2019年1月31日

脳卒中の体重減少 悪液質とは

元
Body weight changes and incidence of cachexia after stroke
2019  1月  ドイツ

脳卒中患者の体重や栄養状態と その後の回復や死亡率との関連をしめす報告がいくつもある。

脳卒中患者の体重減少はめずらしくない。がんや腎臓病などの慢性疾患では悪液質(Cachexia)とよばれる代謝異常をともなう体重減少が観察されている。

脳卒中患者についての悪液質の研究はほとんどないのでくわしくしらべてみたそうな。


平均年齢69、軽中程度の脳梗塞患者67人について、
急性期と12ヶ月後の体重および体組成を二重X線吸収法で測定した。

悪液質の条件として1年間に5%以上の体重減少とした。


次のことがわかった。

・12ヶ月後、63%は体重が増加または変わらずで、16%がやや減少、21%が悪液質と分類できた。

・悪液質グループでは、麻痺の有無によらず脂肪組織の19%と除脂肪組織の6.5%の減少が見られた。他のグループには除脂肪組織の減少は見られなかった。

・悪液質グループのバーセルインデックスおよび握力は低く、

・関連要因を調整すると、除脂肪組織の消耗がみられる患者の身体パフォーマンスはあきらかに低かった。

・悪液質グループでは12ヶ月後にもC反応性蛋白による全身性の炎症との関連がみられた。

脳梗塞患者の5人に1人が悪液質をしめしていた。彼らの身体能力はよくなかった、


というおはなし。

図:脳梗塞の悪液質率


感想:

脳卒中を経験すると塩分へらせ、油へらせ、糖質減らせ、と極端な節制をもとめられる空気に包まれる。このあたりにも一因があるとおもう。

2019年1月30日

Neurology誌:若くても血圧がちょっと高いと脳が減る

元
Association of peripheral blood pressure with gray matter volume in 19- to 40-year-old adults
2019  1月  ドイツ

高血圧は認知機能の低下リスクのひとつであり、のちの認知症やアルツハイマー病にも関連してくる。

高血圧の高齢者では、とくに症状がなくても海馬や前頭葉の灰白質体積が減少しているとする報告がいくつかある。

あきらかな高血圧でない40歳未満の若年者についても同様な灰白質の体積減少がみられるものかはわかっていないので、大規模にしらべてみたそうな。


未発表の3つの研究で得られた19-40歳で健康な423人のMRIの全脳画像データについて、
メタアナリシス(image-based meta-analyses)を行い、
血圧と脳の各領域の灰白質体積との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・灰白質体積と血圧に関連があった。

・正常血圧域(120/80未満)にくらべ、境界域(120-139/80-89)にある者の灰白質体積はあきらかに少なかった。

・特に、海馬、扁桃体、視床、前頭葉、頭頂葉で体積低下がおおきかった。

高血圧(140/90以上)でなくても、たとえ若くても、正常域よりもやや血圧が高いだけで脳の灰白質の体積が減少しはじめていた、


というおはなし。

図:高血圧と灰白質体積


感想:

中学生のころから血圧高いと言われていた身としては認めたくない事実。

30年ほどまえ、仕事でけっこうな人数の脳のMRIを撮った。血圧はともかく 酒やたばこが好きな人の灰白質はとても色がうすく、不健康ぶりが素人目にもわかった。
だから見かけの体積減少はありそうなはなしとはおもう。

2019年1月29日

脳梗塞の頭痛の特徴

元
Headaches Attributed to Ischemic Stroke and Transient Ischemic Attack
2019  1月  ブラジル

脳梗塞の発生と時をほぼおなじくする頭痛については、これまで見過ごされ 過小評価されることがおおかった。

そこで、これまでの関連論文から総説をこころみたそうな。


次のことがわかった。

・脳梗塞に伴う頭痛は7.4-34%にみられた。TIAでは26-36%にみられた。

・頭痛は若年脳梗塞患者におおく、

・片頭痛経験者、後部循環梗塞、皮質梗塞の患者におおくみられ、

・ラクナ梗塞ではその頻度は少なかった。

・脳梗塞の頭痛のよくあるパターンは、軽中程度の両側の痛みで、吐き気や嘔吐はともなわず、

・局所神経症状があるものの、おおくは時間とともに消失する。

・頭痛があると予後が良いとする報告があるいっぽう、それを否定する報告もある。

・これら頭痛対策を目的とした臨床試験はおこなわれていない。

脳梗塞にともなう頭痛はよくあることで、おおくは両側の緊張性の頭痛だった。その頻度は脳梗塞の種類により異なった、


というおはなし。

図:脳梗塞の頭痛


感想:

まちかどの証明写真機なみの気軽さで、医師を介することなくMRIを撮れるようになると素敵だなぁ。

2019年1月28日

ケトン食が脳梗塞にタフな身体をつくる

元
Early Motor-Behavioral Outcome of Ischemic Stroke with Ketogenic Diet Preconditioning- Interventional Animal Study
2019  1月  イラン

脳卒中による虚血から脳をまもる方法が必要とされている。

平時の脳の主要エネルギー源はブドウ糖であるが、高血糖状態にあると脳梗塞がかえってひどくなることがわかっている。

いっぽうブドウ糖が欠乏状態のときにはケトン体(おもにβ-ヒドロキシ酪酸)が脳のエネルギー源となる。

ケトン食(高脂肪かつ低炭水化物の食事)はケトン体をふやすことができ、古来よりてんかん発作を防ぐとされ さいきんではパーキンソン病やアルツハイマー病にも応用されている。

さらにケトン食に中鎖脂肪酸(MCT : ココナッツオイルやパーム油)を加えることでケトン食による弊害(微量栄養素の不足、酸性血症、便秘、腎臓結石、低血糖、成長遅延)を最小限にすることができる。

そこで、ケトン食をあたえたネズミへの脳梗塞の影響を実験してみたそうな。


ネズミ24匹を人為的に梗塞にする3日まえに次の3グループにわけた。

Main:ケトン食 その後脳梗塞
Control:通常食 その後脳梗塞
Sham:通常食 その後手術のみで脳梗塞なし

ケトン食として、脂肪:タンパク質+炭水化物=4:1の食事 さらにMCTオイル を与えた。

その後、3種類の運動行動テストでフォローしたところ、


次のようになった。

・麻痺脚の歩数、棒渡りタイム、両手使用の対称性のいずれもがケトン食グループで Control よりも優れていた。

ケトン食をあたえたネズミでは脳梗塞後の運動行動がよりはやく回復した、


というおはなし。

図:ケトン食と脳梗塞

感想:

糖質制限ブームもあって、「MCTオイル」で検索すると通販サイトがいっぱいでてくる。
糖質制限ダイエットで脳梗塞に強くなる理由

2019年1月27日

日本だけ くも膜下出血が激増中! JAMA Neurol.

