risk of Stroke.
2016  1月  アメリカ

抗血栓薬は脳梗塞の予防に有効である。抗血栓薬を中止しなければならない状況がどの程度あるものか 調べてみたそうな。


脳卒中経験者2036人に電話をして、医師からの抗血栓薬の使用や中止指示の有無を確認したところ、


次のことがわかった。

・回答者の62%に抗血栓薬使用の経験があった。

・そのうち10%は、最近60日以内に1度 医師から薬を止められていた。

・止められる薬の種類は抗血小板薬よりも抗凝固薬の方が多かった。

・抗血小板薬を止める理由の主なものは大腸内視鏡検査や整形外科手術であり、

・抗凝固薬を止める理由では 整形や血管の手術が多かった。

脳卒中経験者に対して手術や検査目的で抗血栓薬を中止することは珍しくなかった。中止による血栓塞栓症リスクの評価が必要だろう、


というおはなし。

図:抗血小板薬


感想:

自分は脳内出血だったからこの種の薬は飲んでないけど、血が止まりにくくなる薬っていうのは降圧薬よりも桁違いに恐いイメージがある。

2016年2月4日

脳ネットワークの可塑的変化をグラフ解析したところ、、


Functional reorganization and prediction of motor recovery after a stroke: A graph theoretical analysis of functional networks.
2015  10月  韓国

回復途上にある脳卒中患者の 脳機能ネットワークの可塑的変化をグラフ理論にもとづき解析してみたそうな。


12人の脳卒中患者について、発症後2週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の各時点で
安静時の脳機能MRI測定および上下肢の運動機能を評価した。

脳機能ネットワークの位相幾何学的な再編状況をグラフ理論で解析したところ、


次のことがわかった。

・損傷脳半球でネットワークの再編活動が起きていた。

・ネットワークのランダムネスは最初の3ヶ月間は非常に活発だったが、

・3ヶ月以降は止んでしまった。

・発症直後の損傷脳半球グラフの平均最短距離が小さいほど3ヶ月以降の回復度が良かった。

グラフ理論的アプローチは脳卒中患者の脳機能ネットワークの動的変化を理解するのに役立つだろう、


というおはなし。


図:脳機能MRI


感想:

3ヶ月で止まっちゃうのね、、、
2度めの脳卒中で可塑性が再び高まる可能性について

2016年2月3日

ビタミンBの脳卒中予防効果 抗血小板薬なしのばあい


Effect of B-vitamins on stroke risk among individuals with vascular disease who are not on antiplatelets: A meta-analysis.
2016  2月  アメリカ

心血管疾患リスクでもある血中ホモシステインはビタミンBを摂ることで低下させることができるが、抗血小板薬はこの効果に影響すると考えられる。

そこで心血管疾患リスクがあり抗血小板薬を使っていない患者に限定して ビタミンBサプリメントの効果を過去の研究から調べてみたそうな。


1966-2015の関連する研究を厳選しデータを統合 再解析した結果、


次のことがわかった。

・心血管疾患リスクが高くかつ 抗血小板薬を使っていない患者4643人ぶんのデータが3つの研究から集まった。

・ビタミンBサプリメントを摂らないグループに比べ 摂るグループでは脳卒中リスクが0.71倍になった。


心血管疾患リスクの高い患者へのビタミンBサプリメントを使ったホモシステイン対策は脳卒中リスクを29%下げる効果があった、


というおはなし。

図:ビタミンBの脳卒中予防効果

感想:

ビタミンとかmg単位の微量栄養素にはやたら気を遣ってきたのに、糖質摂取量には100g単位でまったく無頓着だった自分に衝撃を受けている今日このごろ、、、

2016年2月2日

片麻痺に気づかない病態失認 その客観視能力は、、


Mentalizing the body: spatial and social cognition in anosognosia for hemiplegia.
2016  1月  イギリス

脳卒中で右脳を損傷したにもかかわらず 自らの片麻痺に気づいていない患者がいる。これを病態失認と呼ぶ。

これまで病態失認の研究は患者の一人称視点に基づいたものが多かったが、自分を客観視する三人称視点を持つ能力に問題はないのか、調べてみたそうな。


右脳損傷で病態失認の15人と病態失認の無い15人および健常者15人について、
視覚的または心理的に一人称視点、三人称視点をとったときの認知能力テストを行い比較した。

また病態失認に固有な病巣位置を解析したところ、


次のことがわかった。

・病態失認患者では三人称視点を持つ能力のスコアが明らかに悪かった。

・特に心理的に自らを客観視する能力が劣っていた。

・下、中前頭回、上側頭回がこの能力に関連すると考えられた。

心的に視点を切り替える能力の神経認知上の障害が病態失認に関係していると考えられた。この結果は自己意識と客観認識について新たな見方を与えてくれるだろう、


というおはなし。

図:病態失認の三人称テスト

感想:

以前は自動車運転中に半径10m以内の他車の動きは見なくてもはっきりと心にイメージできていた。けどいまは 見える範囲に少ない注意リソースを配ることで精一杯なんだ。
たぶんそんなようなことだと思う。

2016年2月1日

血栓溶解治療を受ければ復職できるという根拠


Return to Paid Work after Ischemic Stroke in Patients Treated with Intravenous Thrombolysis.
2016  1月  セルビア

脳梗塞の血栓溶解治療では大きな機能回復が期待できる。

そこで、復職までこぎつけたかどうかを調べてみたそうな。


もともと職に就いていて脳梗塞で入院した279人の患者のうち、
血栓溶解治療を受けた146人と受けなかった133人を約3年間フォローして復職の可否を調べたところ、


次のようになった。

・血栓溶解治療を受けた患者の復職率は42.1%で

・受けなかった患者では33.3%だった。

・関連要因を考慮にいれてなお、血栓溶解治療はフルタイム勤務復帰と関連があった。

血栓溶解治療を受けた脳卒中患者は復職できる可能性が高い、


というおはなし。

写真:復職

感想:

治療リスクに比べ回復メリットの大きそうな患者を厳選しているわけだから こういう結果になるのは当然だと思うんだけどなぁ、、、

ご意見 ご感想はこちら

名前

メール *

メッセージ *