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2016年1月31日

脳卒中後の痛みの種類と時期について


Prevalence and Time Course of Post-Stroke Pain: A Multicenter Prospective Hospital-Based Study.
2015  12月  イタリア

脳卒中後の疼痛を時期別、種類別に調べてみたそうな。


443人の脳卒中患者について、
急性期、亜急性期、慢性期 の各時期に、
中枢性疼痛、骨格筋痛、肩の痛み、痙縮の痛み、頭痛の有無を調査した結果、


次のことがわかった。

・全体の疼痛経験率は29.56%だった。

・14.06%が急性期、42.73%が亜急性期、31.90%が慢性期に起きた。

・痛みの起きる時期は痛みの種類により異なり、

・骨格筋や肩の痛みは急性期よりも亜急性期、慢性期に多かった。

・痙縮の痛みは慢性期に多く、

・頭痛は急性期に現れた。

・中枢性疼痛は急性期よりも亜急性期、慢性期に多く、

・投薬治療を受けている者は25%未満だった。

脳卒中後の痛みは急性期よりも亜急性期、慢性期に多く、治療対象にないことが多かった、


というおはなし。

図:脳卒中後の痛み

感想:

いまだに、ウォーミングアップができていないと 足の裏が痛むことがある。すぐ気にならなくなるけどね。

2016年1月30日

脳梗塞のあと1年間の再発率は、、、


Recurrent Stroke, Myocardial Infarction, and Major Vascular Events during the First Year after Acute Ischemic Stroke: The Multicenter Prospective Observational Study about Recurrence and Its Determinants after Acute Ischemic Stroke I.
2015  12月  韓国

脳梗塞の患者が発症後1年間に再発したり心筋梗塞を起こしたりする頻度を調べてみたそうな。


2010-2013の急性脳梗塞患者12227人を1年間フォローして、脳卒中の再発、心筋梗塞、その他主要血管イベントの有無を調べたところ、


次のようになった。

・脳卒中再発率は、30日後、90日後、1年後でそれぞれ 2.7%, 3.9%, 5.7% となった。

・同様に 心筋梗塞ではそれぞれ 0.1%, 0.3%, 0.5% だった。

・その他 主要血管イベントは 8.1%, 10.6%, 13.7% となった。

・脳卒中の再発リスクは心筋梗塞の10数倍だった。

・ラクナ梗塞など小血管病変以外の脳梗塞では再発リスクが高かった。

・糖尿病が主な再発リスク要因だった。

急性脳梗塞後の1年間に18人に1人は脳卒中を再発し、7人がその他主要血管の病気にかかった。再発の3分の2は90日以内に起きていた、


というおはなし。

図:脳梗塞再発

感想:

糖尿病といえば、、糖尿病じゃないけど、いま糖質制限食にハマってんだ。

2016年1月29日

脳卒中で斜視になった患者の予後について


Association between eye position on brain scan and hospital mortality in acute intracerebral hemorrhage.
2016  1月  オランダ

両目が同じ方向に向く「共同偏視」や 一方の目が水平に傾く「斜視」は脳内出血患者によく見られる。彼らの予後を調べてみたそうな。


脳内出血患者316人の発症初期の断層像から目の偏りを測定し 院内死亡率との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・共同偏視が30.4%、斜視が13.9%にみられ、55.7%は偏りなしだった。

・共同偏視の81.3%は出血した脳半球側を向いていた。

・斜視患者の死亡リスクは高かった。

脳内出血患者の水平方向の斜視は予後不良と関連があった、


というおはなし。


感想:

入院してすぐに見舞いに来てくれた複数の人から 「左目がとんでもない方向を向いていてショックを受けた」と のちに聞かされていたので関心を持った。

で、直後に撮ったCT↓をひっぱりだした(画像の右側が頭の左に相当)
写真:脳内出血の共同偏視

いまいちよくわからないので、立体的にした↓(顔の前面をカット)
写真:目の偏り 脳内出血

両目とも右下を向いている。このとき(撮影中)は両目を閉じていた。

目を開けると、きっとどちらか優勢な方の目だけが正面を向くんだろね。

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2016年1月28日

介助が必要な患者に血栓溶解治療をしてみた


Intravenous Thrombolysis in Patients Dependent on the Daily Help of Others Before Stroke
2016  1月  スイス

脳卒中患者への血栓溶解治療の効果と合併症が、すでに生活に介助が必要だった人と自立生活していた人とで どう異なるものか調べてみたそうな。


血栓溶解治療を施された脳卒中患者7430人について3ヶ月後の回復度、死亡、頭蓋内出血例を調べたところ、


次のことがわかった。

・6.6%の患者は発症前に依存状態にあり、93.4%は自立生活していた。

・脳卒中歴、認知症、心臓や骨の病気が依存状態の主な理由だった。

・依存状態にあった患者の死亡率は自立していた患者の2倍だった。

・頭蓋内出血の頻度は両グループで差はなかった.