元
Worldwide Incidence of Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage According to Region, Time Period, Blood Pressure, and Smoking Prevalence in the Population: A Systematic Review and Meta-analysis
2019  1月  ドイツ

くも膜下出血は脳卒中の5%を占め、半数は55歳未満、3分の1は数週間以内に死亡する。

くも膜下出血の発生率は年間10万人あたりおよそ9人で、これは地域や性別、年齢によっておおきくことなる。その理由がわかれば予防にも活かせる。

そこで、世界のくも膜下出血発生率のこれまでの推移をくわしくしらべてみたそうな。


関連する研究論文を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・32カ国の患者8176人を含む75の研究がみつかった。

・45-54歳の男性にくらべ、75歳以上の女性の相対リスクは日本人で2.5倍、ヨーロッパ人1.5倍だった。

・世界全体での発生率は1980年に10.2人(10万人年あたり)、2010年には6.1人であり、年間1.7%ペースで低下している。

・同じ期間の地域別での発生率の「低下ぶん」は、ヨーロッパ40.6%、アジア46.2%、北アメリカ14.0%に対し、

・日本だけ 発生率が59.1%「上昇」していた。

・全体的に、収縮期血圧が1mmHg低下すると発生率が7.1%低下し、喫煙率が1%低下すると発生率が2.4%低下した。

くも膜下出血の発生率は全体の血圧や喫煙率の低下に伴ってさがっている傾向にあり、その程度は地域によりおおきく異なった。日本だけ発生率が激しく上昇している理由は不明、


というおはなし。

図:収縮期血圧とくも膜下出血


感想:

日本だけ増えている理由は、たぶんこう↓。

脳卒中の早期受診をうながすキャンペーンと、日本の突出したCT設置数、および皆保険制度によって、見逃されていた軽度のくも膜下出血が容易に見つかり治療(手術)対象とされるようになったってこと。

Stroke誌:くも膜下出血発生率 じつは10倍以上?


2019年1月26日

磁気刺激治療 30年間の論文傾向

元
Publication trends in transcranial magnetic stimulation- a 30-year panorama
2019  1月  ドイツ

TMS(経頭蓋磁気刺激)は非侵襲的に脳を刺激できる方法として1985年に考案された。当初は脳の運動野から末梢神経への皮質脊髄路の健全性を調べるための診断機器として使用された。

のちに疼痛や痙縮、脳卒中、パーキンソン病の治療に用いられるようになり、さらに最近ではうつやPTSDといった精神疾患にも応用されている。

TMSが世にでてからおよそ30年間の論文を書誌計量学的に解析してみたそうな。


引用文献データベースをつかって1988-2017までのTMS関連論文を抽出し、

もっとも論文数のおおい研究者、研究所、国、掲載誌、そして対象になる病気名、について調べたところ、


次のことがわかった。

・17492件の研究論文がみつかった。

・年間出版数の傾向は、他のテーマが横ばいなのに対し、TMSは劇的に増加していた。

・研究がもっともかっぱつな国はイギリス、アメリカ、カナダで、

・脳卒中、うつ、パーキンソン病についての研究がおおかった。

TMSの研究論文はこの30年間で激増しており、脳卒中、うつ、パーキンソン病への応用がおおい、


というおはなし。

図:TMS研究でおおい病気テーマ

感想:

論文の数ばかりおおくてあまり成果がでない分野でもある印象。
[結論] rTMSの上肢リハビリ効果について

その他 [磁気刺激]の関連記事

2019年1月25日

食塩代替塩味料の効果

元
Effect of low-sodium salt substitutes on blood pressure, detected hypertension, stroke and mortality
2019  1月  アメリカ

減塩には血圧を改善し脳卒中を防ぐ効果があるとされている。しかしWHOが推奨する基準は最適な量よりもかなり下回っているのではないか、という考え方もある。

減塩方法の1つとして食塩のナトリウムをカリウムなどに置き換えた「食塩代替塩味料」の使用が挙げられるが、効果はいまだあきらかになっていない。

そこでこれまでの研究成果についてメタアナリシスをこころみたそうな。


食塩代替塩味料と血圧、死亡率についての研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のようになった。

・被験者7400人を含む21の研究成果がみつかった。

・食塩代替塩味料の成分にはいろいろ種類があった。

・食塩代替塩味料で収縮期および拡張期血圧があきらかに低下した。

・その効果は高血圧や正常血圧の者に同様にあらわれた。

・尿中のナトリウムは減少し、カリウムやカルシウムが増加した。

・高血圧と診断される者の数や死亡率 等にあきらかな変化はなかった。

・エビデンスの質としては低レベルの結果だった。

食塩代替塩味料の使用によって収縮期と拡張期血圧が低下した。しかし高血圧患者を減少させたり死亡率を低下させるほどの効果はなかった、


というおはなし。

図:食塩代替物


感想:

長年のくせで ついつい塩分を控えてしまうけど、いまや減塩は時代遅れだから。気をつけてな。↓
ランセット誌:食塩は13gまでオッケー 脳卒中的に

ランセット誌:塩分減らすとかえって脳卒中になる

JAMA誌:減塩に真面目な人ほど脳卒中で死亡する

JAMA誌:塩分を控えさせるほど脳卒中死亡者が増える

2019年1月24日

手段的日常生活動作と睡眠時間

元
The impact of short and long sleep duration on instrumental activities of daily living among stroke survivors
2019  1月  アメリカ

脳卒中による身体的 認知的 精神的障害はIADL(手段的日常生活動作)に影響する。

IADLは 食事の準備、雑用、入浴、お金の管理などの自立生活を送るうえで必要な能力を指す。

いっぽう脳卒中患者には睡眠障害がおおくみられ、これもまたIADLに影響すると考えられる。

そこで、脳卒中経験者の睡眠時間とIADLとの関連をくわしくしらべてみたそうな。


2000-2015に行われた健康調査のうち脳卒中歴のわかる486619人の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者全体の平均年齢は46、87%の健康状態は良く、30%は睡眠6時間以下だった。

・全体の3%が脳卒中経験者だった。

・脳卒中経験者の30%にIADLの問題があった。

・IADLに問題のあったすべての被験者の34.4%は睡眠が6時間以下だった。

・脳卒中経験者のうち睡眠時間が9時間以上ある場合、平均的な7-8時間睡眠の者にくらべIADLに問題のある率が1.97倍だった。

・短時間睡眠の脳卒中経験者のIADL問題のリスクは平均睡眠と同レベルだった。

睡眠時間が平均よりも長い脳卒中経験者は、手段的日常生活動作(IADL)に問題を抱えていることがあきらかにおおい、


というおはなし。

図:睡眠

感想:

なぜ、7-8時間が正しいのかね? 短いのもいけないみたいだし。
脳卒中で眠れないと死ぬの?

2019年1月23日

便秘すると脳卒中で死ぬの?

元
Constipation and risk of death and cardiovascular events
2019  1月  アメリカ

近年、腸内環境の急激な変化が免疫機能をつうじて動脈硬化を引き起こすとする考えかたが注目されている。

そこで便秘によって脳卒中など心血管疾患および死亡率に影響があるものか大規模にしらべてみたそうな。

2019年1月22日

復職率が倍になる従業員規模

元
Work-related predictors for return to work after stroke
2019  1月  スウェーデン

脳卒中患者の20%は労働可能年齢といわれている。彼らがふたたび職に就くことのできる率は国によってもおおきくことなる。

これまでの調査から復職に影響する要因として、要介助度、社会経済的地位、移民、合併症、高齢、女性、専門資格、組織規模、などがあげられている。

そこでスウェーデンでの脳卒中患者の復職状況と関連要因をしらべてみたそうな。


2009-2010の脳卒中患者で発症前に職に就いていた204人について6年間フォローしたところ、


次のことがわかった。

・早くに復職できる要因として、専門資格を持っている、組織の従業員規模がおおきい、ことがあげられた。

・専門資格で復職が早くなるのは男性だけであって女性には影響はなかった。

・女性の復職には退院時の要介助度のみが影響していた。

脳卒中患者の復職には組織の従業員規模と仕事の専門性が影響していた。男女での差がなぜ生じるのかは不明、


というおはなし。

図:脳卒中後の復職可能性と従業員規模

感想:

上の表みると従業員規模が2000人を超えると復職率が倍になる。さらに増えても大きくはかわらない。

それだけ人員空間があると障害があってもできるニッチな仕事を創り出しやすいってことなんだろか。

2019年1月21日

2週間の加圧トレーニングで歩行速度up

元
Two Weeks of Ischemic Conditioning Improves Walking Speed and Reduces Neuromuscular Fatigability in Chronic Stroke Survivors
2019  1月  アメリカ

脳卒中患者の20-25%は介助なしには歩くことができない。リハビリをおこなっても歩行速度がほんの少しあがる程度である。

この状況を改善する方法として「虚血コンディショニング」が話題にのぼるようになった。

虚血コンディショニングは1986年に虚血臓器の保護目的で考え出されたもので、のちに心血管保護効果があきらかになり、さらに手脚の筋肉パフォーマンスを改善する効果が「加圧トレーニング」として注目された。

そのメカニズムはよくわかっておらず、脳卒中の手脚の麻痺への応用はまだほとんどない。

また心血管への虚血コンディショニングの経験から、有効なタイムウィンドウに短期(-12時間)と長期(24-72時間)があることがわかっている。

そこで脳卒中の麻痺脚への虚血コンディショニングを、短期効果はすでに確認済みなので、長期におこなったときに歩行能力が改善するものか実験してみたそうな。

2019年1月20日

脳卒中で眠れないと死ぬの?

元
Insomnia is associated with increased mortality in patients with first-ever stroke- a 6-year follow-up in a Chinese cohort study
2019  1月  中国

睡眠時間がみじかいと脳卒中死亡リスクが高いことがわかっている。いっぽう脳卒中後の不眠は12-57%に見られ、かれらの回復はよくないとされている。

脳卒中後の不眠と死亡率との関連についてはほとんど報告がないのでくわしくしらべてみたそうな。


56病院の初回脳卒中患者1273人について、

さいしょの1年間に4回面談して、なかなか眠れない、眠りが持続しない、早くに目が覚めるなどを複数回うったえた患者を「不眠」とした。

死亡を6年後までフォローして関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・38.4%が不眠だった。

・不眠があると調整後の死亡リスクが1.66倍だった。

・死亡リスクが高いほかの要因は、高齢で1.08倍、再発2.53倍、高血圧1.62倍だった。

再発についで不眠と高血圧が脳卒中後の死亡リスクが高い要因の上位を占めていた、


というおはなし。

図:脳卒中後の不眠と生存率


感想:

最初のころは眠ってばかりいたね。
慢性期脳卒中での日中の眠気の正体 Sci Rep.

若い脳卒中患者の不眠状況を1年間フォローした

2019年1月19日

沖縄のやさいが脳卒中を防ぐ?

