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2018年4月15日

泣き笑いを制御できない脳梗塞患者の認知能的特徴


Correlation between cognitive impairment during the acute phase of first cerebral infarction and development of long-term pseudobulbar affect.
2018  3月  中国

とくに理由もないのに 場にふさわしくない大笑いや号泣をしてしまう感情をコントロールできない症状をスードバルバーアフェクト(Pseudobulbar affect : PBA)とよぶ。

PBAは中枢神経系の病気にみられとくに脳卒中患者でおおく、経験者は52%におよび12ヶ月後でも11%に症状がつづくとする報告もある。

またPBAは男性よりも女性で、脳出血よりも脳梗塞で、笑いよりも泣くケースがおおいことが知られている。

そこでPBAになりやすい脳梗塞患者が急性期の認知障害テストに反映されているものか確かめてみたそうな。


脳梗塞の急性期に認知障害を示し 6ヶ月後前後のあいだにPBAと判定された26人と、
PBAでない他の条件がおなじ26人を比較したところ、


次のことがわかった。

・PBAの有無は認知障害検査MoCAスコアに反映されていた。

・とくに 数唱テスト、ストループテスト、時計描画テストのスコアがPBAに関連する要因だった。

脳梗塞の急性期に認知障害を示す患者はPBAの長期リスクが高かった。遂行機能、注意力、視空間能力の障害がPBAに関係していると考えられた、


というおはなし。
図:スードバルバーアフェクトに関連する認知機能

感想:

笑いが止まらない自分を観察する さめた自分がいたことを思い出す。

時計描画能力とどう関係するのか興味ある。

[スードバルバーアフェクト OR 感情失禁]の関連記事

2018年4月14日

心身運動の脳卒中リハビリ効果


Effects of Mind-Body Exercises for Mood and Functional Capabilities in Patients with Stroke: An Analytical Review of Randomized Controlled Trials.
2018  4月  中国

脳卒中患者のおよそ3分の1は日常生活動作に困難を生じる。

理学療法などいくつものリハビリ方法が提案されてはいるがコストや時間を浪費するばかりで成果があがらない。

さらに脳卒中患者はうつ 不安 睡眠障害といったメンタルヘルスの問題も抱えがちである。

きんねん太極拳や気功 ヨガといった "心身運動"(Mental Body exercise)が ゆっくりとした動作と筋肉ストレッチ リラクゼーション 呼吸法 集中力 の訓練を低コストかつ楽に実践することができるものとして とても人気がでてきている。

そこで脳卒中リハビリでの心身運動の効果を検証するべくメタアナリシスをおこなったそうな。


データベースからこれまでの関係する研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・16のランダム化比較試験がみつかった。

・心身運動で日常生活動作と移動能力があきらかに改善し、うつレベルも低下した。

心身運動をリハビリメニューに加えることで脳卒中患者のうつ 日常生活動作 移動能力を改善できそうである、、


というおはなし。
図:心身運動の脳卒中ADL改善効果

感想:

太極拳とかヨガにはながい伝統があるぶん情報が豊富で、あるべき状況をイメージしやすい。

いっぽう、、
日本の理学療法士はどういう根拠に基づいて仕事をしているのか?

2018年4月10日

脳内出血アジア人の心的外傷後ストレス障害PTSD


Posttraumatic stress disorder after a first-ever intracerebral hemorrhage in the Chinese population: A pilot study.
2018  4月  中国

これまでの研究から脳卒中やTIAのあと10-25%の患者がPTSD(心的外傷後ストレス障害)になることがわかっている。

またPTSDの有病率は西洋人で3-6%のいっぽう、アジア人では1%未満であるという。

そこで、中国人を対象に脳内出血患者に限定してPTSDの頻度と特徴をしらべてみたそうな。


脳内出血患者64人を12ヶ月後までフォローした結果、


次のことがわかった。

・3ヶ月後、23.4%の脳内出血患者がPTSDと診断された。

・PTSDになった患者は 67 vs. 29% で女性がおおく、

・47 vs. 18% でなんらかの手術を受けた患者がおおかった。

・PTSDになった患者は "改訂出来事インパクト尺度" IES-R (Impact of Event Scale-Revised)のスコアが高く、不安やうつが強く、不適応な対処行動をとりがちで、

・QoLが低く、脳卒中による障害が重かった。

・12ヶ月後、PTSDになった患者の43%が自然に回復していた。

脳内出血はアジア人患者のPTSDリスクを上げる要因だった。特に女性、手術あり、障害の重い患者で顕著だった、


というおはなし。
図:心的外傷後ストレス障害

感想:

重い障害が残っているときにPTSDと診断されたとして、なにか救いになるのかね?

