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2017年4月7日

早産の女児は脳梗塞、遅れた男児は脳出血の素質あり


Early life characteristics, social mobility during childhood and risk of stroke in later life: findings from a Swedish cohort.
2017  3月  スウェーデン

低体重で生まれた子供は 成人したのちに脳卒中になりやすいとするいくつかの報告がある。
早産や遅れて生まれた場合はどうなのか また 幼小児期の逆境は影響するのか、しらべてみたそうな。


ウプサラ大学病院の1915-1929の出産記録から男女14192人を抽出し、1964以降の脳卒中(脳梗塞、脳出血、その他)の発生を2008までフォローしたところ、


次のことがわかった。

・胎内にいた期間が短い女性は脳梗塞リスクが高かった。

・35週未満の早産児だった女性の脳梗塞リスクは妊娠満期に生まれた女性の1.54倍で、その他の脳卒中リスクも非常に高かった。

・42週以降の過期産児だった男性の脳出血リスクは妊娠満期児の1.45倍だった。

・幼小児期に社会階層に大きな変動(貧乏から金持ち or その逆)のあった女性の脳梗塞リスクは 常に恵まれた環境にあった女性よりも高かった。

胎内にいた期間と幼小児期の社会階層の変動は成人してからの脳卒中リスクに影響した。特に女性で顕著で 脳卒中の種類でまったく異なった、


というおはなし。
図:


感想:

37週から41週が満期なんだね。

2017年4月6日

Stroke誌:下肢運動機能の比例回復則からわかること


Proportional Recovery From Lower Limb Motor Impairment After Stroke
2017  3月  ニュージーランド

脳卒中のあと皮質脊髄路にダメージが無い場合、その後のリハビリ訓練量にかかわらず 低下した運動機能の一定の割合≒70%が3ヶ月後には自発的に回復するという経験則があり "Proportional Recovery Rule"(比例回復則)ともいわれている。

比例回復則は上肢機能についてはよく調べられているが下肢の報告は無いのでしらべてみたそうな。


脳卒中患者32人の下肢運動機能を3日後と3ヶ月後に評価した。

皮質脊髄路の健全性はTMSとMRIで評価した。
これらと運動機能の回復度、リハビリ訓練時間との関連を解析したところ、


次のようになった。

・3ヶ月後、低下した下肢運動機能の74%が回復した。

・皮質脊髄路の健全性は下肢回復度の予測の役に立たず、

・しかも回復度はリハビリ訓練時間にもよらず、初期の運動機能低下度のみで決まった。

・上肢の研究では患者の30%は比例回復則にフィットしないはずなのに、今回そういった患者群はなかった。

脳卒中での下肢運動機能の低下は 3ヶ月後にその70%まで回復した。上肢研究でみられた比例回復則に沿わない患者群がいなかったことは 微力ながら別の神経経路(網様体脊髄路)の寄与があったことをうかがわせる。訓練量にもよらなかったことから、比例回復則はもともと備わっている生体プロセスなのであろう、


というおはなし。
図:下肢の比例回復ルール
回復度ΔFMは訓練時間と相関しない。


感想:

比例回復則は2006年ごろから話題になりはじめて、すでに失語や半側空間無視でも同様の効果が確認されている。

ようするに神経インフラさえ残っていれば、リハビリしようがしまいが 落ち込んだ機能スコアぶんの70%は勝手に回復する ってこと。

リハビリ訓練と回復はまったく関係ないというこれ↓に通じるものがある。
題指向型訓練 いくらやっても役には立たない

[比例回復則 "proportional recovery rule"]の関連記事

2017年4月5日

運動は脳卒中とがんの予防になるのか


Physical Activity and Lifetime Risk of Cardiovascular Disease and Cancer.
2017  3月  アメリカ

WHO(世界保健機関)のガイドラインでは心血管疾患とがんの予防に中強度以上の運動を勧めている。
身体活動レベルとこれら疾患の生涯リスクとの関連をじっさいにしらべてみたそうな。


45-64歳の男性5807人と女性7252人について、1987-2012にかけてその身体活動レベルと脳卒中など心血管疾患およびがんの発生をフォローした。

身体活動レベルをつぎのように場合分けした。
*運動なし:安静時代謝の3倍強度以上の運動が週に0分、
*推奨運動レベル:安静時代謝の3-6倍強度の運動を週に150分以上または6倍強度より強い運動を75分以上、
とした。


次のようになった。

・この間に4065件の心血管疾患と3509件のがんがみつかった。

・男性の45-85歳までの心血管疾患リスクは、運動なしが52.7%、推奨運動レベルでは45.7%、

・女性の心血管疾患リスクは順に、42.4%、30.5%だった。

・がん全体については男性で 運動なし40.1%、推奨運動レベル42.6%、

・女性では順に31.4%、30.4%だった。
WHOが推奨する運動レベルを守ると 脳卒中など心血管疾患の生涯リスクは男女ともに低かった、しかしがんはそうではなかった、


