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2018年4月13日

脳卒中患者の前頭前野ががんばっている理由とは


Prefrontal over-activation during walking in people with mobility deficits: Interpretation and functional implications.
2018  3月  アメリカ

歩行機能を自動制御している中枢神経系に脳卒中などでダメージがおよんだ場合、足りなくなった注意や運動制御に要するリソースを他の領域に求め補うという考え方がある。

このあたりを確かめるべく歩行課題を複雑にしていったときの前頭前野の活動を 異なる被験者グループで測定してみたそうな。


若い健常者9人と
歩行困難のある高齢者15人、
片麻痺の脳卒中患者24人について

*通常歩行、
*障害物ありの歩行、
*言語課題(与えた文字で始まる単語を多く言わせる課題)中の歩行、

の各状況下での課題直後とさらに30秒後の前頭前野の酸化ヘモグロビンの量を近赤外線分光器で測定した。

また歩行スピードをもって歩行機能とした


次のようになった。

・通常歩行時とくらべたときの障害物歩行時の前頭前野の活動レベルはグループごとにあきらかに異なり、若者がもっとも低く 次いで高齢者<脳卒中患者 の順だった。

・同様に歩行スピードの低下度も 脳卒中患者>高齢者>若者 の順でおおきかった。

・若者の場合、通常歩行時の活動レベルが言語課題歩行時にくらべ非常に低いことから前頭前野の処理リソースがとてもおおきいことが伺える。

・高齢者と脳卒中患者では歩行課題の複雑さを上げると歩行機能が低下したことから、CRUNCH(Compensation-Related Utilization of Neural Circuits Hypothesis)仮説に則っていると考えられた。

高齢者や脳卒中患者の前頭前野は歩行の複雑さを増すと過活動になりその働きは限界に達し歩行機能が低下した、


というおはなし。
図:脳卒中患者の二重課題時の前頭前野の活動量

感想:

まだまだ若いとおもっていたけど、期せずして脳みそだけ高齢者の仲間入りをしてしまったようだ。

さいきん自動車運転中に同乗者と天気についての会話ができるようになってきたけど、記憶をたどる必要のあるやや複雑な話題になると とたんに返事ができなくなってしまう。

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2018年4月7日

リハビリ病院に入ってもちっとも良くならない理由


Excessive sedentary time during in-patient stroke rehabilitation.
2018  4月  カナダ

リハビリ病院に入院している脳卒中患者が ほとんどの時間を座って過ごしているという報告が相次いでいる。

そこで、この事実確認とセラピー中の活動状況および関連要因についてしらべてみたそうな。


第三次医療機関にリハビリ入院している脳卒中患者19人について、
心拍計と加速度計を装着して24時間x計2週間 測定をおこなった。

安静時代謝当量(MET)の1.5倍未満の運動強度のときを座位状態と判断した。
患者の障害度、精神状態、社会サポートもしらべ関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・患者は1日に10時間眠り4時間休憩し、目覚めている時間の86.9%は座っていた。

・平均して週に8.5回のセラピーセッションがあったが、週に15時間以上とするガイドラインレベルをおおきく下回っていた。

・理学療法時の61.6%および作業療法時の76.8%を座った状態で過ごしていた。

・心拍数は理学療法時に15ビート、作業療法時に8ビート上がった。

・患者の障害度や精神状態と座っている時間および活動時間との関連はなかった。

十分なリハビリ訓練量のニーズがあるにもかかわらず、患者はほとんどの時間を座ってすごし セラピー時間でさえなにもしていないも同然だった。これは患者要因によるものではなく 組織の問題だった、


というおはなし。
図:リハビリ病院での活動内容

感想:

リハビリ病院は、急な出来事で混乱している家族の気持ちが落ち着くまでのあいだ患者を預けておくための一時的な介護サービス施設なんだよ。

それ以上のことを期待しちゃダメ。
病院のリハビリで患者の訓練時間がとても短いわけ

リハビリ病院ってほとんど動く時間がなくて笑った

日本の理学療法士はどういう根拠に基づいて仕事をしているのか?