[PTSD]の関連記事

2018年4月2日

抜けた歯の本数と脳卒中リスクの関係


Tooth loss and risk of cardiovascular disease and stroke: A dose-response meta analysis of prospective cohort studies.
2018  3月  中国

歯周病と歯の脱落は口腔衛生の指標としてよく用いられており、脳卒中など心血管疾患との関連もおおく報告されている。

しかし歯の脱落本数との用量関係についての研究はほとんどないのでしらべてみたそうな。


関係するこれまでの研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者879084 心血管疾患43750を含む17の研究が見つかった。

・歯の脱落本数と心血管疾患リスクとはあきらかな用量関係があり、

・特に歯が2本抜けるごとに冠動脈疾患と脳卒中のリスクは3%上昇した。

歯の脱落本数と脳卒中など心血管疾患リスクはあきらかな用量関係があった、


というおはなし。
図:歯が抜けた本数と脳卒中リスク

感想:

脳卒中は老化病みたいなものだから相関するのは不思議じゃないんだけど、抜けた本数すくなくてもきっちりリスク上がるんだね。

[歯 本数]の関連記事

2018年3月31日

脳梗塞で影響をうける健康関連領域トップ3


The most affected health domains after ischemic stroke
2018  3月  アメリカ

脳卒中が軽くすんで日常生活動作が自立できていたとしても、目につかない隠れた障害を抱えて生活の質が低下している患者はすくなくない。

これら健康に関係する複数の領域(身体機能、社会参加、遂行機能、疼痛、疲労、不安、うつ、睡眠 の8領域)が一般人とくらべてどのていど影響をうけているものなのか調べてみたそうな。


脳梗塞患者1195人(平均年齢62、白人81%)について、被験者の主観的な健康度をPROMIS (Patient-Reported Outcomes Measurement Information Syste)という指標を用いて評価したところ、


次のことがわかった。

・一般人にくらべあきらかなスコア低下の患者の割合は、睡眠の28%から身体機能63%におよんだ。

・もっとも影響をうけた領域は、身体機能>社会参加>遂行機能の順だった。

・身体障害、低収入、女性、が低スコアの関連要因だった。

・年齢は身体機能の低下と関連していたが、不安 うつ 睡眠障害との関連は低かった。

脳梗塞患者は複数の領域におよぶ健康問題をうったえていた。身体機能、社会参加、遂行機能がもっとも影響をうけた、


というおはなし。
図:脳梗塞で影響を受けるヘルスドメイン

感想:

うつや疲労 疼痛よりも遂行機能への影響がおおきいところが新鮮だ。

[遂行機能]の関連記事

2018年3月14日

nature.com : 脳卒中の遺伝領域が32みつかった


Multiancestry genome-wide association study of 520,000 subjects identifies 32 loci associated with stroke and stroke subtypes
2018  3月  アメリカ

脳卒中には脳梗塞と脳出血があり、脳梗塞にはさらにアテローム血栓性、心原性、小血管性のものがある。
これらにどのような遺伝的要因があるのかはよくわかっていない。

それを調べるべく国際的な共同事業 MEGASTROKE をたちあげ、これまでの世界中の研究成果をまとめてみたそうな。


日本をふくむ世界20カ国 52万人ぶんの遺伝情報をふくむ関連研究についてメタアナリシスをおこなったところ、


次のことがわかった。

・ゲノム中の脳卒中に関連する遺伝領域がそれぞれ、アテローム血栓性が6箇所、心原性が4箇所、小血管性が2箇所みつかり、

・また 血圧や冠動脈疾患、心房細動、血栓塞栓症、LDLコレステロール、頸動脈プラーク、白質高信号域等に関連するものなど計32の遺伝領域を特定することができた。

これまで世界中でおこなわれた脳卒中にかんする遺伝研究を解析した結果、32の関連する遺伝領域を特定することができた。将来のオーダーメイド医療にいかすことができるだろう、