元
Association of vegetable, fruit, and Okinawan vegetable consumption with incident stroke and coronary heart disease
2019  1月  日本

沖縄での心血管疾患による年齢調整死亡率は日本の他の地域よりも低い。その理由はわかっていないが、沖縄の野菜や果物が要因の1つかもしれない。

沖縄野菜(青梗菜、からし菜、ゴーヤー、フダンソウ、ヘチマ、よもぎ)には葉酸が豊富で、葉酸は動脈硬化の原因になるホモシステインの代謝に必要である。

またゴーヤー(bitter gourd)には抗酸化物質が多く含まれ、パパイヤには抗炎症作用のあるファイトケミカルがふくまれる。

そこで、これら沖縄の野菜やくだものと脳卒中など心血管疾患との関連を大規模にしらべてみたそうな。


1995-1998に45-74歳の沖縄2地域の住民16498人に食事アンケートをとり、その後の心血管疾患の発生を2012までフォローして関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・この間に839の脳卒中および197の冠動脈疾患があった。

・沖縄野菜のトータル摂取量と脳卒中 冠動脈疾患リスクとのあきらかな関連はなかった。

・個々の野菜やくだものと心血管疾患リスクとの関連も確認できなかった。

沖縄の野菜 果物と脳卒中や冠動脈疾患リスクとの関連はなかった、


というおはなし。

図:沖縄野菜といえばゴーヤ


感想:

ゴーヤーががんばってくれると思ったがだめだった。

近いところで鹿児島には有望なやつがあるんだよ。↓
桜島大根が脳卒中を予防する?

2019年1月18日

じつは脳卒中でなかった割合 in Japan

元
Stroke Mimics and Accuracy of Referrals Made by Emergency Department Doctors in Japan for Patients with Suspected Stroke
2019  1月  日本

救急医療の現場では脳卒中ではない患者を脳卒中と診断してしまいのちに脳卒中類似症状(Stroke mimics)だったとわかるケースが発生する。
その結果、必要としない患者に血栓溶解治療が施されるなどの問題が生じている。

診断をミスする背景として、日本ではCTやMRIの情報量が非常におおいこと、皆保険制度で個人の負担が少ないこと、医師の数が足りていないこと、ガイドラインで治療をせかされていること、などが考えられる。

日本での脳卒中類似症状についての規模のおおきい報告はほとんどないので、しっかりとしらべてみたそうな。


救急救命部で脳卒中と診断された患者226人について、のちに神経外科医によって下された診断結果とを比べたところ、


次のようになった。

・71.7%については診断は正しかった。

・残り28.3%の脳卒中類似症状のうち75%はただの精神症状やめまいなど脳の損傷とは関係のないものだった。

・診断ミスの直接の理由として、思い込みがもっともおおく43.8%、問診不十分32.8%、読影知識の不足、検査結果の見落とし、これらの組み合わせ が挙げられた。

救急救命医による脳卒中診断の3分の1は正しくなかった、


というおはなし。

図:脳卒中類似症状を見誤る理由

感想:

みんなが急げ急げって言うから誤診が増えるようだ。↓
急いで病院に行くと脳卒中でもないのに血栓溶解治療されてしまう危険性について

2019年1月17日

QoLが低いと脳卒中になる?

元
Using health-related quality of life to predict cardiovascular disease events
2019  1月  アメリカ

脳卒中など心血管疾患のリスク要因として主観的な健康度はこれまでほとんど考慮されてこなかった。

いっぽう主観的健康度と死亡率との関連はすでにあきらかになっている。そこで、健康関連QoLと心血管疾患との関連を大規模にしらべてみたそうな。


45歳以上の3万人あまりを10年間フォローしたREGARDS研究のデータをもちいた。

健康関連QoLはSF(Short Form)-12に従い、身体的サマリー(PCS)と精神的サマリー(MCS)にわけた。
健康度の高さでそれぞれ0-100点を与え、一般人のスコアを50点として調整した。

心筋梗塞、冠動脈疾患、脳卒中の有無との関連を解析したところ、


次のようになった。

・心血管疾患歴のない2229人を8.4年間フォローした記録から、1766件の心血管疾患がみつかった。

・PCS および MCSが50以上にくらべて、いずれも50をしたまわる場合の心血管疾患リスクはあきらかに高く、

・年齢、性別、人種等を調整したリスクは1.46倍で、

・種類別では冠動脈疾患リスク1.54倍、脳卒中リスク1.35倍だった。

健康関連QoLの低さと心血管疾患の発生はあきらかな関連があった。主観的な健康度は心血管疾患のリスク要因とみなしうる、


というおはなし。

図:生活の質スコアと脳卒中リスク


感想:

交通事故のように偶発的におきる脳卒中もあるけど、おおくはそのまえに「なんか調子わるいな、、」という自覚がある、ってことなんだな。

たしかにそのとおりで、1年くらいまえから左手の指の振るえを抑えられなかったおもいで。

2019年1月16日

Neurology誌:かかりつけ医がいれば再発しないの?

元
Recurrent stroke in midlife is associated with not having a primary care physician
2019  1月  アメリカ

脳卒中患者にとってかかりつけ医(primary care physician)は再発予防のために高血圧やコレステロール、心房細動を管理し、喫煙 アルコールなどの生活習慣を長期に指導してくれるそんざいである。

そこで脳卒中になった時点でかかりつけ医をもっていた中高年患者の再発率についてくわしくしらべてみたそうな。


45-64歳で脳梗塞になった663人について、

かかりつけ医の有無を確認し、
再発と死亡を5年間フォローして関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・最初の脳梗塞時点で、77%にはすでにかかりつけ医がいた。

・全体の5年再発率は14.6%、死亡率は19.2%で、

・かかりつけ医がいなかった者の再発リスクは1.75倍だった。

・死亡リスクとは関連がなかった。

・他の関連要因で調整しても同様だった。

脳梗塞発症時点でかかりつけ医がいた患者の再発リスクはあきらかに低かった、


というおはなし。

図:かかりつけ医と脳卒中の再発


感想:

はたらきざかりで忙しいはずなのに 2時間まち15秒診察の医者のもとへ足繁く通うようなひとは、自身の将来を気遣う意識の高さが尋常ではない。

だから再発率がひくいのはかかりつけ医のおかげではないとおもう。たぶん まいとし初詣を欠かさない人たちについても同様の関連がみられるはず。

2019年1月15日

軽い脳卒中のあとの疲労とQoL

元
Health-Related Quality of Life and Fatigue After Transient Ischemic Attack and Minor Stroke
2019  1月  スペイン

脳卒中患者が疲労をうったえる率は非常に高い。この疲労感がしばしばリハビリや復職をさまたげる原因になっている。

いっぽうTIAや軽い脳卒中では後遺症はないとされているがじっさいにはなんらかの障害をうったえる患者はすくなくない。

疲労にはいくつもの要因が考えられる。これまでのおおくの調査ではコントロール群を設けたものがほとんどない。

そこでTIAや軽い脳卒中のあとの疲労について認知機能をふくめくわしくしらべてみたそうな。


TIAまたは軽い脳卒中の患者92人と別の病気の患者89人について、

疲労評価スケール(Fatigue Assessment Scale)
認知機能評価(Montreal Cognitive Assessment)
QoL指標(European Quality of Life index)

について3ヶ月後までフォローしたところ、


次のことがわかった。

・強い疲労感をうったえる率は 65.2% vs 23.5%(コントロール)で、

・さらに非常に強い疲労の率は 20.7% vs. 4.5%(コントロール) だった。

・認知機能スコアは、24.1 vs. 27.3 であきらかに低かった。

・疲労スコアが高い者のQoLはあきらかに低かった。

・疲労スコアと認知機能スコアに関連はなく、認知機能スコアはQoLに関連しなかった。

TIAや軽い脳卒中患者の強い疲労感はめずらしいことではなかった。この疲労感は生活の質におおきく影響していた、


というおはなし。

図:脳卒中後の疲労


感想:

経験的に、TIAや軽い脳卒中は症状弱いから病院にゆかずがまんして乗り切っている人ってすくなくないとおもう。

ってことは ひどく疲れた顔してるサラリーマンの脳にはちいさな梗塞や出血があるんじゃないかね。

2019年1月14日

痙縮がウザいので足を切断した 今はマラソンが趣味☆

元
Woman, 32, CHOSE to have her leg amputated after shock stroke left her with foot spasms - Daily Mail Online
2019  1月  アメリカ
画期的な方法で足の痙縮問題を解決した女性について。

・2013年8月 サラ・カーリー27歳は右脳の梗塞で入院した。

・とくに後遺症もなかったので翌日には退院できた。

・しかし2週間後、左足に痙攣を感じはじめた。やがてつま先が内側に曲がり、頻繁につまずくようになった。

2019年1月13日

Stroke誌:脳内出血は脳梗塞よりもキケンなの?

元
Do Clinicians Overestimate the Severity of Intracerebral Hemorrhage
2019  1月  イギリス

脳内出血の1ヶ月死亡率はおよそ40%で、急性脳梗塞の4倍に相当する。長期的にも同様で1年後の生存率は46%、75%が死亡か重度の障害をもつという。

このような背景から医師が脳内出血へのネガティブな思い込みをいだいているばあい、よくなる可能性があるのに治療を打ち切ってしまうかもしれない。

いっぽうこれまでの研究から、脳卒中の種類によらず損傷域の体積がわかれば予後を推定できるとする考え方もある。

そこで 医師にCT画像のみから脳内出血と急性脳梗塞の重症度と予後を推定させてどのくらい評価に偏りがあるかしらべてみたそうな。


損傷域体積がたがいに等しい組み合わせの脳内出血33例および急性脳梗塞33例のCT画像について、他の医療情報を隠した状態で33人の医師にその損傷域の体積、重症度、1ヶ月予後について推定させた。


次のことがわかった。

・脳内出血の体積は8mLじっさいよりもおおく、急性脳梗塞の体積は8mLすくなく評価された。

・重症と判断された率は、脳内出血で41%、急性脳梗塞で14%だった。

・予後良好(mRS0-2)と推定された率は、脳内出血で47%、急性脳梗塞は74%だった。

・脳室内出血の有無は推定結果に影響しなかった。

・体積の推定ミスを考慮にいれても、脳内出血は急性脳梗塞にくらべあきらかに悪く予後評価されていた。

医師は脳内出血体積を過大評価した。その数値にかかわらず重症度と予後を急性脳梗塞よりも悪く考えがちだった、


というおはなし。

図:

感想:

出血と梗塞ではCT画像上で見ているものがまったく異なるのだから、体積が一緒だからって同じ結果になるはずがない。

経験的に脳内出血はヤバイと知っているからなのか、もしくは脳室内出血を重視していないことから 単に条件反射的な思い込みで悪く評価しているだけなのかも。

2019年1月12日

やはり自動車衝突事故をおこしやすいのか?

元
A systematic review of the risk of motor vehicle collision after stroke or transient ischemic attack
2019  1月  カナダ

脳卒中患者にとって自動車運転の再開は重要なリハビリ目標の1つである。

これまで脳卒中と運転能力との関連をしらべた研究はいくつもあるが、自動車衝突事故(motor vehicle collision)についてのものはおおくない。

そこで、いままでの研究をレビューしてみたそうな。


脳卒中またはTIAの経験者がおこした自動車衝突事故(シミュレータも含む)についての研究を複数のレヴューアーが厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・論文検索結果5605件から12の研究がみつかった。

・症例対照研究3つのうち1つで脳卒中と自動車衝突事故との関連が指摘されていた。(OR 1.9)

・コホート研究5つのうち1つで脳卒中とTIAで自動車衝突事故リスクが上がるとしていた。(RR 2.71)

・シミュレータを用いた横断研究4つのうち2つで脳卒中経験者の自動車衝突事故リスクは2倍としていた。

これまでのエビデンスから脳卒中経験者はあきらかに自動車衝突事故をおこしやすい、とまでは言えなかった、


というおはなし。

図:自動車衝突事故

感想:

