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2018年9月30日

異常な笑いを脳卒中と見抜けなかった例

元
Pathological Laughter as a Symptom of Middle Cerebral Artery Stroke
2018  9月  フランス

可笑しくもないのに笑いが止まらなくなる状態は 脳に病気がある可能性をしめす。

脳卒中がわかるまえに異常な笑いで入院してきた男性がいたそうな。


・57歳の男性がまったく嬉しくもないのに突然大笑いが始まった。10分間以上も笑いを止められなくなり、その2時間後にかれの妻が病院へ連れてきた。

・彼自身もその状態が異常と認識できていた。泣く症状はなかった。

・病院到着時、彼は非常によくしゃべり、動作が大げさで陽気にみえた。

・診察で左側にわずかな運動機能の低下がみられた。感覚や視野は正常だった。

・さらに造影CTで右の内頚動脈に重度の狭窄がみつかった。

・それにもかかわらず原因を薬物中毒とかんがえ血栓溶解療法をしなかった。

・数時間後、構音障害と感覚麻痺が現れたので脳梗塞をうたがいはじめた。

・2日後にようやくMRIを撮り右脳に梗塞を認めた。

・心理テストで気分障害はなかった。

・3週間後、笑い症状は完全に回復し、3ヶ月後に頸動脈の血栓除去術をうけた。

脳卒中の初期症状は多様なので、こんかいのような病的な笑いも有りうることを救急医は知っておくべき、


というおはなし。
図:脳梗塞で大笑い

感想:

じぶんたちの判断ミスを論文にまとめるところがえらい。

こういう症状を "Pseudobulbar Affect"(スードバルバー アフェクト)と言うのは何度かみた。 

どうやら同じ状況を "Fou rire prodromique"(フー ライア プロドロミク) とも言うようだ。

2018年9月29日

数年後、植物状態から回復する脳内出血患者

元
Long-term recovery profile of patients with severe disability or in vegetative states following severe primary intracerebral hemorrhage
2018  9月  シンガポール

脳内出血は脳梗塞にくらべると回復がわるい。シンガポールでは脳卒中の20%が脳内出血で、7日死亡率は17.3%、30日では22.9%という。

回復が良い患者には、若い、血腫が小さい、神経症状が軽い、脳室内出血がない、女性である、といった特徴が知られている。

しかし退院時に状態が悪かった患者がその後数年間にわたり回復できる可能性についてはほとんどわかっていない。

そこで重度障害または植物状態だった脳内出血患者を長期にフォローしてみたそうな。


2009-2013に脳内出血になり退院時に回復度の指標GOS(Glasgow Outcome Scale)スコアが2(植物状態)または3(重度障害)の患者の3年後までの医療記録を解析した。


次のことがわかった。

・特徴が近く3年間フォローできた患者のうち、退院時に91人が植物状態(VS)で、278人が重度障害(SD)だった。

・3年間にVSグループの69%、SDグループの29%が亡くなった。

・GOSスコアが1ポイント以上あがる「改善」を示した患者は、VSグループの10%、SDグループの33%にのぼった。

・生存と改善に関連するあきらかな要因は「年齢」だった。

脳内出血で退院時に不良な状態にあっても必ずしもそれが何年も続くわけではなかった。植物状態や重度障害であっても長期的には回復できる可能性がある、


というおはなし。
図:植物状態と重度障害の脳内出血患者の3年間の回復可能性

感想:

上のグラフみると2-3年経っても回復する重症患者がいる。

若いとは?

2018年9月28日

脳卒中のあとの呼吸困難

元
Prevalence of dyspnea after stroke- a telephone-based survey
2018  9月  ブラジル

脳卒中の影響は上下肢の麻痺以外に呼吸器系にもおよぶと考えられる。換気機能、呼吸筋、横隔膜の活動低下は呼吸困難(dyspnea)を生じることがある。

そこで、脳卒中患者で呼吸困難がどのていどおきているものか、くわしくしらべてみたそうな。


脳卒中を経験した285人に電話インタビューしたところ、


次のことがわかった。

・124人(44%)が脳卒中後に呼吸困難を経験した。

・そのうちの半数は重度の呼吸困難だった。

・呼吸困難はそのおよそ半数の社会参加をさまたげていた。

脳卒中後の呼吸困難体験はめずらしくなく、患者の社会参加におおきく影響していた、


というおはなし。
図:脳卒中の呼吸困難

感想:

まったく実感ないけど、ときどき耳にするので関心をもった。

2018年9月27日

減塩すると脳卒中になるという噂(うわさ)の真相

元
Association of Low Urinary Sodium Excretion With Increased Risk of Stroke
2018  9月  オランダ

ナトリウム摂取量がふえると血圧は高くなる。とくに1日8g以上のナトリウム(食塩20g相当)では心血管疾患および死亡率があきらかに高い。

それゆえに減塩によって心血管疾患リスクを下げることができると考えられてきた。

しかしナトリウムが1日3g(食塩7.6g相当)を下回るとかえって心血管疾患リスクが高くなるとする報告がさいきんあとを絶たない。

それらの調査では食塩摂取量を食事アンケートや一時的な尿サンプルから推定しているケースが少なくない。

そこで "正確な" 食塩摂取量を得るための複数回の24時間蓄尿測定と、脳卒中との関連に限定して大規模にしらべてみたそうな。


心血管疾患のない25-75歳の7330人について、
計3回ぶんの24時間の蓄尿サンプルをとり1日のナトリウム摂取量を推定し、
脳卒中の発生を12.5年間フォローして関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・調査開始時の1日のナトリウム摂取量の中央値は137mmol(食塩8g相当)だった。