というおはなし。
図:脳卒中に関連する32の遺伝領域

感想:

はやくまともな医療が普及してほしいよ。

病院で2時間以上まち「いい薬があるよ」と1分でARB降圧薬を処方され、翌日血圧が下がりすぎて失神する、、みたいなことがなくなると思うんだ。

2018年2月21日

1回の虚血コンディショニングで麻痺脚の筋力アップ


Ischemic Conditioning Increases Strength and Volitional Activation of Paretic Muscle in Chronic Stroke: A Pilot Study.
2018  2月  アメリカ

腕や脚に圧力をかけて一時的に血流を止める「虚血コンディショニング」は健康な人の筋力や機能を改善するために用いられることがおおいが、神経症状の改善効果については未だよくわかっていない。

そこで慢性期の脳卒中患者について1回の虚血コンディショニングが膝の伸筋力にどのような変化をもたらすものか実験してみたそうな。


発症から1年以上経つ脳卒中片麻痺患者10人を2グループにわけた。

虚血コンディショニングは大腿に巻いたカフで225mmHgの圧力で5分間締め付け5分間解放のサイクルを5回行った。

比較グループはカフ圧を25mmHgとした。

膝伸筋トルクと筋電強度を測定したところ、


次のようになった。
・虚血コンディショニングによって麻痺脚のトルクが10.6Nm強くなったが、

・比較グループではあきらかな違いが生じなかった。

・虚血コンディショニングで最大筋力時の筋電強度が31%強くなり、

・運動に必要な筋電しきい値レベルは5%低下した。

・麻痺のつよかった患者ほど筋力の改善効果は大きかった。

たった1回の虚血コンディショニングで慢性期脳卒中患者の麻痺脚の筋肉活動が改善し筋力が強くなった、


というおはなし。
図:虚血コンディショニング

感想:

なぜか「加圧トレーニング」をイメージしてしまうのは加圧関連団体のマーケティング成果にちがいない。

[虚血 コンディショニング]の関連記事

2018年2月16日

アジア系アメリカ人の脳梗塞が重い理由


Asian-American ethnicity associated with severe stroke, worse outcomes
2018  1月  アメリカ

アジア系アメリカ人が脳卒中になると重症で回復がよくないという。

先月の国際脳卒中学会 in ロスアンゼルスでの報告。


アメリカでの2004-2016の2000以上の病院での脳梗塞患者177万人の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・全体の3.6%がアジア系アメリカ人だった。

・彼らの機能回復度は白人よりもわるかった。

・tPA治療を受ける頻度も低かった。

・たとえtPA治療を受けられても出血などの重度の合併症がおおかった。

・2004→2016に tPA治療はアジア系アメリカ人にも普及してきてはいるが、重症度が低下傾向にあるのは白人のみだった。

アジア系アメリカ人の脳梗塞患者は白人にくらべ重症で回復もよくなかった。食習慣やライフスタイルなどの文化的違いによるのかも、、


というおはなし。

図:人種差別

感想:

ポリコレ的に言えないのだろうけど、ぜったいに人種差別。15年くらいまえにアメリカいったとき黒人のウェイターにからかわれてトラウマになった思い出。

2018年2月4日

右脳のここをやられると表情を読み取れない


Impaired Recognition of Emotional Faces after Stroke Involving Right Amygdala or Insula.
2018  2月  アメリカ

表情をよみとる能力は社会生活を営む上で重要である。これまでの研究から感情の認識にはおもに右脳がかかわっていると考えられている。

脳機能イメージングをつかった研究もあるが慢性期患者のものがおおい。

そこで急性期の脳卒中患者で 脳の損傷部位と表情識別能力との関連をしらべてみたそうな。


右脳損傷の急性期脳卒中患者30人と健常者30人について、写真から感情(喜び、驚き、怒り、嫌悪、恐れ、悲しみ、無感情)を当てさせる課題をおこなった。MRI上での脳の損傷部位と正答率との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・右脳損傷患者は健常者にくらべポジティブな感情もネガティブな感情も認識する精度があきらかに低かった。

