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2019年4月30日

ボバースコンセプトのリハビリ効果

元
Effectiveness of the Bobath concept in the treatment of stroke- a systematic review
2019  4月  スペイン

ボバースコンセプトは1940年代に登場し、中枢神経系や感覚運動制御と筋肉構造の3つの可塑的変化をうながす神経発達学的治療法とされている。

ボバースコンセプトは脳卒中リハビリテーションでもっともおおく採用されてきたアプローチのひとつではあるものの、これまでのシステマティックレビューでは目立った成果は確認されていない。

最新のシステマティックレビューは10年前のものなので、こんかいあらためてレビューしてみたそうな。



2018年1月までの関連論文を複数のレビュワーが厳選し、そのエビデンスレベルをPDroスケールで評価したところ、



次のことがわかった。

・15の臨床試験がみつかった。

・ボバースコンセプトは他のアプローチにくらべ、下肢の運動機能、バランス、日常生活動作 の点でなんら優れた点はなかった。

・上肢について CI療法よりはやや効果的だった。

ボバースコンセプトの脳卒中リハビリテーションは下肢で優れた点はなく、上肢でやや効果がある程度だった、


というおはなし。

図:ボバースコンセプト研究


感想:

CI療法はいまやこの状況↓なのでボバースも推して知るべし。
課題指向型訓練 いくらやっても役には立たない

治療法に人のなまえがついたままであることそれ自体が、手法の一般化ができずに限られた信者だけのものになっているあかしと考える。

2019年4月29日

機械的血栓除去に適した患者の割合

元
How many stroke patients might be eligible for mechanical thrombectomy?
2016  12月  イギリス

脳の血管内の詰まりをステントリトリーバーで掻き出す(機械的血栓除去)が好成績を収め期待されているという。

この治療法の普及には病院間の連携や 患者の適合 除外を判断する基準をそろえる必要がある。

しかしこれまでおこなわれた7つの臨床試験では患者選別の基準が各々ことなっている。これらの基準を共通の患者に適用したばあい、いったいどれだけの患者が治療に適合するものか くわしくしらべてみたそうな。



脳卒中患者データベースから、
発症6時間以内でCTアンギオ、CTパーフュージョンのデータがとれている263人の患者記録を抽出して、

これまでおこなわれた機械的血栓除去の7つの臨床試験 (MR CLEAN, EXTEND–IA, ESCAPE, SWIFT-PRIME, REVASCAT, THERAPY, THRACE)の患者選別基準をそれぞれ適用したところ、



次のことがわかった。

・各基準ごとに適合する患者は53%-3%まで幅があった。

・たとえば4種類の臨床試験基準に適合した患者は17%で、すべての臨床試験基準に適合した患者は1%だった。

・もっとも影響のあった除外理由はCTアンギオで「主幹動脈の閉塞」が認められないケースだった。

・適合基準を「画像診断でASPECTスコアが6より大」としたときに患者の16%が残り、さらにこのうち40%はパーフュージョン条件で除外され、半数以上がNIHSSスコアで除かれた。

発症から6時間以内で画像診断基準を満たした患者はおよそ15%いて、機械的血栓除去術の可能性ありと考えられた。しかしこれまでの臨床試験基準をすべてあてはめると残った患者は 1%のみだった、


というおはなし。
図:機械的血栓除去術の除外要件


感想:

機械的血栓除去術はお医者さんの自慢ネタとして しばしばその成果が大きく誇張されている。↓
脳外科医のつぶやきはフェイクニュース
共通の基準がまとまらない理由はこのあたりにありそうだ。

2019年4月28日

自動車運転のハザード知覚

元
Hazard perception of stroke drivers in a video-based Japanese hazard perception task
2019  4月  日本

自動車運転中に危険な状況に気づく能力をハザード知覚(hazard perception:HP)と呼び、ビデオ映像を見せることでも評価できる。

脳卒中患者でのHP能力についてはよくわかっていないので実験してみたそうな。



平均年齢67、自動車運転歴があって、脳卒中から5ヶ月前後の患者63人と、年齢層のいっちする一般人67人についてHPテストをおこなった。

HPテストでは、被験者はドライブレコーダーの映像を見ながら危険箇所で再生をポーズして詳細を語り、その個数と反応速度を評価した。

HPの種類としてつぎの3つを用意した。

(1) behavioral prediction hazards (BP)
危険が生じるまえから見えているハザード

(2) environmental prediction hazards (EP)
周囲に隠れていて目には見えないハザード

(3) dividing and focusing attention hazards (DF)
上記複数ハザードの組み合わせ

さらに視覚情報処理スピードを評価するTMT(Trail Making Test)をおこなった。



次のことがわかった。

・脳卒中患者はすべてのハザードタイプで回答個数が一般人よりもあきらかにすくなかった。このちがいは損傷脳の左右によらなかった。

・脳卒中患者はBPタイプのハザードにたいして反応速度が遅く、これも損傷脳半球によらなかった。

・TMTでは一般人のタスク完了スピードが脳卒中患者よりもあきらかに速かった。これも損傷脳の左右によらなかった。

脳卒中患者のハザード知覚能力は一般人よりも低く、反応も遅かった。これらは損傷脳の側によらなかった、


というおはなし。

図:ハザード知覚 脳卒中の


感想:

Youtubeに交通事故のドラレコ映像が無数にあがっていて、観始めるととまらなくなる。

ドライバーの気持ちになって動画の先を予測してみる。しかしプリウスがでてくると結末が読める。

2019年4月27日

脳出血の上肢は1-3ヶ月にグイッと回復する

元
Upper extremity recovery after ischaemic and haemorrhagic stroke- Part of the SALGOT study
2016  12月  スウェーデン
脳卒中後の上肢麻痺はめずらしくなく、その回復はおもに最初の3ヶ月間に起きるとされている。

発症直後は脳梗塞よりも脳内出血で上肢麻痺が重いとするいっぽう、回復は脳出血のほうが脳梗塞よりも良いという報告もある。

そこで、上肢麻痺の1年間の回復パターンを脳梗塞と脳出血とでくわしくしらべてみたそうな。

2019年4月26日

Stroke誌:脳内出血のつぎに脳梗塞になる条件

元
Five-Year Risk of Major Ischemic and Hemorrhagic Events After Intracerebral Hemorrhage
2019  4月  フランス

脳内出血の再発率は年間1.3-7.4%で、深部出血よりも皮質出血での再発率が高いという。

脳内出血の再発として通常は出血イベントを想定するため、虚血イベントを防ぐための抗血栓療法の扱いに悩むことになる。

そこで、初回脳内出血患者がその後5年間にふたたび脳内出血または脳梗塞をおこす頻度をくわしくしらべてみたそうな。



2004-2009の脳内出血患者患者560人から3ヶ月間生き延びた313人を抽出し、
再発状況を6年間フォローしたところ、



次のようになった。

・この間に85人に再発があり内訳は、虚血イベント54人(脳梗塞33人+冠動脈疾患など)、出血イベント31人(脳内出血24人+消化管出血など)だった。

・5年後の累積再発率はおよそ20%だった。

・虚血イベントは出血イベントよりもおおかった。

・初回脳内出血の位置が深部の場合は虚血イベントの再発がおおく、皮質出血の場合は出血イベントがおおかった。

・初回が深部出血のばあい、5年時点での虚血イベント率は出血イベントの6倍だった。

脳内出血患者は脳の内外で血管イベントを起こすリスクが高かった。その種類は出血部位に影響され、とくに深部出血では虚血イベントとの関連がつよかった、


というおはなし。

図:脳内出血後の虚血、出血イベント率



感想:

