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2021年3月27日

nature.com:機能的結合性と脳梗塞の運動回復

2021  3月  中国


脳卒中後の運動リハビリテーション方法を開発してゆくうえで、小児脳梗塞での神経可塑性と運動機能回復の知見は重要である。

そこで、小児脳梗塞患者のうち回復の良かった者と片麻痺の残った者、および健常者とで脳の機能的結合性をくらべてみたそうな。

2020年3月5日

運動イメージ訓練とスローファイブ(Slow-5)


Motor Imagery Training After Stroke Increases Slow-5 Oscillations and Functional Connectivity in the Ipsilesional Inferior Parietal Lobule
2020  2月  中国

運動イメージ訓練(Motor Imagery Training)やメンタルプラクティスは実際の身体活動をともなわない認知機能上のリハーサル訓練であり、通常の脳卒中リハビリに組合せるとより効果的であるとする報告が数おおくある。

そのメカニズムとして、運動野をふくむ前頭-頭頂ネットワークの機能再編が考えられている。

こんかい、シンプルかつデータ再現性の高い「安静時fMRI」で観測できる灰白質由来のシグナル "Slow-5"(0.01-0.027Hz)に着目して、脳卒中患者での運動イメージ訓練の効果についてランダム化比較試験をこころみたそうな。

2019年10月3日

正中神経電気刺激と脳ネットワーク


Median Nerve Electrical Stimulation-Induced Changes in Effective Connectivity in Patients With Stroke as Assessed With Functional Near-Infrared Spectroscopy
2019  9月  中国

正中神経電気刺激(Median Nerve Electrical Stimulation:MNES)は手首をとおる正中神経を経皮的に電気刺激して感覚システムへの求心性のイップットをもたらす神経調節テクニックである。

MNESが脳卒中の皮質可塑性へもたらすメカニズムについてはわかっていないので、機能的近赤外分光(fNIRS)をつかって脳皮質の各部位が働きかける方向を考慮した 実効的結合(effective connectivity:EC)解析からしらべてみたそうな。



脳卒中で右片麻痺の患者20人について、

安静時と
右手首へのMNES時のfNIRS測定をおこなった。

MNESは右手首内側に電極を貼り50Hzのパルスを 筋肉が収縮しかつ我慢できる最大強度で数十秒おきに10分間しげきした。

fNIRSは左右の、前頭前野(PFC),運動野(MC)、後頭葉(OL)、にセンサーをおいた。



次のようになった。

・安静時にくらべMNES時では左右PFCから左OLへの実効的結合があきらかに増え、

・さらに左MCと左OLから右PFCへのカップリング強度も有意に高くなった。

・左PFCから左右の運動野 後頭野へのカップリングも観察され、MNESが病側の前頭前野からの調節を促していると考えられた。

・非損傷脳からの損傷脳MCへのカップリングが低下していた。

麻痺手へのMNESによる感覚運動刺激が脳皮質の機能再編のきっかけになりうると考えられた、


というおはなし。

図:MNES



感想:

いまいちよくわからないけど、単にビリビリするだけではないなにか特別なことが脳におこっていた、ということなんだな。

低周波治療器の電極をそれらしい位置(上図)に貼ればすぐに実験できる↓。
nature.com:上肢麻痺を改善する電気刺激のやりかた

2時間で指の動きがよくなる電気刺激方法とは

脳の可塑性を促す腕の電気刺激方法

2019年9月25日

TIA患者のデフォルト・モード・ネットワーク


Altered Functional Connectivity within Default Mode Network in Patients with Transient Ischemic Attack- A Resting-State Functional Magnetic Resonance Imaging Study
2019  9月  中国

一過性脳虚血発作(TIA)では神経症状は24時間以内に解消し梗塞も残らない。

しかし認知障害や脳卒中を起こしやすくなることから脳の異常性をあきらかにすることは重要である。

さいきん安静時脳機能MRI(Rs-fMRI)によりデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)の存在を確認できるようになった。