・とくに右脳の扁桃体と島皮質前部に損傷のある患者は怒りと喜びの識別スコアがはっきりと劣っていた。

・右脳の扁桃体と島皮質前部をふくむトータルの損傷体積が個々の感情識別エラー率と関連していた。

右脳の扁桃体や島皮質前部を損傷した脳卒中患者には表情認識をうながす行動療法の類がひつようかも、


というおはなし。
図:顔の感情

感想:

まず結婚相手との関係があぶなくなるんだって。

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2018年1月31日

脳卒中の過活動膀胱とQoL


Effects of Overactive Bladder Symptoms in Stroke Patients' Health Related Quality of Life and Their Performance Scale.
2017  12月  韓国

過活動膀胱では感染症などの原因がないにもかかわらず尿意切迫感があり頻尿、夜間頻尿、ときに失禁を伴う症状をしめす。

脳卒中は過活動膀胱のリスクの1つとしてしられていて、日本の研究では脳卒中患者500人中28%が過活動膀胱だったとの報告もある。

そこで過活動膀胱が脳卒中リハビリにおよぼす影響をしらべてみたそうな。


リハビリ病院に入院した脳卒中患者30人に尿路症状についてアンケートをとり、過活動膀胱グループをわけた。

彼らの 健康関連QoL、歩行能力、生活自立度、認知機能を3ヶ月後までフォローしたところ、


次のことがわかった。

・過活動膀胱でないグループではすべての評価指標で改善を示した。

・過活動膀胱グループでは生活自立度と認知機能の点で改善が思わしくなく、

・とくに活力とQoLの精神的側面のスコアがあきらかに低かった。

過活動膀胱は脳卒中患者の健康関連QoLをおおきく低下させうる、


というおはなし。
図:頻尿

感想:

脳卒中後しばらくは頻尿でほんと困った。

じぶんの場合は降圧薬が原因だった。そこで3年前に降圧薬を勝手にやめた。以来 頻尿もんだいはない。

[過活動膀胱]の関連記事

2018年1月23日

日本で脳卒中リスクの高い職種と業種


Differences in stroke and ischemic heart disease mortality by occupation and industry among Japanese working-aged men.
2016  12月  日本

職種や業種は脳卒中や虚血性心疾患リスクの1つと考えることができる。厚生労働省の統計では年間の労災認定数は脳卒中がおよそ400件(22%が死亡)、虚血性心疾患が250件(65%が死亡)とある。

そこで脳卒中や虚血性心疾患での死亡リスクの高い職種、業種をしらべてみたそうな。


厚生労働省のデータベースをつかって2010年の25-59歳の男性2300万人について、
販売員(職種)、卸売 小売業(業種) を基準としたときの脳卒中、虚血性心疾患での死亡リスクを解析したところ、


次のことがわかった、
・脳卒中の死亡は2298件、虚血性心疾患での死亡は2767件あった。

・リスクの高い職種は サービスや経営 管理者で、業種では 農業、漁業、建設業、採掘業、電力、ガス、運輸などだった。

サービスや経営 管理に携わる者と 一次二次産業の労働者に脳卒中や虚血性心疾患のリスクが高かった、


というおはなし。
図:脳卒中リスクの高い産業

感想:

なるほどホワイトカラーのサラリーマンがいちばんぬるいってことか。

2018年1月16日

Stroke誌:歯周病のグレードと脳梗塞リスク


Periodontal Disease, Regular Dental Care Use, and Incident Ischemic Stroke
2018  1月  アメリカ

これまで歯周病と脳梗塞リスクとの関連をしめす報告がいくつかなされているが歯周病の定義にあいまいなところがあり因果関係を結論づけるには至っていない。

そこで、歯周病のグレードを細かく分類して脳梗塞との関連を大規模に調査してみたそうな。

歯科患者6736人について歯周病グレード(PPC)を A:健康、B:軽症、C:高度歯肉炎、、→G:重症、の7段階に分類した。

15年間に発生した脳梗塞患者299人との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・歯周病グレードがあがるにつれ脳卒中リスクは増加し、

