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2023年3月8日

くも膜下出血の「鎮静」はテキトーだった

2023  2月  ドイツ


くも膜下出血では頭蓋内圧の亢進や血管攣縮、てんかん発作などの合併症を管理する目的で、長期の鎮静(意識レベルの低下)措置がとられる。

しかし鎮静下では遅発性脳虚血検出のための臨床検査が困難になる。

くも膜下出血での鎮静措置についての研究データは少ない。

この鎮静は、おもに外傷性脳損傷や一般救急医療の経験にもとづいて行われているだけであり、くも膜下出血に適した推奨の鎮静プロトコルが存在しているわけではない。

そこで、実際の鎮静の適応とモニタリング、長期管理、鎮静の解除にかんして現場の医師たちに聞き取りをこころみたそうな。



ドイツの神経集中治療を専門とする医師グループにオンラインアンケートをおこなった。



次のことがわかった。

・213人中17.4%37人から回答があった。

・回答者の半数以上が神経科医であり集中治療に15年前後の経験があった。

・くも膜下出血での長期鎮静は、頭蓋内圧とてんかん発作のコントロールが主な目的だった。

・もっとも関心のあるテーマは治療抵抗性の頭蓋内圧亢進と脳の腫脹だった。

・62%が定期的な覚醒トライアル(目が覚めるかどうか)をおこなっていた。

・全員が鎮静深度のモニタリングをおこなっており、

・83%は脳波を用いていた。

・覚醒トライアルの頻度として、患者により4.5日から5.6日の間隔があった。

・84%が鎮静解除前に頭蓋内撮影を行っていた。

・鎮静解除時の頭蓋内圧の条件は、17.3mmHg未満が21時間持続、だった。


くも膜下出血の鎮静管理の推奨プロトコルは存在せず、実態アンケートを依頼した医師の8割以上が回答を拒否した、


というおはなし。
鎮静措置


感想:

くも膜下出血の脳動脈瘤治療は根拠となるランダム化比較試験が存在しないためトラブルが絶えず、脳外領域の医療事故訴訟ナンバーワンのテーマでもある。

軽い症状の患者であっても鎮静剤で無理やり意識不明にする。

すると家族は危険な状態だと勘違いして脳動脈瘤手術にすぐに同意する。

これが決まったやり方もない鎮静措置が長く必要とされてきたほんとうの理由だと思う↓。



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