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2015年8月5日

脳卒中経験者の認知機能低下スピードについて


Trajectory of Cognitive Decline After Incident Stroke.
2015  7月  アメリカ

脳卒中経験者の認知機能の低下を、発症前からフォローしてみたそうな。


45歳以上で認知機能に問題のない23572人を6.1年間追跡して脳卒中の有無、認知機能変化との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・515人が脳卒中を経験し、23057人は脳卒中にならなかった。

・脳卒中の発症は全般的な認知機能や学習能力、言語記憶の急激な低下と関連があった。

・脳卒中後の全般的認知機能および実行機能の低下スピードは発症前よりも速かった。

・脳卒中の直前直後で認知機能に有意な差はなかったが、

・認知障害になる頻度はあきらかに脳卒中後で多かった。


脳卒中の発症には認知機能の急な低下を伴い、発症後その低下スピードはさらにアップして 6年後も持続する、


というおはなし。


感想:

この記事↓おもいだした。
脳卒中になるとそれまでの倍の速度でボケる

さっきNHKニュース7で、認知症の診断がいい加減過ぎて誤診だらけって言ってた。

2015年8月4日

遷延性意識障害の主な原因は脳卒中 in あおもり


Epidemiological Investigation of Patients in Persistent Vegetative States in Aomori, Japan.
2015  8月  日本

遷延性意識障害(持続的植物状態)の原因や特徴を青森県民について調べてみたそうな。


患者の性別、年齢、病気の原因、入院施設の種類に関するアンケート調査を 青森県の682の医療施設に対して行った結果、


次のことがわかった。

・217施設(31.8%)から回答があった。

・1198人の遷延性意識障害患者(男性/女性=381/817)データを得た。

・そのうち80歳以上が63.4%を占めた。

・64.4%は脳卒中が原因だった。

・48.1%は介護施設に、34.6%は病院に入院中だった。

・青森県では100万人あたり患者869人の割合で、宮城県の2倍に相当した。


将来、高齢化が進むと 遷延性意識障害患者も増加するだろう、


というおはなし。


感想:

30年くらいまえ青森の女医さんに 脳卒中になることを「あたるって言うのよ」 とやさしく教えてもらった思い出。

2015年8月3日

「日中の過度の眠気」 高血圧患者の場合


Prevalence and determinants of excessive daytime sleepiness in hypertensive patients: a cross-sectional study in Douala, Cameroon.
2015  7月  カメルーン


「日中の過度の眠気」は睡眠障害の症状のひとつであり、一般人の数%~20%に見られるという。

高血圧患者に限定した場合の割合と特徴を調べてみたそうな。


15歳以上で脳卒中や心不全経験者を除いた高血圧の外来患者411人について調査したところ、


次のことがわかった。

・被検者は、平均年齢56、男性/女性=0.58、平均BMI=30、低体重者なし。

・血圧が140/90以下に収まっている者は全体の22.4%だった。

・62.8%に「日中の過度の眠気」が見られた。

・明らかに関連する要因は、*2型糖尿病、*肥満、*いびき、*140/90より高い血圧 だった。


高血圧患者のかなりの割合で「日中の過度の眠気」が認められた。睡眠時無呼吸症候群が関連しているのかもしれない、


というおはなし。



感想:

若い頃から日中の眠気がひどかったので関心をもった。でも平均BMI=30って かなりのおでぶさん。あんまり参考にならないかも。

2015年8月2日

閉じ込め症候群になると一生まばたきしかできないの?


Beyond the gaze: Communicating in chronic locked-in syndrome.
2015  7月  ベルギー

閉じ込め症候群は脳幹脳卒中で多く、眼球運動やまばたき以外の身体動作が麻痺し 話すこともできないものの意識は保たれた状態を指す。

長く閉じ込め症候群にある患者のコミュニケーション状況について調べてみたそうな。


閉じ込め症候群の患者204人について調査を試みた結果、


次のことがわかった。

・88人から回答が得られた。女性35%、平均年齢52、閉じ込め症候群歴平均10年だった。

・全員が眼球動作でYes/Noを伝える方法を使用していた。

・62%はなんらかの支援技術を併用し、

・49%は音声言語で意思疎通ができ、

・73%は数年のうちにいくつかの機能的動作が可能になっていた。


慢性期にある閉じ込め症候群の患者が眼球運動以外の意思疎通方法を獲得し、話したり何かしらの動作ができるようになる可能性を確認できた、


というおはなし。

閉じ込め症候群

感想:

キビシイ状況には変わりないけど 進歩がないわけではないんだな、、

[閉じ込め症候群]の検索結果

2015年8月1日

神経筋電気刺激が痙縮に効くはほんとうか?