・脳梗塞発生率は年間1000人あたり、PPC-A:1.29人、PPC-B:2.82人、、、→PPC-G:5.03人となった。

・歯周病は心原性と血栓性の脳梗塞とあきらかな関連をしめした。

・定期的な歯科通院によって脳卒中リスクが0.77倍になった。

歯周病と脳卒中リスクのあきらかな関連を確認できた。特に心原性と血栓性の脳梗塞で顕著だった。定期的な歯科通院が脳卒中予防になるかも、


というおはなし。
図:歯周病グレードと脳梗塞発生率

感想:

軽い歯周病でも脳梗塞発生率が倍以上になるんだな。

2018年1月9日

関節の柔軟性から動脈硬化を知る方法


Association of body flexibility and carotid atherosclerosis in Japanese middle-aged men: a cross-sectional study.
2018  1月  日本

心肺能力や筋力が低いひとは糖尿病や脳卒中になりやすい。同様に関節をフルに動かすことのできる「柔軟性」の高さもこれらの慢性病に影響すると考えられる。

そこで腕と体幹の柔軟性と頸動脈の動脈硬化度(内膜厚とプラーク形成)との関連をしらべてみたそうな。


35-59歳の健康な男性1354人について腕伸展性テストと座位リーチテストをおこなった。

(腕伸展性テストは下の写真を見ればわかる)
図:arm extensibility test


さらに超音波検査で頸動脈の内膜中膜肥厚およびプラーク形成を測定し、関連を解析したところ、


次のようになった。

・腕伸展性テストで腕を伸ばしきれた者は55.0%で、37.8%にプラーク形成が確認できた。

・腕の完全伸展ができた者の内膜厚とプラークはあきらかに小さく、座位リーチ距離は大きかった。

・プラーク形成があった者の完全伸展者割合と座位リーチ距離はあきらかに小さく、内膜厚は有意に大きかった。

腕の伸展性と体幹の柔軟性が動脈硬化と関連していた。さらにこれらの関連は年齢 血圧 血糖 肥満 ライフスタイルに依らなかった、


というおはなし。


感想:

120度くらいが限界で 腕伸ばしきれなかったよ。ショックだ。

2018年1月4日

テロメアは長いほうが脳梗塞になりやすいという結論


Telomere length associated with the risks of high-risk and ischemic stroke in southern Chinese Han population.
2017  12月  中国

テロメアは染色体の末端にあるDNA構造で、染色体同士の融合を防ぎ安定化させる役割をもっている。

テロメアは細胞分裂のたびに短くなり、細胞の老化と細胞死に関連している。このプロセスは慢性的な炎症や活性酸素によって加速され、血管のアテローム性動脈硬化や心血管疾患と関連するとも考えられている。

これまでの研究でテロメア長が短いと冠動脈疾患になりやすいことがわかっている。しかし脳梗塞との関連については結論がでていないので、脳梗塞の高リスク群もふくめきっちりとしらべてみたそうな。


脳梗塞患者400人と高血圧や糖尿病 肥満などの高リスクの409人および健康な399人について白血球のテロメア長を測定し、関連を解析したところ、


次のことがわかった。
・脳梗塞患者のテロメア長は健康な人よりも明らかに長かった。

・テロメア長と脳梗塞リスクの関連はU字カーブを描き、テロメアが長くても短くても脳梗塞リスクが高かった。

・高リスク群についても同様だった。

テロメアが長いと脳梗塞のリスクおよび脳梗塞リスクを持つリスク が高かった、


というおはなし。
図:テロメア長と脳卒中リスク

感想:

これまででてきたテロメア研究のそれとは真逆の結論。
ながければ良いってわけでもないんだね。

[テロメア]の関連記事

2017年12月21日

地球温暖化で激増する脳卒中の種類とは


Long-term projections of temperature-related mortality risks for ischemic stroke, hemorrhagic stroke, and acute ischemic heart disease under changing climate in Beijing, China.
2017  12月  中国

