2026年2月14日

脳卒中の回復は一本線じゃない:比例回復則を再点検し、リハビリ神話を疑う

2026  1月  イタリア


脳卒中の回復は「最初にどれだけ悪かったか」でだいたい予測できる、という考え方がよく使われる。その代表が比例回復則(PRR)で、「最初の障害の約70%は戻る」と説明されることがある。さらにPRRでは、回復がこのルールに合う人(fitters)と、合わない人(non-fitters)に分ける枠組みがある。

しかし、このやり方には引っかかりどころがある。回復量の計算式の作りのせいで、相関が強く見えやすい(数学的カップリング)可能性がある。またNIHSSのような点数は上限があるため、軽い人ほど「もう良くなりようがない」形になり、比例的にみえやすい)。さらにfitters / non-fittersの分け方は手法によって変わり、同じ患者でも分類が入れ替わることがある。

そこで、PRRのような「一本の直線」で回復を説明するのではなく、データから回復軌道の再分類をこころみたそうな。



発症時刻がはっきりしないwake-up strokeを対象にしたWAKE-UP試験から、条件を満たす201人を選んだ。軽すぎて点数が0になってしまう人などは除外し、天井効果の影響をなるべく減らしている。

回復の指標は、22–36時間のNIHSSと90日のNIHSSから作る「回復率(Recovery Ratio)」である。ざっくり言うと「22–36時間の時点から、90日までにどのくらい点数が減ったか」を割合で見たものだ。

この回復率だけを使って、教師なしクラスタリング(Repeated Spectral Clustering)という方法で、回復の似た人同士を自動的にグループ分けした。病変の大きさ、左右、rtPA治療、出血、90日mRSなどは、後から「グループに違いがあるか」を調べるために使った。

比較のために、同じ集団にPRRの直線モデルも当てはめた。



次のようになった。

・PRRで解析すると、これまでの研究と同じように「初期の重さと回復量が強く関係する」結果が出て、平均回復率も約70%になった。つまり“見た目”としてはPRRが再現された。

・ただし、回復率の分布はきれいな形(正規分布)ではなく、fitters / non-fittersの分け方も方法によって大きく変わった。つまり「二分するやり方が安定しない」ことが示された。

・クラスタリングでは、回復は2種類ではなく6種類に分かれた。
C0:回復率100%(完全回復帯)
C1:平均より高い回復率
C2・C3:平均帯(PRRに沿う帯)
C4:低回復帯
C5:ほぼ回復なし/悪化帯(回復率≈0付近)

つまり、PRRの一本線にみんながきれいに乗るのではなく、「回復の型がいくつもある」ことがはっきりした。

・病変の大きさ(体積)は、回復グループの違いをあまり説明しなかった。一方で左半球の病変は回復が弱いグループに多かった。rtPAは急性期や3か月の成績を良くするが、22–36時間以降から90日までの“回復の進み方の型”自体は、治療ありなしで大きく変わらなかった。

・さらに、22–36時間から7日までの「早期回復率」が0.3以上の人は、約90%が良い回復グループ(C0–C3)に入った。入院中の早い段階で、だいたいの回復ゾーンが読める可能性が示された。


PRRはこの集団でも“それっぽく”見える結果を出すが、回復の実態は一本のルールではなく、複数の回復パターンの集合である。fitters / non-fittersの二分法はやり方次第で揺れやすく、回復の多様性を十分に表しにくい。
回復率を使ったクラスタリングは、患者を「ルールに合う・合わない」で分けるのではなく、「どの回復パターンに近いか」で整理できる。これは回復の理解を細かくし、将来は個別化リハや神経可塑性を狙う介入の評価にも役立つ可能性がある、


というおはなし。

脳卒中の比例回復則




感想:

『こういうことよね。
・比例回復則(PRR)は急性期の患者回復軌道を単純化しすぎているという見方はあるが大勢としてはそのように振舞っていることが再確認された。
・PRRはnon-fitter の存在を認めているのだから細かく層別化すればさらなる回復軌道が現れるのは当然である。

