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2018年7月14日

軽い脳梗塞にはアルテプラーゼよりもアスピリン


Effect of Alteplase vs Aspirin on Functional Outcome for Patients With Acute Ischemic Stroke and Minor Nondisabling Neurologic Deficits
2018  7月  アメリカ

脳梗塞患者が4.5時間以内に入院できたとしても、その神経症状が軽微な場合には血栓溶解療法のアルテプラーゼ薬は使用しないことになっている。

しかしそれら患者のうち30%は 90日後になんらかの機能障害が残ることがわかっている。この問題を回避するために症状の軽い脳梗塞であってもアルテプラーゼを使うことが最近のトレンドとなっている。

そこで症状の軽い脳梗塞患者へのアルテプラーゼの効果と安全性を、アスピリンのそれと比べてみたそうな。

2018年7月13日

トランスジェンダー女性が脳卒中になりやすいわけ


Cross-sex Hormones and Acute Cardiovascular Events in Transgender Persons: A Cohort Study
2018  7月  アメリカ

性の同一性を適合させるための治療をうけているひとたち(トランスジェンダー)には静脈血栓症や脳梗塞、心筋梗塞がおおいと疑われている。

これを確かめるべく大規模にしらべてみたそうな。


患者データベースにトランスジェンダーとして登録されている男女を抽出して、脳卒中等の発生を4年間ほどフォローした。

これを10倍人数の性別適合者(シスジェンダー:cisgender)と比較した。


次のことがわかった。

・トランス(男→)女性2842人とトランス(女→)男性2118人およびシス男性48686人、シス女性48775人を対象とした。
トランスグループのうち23%は性別適合手術を受けていた。

・トランス女性の静脈血栓塞栓症のリスクが高く、2年後ではシス男性に比べてリスク4.1倍、シス女性のリスクの3.4倍 高かった。

・脳梗塞や心筋梗塞についても同様の発生リスクだった。

・特にホルモン療法を開始したトランス女性でこれらの関連が顕著だった。

・トランス男性については明らかな関連はみられなかった。

男性からトランスジェンダーした女性は、もとからの女性よりも静脈血栓症や脳梗塞のリスクが高かった。おそらくはエストロゲン療法の副作用によるものと考えられた、


というおはなし。
図:トランスジェンダーの女性

感想:

お茶大でトランスジェンダー解禁のニュースがあったばかりなので関心をもった。

2018年7月12日

健常側の白質病変と失語症の関係


Leukoaraiosis is independently associated with naming outcome in poststroke aphasia
2018  7月  アメリカ

脳卒中のあとの失語症には梗塞のおおきさや位置、発症からの時間、年齢、利き手、性別などが影響する。

さらにネーミング(呼称)などのネットワーク的に複雑な働きを要する課題では 梗塞の起きていない健常な側の脳が関係してくると考えられている。

右脳の白質病変が言語機能に与える影響はよくわかっていないので脳卒中患者でくわしくしらべてみたそうな。


左脳損傷で失語症の脳卒中患者42人について、

健常側の右脳の白質病変の程度をMRIのFLAIR(フレア)条件で撮影し評価した。

これと3ヶ月以降の呼称課題の結果との関連を解析したところ、


次のようになった。

・右脳白質病変の重症度が高いと呼称課題スコアがあきらかに低かった。

・この関連は梗塞のおおきさや位置、発症からの時間、合併症にはよらなかった。

左脳卒中で失語症患者の呼称課題スコアは、右脳白質病変の重症度に影響された。失語症からの回復は健常側の白質の健全性によるのかも、、


というおはなし。


感想:

これ↓2週間後に撮ったじぶんのフレア画像からの動画。血腫とその周辺の白質病変を着色してある。




たしかに人の名前がでてこない。特に映画女優。顔ははっきりとイメージできるのにでてこない。
たとえば「スカーレット・ヨハンソン」はなんどしらべてもすぐにわすれて思い出せなくなる。

