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2018年11月21日

脳卒中になるライフスタイルのうち特に危険なもの


Prevalence of five lifestyle risk factors among U.S. adults with and without stroke
2018  11月  アメリカ

心血管代謝リスクになる5つのライフスタイル(栄養不足、運動不足、喫煙、飲酒、肥満)が、脳卒中経験者にどのくらい特徴的なのか 最新の大規模データからしらべてみたそうな。


アメリカの健康状態および健康行動についての電話調査データ(Behavioral Risk Factor Surveillance System)2015-2017を用いて、

脳卒中経験者と非経験者のライフスタイル上の違いを解析したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中経験者37225人、非経験者851607人のデータがみつかった。

・運動不足(56.5% vs. 49.5%)と現在喫煙(30.1% vs. 16.6%)があきらかに脳卒中経験者に多く、

・大量飲酒者は(5.4% vs. 6.1%)脳卒中経験者に少なかった。

・野菜や果物を多く摂る食生活と肥満は関連要因を考慮に入れるとグループ間で有意な差はなかった。

・リスク要因を4-5つ持つケースは(9.0% vs. 5.3%)脳卒中経験者に多かった。

運動不足と喫煙、4-5個のライフスタイルリスクを持つ者が脳卒中経験者におおかった、


というおはなし。

図:脳卒中の5つのライフスタイルリスク


感想:

脳卒中をライフスタイルのせいにはしたくないけれど、運動不足とタバコだけは言い訳のしようがないみたいだ。

脳卒中は遺伝とライフスタイルのどっちが影響大?

2018年11月20日

遠隔虚血コンディショニングはいつはじめたらいいの?


Very Delayed Remote Ischemic Post-conditioning Induces Sustained Neurological Recovery by Mechanisms Involving Enhanced Angioneurogenesis and Peripheral Immunosuppression Reversal
2018  10月  ドイツ

脳卒中のあとに腕や脚の血流を一時的にとめて虚血状態にすることで脳神経を保護できるとする考え方があって、「遠隔虚血コンディショニング」とよばれ おもに動物実験で成果が得られている。

これら実験のおおくは脳卒中のあと24時間以内に虚血コンディショニングがおこなわれているが、臨床応用を考えると早期の適用は現実的ではない。

そこで有効なタイムウィンドウをしらべるべく120時間遅らせた場合で実験してみたそうな。


人為的に脳梗塞にしたネズミについて、
12時間、24時間、5日(120時間)後に両後脚を止血帯で10分しばり10分開放を3サイクルおこない、2週間ほど継続した。


次のようになった。

・梗塞のおおきさは、24時間以内に開始したグループではとても小さくなったが、5日後のグループではそれほどでもなかった。

・しかし神経症状の回復は24時間以内グループでは一時的なのにたいし、5日後グループは長期(3ヶ月間)に持続した。

・24時間以内グループでは熱ショックタンパク質HSP70が関与し、プロテアーゼの働きを弱め、炎症をおさえていた。

・5日後グループでは血管新生がふえ、各種の神経栄養因子、成長因子があきらかに増加していた。

脳卒中後の遠隔虚血コンディショニングはそのタイミングがおおはばに遅れても効果があった。大規模な臨床試験を期待する、


というおはなし。

図:遠隔虚血コンディショニングの長期効果

感想:

たいして危険そうでないので、臨床報告が待ちきれないひとは自分でやるか近所の加圧トレーナーにでも相談してみるといい。

[遠隔虚血]の関連記事

2018年11月19日

nature.com:急性期の脳機能結合と予後


Cerebral Motor Functional Connectivity at the Acute Stage- An Outcome Predictor of Ischemic Stroke
2018  11月  台湾

脳卒中の回復予測は神経症状の重さや梗塞の体積 位置をもとにしておこなわれているがあまりあてにならない。梗塞がちいさいからといって回復良好になるともかぎらない。

いっぽう安静時fMRIは通常のMRI検査に付け加えることができ、被験者に検査中の課題をあたえる必要がない便利なツールである。

安静時fMRIをつかうと脳の異なる部位どうしが同期して活動している程度(Functional Connectivity:機能結合)を評価することができる。

運動ネットワークの機能結合が脳損傷後の数時間内に低下することや運動障害の回復にともない変化することがわかっている。

これまで脳卒中の機能結合にかんする研究は急性期のものがほとんどなくサンプル数もとてもすくなかったので、急性期の患者をたくさんしらべてみたそうな。

2018年11月18日

前兆つき片頭痛は心房細動をまねく?