これまでの報告からDMNは認知機能に関連するとされ、脳卒中患者ではDMN内の一部の機能結合性の低下が指摘されている。

TIA患者でのDMNについてはわかっていないのでくわしくしらべてみたそうな。



TIA患者48人と年齢の一致する健常者41人について、
Rs-fMRIを実行し、DMNにについてシードベースの機能結合性評価をおこなった。



次のことがわかった。
・左の中側頭回(MTG) 角回(AG)と 内側前頭前皮質(mPFC)および後帯状皮質(PCC) 楔前部(Pcu)との機能結合性が健常者にくらべあきらかに低下していて、

・さらにmPFCと右Pcu,左PCC,左AG, および右Pcuと左PCCの結合性の低下も見られた。

・1年後までに次の虚血イベントを経験した患者では、mPFCと左PCCとの結合性が有意に低下していた。

・臨床症状、生理学的、生化学的マーカーと機能結合性との関連は確認できなかった。

TIA患者のデフォルト・モード・ネットワークには結合性の異常な箇所がいくつか見られた。そのうち内側前頭前皮質と左の後帯状皮質との結合性低下は虚血イベントの再発と関係がありそうだった、




というおはなし。

図:デフォルト・モード・ネットワーク


感想:

上の図がデフォルト・モード・ネットワークの要所。脳が安静状態のとき、これらの活動が数十秒周期で同期するんだって。
安静時fMRIでみたTIA脳の異常

nature.com:急性期の脳機能結合と予後

感覚障害の機能的ネットワーク結合

脳幹梗塞のデフォルト・モード・ネットワーク

心房細動患者のデフォルトモードネットワークに異常

脳卒中後うつ患者の脳内ネットワーク

脳卒中後うつのfALFF解析

脳卒中後のうつ不安とデフォルトモードネットワーク

メンタルプラクティス+理学療法の効果を脳のネットワーク的に見ると、、

脳卒中患者のデフォルト・モード・ネットワークは…

2019年5月9日

nature.com:手脚のリハビリで対側の前頭前野がんばる


Limb linkage rehabilitation training-related changes in cortical activation and effective connectivity after stroke- A functional near-infrared spectroscopy study
2019  4月  中国

脳卒中後のリハビリテーションで手脚の運動がもたらす脳皮質の回復メカニズムはよくわかっていない。脳の皮質活動はPETやMRIで観察することができるがこれら装置は患者のわずかな動きにも弱い。

近赤外線分光をつかった血流評価による脳皮質の機能測定は、高い時間分解能をもつため患者のうごきにつよく、運動課題をともなう測定が可能である。

得られたデータを解析する方法として「機能的結合:functional connectivity」がある。これは脳の異なる領域からの信号の同期の程度を評価するもので互いの結合の方向はわからない。

いっぽう「実効的結合:effective connectivity」では領域間の同期のみならず それらの方向や因果関係を推定することができる。

そこで脳卒中患者と健常者とで安静時および手脚の運動課題をあたえたときの脳皮質の活動を近赤外線分光で測定し、脳皮質間の実効的結合への影響をくわしくしらべてみたそうな。

2019年2月1日

がんばって手脚を動かしても効果がない理由


Frequency-specific functional connectivity related to the rehabilitation task of stroke patients
2019  1月  中国

脳卒中の片麻痺からの回復のためには手脚をうごかす訓練をおこなうことがもっとも効果的であると信じられている。

訓練と脳の可塑性により脳機能ネットワークが再編される。このとき脳皮質の各領域間で機能的に同期した低周期の活動パターンが観測できる。この同期の程度をもって「機能結合性」とし回復度が反映されると考えることができる。

そこで、リハビリ訓練がダイレクトに機能結合性に反映されるものか、MRIよりも周波数分解能の高い近赤外線センサーでくわしくしらべてみたそうな。

2018年11月19日

nature.com:急性期の脳機能結合と予後


Cerebral Motor Functional Connectivity at the Acute Stage- An Outcome Predictor of Ischemic Stroke
2018  11月  台湾