データをみると、再発した85人のうち37人(44%)はもともと抗血栓療法をやっていて最初の脳内出血を起こしている。

ほかの論文でもたまに見かけるんだけど、どうやら脳内出血やる患者のはんぶんくらいがサラサラ系のお薬を飲んでいる。

これでおおくの脳梗塞を防いでいるのならまだしも、、、↓
NEJM誌:アスピリンは予防効果ないうえにとても危険

2019年4月25日

終末期にありがちな亡くなりかた

元
End of life after stroke- A nationwide study of 42,502 deaths occurring within a year after stroke
2018  3月  スウェーデン

自身の死に際しては 自宅で家族に囲まれて迎えたいとおおくのひとが考えている。

脳卒中患者の終末期についての科学論文には呼吸困難や疼痛の緩和 以外では報告がすくない。

経験的に、だれにも看取られずに亡くなる患者が少なくないと思えることから脳卒中患者の看取られ状況を大規模にくわしくしらべてみたそうな。



スウェーデンの3つの関連データベースから、
脳卒中の発症後3ヶ月から1年後までに亡くなった42502人を抽出した。

そのうち16408人については詳細な情報が得られたので解析したところ、



次のことがわかった。

・亡くなった場所は、46%が介護施設、37%が再入院した病院、10%が自宅だった。

・亡くなった者の11%は その死期を予測できていなかった。

・家族に看取られた者の率は49%だった。

・家族や医療スタッフにも看取られなかった(unattended)率は、自宅死の5%、病院死の25%だった。

脳卒中から退院したのに自宅で死を迎えられた者は10%に過ぎず、半数以上に家族は立ち会わなかった。およそ5人に1人はだれにも看取られず亡くなった、



というおはなし。

図:脳卒中の看取ら状況調査



感想:

ドラマのような盛り上がりがないから見守っているほうが疲れちゃうんだろな。

近い将来、病室にネットカメラが設置される。いよいよあぶないと判断したAIが関係者にメールを一斉配信する。
「まもなくライブ終了。いますぐアクセス!」って。

そしておおくの人に見守られて逝ける。

2019年4月24日

TIAから脳卒中になる原因

元
Long-Term Stroke Recurrence after Transient Ischemic Attack- Implications of Etiology
2019  4月  スペイン

TIA(一過性脳虚血発作)のあと脳卒中がすぐに再発したばあいは、TIAも脳卒中も共通の原因であろうことが容易に想像できる。

しかし年単位の長期の間をおいて脳卒中が再発したばあい、おなじ原因と考えてよいものか実はよくわかっていない。

そこでTIA後の長期の再発とその原因、位置、ダメージについて詳しくしらべてみたそうな。



2005-2016のTIA患者706人について、5年ほどフォローしたところ、



次のことがわかった。

・17.7%に再発がみられ、率は年間100人あたり3.6人だった。

・原因は、複数要因が絡むケースと主幹動脈のアテローム硬化(large-artery atherosclerosis:LAA)が主だった。

・再発の70.4%はTIAの原因と同じもので、LAAが83.9%を占めていた。

・原因不明のTIAのばあい、その再発の62.5%は心原性の塞栓症(cardioaortic embolism )だった。

・再発の59.2%はおなじ位置でおきていた。

・再発の65.6%は、mRSスコアが1以上増えるほどの障害を残すもので、原因によらなかった。

TIAのあとの脳卒中の再発はおもに同じ原因と同じ位置でおきた。しかし原因不明のTIAについては心原性の再発がおおかった。再発ケースの半数以上であらたになんらかの障害が残った、


というおはなし。

図:TIA再発原因の一致と再発率



感想:

どういうわけか日本人では↓小血管疾患がメインの再発原因。
日本人のTIA再発原因1位は

そもそもTIAは原因がわからないはず。だから原因推定は使用できる検査機器におおきく影響される。

高解像度のMRIやCTの台数が日本に突出しているアンバランスさが、より小さく細かいものに原因をもとめる背景になっているんじゃないかな。

2019年4月23日

くも膜下出血経験者の欲求と不満

元
The self-reported needs of patients following subarachnoid hemorrhage (SAH)
2019  4月  イギリス

イギリスではくも膜下出血は年間10万人あたり9.1人に起き、65%は最初の出血を生き残る。そして60%が回復良好として退院する。

しかし彼らの19%は生活上なんらかの介助を必要とする。さらに生活の質の低下や社会参加 復職上の困難を経験するという。

くも膜下出血経験者をサポートしようにも彼らの具体的な欲求内容とその満足度についての調査がこれまでほとんどないのでくわしくしらべてみたそうな。



くも膜下出血経験者403人(発症後1-2年260人、3-5年143人)にアンケート調査した結果、



次のことがわかった。

・51%から回答があった。平均年齢は55、63%が女性だった。

・86%に1つ以上の欲求(needs)があり、78%はすくなくとも1つの不満(unmet needs)があった。

・もっともおおい欲求項目は、疲労(66%)、記憶(60%)、集中力(59%)、頭痛(58%)、不安(57%)、、だった。

・これらのおもな欲求項目について80%以上が不満足状態にあると報告していた。

くも膜下出血経験者にはいくつかの欲求項目があり、疲労、記憶、集中力などで、それらの大部分は満たされていない状況だった、


というおはなし。

図:くも膜下出血患者の欲求と不満


感想:

疲労、記憶、集中力のもんだいはくも膜下出血にかぎったことではなくTIAをふくむ脳卒中ぜんぱんで言える。


不満といえば、、

ここ数年、ネットのスピードがおそくて夜の混む時間帯は1Mbpsを下回ることもありおおいに不満だった。

ところが先々週ocnから、「IPoEのIPv6が使えるようになりました無料です」とのメールがきたのでよくわからないままに設定したら、
いきなりこれ↓
図:OCNの速度

それいらい混雑時でも500Mbpsはでてる。

ママチャリからフェラーリに乗り換えたような改善で、とうぜん不満は解消した。
Youtubeの4K60fpsライブもとまらずに再生できるようになった。

2019年4月22日

レジリエンスと生活の質

元
Factors associated with quality of life early after ischemic stroke- the role of resilience
2019  3月  中国

レジリエンス(resilience)は逆境に対する精神的な対処能力を指す。レジリエンスが高いと重い病気にかかってもメンタルヘルスを維持できる能力も高いと考えられている。

