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2026年2月9日

無症候性モヤモヤ病の手術は必要か:その「推し」、比較がズルくないか

2026  1月  アメリカ


無症候性のモヤモヤ血管症は、近年はMRIなどの画像検査で偶然見つかることが増えている。

しかし、無症候性の段階でバイパス手術をするのがよいのか、様子見がよいのかははっきり決まっていない。

そこで、バイパス手術を受けた人を集め、無症候性と症候性で手術の安全性やその後の脳卒中の起こりやすさに差があるかをくわしくしらべてみたそうな。



北米の13施設で、2008~2022年にモヤモヤ血管症に対してバイパス手術を受けた475人を後ろ向きに解析した。内訳は無症候性56人、症候性419人である。
無症候性は「診断時点までに脳梗塞・脳出血・けいれんなどの神経症状が一度もない」ことと定義された。評価したのは、手術の前後に起きた脳卒中、手術中のトラブル、退院後の追跡中に起きた脳卒中などである。
無症候性群と症候性群の条件差をならすため、傾向スコアと逆確率重み付け(IPTW)による統計調整を行っている。



次のことが分かった。

・単純比較では、無症候性群は症候性群よりも、周術期の脳卒中(1.7% vs 11.4%)、手術中のトラブル(1.7% vs 11.2%)、追跡中の脳卒中(1.7% vs 11.2%)がいずれも少なかった。

・統計調整(IPTW)後は、「周術期の脳卒中全体」の差ははっきりしなくなった一方で、「手術中のトラブルが少ない(OR 0.08)」「追跡中の脳卒中が少ない(OR 0.12)」という差は残った。


無症候性でも、画像で血流低下や微小出血、サイレント梗塞など“リスクが高そう”と判断された人を選んでバイパス手術を行えば、手術中のトラブルが少なく、追跡中の脳卒中も少ない傾向が示された。したがって、無症候性だからといって一律に手術不要とは言えず、条件が合う人では手術を検討する余地がある、

というおはなし。

モヤモヤ病のバイパス手術?



感想:

『無症候性と症候性をくらべたら脳卒中の再発やら合併症やらが無症候性で少ないのはあたりまえよね。手術したくてたまらない感じが伝わってくる。
モヤモヤ病って出血したり詰まったりするれども、どちらの場合にもバイパス手術を勧めるわけ。いちおう理屈はあるみたいなんだけど、バイパス手術しかできないからそのように理論立てているだけって感じ。
効果のきわどいJAM trial以外にバイパス手術を支持するRCTってないでしょ。
手術しないで血圧やらライフスタイルの管理を選択したところで死んでしまうような病気ではないんじゃないの?』



以下、医師国家試験正答率98%AIの進化版GPT-5の回答コピペ↓



言っていること、かなり筋が通っている🙂 そのうえで「どこまでが妥当な批判で、どこからが言い過ぎか」を切り分ける。

まず「無症候性のほうが、合併症も追跡中イベントも少なくて当たり前」について。
これは当たり前で、あなたの直感は正しい。無症候性で手術に回る人は、(1) そもそも重症イベントを起こしていない、(2) 手術適応に“乗る”だけの条件(全身状態や解剖)が良い、という選別がかかりやすい。だから、無症候性と症候性の“手術成績”を比べて「無症候性のほうが良い」は、因果の話としては弱い。あなたが読んだ論文も「手術した人だけ」の比較なので、「手術しない群」との直接比較ではない、という限界が残る。これは批判として正当。

次に「出血でも虚血でも結局バイパスを勧める。理屈は後付けでは?」について。
ここは半分当たり、半分は外れる。

・虚血型の理屈はわりと直球で、「低灌流をバイパスで補う」。これは“後付け”というより病態と整合した設計。
・出血型の理屈は一見こじつけに見えるが、「脆弱な側副血行に流れる負荷を減らす(offloading)」という発想自体は自然で、JAM Trialの設計もまさにそこを検証しに行っている。

ただしあなたの言う“バイパスしか手がないから理屈を太らせている”問題は現実にある。特に、虚血型・無症候性ではRCTが乏しいので、理屈+観察研究+専門施設の経験で押し切られやすい。

「JAM以外に、バイパスを支持するRCTはないでしょ」について。
現状の整理としては、かなり近い。成人出血型に関してはJAMが代表格のRCTで、レビューやガイドラインでも「出血型で直接バイパスの有効性をランダム化で示したユニークな試験」という扱いになっている。
一方、虚血型(成人)で“手術vs保存”を大規模に決着させた定番RCTは見当たりにくく、RCTは「プロトコル段階」や小規模の計画が中心になりがち、という状況は続いている。
なので、あなたの「JAM以外は弱い」は、論点として強い。

最後にいちばん大事な点。「手術しないで血圧やライフスタイル管理を選んでも、死ぬ病気ではないのでは?」
ここは“型”と“年齢”で答えが変わる。

・無症候性:多くはすぐに死ぬ病気ではない。だからこそ「無症候性に手術をどこまで勧めるか」は揉めていて、ガイドラインが確立していないと言われ続けている。
・成人出血型:再出血が機能予後・生命予後を悪化させうるので、ここは“死なないから様子見でOK”と言い切るのは危険。JAMは再出血抑制を狙った試験で、効果は「統計的に境界域」と言われつつも、出血型で手術を支持する根拠の柱になっている。
・虚血型:死よりも障害(梗塞の蓄積、認知・生活機能低下)が主戦場になりやすい。ここは“生きる/死ぬ”だけで価値判断するとズレやすい。

さらに意地悪な補足をすると、観察研究レベルでは「手術は死亡リスク低下と関連」といった大規模データ解析も出ているが、これはRCTではないので、あなたの疑い(選択バイアス、管理の濃さ)がそのまま刺さる。しかも同じ解析で、無症候性では“出血リスクが増える可能性”みたいな嫌な信号も出ていて、宣伝的な「手術は全部に良い」を崩す材料にもなる。

ここまで踏まえた、あなたの主張を整えるなら、こうなる。

・無症候性vs症候性で無症候性が良いのは選別の勝利であり、手術の勝利とは限らない(保存群がない比較は特にそう)。
・バイパスのRCT根拠は出血型のJAMが中心で、虚血型・無症候性は“理屈+観察研究”に依存している。
・「死ぬ病気ではない」は無症候性では概ね当たるが、成人出血型にそれを言うと雑になる。
・したがって、手術は万能ではなく「適応選別+周術期管理込みのパッケージ」で評価すべき。盛るな、が結論。




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