脳卒中の回復予測は神経症状の重さや梗塞の体積 位置をもとにしておこなわれているがあまりあてにならない。梗塞がちいさいからといって回復良好になるともかぎらない。

いっぽう安静時fMRIは通常のMRI検査に付け加えることができ、被験者に検査中の課題をあたえる必要がない便利なツールである。

安静時fMRIをつかうと脳の異なる部位どうしが同期して活動している程度(Functional Connectivity:機能結合)を評価することができる。

運動ネットワークの機能結合が脳損傷後の数時間内に低下することや運動障害の回復にともない変化することがわかっている。

これまで脳卒中の機能結合にかんする研究は急性期のものがほとんどなくサンプル数もとてもすくなかったので、急性期の患者をたくさんしらべてみたそうな。

2018年10月25日

Stroke誌:安静時fMRIの機能結合と脳卒中の予後予測


Resting-State Functional Connectivity Magnetic Resonance Imaging and Outcome After Acute Stroke
2018  10月  スペイン

脳卒中の予後は、神経症状の重さNIHSSスコアや梗塞の体積 位置を参照して予測されてきた。

近年、なんのタスクも課さずにただ寝ているだけの被験者のfMRIデータから脳活動のネットワーク的なつながりをみることができるようになった。

さらにこのネットワーク的つながりと実際のタスクパフォーマンスが関連することがわかってきた。

そこで脳卒中患者の予後を安静時fMRIのデータから予測できるものか実験してみたそうな。

2018年10月24日

感覚障害の機能的ネットワーク結合


Functional network connectivity is altered in patients with upper limb somatosensory impairments in the acute phase post stroke: A cross-sectional study.
2018  10月  ベルギー

脳は安静時であっても非常に低周期の活動をしている。これをMRIの信号強度の変化として観測することができ、部位ごとの周期活動への同期性からデフォルトモードネットワークや背側注意ネットワークなどが分類されている。

脳卒中患者の機能障害とこれらネットワーク的なつながりとの関連が報告されているが、体性感覚障害のそれについては報告がきわめて少ないのでくわしくしらべてみたそうな。


脳卒中の急性期で上肢に体性感覚障害のある患者19人について、
感覚障害を複数の指標、light touch, pressure, pinprick, sharp-dull discrimination, stereognosis, two point discrimination, perceptual thresh-hold of touch,
で測定した。

また、MRIで安静時のBOLDシグナル観測を行い、
脳半球間、脳半球内での機能的結合性との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・重度の体性感覚障害の患者は軽度患者にくらべ、脳半球間および損傷脳半球内での機能的結合性があきらかに低かった。

・特に触覚しきい値と軽い接触、立体認知との関連がつよかった。

感覚麻痺のつよい脳卒中患者ほど、脳半球間および損傷脳半球内での体性感覚関連の機能的結合性が低かった、


というおはなし。

図:脳の機能的結合性と感覚障害


感想:

fMRIのFunctional network connectivity は
データ取得がひじょうに簡単で、
職人的読影能力が必要とされないいっぽう、
AIと相性がよさそうな点でこんごに期待している。

2018年7月21日

脳幹梗塞のデフォルト・モード・ネットワーク


Decreased functional connectivity within the default-mode network in acute brainstem ischemic stroke
2018  7月  中国

脳幹部の梗塞患者には認知障害がおおいと言われている。

いっぽうMRIで安静時の脳画像を時系列的に撮影したときに0.1ヘルツ未満の信号強度変化が観測される。この信号変化と脳の各部位との関係性の一部をデフォルトモードネットワーク(DMN)と呼ぶ。これまでDMNの結合性低下と認知障害との関連がいくつも報告されている。

そこで、脳幹梗塞患者のDMNと関連要因についてしらべてみたそうな。


急性脳幹梗塞の患者21人と健常者25人について安静時MRI撮影を行い、independent component analysis (ICA)でDMNを検出した。