しかし一部のがん患者ではレジリエンスとQoLとの関連が見られない、とする報告もある。

そこで脳卒中患者ではどうか、くわしくしらべてみたそうな。

2019年4月21日

片麻痺のライトタッチとバランス

元
Effects of Light Touch on Balance in Patients with Stroke
2019  4月  韓国

脳卒中患者は足裏の圧力や足首への深部感覚に障害を負うことで立位でのバランスがとても不安定になる。

このとき周囲の固定されたものに手の指先を軽く触れる(ライトタッチ)ことで、その感覚情報が姿勢制御ネットワークに代償的にフィードバックされて姿勢動揺が収まることが知られている。

この効果は閉眼時によりおおきく現れるという報告がある。そこで、床の材質の硬軟でも違いがでるものか実験してみたそうな。



脳卒中患者15人と年齢のマッチする健常者15人について、

圧力センサープレートに立たせて、中心圧力(center of pressure:COP)の動揺面積と前後、左右への速度を測定した。

ライトタッチの有無と、開眼と閉眼、硬い床とスポンジの床 の各々の条件で比較した。



次のようになった。

・両グループともに視覚や床の条件にかかわらずライトタッチによりCOPの動揺面積と速度が低下した。

・ライトタッチの効果のおおきさもグループ間で同じだった。

・姿勢動揺を収める効果はスポンジ床のときによりおおきく観測された。

脳卒中の片麻痺患者にとって周囲の物へのライトタッチは、視覚や床の状況によらず姿勢コントロールに効果的と考えられる、


というおはなし。
図:ライトタッチの効果



感想:

こっちの↓ほうが役にたつひともいる。
片麻痺患者の身体の揺れを簡単に抑えるコツ

2019年4月20日

喫煙やめないひとの再発率

元
Impact of Smoking Status on Stroke Recurrence
2019  4月  中国

喫煙が脳卒中のリスク要因であることははっきりしている。

脳卒中後の喫煙と再発との関連についてはじつはよくわかっていない。

その理由として喫煙者の分類が調査ごとに統一されていないことが考えられる。

たとえば喫煙経験のある者(former smoker)や脳卒中をきっかけにやめた者(quitter)を非喫煙者(non smoker)としてよいのかという問題がある。

いっぽう中国人の脳卒中の1年後再発率は17.7%、男性の喫煙率は52.9%で非常に高い。

そこで中国での脳卒中後の喫煙状況と再発リスクについてくわしくしらべてみたそうな。



脳卒中患者3069人について、
喫煙状況および再発を平均2.4年間フォローして関連を解析した。

最初の脳卒中の直前に30日以上喫煙をやめていた者をformer smokerとし、

脳卒中後に1ヶ月以上喫煙をやめ、最初のフォローまで禁煙できていた者をquitterとした。

また脳卒中後さいしょのフォローまで喫煙をつづけ、その後禁煙したとしても1ヶ月間続かなかった者を継続喫煙者(persistent smoker)とした。


次のことがわかった。

・この間に9.5%が再発した。

・非喫煙者にくらべ、喫煙経験者(former)の再発リスクは1.16倍で、

・禁煙者(quitter)のそれは1.31倍、

・継続喫煙者(persistent)は1.93倍だった。

・とくに継続喫煙者のうち1日の本数が1-20の場合、再発リスクは1.68倍で、40本以上では2.72倍におよんだ。

最初の脳卒中のあと 喫煙をやめない者の再発リスクは非喫煙者の約2倍で、喫煙本数と用量関係にあった、


というおはなし。
図:喫煙ステータス


感想:

脳卒中ごときにビビらず己の生き方をつらぬく剛の者。こうありたいものだ。

ちなみに上の表みると、脳卒中をきっかけに喫煙を始めるようなひねくれ者(new smoker)はゼロだった。

2019年4月19日

Stroke誌:脳のここをやられるとラテロパルジョン

元
Lesion Localization of Poststroke Lateropulsion
2019  4月  アメリカ

脳半球が損傷を受けると身体がその反対側に傾きやすくなる。この傾向を lateropulsion(ラテロパルジョン)と言い、特に脳卒中での場合をPusher Syndrome(プッシャー症候群)と呼び、10-60%の脳卒中患者で起きるという。

ラテロパルジョンがあると機能回復がおくれるとされる。経頭蓋磁気刺激などで回復を促すにしても脳のどの位置がラテロパルジョンともっとも関連が強いのか、いまだあきらかでない。

そこで、これまでの研究にない規模で脳の損傷位置とラテロパルジョンとの関連をくわしくしらべてみたそうな。



脳卒中でラテロパルジョンを示す患者50人と、
年齢、性別、発症からの期間、身体能力のいっちするラテロパルジョンのない別の50人の脳卒中患者について、

脳の損傷位置をすべて右の脳半球にマッピングしてラテロパルジョンともっとも関連の強い部位を解析した。

ラテロパルジョンの評価は "Burke Lateropulsion Scale"を使用した。



次のことがわかった。

・ラテロパルジョンともっとも関連のつよい部位は下頭頂小葉で、中心後回のブロードマン領野2から40にかけての範囲だった。

・ラテロパルジョンの患者は脳の損傷ボリュームが大きかった。

ラテロパルジョンと関連のつよい脳卒中の損傷部位は、体性感覚-視覚-前庭感覚の統合を司るとされる「下頭頂小葉」だった。ラテロパルジョンの患者は損傷体積もおおきかった、


というおはなし。
図:ラテロパルジョンが起きる脳の位置


感想:

プッシャーだとふなっしーみたい。ラテロパルジョンのほうが響きがいい。

療法士さんのまえで知ったかするときに使おう。

2019年4月18日

HALリハビリ 期待外れだった

元
A Randomized and Controlled Crossover Study Investigating the Improvement of Walking and Posture Functions in Chronic Stroke Patients Using HAL Exoskeleton - The HALESTRO Study (HAL-Exoskeleton STROke Study)
2019  3月  ドイツ

脳卒中慢性期の下肢リハビリとして外骨格ロボットを着けた歩行訓練が期待されている。

とくにHAL( hybrid assistive limb)では患者の筋電シグナルをトリガーとして動作することから神経の可塑性をうながす効果が考えられる。

そこで、前時代的な考えかた(ボバースコンセプトや促通)にもとずく通常の理学療法とHALをつかったリハビリの効果を比較してみたそうな。



慢性期脳卒中で中レベル以上に歩行困難な片麻痺患者18人について、

通常の理学療法もしくは体重支持付きHALトレッドミルを各6週間、30分間x30セッションおこなった。

じっさいには患者を2グループにわけて理学療法とHALリハビリの両方をグループごとに1週間の間をあけて理学療法とHALリハの順番を換えて(Crossover Study)おこなった。

10m歩行タイム、タイムアップアンドゴー、6分間歩行距離、歩行自立度FAC、バランス能力を評価 比較したところ、



次のようになった。

・両リハビリ方法ともにいくつかの指標で有意な改善はみられたものの、

・いずれもあきらかな差は確認できなかった。

HALリハビリが理学療法よりも効果的であるとは言えなかった、


というおはなし。
図:体重支持つきHAL


感想:

実はこの種のロボット下肢リハビリを肯定する質の高いエビデンスはほとんど存在していない。↓
下肢ウェアラブルロボットのリハビリ効果

脳卒中患者が歩行困難な理由は 脚にちからがはいらないからではなく、感覚麻痺によりちからをいれるタイミングがわからないがゆえにバランスをとれないからである。↓
慢性期の下肢感覚麻痺の割合と転倒

だからパワーだけをアシストされたところで患者は立っていることすらままならない。これでいったいなにをリハビリするというのか?