脳梗塞や脳出血 虚血性心疾患のリスクの1つは気温であり 地球温暖化による影響が予想される。

このまま気候変動が続いたとして、2080年までのこれら心血管疾患の死亡率を予想してみたそうな。


IPCC予測の2つのシナリオ RCP8.5(高レベルのCO2排出が続く)とRCP4.5(中レベルCO2で安定する)について、北京での気候モデルを適用して 2020、2050、2080年での脳梗塞、脳出血、虚血性心疾患での死亡率を推定した。


次のようになった。
・RCP8.5に基づくと、2080年には脳梗塞での死亡率は1980年代のおよそ2倍になり、

・脳出血は1980年台とほぼ変わらず、虚血性心疾患は約20%の上昇になった。

・また 2080年代での脳梗塞死亡者のあらたな増加は1年のうち夏に集中していた。

地球温暖化により脳梗塞死亡率に将来 劇的な上昇が予想された。いっぽう脳出血と虚血性心疾患におおきな変化は起きそうになかった


というおはなし。
図:地球温暖化で脳梗塞が激増する

感想:

地球温暖化についてはトランプ大統領の考えを支持する。だからまったく心配していない。

2017年12月11日

ヒ素と脳梗塞


Arsenic Exposure in Relation to Ischemic Stroke: The Reasons for Geographic and Racial Differences in Stroke Study.
2017  12月  アメリカ

ヒ素(無機ヒ素)と血管疾患との関連については 台湾、バングラデシュ、チリ、中国、内モンゴルといった地域の地下水暴露についての研究がおおい。

アメリカの脳卒中ベルトの原因についてもヒ素の関与が疑われている。そこでアメリカのREGARDS研究をつかってこの関連をしらべてみたそうな。


被験者2486人を6.7年間フォローした671件の脳梗塞事例について、尿中のヒ素化合物の濃度との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・総ヒ素および無機ヒ素と脳梗塞との関連は確認できなかったが、

・尿中のヒ素化合物モノメチルアルソン酸を考慮に入れると脳梗塞リスクは2倍になった。

・年齢、人種、性別、地域との関連は確認できなかった。

ヒ素の低中暴露地域でのヒ素代謝化合物と脳梗塞には正の相関があった。ヒ素のメチル化が脳卒中の発生に関係しているのではないか、


というおはなし。


感想:

ヒ素は 食品だとひじきにダントツで多い。ゆで汁を捨てるとよい。
図:ひじきのヒ素を減らす方法農林水産省ページから

2017年11月30日

黒人の障害が重いのはリハビリが少ないから?


No Racial Difference in Rehabilitation Therapy Across All Post-Acute Care Settings in the Year Following a Stroke
2017  10月  アメリカ

アメリカでは黒人の脳卒中発生率は悪化の一途である。しかも黒人脳卒中経験者の日常生活動作上の障害は白人よりも25%以上多いという報告もある。

脳卒中後の障害の重さが人種間で違う原因として リハビリ時間の差が考えられる。これを確かめてみたそうな。


メディケアの記録から黒人および白人の高齢脳卒中患者186168人を抽出して、1年間に受けた理学療法、作業療法、言語聴覚療法の時間(分)とリハビリ強度、施設の種類(院内リハビリ、介護施設 など)を集計した。

そして人種との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・PT,OT,STいずれも黒人のほうが受ける時間が長かった。

・しかし年齢や合併症、重症度、血栓溶解療法などの違いを考慮にいれるとリハビリの量に有意な差はなかった。

・ただし黒人のほうが転院回数はおおかった。

脳卒中後のリハビリ量に黒人と白人とであきらかな差はなかった。黒人の障害がおおきい理由はリハビリ量の違いではないようだ、


というおはなし。
図:黒人と白人 脳卒中リハビリ時間の違い

感想:

「脳卒中からの回復度」が「脳卒中リハビリにかける時間」に比例すると思い込んでいるから はなしがおかしくなる。

2017年11月10日

視床梗塞で時間感覚が狂った女性


Time perception impairment following thalamic stroke: A case study.
2017  11月  イギリス

脳卒中がきっかけで時間感覚に障害がおきた女性の報告。

JBは50歳の女性で2011年に脳卒中を患った。右の視床の正中線にちかい位置に梗塞ができた。
それ以来、彼女は今が季節的にいつごろで、今日の日付、現在の行動を何時間続けたのかなど わからなくなった。