・この間に183件の脳卒中がおきた。

・1日に尿中へ排泄される全ナトリウム量と脳卒中リスクは逆相関にあった。(下図)

・年齢、性別、体重、血圧、ライフスタイルなどで調整してもこの関連は変わらなかった。

食塩摂取量が少ない人の脳卒中リスクは非常に高かった、


というおはなし。
図:食塩摂取量と脳卒中リスク


感想:

薄味の料理を我慢して減塩に努めてきた結果が「効果なし」ならまだしも、「かえって危険だった」というのだから目も当てられない。

ふつうな食事なら減塩する必要はまったくないってこと。

うわさではなくすでにエビデンスが↓多数
ランセット誌:食塩は13gまでオッケー 脳卒中的に

ランセット誌:塩分減らすとかえって脳卒中になる

JAMA誌:減塩に真面目な人ほど脳卒中で死亡する

JAMA誌:塩分を控えさせるほど脳卒中死亡者が増える

2018年9月26日

成長ホルモンの欠乏と脳卒中の回復

元
Growth Hormone Deficiency Is Frequent After Recent Stroke
2018  9月  オーストラリア

脳卒中からの回復に影響しそうな要素として脳下垂体機能の1つである成長ホルモンの分泌があげられる。

成長ホルモンが少なくなると 注意、記憶、認知、筋肉や骨密度の減少など脳卒中患者と同様の障害が生じる。じっさい外傷性の脳損傷では成長ホルモンが少なくなっていることがわかっている。

そこで脳卒中患者でも成長ホルモンの分泌低下がおきているものかたしかめてみたそうな。


発症から1週間以内の重症脳梗塞患者13人についてアルギニンや成長ホルモン放出ホルモンを与えたときの成長ホルモン分泌反応を測定したところ、


次のようになった。

・69%の患者で成長ホルモン分泌反応が悪く、54%が成長ホルモン欠乏症と診断された。

・他の脳下垂体機能(インスリン様成長因子、コルチゾール、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモンなど)は正常範囲にあった。

脳梗塞患者の成長ホルモンレベルの低下は珍しくなかった。脳卒中の回復に関係しているかも、、


というおはなし。

図:脳卒中後の成長ホルモン欠乏症

感想:

「成長ホルモン」がテーマの報告はいままで記憶にない。おもしろみが少ないのか。

2018年9月25日

Neurology誌:軽い脳卒中で済む運動の条件

元
Prestroke physical activity could influence acute stroke severity (part of PAPSIGOT)
2018  9月  スウェーデン

脳卒中に関係するライフスタイル要因として、血圧、運動、食事、肥満、ストレス、喫煙、飲酒、糖尿などが考えられる。

このうち「運動」にかんして、動物実験で脳卒中前の運動習慣が神経保護効果をしめすことがわかっている。

しかし人間では運動習慣があると神経症状が軽いとする報告があるいっぽうで効果はないとする報告もある。

そこで脳卒中まえの運動習慣と脳卒中の重症度との関連を大規模にしらべてみたそうな。


平均年齢73の脳卒中患者925人について、発症前の身体活動状況を申告してもらい神経症状との関連を解析したところ、


次のようになった。

・まったく運動しなかった患者にくらべ 軽-中程度の身体活動にあった患者は若年患者と同程度に神経症状は軽かった(NIHSS 0-5)。

・週4時間のウォーキングまたは やや強い運動を週2-3時間が効果的だった。

適度な身体活動があると若年患者とおなじくらい脳卒中は軽かった。週4時間程度のウォーキングが効果的である、


というおはなし。
図:ウォーキング

感想:

平均すると1日30分間のウォーキング。微妙だ、、、

2018年9月24日

脳内出血で亡くなるひとが欠かさないこと

元
Functional outcome and survival following spontaneous intracerebral hemorrhage- A retrospective population-based study
2018  9月  ノルウェー

脳内出血は脳卒中全体の10-15%を占め脳梗塞よりも死亡リスクが高い。

脳内出血の予後悪化の要因として血腫体積や脳室内出血などが指摘されているがどの調査もサンプルサイズがおおきくない。

そこで比較的大規模に脳内出血の予後悪化につながる要因をしらべてみたそうな。


平均年齢75、452人の脳内出血患者の医療記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・1週間後の死亡率は22.1%、3ヶ月後では39.2%、12ヶ月後 44.9%で、

・生活自立度mRSスコアの中央値は、発症前は1、3ヶ月後に5、12ヶ月後は3だった。

・mRS 5-6に相当する重度の障害や死亡に関連する予測因子は抗血栓薬の使用、血腫体積60mL以上、脳室内出血などだった。

脳内出血は死亡率が高く 3ヶ月後に3分の1以上の患者が死亡または重度の障害を負っていた。彼らには抗血栓(antithrombotic)薬を使っていたという共通点があった、


というおはなし。
図:抗血栓薬と脳内出血死亡率

感想:

脳内出血に占める抗血栓薬使用者は4割以上で、かれらは出血が止まらずに亡くなる↓。
血液サラサラのおくすりで脳内出血が急成長する

2週間ほどまえ、世界でもっとも権威ある医学誌でもその危険性があきらかにされた↓。
NEJM誌:アスピリンは予防効果ないうえにとても危険

ホントみんな勇気あるとおもう。じぶんは降圧薬ですら続けられなかったよ。

2018年9月23日

高血圧と認知症の関係

元
Hypertension and High Blood Pressure Are Associated With Dementia Among Chinese Dwelling Elderly- The Shanghai Aging Study
2018  9月  中国
高血圧症の罹患率は世界的に高く、成人の3分の1、65歳以上の3分の2に及ぶ。

いっぽう血圧が低いと認知症リスクが高まるとする報告もあり、高血圧と認知症との関連については結論がでていない。

そこで中国人を対象に血圧と認知機能との関連を大規模にしらべてみたそうな。


60-85歳の上海住民3327人について医療記録から高血圧症の診断の有無をしらべ、さらに早朝の血圧測定を行い、
認知機能テストの結果(正常、認知障害、認知症)との関連を解析したところ、


次のようになった。

・認知症患者に占める高血圧症の割合は76.5%とあきらかに高く、次いで認知障害の59.3%、認知正常の51.1%だった。

・年齢、性別、教育歴、一人暮らしなどの関連要因を考慮にいれてなお、高血圧歴、高血圧の期間、高血圧の重症度が認知症リスクと正の相関を示した。

・これらは早朝測定の収縮期/拡張期血圧についても同様の関連を示した。

高血圧だと認知症になりやすいのかも、、


というおはなし。

図:高血圧と認知症リスク


感想:

高すぎても低すぎてもいけないんだろね↓きっと。
脳梗塞のあと認知障害をふせぐ血圧がわかった

2018年9月22日

脳卒中患者の糖尿病率

元
The prevalence of Diabetes and its effects on Stroke Outcomes; a meta-analysis and literature review
2018  9月  オーストラリア
糖尿病は世界的に増加傾向にある。

しかも神経血管疾患のリスク要因であり 少なからぬ脳卒中患者が糖尿病であると考えられる。

そこで、これまでの研究から脳卒中患者に占める糖尿病の率と予後との関連についてメタ解析してみたそうな。


2004-2017の関連する研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・39の研究がみつかり、脳卒中患者に占める糖尿病の率は28%となった。

・脳卒中の種類別では、脳梗塞の33% 脳出血の26%が糖尿病だった。

・高血糖または糖尿病の患者のほとんどは、死亡率や神経症状、機能回復、入院日数、再入院率、再発率の点で 糖尿病でない脳卒中患者よりもよくなかった。

・研究ごとに糖尿病の判定基準(血糖値とHbA1cの組み合わせ)にばらつきがあった。

脳卒中患者のおよそ3人に1人が糖尿病だった、


というおはなし。
図:糖尿病

感想:

たとえ脳卒中でなくてもおよそ5人に1人は糖尿病判定にひっかかるんだよね。だからたいしておどろかない。

2018年9月21日

ひんぱんな座位の中断は血糖値を改善するか

元
Breaking up sitting time after stroke (BUST-stroke)
2018  9月  オーストラリア

脳卒中経験者のおおくは目覚めている時間の75%を座った状態ですごしているという。

いっぽう食事のあとの血糖値の急激な上昇は血管内膜への酸化ストレスを高め動脈硬化の原因となる。

そこで、脳卒中経験者が座っているときに小休止をはさみ軽い運動をさせて血糖値の改善をしらべてみたそうな。


発症から3ヶ月-10年で症状のかるい脳卒中経験者19人について、
つぎの3パターンの実験を日をわけてランダムに行った。

1)8:00-16:00まで8時間とおして座り続ける。
2)座り続ける時間の30分ごとに3分間のブレイクを入れて立位での軽い運動をする。
3)座り続ける時間の30分ごとに3分間のブレイクを入れて軽いウォーキングをする。

この間、食事を摂り、30分~1時間おきに血液を採取した。


次のようになった。

・血糖値変動曲線下の面積に、座位、立位、歩行での有意な差はなかった。

・インスリンについても同様だった。

脳卒中経験者が座り続ける時間に頻回に軽い運動の時間をはさんではみたものの血糖やインスリンにあきらかな変化はなかった、


というおはなし。
図:脳卒中経験者の血糖値変動 座位 立位 歩行

感想:

この調査にはつづきがあって、収縮期血圧を下げることには成功したそうである。

以前は食事のあと失神するくらい眠くなった。たぶん血糖の問題。
ご飯をよそう際に毎回きっちりと計量する習慣をつけてからは眠くなることが激減した。

2018年9月20日

脳外科医のつぶやきはフェイクニュース

元
#Fake news- a systematic review of mechanical thrombectomy results among neurointerventional stroke surgeons on Twitter
2018  9月  カナダ

ツイッターやブログ、フェイスブックなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス SNSを用いて情報発信する医師が増えた。

彼らのうち、特に脳外科医は脳梗塞患者の血栓をかき出す機械的血栓除去術(mechanical thrombectomy)の事例をしばしばSNS上で得意げに報告している。