クラクションの音ってどうにかならんのかね。運転再開したころはよく鳴らされた。
感情失禁ぎみなのか「ビー」ってやられるとブチ切れそうになる。

「ピローン」みたいな音にしてほしい。

2019年1月11日

Hypertension誌:脳動脈瘤は腸内細菌のせい

元
Potential Influences of Gut Microbiota on the Formation of Intracranial Aneurysm
2019  1月  アメリカ

腸内細菌叢のはたらきが炎症の病気 たとえばアテローム性動脈硬化や糖尿病、脳梗塞と関連があることがわかってきた。

また、脳動脈瘤の形成にも炎症がかかわっていることが動物実験で示されている。

そこで腸内細菌叢が炎症反応を介して脳動脈瘤の形成に影響を与えうるものかどうか実験してみたそうな。


高血圧ネズミに抗生物質を複数種類まいにちたべさせて腸内細菌を死滅させた。

3週間つづけた後、ネズミの脳脊髄液にタンパク質分解酵素を注入して脳動脈瘤ができやすい状況をつくった。

脳動脈瘤の発生数との関連を解析したところ、


次のようになった。

・抗生物質によって脳動脈瘤の発生率が 83→6%に減少した。

・抗生物質の投与を脳動脈瘤を誘導する1日まえにやめても、脳動脈瘤の発生率は 86→28%に減少した。

・炎症指標になるマクロファージ浸潤度と関連サイトカインのmRNAレベルも抗生物質により低下していた。

腸内細菌叢が脳動脈瘤の形成に関与しうることを示すことができた、


というおはなし。

図:ネズミの脳動脈瘤

感想:

おもしろい。想像もしなかった。

「腸内環境を整え血管のコブ形成を抑えるはたらきが期待できるトクホ飲むヨーグルト」みたいなものがスーパーに並ぶのか。

かかわった研究者の名が日本人ばかりななぞ。

[腸内細菌]の関連記事

2019年1月10日

Stroke誌:内臓脂肪からみた肥満パラドックス

元
Impact of Visceral Adipose Tissue on Clinical Outcomes After Acute Ischemic Stroke
2019  1月  韓国

肥満や過体重の脳卒中患者は死亡率が低く回復が良いとするいわゆる「肥満パラドックス」が数多く報告されている。いっぽう「そんなものは存在しない太り過ぎは減量するべき」とする研究結果もある。

このようなちがいが起きる原因として、これまでの調査では肥満指標としてBMI(ボディマス指数)をもっぱら採用してきたことが考えられる。

BMIは筋肉や脂肪といった体組成の差を反映していない。そこで BMIにくわえて内臓脂肪を考慮にいれて肥満と脳卒中回復との関連をしらべてみたそうな。


急性脳梗塞で血栓溶解治療に間に合った患者127人について、

入院時にへその位置で撮影したCT画像から内臓脂肪比率をもとめ、
3ヶ月後の生活自立度mRSスコアとの関連を解析したところ、


次のようになった。

・内臓脂肪比率がたかくなるほどmRS2または1以下の回復良好者数が減少した。

・これは他の関連要因で調整してもおなじだった。

・BMI25以上の肥満患者は肥満でない患者よりも回復が良かった。

・肥満患者のうち、mRS1以下のとくに回復のよかった患者では内臓脂肪比率があきらかに低かった。

内臓脂肪比率のひくい脳梗塞患者はその後の回復が良かった。肥満でかつとくに回復の良かった患者には内臓脂肪があきらかにすくなかった、


というおはなし。

図:内臓脂肪と脳卒中のmRS

感想:

わかりやすく言うと、
筋肉のすくない脂肪でぶよぶよの肥満は好ましくはないけれど、痩せているよりはマシってことのようだ。

だから被験者に内臓脂肪型の肥満がおおいと肥満パラドックスは観測されにくくなる。

2019年1月9日

Stroke誌:家族性脳動脈瘤は破れるサイズもおなじ?

元
Concordance in Aneurysm Size at Time of Rupture in Familial Intracranial Aneurysms
2019  1月  フランス

家族性脳動脈瘤は、第一近親者(両親または子)の2人以上に脳動脈瘤がみつかる場合を指し、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血のおよそ10%を占める。

一般人のばあいよりも破裂するリスクが2.5-7倍あるとされる。また おなじ位置に動脈瘤ができやすいこともわかっている。

しかし破裂するサイズについてはわかっていない。もし破裂するサイズも近親者間でおなじであれば、予防処置をすぐにおこなうべきかどうかの判断の助けになる。

そこで、家族性脳動脈瘤の破裂サイズについてくわしくしらべてみたそうな。


オランダ、ドイツ、フランスのくも膜下出血患者で家族性脳動脈瘤のペア68組について破裂時の動脈瘤サイズを解析したところ、


次のことがわかった。

・近親者間の動脈瘤の破裂時のサイズの最大比は、1.2以下が26%、1.3-2.9が57%、3以上が17%で、

・サイズの大きいペア, 小さいペア, 大と小のペアに占める近親者の率にあきらかな差はなかった。

・ぜんたいとして、近親者間での破裂脳動脈瘤のサイズの再現性率は0.10と低かった。

家族性脳動脈瘤の破裂サイズに共通性はみられなかった。近親者にくも膜下出血がいても瘤のサイズは治療方針の参考にならない、


というおはなし。

図:家族性脳動脈瘤の破裂サイズ比

感想:

脳ドックなどでみつかる未破裂脳動脈瘤を「手術するべきか問題」が知る限り30年ほど続いている。さいきんその理由がなんとなくわかってきた。

破裂したあとの再出血予防手術(クリップやコイル)ですら そのリスクとベネフィットについて土台となる信頼できるデータがないので 議論を構築しようがないから、ってことのようだ。↓
Stroke誌:高齢重症くも膜下出血を手術する理由?

