元2023 6月 中国
破裂した脳動脈瘤を治療しないことについての理解は、研究デザインの難しさやデータの少なさによって制限されている。
とくに中国人くも膜下出血患者での多施設臨床研究は乏しいので、くわしくしらべてみたそうな。
中国北部4省をカバーする32の三次医療センターが参加する脳動脈瘤データベースから、嚢状破裂動脈瘤のうち治療をしなかった患者を同定し、最長2年間の死亡率と危険因子を推定した。
次のようになった。
・破裂動脈瘤を未治療の患者941人のうち、58.6%が1ヶ月以内に死亡し、68.1%が2年以内に死亡した。・患者98人はフォロー期間中に手術するに至った。・ハントヘスグレード3-5、発症時意識消失、最大径5mm以上の瘤サイズ、が死亡の予測因子だった。・フォローを完遂できた患者のうち42.6%が動脈瘤の治療手術を拒否していた。
破裂動脈瘤を治療しなかったくも膜下出血患者のうち約6割が1ヶ月以内に死亡した。重症度が高く、意識がない、瘤がおおきい患者の死亡率が高かった。手術拒否者がおおいことも特徴だった、
というおはなし。
感想:
この記事↓の内容ととてもよく似ていた。
「動脈瘤治療をしない群」というのは手の施しようがない患者の寄せ集めであるため、死亡率が高いのは当然であるということ。
しかし今回、おおきく異なる点があって、それは
中国の経済格差はとてもおおきくて、うっかり高度医療を受けてしまうと借金まみれになり自殺するしかなくなるひとが少なくないという社会背景がある。
そのため手術拒否者がとてもおおく治療しない群の4割以上を占めている。
欧米の拒否者はほんの数%である。
論文にあった意識消失の有無ごとの生存率グラフ(下)をみると、
意識がない患者は1ヶ月後だいたい9割が死亡し、意識があると死亡は3割程度であることがわかる。
手術拒否はおもに本人の意思だから、意識がある群に属しているはず。
つまり手術拒否者の死亡率はせいぜい30%程度にすぎないってこと。
「すぐに手術をしないと1ヶ月で6割が死亡しますよ」という医師の脅し文句にはこのようなトリックがある。
ちなみに、
くも膜下出血の動脈瘤治療効果を証明できるランダム化比較試験はいまだ世に存在しない。
まともな根拠に基づいた治療ではないため医療事故が絶えず、
読んで納得↓
脳外科医 竹田くん(ノンフィクション告発漫画、業界のあるある過ぎると話題に)