2019年1月5日

Stroke誌:高齢重症くも膜下出血を手術する理由?


Survival and Outcome After Poor-Grade Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage in Elderly Patients
2018  12月  スイス

高齢のくも膜下出血患者の治療に対する考え方はこの50年間で保存的治療から積極的治療(手術)にかわってきた。

しかしグレードの高い重症患者にたいしてはかならずしも一致していない。しかも判断材料になるデータがほとんどない状態でもある。

そこで、高齢のくも膜下出血患者に積極的治療をほどこしたときの回復可能性を大規模かつ長期にフォローしてみたそうな。


WFNSグレードⅣ Ⅴに相当する重度のくも膜下出血で60歳以上の患者146人について、退院時と6-12ヶ月後のmRSスコアを評価したところ、


次のようになった。

・高齢になるほどくも膜下出血の死亡リスクが高くなった。

・1歳あがると死亡リスクは6%上昇し、10歳あがると76%高くなった。

・平均生存期間は、60-69歳で56.3ヶ月、70-79歳では31.6ヶ月、80-90歳では7.6ヶ月間だった。

・6-12ヶ月後にmRS4-6の回復不良患者は年齢が高くなるほどおおはばにふえた。

高齢の重症くも膜下出血患者は年齢がたかくなるほど死亡または重度障害のリスクが高くなった。しかし79歳までなら治療による効果がある程度期待できた。80歳をこえると生存と回復可能性が著しく低下した、



というおはなし。

図:高齢くも膜下出血の回復可能性
ほとんどが生きて退院できないのに(グレー↑)手術する意義とは?


感想:

くも膜下出血のしゅうへんは、なにかがおかしい。

じつはくも膜下出血で早くに亡くなってしまう人たちに対してできることはほとんどない。

治療と称して行われている手術は再出血予防のためであって現状をすぐにどうにかしようとするものではない。

じっさい、24時間以内に手術をして手術が遅れても死亡率には影響がない。

しかも再出血予防手術を肯定するランダム化比較試験はいまだなく、手術を行うべきあきらかなエビデンスは存在していない。

拠り所としているのは60年代のCTもMRIもない頃に作成されたガイドラインを護りぬいてきた業界の「伝統と権威」だけ。

なるほど数十年まえは激しい頭痛があってもすぐに病院にゆく習慣がなかったので手術をしないこともおおく死亡率は極端に低かった。↓
Stroke誌:クモ膜下出血で手術をしなかったときの死亡率

定型的手術でかつたしかな収入源になるのでやめられないんだとおもう。

ほかにも臓器提供問題も絡んで↓いろいろと興味深い。
脳卒中患者から臓器を抜くための法改正の成果

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