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2018年1月15日

脳卒中の比例回復則 リハビリはほんとうに必要か?


Does Stroke Rehabilitation Really Matter? Part A: Proportional Stroke Recovery in the Rat.
2018  1月  カナダ

脳卒中で失われた患者の機能が、障害の程度に比例してその70%くらいまで自発的に回復する現象を "proportional recovery rule"(比例回復則)と呼ぶ。

これまで比例回復則は上下肢の運動機能および半側空間無視、失語症でも報告されていて、脳卒中患者のおよそ80%がこの現象をしめす。

皮質脊髄路や運動誘発電位の健全性が比例回復則と関連するとの見方もある。

回復が自発的にすすみリハビリの有無によらないことから生物の持つ本質的な治癒メカニズムと考えられ、脳卒中リハビリの存在意義が問われている。

ところが人で実験する場合、いかなるリハビリ行為もまったく行わない群を設けるのはほとんど不可能に近い。

そこで完全管理の動物をつかって比例回復則を確認できるものか 実験してみたそうな。


人為的に脳梗塞にしたネズミ593匹について、リハビリなしグループ383匹と刺激豊富な環境下でエサ取得訓練を毎日おこなったリハビリグループ210匹にわけた。

3-10週間後、エサ取得動作からみた機能回復度と梗塞のサイズや位置を評価し、比例回復則に適合した個体(Fitter)を分別したところ、


次のようになった。

・全体の30%のネズミが比例回復則を示し、発症直後の機能低下分の66%まで回復した。

・比例回復則を示したネズミの分布にリハビリ有無での偏りはなかった。

・比例回復則のネズミは神経症状が軽く、梗塞が小さく、線条体へのダメージがすくない傾向があった。

・人にくらべ比例回復則に適合する割合が小さい理由として、人為的に発生させた梗塞のダメージが人よりもおおきい可能性が考えられた。

脳卒中のあとの比例回復則は種の壁をこえて観察できる現象だった、


というおはなし。
図:比例回復則の適合者分布

感想:

脳卒中の大部分を占める軽症患者はリハビリをせずとも自然に回復する。

だからリハビリにムキになってはいけない。療法士さんと遊んであげるくらいの気持ちの余裕がほしい。
半側空間無視と失語症にも比例回復則はアリ?

Stroke誌:下肢運動機能の比例回復則からわかること

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2018年1月17日

下肢で比例回復則Fitterなら上肢でもFitter?


Is the proportional recovery rule applicable to the lower limb after a first-ever ischemic stroke?
2018  1月  オランダ

脳卒中のあと6ヶ月間の神経障害からの回復は単に時間の問題であり、回復はほとんどすべて自然に起こるという報告がいくつもある。しかしこのしくみについてはよくわかっていない。

その回復ぶんは上肢、半側空間無視、失語で共通していて、脳卒中で低下した機能スコアの60-97%の回復が期待でき、"proportional recovery rule"(比例回復則)とよばれる。

この比例回復則が上肢機能に適合しない患者は、半側空間無視にも適合しないことから神経障害に共通した自発的回復メカニズムがあることをうかがわせる。

そこでほとんど検証されていない下肢機能の比例回復則の有無と適合者(Fitter)および非適合者(non-Fitter)を見分ける特徴とその条件が上肢機能にもあてはまるものか確かめてみたそうな。


脳梗塞患者202人について、発症後72時間以内と6ヶ月後に下肢機能(FMA-LE)および上肢機能(FMA-UE)を評価した。

発症直後の下肢機能から比例回復則で予測される機能回復を果たした適合者と予測から外れた非適合者の特徴をしらべた。


次のようになった。

・87%の患者の下肢機能が比例回復則にしたがっていた。

・その回復は機能低下ぶんの64%だった。

・発症直後のFMA-LEスコアが14ポイント以上のすべての患者は比例回復則に適合していた。

・しかし14ポイント未満であっても78人のうち51人が比例回復則に適合していた。

・非適合者は適合者よりも初期の神経症状が重かった。

・下肢機能の比例回復則に適合しなかったすべての患者は上肢機能の比例回復則にも適合しなかった。

比例回復則への適合度は患者ごとに下肢と上肢で一貫しているようにみえた。適合者を見分ける方法が確立すればリハビリ計画におおきく役立つだろう、


というおはなし。
図:下肢の比例回復則 Fitter non-Fitter

感想:

昨年の報告でも下肢のFitter率は非常に高い。
Stroke誌:下肢運動機能の比例回復則からわかること
つまり重症患者を除くと、歩行訓練はやってもやらなくても ほとんど全員が自然と歩けるようになるということ。

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2017年4月6日

Stroke誌:下肢運動機能の比例回復則からわかること


Proportional Recovery From Lower Limb Motor Impairment After Stroke
2017  3月  ニュージーランド

脳卒中のあと皮質脊髄路にダメージが無い場合、その後のリハビリ訓練量にかかわらず 低下した運動機能の一定の割合≒70%が3ヶ月後には自発的に回復するという経験則があり "Proportional Recovery Rule"(比例回復則)ともいわれている。

比例回復則は上肢機能についてはよく調べられているが下肢の報告は無いのでしらべてみたそうな。


脳卒中患者32人の下肢運動機能を3日後と3ヶ月後に評価した。

皮質脊髄路の健全性はTMSとMRIで評価した。
これらと運動機能の回復度、リハビリ訓練時間との関連を解析したところ、


次のようになった。

・3ヶ月後、低下した下肢運動機能の74%が回復した。

・皮質脊髄路の健全性は下肢回復度の予測の役に立たず、

・しかも回復度はリハビリ訓練時間にもよらず、初期の運動機能低下度のみで決まった。

・上肢の研究では患者の30%は比例回復則にフィットしないはずなのに、今回そういった患者群はなかった。

脳卒中での下肢運動機能の低下は 3ヶ月後にその70%まで回復した。上肢研究でみられた比例回復則に沿わない患者群がいなかったことは 微力ながら別の神経経路(網様体脊髄路)の寄与があったことをうかがわせる。訓練量にもよらなかったことから、比例回復則はもともと備わっている生体プロセスなのであろう、


というおはなし。
図:下肢の比例回復ルール
回復度ΔFMは訓練時間と相関しない。


感想:

比例回復則は2006年ごろから話題になりはじめて、すでに失語や半側空間無視でも同様の効果が確認されている。

ようするに神経インフラさえ残っていれば、リハビリしようがしまいが 落ち込んだ機能スコアぶんの70%は勝手に回復する ってこと。

リハビリ訓練と回復はまったく関係ないというこれ↓に通じるものがある。
題指向型訓練 いくらやっても役には立たない

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2018年7月16日

感覚障害も比例回復則するの?


Is There Full or Proportional Somatosensory Recovery in the Upper Limb After Stroke? Investigating Behavioral Outcome and Neural Correlates
2018  7月  ベルギー

近年、脳卒中で麻痺した上肢の運動機能は リハビリの有無にかかわらずその機能低下ぶんの70%が数ヶ月内に自発的に回復することが確認され、比例回復則(proportional recovery rule)と呼ばれている。

しかし皮質脊髄路の健全性に問題がある患者では このルールに則らない(nonFitter)ことがあると考えられている。

今回、上肢の体性感覚機能についても比例回復則があてはまるものかくわしくしらべてみたそうな。


32人の脳卒中患者について発症から4日、7日、6ヶ月後の感覚機能をEm-NSA(Erasmus MC modification of the revised Nottingham Sensory Assessment)で評価した。

Em-NSAでは、体性感覚機能を
1)感覚の有無
2)シャープさや鈍さを受動的に識別する能力(パッシブ処理)
3)感覚を統合して立体物を能動的に識別する能力(アクティブ処理)
にわけて評価した。

