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2017年1月31日

若年脳卒中患者の回復コース


Effects of professional rehabilitation training on the recovery of neurological function in young stroke patients.
2016  11月  中国

若年脳卒中患者の回復パターンについてしらべてみたそうな。


2014年の中国首都医科大学の脳卒中患者について、若年100人(18-44歳)と中高年100人(45歳以上)にわけ、退院後6ヶ月間フォローしたところ、


次のことがわかった。
・若年グループの59.6%は脳出血で、中高年グループの60.0%は脳梗塞だった。

・中高年にくらべ若年者の教育レベルは高く、高血圧 糖尿病 心疾患はすくなかった。

・若年者の平均入院期間は長く、

・おもなリスク要因は 高血圧、飲酒、喫煙 だった。

・リハビリは理学療法、作業療法、言語聴覚療法、鍼灸が主で、

・1日の平均リハビリ時間は2.5時間、退院時には生活自立度と身体機能が改善していた。

・退院後6ヶ月をすぎると仕事や経済面での不満が表出した。

・家族生活の満足度はかわらなかったが 交友関係の満足度は改善した。

正規のリハビリテーションにより若年脳卒中患者の身体機能はあきらかに改善したが、6ヶ月以内に社会復帰できる者はすくなかった、


というおはなし。

図:若年脳卒中患者の入院期間

感想:

脳出血がおおいから入院が長いのかな?

2017年1月30日

葉酸サプリメントで糖尿病からの脳卒中を予防できる!


Longitudinal association between fasting blood glucose concentrations and first stroke in hypertensive adults in China: effect of folic acid intervention.
2017  1月  中国

葉酸(ビタミンB9)の脳卒中予防効果に関心があつまっている。

血糖値が高い人の脳卒中リスクと葉酸サプリメントの脳卒中予防効果をしらべてみたそうな。


高血圧で治療中の20327人について、葉酸サプリメントあり(0.8mg/日)となしのグループに分けて脳卒中の有無を4.5年間フォローしたところ、


次のことがわかった。

・この間に616人が脳卒中になった。(497人が脳梗塞)

・空腹時血糖値が7.0mmol/L(=126mg/dl)以上だと明らかに脳卒中がおおかった。

・葉酸サプリメントグループでは血糖値5.0mmol/L以上で脳卒中予防効果がみられ、

・特に7.0mmol/L以上だと葉酸グループの脳卒中リスクがさらに小さかった(5.0mmol/L未満の0.66倍)。

高血圧の中国人について、空腹時血糖値が7.0mmol/L以上だと脳卒中リスクが非常に高かった。彼らへの葉酸サプリメントの投与で脳卒中リスクが34%低下した、


というおはなし。

図:血糖値と脳卒中リスク

感想:

葉酸サプリメント優秀だな。これ↓思い出した。
高コレステロールに朗報 葉酸サプリの脳卒中予防効果

2017年1月29日

脳梗塞に効くコレステロール比 TC/HDLとは


The total cholesterol to high-density lipoprotein cholesterol as a predictor of poor outcomes in a Chinese population with acute ischaemic stroke.
2017  1月  中国

これまで 血中コレステロール値と脳梗塞の予後の関連については研究により相反する結果が得られている。

そこを確かめるべく多くの患者で調べてみたそうな。


2013-2015の急性脳梗塞患者871人の3ヶ月後の生存率、回復度を調査し入院時のコレステロールレベルとの関連を解析したところ、


次のことがわかった。
・3ヶ月後10.8%が死亡した。

・入院時の総コレステロールTC および HDLコレステロールとの比 TC/HDL が予後につよく関連していた。

・特に TC/HDL が高いと死亡リスクがとても低く、

・回復良好(mRS=0-2)の可能性も高かった。

・TC/HDL が4.09以上だとあきらかに予後が良かった。

TC/HDL が高いと急性脳梗塞患者の3ヶ月後の生存率、回復良好の可能性が高かった、


というおはなし。
図:回復良好な脳梗塞患者のコレステロール

感想:

TC=LDL+HDL+TG/5 だから LDLコレステロールはたっぷりあったほうがいいってことなんだよな。

これ↓
悪玉善玉比L/Hが低いと脳内出血で死ぬことが明らかに

2017年1月28日

脳卒中やった子供の社交性


Psychosocial function in the first year after childhood stroke.
2017  1月  オーストラリア

子供の脳卒中は脳の発達をさまたげ 運動 認知 言語能力に問題を生じうることが知られている。しかし心理社会的な影響についてはよくわかっていないので調べてみたそうな。


