元2025 3月 中国
頭蓋内動脈狭窄(ICAS)は脳卒中の主要なリスク要因であり、治療戦略の選択が重要となる。従来、薬物療法が第一選択とされてきたが、ステント治療による血流改善が長期的な脳卒中予防に有効かどうかは明確でなかった。
そこで、長期的な視点からステント治療の有効性を検討し、薬物療法との比較をおこなってみたそうな。
本研究は、中国国内8つの医療センターで実施された多施設共同ランダム化試験である。対象は、一過性脳虚血発作(TIA)または軽度脳卒中を経験し、70~99%の頭蓋内動脈狭窄を有する患者とした。2014年から2016年の間に380人が登録され、以下の2群に無作為に割り付けられた。
1. ステント+薬物療法群(176人):頭蓋内動脈にステントを留置し、抗血小板療法(アスピリン+クロピドグレル)を併用。
2. 薬物療法のみの群(182人):抗血小板療法を90日間施行後、単剤療法に移行し、リスク因子を管理。
主要評価項目は、30日以内の脳卒中または死亡、および30日以降の対象動脈領域での脳卒中発生率とした。フォローアップ期間の中央値は7.4年である。
次のようになった。
・長期追跡の結果、ステント+薬物療法群と薬物療法のみの群で脳卒中の発生率に有意な差は認められなかった。
- 主要評価項目:ステント群14.8%(26/176人) vs. 薬物療法群14.3%(26/182人)(ハザード比1.02, 95%CI: 0.58-1.77, P=0.97)- 重篤な脳卒中または死亡率:ステント群16.5% vs. 薬物療法群14.3%(ハザード比1.12, 95%CI: 0.66-1.91, P=0.70)- 全死亡率:ステント群9.1% vs. 薬物療法群7.1%(ハザード比1.22, 95%CI: 0.58-2.58, P=0.60)
・これらのデータは、ステント治療を追加しても薬物療法単独と比較して脳卒中リスクを下げる効果がないことを示している。
頭蓋内動脈狭窄に対するステント治療が長期的に脳卒中予防の利益をもたらさないことが明らかになった。これは過去の短期試験とも一致しており、脳卒中の再発予防には薬物療法による管理が最も重要であることを裏付ける、
というおはなし。
感想:
『ステントはなぜいけないの?』
以下、医師国家試験正答率98%のAIの回答↓
ステントが推奨されない理由
CASSISS試験の結果から、ステント治療が推奨されない理由は以下の通り:
1. 手術直後のリスクが高い
- 血栓やプラークの破綻:ステント設置時にプラークが剥がれ、脳内の血管を塞ぐ可能性。
- 血管の損傷:頭蓋内の動脈は細く柔軟性が少ないため、出血や血管破裂のリスクがある。
2. 長期的な脳卒中予防効果が証明されていない
- ステント後の再狭窄(ISR)が発生する可能性が高く、再び脳卒中リスクが上昇する。
- 脳の側副血行路が機能すれば、ステントなしでも血流が確保できる。
3. 薬物療法の進歩で代替可能
- 二重抗血小板療法(DAPT)により、血栓形成を抑制できる。
- スタチンの使用で動脈硬化の進行を防ぐことが可能。
- 厳格な血圧管理により、脳卒中リスク自体が低減している。
4. 狭窄=脳卒中リスクとは限らない
- 70~99%の狭窄があっても、血流が維持されていれば問題にならないケースも多い。
- むしろ、ステントのリスク(血栓、再狭窄、血管損傷)が上回る可能性がある。
結論
このため、頭蓋内動脈狭窄に対する第一選択は「薬物療法」であり、ステントは慎重に適応を選ぶべきというのが現在の結論である。
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