DMNの機能結合性と臨床パラメータとの関連を解析したところ、


次のようになった。

・脳幹梗塞患者では右内側前頭前皮質および右楔前部の機能結合性が低下していた。

・脳幹梗塞患者でのこの機能結合性の低下は 高ホモシステインレベルとあきらかな関連をしめしていた。

脳幹梗塞でのデフォルトモードネットワークの機能結合性の低下はホモシステインレベルの上昇と関連していた。これは脳幹梗塞と認知障害についての神経病理的プロセスを反映しているのかも、、


というおはなし。
図:脳幹梗塞のデフォルト・モード・ネットワーク

感想:

なにも考えずに寝ているだけの脳活動から 「ボケ」がわかっちゃうのがDMN。

[デフォルトモードネットワーク]の関連記事

2017年4月29日

鍼の脳卒中リハビリ効果を機能的接続性で評価した


Enhanced Functional Connectivity between the Bilateral Primary Motor Cortices after Acupuncture at Yanglingquan (GB34) in Right-Hemispheric Subcortical Stroke Patients: A Resting-State fMRI Study.
2017  4月  中国

最新のニューロイメージング技術を応用した脳卒中リハビリ研究が増えてきている。

そこで 中国伝統医学の鍼の効果検証に応用してみたそうな。


右脳損傷の脳卒中患者20人と健常者20人について、

片麻痺患者の治療によく用いられる脚にあるツボ 陽陵泉(ようりょうせん:GB34)への鍼刺激前後での安静時fMRI検査をおこなった。

このデータから左右脳の一次運動野間の機能的接続性(Functional Connectivity)の変化を解析し 比較したところ、


次のことがわかった。
・脳卒中患者の機能的接続性は健常者にくらべ低下しており、

・鍼刺激によって増強された。

脳卒中で低下した両半球の運動野間の機能的接続性が鍼刺激によって強まった。このあたりにリハビリメカニズムがあるのかも、、


というおはなし。
図:鍼刺激前後の脳の機能的接続性変化

感想:

患者の空気を読む力に影響をうけないこのような手法が鍼治療研究にもちこまれるのはとても喜ばしい。

しかしこの解析アルゴリズムのブラックボックス感がきもちわるい。変数を少々いじるだけで望みの結果画像をだせそうな、、、

2016年8月3日

知らない音楽を聴くと脳が広く活動して新しい回路が、、


Music Listening modulates Functional Connectivity and Information Flow in the Human Brain.
2016  7月  アメリカ

好きな音楽を聴くことが脳卒中からの回復に良いといわれている。

その理由を 脳機能測定から探ってみたそうな。


18-82歳の健常者12人について

*自分の好きな音楽
*まったく馴染みのない音楽(日本の雅楽やバッハの曲)
*アフリカの舌打ち言語
*チャプリンの扇情的スピーチ
*アナウンサーの感情のない読み上げ

をそれぞれ聴かせているときのfMRIを撮り、機能結合、インフォメーションフロー等を解析したところ、


次のことがわかった。

・おのおの脳の賦活パターンは非常に異なっていた。

・機能結合的に関連の近いいくつかの音刺激があった。

・もっとも脳が広く反応していたのは 好きな音楽と馴染みのない音楽だった。

・すべての音刺激でブロードマンエリアがもっとも強く反応しており 脳血流を促す効果は明らかだった。

好きな音楽や馴染みのない曲を聴くと脳が広く活動し 機能結合と血流が増加した。これは他の音楽や言語刺激とは対照的だった。このあたりが音楽療法での脳回復に関係があるのかも、


というおはなし。

図:音楽の種類とfMRI



感想:

実はGoogle Play Music を契約して半年くらい。よく知らない国の伝統音楽を検索してはBGMにしている。
聴いてもなんの思い出も連想も浮かばないところがなぜか心地よくて、、、

患者に毎日好きな音楽を聴かせたところ、脳に構造改革が起きた模様

2016年7月18日

半側空間無視が治るネットワーク的理由


Normalization of network connectivity in hemispatial neglect recovery.
2016  7月  イタリア