というおはなし。
図:運動レベルと脳卒中の生涯リスク

感想:

それだからなのか 脳卒中は意志のよわい怠け者がなる病気 のイメージがある。

2017年4月4日

クモ膜下出血に女性のほうが多くなる年齢層


Demographics and Short-Term Outcomes of Spontaneous Subarachnoid Hemorrhage in Young Adults.
2017  3月  台湾

クモ膜下出血は高齢者におおく 早期死亡率は20-40%になる。社会経済的損失がより大きいと考えられる50歳未満の若年患者の割合と特徴についてしらべてみたそうな。


クモ膜下出血患者1689人の医療記録について、
18-49歳(531人)、50歳以上(1158人)にわけて解析したところ、


次のことがわかった。

・患者の性別は、男性:女性=1:1.45 で女性がおおかった。

・若年患者では男性のほうが53.5%でおおかった。

・片麻痺の後遺症は若年患者に多かったが、

・院内死亡率は25.4% vs. 32.4% で若年患者が低かった。

若年のクモ膜下出血患者には男性がおおかった。若年患者に後遺症がおおいのは死亡率が低いからだろう、


というおはなし。
図:クモ膜下出血の年齢別男女比

感想:

うえのグラフみると、男女比が逆転するのは60歳代以降なんだな。
いつからクモ膜下出血に女性が多くなったのか?

2017年4月3日

脳卒中のセックスリハビリに適した教育方法は


Effectiveness of a structured sexual rehabilitation programme following stroke: A randomized controlled trial.
2017  3月  オーストラリア

脳卒中のあとは性欲の減少、女性の膣潤滑 男性の射精能力の低下などが問題になる。しかしこのようなテーマへの医療機関の対応はまれで オーストラリアではその種の情報を受け取った患者は17%にすぎないという報告がある。

そこで脳卒中患者を対象としたセックスリハビリプログラムの効果、伝達手段について実験してみたそうな。


平均年齢63の脳卒中患者68人を、30分間の個別セックスカウンセリングと 文書情報を渡すだけのグループに分けた。

セックスカウンセリングは、経験豊かな医師、療法士らによる たとえば「体位」についてのアドバイスからなる内容とした。

6週間後、6ヶ月後の性機能スコア、うつ不安スコア、機能的自立度 等を評価し比べたところ、


次のことがわかった。

・両グループで結果に差はなかった。

・51%の患者がこの種の情報を欲していた。

・カウンセリングもしくは文書情報のみを好む患者は半々で、

・54%は退院後の情報提供を望んでいた。

脳卒中患者のセックスリハビリについては、文書情報のみでも専門家による30分間のカウンセリングに匹敵する効果が得られる とわかった、


というおはなし。
図:セクシャルリハビリ 患者の好み


感想:

このカウンセリング設定で医師監修のアダルトビデオを作るといい。
AV制作会社に依頼して、イケメン医師版と美人女医版の各1本ずつ。
患者の退院時に「これで勉強してください」とDVDを渡すだけでOK。
LGBTへの対応も必要かもしれんね。

[セックス] 関連の記事。

2017年4月2日

脳卒中経験者の社会ネットワークの変化


A Typology to Explain Changing Social Networks Post Stroke.
2017  3月  イギリス

脳卒中のあと人々は社会との接点をうしないがちになるという。

脳卒中経験者の社会的ネットワークがどのように変化するのかしらべてみたそうな。


シティ・オブ・ロンドンの脳卒中センター2箇所の患者87人について6-15ヶ月ほどフォローしたところ、


次のことがわかった。

・彼らの社会的ネットワークは、多様なつながり、友人ベース、家族ベース、親しい家族のみ、家族なし、のいずれかに分類できた。

・ぜんたいのおよそ3分の1が 多様なネットワークから家族中心のネットワークに移っていた。

・もともと友人関係の強い人や家族のいない人の友人ネットワークは安定していた。

・家族がいない人でさらに社会的に孤立するケースが、脳卒中前の3%から脳卒中後17%に増加していた。

・引きこもりになりがちな要因として 身体障害のみならず地域に根ざしたサポートの不足や精神的なダメージが考えられた。

脳卒中を経験すると社会的ネットワークが変化しがちである。身体的、精神的ダメージにより 家族よりも友人たちとの接点が失われてゆく傾向がある、



というおはなし。
図:

感想:

みな死ぬときはひとりなんだから、その前段階として孤独が深まるのは自然なこと。無理して社会とつながることはないかな。

2017年4月1日

自殺願望をいだく脳卒中経験者の割合と特徴


Rates and correlates of suicidal ideation among stroke survivors: a meta-analysis.
2017  3月  イタリア

自殺者全体に占める脳卒中経験者の割合は3-4% という報告がある。

自殺願望をいだく脳卒中経験者の割合と特徴についてこれまでの研究をまとめてみたそうな。


関係する研究を厳選し データを統合 再解析したところ、

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