2018年4月5日

両手が一緒にうごいちゃう患者は遂行機能が弱い


Mirror movements are linked to executive control in healthy and brain-injured adults.
2018  3月  フランス

いっぽうの上肢の動きにつられて反対側の上肢が対称的に動いてしまうことを 鏡像運動 (mirror movement)という。

鏡像運動は幼少期によく現れ、成長にしたがい消える。しかし脳卒中の片麻痺患者で起きやすく、健康な者でも特定の条件下で発生させることができる。

脳損傷患者の鏡像運動には注意 抑制機能の問題がかかわっているという報告がいくつかあるので、その関連を詳しくしらべてみたそうな。


健常者24人と脳損傷患者8人について、鏡像運動の頻度と強度、および注意 抑制機能をそれぞれ複数のテストで評価したところ、


次のことがわかった。

・健常者とくらべて脳損傷患者では鏡像運動の頻度と強度がおおきく、注意力に欠陥がみられた。

・さらにすべての被験者で、Trail Making Test に反映される「遂行機能」から鏡像運動の頻度と強度を予測することができた。

鏡像運動と被験者の遂行機能に関連がみられた。脳損傷患者については 注意欠陥のリハビリで鏡像運動を減らすことができるかも、、


というおはなし。

←鏡像運動ビデオ

感想:

鏡像運動は記憶にないけど、手と脚が一緒に動くことはよくあった。

遂行機能」をさいきんよく目にするので関心をもった。

2018年4月1日

孤独感と社会的孤立、脳卒中で死ぬのはどっちだ


Social isolation and loneliness as risk factors for myocardial infarction, stroke and mortality: UK Biobank cohort study of 479 054 men and women.
2018  3月  フィンランド

孤独感や社会的孤立にさらされていると心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなるとする報告がおおくある。

しかしこれらの調査はいずれもサンプル数がすくなく、心筋梗塞や脳卒中のあとの死亡率までしらべていない。

そこで、孤独感や社会的孤立が心筋梗塞や脳卒中、その後の死亡率にたいして独立したリスク要因であるのかを大規模に調べてみたそうな。


イギリスのBiobank研究の47万人あまりの調査データを使用して解析した。

「孤独感」は 頻繁な主観的孤独 と親しい人に悩みを打ち明ける頻度から、

「社会的孤立」は 世帯人数 友人や家族との交流頻度と社会参加の頻度から評価した。


次のことがわかった。

・平均7.1年間のフォロー中に5731件の急性心筋梗塞と3471件の脳卒中があった。

・社会的孤立は急性心筋梗塞と脳卒中のリスクと相関していたが、他のリスク要因を考慮にいれるとこの相関はほとんど消えた。

・孤独感も急性心筋梗塞と脳卒中のリスクと相関していたが、他のリスク要因を考慮にいれるとこの相関はほとんんど消えた。

・しかし孤独感ではなく社会的孤立だけは他の要因をすべて考慮にいれても死亡リスクとあきらかな相関があり、急性心筋梗塞死亡リスクが1.25倍、脳卒中死亡リスクは1.32倍だった。

孤独感と社会的孤立は急性心筋梗塞や脳卒中リスクと相関をしめしたが、大部分が他の心血管リスクで説明がついた。しかし社会的孤立だけはそれ自体が急性心筋梗塞や脳卒中の死亡リスクと相関があった、


というおはなし。

図:社会的孤立と脳卒中死亡リスク



感想:

他人と心からわかりあえるはずなどないから 人生に孤独感はつきもの。

社会生活を営むのはそのフィールドで生き残るためだから 孤立したら死はとうぜん。

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2018年3月28日

脳卒中の種類別10年トレンド in 中国


Trends in stroke subtypes and vascular risk factors in a stroke center in China over 10 years.
2018  3月  中国