・回復不良の頻度も同程度だったが、

・3ヶ月間生存した患者に限定すると、依存状態にあった患者の方が回復不良は少なかった。

頭蓋内出血の合併症頻度は同じだったので治療の安全性に差はない。生存者に限定すると依存状態にあった患者のほうが回復不良は少なかった。だから依存の患者に血栓溶解治療を控えるべきではないだろう、


というおはなし。

図:依存

感想:

回復度を評価するスケールに線形性があると考えるから こういう変な結果が出るんだろうね。

2016年1月27日

未破裂脳動脈瘤のリスク 日本人のばあい


Risk Analysis of Unruptured Intracranial Aneurysms
Prospective 10-Year Cohort Study
2016  1月  日本

未破裂脳動脈瘤の自然経過を調べてみたそうな。


2003-2012に未破裂脳動脈瘤がみつかった2252人の2897個の動脈瘤のうち、1960個については保存的に経過を観察した。
また CTやMRI、アンギオ検査により動脈瘤の形状を詳細に評価した。


次のことがわかった。

・平均3年半ほどのフォロー期間に56個の動脈瘤が破裂した。

・年間の破裂率は全体として0.76%だった。

・破裂したケースでは、動脈瘤が発見されてから破裂までの平均期間は547日だった。

・動脈瘤のサイズ、位置、突起物、クモ膜下出血歴が破裂可能性に関連していた。

・サイズが2-4mmに比べ5mm以上では破裂リスクが12倍になった。

・破裂した56人のうち52%は死亡または重度の障害が残った。

・サイズが巨大な場合、破裂死亡率は69%で、

・5mm未満の場合、破裂死亡率は18%だった。

未破裂脳動脈瘤はサイズが大きいほど破裂と障害のリスクが高かった、


というおはなし。

図:未破裂脳動脈瘤


感想:

クリッピングやコイルで治療すると合併症が残る率が10%くらいある。

年間破裂率が1%未満なので よほどでかい場合でないと治療リスクに釣り合わないですよ、ということと理解。

2016年1月26日

低気圧が来ると起きやすい脳内出血の種類がわかった


Drops in Barometric Pressure Are Associated with Deep Intracerebral Hemorrhage.
2016  1月  イスラエル

脳内出血の種類と大気圧との関連を調べてみたそうな。


脳内出血患者を皮質下の出血グループと皮質出血グループに分け、気象データとの関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・深部の脳出血患者147人と皮質出血59人を対象とした。

・深部出血患者の特徴は、若年、糖尿病、喫煙、ラクナ歴、男性、だった。

・発症2日前の大気圧の低下と深部脳出血とに関連があった。皮質出血は関連がなかった。

・深部出血は2月、大気圧変化の大きいタイミングに集中していた。

日単位の大気圧の低下が深部脳内出血と関連していた、


というおはなし。
図:大気圧と脳内出血

感想:

これ↓思い出した。
長野県に近づくと脳出血になる可能性について

2016年1月25日

脳梗塞の予後 体重別 日本人


Association between body mass index and outcome in Japanese ischemic stroke patients.
2016  1月  日本

肥満度と脳梗塞の回復度との関連を日本人で調べてみたそうな。


急性脳梗塞患者1206人をBMIに従って 低体重、標準、肥満の3グループに分け、退院時の生活自立度、長期的な総死亡率、再発率を評価し 比較したところ、


次のことがわかった。

・9.2%が低体重、65.1%が標準体重、25.7%が肥満に分類された。

・低体重グループは標準グループに比べ、明らかに生活自立度が低く 総死亡率が高かった。

・肥満グループは標準グループとの違いがあまりなかった。

・再発率についてはどのグループも有意な差はなかった。

痩せている脳梗塞患者の予後は良くない、


というおはなし。

図:肥満度と脳梗塞の転帰


感想:

鹿児島で大雪になるほどに寒い今日このごろ。ふとっちょの人が温かそうでうらやましい。

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