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2017年5月21日

出産可能年数と脳卒中


Duration of Reproductive Years and the Risk of Cardiovascular and Cerebrovascular Events in Older Women: Insights from the National Health and Nutrition Examination Survey.
2017  5月  アメリカ

女性ホルモンのエストロゲンが心臓保護作用をしめすことから、初経や閉経年齢と心血管疾患との関連をしらべた研究がいくつかある。しかし一致した結論はえられていない。

こんかい、出産可能年数がながいほど心血管疾患になりにくいと仮説をたて、検証してみたそうな。


60歳以上の女性3081人について、初経と閉経年齢を確認し 出産可能年数と脳卒中など心血管疾患との関連を解析したところ、


次のようになった。

・出産可能年数が長いと脳卒中など心血管疾患リスクが低かった。

・この関連はおもに脳卒中と狭心症で顕著で、それらのリスクは半分ほどになった。

・出産可能年齢が1年長くなると心血管疾患リスクは3%低下した。

60歳以上の高齢女性について、出産可能年数が長かった者ほど脳卒中など心血管疾患リスクは低かった、


というおはなし。
図:

感想:

これ↓おもいだした。
初経 閉経の年齢と脳卒中との関連 日本人について

2017年5月20日

23年後、突然手がうごくようになった脳梗塞患者の例


Motor Recovery Beginning 23 Years After Ischemic Stroke.
2017  5月  カナダ

脳卒中からの回復はおもに最初の6ヶ月間におき、1年2年と経つとさらなる回復の見込みはほとんどなくなると考えられている。

脳卒中で手がまったく動かなくなってから23年後に突然動くようになった患者がみつかったそうな。

・1979年 15歳だったその男性は父親の車に重いスーツケースを運び込んだあとしばらくして意識をうしなった。胸部動脈の圧迫が原因の脳塞栓症だった。

・右脳の前頭頭頂部に広い梗塞が生じ左半身に重い麻痺が残った。

・4ヶ月後になんとか支えなしに歩けるようにはなったが、肩と肘がすこし動く程度で左手指はまったく使えなくなった。

・その後 2001年 ダイエットのために水泳を始めたところ、翌年に手の指がわずかながら動きはじめた。

・2009年 本格的にリハビリを始め その2年後にはコインやクリップをつまみ上げられるまでになった。

・このときの脳機能MRIを撮ったところ、両脳半球におよぶ広い活動域を確認できた。

何年経っていても回復をあきらめる必要がないことを教えてくれた今回の事例は、脳卒中患者とリハビリ業界におおきな希望をもたらすだろう、


というおはなし。
図:重症脳卒中のあと23年後に左手が動くようになった患者のfMRI

感想:

リハビリしていなくても水面下で回復が進むんだな、、
BDNFが7年かけて脳を修復してくれるという根拠について

2017年5月19日

TIAで入院するメリット


Impact of Hospital Admission for Patients with Transient Ischemic Attack.
2017  5月  アメリカ

一過性脳虚血発作(TIA)は梗塞をともなわない脳卒中症状が早くに消えてしまう状況をさす。TIA後90日間の脳梗塞リスクは15%といわれている。

TIAの疑いで病院にかかった患者で入院した者とすぐに帰らされた者の診断の確からさと 1年後の状態をくらべてみたそうな。


退役軍人保健局のデータベースから100施設以上の救急外来でTIAと診断された3623人の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・58%が入院し、のこりの42%は家に帰った。

・入院した者のうち43%はTIAとして退院し、26%は脳卒中として退院した。

・入院した者は入院しなかった者よりも脳や頸動脈、心臓の画像検査を受けることがおおかった。

・1年後に脳卒中や心筋梗塞を起こしている者の割合は、入院した者の15.3%、入院しなかった者の13.3%で ほぼおなじだった。

TIAで入院した患者がTIAとして退院する割合は半分以下だった。入院した者は多くの検査を受けたが、入院しなかった者にくらべ1年後の状態が良いわけではなかった、


というおはなし。
図:病院ごとのTIAを入院させる割合

感想:

TIAで入院するとちっちゃな梗塞をみつけてもらえて脳卒中に昇格できるチャンスがうまれる。だからといって入院しなかった場合よりも結果が良くなるわけでもない、ってことか。

2017年5月18日

脳梗塞でけいれん発作


Incidence of seizures following initial ischemic stroke in a community-based cohort: The Framingham Heart Study.
2017  4月  アメリカ