中国ではこの10年間に急激な経済成長を遂げ、人々のライフスタイルや医療技術もおおきく変化した。

そこで、この間に脳卒中の種類とリスク要因がどのように変化してきたかを詳しくしらべてみたそうな。



2006-2015に北京大学病院に入院した脳卒中患者5521人の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・患者の内訳は脳梗塞82.1%、脳内出血14.7%、くも膜下出血3.2% だった。

・脳梗塞の比率は増加傾向にあり、脳内出血とくも膜下出血は低下傾向にあった。

・発症時の年齢と血圧におおきな変化はなかった。

・脳梗塞ではアテローム血栓性が17.0→30.8%に増加した後24.1%まで低下し、

・ラクナ梗塞は15.5%→39.6%に増加した。

・原因未定の脳梗塞は52.7%→26.0%に減少した。

・これらの傾向は頭蓋内血管検査数の増加を調整しても変わらなかった。

・LDLコレステロール値はあきらかに減少した。

・心原性脳梗塞の比率に有意な変化はなかった。

中国ではこの10年間で脳卒中の種類の比率があきらかに変わった。高血圧治療で脳内出血やくも膜下出血、ラクナ梗塞の予防が期待できる。脳梗塞の原因を特定する能力は高くなった。脂質降下薬治療は有効だった、



というおはなし。
図:中国の脳梗塞の内訳トレンド

感想:

MRI普及のおかげでラクナ梗塞が量産されて、脳内出血とくも膜下出血の比率を押し下げているってことはないかな。

2018年3月20日

脳梗塞の原因別ワールドトレンド


Distribution and Temporal Trends From 1993 to 2015 of Ischemic Stroke Subtypes
2018  3月  イタリア

脳梗塞は脳卒中のなかでもっともおおいタイプで その発生率と死亡率は高所得国では低下傾向、低中所得国では上昇傾向にある。

脳梗塞には原因別にアテローム血栓性、心原性、小血管病(ラクナ梗塞)がある。これら種類別の世界的トレンドを過去の研究からまとめてみたそうな。


1993-2015の世界中の関連研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。
・65の研究がみつかった。

・脳梗塞の種類別内訳は、心原性22%、アテローム血栓性23%、ラクナ梗塞22%、その他3%、原因未定26%で、

・人種別では白人で心原性が、アジア人にはアテローム血栓性がもっとも多かった。

・白人の心原性脳梗塞が占める比率は年間2.4%増加し、ラクナ梗塞は4.7%減少していた。

・アジア人のアテローム血栓性脳梗塞は年間5.7%増加していた。

さいきんの20年間で脳梗塞の原因は 白人では心原性、アジア人ではアテローム血栓性が主になってきている、


というおはなし。
図:脳梗塞の原因別トレンド 白人とアジア人

感想:

「原因未定」っていうのは複数の要因がからんでいて 時間の限られた救急シーンで原因の特定が間に合わなかった、という意味らしい。

どうせはっきりとはわからないんだから言ったもん勝ちとおもう。

2018年3月8日

再発予防にベストなLDLコレステロール値は


Desirable Low-Density Lipoprotein Cholesterol Levels for Preventing Stroke Recurrence
2018  3月  日本

脂質異常の薬物治療による脳卒中の再発予防効果についてはよくわかっていない。

そこで、"スタチンによる脳卒中の再発予防研究"(J-STARS)のデータをつかって、LDLコレステロール値に着目して脳卒中の種類別に再発リスクをしらべてみたそうな。


2004-2009の脳梗塞患者1578人をフォローした記録(スタチン使用793人と非使用785人)について解析したところ、


次のことがわかった。
・LDLコレステロールレベルの平均はスタチングループで104mg/dL,比較グループで126mg/dLだった。

・脳卒中とTIAはLDLコレステロールが80-100mg/dL の範囲のときリスクが低下した。

・アテローム血栓性脳梗塞でのみスタチン使用グループであきらかなリスクの低下があった。

・脳内出血リスクはアテローム血栓性脳梗塞と同パターンで、スタチン使用でリスクが高くなるわけではなかった。

・ラクナ梗塞は100-120mg/dL の範囲でリスクが低かった。

脳卒中の再発予防にはLDLコレステロールは80-100mg/dLの範囲を目指すとよいだろう、


というおはなし。

図:LDLコレステロールと脳卒中再発リスク

感想:

もともと脂質コントロールに脳卒中再発の予防効果がほとんどないなかで、強いていえばこの辺りかな、、という結果と理解した。

じぶんはスタチンには縁がないけど、筋肉が溶けるとか副作用の評判はひどい、、
脳卒中患者が医師のアドバイスを無視するとき

2018年2月24日

結婚パートナーの存在と再発率


Association between marriage and outcomes in patients with acute ischemic stroke.
2018  2月  中国

配偶者のいない脳卒中患者は生存率が低いという報告がいくつかある。

結婚状況と脳卒中の再発 後遺症との関連についてはよくわかっていないので調べてみたそうな。


中国の急性脳梗塞患者12118人について、
既婚グループ(配偶者あり、再婚を含む)と
独身グループ(結婚歴なし、離婚、死別)にわけて
死亡、再発、障害との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・1220人が独身で、10898人が既婚者だった.

・既婚者にくらべ独身グループの1年後の総死亡率は、25.3 vs. 12.3%、再発率 28.5 vs. 18.2%、障害率 61.7 vs. 42.6% で、いずれもはっきりと高かった。

急性脳梗塞患者のうち結婚して配偶者がいると、あきらかに予後が良かった、


というおはなし。
図:結婚状況と脳卒中の再発

感想:

ものごとには必ず反動がある。

パートナーには早く回復してもらいたいから当初は熱心にサポートする。けれど長期的には互いの存在が負担になり そのストレスで再発、、ってことにはならないだろうか。

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2018年2月17日

Stroke誌:7歳時の身長で のちの脳卒中リスクがわかる


Childhood Stature and Growth in Relation to First Ischemic Stroke or Intracerebral Hemorrhage
2018  2月  デンマーク

成人の身長と脳卒中リスクは逆相関にあって、身長が6.5cm高いと脳梗塞リスクが6%、脳内出血リスクは10%低いという報告がある。

しかし子供のころの身長と成人してからの脳卒中リスクについての研究はほとんどないので詳しく調べてみたそうな。


1930-1989に生まれた男女311009人を30年前後フォローした記録を解析したところ、


次のことがわかった。
・この間に10412人の脳梗塞、2546人の脳内出血があった。

・7歳時の身長が脳卒中リスクとあきらかに逆相関にあり、

・脳梗塞は男女ともに、脳内出血は男性にのみ この関連がみられた。

・7→13歳まで通してこの関連はみられたが、

・この間の身長の伸びの大きさと脳卒中リスクとの関連は確認できなかった。

7歳から13歳に平均より身長が低いと のちの脳梗塞リスクは男女ともに高く 脳内出血リスクも男性で高かった。この間の身長の伸びと脳卒中リスクが関連しないことから、この背景メカニズムは子供のはやい時期にあきあらかになっていると考えられる、


というおはなし。
図:7歳時の身長と脳卒中リスク

感想:

なるほど、ちいさめの小学生には早いうちから血液サラサラのお薬が必要になるかもしれんね。

2018年2月14日

脳卒中のあとの不安障害の種類


Anxiety After Stroke The Importance of Subtyping
2018  2月  イギリス

脳卒中患者のおよそ4分の1はなんらかの不安障害を経験するという。

しかし不安障害には恐怖症性や全般性の種類があり、たとえば恐怖症性では単なるリラクゼーションや抗うつ薬の類は効果がない。

そこで脳卒中のあとの不安障害の種類と特徴について詳しくしらべてみたそうな。


脳卒中またはTIAの患者175人について3ヶ月後の状態を電話インタビューしたところ、


次のことがわかった。
・22%の患者に不安障害が見られた。

・恐怖症性の不安障害がもっともおおく、恐怖症性のみが10%、恐怖症性+全般性不安障害が7%、全般性不安障害のみが4%だった。

・不安障害の患者は恐怖症性の回避行動があらゆるシーンで高頻度に見られた。

・回復不良率(mRS:3-5)は 55 vs. 29%で不安障害患者におおく、

・QoLと社会参加率も低かった。
脳卒中後の不安障害には恐怖症性のものがおおく彼らの脳卒中回復度はよくなかった。不安障害の治療は恐怖症性と全般性の違いを確かめる必要があるだろう