Effects of Electrical Stimulation in Spastic Muscles After StrokeSystematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials
2015  7月  ブラジル

神経筋電気刺激(NMES)は脳卒中患者の痙縮治療や関節可動域を改善する目的で試されているものの、成果はまちまちである。

そこで、過去全ての臨床試験を厳選、データを再統合し解析しなおしてみたそうな。


次のようになった。

・5066本の論文から940人の被検者を含む29件の臨床試験研究を厳選した。

・NMESは脳卒中後の痙縮をあきらかに軽減した。

・この効果は上肢よりも下肢で顕著だった。

・関節可動域を改善する効果も確認した。


脳卒中リハビリへのNMESの追加は検討する価値がある、


というおはなし。
leg spasticity NMES


感想:

NMESと電器屋で買える低周波治療器の違いがわからない。たぶんおなじ。

どんどん試してみるといい。

2015年7月31日

ラテン系のメンタルは脳卒中に強いのか?


Racial and Ethnic Differences in Mental Distress among Stroke Survivors.
2015  6月  アメリカ

アフリカ系アメリカ人やヒスパニックは白人にくらべ脳卒中が多く、予後も悪い。

そこで、脳卒中後の精神的苦痛の民族間での違いを調べてみたそうな。


8324人の脳卒中経験者について調査したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中経験者の9%に深刻な精神的苦痛が認められた。

・民族別では、ヒスパニックの14%、アフリカ系アメリカ人および白人の9%、アジア人の8%に深刻な精神的苦痛が認められた。

・ヒスパニックでも若年、低教育歴、低保険レベルの者に重い精神的苦痛が目立った。


アメリカの脳卒中経験者に重度の精神的苦痛は珍しくなく、特にヒスパニックの人たちでよく見られた


というおはなし。



感想:

気にしたことなかったけど、ヒスパニックって人種じゃないのな。中南米のスペイン語圏の出自をヒスパニック、さらに非スペイン語圏出身者も含めてラテン系と呼ぶらしい。

陽気なイメージがあるからメンタル強いかと思ってた。

2015年7月30日

運動をイメージする力で手が動くようになるのだろうか


Effect of Motor Imagery on the F-Wave Parameters in Hemiparetic Stroke Survivors.
2015  6月  イラン

神経活動電位のF波は運動皮質の興奮性を反映すると考えられている。

そこで 運動イメージ法を使った脳卒中リハビリの効果を F波について検証してみたそうな。


発症後72時間以内の脳卒中片麻痺の患者21人について、

麻痺した手の指を動かすイメージをしている間のF波を、腕をとおる正中神経、尺骨神経で測定した。

麻痺していない側でも同様の測定を行い 比較した。


次のことがわかった。

・麻痺手と非麻痺手でF波は大きく異なっていた。

・運動イメージ中の麻痺手のF波持続性が両神経で改善し、

・F波反応強度も正中神経で改善した。


運動イメージ中のF波強度と持続性が改善された。運動イメージリハビリは脳卒中で弱った運動神経の働きを回復するのかもしれない、


というおはなし。



感想:

「凄絶」なはずの脳卒中リハビリが「想う」だけで済むわけがないとフツーは考える。一方で運動イメージ法やメンタルプラクティスを超える効果的な治療法が存在していないのも事実。
上肢リハビリ 良い方法 & ダメな方法

2015年7月29日

指先の触覚感度を鋭くするノイズ刺激強度がわかった


Application of vibration to wrist and hand skin affects fingertip tactile sensation.
2015  7月  アメリカ

