2023年7月13日

くも膜下出血の「鎮静」は安全か?

2023  6月  ドイツ


動脈瘤破裂によるくも膜下出血では、脳浮腫と頭蓋内圧亢進を抑えるために、しばしば初期の段階で深い「鎮静」がおこなわれる。

しかし、一般的な鎮静薬の静脈注射では十分な鎮静効果が得られない患者もいる。

そこで、鎮静プロトコルに揮発性のイソフルランを組み込んだ場合の鎮静深度についてくわしくしらべてみたそうな。



次のことがわかった。

・イソフルランを平均9.7日間投与された36例のくも膜下出血患者において、鎮静深度は改善された。

・平均頭蓋内圧の有意な上昇は検出されなかった。

・しかし、25%の患者で急な頭蓋内圧亢進や過呼吸のために30時間ほどでイソフルランを中止せざるを得なかった。


イソフルランの吸入によるくも膜下出血初期での鎮静は、実行可能ではあるが、頭蓋内圧の亢進や肺機能の低下している患者では危険なので避けたほうがいい、


というおはなし。
鎮静

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感想:

くも膜下出血治療では、患者を無理やり鎮静薬で「意識不明」にする習わしがある。

そして意識が無いうちに患者家族の同意のみで手術をおこなってしまう。

この論文のとおり、鎮静薬はかならずしも安全ではない。

じつは鎮静薬の使用には大した根拠がない。



しかも鎮静された患者は転帰がわるい。




けれど、必要だらからと鎮静薬で意識不明にされる。


ここに↓くも膜下出血治療の最新の体験談がある。kindleで読める無料マンガでわかりやすい。



あらすじ)著者が強い頭痛で病院を訪れると、検査を受けた途端になぜか意識が無くなった。手術などしてほしくなかったにもかかわらず、目が覚めると「希望してもいない」コイルがアタマに詰められていた。後日コイルトラブルで言葉が出なくなり、現在は再手術を勧められているという衝撃のノンフィクション。


鎮静薬で意識不明にするほんとうの理由はたぶんこう↓。

くも膜下出血は通常、数時間で出血は自然に止まり頭痛のピークも過ぎる。

このとき意識があると、少なからぬ割合で動脈瘤の手術を拒否する患者が発生する。

この数が統計学的に十分な量に達すると、動脈瘤治療が「有効でない」ことがあきらかになってしまうので、半ば強制的に手術を行うよう医師が教育されているから。


じっさい、中国では経済的理由により手術を拒否する患者が桁違いにおおい。彼らは動脈瘤を治療していないにもかかわらず死亡率はとても低い↓。




そもそも、くも膜下出血の動脈瘤治療効果を証明できるランダム化比較試験はいまだ世に存在しない。

まともな根拠に基づいた治療ではないため医療事故が絶えず、