どうかHALを着けた患者を天井から吊るす「滑稽さ」に思い至ってほしい。

2019年4月17日

脳卒中をまねく昼寝の特徴

元
Association of daytime napping with incident cardiovascular disease in a community-based population
2019  3月  中国

これまで昼寝と糖尿病やメタボリックシンドロームとの関連はあきらかにされてきた。しかし脳卒中をふくむ心血管疾患との関連についてはいまだ一致した見解が得られていない。

この理由として昼寝の定義のあいまいさが考えられる。そこで、昼寝を頻度と長さで分けて心血管疾患との関連をくわしくしらべてみたそうな。



平均年齢63の男女4170人について、
昼寝習慣についてアンケートをとり、

心血管疾患(心臓死、うっ血性心不全、心筋梗塞、脳卒中、狭心症など)を11年間フォローして関連を解析したところ、



次のようになった。

・この間に914人(21.9%)が心血管疾患になった。

・心血管疾患の有病率は、昼寝が定期的(週に5回以上)かつ長い(30分以上)ばあいには34.5%、定期的かつ短い(30分未満)は28.4%、不定期が22.4%、昼寝なしは16.6% だった。

・定期的かつ長い昼寝の心血管疾患リスクは昼寝なしの1.403倍だった。

毎日の長い昼寝は脳卒中など心血管疾患のあきらかなリスク要因だった、


というおはなし。
図:昼寝時間と脳卒中リスク


感想:

ごはんがおいしくていっぱい食べるとどうしても眠くなっちゃうんだよ。

かならずしも昼寝がいけないわけではない↓。
脳卒中をふせぐ昼寝時間がわかった

2019年4月16日

ゴールデンウィークの脳卒中死亡率

元
Holiday Season and Weekend Effects on Stroke Mortality- A Nationwide Cohort Study Controlling for Stroke Severity
2019  4月  台湾
脳卒中で週末に入院した患者は平日入院よりも死亡率が高いとする「週末効果」をしめす報告がいくつもある。病院スタッフの不足が理由と考えられるいっぽう、週末は重症患者が増えるからとする説もある。

公的な休暇が4日以上つづく「ホリデーシーズン」に入院した脳卒中患者の死亡率についての調査はほとんどないのでくわしくしらべてみたそうな。



台湾の健康保険研究データベースから、
2011-2015の脳卒中患者を抽出して、入院日でつぎの3グループに分類した。

1)ホリデーシーズン :3908人
2)週末 :13774人
3)平日 :49045人

院内死亡率、7日後 30日後の死亡率との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・平日入院とくらべてホリデーシーズン入院での死亡率の上昇ぶんは、院内20%、7日後33%、30日後21%だった。

・週末入院とくらべたときのホリデーシーズン入院の死亡率上昇ぶんは、院内24%、7日後30%、30日後22%だった。

・平日入院と週末入院での死亡率に有意な差はなかった。

・重症度で調整しても同様の傾向で、年齢、性別、脳卒中の種類別にみてもかわらなかった。

ホリデーシーズンに入院した脳卒中患者の死亡率は、平日や週末に入院した患者よりもあきらかに高かった。この傾向は重症度や他の要因によらなかった、


というおはなし。
図:ゴールデンウィーク


感想:

もうすぐ 平成-令和スーパーゴールデンウィーク。ここで再発したら詰む。

2019年4月15日

脳動脈瘤は歯周病のせい

元
Periodontitis and gingival bleeding associate with intracranial aneurysms and risk of aneurysmal subarachnoid hemorrhage
2019  4月  フィンランド

頭蓋内の動脈瘤は成人の2-3%にみられる。脳動脈瘤が破裂する率は年間10万人あたり10人ほどで非常にまれである。また 未破裂の脳動脈瘤が存命中に破裂する率は29%という。

いっぽうくも膜下出血の死亡率は40%と高く、
さらに 治療法とされるクリップやコイル塞栓術によって死亡または重度の障害を負う率は5-7%にもおよぶ。

要らぬ治療を避けるためにくも膜下出血のリスクを正しく評価する方法が求められている。

これまで動物実験では炎症によって脳動脈瘤が誘導されることがわかっている。また人の脳動脈瘤の壁から口腔内バクテリアのDNAが検出されている。
そして歯周病と腹部大動脈瘤との関連もあきらかになっている。

そこで、歯周病が脳動脈瘤の形成と破裂にも関連するものか、くわしくしらべてみたそうな。



未破裂脳動脈瘤の42人と破裂脳動脈瘤の34人、および年齢 性別のマッチするコントロール70人について歯周病の有病率をしらべた。

つぎに高血圧や喫煙 飲酒などのリスク要因を抱えた別の5170人についてくも膜下出血を13年間フォローして、口腔内検査をくわえて関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・脳動脈瘤患者の歯周病の有病率は92%で、歯肉ポケット6mm以上の重度の歯周病は49%にみられた。

・とくに歯肉出血が歯列の7割以上の範囲で見られる場合、脳動脈瘤があるオッズ比は34.4倍だった。

・くも膜下出血のリスクは、歯3本以上におよぶ重度の歯周病の場合22.5倍、7割以上の範囲で歯肉出血がある場合は8.3倍に及んだ。

歯周病と歯肉出血は脳動脈瘤の形成および くも膜下出血とあきらかな関連があった、


というおはなし。
図:歯周炎とくも膜下出血率


感想:

よく読むと、未破裂脳動脈瘤へのクリップやコイルでくも膜下出血を防げるとするまともなエビデンスはないんだってね。
わかってたけど。


炎症には腸内細菌も関わっていて、、
Hypertension誌:脳動脈瘤は腸内細菌のせい
歯周病を治療すればくも膜下出血を防げるのだろうか?
歯周病と脳内出血の因果関係は

2019年4月14日

難聴と脳卒中との関係

元
Hearing loss is associated with increased stroke risk in the Dongfeng-Tongji Cohort
2019  3月  中国

難聴は60歳以上の3分の2にみられるという。しかし難聴と脳卒中との関連についての調査はわずかである。

これまでの調査では サンプル数がすくなく、自己申告によっていたり、難聴の程度を評価していなかった。

そこで難聴と脳卒中との関連をくわしくしらべてみたそうな。



平均年齢65の19238人について、

難聴の程度を、正常、軽度、中度、重度、に分類した。

難聴検査は会話周波数(0.5,1,2kHz)および高周波数(4,8kHz)のビュアトーンを用いて、ギリギリ聴こえる音量(dB)で判定した。

その後の脳卒中との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・難聴レベルがひどくなるにしたがい、脳卒中の有病率も高まった。

・正常者にくらべ重症難聴者の脳卒中リスクは会話周波数のばあいで1.76倍、高周波数のばあい1.39倍で、

・脳梗塞に限定すると、それぞれ1.69倍、1.52倍、

・脳出血では それぞれ2.23倍、1.04倍だった。

難聴と脳卒中リスクは用量関係にあった、


というおはなし。
図:難聴度と脳卒中リスク


感想:

これまでの難聴関連記事を見返すとなぜか ぜんぶアジア由来で突発性だった。

突発性難聴と脳梗塞

突発性難聴と脳卒中との関連があきらかに

めまいや突発性難聴は脳卒中のサインなのか?