脳卒中患者の指先の触覚は、手首や手の甲に振動刺激を与えることで改善できる。

この振動刺激に適した強さを調べてみたそうな。


12人の健常者について、手首、手の甲、親指の腹など4箇所別々にホワイトノイズ刺激を与えた。

ホワイトノイズの強度は認知できる閾値の60%から120%まで変化させた。

各々の組み合わせ時の人差し指および親指先の触覚感度を測定した。


次のようになった。

・ホワイトノイズはその位置によらず指先の触覚感度におおきく影響を与えた。

・閾値の60%強度のとき指先の触覚感度はもっとも向上し、

・120%では逆に感度が低下した。

・80%では感度に明らかな変化が無かった。

・ノイズ強度と触覚感度の関係は確率共鳴現象のそれを示していた。

・ノイズ位置に依らないことからより高次の神経プロセスに関係していると考えられた。


離れた位置へのノイズ刺激によって指先の触覚感度を改善できた。ノイズ刺激が閾値の60%強度のとき触覚感度がもっとも向上した、


というおはなし。

指先触覚刺激

感想:

これ↓の続報。
確率共鳴現象によって脳卒中で麻痺した指先の感覚を簡単に改善してしまう方法が明らかに
おもしろい。別の種類の刺激でもいけるんじゃないのかな、、

2015年7月28日

短下肢装具利用者にロッカーシューズを履かせたら


The effect of different shoes on functional mobility and energy expenditure in post-stroke hemiplegic patients using ankle-foot orthosis.
2015  7月  イラン

脳卒中片麻痺患者の短下肢装具に適した靴形状を調べてみたそうな。


30人の患者を、
*短下肢装具+船底型ソールの靴(ロッカーシューズ)
*短下肢装具+普通の靴
ロッカーソールシューズ
の2グループに分け、移動能力、エネルギー消費を測定したところ、


次のようになった。

・ロッカーシューズグループでは酸素コストおよびタイム Up & Go が明らかに改善し、

・最も心地よく感じる歩行速度は増加した。


短下肢装具を使う患者がロッカーシューズを履くと、移動能力が向上し、エネルギー効率も上がる、


というおはなし。

感想:

ロッカーソールシューズ、ロッカーボトムソールズとも呼ぶ。90年代に発案されたが、転倒しやすくなる点が普及しない理由と考える。


ロッカーシューズ専門家の解説

2015年7月27日

覚せい剤アンフェタミンをキメると半側空間無視が治る可能性について


The Time-Dependent and Persistent Effects of Amphetamine Treatment upon Recovery from Hemispatial Neglect in Rats.
2015  7月  アメリカ

半側空間無視は右脳損傷患者のおよそ40%に見られる神経心理学的な障害である。

ネズミの無顆粒皮質を破壊すると人の半側空間無視と同様の症状を作り出すことができる。

一方、動物実験ではアンフェタミンが脳の可塑性をうながし、非損傷側からの軸索成長により脳ダメージが大きく回復するという報告がある。

そこで、アンフェタミンが半側空間無視に効くのか、その治療タイミングについて動物で実験してみたそうな。


次のようになった。

・アンフェタミンを5日以内に注射したグループは食塩水グループよりもずっと早く半側空間無視が治った。

・注射タイミングが7日ほど遅れても効果はあった。

・回復効果は少なくとも60日間持続した。


半側空間無視にはアンフェタミンが効くかもしれない、


というおはなし。

アンフェタミン

感想:

「キメる」って言葉を使ってみたかっただけ。 ボツリヌス毒素とどっちが危険かねぇ、、

2015年7月26日

肥満パラドックスはくも膜下出血でもアリ?


Body-Mass Index (BMI) and Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage: Decreasing Mortality with Increasing BMI.
2015  7月  イギリス

肥満の脳梗塞患者、脳内出血患者の生存率がなぜか高いことを「肥満パラドックス」と呼ぶ。

脳動脈瘤が原因のくも膜下出血でもおなじことが言えるのか調べてみたそうな。


2002-2011のくも膜下出血患者305人分の記録から、肥満度BMIと死亡率との関連を解析したところ、


次のようになった。

・BMI30以上の肥満グループでは高血圧、糖尿病、クリッピングが標準体重グループよりも多かった。

・標準体重→過体重→肥満の順で、短期死亡率はそれぞれ 17%→12%→8%、

・長期死亡率はそれぞれ 34%→26%→19%だった。


くも膜下出血患者ではBMIが高いほど短期、長期死亡率が低かったが機能回復度には差はなかった、


というおはなし。


感想:

脳卒中の細かい原因の違いにはよらないで、とにかく太ってるひとは脳ダメージを受けても簡単には死なないってことか。