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2025年7月29日

爪を押すだけで、脳が動き出す――感覚刺激が目覚めさせる可塑性

2025  7月  中国


脳卒中後の片麻痺は、多くの患者にとって長期にわたる運動障害の原因であり、生活の質(QOL)を著しく損なう。従来のリハビリテーションは、筋力トレーニングや運動学習に重点が置かれてきたが、感覚系への介入は比較的軽視されてきた。

近年、感覚刺激によって脳機能が再編成されるという知見が注目されており、なかでも中国で開発された機械的指部感覚刺激(MDSS)は、簡便で非侵襲的な方法として臨床応用が進められつつある。これは、麻痺した指の爪床に機械的な圧刺激を加えるという極めてシンプルな手法である。

そこで、MDSSが実際に脳の活動に変化をもたらし、運動機能の回復を促進するかどうかを、安静時fMRIと臨床機能評価を用いて検証してみたそうな。

2025年7月18日

脳卒中リハビリを加速させる照明の“色温度”とは!

2025  7月  中国


脳卒中は今も多くの人の命や生活に大きな影響を与える病気であり、その後遺症と向き合う人も少なくない。特に中国では脳卒中の発症率が上昇しており、リハビリの重要性がますます高まっている。

最近注目されているのが「光療法」という新しい考え方である。光は目を通して脳に働きかけるだけでなく、体内時計やホルモンバランス、さらには神経の回復力にも影響を与えることがわかってきた。

そこで、朝のリハビリの際に浴びる光の「色温度」、つまり暖かみのある光か青白い光かという違いが、脳卒中後の回復にどのような影響を与えるのかをくわしくしらべてみたそうな。

2025年7月2日

「この体、本当に自分のもの?」──脳卒中と“離人感”の知られざる関係

2025  5月  イタリア


脳卒中は、手足が動きにくくなるといった運動機能の障害だけでなく、「自分の体が自分のものじゃないように感じる」といった感覚のゆがみを引き起こすことがある。

こうした“身体の感じ方”や“体に対するイメージ”の変化は、患者の心のつらさや社会とのつながりの弱まりにも関わってくると考えられる。けれども、こうした感覚の違いが健常者と比べて実際にどれほどのものなのかは、はっきりしていない。

そこで、慢性期の脳卒中患者と健康な人との間に、身体の感じ方やイメージについてどのような違いがあるのかをくわしくしらべてみたそうな。

2025年5月13日

左脳をやられると“味が消える”──見逃される“味覚と嗅覚”の後遺症

2025  5月  ポルトガル


脳卒中後の後遺症として、運動や言語の障害が注目される一方で、味覚や嗅覚の障害はあまり認識されていない。しかし、これらの感覚障害は食欲や栄養状態、生活の質(QOL)に影響を与える可能性がある。

これまで系統的に調査された研究は少なく、特に急性期と慢性期を比較したデータは乏しい。そこで、脳卒中後の味覚・嗅覚障害の頻度とその関連要因、生活への影響をくわしくしらべてみたそうな。

2025年1月28日

歩行だけじゃ足りない!身体認識が鍵を握る脳卒中回復

2025  1月  イタリア


脳卒中後のリハビリでは、歩行やバランスの回復に重点が置かれることが多いが、「身体認識(Body Awareness: BA)」という重要な要素が見過ごされがちである。

BAとは、自分の体の位置や動き、バランスを感じる能力や、自分の体を自分のものとして認識する感覚を指す。これには感覚入力(触覚、視覚、内受容感覚)とそれらの統合、さらには認知的な側面も含まれる。

脳卒中によりこの能力が損なわれると、麻痺した部分を「自分のもの」と認識できなくなったり、体の動きを適切に制御できなくなったりする。その結果、日常生活や社会復帰に大きな影響を与える。