半側空間無視は脳卒中患者の20-30%に影響し多く は3ヶ月程度で回復するがそのメカニズムはよくわかっていない。

そこで脳機能ネットワークの結合(Functional Connectivity)と半側空間無視からの回復との関連を経時的に調べてみたそうな。


脳卒中患者77人と31人の健常者について、

安静時fMRIと注意力検査を、発症後2週間、3ヶ月、12ヶ月に行い、関連を解析したところ、

次のことがわかった。

・半側空間無視の患者が25人いた。

・ほとんどの患者で3ヶ月後には半側空間無視が治っていた。

・注意力が回復するにしたがって脳半球間の機能的結合が正常者のそれと同じになった。

機能的結合からみた異常から正常パターンへの変化が半側空間無視の症状の回復によく対応していた


というおはなし。

図:半側空間無視の機能的結合

感想:

解析過程がわけわからなすぎて 結論きいてもすなおになっとくできない。

2016年7月15日

脳卒中の失語症を予測するコネクトームマッピングとは


Multivariate Connectome-Based Symptom Mapping in Post-Stroke Patients: Networks Supporting Language and Speech.
2016  6月  アメリカ

言語処理ネットワークは脳にひろくまたがっているため脳損傷の位置を確認しただけではどのような言語障害が現れるのか予想しにくい。

そこで 脳にひろがる領野の接続状態を表す地図 いわゆるコネクトームを作成して実際の患者の状態との関係を調べてみたそうな。


左脳損傷の脳卒中患者90人について脳の解剖情報、壊死した組織、拡散テンソルを表す画像 を撮影し、機械学習アルゴリズムも用いてコネクトームマッピングを行った。

言語機能(流暢さ、理解、反復、命名能力)を調べ対応させたところ、


次のことがわかった。

・コネクトーム画像から得られた失語症状予測は、通常のMRI検査の結果とよく一致していた。

・特に流暢さの点で頭頂領域が重要そうであることがコネクトーム画像でわかった。

コネクトームマッピングが従来の画像診断に相補的な役割を担えるようになるかもしれない、


というおはなし。

図:コネクトームマッピング

感想:

この研究があちこちのニュースサイトで紹介されていたので関心をもった。

拡散テンソルイメージングは白質繊維の間隙にある水分子の動きやすさの方向を可視化したもので 神経シグナルの流れを追ったものではない。
だから解剖をよく知る者にとっては新たに得る情報はほとんどない。もう15年以上まえからあるが 綺麗なグラフィックス以外に役立つところを見たことがない。

しかし同じコネクトものでも安静時fMRIの Functinal Connectivity解析はまったく別で、とても期待している。

2016年7月14日

安静時fMRIで機能的結合を調べれば脳卒中の障害がわかる


Disruptions of network connectivity predict impairment in multiple behavioral domains after stroke
2016  3月  アメリカ

脳卒中の影響は これまで断層画像上の損傷部位との関連で解釈されてきた。

近年、安静時の脳機能MRIを解析して脳の各領野間の機能的結合(Functional Connectivity:FC)を評価できることがわかってきた。

これと脳卒中患者の各能力との関連を調べてみたそうな。


発症1-2週間の脳卒中患者132人と健常者31人について30分間の安静時fMRIデータを取った。この結果の解析に機械学習モデルを用い、
患者の注意、言語、運動、視覚能力との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・視覚記憶、言語記憶については機能的結合評価によく反映され、

・視覚、運動機能はこれまでの断層画像がわかりやすかった。

・注意や言語の障害は機能的結合、断層画像の両方での評価が必要だった。

脳の半球間、半球内の機能的結合の評価が 患者の特定の行動障害の説明に役立った


というおはなし。


図:機能的結合と脳卒中

感想:

ようするに 安静時fMRIというシンプルな検査を加えておくことで、得られる情報が何倍にもなりますよってことだと思う。

2016年5月27日

運動イメージ中の脳ネットワーク結合を調べた結果、、


Conditional Granger Causality Analysis of Effective Connectivity during Motor Imagery and Motor Execution in Stroke Patients.
2016  5月  中国