脳卒中のあと突発性難聴になりやすいは本当?

突発性難聴は脳卒中の前兆なのか?

2019年4月13日

コレステロールと中性脂肪を下げてはいけない理由

元
Lipid levels and the risk of hemorrhagic stroke among women
2019  4月  アメリカ

高コレステロール血症は脳梗塞のリスク要因の1つである。いっぽう総コレステロールやLDLコレステロールが低いと脳出血リスクが高まるとするメタアナリシスがある。

さらにスタチン研究のメタアナリシスではLDLコレステロールを1mmol/L 下げると脳出血リスクが15%上昇することが示されている。

しかしこれら研究のおおくでは女性や脂質レベルのことなるサンプルの数がすくないので、大規模にくわしくしらべてみたそうな。



Women’s Health Study から女性27937人について
血中脂質(総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)の量を測定し、

脳出血(脳内出血とくも膜下出血)の発生を20年間ほどフォローして関連を解析したところ、



次のようになった。

・この間に137人が脳出血を起こした。

・LDLコレステロールは、100-129.9 mg/dLにくらべ 70未満だと脳出血リスクが2.17倍だった。

・LDLコレステロールが130-159.9 mg/dL や70-99.9 mg/dL のグループでは脳出血のあきらかなリスク上昇はみられなかった。

・中性脂肪がもっとも低いグループはもっとも高いグループにくらべ脳出血リスクが2.00倍だった。

・総コレステロールやHDLコレステロールと脳出血との有意な関連はみられなかった。

LDLコレステロールが70mg/dL未満もしくは中性脂肪が低い者の脳出血リスクはあきらかに高かった、


というおはなし。
図:LDLコレステロールと中性脂肪と女性の脳出血


感想:

ちなみにLDLが160を超えるとくも膜下出血リスク0.66倍に下がるんだって。

じぶんの脳内出血も脂質の下げすぎが原因の1つと確信し 反省している。

2019年4月12日

nature.com:日本人の食物繊維と脳卒中

元
Relationship between carbohydrate and dietary fibre intake and the risk of cardiovascular disease mortality in Japanese- 24-year follow-up of NIPPON DATA80
2019  4月  日本

炭水化物はひとのおもなエネルギー源である。炭水化物のとりすぎは脂質や血糖の上昇をまねき脳卒中の原因となる。いっぽう炭水化物が少なすぎても総死亡率が高くなるという。

炭水化物をすすんで摂るべきか、制限するべきかについては その質もまた問題にするべきである。

炭水化物は食物繊維と糖質(デンプンや砂糖)から成る。食物繊維には動脈硬化や血糖 コレステロール 血圧を改善する効果が知られている。

そこで、炭水化物の成分ごとに心血管疾患(脳卒中、冠動脈疾患)死亡リスクとの関連を日本人についてくわしくしらべてみたそうな。



30-79歳の男女8925人を24年間フォローした国民栄養調査のデータを使用して解析したところ、



次のことがわかった。

・食物繊維をほとんど摂らないグループに比べもっとも多く摂るグループの心血管疾患死亡リスクは男性で0.64倍だった。女性で有意な関連は確認できなかった。

・脳卒中による死亡リスクに限定すると、食物繊維をほとんど摂らないグループに比べもっとも多く摂るグループの脳卒中死亡リスクは女性で0.61倍だった。男性で有意な関連は確認できなかった。

・炭水化物、糖質、でんぷんと心血管疾患死亡リスクとの関連は確認できなかった。

炭水化物の構成成分の1つである食物繊維を多く摂ると、脳卒中など心血管疾患で死亡するリスクがあきらかに低下する、


というおはなし。
図:食物繊維と炭水化物


感想:

この調査結果から推奨される食物繊維量は1日に18-20g。

ちなみに日本人の平均摂取量は1952年が20.5gで、2015年は14.5g だったようだ。

2019年4月11日

頸動脈プラークとsdLDLコレステロール

元
Correlation between of small dense low-density lipoprotein cholesterol with acute cerebral infarction and carotid atherosclerotic plaque stability
2019  4月  中国

アテローム性の頸動脈硬化症は急性脳梗塞のおもな原因と考えられ、とくにプラークの安定性が鍵であるとされている。

これまで動脈硬化の数ある要因のうち、LDLコレステロールの影響がもっともおおきいと考えられてきたが、さいきんの研究ではかならずしもそうではないことがわかってきた。

LDLコレステロールは粒子の大きさや含有コレステロール量により さらに数種類に分けることができて、それらのうちとくに小粒子・高密度低比重リポ蛋白(small dense low‐density lipoprotein:sdLDL)コレステロールが いままでのLDLコレステロールよりも動脈硬化をおこす力が強いとする報告がつぎつぎとあがっている。

そこでsdLDLコレステロールと急性脳梗塞およびプラーク安定性との関連を大規模にしらべてみたそうな。



急性脳梗塞患者519人について頸動脈の造影超音波画像と狭窄度から次の3グループに分けた。

1)プラークなし:95人
2)狭窄50%未満+安定プラーク:108人
3)狭窄50%以上+不安定プラーク:316人

血液検査の結果(TC, TG, HDL-C, LDL-C, sdLDL-C)を健常者300人とくらべたところ、



次のことがわかった。

・急性脳梗塞のsdLDLコレステロールは、その量およびLDLコレステロールとの比においてあきらかに健常者よりも高く、独立したリスク要因と考えられた。

・sdLDLコレステロールの量は、不安定プラーク>安定プラーク>プラークなし、の順におおかった。

・sdLDLコレステロールを変数として不安定プラークを予測するROCカーブでは曲線下面積は0.695で、36.80 mg/dLを超えると不安定プラークと考えられた。

sdLDLコレステロールは急性脳梗塞の独立したリスク要因であり、頸動脈プラークの不安定性と正の相関があった、


というおはなし。
図:sdLDLコレステロールと急性脳梗塞


感想:

「sdLDLコレステロール」をはじめて知った。

2019年4月10日

ランセット誌:適量などない!酒は脳卒中のもと

元
Conventional and genetic evidence on alcohol and vascular disease aetiology : a prospective study of 500 000 men and women in China
2019  4月  中国