そこで、BAリハビリの現状とその課題について最新の研究レビューをこころみたそうな。

2024年12月11日

リハビリ現場が見落とす『隠れた感覚障害』—脳卒中経験者の苦悩に迫る

2024  12月  アメリカ


脳卒中後は多くの人々が感覚機能に変化を経験する。しかし、こうした感覚の変化が日常生活や社会的活動にどのような影響を与えるかは十分に研究されていない。

そこで、脳卒中後の感覚機能の変化が意味のある活動への参加にどのように影響を及ぼすかをくわしくしらべてみたそうな。

2024年9月14日

振動で運動イメージを強化!錯覚で手の回復が加速する理由

2024  9月  日本


脳卒中後のリハビリテーションでは、運動機能の回復が重要である。特に、麻痺した手足の動きを取り戻すためには、反復的な運動トレーニングが効果的であるとされる。

近年、運動イメージ(MI: Motor Imagery)と呼ばれる方法が注目されている。MIとは、実際には動かさなくても、頭の中で運動をイメージすることで、運動神経を刺激し、回復を促進する手法である。

しかし、MIの効果は個人差が大きく、経験や年齢、脳卒中の影響などにより、運動イメージの鮮明度や効果が異なるという問題がある。

この課題を解決するために、振動誘発による錯覚運動(VIM: Vibration-Induced Illusory Movement)という新しいリハビリ手法が注目されている。

そこで、VIMの方法とその効果についてくわしくしらべてみたそうな。

2024年3月30日

予想を裏切るちから—なぜ麻痺した手が驚くほど強く握るのか?

2024  3月  日本


脳卒中後の上肢、特に手や指の動きに影響を及ぼす運動麻痺と感覚障害は、日常生活活動の大幅な低下と生活の質の低下につながる。

手の器用さは、フォークを使う、ボタンを留める、ドアハンドルを開けるなどの道具を操作するために必要不可欠であるが、多くの患者は軽度の運動麻痺があっても、筋力の低下だけでなく、力の発揮に必要な調整や制御が不十分であるために手の機能が限定される。

正確かつ精密な握り動作は、空間的および時間的な領域で感覚フィードバックを通して運動命令を組織するプロセスである。

しかし、脳卒中による神経学的障害は、物体を握る際の握力制御が過剰になる傾向があり、これは運動麻痺だけでなく、感覚障害にも起因する可能性がある。

そこで、慢性脳卒中患者の握力制御の特性を、静的および動的な側面からくわしくしらべてみたそうな。

2023年10月6日

ドッペルゲンガー、脳卒中患者が感じた”もう一人の自分”

2023  8月  トルコ


「目に見えないドッペルゲンガー」は、自分の身体が錯覚的に複製されることを指す。

身体イメージ障害は、知覚の歪みや身体意識の低下を伴う。

文献的には、臨場感障害(feeling of presence:FOP、実在しない誰かがいるというありありとした感覚)が脳卒中にともなって現れることはまれであり、