運動イメージ訓練は脳卒中リハビリ法のなかでも最も効果的な方法の1つとされている。しかしそのメカニズムはいまだよくわかっていない。

そこで運動イメージ中の脳卒中患者の皮質ネットワークの結合がどの方向に変化しているのか調べてみたそうな。


左脳損傷で右手麻痺の患者10人と健常者10人について、
右手の指を実際に動かしている時とイメージのみの場合での60秒間のfMRIデータを撮り、

一次運動野(M1)、前運動皮質(PMC)、補足運動野(SMA)間の結合性変化を解析したところ、


次のことがわかった。

・実際に指を動かしている時、患者は健常者にくらべ損傷脳のM1,PMC,SMAの相互の結合が明らかに低下していたものの、

・非損傷側のPMCとM1の相互の結合は強まっていた。

・運動イメージ中は患者の方が各皮質間のネットワークの結合が強く、

・特に非損傷側の皮質間相互の結合が顕著だった。

実運動では損傷脳での結合性は患者で低下していたが、それを補うように非損傷脳でのネットワークが強化されていた。運動イメージは損傷脳の影響を受けにくく各皮質間ネットワークを強化しているように見えた


というおはなし。

図:運動イメージ時の皮質結合性変化


感想:

イメージトレーニングは気のせいじゃないんだな。

2016年4月19日

脳の可塑性を促す腕の電気刺激方法


Investigating the Effects of Peripheral Electrical Stimulation on Corticomuscular Functional Connectivity Stroke Survivors.
2016  4月  台湾

末梢神経の電気刺激が脳の可塑性を促すという報告がすくなくない。

脳波と筋電図からこれを確認してみたそうな。


健常者15人、脳卒中患者15人について上腕腹側の真ん中を走る正中神経に電極を貼った。

電気刺激は筋肉収縮を起こさない強度で パルス状100Hz刺激を20秒間隔でon-offを繰り返し40分間行った。

刺激前後での脳波および親指でつまむ動作時の筋電図を測定し、両者の同調性を解析した。


次のことがわかった。

・電気刺激のあと脳波筋電コヒーレンスがガンマ周波数帯で健常者22.1%、脳卒中患者48.6% 増加した。

・筋収縮力のゆらぎも減少し、健常者-1.3%、脳卒中患者-3.9% となった。

末梢神経への電気刺激による神経筋肉システムの可塑的変化を脳波筋電コヒーレンスから知ることができた。ガンマ帯での反応から 電気刺激が求心性の感覚運動の統合をもたらしたと考えられる、


というおはなし。

図:電気刺激と脳波

感想:

むつかしいこと言ってるけど、ようするに低周波治療器の電極を腕に貼って弱い刺激を40分間で なんか脳に良いらしいってことなんだよね。

2016年1月14日

回復の良い脳卒中患者は脳のここが違う


Enhanced Effective Connectivity Between Primary Motor Cortex and Intraparietal Sulcus in Well-Recovered Stroke Patients.
2016  1月  ドイツ

脳梗塞での運動障害は脳の広範に影響を及ぼす。運動機能の回復過程での前頭葉と頭頂葉との関連の変化を調べてみたそうな。


発症3ヶ月時点で回復良好な脳卒中患者15人について、
麻痺手の握り動作時の脳活動をMRIで測定し、
損傷側の頭頂葉の頭頂間溝と 前頭葉の運動野の結合性を評価して
健常者のデータと比較したところ、


次のことがわかった。

・健常者に比べ 損傷側の一次運動野と頭頂間溝前部との結合性が明らかに強化されていた。

・さらに頭頂-前頭ネットワークの結合パターンが健常者のそれとほぼ同じだった。

損傷脳半球の頭頂-前頭ネットワークが脳卒中後の可塑的変化に大きく関わっていることが示された、


というおはなし。

図:頭頂間溝
頭頂間溝

2016年1月11日

音楽サポート療法は脳の可塑性を促すのか?