彼らがうまくいったケースだけを報告している傾向、いわゆる出版バイアス(publication bias)がどの程度のものなのかくわしくしらべてみたそうな。


2006-2018のツイッター上で 発信者自身がおこなった急性脳梗塞患者への機械的血栓除去術の事例を複数のレビュアーがまとめあげて、

この分野のゴールドスタンダードであるHERMESトライアルの結果(文献値)と比較したところ、


次のことがわかった。

・ツイッター事例の再灌流成功率は 94% vs 71%で文献値よりもあきらかに高く、

・その回復良好率も 81% vs 21% で非常に高かった。

・合併症や対応すべき脳出血事例の報告はまったくなかった。

・文献値では15.3%ある致命率もツイッターでは 0%だった。

脳外科医がSNSに流す情報は現実とかけはなれていた。信用してはいけない、


というおはなし。
図:機械的血栓除去の成果 ツイッター情報と文献値との乖離


感想:

この種のバイアスが自然に生じてしまうことや自身のもつ社会的影響力の大きさを理解できているほとんどのお医者さんは、そもそもSNSで仕事のことを語らない。

したがって、「SNSの医師=ヤバい奴」と思ってまず間違いない。


それよりも、21世紀にもなってひとの脳血管を下水管掃除のように扱う治療法?があることに驚きを禁じ得ない。


2018年9月19日

NEJM誌:アスピリンは予防効果ないうえにとても危険

元
Effect of Aspirin on Cardiovascular Events and Bleeding in the Healthy Elderly
2018  9月  オーストラリア

アスピリンの脳卒中など心血管イベントの1次予防効果についてはいまだ結論がなく、その恩恵をもっとも受けるであろう高齢者で命にかかわるような出血がおきているという報告がいくつもある。

しかしこれらの報告はサンプル数がじゅうぶんでなかったので、大規模にきっちりと確かめてみたそうな。

2018年9月18日

自身の機能評価が他人とズレる理由

元
Association between incongruence about survivor function and outcomes among stroke survivors and family caregivers
2018  9月  アメリカ

脳卒中患者が自宅へ退院したのち、患者の29% 介護者の41%にうつ症状があらわれるという報告がある。

患者の身体や認知機能 社会参加についての自身の評価と介護者による評価のズレがこれまでもおおく指摘されてきた。

そこで、患者と介護者のこれら不一致を 各機能的側面と時間経過についてくわしくしらべてみたそうな。


脳卒中患者とその家族介護者の32組を選び、
患者の記憶と思考能力、コミュニーケーション、移動能力、日常生活動作、社会参加、の各項目について、
患者自身によるスコアと介護者によるスコアの両方をしらべた。

この調査を発症から3ヶ月後 7ヶ月後に実施して経過比較した。


次のようになった。

・脳卒中患者は自身の記憶 思考能力を、介護者による評価よりもはるかに高く考えていた。

・3-7ヶ月後、患者は自身のコミュニーケーション能力の進歩を介護者よりもとても高く評価していた。

・記憶と思考能力についての患者と介護者の不一致は両者が感じる苦痛(distress)と関連があり、

・日常生活動作評価での不一致および社会参加評価の不一致は、いずれも介護者の苦痛と関連があった。

脳卒中患者の各種機能に関する自己評価と介護者による評価の不一致はめずらくなかった。これらの食い違いはすぐに解決するものではなく 両者の苦痛の原因になりえた、


というおはなし。
図:脳卒中患者の機能の自己評価と介護者による評価の食い違い


感想:

ズレの原因には脳卒中患者による過大評価と 介護者による過小評価の2つの可能性があるけど、
経験的に あきらかに患者自身の過大評価がもんだい。

これは自動車運転にたいする姿勢によくあらわれる。

健康なひとが細心に注意してさえ事故を起こすのに、脳が破壊されて手足にしびれの残る状態でなお「自分なら運転はだいじょうぶ!」と考えられる "異常さ" にいまごろになって思い至るようになったよ。

2018年9月17日

アルコール常習者の脳内出血

元
Brain Magnetic Resonance Imaging of Intracerebral Hemorrhagic Rats after Alcohol Consumption
2018  8月  台湾

アルコール摂取量がおおいほど脳内出血になりやすいことはわかっている。

いっぽう脳内出血がおきたあとへの影響については動物実験があって、
急性アルコール中毒後の脳内出血では血腫と脳浮腫の増大が報告されている。

常習的にアルコールを摂っていた場合の脳内出血後の影響についてはわかっていないので実験してみたそうな。


ネズミ16匹を2グループにわけて、
いっぽうにはアルコール度数10%の水を与え、もういっぽうには普通の水を与えた。

4週間後にコラゲナーゼ注入による脳内出血を起こし、その後の経過をMRIでフォローしたところ、


次のようになった。

・血腫体積はアルコール水グループであきらかに大きかった。

・しかし脳浮腫の進行、神経症状については両グループで差がなかった。

常習的なアルコール摂取のグループでは脳内出血後の血腫がおおきかった、


というおはなし。
図:長期アルコール摂取後の脳内出血の経過

感想:

さいきん、サッポロビールが99.99(フォーナイン)というアルコール飲料を出した。この実験とおなじ度数約10%の水。売れているのかやたら目にする。

死亡した際には脳を解剖させてくれるという条件でフォーナインの生涯無料オファーをすれば、献体ボランティアがたくさん集まって良いデータが取れると思うんだ。

2018年9月16日

脳卒中の統計学習 繰り返し訓練が効かないわけ

元
Statistical Learning Impairments as a Consequence of Stroke
2018  8月  スイス

視覚や聴覚などからの周期性のある刺激パターンを無意識のうちに覚えてしまう脳の働きを統計学習(statistical learning)とよぶ。これは幼児期から現れ 言語学習での選択的注意力に関係すると考えられている。