脳卒中後のけいれん発作の研究は 脳内出血での高発生率に触れたものがおおい。

しかし脳卒中には脳梗塞がほとんどなので、脳梗塞のあとのけいれん発作の特徴についてしらべてみたそうな。


脳梗塞患者469人について最大20年間フォローした記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・5.3%がけいれん発作をおこした。

・発生率は アテローム血栓性脳梗塞6.8%、心原性脳梗塞6.2%でほぼおなじだった。

・ラクナ梗塞ではけいれん発作はおきなかった。

・もっとも多いタイプは部分発作で けいれんを伴わないものもあった。

・3分の1は脳卒中から24時間に起き、

・半数は30日以内におきた。

・障害が重いほどけいれん発作はおきやすかった。
脳梗塞後のけいれん発作は患者のおよそ5%におきた。3分の1は脳卒中後24時間以内におき、ラクナ梗塞ではおきなかった。部分発作がもっともおおく、障害が重いほどおきやすかった、


というおはなし。
図:脳梗塞の障害とけいれん発作

感想:

これ↓おもいだした。
脳内出血のあとてんかんにならない方法

2017年5月17日

超高齢者に抗凝固薬を与えるべきか


To Treat or Not to Treat
Anticoagulants as Secondary Preventives to the Oldest Old With Atrial Fibrillation
2017  5月  スウェーデン

心房細動のある脳梗塞患者の再発予防には抗凝固薬が有効である。

抗凝固薬の副作用は出血であり、いっぱんに歳をとるほど出血しやすくなることから高齢者への抗凝固薬を控える医師もすくなくない。

90歳をこえる高齢者への抗凝固薬療法は 効果的なのか、しらべてみたそうな。


スウェーデンの脳卒中患者データベースから、80-100歳で心房細動のある脳梗塞経験者23356人を抽出して、抗凝固薬の使用、再発、出血の有無との関連を年齢層別に解析したところ、


次のことがわかった。

・27%が抗凝固薬を使用していた。

・抗凝固薬グループは80-100歳のすべての年齢層で再発がすくなかった。

・90歳以上では出血がおおかったが、再発予防効果を相殺してしまうほどではなかった。

・抗凝固薬が原因の出血は年齢だけが関連要因だった。

・処方されている薬で抗凝固薬以外に出血がおきやすくなるものはなかった。

もっと多くの高齢者に抗凝固薬を与える余地がある。90歳以上では出血があきらかに増えたが、それでも抗凝固薬を与えるメリットはある、



というおはなし。
図:90歳以上への抗凝固薬と生存率

感想:

この薬は縁がないから実感ないけど、頻繁に病院通って血液検査しないと雲のジュウザみたいになっちゃうんだろ、、 コワくね?

2017年5月16日

職場でのパワハラやいじめで脳卒中


Conflicts at work are associated with a higher risk of cardiovascular disease.
2017  4月  ドイツ

職場上司によるパワハラや同僚からのいじめはうつや不安、睡眠障害の原因となりうる。

これら職場での衝突と脳卒中など心血管疾患との関連をしらべてみたそうな。


ドイツの健康医療データベースから、
かかりつけ医699人による「職場での衝突」記述のある心血管疾患でない18-65歳の患者7374人と
職場衝突のない7374人を抽出して、

心血管疾患の発生を最長5年間フォローしたところ、


次のことがわかった。

・職場での衝突を経験した者の心血管疾患発生率は5年間で2.9%で、

・職場衝突のない場合は1.4%だった。

・職場衝突があると心血管疾患リスクは1.63倍になり、

・種類別には、心筋梗塞>狭心症>脳卒中 の順に影響が大きかった。

職場でのパワハラやいじめはあきらかに脳卒中など心血管疾患の発生と関連があった、


というおはなし。
図:職場での衝突と脳卒中リスク

感想:

テレワークが普及すればこの種の衝突はだいぶん減るんじゃないかな。
仕事のストレスと脳卒中

2017年5月15日

上肢機能の回復はBDNF遺伝子の型で決まっていた


Association Between Brain-Derived Neurotrophic Factor Genotype and Upper Extremity Motor Outcome After Stroke
2017  5月  韓国

脳卒中後の回復の鍵となる神経可塑性には脳由来神経栄養因子(BDNF)が深くかかわっていると考えられている。

BDNFには遺伝子多型 "Val66Met"(66番目のアミノ酸がバリン→メチオニンに変化)があり、BDNFの分泌能低下との関係が報告されている。

そこで、脳卒中後の上肢運動機能とBDNF遺伝子型との関連をしらべてみたそうな。

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