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2016年7月7日

脳梗塞をやった子供の3,4年後


Neurological outcome after arterial ischemic stroke in children.
2016  6月  イラン

子供の脳梗塞の予後を調べてみたそうな。


テヘランのこども病院の脳梗塞患者(生後10ヶ月-12歳)53人について4年ほどフォローしたところ、


次のことがわかった。

・29%がフルに回復した。

・71%にはなんらかの神経症状が残った。

・症状の重かった8人のうち5人と 他7人が再発した。

・入院時けいれん発作の起きた11人中10人で2度めのけいれん発作が起きた。

脳梗塞を経験した子供のおよそ70%で長期的になにかの障害が残った。再発がもっともおおきな問題だった、


というおはなし。

図:子供の脳梗塞の回復


感想:

なぜか子供の脳卒中って悲惨なイメージがない。

2016年7月6日

脳内出血の入院時心拍数と予後


Admission Heart Rate Predicts Poor Outcomes in Acute Intracerebral Hemorrhage
2016  5月  オーストリア

急性脳梗塞や冠動脈疾患では 心拍数の高い患者の予後は良くない。

脳内出血ではどうか、調べてみたそうな。


脳内出血で入院した患者3185人の心拍数および 24時間後の血腫の増大、死亡率、90日後の生活自立度を調べたところ、


次のことがわかった。

・入院時心拍数が高い患者ほど死亡率は高く 機能的回復が良くなかった。

・心拍数と血腫の増大とは関連がなかった。

脳内出血で入院時の心拍数が高いと死亡率は高く のちの回復が良くなかった、


というおはなし。

図:入院時心拍数と脂肪率

感想:

なぜ血腫が大きくならないのか?

2016年7月5日

怒るから脳卒中なのか それとも脳卒中だから怒るのか


Anger and stroke: a potential association that deserves serious consideration.
2016  6月  ブラジル

怒りと脳卒中の発症、脳の損傷部位と怒り感情との関連について調べてみたそうな。


関連する689の研究論文から21件を厳選し、データを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・慢性的な怒りと脳卒中 および特定の脳部位の損傷と怒りには関連がありそうだった。

・しかし怒りの定義自体が研究者により異なっていて、評価がバラバラだった。

・脳の損傷部位と怒りとの関連について共通した結論はなかった。

・いくつかの研究では右脳損傷が怒り行動の原因で、別の研究では左脳が怒りに関連すると結論していた。

・脳卒中の前と後の怒り感情についても共通の見解はなく、この2つに関連がないと考える研究者もいた。

ほとんどの研究者が怒りと脳卒中との関連を認めてはいるものの、研究手法がまちまちのため理解が深まっているとは言えない状況だった、


というおはなし。

写真:怒り

感想:

運転再開して間もないころ危なかった。
ちょっと判断がトロくて 軽トラの爺さんにビービービーと激しくクラクション鳴らされた。
その瞬間にいろんな種類の感情や怒り、憤りが押し寄せてきて圧倒され意識が飛びそうになった。

あとになって あのときよく切り抜けられたと不思議に思うほど激しい感情だった。いまでもフラッシュバックする。
この体験があってから「犯罪者」という肩書は常に紙一重のところにあることを理解するようになった。

2016年7月4日

クモ膜下出血で脳が死ぬ理由を解剖で確かめた


Histopathological Findings in Brains of Patients Who Died in the Acute Stage of Poor-grade Subarachnoid Hemorrhage.
2016  6月  日本

脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血では急性期に 脳が不可逆的ダメージを負いそのまま死に至ることが少なくない。

このメカニズムを調べるべく 亡くなった患者の脳を解剖観察してみたそうな。


グレード5 発症後3日以内に亡くなったクモ膜下出血患者11人を解剖して脳組織を調べたところ、


次のことがわかった。

・全例で、皮質、皮質下白質を含む脳全体に多数の梗塞とその周囲の浮腫が確認できた。

・梗塞はくさび型のはっきりしたものよりも不定形の寄せ集め状が多かった。

・顕微鏡レベルでは細胞内に水が溜まる浮腫と神経細胞死が特徴的だった。

・クモ膜下の血腫が軟膜に圧接する位置で浮腫とうっ血が明らかだった。

・クモ膜下出血で亡くなった患者の脳は病理的には 多数の浮腫と梗塞が脳全体に拡がった状態で それらは静脈性の梗塞と考えられた。

クモ膜下血腫が軟膜を圧迫して急な頭蓋内圧の上昇が起き 続いて静脈路の閉塞が脳全体に拡がって重大なダメージにつながると考えられた、


というおはなし。

写真:くも膜下出血の脳

感想:

出血からずいぶんと離れたとこが梗塞してるんだな、、

2016年7月3日

5日経つけど症状が悪化しない、、良いことなのか?