Music supported therapy promotes motor plasticity in individuals with chronic stroke.
2015  12月  スペイン

音楽サポート療法は 視覚、運動、聴覚、感情、認知など多くのモードを通して脳の可塑性を促すリハビリ法である。

脳機能を測定するMRIを使ってその効果を確かめてみたそうな。


慢性期脳卒中患者20人について音楽サポート療法での 運動、認知、情動の変化を調べた。

また、脳活動と聴覚-運動野の結合性をfMRIで測定し 健常者と比較したところ、


次のことがわかった。

・損傷側の脳半球に聴覚-運動野の活動および結合性の明らかな変化が確認できた。

・これは健常者には見られない変化だった。

・脳活動と聴覚-運動野の結合性の上昇は 麻痺手の運動機能の改善と連動していた。

音楽サポート療法は慢性期脳卒中患者のリハビリに適しているのかも知れない、


というおはなし。


感想:

結合性(connectivity)のはなしはどの程度信用できるものなのか いまいち実感がないな、、

10年前に10分で撮った私の脳の機能画像↓↓↓(ビデオ)

2014年1月19日

ミラーセラピーが効く理由を確かめてみた


Mirrored Feedback in Chronic Stroke: Recruitment and Effective Connectivity of Ipsilesional Sensorimotor Networks.
2013  12月  アメリカ

ミラーセラピーの鏡像フィードバックで脳にどんな影響があるのか調べてみたそうな。


15人の慢性期脳卒中患者について、健常な側の手指の曲げ伸ばし運動中の脳機能MRIを撮影した。

この際、手の動きに連動するバーチャルハンドが患者に表示された。
そのまま表示する場合と、鏡像反転して表示する場合との脳の反応の違いを観察した。


次のようになった。

・鏡像フィードバックと麻痺手を司る病側脳の活発化と関連があった。

・鏡像フィードバック時の体性感覚野と運動野との強いつながりが確認できた。


鏡像表示することで損傷した側の脳の活動が活発になった。ミラーセラピーは本当にリハビリに効くのかもしれない、


というおはなし。

写真:fMRIとバーチャルグローブ
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【悲報】脳卒中後、杖を使い続けると麻痺していない手まで動かなくなる
血圧が高いひとは、他人の気持ちがわからない

生活習慣を改めれば脳卒中の再発は防げるの?
カニ歩きと後ろ歩き 片麻痺リハビリに効果的なのは、、
鍼治療の「得気」は小脳のはたらきだった
脳梗塞実績No.1漢方薬 → ほようかんごとう
閉じ込め症候群の患者にあえて生活の質を問うてみた結果、、
砂糖の代わりに甘味料を使うと脳梗塞がさらにひどくなることが判明
ダメージを負った脳組織が勝手に再生する仕組みが明らかに
指ストレッチはいいらしいから さっそくこのビデオで実践することにした
【肥満パラドックス】脳梗塞で長生きするBMIが判明
リハビリの合間のお昼寝は大切 → 訓練がはかどるゾ

刺激豊富な環境で脳梗塞が治る理由
猫を飼う女性は脳卒中で死なないことが判明!
美容院で脳卒中になる女性が続出!
「ストレスが原因」と語る脳卒中患者ほど実はなにもわかっていない
傷ついた脳に効くBDNFが増えるサプリメントが明らかに
運転リハビリに良さそうなおすすめドライブゲーム
【アロマテラピー】ラベンダーの香りが脳梗塞にすごく効く
脳卒中後の疲労感は 只の疲労とはわけが違う
脳卒中がきっかけでホモになることがあるらしい
ダイエットコーラを毎日飲むと脳卒中になることが判明

高コレステロールに朗報 葉酸サプリの脳卒中予防効果
BDNFが7年かけて脳を修復してくれるという根拠について
朝ごはんを食べない日本人は脳内出血になることが判明!
脳卒中予防に最適なビタミンBサプリメントの組み合わせがわかった!
脳卒中経験者の血圧を十分に下げたら死亡者が続出した
痙縮が治る ただの風呂と温泉を比較した
歩きスマホが脳卒中患者のリハビリに適しているという根拠について
磁気嵐が脳卒中を引き起こす と判明!
リハビリは動かせばイイってもんじゃぁない. 本人がやる気になるまで待て.
『足首を鍛えたいのに麻痺して動かないの』→『もう一方の足を鍛えなさい』