平均年齢6.8歳の子供脳卒中患者37人について、発症後1年間の社交性をフォローした結果、


次のことがわかった。
・6ヶ月後、12ヶ月後の社交性は発症まえにくらべ 劣っていた。

・とくに感情障害や注意欠陥、多動性といった心理的な問題がおおかった。

・発症年齢がおそくなるほど、神経症状が重いほど社交性が低下した。

・これら心理社会的問題は親のメンタルヘルスとよく関連していた。

脳卒中を経験した子供の中には心理社会的な障害を受ける者が少なからずいた。特に子供の年齢や神経症状、親の精神状態が関連していた。親の影響がつよいことから 家族へのサポートが子供の治療につながるかもしれない、


というおはなし。
図:子供脳卒中の社交性

感想:

大人=高年齢の子供 と考えるとソーシャル能力へのダメージは計り知れない。フェイスブックとツイッターに挫折した原因はこのあたりにあるのかも。

2017年1月27日

麻痺してない上肢はほんとうに麻痺していないのか?


Movement Kinematics of the Ipsilesional Upper Extremity in Persons With Moderate or Mild Stroke.
2017  1月  スウェーデン

脳卒中で損傷した脳半球と同側の手脚も麻痺の影響を受けるとする報告が増えてきている。

同側の麻痺の影響が日常生活動作にどの程度影響するものか調べてみたそうな。


軽症脳卒中患者40人と健常者20人について、
発症間もない頃と3ヶ月後の水飲み動作を3Dモーション解析した。

2017年1月26日

自宅でかんたん半側空間無視治療 VFTとは


Efficacy of home-based visuomotor feedback training in stroke patients with chronic hemispatial neglect
2017  1月  イギリス

半側空間無視の治療法は数多く提案されてはいるが 効果は定かでなく手法もまちまちで臨床応用がむつかしい状況にある。

シンプル過ぎてこれまでほとんど見向きもされなかった治療法に
"視覚運動フィードバック訓練"(Visuomotor Feedback Training:VFT) がある。

VFTは目の前に置かれた棒の中点を推定し、その位置を指でつまみ上げるだけの動作がメイン。

半側空間無視により視野が左右の一方に偏っている場合 持ち上げた棒がおおきく傾くため中点位置の誤りが瞬時にフィードバックされる。長さの異なる棒をいくつか用意してこの動作を繰り返すだけなので、簡単かつ経済的な治療法でもある。

VFTの自宅訓練効果を長期的かつ日常生活的に評価してみたそうな。


右脳損傷で半側空間無視の脳卒中患者20人をVFTと比較グループに分けた。
50、75、100cmの棒を使用した。
VFTは自宅で2週間にわたり1回約15分の訓練を計10セッションおこなった。
比較グループは棒の右端をつまみ上げる訓練をおこなった。

直前、直後、4ヶ月後に複数の指標で空間無視の程度を評価した。


次のようになった。

・線分二等分テスト、行動性無視検査など短 長期的にVFTグループでスコアが明らかにすぐれていた。

・VFTグループでは日常生活動作の改善もあった。

視覚運動フィードバック訓練VFTは自宅でできる簡単 効果的な半側空間無視の治療法である。さらなる研究が期待される、


というおはなし。
図:Visuomotor Feedback Training

感想:

シンプルでいい。
この方法 20年くらいまえに発見されて、いままで2件の研究しかないんだって。

2017年1月25日

胃ろうが必要でない脳卒中患者のBMIは、、


Factors Predicting Recovery of Oral Intake in Stroke Survivors with Dysphagia in a Convalescent Rehabilitation Ward.
2017  1月  日本

脳卒中のあとの嚥下障害は27-64%の患者にみられ、半数は2週間以内に回復する。胃ろうや経鼻チューブなどの対策はいずれも一長一短であり避けれるものなら避けたい。

そこで経口摂取が勝手に復活する患者の特徴をしらべてみたそうな。


2009-2015に脳卒中で嚥下障害になった患者のうち
リハビリ病院へ転院するまでに経口摂取が可能になった患者とそうでないグループとにわけ特徴を比較したところ、


次のことがわかった。

・経口摂取可能になった34人とそうでない38人の記録がみつかった。

・経口可能になったグループは年齢が若く、BMIが高く、発症から入院までが短かった。

・経口可能予測因子は、入院時の肥満度BMI、認知機能的自立度FIM、嚥下重症度DSSの3つであり、

・これら3つの変数からその後の経口摂取の可否を精度良く予測できた。

脳卒中で嚥下障害の患者のうち、BMI、 FIM、DSSが高い者は退院までに経口摂取が可能になった。これら患者への胃ろう造設を避けることができるだろう、


というおはなし。

図:経口摂取可能とBMI

感想:

このブログはじめてから、痩せてることが善とするはなしをきいたことがないわ。

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