というおはなし。
図:脳卒中後の不安障害の割合、恐怖症性と全般性

感想:

全般性は理由が特定できないタイプで、
恐怖症性は、広場恐怖や社交恐怖をここではあつかっている。

脳卒中やってからというもの、その種の恐怖を克服しなければ、、という気持ちがなくなってしまった。

とことん逃げてやろうと思う。

2018年1月18日

毎日の運動で血行動態が改善するしくみ


Higher Daily Physical Activity Level Is Associated with Lower RBC Aggregation in Carotid Artery Disease Patients at High Risk of Stroke.
2017  12月  フランス

アテローム性動脈硬化がすすむと頸動脈にプラークが形成され血行動態が変化して脳梗塞の原因になる。

いっぽう身体活動レベルがあがると血中の脂肪やコレステロールが低下し血行動態を改善すると考えられている。
そこで頸動脈疾患患者について身体活動レベルと血行動態との関連をしらべてみたそうな。


頸動脈内膜切除術を受けた80人の患者(症候性15人と無症候性65人)および健常者14人について、血液粘度、赤血球凝集能および赤血球変形能を測定し、

アンケート調査した日々の身体活動レベルとの関連を解析したところ、


次のようになった。

・症候性の頸動脈疾患患者は血液粘度と赤血球凝集能が健常者よりも高かった。

・身体活動が活発な者は ほとんど動かない者にくらべ赤血球凝集能があきらかに低かった。

・血液粘度と赤血球変形能は身体活動レベルで変わらなかった。

症状の重い頸動脈疾患では血行動態上の異常(血液粘度と赤血球凝集能の上昇)が見られた。身体活動レベルの高い患者は赤血球凝集能が低かった、


というおはなし。
図:赤血球凝集と身体活動レベル

感想:

日々の運動で血液粘度がさがるわけではなくて、しかも血小板ではなくて赤血球の凝集能が低くなる。

赤血球の凝集ときたら抗原抗体反応がどうのこうのなんだよな。

2018年1月13日

働いていた軽症脳卒中患者は回復に不満が少ない


Pre-stroke employment results in better patient-reported outcomes after minor stroke: Short title: Functional outcomes after minor stroke.
2017  1月  アメリカ

神経症状の重さをしめすNIHSSスコアが低い軽度の脳卒中で、片麻痺や失語などの客観的な障害が残らなかったとしても 手や脚の動かしづらさや注意力不足などを訴える脳卒中患者はすくなくない。

そこで軽症脳卒中患者の主観的回復度と関連要因についてくわしくしらべてみたそうな。


発症から3ヶ月前後で、NIHSSスコア4以下の軽症脳卒中患者151人
およびTIAまたは脳卒中類似症状の患者40人について、

身体機能の主観的な問題の数(1-50)およびその深刻さを3段階評価してかけ合わせた負担度(1-150)、
そしてうつ 疲労の程度を測定し 比較した。


次のことがわかった。
・患者の主観的問題数は 11.7 vs. 6.9、負担度は 26.5 vs.12.3 でいずれも軽症脳卒中グループが高く、

・うつ、疲労の程度も高かった。

・これらは脳卒中患者の重症度や教育歴、収入、結婚歴と関連は無かったが、

・発症前に現役労働者だった場合には全カテゴリについて良好な回復を報告していた。

・この関連は他の要因を考慮にいれても変わらなかった。
軽症脳卒中患者の発症直前の就労状況が予後に反映していた。現役労働者だった患者は年齢や重症度によらず主観的な回復が良かった、