また、MRIを使って視床-皮質、島-弁蓋路の病変量を測定し関連を解析したところ、


次のようになった。

・上肢運動機能には比例回復則がみられ、nonFitterグループも確認できた。

・上肢の体性感覚は6ヶ月後にはほぼ全員が回復していた。

・パッシブおよびアクティブ感覚処理には比例回復則が確認でき、それぞれ86%、69%が自発的に回復した。

・4,7日時点で感覚障害のあった患者には視床-皮質、島-弁蓋路の病変量がおおきかった。

今回のサンプルでは全員がはやくに体性感覚を取り戻したが、パッシブおよびアクティブ感覚処理の回復は比例回復則にしたがっていた、


というおはなし。
図:比例回復則 上肢の運動機能と体性感覚

感想:

たしかに今も左腕の感覚は弱いものの、まったくの「ゼロ」だった期間は短く数週間だったよ。

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2017年6月9日

半側空間無視と失語症にも比例回復則はアリ?


Principles of proportional recovery after stroke generalize to neglect and aphasia.
2017  6月  スイス

脳卒中患者の運動機能は、低下したぶんの70%がおよそ3-6ヶ月間で勝手に回復するグループとほとんど回復しないグループに別れる。これを比例回復則 "proportional recovery rule"とよぶ。

運動機能にみられる比例回復則が半側空間無視や失語症にもあらわれるとする報告があるので確かめてみたそうな。


脳卒中で半側空間無視の患者35人と失語症の患者14人について、3週間後と3ヶ月時点での機能評価を行い回復度を比較したところ、


次のことがわかった。
・患者の回復度は良好と不良の2グループにはっきりと分かれた。

・半側空間無視の30人と失語症の10人は低下した機能ぶんの71%が回復した。

・残りの計9人の回復ぶんは25%未満だった。

脳卒中患者の半側空間無視や失語症にも 運動機能の回復にみられた比例関係と2分化が確認できた。運動機能と認知機能の回復には共通の可塑的プロセスがあるのではないか、、


というおはなし。
図:脳卒中半側空間無視の比例回復則

感想:

「治る人はすぐ治るし、治らない人は治らない」
言ってしまっては身も蓋もないテーマを語れるようになったのはおおきな進歩だとおもう。
Stroke誌:下肢運動機能の比例回復則からわかること

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2019年3月7日

Brain誌:半側空間無視のシータバーストと比例回復則


Theta burst stimulation in neglect after stroke- functional outcome and response variability origins
2019  2月  スイス

脳卒中で半側空間無視の患者の、過活動状態にある健常側の脳半球のはたらきを磁気刺激などの非侵襲的な方法で抑えると 無視症状が緩和されるという報告がいくつかある。

ただしこの効果はすべての患者にあてはまるものではなく個人差がおおきい。

そこで、健常脳を抑制する条件と、効果があらわれる個人の特徴をくわしくしらべてみたそうな。



亜急性期の右脳の脳卒中で、左の半側空間無視の患者30人と無視症状のない30人について、

右脳の後頭頂葉に連続シータバースト磁気刺激をあたえた。

適した刺激量をさぐるため、1バーストトレイン44秒の磁気刺激を4日間で計8トレインまたは16トレイン、偽刺激 の3グループにわけて実験した。

無視症状と日常生活動作ADL、機能的自立度FIMを3ヶ月後までフォローした。

損傷の位置と拡がりを画像ボクセル解析VLMSでしらべた。

また比例回復則(proportional recovery rule)で予想される回復程度(~70%)とも比較した。



次のようになった。

・全体としてシータバースト刺激グループ(8と16トレイン)で無視症状のあきらかな低下が見られ、効果が3ヶ月以上持続して、

・彼らは身体機能の回復もすぐれていた。

・個人レベルではシータバーストの効果が見られない者は脳梁の、とくに背側注意ネットワークのある後頭頂葉に損傷がおよんでいた。

・シータバーストにより無視症状と機能的自立度があきらかに改善した者の脳梁構造は無傷に保たれていた。

・さらに比例回復則から予測されるADLと無視症状の回復幅はシータバーストにより大きくなっていた。

無視症状のある脳卒中患者で左右脳半球の結合が保たれている場合は、健常脳への連続シータバースト刺激により無視症状はおおきく改善する


というおはなし。

図:脳梁の健全性


感想:

比例回復則はリハビリの有無にかかわらず 運動機能や無視 失語について 機能低下したぶんの70%が数ヶ月間で自発的に回復するという経験則をさす。これに従うものをFitter、はずれる者をnon-Fitterと呼ぶ。

シータバーストにより non-FitterがFitterになるわけではなく、70%の期待回復度が100%ちかくになるようだ。


でもこんな↓はなしもあるからうのみにはできない。
半球間抑制のアンバランスは片麻痺の原因ではなかった

2018年11月16日

上肢感覚リハビリの方法と効果予測


Initial severity of somatosensory impairment influences response to upper limb sensory retraining post-stroke
2018  10月  オーストラリア

脳卒中患者のおよそ半数は触覚や深部感覚の障害を経験する。しかしリハビリテーションはおもに運動機能にフォーカスしているため感覚障害はあつかわれないことがすくなくない。

上肢の運動機能障害に関しては Proportional Recovery Rule(比例回復則)があって、初期の障害程度に比例した自発的回復が予想できる。
しかし重度の障害患者ではこのルールに則らないことがわかっている。

そこで感覚障害患者に積極的な感覚リハビリをおこなったときに、その回復が初期の障害程度に比例するものか実験してみたそうな。


感覚の弁別能と認識能を再訓練するための方法 "SENSe therapy" (→7つの原理の 詳しいYoutubeリンク)を用いた2つの臨床試験のデータを用いた。

脳卒中で上肢感覚麻痺の80人の患者について、感覚訓練の効果を質感弁別、手首の深部感覚、触覚による物体認識について訓練前後で評価したところ、


次のことがわかった。

・訓練後の感覚障害の回復は訓練まえの障害程度に比例していた。

脳卒中で上肢感覚麻痺患者への感覚訓練の効果は、訓練まえの障害程度と比例関係にあり予測が可能だった。この感覚訓練は重度の感覚障害にも期待できる、


というおはなし。

図:脳卒中感覚障害の比例回復

感想:

比例回復則からのおちこぼれ(non-fitter)を救えるんだね この感覚リハビリは。
感覚障害も比例回復則するの?

2017年6月3日

被殻出血患者の運動機能回復曲線


Difference of recovery course of motor weakness according to state of corticospinal tract in putaminal hemorrhage.
2017  5月  韓国

脳卒中の運動麻痺からの回復パターンがわかるとリハビリ目標もたてやすい。

こんかい 皮質脊髄路の健全性と運動機能の回復パターンとの関連をしらべてみたそうな。


被殻出血で片麻痺 平均年齢50の患者36人について運動機能を6ヶ月間フォローした。

3ヶ月時点で撮影した拡散テンソルMRIから 皮質脊髄路の健全性の高いグループAと、健全性の低いグループBにわけ関連を解析したところ、


次のようになった。

・両グループで回復曲線にあきらかな違いがあった。

・いずれのグループも最初の4ヶ月間におおきな回復があり、

・それ以降は回復がほぼとまった。

被殻出血で 皮質脊髄路が保たれた患者は明らかに運動機能の回復が良かった。いずれの場合も回復は最初の4ヶ月間だけ続いた、


というおはなし。

図:被殻出血からの回復 Motricity Index

感想:

じぶんは被殻出血だから、、

これ↓おもいだした。
Stroke誌:下肢運動機能の比例回復則からわかること

脳内出血は脳梗塞に比べ最初の数ヶ月だけ凄いスピードで中途半端に回復する

2018年9月1日

やる気があるから回復するの?