「統計学習」は最近のアイデアであるため、脳のどの部位が司るかなどよくわかっていない。

そこで、統計学習が年齢や脳損傷によりどう影響をうけるものか実験してみたそうな。

2018年9月15日

内臓脂肪がおおい運動嫌いが再発する

元
Moderate-to-vigorous physical activity and the risk of stroke recurrence in patients with a history of minor ischemic stroke in Japan
2018  9月  日本

脳卒中のあきらかなリスク要因として運動不足があげられる。

しかし脳梗塞の再発と運動不足との関連については研究例が限られていて、しかも運動強度が自己申告による主観指標を用いているものがおおかった。

そこで脳卒中患者に加速度計を着けての正確な運動強度測定と 再発の有無との関連をくわしくしらべてみたそうな。


平均年齢67、過去6年ほどの間に心原性でない軽い脳梗塞を経験した45人について、加速度計を10日間着けて運動状況をモニターし、内臓脂肪レベルも測定した。

医療記録からこれまでの再発の有無との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・9人が再発を経験していた。

・かれらはいずれも内臓脂肪レベルが高く、中レベル(3METS)以上の運動があきらかにすくなかった。

・他の要因を考慮にいれてなお内臓脂肪のおおさと中レベル以上の運動習慣が再発のあきらかなリスク要因だった。

軽い脳卒中を経験した 内臓脂肪がおおく中レベル以上の運動をあまりしない者は再発しやすい、


というおはなし。
図:運動量と内臓脂肪量と脳卒中再発

感想:

上のグラフがわかりやすくて気に入った。
「内臓脂肪のおおい運動嫌い」に再発が集中している。

2018年9月14日

脳卒中を検索する季節と地域

元
Seasonal and Geographic Patterns in Seeking Cardiovascular Health Information- An Analysis of the Online Search Trends
2018  9月  アメリカ

脳卒中など心血管疾患の住民レベルの大規模調査から 時間的 地域的変化を読み取ろうとしたばあい 結果が得られるまでにどうしても数年の遅れが生じてしまう。

いっぽうこの10年間のインターネット人口の指数関数的増加は国民のほとんどをカバーするまでになった。

そこでGoogle Trendsサービスで一瞬で得られる過去から現在までの相対的検索ボリューム(Relative search volumes :RSVs)の変化と実際の調査データとの関連を確認してみたそうな。


アメリカとオーストラリアについて、2004-2014の心血管疾患に関する相対検索ボリュームのGoogle Trendsの結果と、
CDCが公開している実測データとの関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・夏に比べて冬のRSVsはアメリカで15%高く、オーストラリアでは45%高かった。

・アメリカでは8月に比べて2月のRSVsは36%高く、オーストラリアでは1月に比べ8月のRSVsは75%高かった。

・アメリカとオーストラリアいずれも、RSVsは冬がピークで夏が谷となるはっきありとしたパターンを示した。

・地域(州)ごとのRSVsと心血管疾患、心臓病、冠動脈疾患、心不全、脳卒中の各死亡率とのあきらかな関連がみられた。

心血管疾患に関するグーグル検索の相対ボリュームは冬に最大で夏に最小となるはっきりとした変化を示した。また地域ごとの相対検索ボリュームと心血管疾患死亡率とのあきらかな関連も確認できた、


というおはなし。
図:相対検索ボリュームの季節変化

感想:

「片麻痺」の相対検索ボリューム県別ランキング↓ なぜなのか?

2018年9月13日

慢性期の上肢麻痺対策はこれ↓

元
Repetitive Peripheral Sensory Stimulation and Upper Limb Performance in Stroke- A Systematic Review and Meta-analysis
2018  9月  ブラジル

脳卒中患者の上肢麻痺を改善するために 末梢神経に繰り返し求心性の刺激をあたえると良いとする考え方があって、これまで繰り返し運動による刺激や電気刺激、振動刺激などが試みられているがその効果についていまだ結論はでていない。

そこで これまでの研究成果をメタアナリシスするべく刺激条件を限定して、反復末梢感覚電気刺激(repetitive peripheral sensory stimulation:RPSS)の研究にしぼって解析してみたそうな。


RPSSの典型条件である 皮膚のうえから筋収縮を起こさせない程度の電気刺激(1msパルスを10Hzで500ms間隔でon/offを2時間繰り返す)を用いた脳卒中患者を対象とした研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のようになった。

・1948-2017 に5つの研究がみつかった。

・RPSSグループに統計学的有意な改善効果がみられた。

・とくに慢性期患者に限定して解析したばあいに、ばらつきの少ない顕著な効果を確認できた。

・有害事象の報告はなかった。

慢性期脳卒中患者の麻痺上肢への反復末梢感覚電気刺激は 安全でかつ期待のできるリハビリ方法である、


というおはなし。
図:RPSSの慢性期脳卒中の上肢麻痺患者への応用

感想:

繰り返し訓練は「まったく効果がない」からこっちに期待しちゃう。

nature.com:上肢麻痺を改善する電気刺激のやりかた

2時間で指の動きがよくなる電気刺激方法とは

2018年9月12日

感情失禁と男性ホルモン

元
Low Testosterone Level as a Predictor of Poststroke Emotional Disturbances- Anger Proneness and Emotional Incontinence
2018  9月  韓国