2019年1月8日

嚥下障害への低周波数rTMSの効果

元
Effects of Low-Frequency Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation on Swallowing Function and Quality of Life of Post-stroke Patients
2019  1月  トルコ

脳卒中後の嚥下障害にたいして非侵襲的に脳皮質を刺激できるrTMS(反復経頭蓋磁気刺激)を応用した研究がいくつもあるが一致した結果が得られていない。

両脳半球が脳梁を介して互いを抑制しあっているという考え方があって、脳卒中でいっぽうの損傷により健常側への抑制がはずれると損傷脳側への抑制がさらにすすんでしまう。

このとき健常側の亢進した働きを低周波数のrTMS抑えるか、損傷側を高周波数のrTMSで活性化することで崩れた抑制バランスを立て直すことができるという。

これら刺激プロトコールが研究ごとにバラバラであることも結果が一致しない原因と考えられる。

そこで、低周波数のrTMSに限って嚥下障害への効果を検証してみたそうな。


脳卒中の発症から2-6ヶ月の嚥下障害患者28人を2グループに分けた。

両グループには通常の嚥下リハビリを週3回x4週間おこなった。

rTMSグループには最終週に、1HzのrTMSを健常側脳の顎や舌の動きに関連する部位へ1回20分間x5日間 与えた。

比較グループには通常リハビリをおこなった。


次のようになった。

・両グループともに嚥下機能が実験後3ヶ月にわたり改善した。

・改善した嚥下機能にグループ間でのあきらかな差はみられなかった。

・rTMSグループにのみメンタルQoLの改善がみられた。

脳卒中で嚥下障害の患者への低周波数rTMSは期待しないほうがいいかも、


というおはなし。

図:rTMSで嚥下障害治療


感想:

メンタルQoLの改善はかんぜんに「スパシーバ効果」。コントロールにsham刺激をもうけるわけでもなく、しかもたったの1日20分x5日間でどうにかなると考える能天気さは ちょっと雑な感がある。

2019年1月7日

Stroke誌:魚の油を多く摂ると心原性脳梗塞

元
Marine n-3 Polyunsaturated Fatty Acids and the Risk of Ischemic Stroke
2019  1月  デンマーク

魚を摂ると心血管死亡率が下がるのは おおく含まれるn-3(オメガ3)多価不飽和脂肪酸の効果と考えられている。この効果は冠動脈疾患についてはよくわかっているが脳卒中については研究がおおくない。

さらにn-3多価不飽和脂肪酸の種類であるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)別に調べたものはもっとすくなく、しかも主観的な食事アンケートによる調査しかない。

そこで、身体の脂肪組織を分析してn-3多価不飽和脂肪酸およびその種類と脳卒中との関連を大規模にしらべてみたそうな。


50-65歳のデンマークの57053人について食事アンケートをとり、そのうち3203人の臀部から脂肪組織を採取して成分分析した。

脳梗塞の発生を13.5年間フォローして関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・この間に1879人が脳梗塞になった。

・脂肪組織に含まれるEPAがおおいほど脳梗塞リスクは低下した。

・アテローム血栓性脳梗塞のリスクは、トータルのn-3多価不飽和脂肪酸およびEPA,DHAの摂取量もしくは脂肪組織のEPA率が高いときに 低かった。

・心原性の脳梗塞リスクは、トータルのn-3多価不飽和脂肪酸およびDHAの摂取量もしくは脂肪組織でのそれらの含有率が高いときに 高率だった。

・脂肪組織のEPAはラクナ梗塞のリスクと逆相関にあった。

EPAは脳梗塞のほとんどの種類のリスク低下と関連があった。ただし、トータルのn-3多価不飽和脂肪酸とDHAは多いほど心原性の脳梗塞になりやすくなった、


というおはなし。

図:n-3多価不飽和脂肪酸の摂取量

感想:

さいきん話題のえごま油とかアマニ油もn-3多価不飽和脂肪酸おおし。
NEJM誌:魚油サプリメントの脳卒中予防効果

魚でふせげる脳梗塞と増える脳梗塞

2019年1月6日

リハビリの不安と音楽療法

元
Music as a Therapy to Alleviate Anxiety During Inpatient Rehabilitation for Stroke
2019  1月  アメリカ

脳卒中患者は不安がつよく、不安症の率はアメリカ一般人の20%にたいし脳卒中リハビリ中の患者で26%とやや高い。

音楽で気分や覚醒度、ストレスが改善され脳血流もふえるという。

そこで、リハビリ患者にすきな音楽を聴かせたときの不安程度を評価してみたそうな。


脳卒中でリハビリ入院中の患者50人を2グループにわけて、

いっぽうには、ゴスペル、クラシック、ロック、カントリー、ポップのなかから好みの音楽を1時間聴かせた。

もういっぽうのグループは音楽はなしですきにさせておいた。

この1回の介入前後での2種類の不安尺度検査(State–TraitAnxiety Inventory と Hospital Anxiety De-pression Score)の結果をくらべたところ、


次のようになった。

・音楽グループでは不安度スコアが介入まえよりもあきらかに低くなった。

・音楽なしのグループでは不安度スコアに変化はなかった。

・年齢、性別、脳卒中の種類で調整しても結果はかわらなかった。

リハビリ入院中の脳卒中患者に好きな音楽を聴かせることは不安緩和に効果的かも、


というおはなし。

図:脳卒中患者の音楽療法と不安

感想:

脳卒中の音楽療法でリスニングのメンタル効果を調べた研究はすくない。

リズムにのって身体を動かす系のはなしばかり。

片麻痺におすすめの曲は 米津玄師のフラミンゴ(←リンク)踊りやすい。このMVを観ていっきに米津ファンになった。

2019年1月5日

Stroke誌:高齢重症くも膜下出血を手術する理由?

