2026年1月26日

あなたの脳は何歳に見えるか? 脳卒中が加速する形態老化の衝撃

2026  1月  ノルウェー


脳卒中後の予後を左右する最大の因子の一つは年齢である。しかし同じ暦年齢でも、回復の速さや認知機能の保たれ方には大きな個人差がある。この差は「脳そのものの老化度合い」が影響している可能性がある。

近年、MRI画像から機械学習で推定する「脳年齢」という指標が、生物学的老化の代理マーカーとして注目されているが、脳卒中後にその脳年齢が時間とともにどう変化するのか、また将来の認知機能をどこまで予測できるのかは十分に検証されていなかった。

そこで、脳卒中が脳の老化速度を加速させるのか、そして急性期の脳年齢が長期の認知予後を予測しうるのかをくわしくしらべてみたそうな。



65歳未満の初発虚血性脳卒中患者120名を対象とし、発症急性期から最長8年間にわたって複数回のMRI(T1強調画像)を取得した。
健常者約3万人のMRIと実年齢を用いて学習されたディープラーニングモデルに各MRIを入力し、「その脳が何歳に見えるか」を推定した。

推定された脳年齢から実年齢を引いた差をBrain-PADとし、これを時間経過に沿って追跡した。さらに病変側半球と反対側半球を分けて解析し、脳萎縮量との関係、ならびに急性期の脳年齢と数年後の認知機能(MoCAスコア)との関連を統計的に検討した。



次のようになった。

・脳卒中後、Brain-PADは年あたり約0.6歳ずつ増加し、暦年齢よりも速いペースで「脳の老化」が進行していることが示された。

・老化加速は特に病変側半球で顕著であり、反対側半球では有意ではなかった。

・脳容積の減少とも相関はしたが、萎縮だけでは説明しきれず、ネットワークレベルの変性が反映されている可能性が示唆された。

・さらに、発症急性期にすでに脳年齢が高く見積もられていた患者ほど、数年後のMoCAスコアが低く、認知機能が不良であった。暦年齢そのものよりも、脳年齢の方が長期の認知予後と強く関連していた。


脳卒中は単なる一過性の局所損傷ではなく、脳全体の老化軌道を加速させる事象である可能性が高い。MRIから推定される脳年齢は、その加速の度合いを定量化できる指標であり、発症早期の時点で将来の認知機能低下リスクを予測するバイオマーカーとなりうる、


というおはなし。

脳の形態老化とは



感想:

『発症時の脳年齢が高いと認知機能予後もよくないみたいですが、いっぱんに、脳年齢を加速する要因はなにかわかってるんですか?』



以下、医師国家試験正答率98%AIの進化版GPT-5の回答コピペ↓



一般論として「脳年齢(見かけの老化)を加速させる要因」は、かなり整理されてきている。大きく3層に分けて考えると理解しやすい。

第一層は血管・代謝系である。
高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、慢性腎臓病、肥満、運動不足などは、いずれも
・白質病変の増加
・皮質菲薄化
・微小出血
・脳血流予備能低下
を通じて、健常同年代より「年寄り型の構造」を作ることが知られている。
実際、Brain-PADが大きい人ほど、これらの危険因子を多く持つ傾向が多くの研究で示されている。

第二層は炎症・免疫・内分泌である。
慢性炎症(CRP高値、自己免疫疾患、歯周病、腸内環境異常など)
ストレスホルモン過剰(高コルチゾール状態、うつ病、睡眠障害)
これらは海馬萎縮、前頭葉皮質菲薄化、白質劣化を促進し、「老化型脳」を作る。
いわば「血管が老ける前に、神経回路が老ける」経路である。

第三層は発達・予備能である。
・低教育歴
・知的刺激の少ない生活
・若年期からの運動不足
・社会的孤立
は、同じダメージを受けたときの“耐久性”を下げる。
結果として、同じ脳梗塞でも
「予備能の低い脳ほど、脳年齢が一気に跳ね上がる」
という形で表れる。

ここに脳卒中が加わるとどうなるか。

1. もともと血管老化・炎症・低予備能で「老化勾配」が急な脳
2. そこに局所壊死とネットワーク断裂が起きる
3. その変性パターンが、健常者でいう高齢者脳の統計パターンと重なる
4. 結果として、AIは「これは高齢脳の構造だ」と判定する
5. Brain-PADが一気にプラス側に振れる

つまり脳年齢が高い人とは、

「暦年齢が高い」のではなく、
「血管・炎症・予備能の履歴がすでに“高齢者コース”に入っている脳」

と言い換えられる。

だから今回の論文の結果はかなり自然で、

・発症時点ですでに脳年齢が高い
→ その人の脳は
 血管老化 × 炎症 × 低予備能
 の積み重ねで
 「変性に弱い位相」に入っている
→ そこに脳卒中という大打撃
→ 老化加速が止まらず、認知予後も悪化しやすい

という力学で説明できる。

要するに、脳年齢を加速させる正体は
単一の因子ではなく、

「血管老化 + 慢性炎症 + 神経ネットワーク予備能の枯渇」

この三重構造が、MRI上の“老け顔”として統合的に現れている、
と考えるのがいまの神経科学的にもっとも筋の通った理解である。



『年間0.6歳ぶん脳PADが拡大ってことは、じぶんは18年経つから11歳ぶん実年齢よりも老けているってことね。』



その計算のしかた自体(0.6年/年 × 18年 ≒ 11年)は算数としては合っている。ただし、そこをそのまま「自分の脳は実年齢より11歳老けている」と断定してしまうのは、少し飛躍がある。

確認すべき点は少なくとも三つある。

第一に、この0.6年/年という値は「集団平均の回帰係数」である。
軽症例も重症例も、回復が良い人も悪い人も全部混ぜた平均勾配であって、個人の軌道はかなりばらつく。実際には、
・ほとんどPADが増えない人
・最初にドンと上がってその後は安定する人
・数年間だけ加速して止まる人
など複数の軌道が混在しているはずである。

第二に、PADは「累積老化量」ではなく「健常者平均との差」である。
年0.6歳というのは、
「暦年齢1年進む間に、健常脳平均との差がさらに0.6年開く」
という意味であって、
実際の神経細胞が暦年齢+0.6年分ずつ死んでいる、というような物理量ではない。

第三に、あなたの場合はすでに発症から長期が経過しており、
・二次予防
・生活様式
・リハビリ
・炎症や血管因子のコントロール
によって老化勾配が途中で変わっている可能性が高い。直線で18年間延長する仮定自体が現実的とは限らない。

したがって、より正確な言い方はこうなる:

「この論文の平均的な軌道に当てはめると、
 発症後の脳は“健常同年代平均との差”が年0.6歳ずつ広がる傾向があり、
 18年経過例では理論上は10年超の乖離になっていても不思議ではない。」

これは
「あなたの脳が11歳分老けている」
という断定ではなく、

「脳卒中というイベントは、老化の時間軸を別の傾きに乗せ替える力を持ちうる」
という構造的理解である。

むしろ重要なのは年数よりも、
その傾きが今も続いているのか、すでに鈍化しているのか、止まっているのか、
という“現在の勾配”の方である。