脳卒中患者は衝動的で怒りっぽい状態(Anger Proneness:AP)になったり感情をコントロールできなくなったりする(Emotional Incontinence:EI)ことがある。

いっぽう一般人では、男性ホルモンの一種で血液脳関門を通過できるテストステロンが不安やうつを抑える効果が示されている。

そこで脳卒中患者についてAPやEIの有無とテストステロンレベルとの関連をくわしくしらべてみたそうな。


脳梗塞から3ヶ月以内の患者40人についてホルモンレベルおよびAP/EIの有無を面談でしらべ関連を解析したところ、


次のようになった。

・患者の40%にAP/EIがあった。

・AP/EIは脳卒中の重症度や病巣位置によらなかった。

・しかしテストステロンレベルは 2.1 vs. 3.9ng/ml であきらかにAP/EI有りのグループが低かった。

・テストステロンレベルが高いとAP/EIになるリスクが0.68倍だった。

・テストステロンの合成に影響すると考えられるスタチンの使用の有無はAP/EIと関連しなかった。

脳卒中のあと怒りっぽく感情コントロールに障害のある患者とテストステロンレベルの低さは関連していた、


というおはなし。
図:男性の割合

感想:

女性が感情的な理由のひとつもこのあたりにあるんだって。

[感情失禁]の関連記事

2018年9月11日

いびきと頸動脈の狭窄

元
Snoring and carotid artery disease- A new risk factor emerges
2018  9月  アメリカ

単純いびき(primary snoring)は呼吸停止を伴わない たいした害のないものと考えられてきた。しかしさいきん単純いびきと頸動脈厚との関連が指摘されるようになった。

そこで、いびきと頸動脈狭窄との関連をくわしくしらべてみたそうな。


頸動脈厚の超音波検査に訪れた501人について、いびきや睡眠時無呼吸症の有無をしらべ狭窄との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・243人に頸動脈閉塞症がみられた。

・327人は単純いびきと判定された。

・特にいびき音が大きく頻繁である(snorer)と両側性の頸動脈狭窄になるリスクが2倍だった。

・この関連は喫煙、高血圧、心臓病、糖尿病、脳卒中、高コレステロール血症を考慮にいれても変わらなかった。

いつもおおきないびきをかく人には両側の頸動脈に狭窄があるかもしれない、


というおはなし。
図:いびきと頸動脈狭窄


感想:

スマホ持っているだけで位置情報はグーグルに筒抜け。そのうち いびき情報も取られるかも知れんね。

2018年9月10日

疲労体験がもっともキツイ年齢層がわかった

元
Investigating post-stroke fatigue- An individual participant data meta-analysis
2018  9月  オーストラリア

脳卒中のあとに疲労を訴える患者はおおくこれまでたくさんの調査がなされてきた。

いくつものメタアナリシスもあったが、疲労の重症度として Fatigue Severity Scaleが共通して用いられてきたにもかかわらず結果のばらつきは非常におおきかった。

そこでメタアナリシスの精度向上のために個人ごとの生のデータ(Individual Participants Data)を利用した解析をやってみたそうな。


個人ごとの生データを取得できる関連研究を厳選してデータを統合 再解析した。

個人データには、FSSスコア、年齢、性別、脳卒中後の期間、うつ症状、脳卒中重症度、身体障害、脳卒中の種類、をもたせた。


次のようになった。

・被験者2102人を含む12の研究がみつかった。

・高レベルの疲労は、女性、うつ症状、脳卒中からのより長い期間、と強く関連していた。

・疲労と年齢は直線関係ではなく3次関数に近似でき、中年期と最高齢域でピークを示した。

個人データレベルで統合したメタアナリシスにより、疲労が脳卒中からの期間が長いほど強く、年齢とは非線型の関係にあることがあらたにわかった、


というおはなし。
図:脳卒中後の疲労スケールと年齢

感想:

上図をみると40代はピーク。なっとくしてしまうよ。

脳卒中からの期間については調査の上限が12ヶ月間だからあまり参考にならないな。

2018年9月9日

朝に血圧測定をするべき理由 日本人高齢者のばあい

元
Morning Home Blood Pressure and Cardiovascular Events in a Japanese General Practice Population Over 80 Years Old- The J-HOP Study
2018  9月  日本

いまや家庭での血圧測定はその再現性と心血管予後推定能で病院での血圧測定に匹敵すると考えられている。

しかし80歳以上の高齢者で家庭血圧と脳卒中など心血管疾患との関連についての調査はほとんどないので、「日本人における家庭血圧の心血管予後推定能に関する研究」(Japan Morning Surge-Home Blood Pressure study)のデータをつかってくわしくしらべてみたそうな。


心血管疾患歴またはリスク要因をもつ80歳以上の349人について、脳卒中など心血管疾患の発生を3年間フォローした。

また 家庭で朝と夜の血圧を14日間測定し 関連を解析した。


次のことがわかった。

・この間に32の心血管疾患があり、そのうち13は脳卒中だった。

・朝の収縮期血圧が10mmHg高いと脳卒中リスクは1.47倍になった。

・拡張期血圧についても同様だった。

・これらの関連は夜測定の血圧や病院での血圧には見られなかった。

朝の家庭血圧は脳卒中の発生と正の相関を示した。これは病院や夜の測定ではわからないことだった。高齢アジア人には朝の血圧測定がとても大事、


というおはなし。
図:起床時血圧と脳卒中リスク

感想:

その日のスタートに一喜一憂したくないので朝はめったに測定しない。

スマートウォッチでいつの間にか測ってもらいたいものだ。

2018年9月8日

脳卒中について患者が知っているべきこと

元
Acute stroke patients' knowledge of stroke at discharge in China- a cross-sectional study
2018  9月  中国

脳卒中について知ることは健康維持と再発予防の観点から重要である。入院患者への教育効果の調査はおおくはなく主に欧米のものである。

そこで中国の脳卒中患者について脳卒中に関する知識レベルをたしかめてみたそうな。


2014の湖北省の急性脳梗塞患者で認知機能に問題のない1531人について、退院時にアンケート調査をおこなった。


次のことがわかった。

・31.2%の患者が、脳卒中が脳の血管が詰まったり破れたりすることで起きると知らなかった。

・20.3%は 症状があらわれたらすぐに病院へゆく必要を理解していなかった。

・およそ50%は突然の目のかすみ、めまい、頭痛、失神が脳卒中の前兆とはおもっていなかった。

・40%以上が高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、肥満が脳卒中のリスク要因とは考えていなかった。

・20%以上が血圧、脂質、血糖の 薬による長期コントロールの必要を理解していなかった。

・彼らの知識レベルは居住地域、社会経済的地位、脳卒中歴の有無、脳卒中経験のある近親者の有無と関連がつよかった。

中国の急性脳梗塞患者のおおくは退院時点で脳卒中に関する知識がほとんどなかった。まずは田舎住まいの低所得の患者への院内教育にちからをいれるべきだろう、


というおはなし。
図:脳卒中の知識 in china


感想:

早く病院へ行けとか長く薬を飲めとか 業界バイアスのかかった知識ばかりだな。

たとえばこういう情報↓をこそ 知ってもらいたい。
Stroke誌:抗血小板薬で微小脳出血そして脳内出血

退院のあと抗血栓薬で大出血の頻度と特徴

アスピリンの重大出血リスクはワルファリンと同じ

アスピリンを長く使うとワルファリンよりも出血する

Stroke誌:抗血小板薬を複数使っていると脳内出血で死ぬ

2018年9月7日

うつと失語 足をひっぱるのはどっち?

元
The Association Between Post-stroke Depression, Aphasia, and Physical Independence in Stroke Patients at 3-Month Follow-Up
2018  8月  中国

脳卒中後のうつは患者の20-65%が経験し、失語症は3人に1人が経験するという。

これらはいずれも生活の質や日常生活動作にネガティブな影響をおよぼすと考えられている。

そこで脳卒中後のうつや失語症の身体自立度との関連をくわしくしらべてみたそうな。

2018年9月6日

緑茶と紅茶の神経保護効果

元
Green Tea and Red Tea from Camellia sinensis Partially Prevented the Motor Deficits and Striatal Oxidative Damage Induced by Hemorrhagic Stroke in Rats
2018  8月  ブラジル

緑茶が脳内出血後の酸化ストレスから神経を保護するとする報告がある。

おなじチャノキ(Camellia sinensis)から作られる紅茶もまた同様の効果が期待されるが確かめられていないので動物実験してみたそうな。


ネズミを人為的に脳内出血にする10日まえから緑茶または紅茶をあたえた。

脳内出血の1、3、7日後、茶は継続しながら 歩行、バランス、神経症状の測定を行い、最後に脳線条体の酸化物質の分析をした。


次のようになった。

・脳内出血により生じた障害のうち、紅茶グループでのみ歩行障害が小さかった。

・バランス障害は緑茶と紅茶グループでともに小さかった。

・線条体由来の運動障害は紅茶よりも緑茶グループでよく抑えられていた。

・脳内出血により活性酸素と脂質過酸化レベルが上昇していたが緑茶と紅茶グループで脂質過酸化レベルが低下していた。

緑茶または紅茶が脳内出血後の線条体での酸化ダメージによる運動障害を抑えるはたらきをみせた、


というおはなし。
図:緑茶と紅茶の脳卒中後の転倒防止効果

感想:

緑茶は脳卒中予防にいいけどそのあとにも良い。
緑茶を飲めば慢性期でも脳が再生するという根拠について

緑茶が脳卒中の記憶障害を防ぐ

2018年9月5日

脳卒中と認知症リスクのメタアナリシス

元
Stroke and dementia risk- A systematic review and meta-analysis
2018  8月  イギリス

脳卒中は認知障害や認知症のリスク要因である。

2009年のメタアナリシスでは脳卒中の前後で認知症の罹患率が2倍になり、再発後では3人に1人以上が認知症という結果がでた。

また2013年のメタアナリシスでは脳卒中はアルツハイマー病の中強度のリスク要因であることが示されている。

血管リスクとしてではなく脳卒中それ自体とすべての種類の認知症との関連をしらべたメタアナリシスはこれまでにないので やってみたそうな。


関連する過去の研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のようになった。

・脳卒中歴のある190万人を含む36の研究と、あらたに脳卒中を起こした130万人を含む12の研究がみつかった。

・脳卒中経験があると なんらかの認知症になるリスクは70%アップし、

・あらたに脳卒中になったばあいには、認知症のなりやすさはおよそ2倍になった。

脳卒中はそれ自体がなんらかの種類の認知症に関連する強いリスク要因だった、


というおはなし。
図:脳卒中後の認知症なりやすさ

感想:

いきなり認知症になるよりは脳卒中やってからのほうが本人も周囲もなっとくしやすいのでは?