Stroke Patients Motivation Influence on the Effectiveness of Occupational Therapy
2018  7月  リトアニア

脳卒中患者のおおくは無気力で無関心なアパシー状態になる。それはリハビリ結果にもおおきく影響することが予想される。

脳卒中患者の「回復への動機」の種類と関連要因についてしらべてみたそうな。


30人の脳卒中患者について Multidimensional Health Locus of Control (MHLC) スケールを用いて
*自分のちからで病気から回復しようとする「内的な動機(Internal Motivation)」と、
*周囲の人たちがなんとかしてくれるとする「外的な動機(External Motivation)」をスコア化し、
作業療法後の機能的自立度FIMとの関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・リハビリの開始時には外的な動機が強かった。

・リハビリの終盤には内的動機が1.8ポイント増加し、外的動機は2.4ポイント減少した。

・リハビリ開始時のFIMは70.0で、終了時には96.9に達した。

・リハビリ開始時の内的動機スコアはFIM改善度とあきらかに関連していた。

・高齢患者は若年者よりも内的動機スコアが低かった。
患者は当初、外的な動機がつよかったが これはやがて低下した。リハビリ当初から内的な動機が強い患者は日常生活動作の改善度もおおきかった、


というおはなし。

図:内的動機と機能的自立度

感想:

彼らは当初から意欲があってリハビリを頑張ったから報われた、というストーリーはリトアニアではまだ通用しているようだ。

さいきんはこの↓見方がメイン。
脳卒中患者のほとんどは軽症で、かれらの機能低下ぶんの7割以上は "比例回復則" によりリハビリせずとも 数ヶ月間で自然に回復することがあきらかになっている。
だから動機のつよさと回復度に相関はあっても因果関係はない。

2018年7月9日

半側空間無視はほとんどが自然に治る


Impact of clinical severity of stroke on the severity and recovery of visuospatial neglect
2018  7月  オランダ

半側空間無視は通常、損傷脳半球の反対側に注意障害がおきる。そして脳卒中が重症のばあいには同側にも無視が生じる。

そこで、重症脳卒中の半側空間無視とその症状の時間的変化をしらべてみたそうな。


右脳の脳卒中患者90人を非常に重症である 完全前循環梗塞(total anterior circulation infarct:TACI)38人と非TACIグループ52人にわけた。

半側空間無視の程度は文字抹消検査(letter cancellation test:LCT)で損傷脳の対側、同側についてしらべた。

発症から 1, 2, 3, 4, 5, 8, 12, 26週までその自発的な改善変化をフォローしたところ、


次のことがわかった。

・同側と対側の無視については臨床的重症度とLCTの取りこぼし数とのあきらかな関連はなく、

・いずれの場合も その数は時間が経つにつれ徐々に減少した。

・TACIタイプの重症脳梗塞では同側の無視症状の回復スピードがあきらかに遅かった。

広範囲におよぶ脳梗塞では同側への空間無視症状の回復があきらかに遅かった。しかしこれら症状は時間が経つにしたがい自発的に回復していった、


というおはなし。
図:半側空間無視の週別変化


感想:

この回復パターンは比例回復則 (proportional recovery rule)のそれとおなじで、そこから外れる患者こそが治療対象になるべきだって。

2018年5月15日

刺激豊富な環境と課題訓練の相乗効果


Synergistic Effects of Enriched Environment and Task-Specific Reach Training on Poststroke Recovery of Motor Function
2018  5月  カナダ

刺激豊富な環境や集中的なリーチ課題訓練は神経の可塑性をうながすと考えられている。これらを単体でおこなったときと組み合わせた時の効果を実験してみたそうな。


人為的に脳梗塞にしたネズミをつぎの3グループにわけた。

1.刺激豊富な環境
2.リーチ課題訓練
3.刺激豊富な環境+リーチ課題訓練

さらに偽手術+刺激豊富な環境グループも作成した。

ペレット取得テストの成功個数を9週間後までフォローした。

刺激豊富な環境では通常よりも広いかごに多くのネズミと遊具を入れた。


次のようになった。

・刺激豊富な環境とリーチ課題訓練を組み合わせたグループでペレット取得数の回復がもっとも大きかった。

・刺激豊富な環境のみ、リーチ課題訓練のみのグループではいずれもスコアは低いままだった。

・当初の機能低下度の70%が自律回復するという比例回復則(proportional recovery rule)はみられず、むしろ梗塞体積と訓練強度で回復度がきまっていた。