というおはなし。
図:雇用ステータスと脳卒中転帰

感想:

労働者にもとめられるもっとも重要な特性は、

「自分の体調もふくめ日々変化する状況に適応できる能力である」、と考えれば納得がゆく。

2018年1月8日

抜歯まえはワルファリンとめるべき→いまや迷信


The mythology of anticoagulation therapy interruption for dental surgery.
2018  1月  アメリカ

脳卒中予防の目的でワルファリン等の抗凝固療法をうけている者が歯科で抜歯やインプラントなどの手術を受ける場合、一時的に服薬をとめるべきであると信じられていた時代があったそうな。


抗凝固薬を継続すると出血のリスクがあり、服薬をとめると血栓が生じて塞栓症を起こすリスクがある。

どちらのリスクをとるべきか60年以上にわたり議論が続けられてきた。

そしてこれまでの研究から服薬を続けてもおおきな出血はまれで ましてや致命的なものは無かった一方、服薬を停止することで致命的な塞栓症を起こすことがありうる とわかってきた。

ようやく
「歯科手術に際して抗凝固薬を停止するべきでない」という考えでほとんどの研究グループ間で意見の一致をみるようになった、


というおはなし。
図:歯科手術まえの抗凝固療法 継続か?停止か?

感想:

小学2年以来 歯科にかかったことのないじぶんにいわせると、脳卒中予防と歯科治療をおなじ天秤にかけることじたいがナンセンス。

歯科治療なんか命にかかわるものじゃぁないんだから我慢すればいいだけ。

2018年1月2日

夜間に心拍数がふえる脳血管病は


Association Between Heart Rate and Subclinical Cerebrovascular Disease in the Elderly.
2017  12月  アメリカ

心拍数の増加は心血管死亡率と相関することがわかっている。自律神経の緊張による心拍数の増加が血管抵抗と高血圧を反映する。

とくに最近の研究では安静時や日中の心拍数よりも夜間心拍数が重要であると考えられている。

しかし脳卒中と心拍数との関連はいまだあきらかでない。そこで患者数がおおい無症候性の脳梗塞と白質病変について心拍数との関連をくわしくしらべてみたそうな。


平均年齢74の高齢者680人に24時間の心拍数モニター行い、MRIでの無症候性脳梗塞と白質病変体積との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・無症候性脳梗塞は13.7%に見られた。

・白質病変体積が特に大きいグループでは夜間心拍数とのみ あきらかな相関があり、収縮期血圧や他の心血管リスク要因に依らなかった。

・日中の心拍数や心拍変動との同様な関連は確認できなかった。

・心拍数と無症候性脳梗塞との関連も確認できなかった。

高齢者の調査では夜間心拍数の増加が無症候性の脳血管病である白質病変体積と相関していた、


というおはなし。
図:心拍数と無症候性の脳梗塞と白質病変体積

感想:

自慢じゃないけど心拍数は高い。

2017年12月27日

突発性難聴と脳卒中との関連があきらかに


Association of Sudden Sensorineural Hearing Loss With Risk of Cardiocerebrovascular Disease: A Study Using Data From the Korea National Health Insurance Service.
2017  12月  韓国

突発性難聴のおおくは(32-65%)自然に治ってしまうものの原因はよくわかっていない。血管疾患や感染症、内耳の問題、自己免疫疾患などが原因候補に挙げられている。

そこで突発性難聴のあとの脳卒中や心筋梗塞との関連についてしらべてみたそうな。


2002年韓国の国民健康保険データベースから突発性難聴患者154人と 条件が似た別の患者616人を抽出して2013までの心血管疾患の有無との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・11年間に 全体で66人が脳卒中や心筋梗塞になった。内訳は突発性難聴グループで18人(1000人あたり年間13.5人)、比較グループが48人(1000人あたり年間7.5人)だった。