PRRの本当の意義は、医療側が患者をつなぎとめるためにうたう「急性期リハビリ神話」に批判的視点を与えてくれるところにあると考える。
つまり放っておいても障害分の70%は数か月以内に自然回復するのだから、そのタイミングでリハビリをテキトーに施すだけで、手柄はすべて療法士せんせいに帰するってこと。』



以下、医師国家試験正答率98%AIの進化版GPT-5の回答コピペ↓



あなたの整理は筋が通っている。ここは「言えること」と「言い過ぎになるところ」を分けると、ブログ記事としても攻撃力が上がる。🧠

まず1点目。
「PRRっぽい振る舞いが再確認された」は、この論文の書き方に沿っている。著者ら自身、同じコホートにPRR回帰を当てると、先行研究と整合する相関(ρ≈0.73)や、fittersの平均回復率が約70%になることを示している。つまり“見かけ上PRRは再現される”。
ただし、同時に著者は「その二分法は手法依存で揺れる」「回復率分布は正規的ではなく、PRRが典型値を表していない」という批判も並べている。だから、結論の言い方としては「PRRが真理として確定」ではなく、「PRR様の所見は出るが、それを額面通りに“法則”扱いするのは危うい」というバランスにすると強い。

2点目。
「non-fitterがあるなら細かく層別化すれば回復軌道が増えるのは当然」も、その通りで、論理的にきれいである。この論文もまさに、fit/non-fit二分を6層(C0〜C5)に分解した格好で、C2/C3がPRRに沿い、C4/C5が低回復〜悪化として分離される。つまり“PRRフレームの解像度を上げたら層が増えた”という読みは自然である。

ここから先、あなたが言いたい「急性期リハビリ神話」批判へのつなげ方は、戦略としては有効だが、論理の飛躍だけ少し補強すると盤石になる。ポイントは3つである。

(1) PRRが直接言っているのは「自然回復の存在」ではなく「初期障害が回復量を強く規定する」という観察である。
だから「放っておいても70%戻る」は、説明としては強いが、厳密には「多くの人で、結果的にそれに近い回復が見える」という言い方の方が安全である。著者も“多くは非比例的で、固定割合ではない”と述べているので、あなたの主張を通すなら「70%という見かけの平均が、介入の手柄に見えやすい構造を作る」と言い換えると論理が締まる。

(2) 「リハの手柄が療法士に帰する」批判を強くするなら、因果の議論に寄せる。
つまり、急性期〜亜急性期に改善が起きること自体は否定しなくてよい。問題は「改善の原因がリハだと誤認されやすい」点である。PRR的な回復が生じるなら、介入を同時期に置くだけで“介入効果”に見える。ここを「自然回復+回帰 to the mean+スケール天井効果+セレクション」のセットで説明すると、批判が単なる印象論から機序論になる。論文も天井効果や数学的カップリングへの懸念を挙げているので、根拠を置きやすい。

(3) この論文を使うなら、「急性期rtPAでさえ“22–36時間以降の回復軌道”は同じ」という所見が刺さる。
著者は、rtPAは急性期や3か月成績を改善する一方、22–36時間から90日までの回復率(RR)やクラスター分布には差がない、と述べている。これは「強い介入でも、その後の“自然回復パート”は別に動いている」ことを示唆する材料になる。ここを踏み台にすると、「それより弱い介入(リハ)の手柄が過大に語られやすい」というあなたの論旨に接続しやすい。

あなたの主張を“強いまま”保ちつつ、論理を一段強化した形の書き換え案を置く(である調)。

・PRRは回復を一本線で表しすぎるという批判はあるが、同一データに当てはめてもPRR様の相関と「平均70%前後」という見かけは再現される。
・ただし、fit/non-fitの二分は手法依存で揺れやすく、回復の実態は複数の層(回復率帯)に分かれる。PRRは“法則”というより、低解像度の要約図である。
・PRRの実用的意義は、急性期の改善をすべて「介入の成果」と解釈する語りにブレーキをかける点にある。自然回復が大きい時期に介入を重ねると、改善が介入の手柄に見えやすい。
・したがって「急性期リハ万能」ではなく、「自然回復というベースラインを常に差し引いて評価せよ」という視点が重要である。