2018年7月11日

MEPが観測されないのに脳卒中患者が歩けるわけ


Absence of a Transcranial Magnetic Stimulation–Induced Lower Limb Corticomotor Response Does Not Affect Walking Speed in Chronic Stroke Survivors
2018  7月  アメリカ

脳卒中で麻痺した上肢が回復する条件として、運動野への磁気刺激(TMS)で生じる運動誘発電位(MEP)が観測されることを挙げる報告は少なくない。

しかし下肢の運動機能についてMEP反応があることを回復の条件とする報告はほとんどない。

これを確かめるべく運動野から下肢筋肉へのMEPの有無と歩行能力との関連をくわしくしらべてみたそうな。

2018年7月10日

底辺家庭のこども 脳卒中からの1年後


Socioeconomic determinants of outcome after childhood arterial ischemic stroke
2018  7月  カナダ

脳卒中の発生率や重症度 回復度と社会経済的地位との関連は成人についてはよく研究されているが子供のそれはほとんどないので大規模にしらべてみたそうな。


37カ国にある複数施設での2010-2014の子供の脳梗塞患者355人について、

世帯収入、親の教育歴、住居の都会度、リハビリサービスを受けた回数、
等をしらべ、1年後の回復度(Pediatric Stroke Outcome Measure)スコアとの関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・年間世帯収入が10000ドルを下回る超低所得グループの回復度は明らかに低かった。

・脳卒中の原因や居住国の所得レベルを調整してもその関連は変わらなかった。

・所得額は1年時点でのリハビリサービスの利用状況とは関連がなかった。

国際的な大規模調査により、子供の脳卒中は低所得家庭ではあきらかに回復度が低いことがわかった。これは脳卒中の種類や合併症、リハビリサービスの有無では説明がつかなかった、


というおはなし。
図:こども脳卒中の回復度と世帯収入

感想:

上のグラフみると最低所得層で死亡割合がとてもおおきい。脳卒中で弱った子供は生存競争に敗れ淘汰されてしまうのだろうか。

2018年7月9日

半側空間無視はほとんどが自然に治る


Impact of clinical severity of stroke on the severity and recovery of visuospatial neglect
2018  7月  オランダ

半側空間無視は通常、損傷脳半球の反対側に注意障害がおきる。そして脳卒中が重症のばあいには同側にも無視が生じる。

そこで、重症脳卒中の半側空間無視とその症状の時間的変化をしらべてみたそうな。


右脳の脳卒中患者90人を非常に重症である 完全前循環梗塞(total anterior circulation infarct:TACI)38人と非TACIグループ52人にわけた。

半側空間無視の程度は文字抹消検査(letter cancellation test:LCT)で損傷脳の対側、同側についてしらべた。

発症から 1, 2, 3, 4, 5, 8, 12, 26週までその自発的な改善変化をフォローしたところ、


次のことがわかった。

・同側と対側の無視については臨床的重症度とLCTの取りこぼし数とのあきらかな関連はなく、

・いずれの場合も その数は時間が経つにつれ徐々に減少した。

・TACIタイプの重症脳梗塞では同側の無視症状の回復スピードがあきらかに遅かった。

広範囲におよぶ脳梗塞では同側への空間無視症状の回復があきらかに遅かった。しかしこれら症状は時間が経つにしたがい自発的に回復していった、


というおはなし。
図:半側空間無視の週別変化


感想:

この回復パターンは比例回復則 (proportional recovery rule)のそれとおなじで、そこから外れる患者こそが治療対象になるべきだって。

2018年7月8日

脳梗塞への遠隔虚血コンディショニングの効果


Remote ischaemic conditioning for preventing and treating ischaemic stroke
2018  7月  中国

遠隔虚血コンディショニング(Remote Ischaemic Conditioning :RIC)は腕や脚をカフで強く加圧して一時的に血流をとめたのち再灌流することで脳神経の保護や脳梗塞からの回復を期待するものとしていくつもの研究がなされている。

しかしその効果と安全性については結論がでていない。

そこでRICと脳梗塞に関するこれまでの研究を総括してみたそうな。

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