FOPと身体イメージ(個人が作成した身体の感情状態)や身体スキーマ(中枢神経上に統合される身体情報)の障害の併発はほとんど報告されていない。

脳卒中とドッペルゲンガーを併発した例が3つあったそうな。

2023年9月27日

錯覚で手が動く!? 日本の脳卒中リハビリ革命

2023  9月  日本


身体所有感(自分の体が自分自身に属しているという感覚)が、多感覚の錯覚を通じてどのように形成されるかは注目すべきテーマである。

そこで、脳卒中後のリハビリテーションにおいて、この身体所有感と注意が麻痺した体の部位に向けられることで、

その部位の使用頻度が増え、学習による不使用が防がれる可能性を探るべく実験してみたそうな。

2023年9月3日

「刺激で頭がパンクする」脳卒中後の感覚過敏

2023  8月  オランダ


感覚過敏は、脳卒中など後天性脳損傷(ABI)後に頻繁に報告される。

そこで、後天性脳損傷後の感覚過敏に対する患者の認識と日常生活への影響についてくわしくしらべてみたそうな。

2023年5月14日

脳卒中経験者の冷痛耐性

2023  5月  ノルウェー


脳卒中による脳の損傷は、脳ネットワークの広域に影響して、痛みの処理と制御を変えてしまう可能性がある。

そこで、脳卒中経験者と一般集団とで、疼痛耐性についてくらべてみたそうな。

2022年8月7日

脳卒中後の時間知覚障害

2022  7月  ポルトガル


時間知覚の評価は、明示的または暗示的タイミングを必要とする課題に分けられる。

たとえば前者はリズムを覚えてそれを再現する、後者は車が近づく状況で道路を渡って安全かどうかを判断する、といった能力に関係する。

パーキンソン病、統合失調症、うつ病、自閉症、ADHDなどの神経精神疾患において時間知覚の障害が数多く報告されているが、

脳卒中患者については研究が少ないのでシステマチックレビューをこころみたそうな。

2022年5月1日

Stroke誌:脳卒中後の知覚障害の研究

2022  3月  イギリス


知覚とは、聴覚、嗅覚、体性感覚、味覚、触覚、視覚などの感覚系からの情報を理解し整理する能力をさす。

脳卒中患者の74%は知覚障害を経験すると報告されているが、おおくの研究は特定の感覚領域のみを扱い断片的である。

そこで、脳卒中後の知覚障害に関するエビデンスをまとめ、問題点をあきらかにするべくレビューをこころみたそうな。

2021年12月19日

脳卒中後の身体意識の回復はいつ起きる

2021  11月  オーストラリア  


身体意識(body awareness)は生理的状態、感覚認識、動作、の相互作用プロセスと考えられ、個人によって異なる。

脳卒中後の身体意識の障害は珍しくなく、回復におおきな影響を及ぼすと考えられる。

身体意識の回復の経時的な変化についてはほとんどわかっていないので、くわしくしらべてみたそうな。

2021年5月1日

片側感覚症候群がじつは脳梗塞の割合

2021  4月  シンガポール


片側感覚症候群(Hemisensory syndrome)は身体のいっぽうの側の感覚変容と定義されていて、手口感覚症候群(cheiro-oral-crural syndrome)なども含む。

片側感覚症候群の原因の1つには脳梗塞が考えられるが、画像診断におよぶケースはすくない。

そこで、片側感覚症候群で入院した患者について、脳梗塞が病因である場合とその特徴についてくわしくしらべてみたそうな。

2021年1月29日

手の麻痺を改善する振動グローブ

2021  1月  アメリカ

脳卒中患者の半数は上肢運動機能に障害を生じ、35-55%が触覚が低下するという。

運動によるリハビリテーションは適応患者が限られる。いっぽう、触覚振動の求心性刺激が感覚運動機能の回復を促すとする報告がある。

そこで、スタンフォード大学が開発した振動刺激グローブを自宅で装着させて上肢麻痺の改善効果をしらべてみたそうな。

2020年9月25日

優しい触覚刺激で身体所有感をとりもどす

2020  3月  イギリス


右脳の脳卒中では対側の身体パーツを自分のものであると認識する能力を損なうことがある。

このような「手足の所有感覚の障害」の研究は、身体所有の神経認知メカニズムについてユニークな洞察を提供してくれる。

そこで、これまで健常者の研究でわかってきた身体所有に関する仮説、すなわち優しい触覚刺激(affective touch)がC-触覚求心性神経(C-tactile afferents)を介して身体所有感に特別な役割を果たすこと、について脳卒中患者で確認してみたそうな。

2020年7月8日

感覚刺激で上肢麻痺を治す方法

2020  6月  イラン


脳卒中経験者のおおくは運動機能と感覚に障害を抱える。そのためとくに上肢では使用頻度が下がりQoLも低下する。

そこで、外受容感覚(exteroceptive)刺激と固有受容感覚(proprioceptive)刺激による介入が上肢運動機能、痙縮度、ADL に与える影響をくわしくしらべてみたそうな。

2020年3月20日

慢性期での触覚訓練の効果


Sensory retraining improves light touch threshold of the paretic hand in chronic stroke survivors- a single-subject A-B design
2020  3月  イラン

触覚(light touch)の障害は脳卒中経験者の32-89%にみられるという。

触覚の再訓練による触覚しきい値や上肢運動機能の改善についての研究はほとんどないのでくわしくしらべてみたそうな。

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