そこで彼女の主観的時間感覚をしらべてみたそうな。


1) 時間のことなるリハビリセッションを3つ経験させて 経過した時間を当てさせる。(Retrospective timing)

2) ストップウォッチで5-60秒の時間測定を目の前で実演したのち、同じ時間をストップウォッチを見ずに再現させる。(Interval Reproduction)

3) 口頭で指定した秒数の経過を実演なしでいきなりストップウォッチで実行させる。(Interval Production)

実験中はカウント行動ができないよう、物語を音読させた。実行させる秒数、物語の内容は都度変更した。

これらの実験を健常者4人および同様の脳損傷患者4人でおこない、エラーの大きさを比較したところ、


次のようになった。

・彼女JBは 1)の時間推定と 2)の秒数再現のエラーが非常におおきかった。

・しかし 3)のエラーは比較グループと差がなかった。

これらことから彼女の基本的な時間機能は保たれており、前向記憶の障害が時間感覚に問題をもたらしていると考えられた、


というおはなし。

図:視床梗塞の時間感覚

感想:

ふつうはただの認知障害でかたずけるところだけど 「視床」へのダメージが時間問題を引き起こすっていいたいようだ。

2017年11月2日

人間関係とBDNF そして脳卒中


Associations between social relationship measures, serum brain-derived neurotrophic factor, and risk of stroke and dementia.
2017  10月  アメリカ

人との社会的関係は心身の健康と密接な関連がある。

このメカニズムはよくわかっていないが、たとえば神経の維持 成長 分化を促進するタンパク質:脳由来神経栄養因子(BDNF)がこれを仲介するという説がある。
仲間の多い環境にいるとBDNFが増え これに関連して脳卒中や認知症リスクが低下することが動物実験で示されている。

人間ではどうか、フラミンガム心臓研究のデータを使ってしらべてみたそうな。


3294人の記録について人との社会的関係と血清BDNFおよび脳卒中や認知症との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・社会的孤立度が高いほどBDNFは少なかった。

・交友関係がおおいほど脳卒中や認知症リスクは低かった。

・話を聞いてくれる、アドバイスをくれる、愛情をしめしてくれる人以上に、感情的サポートを得られる人との関係を持つ者の脳卒中や認知症リスクが低く 特に喫煙者でこの関連がつよかった。

人から多くのサポートを得られる状況にある者ほどBDNFはおおく、脳卒中や認知症のリスクは低かった、


というおはなし。
図:人間関係と脳卒中 認知症リスク

感想:

こころから親身になって話を聞いてくれる人なんて何人もいないんだよふつう。そこを勘違いするとかえって孤独を感じるんじゃないかな。

2017年10月16日

お医者さんでも脳卒中になるの?


The Risk of Stroke in Physicians: A Population-based Cohort Study in Taiwan.
2017  10月  台湾

人々の健康意識の高まりから医師の労働時間は長くなるいっぽう、訴訟のリスクも増えて常にストレスの高い状態にあると考えられる。

これら過労やストレスは脳卒中の要因でもあることから、はたして医師の脳卒中リスクは一般人にくらべ高いものなのか しらべてみたそうな。


台湾の国民健康保健データベースから28062人の医師と84186人の一般人の記録を抽出して解析したところ、


次のことがわかった。

・医師は高血圧(23.6% vs. 19.1%)、高脂血症(21.4% vs. 12.9%)、冠動脈疾患(6.4% vs. 5.7%)の割合が多かったが、脳卒中は(2.52% vs. 3.60%)医師が少なかった。

・高血圧、糖尿病、高脂血症、冠動脈疾患、現役医師のちがいを考慮にいれても医師の脳卒中リスクは明らかに低かった。

高ストレスで労働時間もながく、高血圧 高脂血症 冠動脈疾患がおおいにもかかわらず 医師の脳卒中リスクは一般人よりも低かった。これは病気への意識と知識の高さゆえのことだろう、


というおはなし。
図:医師 多忙 ストレス

感想:

ようするに高血圧や高脂血症のたぐいは積極的に治療しなくても実はたいした脅威ではないってことだな。

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