Early neurological stability predicts adverse outcome after acute ischemic stroke.
2016  6月  アメリカ

脳卒中の重症度評価スケールであるNIHSSスコアの急な増加は梗塞の拡大や浮腫、出血など予後の悪化に関連する。

そこでNIHSSスコアが安定している場合は 良いことなのかマズイことなのか調べてみたそうな。


脳梗塞患者の急性期および3-5日後のNIHSSスコアを調べ次の3グループに分けた。

*NIHSSスコアが4以上増加の悪化グループ
*NIHSSスコアの増減が3以内の安定グループ
*NIHSSスコアが4以上減少の回復グループ

各グループとMRI画像上の特徴および3ヶ月後の生活自立度との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・悪化グループ8人、安定グループ36人、回復グループ31人を対象とした。

・悪化または安定グループの3ヶ月後の生活自立度は回復グループに比べ低く、

・梗塞や浮腫の拡大が明らかだった。

脳梗塞のあとNIHSSスコアが大きく増減しない状態は良い兆しではなく、梗塞や浮腫の拡大に関連していた、


というおはなし。

図:NIHSSの早期安定とmRS

感想:

ようするに 良くなる患者は早くに ドンッ!と良くなるんだな。

2016年7月2日

やがて認知症になる脳卒中患者の特徴


Delayed-onset dementia after stroke or transient ischemic attack.
2016  6月  中国

脳卒中のあとすぐに認知症にならなかった患者でも やがて認知症を発症することがある。そのメカニズムを調べてみたそうな。


脳卒中やTIAの患者のうち 半年以内に認知症になった者を除く919人を3年間フォローした結果、


次のことがわかった。

・この間に40人4.4%が認知症になった。

・断層画像上では重度の微小血管障害がみられ、白質変性を伴うラクナ(ちいさな空洞)が3ヶ所以上存在していた。

・年齢、性別、教育歴を考慮すると高血圧と糖尿病との関連が強かった。

・遅れて認知症になった患者の19.4%にはアルツハイマー病に似たβアミロイドの集積が見られ、

・彼らの半数以上に重度の微小血管障害が確認できた。

脳卒中やTIAのあと遅れて認知症になる患者には重度の微小血管障害が共通していた、


というおはなし。

図:アルツハイマーPiB

感想:

うれしいニュースではないな。
人の名前が出てこない 一瞬でできたはずの暗算ができない、、なんてことがよくあるから。

これ↓思い出した。
脳内出血で早くに認知症になる人の特徴

2016年7月1日

短下肢装具はオーダーメイドがいいの?


The influence of an ankle-foot orthosis on the spatiotemporal gait parameters and functional balance in chronic stroke patients.
2016  5月  ベルギー

脳卒中片麻痺患者への短下肢装具の種類と効果の差を調べてみたそうな。


慢性期の脳卒中片麻痺患者15人についてタイムアップアンドゴーテストを行い20秒を境に軽症グループ(9人)と要支援グループ(6人)に分け、

*短下肢装具なし、
*既製の短下肢装具(Maramed社)、
*オーダーメイド短下肢装具(Y-tech社)、

のそれぞれの状態での歩行の時間空間的パラメータの測定を各1週間空けて行い 解析したところ、


次のことがわかった。

・いずれの短下肢装具も通常歩行スピード時の単脚時間が増え、両脚時間が減少、歩幅が明らかに改善した。

・さらに最大スピード時に オーダーメイド装具では歩速 歩調が改善していた。

・グループ間での装具の種類による明らかな差は見られなかった。

・バランステストではタイムアップアンドゴーテストで短下肢装具の改善効果が確認できた。

短下肢装具は既製かオーダーメイドかによらず脳卒中患者は歩行パラメータ上の改善があった。特に重症の片麻痺患者でその効果が顕著だった、


というおはなし。

写真:既製の短下肢装具


感想:

発症して間もない もっとも脚に力の入らない頃に装具を着けられていたことがある。装着のあまりの面倒臭さに暗澹たる気持ちになった思い出。

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