2018年9月4日

ハズ○ルーペで上肢機能が改善する可能性について

元
Magnifying vision improves motor performance in individuals with stroke
2018  8月  アメリカ

レンズを使って手元の視野を拡大すると触覚の2点分別能が改善するという報告が2001にあり、その後 2011に疼痛緩和効果、2017に運動機能改善効果が健常者での実験で報告されている。

背景メカニズムとして多感覚統合効果が考えられているが脳卒中患者の上肢麻痺への応用はないので実験してみたそうな。


慢性期脳卒中で上肢麻痺のある25人について、1.8倍の拡大鏡つきバイザーを付けたときとそうでない状態での上肢運動機能(リーチ速度、握力、指タップ回数、指認識反応速度など)を比べたところ、


次のようになった。

・バイザー装着直後、28%の被験者にすべての検査項目で改善がみられた。

・その10分後、バイザーをはずした状態でおなじ検査をしたところ32%で同様の改善がみられた。

脳卒中で上肢麻痺の手元をレンズで拡大するだけで少なからぬ患者で上肢機能パフォーマンスが改善し、レンズを外したあともその効果が持続した。これは期待できる、


というおはなし。
図:拡大鏡つきバイザー

感想:

上の写真の拡大鏡つきバイザーは日本の通販で5000円くらいで手に入る。

おすすめは渡辺謙と菊川怜が広告モデルのハズ○ルーペ 1万円。拡大率は1.85倍 デザイン性はバイザー型の比ではない。広告費に100億円をかけるほどに売れていると最近話題になった。

欲しくなってきた。

2018年9月3日

低酸素コンディショニングの治療効果

元
Low Oxygen Post Conditioning as an Efficient Non-pharmacological Strategy to Promote Motor Function After Stroke
2018  8月  オーストラリア

ここ数年、低酸素状態におく(Low oxygen post conditioning)ことの心筋梗塞の再生効果や神経再生、血管再生、認知機能改善効果がつぎつぎと報告され、薬を必要としないシンプルな治療法として期待されている。

そこで脳梗塞にたいする低酸素コンディショニングの効果を動物でしらべてみたそうな。


ネズミを人為的に脳梗塞にした48時間後から1日8時間 酸素濃度11%の環境におき、これを2週間続けた。

運動機能と脳組織の状態を4週間後までフォローしたところ、


次のようになった。

・運動障害は低酸素コンディショニング2週間でほぼ元のレベルに戻った。

・この機能改善は脳の毛細血管密度の増加とBDNFレベルの上昇、脳実質欠損の低下およびミクログリア活動の低下と関連していた。

・これらの効果は低酸素コンディショニングのさらに2週間後も持続していた。
低酸素コンディショニングの脳卒中後の運動機能改善と神経保護効果を確認できた。臨床試験が待ち遠しい、


というおはなし。

図:低酸素療法の脳保護効果

感想:

虚血コンディショニングよりももっと直接的だな。

wikipediaみると↓ 11%って意識飛ぶ寸前でマフィアの拷問なみか。
* 酸素濃度16%: 呼吸脈拍増、頭痛悪心、はきけ、集中力の低下
* 酸素濃度12%: 筋力低下、めまい、はきけ、体温上昇
* 酸素濃度10%: 顔面蒼白、意識不明、嘔吐、チアノーゼ
* 酸素濃度 8%: 昏睡
* 酸素濃度 6%: けいれん、呼吸停止

2018年9月2日

脳梗塞のあと認知障害をふせぐ血圧がわかった

元
Effects of Blood Pressure in the Early Phase of Ischemic Stroke and Stroke Subtype on Poststroke Cognitive Impairment
2018  7月  中国

脳卒中患者の24-58%は3ヶ月時点で認知障害を示すという。そのリスク要因として高血圧がいちばんにあげられるいっぽう、低血圧も認知機能の低下に影響するとかんがえられている。

そこで、急性期の脳梗塞で認知障害予防にてきした血圧と脳梗塞の種類との関連をくわしくしらべてみたそうな。


発症から24時間以内の脳梗塞患者796人について血圧と認知機能を3ヶ月後までフォローしたところ、


次のことがわかった。

・収縮期血圧が143-158mmHgのグループにくらべて、低い102-127mmHg のグループと、高い171-215mmHgのグループで3ヶ月後の認知障害リスクはいずれも約2倍だった。

・同様の関連が拡張期血圧でもみられた。

・このリスクはアテローム血栓性梗塞と完全前循環梗塞でとくに高かった。

急性期脳梗塞の血圧は低くても高くても認知障害リスクが高かった。認知障害を防ぐには143-158/93-102mmHgが適していると考えられた。


図:脳梗塞早期の血圧と認知障害リスク


感想:

お医者さんにほめられるからもっとがんばって血圧を下げよう!と考えてしまうけれど、
120を下回ってはいかんと思うよ。
脳内出血で血圧を下げ過ぎてはいけない理由

2018年9月1日

やる気があるから回復するの?

元
Stroke Patients Motivation Influence on the Effectiveness of Occupational Therapy
2018  7月  リトアニア

脳卒中患者のおおくは無気力で無関心なアパシー状態になる。それはリハビリ結果にもおおきく影響することが予想される。

脳卒中患者の「回復への動機」の種類と関連要因についてしらべてみたそうな。

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