Migraine with visual aura a risk factor for incident atrial fibrillation- A cohort study
2018  11月  アメリカ

これまでの調査から片頭痛に視覚的な前兆(閃光や暗点、波線、視野のぼやけ)をともなうタイプは心原性の脳梗塞と関連があることがわかっている。

心房細動は心原性の脳梗塞の原因の1つでもあることから、前兆つき片頭痛で心房細動がおきやすくなっているものか くわしくしらべてみたそうな。


心房細動や脳卒中歴のない11939人について片頭痛と前兆、脳卒中を20年間ほどフォローしたところ、


次のことがわかった。

・426人が前兆つき片頭痛を経験し、1090人が前兆なしの片頭痛、1018人は片頭痛以外の頭痛、9405人は頭痛なしだった。

・心房細動は、片頭痛のあった1516人の15%に、頭痛のない9405人の17%にそれぞれみられた。

・前兆つき片頭痛の心房細動リスクは、頭痛なしにくらべて1.30倍で、

・前兆なしの片頭痛とくらべると1.39倍だった。

前兆つき片頭痛があると心房細動リスクが高かった。心房細動が片頭痛と脳梗塞を媒介しているのかも、、


というおはなし。

図:前兆つき片頭痛と心房細動 脳梗塞との関係


感想:

身近にいるので関心をもった。

[前兆 片頭痛]の関連記事

2018年11月17日

NEJM誌:ビタミンDサプリメントの脳卒中予防効果


Vitamin D Supplements and Prevention of Cancer and Cardiovascular Disease
2018  11月  アメリカ

日照量のおおい地域では脳卒中など心血管疾患やがんでの死亡が少ないという報告がいくつもある。

ビタミンDの関与が考えられるが因果関係はあきらかでない。ビタミンDサプリメントをつかった実験でも被験者1万人を超えるものはまだない。

そこでビタミンDサプリメントと心血管疾患やがんとの関連を大規模にしらべてみたそうな。


50代以上の男女25871人をサプリメント(1日2000IU)と偽薬グループにわけた。

心筋梗塞や脳卒中、さらにがんの発生を5.3年間フォローしたところ、


次のようになった。
・この間に心血管疾患はサプリメントグループで396件、偽薬グループで409件あった。

・がんはそれぞれ793件、824件だった。

・サプリメントによる心血管疾患リスクは0.96倍(脳卒中は0.95)、がんの死亡リスクは0.83倍で偽薬と有意な差がなかった。

ビタミンDのサプリメントを摂っても脳卒中やがんの予防にはならなかった、


というおはなし。

図:ビタミンDサプリメントと脳卒中リスク

感想:

うつ対策にはいいかも。
脳卒中後のうつと季節 日光浴のすすめ

2018年11月16日

上肢感覚リハビリの方法と効果予測


Initial severity of somatosensory impairment influences response to upper limb sensory retraining post-stroke
2018  10月  オーストラリア

脳卒中患者のおよそ半数は触覚や深部感覚の障害を経験する。しかしリハビリテーションはおもに運動機能にフォーカスしているため感覚障害はあつかわれないことがすくなくない。

上肢の運動機能障害に関しては Proportional Recovery Rule(比例回復則)があって、初期の障害程度に比例した自発的回復が予想できる。
しかし重度の障害患者ではこのルールに則らないことがわかっている。

そこで感覚障害患者に積極的な感覚リハビリをおこなったときに、その回復が初期の障害程度に比例するものか実験してみたそうな。


感覚の弁別能と認識能を再訓練するための方法 "SENSe therapy" (→7つの原理の 詳しいYoutubeリンク)を用いた2つの臨床試験のデータを用いた。

脳卒中で上肢感覚麻痺の80人の患者について、感覚訓練の効果を質感弁別、手首の深部感覚、触覚による物体認識について訓練前後で評価したところ、


次のことがわかった。

・訓練後の感覚障害の回復は訓練まえの障害程度に比例していた。

脳卒中で上肢感覚麻痺患者への感覚訓練の効果は、訓練まえの障害程度と比例関係にあり予測が可能だった。この感覚訓練は重度の感覚障害にも期待できる、


というおはなし。

図:脳卒中感覚障害の比例回復

感想:

比例回復則からのおちこぼれ(non-fitter)を救えるんだね この感覚リハビリは。
感覚障害も比例回復則するの?

2018年11月15日

NEJM誌:魚油サプリメントの脳卒中予防効果


Marine n-3 Fatty Acids and Prevention of Cardiovascular Disease and Cancer
2018  11月  アメリカ

魚油におおくふくまれるn-3(オメガ3)不飽和脂肪酸は脳卒中など心血管疾患の予防に期待できるとされている。

その効果について小-中規模の臨床試験はあるが結果がまちまちである。

そこで、n-3不飽和脂肪酸サプリメントの心血管疾患予防効果を大規模にしらべてみたそうな。


50代以上の男女25871人をサプリメント(魚油1日1g:n-3不飽和脂肪酸840mg+EPA,DHA)と偽薬グループにわけた。

心筋梗塞や脳卒中、さらにがんの発生を5.3年間フォローしたところ、


次のようになった。

・この間に心血管疾患はサプリメントグループで386件、偽薬グループで419件あった。

・がんはそれぞれ820件、797件だった。

・サプリメントによる心血管疾患リスクは0.93倍(脳卒中は1.04)、がんのリスクは0.97倍で偽薬と有意な差がなかった。

n-3不飽和脂肪酸のサプリメントを摂っても脳卒中やがんの予防にはならなかった、


というおはなし。

図:n-3不飽和脂肪酸サプリの脳卒中予防効果

感想:

これ摂りすぎると心房細動からの脳梗塞になりやすいってはなしをおもいだした。↓
魚でふせげる脳梗塞と増える脳梗塞

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