アルコールの危険性を示す多くの研究があるいっぽう、ほどほどに飲酒したほうが脳卒中予防に良いとする観察結果も数多く存在する。

これがなにかのバイアスや別の要因によるものではなく本当に因果関係によるものなのかを確かめる方法として、関係する遺伝子の変異(一塩基多型)を変数とするメンデルランダム化解析(mendelian randomization analysis)がある。

アルコールはその代謝過程でアセトアルデヒドに変換され、さらに分解される。
この過程に関与する遺伝子に変異があるとアルコールの代謝が進まず多くの酒を呑むことができない。

この遺伝子変異にはいくつかの種類があって、とくにアジア人におおい。そしてこれら遺伝子変異と実際の飲酒量との関連もあきらかになっている。

そこで アルコール摂取量と脳卒中リスクとの関連を、従来型の自己申告による飲酒量に基づく場合と、遺伝子変異から推定される飲酒量を使った場合とでくらべてみたそうな。



中国人男女50万人あまりが登録する カドーリバイオバンク(Kadoorie Biobank) のデータを用いた。
アルコール代謝に関連する遺伝子変異を2種類えらび、被験者を抽出した。

脳卒中の発生を10年間フォローした結果と、

アンケートによる飲酒量との関連を従来型解析し、
さらに遺伝子変異から推定した飲酒量との関連をメンデルランダム化解析したところ、



次のことがわかった。
・男性の33%、女性の2%が頻繁に飲酒していた。

・自己申告による飲酒量の場合、脳卒中発生率との関連はU字型をしめし、週に100g程度のアルコールを摂ったときにもっとも脳卒中リスクが低かった。

・遺伝子変異から推定した飲酒量のばあい、脳卒中発生率とは正の直線的関連になり U字型にはならず、

・とくに脳内出血との関連が強かった。

・心筋梗塞および女性ではサンプルが少なく、これらの関連は確認できなかった。

・いずれのモデル(自己申告と遺伝推定)でも飲酒量と血圧のつよい正の相関がみられた。

ほどほどの飲酒が脳卒中を防ぐかのように見える現象について、大規模な遺伝疫学的解析によると そこに因果関係はなかった。アルコール摂取による血圧上昇だけが認められた、


というおはなし。
図:飲酒量と脳卒中リスク


感想:

飲んだら飲んだぶんだけダメージになるってこと。

まったく酒をのまないグループには身体が弱く病気がちなひとが多かっただけだから(reverse causality)U字型にみえるのかもしれんね。

2019年4月9日

磁気刺激上肢リハビリに運動イメージ訓練を足してみた

元
The Effects of Combined Low Frequency Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation and Motor Imagery on Upper Extremity Motor Recovery Following Stroke
2019  2月  中国

脳卒中の上肢麻痺を改善する方法として、経頭蓋磁気刺激rTMSと運動イメージ訓練MIがある。

いずれも非侵襲的でかつ楽な姿勢でできるので重度の麻痺や慢性期であっても可能である。

これら手法を組み合わせたときの効果を検証してみたそうな。


慢性期脳卒中で上肢麻痺の患者42人をつぎの2グループに分けた。

実験グループ)rTMS+MI
コントロール)rTMS+環境音でリラックス

rTMSは病変と対側の運動野に1Hzの刺激。
MIは録音された指示にしたがって想像上で上肢を動かし日常生活動作の具体的動作を思い描くこと30分間。

これを2週間に合計10セッションおこなった。

上肢機能を4種類の指標(WMFT,UE FMA,BBT,MBI)で評価し、4週間後までフォロー比較したところ、



次のようになった。

・両グループともにすべての評価項目で改善した。

・改善効果は4週間後まで持続していた。

・とくに、運動イメージ訓練を加えた実験グループで改善著しかった。

低周波数の磁気刺激に運動イメージ訓練を加えたところ、磁気刺激のみよりもおおきく改善した、


というおはなし。

図:脳卒中の運動イメージ上肢訓練


感想:

高価な磁気刺激装置を買ったはいいが、ぜんぜん効果がないとわかり しかたなくMIと混ぜて結果をひねりだしたという感じ。

磁気刺激の上肢リハビリは根拠なしってことですでに↓結論でてる。
[結論] rTMSの上肢リハビリ効果について

数ある上肢リハビリのなかで↓ 運動イメージ訓練(メンタルプラクティス)だけが最後の希望。
Stroke誌:上肢リハビリ 良い方法 & ダメな方法

2019年4月8日

ヨーガのポーズで脳梗塞

元
Maryland woman suffers stroke after tearing artery during yoga pose - Fox News
2019  3月  アメリカ

SNSで自慢するためにヨーガのポーズをがんばったところ脳卒中になってしまった女性がいたそうな。

・メリーランド州の女性 レイ(Leigh)は2017の10月に ヨーガの “hollowback handstand”という逆立ちポーズのSNS投稿を試みた。

・ところがその直後、視界がぼやけ腕のコントロールがきかなくなった。

・これが5分間ほどつづいたあと、頭痛がはじまった。

・当初、椎間板を痛めたか いつもの偏頭痛とおもっていた。

・数日後、まぶたが垂れ下がり、瞳孔の左右サイズがことなっていることに気づいて病院へ行った。

・検査結果は脳卒中だった。CTアンギオによると右の頸動脈の一部が裂けていた。それが原因の血栓が脳に飛んだと考えられた。

・また血管が裂けたために小さな動脈瘤も発生したとのことだった。

・頸動脈の一部が裂けるきっかけとして、交通事故や頚椎操作、スケート、水泳、ダンス、くしゃみなどでも起きうるという。

・これら患者には通常抗血栓療法が行われる。

・レイは数週間にわたりベッドを離れられず、食事の介助も必要な状態がつづいた。

・若干の後遺症と再発のおそれはあるものの退院したのちは ストレッチ程度のむりのないポーズでヨーガを続けている、


というおはなし。
図:ホロウバックハンドスタンドhollowback handstand


感想:

自撮りに失敗して崖からおちたり交通事故にあったりというはなしをよく耳にする。ヨーガが、というよりはSNSに煽られる虚栄心の問題とおもう。

2019年4月7日

Stroke誌:脳梗塞の感覚障害

元
Somatosensory Deficits After Ischemic Stroke
2019  4月  ドイツ

感覚障害は脳卒中患者の25-85%にみられるという。しかし臨床シーンでは運動機能の回復に重点がおかれるため感覚障害はみすごされることがおおい。

脳卒中後の感覚障害について、その種類、頻度、病変位置との関係、回復過程についての報告はすくないので大規模にくわしくしらべてみたそうな。



急性期の脳梗塞患者101人の両手について、
RASP(Rivermead Assessment of Somatosensory Performance)感覚評価をおこない12ヶ月後までフォローした。

MRIの病変位置との関連を解析した。

RASPでは、
tactile (触覚)と、
proprioceptive(固有感覚)であるpressure(圧力), light touch(軽い接触), sharp-dull discrimination(鋭鈍識別), temperature discrimination(温度識別), sensory extinction(感覚消失), 2-point discrimination(2点弁別), joint position(関節位置) and movement sense(移動感覚)についてテストした。