・関連要因を考慮にいれると突発性難聴グループの心血管疾患リスクは2.18倍で、

・特に脳卒中と関連がつよく、心筋梗塞とのあきらかな関連は確認できなかった。

突発性難聴患者はのちの脳卒中発生率があきらかに高かった、


というおはなし。

図:突発性難聴と脳卒中リスク

感想:

長くても数日のあいだにびっくりするほど聴こえなくなるんだって。

[突発性難聴]の関連記事



2017年12月23日

LDLコレステロールが高い脳内出血患者の末路


Higher low-density lipoprotein cholesterol levels are associated with decreased mortality in patients with intracerebral hemorrhage.
2017  12月  アメリカ

脳内出血患者のLDLコレステロール値と回復の良し悪しとの関連については未だ結論がでていない。

これを詳しくしらべてみたそうな。


平均年齢62の脳内出血患者672人の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・発症前のスタチンの使用は回復程度に関連がなかった。

・LDLコレステロール値は血腫体積の三乗根と逆相関にあり、

・入院時にLDLコレステロールが高かったというだけで患者の血腫拡大スピードは遅く、

・院内死亡率も低く、10mg/dl増えるごとにオッズ比が0.68倍になった。

脳内出血で入院時にLDLコレステロールが高かった患者は それだけで血腫拡大が小さく院内死亡率も低かった、


というおはなし。
図:LDLコレステロールと脳内出血死亡率

感想:

平均は100mg/dlだったとのこと。110-120くらいをめざすといいんじゃないかな。

2017年12月1日

仕事の運動量と脳卒中リスクについて


Association of Physical Activity With Risk of Major Cardiovascular Diseases in Chinese Men and Women.
2017  11月  中国

身体活動は脳卒中など心血管疾患の予防に重要である。
この数十年間で仕事やライフスタイルの変化から身体活動量は世界的に低下してきている。

身体活動量と心血管疾患の研究のおおくは先進国を対象にしたものなので 中国で大規模に調査してみたそうな。


中国の都市部と農村部の10地域から、平均年齢51、35-79歳で健康な男女487334人を抽出して身体活動量をしらべ7年半フォローしたところ、


次のことがわかった。
・この間に脳梗塞25647件、脳内出血5252件、心血管疾患死亡8437件があった。

・身体活動量の平均は1日たり21.5MET-hで、仕事由来の割合は男性で75% 女性では50%だった。

・トータルの身体活動量がおおいと心血管疾患リスクは最大で33%低下した。

・身体活動量が1日あたり4MET-h(早足の1時間歩行に相当)ふえると心血管疾患リスクは6%低下し、脳梗塞 脳内出血 死亡リスク別にみても5-12%低下した。

・これらの関連の強さは 身体活動が仕事や余暇時間のものであってもおなじだった。

・ただし仕事由来の身体活動量が1日あたり20MET-hを超えると脳内出血にかんしてはその関連が弱くなった。

中国では仕事や余暇の身体活動量がおおいほど脳卒中など心血管疾患のリスクがあきらかに低かった、


というおはなし。
図:身体活動量と脳内出血リスク

感想:

椅子のないオフィスが流行ってるみたいだけど、エアロバイクつきのデスクにして発電と仕事を同時にさせれば脳卒中予防にもいいし一石三鳥。
ランセット誌:通勤や家事は脳卒中予防にならないの?

2017年11月27日

脳卒中リスク要因ランキング


Prevalence of stroke and associated risk factors among middle-aged and older farmers in western China.
2017  11月  中国

中国では経済や社会の急速な発展とライフスタイルの西洋化にともない脳卒中も増え、いまでは年間10万人あたり157人が発症し 160万人が死亡している。

中国での脳卒中リスク要因をしらべてみたそうな。


中国西部の陝西省、四川省の40歳以上の農民20525人に面談して病歴、高血圧、肥満、脳卒中家族歴、を調査したところ、


次のことがわかった。

・中国西部の中高年農民の脳卒中罹患率は10万人あたり1380人だった。

・高血圧や脳卒中の家族歴は男性におおく、

・年齢、性別、高血圧、肥満、脳卒中の家族歴はあきらかに脳卒中のリスク要因であり、

・そのオッズ比は、脳卒中の家族歴7.177、肥満4.389、高血圧3.647の順だった。

中国西部の中高年では脳卒中の家族歴がもっとも強い脳卒中のリスク要因だった、


というおはなし。
図:脳卒中のリスク要因第一位は家族歴

感想:

政治家の世襲もFamily historyといえるな。

2017年11月15日

退院後の栄養不良と予後


Malnutrition Increases the Incidence of Death, Cardiovascular Events, and Infections in Patients with Stroke after Rehabilitation.
2017  11月  日本

脳卒中は死亡率が低下傾向にあるものの 日本では依然として死亡原因の第4位である。

脳卒中の急性期に栄養不良の患者は予後がよくなといわれている。いっぽう栄養不良は急性期よりもリハビリ期におおくなるが、予後への影響はよくわかっていない。

そこで脳卒中患者のリハビリ退院直後の栄養状態と死亡 再発 感染症との関連をしらべてみたそうな。


平均年齢64の高齢脳卒中患者138人についてリハビリ退院直後の栄養状態を "geriatric nutritional risk index"(GNRI)で評価した。

GNRIは体重、身長、血清アルブミン値だけで栄養評価できる指標で 次式で与えられる。
GNRI = [14.89×アルブミン値(g/dL)] + [41.7×(体重/標準BMIに相当する理想体重)]
GNRIが96以下を栄養不良とし、1年間フォローしたところ、


次のことがわかった。

・退院直後の平均GNRIは98.8で、

・患者の27%が栄養不良状態にあった。

・1年間の総死亡率は1%、心血管疾患再発率15%、感染症率15%で、

・これらはGNRIが96以下の患者であきらかに高かった。

リハビリ退院したあとであっても 栄養不良は予後がよくない要因だった、


というおはなし。
図:脳卒中患者の栄養不良と再発

感想:

もともとやせ気味なのに退院した直後は3キロちかく体重減っていた。食事はおいしかったけど量がすくなかった。隣のベッドに配膳された天ぷらそばをこっそり食べてしまいたい衝動に耐えるのがキツかった思い出。

いまにして思うと我慢せずに 売店でパンやおにぎりでも買って食べればよかったとおもう。

2017年10月28日

二重課題と前頭前皮質 脳卒中患者のばあい


Prefrontal cortex activation during a dual task in patients with stroke.
2017  10月  日本

身体運動と認知活動を同時におこなう二重課題では いずれかもしくは両方の課題パフォーマンスが低下する。
脳卒中患者ではこれが転倒の原因になりうる。

二重課題には前頭前皮質がつよく関係していることが報告されているので、脳卒中患者について二重課題中の前頭前皮質の活動と各課題パフォーマンスとの関連についてしらべてみたそうな。


脳卒中患者14人と健常者14人について、二重課題時の前頭前皮質の活動をマルチチャンネルの近赤外線センサーを装着しながら測定した。

歩行課題と連続引き算課題を単一もしくは二重で与えたときの 歩行加速度と引き算精度から各パフォーマンス変化を評価した。


次のようになった。

・二重課題時のパフォーマンス低下度はいずれの課題も脳卒中患者であきらかにおおきかった。

・二重課題時の前頭前皮質の活動も脳卒中患者が弱かった。

・右の前頭前皮質の活動が脳卒中患者の身体活動パフォーマンスに関連するいっぽう、

・左の前頭前皮質は健常者の認知機能パフォーマンスに関連していた。

重課題時に前頭前皮質が優先する課題の種類は脳卒中患者と健常者で異なっていた、


というおはなし。
図:近赤外線スペクトロメータ

感想:

運転しながら音楽聴いたり会話する余裕がでてきたよ さいきん。
二重課題で歩行能力アップ

歩きながら考え事すると脳はどうなるの?

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