刺激豊富な環境とリーチ課題訓練の相乗効果がみられた。この効果は長く続き、回復程度は梗塞体積と訓練強度によった、


というおはなし。
図:刺激豊富な環境とリーチング課題の相乗効果

感想:

上のグラフ、たしかに相乗効果がすごい。

読むとリハビリ中はエサ取り放題なんだって。たぶんここがポイント。

人の場合は ペレットの代わりに10円玉をつかみ持ち帰り放題にするといい。これにゲーム環境をプラスすれば間違いなく治る。

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2019年3月14日

短下肢装具を与えると転倒3倍


The effect of ankle-foot orthoses on fall-near fall incidence in patients with (sub-)acute stroke- A randomized controlled trial
2019  3月  オランダ

入院中に転倒を経験する脳卒中患者は14-65%、退院後6ヶ月間の転倒は37-73%という。

これは年間1.3-6.5回の転倒頻度に相当し、一般高齢者の0.65回をおおきく上回る。

短下肢装具はつま先のクリアランスを確保しかかと着地を促す。短下肢装具によって転倒を防ぐ効果が期待できるがくわしい調査はまだない。

そこでランダム化比較試験を試みたそうな。



急性期の脳卒中で片麻痺の患者33人をすぐに短下肢装具を与える早期グループ16人と9週間後から与える遅延グループ17人にわけた。

1-8週、さらに9-52週目まで転倒の有無をフォローしたところ、



次のようになった。
・1-8週では、短下肢装具を早期に与えられたグループで転倒があきらかにおおく 11回 vs. 4回で、頻度は2.9倍だった。

・さらに 転倒した早期グループのうち63.6%は装具を着けていないとき(移乗や立ち上がり)に転倒していた。

・転倒しそこねたケースは 1-8週、9-52週でグループ間に差はなかった。

・骨折を含む重症を負ったケースは6件あった。

早期に短下肢装具を与えられた患者グループで転倒回数があきらかにおおかった。しかも彼らの63.6%は装具を着けていないときに転倒していた、


というおはなし。

図:短下肢装具と転倒回数


感想:

急性期は自発的な回復が起こっている真っ最中(比例回復則)なわけで、そんなタイミングに足首の固定をこころみるのはおかしい。

また 早い時期に物々しい装具を与えることは「じぶんはもうまともに歩けないんだ」という意識を強化して歩行への自信を失わせるだけである。だから装具を着けてもいないのに転ぶ。

これ↓とおなじ。
脳卒中リハビリは害!? 骨折しやすくなることが判明


そもそも装具を急ぐ理由はなさそうだ。
下肢装具をやめてしまう理由

短下肢装具を始めるに適した時期は、、

短下肢装具は使ったほうがいいの?

2018年1月27日

脳卒中患者はなぜリハビリを受けないのか?


Are Stroke Patients Skipping Rehab?
2018  1月  アメリカ

脳卒中のあとのリハビリは非常に大事であると信じられているが、
おおくの脳卒中患者がリハビリを受けないでいるという。
今週水曜日、国際脳卒中学会 in ロスアンゼルスでの報告。


・退院時にリハビリサービスを紹介されたノースカロライナの脳卒中患者369人をフォローした。

・自宅リハビリサービスを紹介された115人のうち30日以内に利用した者は43.5%だった。

・外来リハビリを紹介された85人では34%のみが利用していた。

・年齢や重症度、障害の程度を考慮すると非白人患者は白人患者よりも外来リハビリを受けない傾向が78%つよかった。

・自宅リハビリサービスを紹介された患者には年齢や職業、所得での差はなかった。

自宅リハビリには保険の自己負担ぶんもないにもかかわらず半数以上がサービスを利用しない。なぜなのか理由がわからない、、、


というおはなし。
図:脳卒中後のリハビリ

感想:

脳卒中患者のほとんどは軽症である。急性期こそ麻痺がひどくてびっくりするが、機能低下ぶんの70%以上は比例回復則にしたがい数ヶ月で自然と回復してしまう。

ようするに脳卒中後のリハビリサービスには一般に考えられているほどの高いニーズはない、ってこと。

じぶんも勧められるままにリハビリ病院へ転院したけど、行かなくてもなにも変わらなかったろうな、、、とは いまさらながらに思う。

療法士さんには気持ちの支えになってくれたという点で感謝している。

2018年10月20日

下肢動作観察のミラーニューロンシステム


Activation of mirror neuron system during gait observation in sub-acute stroke patients and healthy persons
2018  10月  日本

歩行訓練と動作観察の組み合わせが慢性期脳卒中の歩行リハビリをうながすとする報告がいくつかある。

これにはミラーニューロンシステム(下頭頂小葉-上側頭溝-下前頭回)が関与していると考えられている。

亜急性期の脳卒中患者でも動作観察でミラーニューロンシステムが活性化するのか については報告がないので、実験してみたそうな。


入院していて歩行リハビリ中の神経症状の軽い脳卒中患者5人と健常者9人について、

健常者の歩行ビデオを30秒おきに見せながらのfMRIをトータル6分間撮影した。


次のようになった。

・動作観察中、脳卒中患者の左側の下頭頂小葉と左右の下前頭回の活動があきらかに高くなった。

・健常者では、左側の下頭頂小葉と下前頭回 中前頭回 上側頭葉および左右の中側頭回で活動が高くなった。

亜急性期の脳卒中患者でも動作観察によりミラーニューロンシステムが活性化することが確認できた、


というおはなし。

図:動作観察とミラーニューロンシステム


感想:

ミラーニューロンシステムが活性化したから脳卒中患者の歩行が改善したとは思わない。

なぜなら運動神経の経路にダメージがなければ、なにもしなくても勝手に治るものだから。↓
Stroke誌:下肢運動機能の比例回復則からわかること

2017年7月4日

ランセット誌:脳卒中リハビリは家族にまかせて問題ない


Family-led rehabilitation after stroke in India (ATTEND): a randomised controlled trial.
2017  6月  インド

インドではリハビリを専門とする施設が非常にすくないためほとんどの脳卒中患者は利用する機会がない。

専門性の高いリハビリ資格をもったスタッフから患者家族にその職能権限を移譲する「タスクシフティング(Task Shifting)」には関心が寄せられているがその安全性は定かでない。

そこで大規模に実験してみたそうな。


14の病院に入院した脳卒中患者1250人を2グループに分け、いっぽうのグループの家族にリハビリトレーナーとしての訓練をほどこし 早期に退院させて自宅で患者のリハビリを行わせた。

患者家族への訓練は病院にて1日1時間x3日間で 障害の評価、目標の建て方、トレーニング方法、励まし方などを学ばせた。

6ヶ月後の患者状況を病院での通常リハビリグループと比較したところ、


次のようになった。

・1日あたりのリハビリの時間、総リハビリ時間は両グループでほぼおなじに設定できた。

・6ヶ月後、死亡または要介護状態にある患者の割合は両グループともに47%だった。

・死亡者や再入院の率もグループ間でほとんど差がなかった。

・非致死性のイベント率もほとんど差がなかった。

脳卒中患者へのリハビリ業務を患者家族に移譲(タスクシフティング)したところ、通常のリハビリにくらべ有害な点はまったくなかった


というおはなし。
図:家族まかせの脳卒中リハビリの6ヶ月後のmRS

感想:

脳卒中リハビリの成果は訓練の量や質によらないことがわかってるから、有害でないならタスクシフティングしない理由がないね。
JAMA誌:課題指向型訓練 やる意味ない

Stroke誌:下肢運動機能の比例回復則からわかること
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