次のことがわかった。

・59.4%の麻痺側の手にすくなくとも1種類以上の感覚障害があった。

・軽い接触の障害は38.7%でもっとも頻度が高く、

・温度識別は21.8%でもっとも頻度が低かった。

・3ヶ月後、すべての評価項目であきらかな回復が進み、12ヶ月後ではつづく回復度はわずかだった。

・一次 二次体性感覚野および島皮質へのダメージと感覚障害にあきらかな関連があった。
脳梗塞患者のおよそ60%になんらかの感覚障害があった。この回復のだいぶぶんは3ヶ月間におきた。一次 二次体性感覚野と島皮質が感覚障害と強く関連していた、



というおはなし。
図:脳梗塞患者の感覚機能


感想:

いまなお手の触覚や温度感覚が非常に弱い。混んだバスで知らずのうちにどこかのおっさんの手にしっかりと自分の手を重ねていたことがあった。
とても気まずかったおもいで。

2019年4月6日

所得格差と脳卒中後の死亡

元
Social Inequality by Income in Short- and Long-Term Cause-Specific Mortality after Stroke
2019  3月  デンマーク

いっぱんに社会経済的地位が低いと死亡リスクが高い。しかし脳卒中患者については所得格差と死亡リスクとの関連について一致した見解が得られていない。

低所得の脳卒中患者は飲酒や喫煙習慣の率が高い。これらのライフスタイル要因を慣例にしたがい統計解析で調整してしまうと、低所得なのに酒もタバコもやらないグループを想定することになりリアリティに欠ける。

そこで年齢と性別のみを調整し、さらに脳卒中患者の死亡原因を脳卒中や総死亡だけでなくがんや心臓病 他もふくめて所得格差との関連を大規模にしらべてみたそうな。



デンマーク国民をカバーするデータベースを用いて、
2003-2012のすべての脳卒中患者60503人を抽出した。

最長9年間フォローして 5段階に分けた所得格差と死亡原因との関連を解析したところ、



次のようになった。

・フォロー中に34.6%が死亡した。

・内訳は脳卒中が13.2%、心臓病7.0%、がん5.0%、その他9.2%だった。

・長期の死亡率はすべての死亡原因で所得と逆相関にあった。

・5年後の低所得グループの死亡率は高所得グループよりも15.5%高かった。

・1年内の短期の死亡率と所得との関連は小さく有意なレベルではなかった。

所得格差の死亡率への影響は脳卒中患者が脳卒中で死亡するばあいのみならず他の疾患での死亡にも同様に反映されていた。特に長期の死亡率は低所得グループで15%高かった。いっぽう短期死亡率には所得格差の影響はみられなかった、


というおはなし。

図:収入と脳卒中患者の脳卒中による死亡の短長期トレンド


感想:

だとすると じぶんはとっくに死んでいてもおかしくないはず。

2019年4月5日

Stroke誌:脳動脈瘤の破裂を防ぐ刺激方法とは

元
Noninvasive Vagus Nerve Stimulation Prevents Ruptures and Improves Outcomes in a Model of Intracranial Aneurysm in Mice
2019  4月  日本

脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血は死亡率が非常に高く 重い障害を残す可能性がある。

脳動脈瘤の発生から成長、破裂その後の回復には炎症反応がおおきく関与していると考えられている。

薬物的に炎症を抑えて動脈瘤の生成を抑える動物実験はあるものの、臨床応用には至っていない。

いっぽうてんかんやうつの治療に用いられている迷走神経刺激(Vagus nerve stimulation:VNS)療法には抗炎症効果が期待できることがわかっている。しかし刺激装置を体内に埋め込む必要があったため臨床応用の壁になってきた。

さいきんになって非侵襲的に皮膚のうえから頸部の迷走神経を刺激する装置が認可された。

そこでこの装置をつかってVNSが頭蓋内脳動脈瘤の破裂と予後におよぼす影響を動物でくわしく実験してみたそうな。



軽症高血圧と重症高血圧にしたネズミについて、
タンパク質分解酵素を脳脊髄液に注入して脳動脈瘤の発生をうながした。

並行して経皮的な頸部迷走神経への電気刺激VNSを20日間おこなった。

VNSは1日に2分間の刺激を5分あけて2回おこなった。
コントロールとして同様の刺激を大腿神経に対して行いFNSとした。

脳動脈瘤の破裂率、生存率、などをくらべたところ、



次のことがわかった。

・軽症高血圧では破裂率は29% vs. 80%でVNSが非常に低かった。

・くも膜下出血の重症度もまたVNSが低かった。

・重症高血圧では破裂率は77% vs. 85% でいずれも高かった。

・しかし生存日数の中央値は 13日 vs. 6日と、あきらかにVNSが長く、くも膜下出血の重症度によらなかった。

・VNSを継続することにより脳動脈瘤の発生要因の1つと考えられるタンパク質分解酵素MMP-9の発現がFNSよりも減少していた。

迷走神経刺激は脳動脈瘤の破裂率を低下させ 破裂後の生存率をも改善できる、


というおはなし。
図:迷走神経刺激と脳動脈瘤破裂


感想:

迷走神経刺激方法として、頸動脈洞マッサージ、ヴァルサルヴァ手技、冷たい水で顔を洗う、眼球を押す、などがある。

副交感神経を支配していることから、深呼吸や瞑想でリラックスしても似たような効果が得られるんじゃないかと思う。

もしくは今回使用した装置↓をつかう。
gammaCore device (electroCore, BaskingRidge, NJ).


これほどまでに破裂を防げるのなら、命がけでクリップやコイル手術を受ける必要ないね。
Stroke誌:高齢重症くも膜下出血を手術する理由?

Stroke誌:クモ膜下出血で手術をしなかったときの死亡率


[迷走神経刺激]の関連記事

2019年4月4日

リハビリをうながすための睡眠介入方法

元
Systematic Review Investigating the Effects of Nonpharmacological Interventions During Sleep to Enhance Physical Rehabilitation Outcomes in People With Neurological Diagnoses
2019  4月  アメリカ

脳卒中後のリハビリ訓練で学習した運動感覚は数時間から数週間かけて記憶として固定される。

この記憶固定に睡眠が重要な役割をはたしていると考えられるいっぽう、脳卒中患者のおおくは睡眠障害を経験する。

睡眠中にはたらきかけ運動感覚の記憶固定をうながす有効な方法がみつかればそれはリハビリ法としても期待できるはずである。

そこで、これまでの研究から非薬物的に脳損傷患者の睡眠に介入する呼吸療法や脳刺激療法についてシステマティックレビューをこころみたそうな。



関連する論文タイトル2287件を厳選して101件についてフルテキストを精査し 9件の研究に絞った。



次のことがわかった。
・脳卒中患者等を対象とした 持続陽圧呼吸療法:CPAP(continuous positive airway pressure )に関するRCT論文のみがみつかった。

・長期に外来患者をフォローしたものもあったが、

・効果測定の方法が障害、身体活動、社会参加など研究ごとにおおきくことなっていた。

・しかし早期の脳卒中の回復に有効であるとする研究も複数みられた。

・具体的リハビリ方法やCPAPの順守率についての情報が欠けていた。

脳卒中患者の睡眠に介入できる非薬物療法としてCPAPのみがリハビリをうながす効果をしめしていた。今後きたいできる方法として睡眠中のTMS、tDCS、リズム聴覚刺激や、嗅覚刺激で記憶固定をはかるTMR(Targeted Memory Reactivation)のエビデンスが散見される、


というおはなし。
図:CPAP



感想:

睡眠はだいじなんよ。
ビデオを観て昼寝するだけのリハビリとは

眠っている間にリハビリがすすむオフライン運動学習とは

リハビリの合間のお昼寝は大切 → 訓練がはかどるゾ

2019年4月3日

Stroke誌:睡眠呼吸障害と脳梗塞の再発

元
Sleep-Disordered Breathing Is Associated With Recurrent Ischemic Stroke - Stroke
2019  2月  アメリカ

睡眠呼吸障害(sleep-disordered breathing:SDB)は脳卒中患者に高率でみられ、中枢性の無呼吸症よりも閉塞性のものがおおい。

また睡眠呼吸障害は脳卒中のリスク要因としておおくの報告があり、死亡リスクや人種とも関連があるといわれている。
しかし脳卒中の再発リスクとの関連については報告がすくない。

そこで睡眠呼吸障害と脳卒中の再発、死亡、人種との関連を大規模にしらべてみたそうな。


平均年齢65の脳梗塞患者842人について
自宅で睡眠呼吸障害の測定ができる装置(ApneaLink Plus)をあたえた。

1時間あたりの無呼吸または低呼吸イベント数を、respiratory event index (REI)スコアとし、10以上を睡眠呼吸障害とした。

590日前後のフォロー期間中に発生した脳卒中の再発 死亡との関連を解析したところ、



次のようになった。

・REIスコアの中央値は14で、63%が睡眠呼吸障害SDBだった。

・SDBは男性、白人よりもメキシコ系アメリカ人、非喫煙、糖尿病、高血圧、肥満におおかった。

・この間に11%が脳卒中を再発し、13%が死亡した。

・REIスコアが1つ増えると再発リスクは1.02倍になったが、

・死亡リスクと関連はなかった。

脳卒中患者の睡眠呼吸障害は再発と関連していたが死亡との関連はなかった、


というおはなし。

図:睡眠呼吸障害


感想:

睡眠中の呼吸改善で再発予防になるかは不明だそう。

2019年4月2日

日本人のTIA再発原因1位は

元
Small vessel occlusion is a high-risk etiology for early recurrent stroke after transient ischemic attack
2019  3月  日本

この10年でTIAはこれまで考えられていたよりも脳卒中リスクが高いことがわかってきた。

TIAの原因について 欧米の調査ではアテローム血栓性(large artery atherosclerosis:LAA)がもっともおおい。いっぽう東アジアの調査はすくなく、ラクナ梗塞でもある小血管疾患(Small vessel occlusion:SVO)のそれがおおいとする報告がある。

そこで、SVOタイプのTIAが つづく脳卒中の再発原因としてどの位置にいるものかくわしくしらべてみたそうな。




一過性脳虚血発作の国内多施設共同前向き観察研究 PROspective Multicenter registry to Identify Subsequent cardiovascular Events after TIA (PROMISE-TIA) の1320人のTIA患者の記録から

30日以内に脳卒中を起こした患者を抽出して解析したところ、



次のことがわかった。

・TIA 1320人の原因として、SVOが322人、LAA 259人、CE(cardioembolism:心原性脳塞栓)231人、その他 508人と推定された。

・そして61人(4.6%)が30日以内に再発し脳卒中になった。

・その再発率は、SVOタイプが7.8%ともっとも高く、ついでLAA 5.4%だった。

・再発脳卒中にあきらかに関連する要因として、SVOタイプのTIAの経験、収縮期血圧、3時間以内の入院、が確認でき、

・とくに脳の深部にラクナ梗塞がある場合に再発リスクが非常に高かった。
ラクナ梗塞タイプのTIA患者で脳の深部にそれがあるばあい、まもなく脳卒中を起こすリスクが他のTIAよりも高かった、



というおはなし。

図:再発するTIAの原因別


感想:

なぜかTIAから3時間以内に入院してきた患者の再発リスクが2.21倍も高かった。たぶんこういうこと。↓

すぐに救急車よぶようなひとはこの方面への意識がとても高い。とうぜん退院後も再発を待ち構えているはずで、
わずかな違和感でも「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」とばかりに119するから。

もしくはうっかりt-PAを喰らって脳出血になるパターン。
急いで病院に行くと脳卒中でもないのに血栓溶解治療されてしまう危険性について

2019年4月1日

抗凝固薬の中断から脳梗塞になるまでの日数

元
Ischemic stroke during anticoagulant interruption by healthcare professionals in stroke patients with atrial fibrillation
2019  3月  日本

心房細動患者のおおくには抗凝固療法がすすめられている。そして抗凝固薬使用者のおよそ30%が 手術や検査、出血事象などにより薬の服用を一時的に中断する経験をしている。

しかし抗凝固薬をどのタイミングでどういう手順で中断し、代替薬を与えるべきか など実はよくわかっていない。

そこで抗凝固薬を中断したのち脳梗塞を起こす頻度や日数をくわしくしらべてみたそうな。



心房細動で抗凝固療法をうけていて急性脳梗塞になった患者561人について、

抗凝固薬を中断したのち30日以内に脳梗塞になった者を抽出して特徴をしらべたところ、




次のことがわかった。

・21人(3.7%)が薬の中断中に脳梗塞になった。このうち12人はワルファリンなどのビタミンK拮抗型の抗凝固薬(VKA)を、9人がダビガトランなどの直接経口抗凝固薬(DOAC)を使用していた。

・かれらの重症度や機能回復度は抗凝固療法を受けていないグループとあきらかな差はなかった。

・薬を中断してから脳梗塞になるまでの日数は、VKAグループが10日前後に対し DOAC使用者は3日と短かった。

・薬を中断する主な理由は手術や検査などだった。

・82%にガイドラインの逸脱が疑われた。

心房細動で脳梗塞になった患者のうち、抗凝固療法を中断したがゆえの脳梗塞は3.7%だった。脳梗塞は薬の中断後はやくに起き、とくに直接経口抗凝固薬の中断ではやかった。たしかなガイドラインがもとめられている、


というおはなし。

図:抗凝固療法の中断から脳梗塞までの日数


感想:

抗凝固薬ってこわいイメージがあったけど、さいきんは抗血小板薬のほうが危険なことがわかってきたので「ふーん」って感じ。
NEJM誌:アスピリンは予防効果ないうえにとても危険


メモ:

「令和」ときいてレイア姫を連想し ワクワクがとまらない。

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