元
Survival and Outcome After Poor-Grade Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage in Elderly Patients
2018  12月  スイス

高齢のくも膜下出血患者の治療に対する考え方はこの50年間で保存的治療から積極的治療(手術)にかわってきた。

しかしグレードの高い重症患者にたいしてはかならずしも一致していない。しかも判断材料になるデータがほとんどない状態でもある。

そこで、高齢のくも膜下出血患者に積極的治療をほどこしたときの回復可能性を大規模かつ長期にフォローしてみたそうな。


WFNSグレードⅣ Ⅴに相当する重度のくも膜下出血で60歳以上の患者146人について、退院時と6-12ヶ月後のmRSスコアを評価したところ、


次のようになった。

・高齢になるほどくも膜下出血の死亡リスクが高くなった。

・1歳あがると死亡リスクは6%上昇し、10歳あがると76%高くなった。

・平均生存期間は、60-69歳で56.3ヶ月、70-79歳では31.6ヶ月、80-90歳では7.6ヶ月間だった。

・6-12ヶ月後にmRS4-6の回復不良患者は年齢が高くなるほどおおはばにふえた。

高齢の重症くも膜下出血患者は年齢がたかくなるほど死亡または重度障害のリスクが高くなった。しかし79歳までなら治療による効果がある程度期待できた。80歳をこえると生存と回復可能性が著しく低下した、



というおはなし。

図:高齢くも膜下出血の回復可能性
ほとんどが生きて退院できないのに(グレー↑)手術する意義とは?


感想:

くも膜下出血のしゅうへんは、なにかがおかしい。

じつはくも膜下出血で早くに亡くなってしまう人たちに対してできることはほとんどない。

治療と称して行われている手術は再出血予防のためであって現状をすぐにどうにかしようとするものではない。

じっさい、24時間以内に手術をしても手術が遅れても死亡率には影響がない。

しかも再出血予防手術を肯定するランダム化比較試験はいまだなく、手術を行うべきあきらかなエビデンスは存在していない。

拠り所としているのは60年代のCTもMRIもない頃に作成されたガイドラインを護りぬいてきた業界の「伝統と権威」だけ。

なるほど数十年まえは激しい頭痛があってもすぐに病院にゆく習慣がなかったので手術をしないこともおおく死亡率は極端に低かった。↓
Stroke誌:クモ膜下出血で手術をしなかったときの死亡率

定型的手術でかつたしかな収入源になるのでやめられないんだとおもう。

ほかにも臓器提供問題も絡んで↓いろいろと興味深い。
脳卒中患者から臓器を抜くための法改正の成果

2019年1月4日

脳梗塞の「くしゃみ療法」とは

元
The Effect of Sneezing on the Reduction of Infarct Volume and the Improvement of Neurological Deficits in Male Rats
2018  11月  イラン

くしゃみ反射は「ヴァルサルヴァ効果」に似て、一時的な息こらえによる胸腹部の圧上昇で静脈が圧迫され心臓への血液の戻りが減少する、次いで交感神経の反発により心臓のアウトプットが上がり血圧が上昇する。

この血圧上昇効果で虚血に陥った脳にふたたび血が巡るようになることが期待できる。

そこで、動物をつかって脳梗塞の「くしゃみ療法」を実験してみたそうな。


67匹のネズミを用意して、4グループに分けた。

それぞれ、1)脳梗塞まえにくしゃみ、2)脳梗塞のあとにくしゃみ、3)脳梗塞のまえとあとにくしゃみ、4)比較グループ、とした。

くしゃみ反射は麻酔中に刈り取ったひげを両鼻腔に詰めこむことで誘導した。

脳虚血の24時間後の梗塞サイズと神経症状を比較したところ、


次のようになった。

・くしゃみグループで梗塞サイズと脳浮腫がちいさくなった。

・梗塞サイズと神経症状の改善が最大だったのは、脳梗塞のまえとあとにくしゃみをさせたグループだった。

・脳梗塞のあとにくしゃみをしたグループでは浮腫の改善効果が著しかった。

・とくに中大脳動脈域での保護効果が観察された。
誘導したくしゃみによって脳梗塞のダメージを抑えることができた。脳血管内の一時的な血圧上昇が虚血域への血流をうながしたと考えられる、


というおはなし。

図:いびきのタイミングと脳梗塞体積


感想:

ひとに応用するときには意識的な息み動作をさせるのかな。

それよりも くしゃみを誘導する刺激のために「刈り取ったひげ」を鼻に詰める必要が理解できない。実験者の猟奇性を感じる。

2019年1月3日

血圧とくも膜下出血 in チャイナ

元
Blood Pressure and Risk of Subarachnoid Hemorrhage in China
2018  12月  中国

くも膜下出血の発生率は国によってことなり、とくにフィンランドと日本で高いことが知られている。これまでの調査では中国のくも膜下出血発生率は欧米や他のアジア諸国にくらべ低かった。

くも膜下出血のリスク要因である高血圧や喫煙、飲酒の点ではハイリスクなはずの中国でなぜ発生率が低いのか確かめるために、大規模な調査をおこなったそうな。


50万人あまりの一般成人データをふくむ「中国カドーリバイオバンク」研究について くも膜下出血の発生をフォローして血圧などとの関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者の平均年齢は51、平均血圧は130/78、

・約7年のフォロー期間中に553件のくも膜下出血があり、発生率は年間10万人あたり12.9人だった。

・血圧は 平均を超える域ではくも膜下出血リスクと正の相関があり、

・収縮期血圧で10mmHg, 拡張期血圧が5mmHgあがるごとにくも膜下出血リスクはそれぞれ1.21倍、1.20倍になった。

・年齢や性別との関連は確認できなかった。

・血圧上昇によると考えられるくも膜下出血が23%を占めていた。

中国のくも膜下出血発生率は欧米のそれと同レベルだった。血圧の上昇はくも膜下出血リスクと相関し、原因の4分の1を占めると考えられた、


というおはなし。

図:血圧上昇とくも膜下出血

感想:

なるほどフィンランドのくも膜下出血ネタがおおい。↓
[くも膜下出血 フィンランド]の関連記事

2019年1月2日

こどもの発話障害 構音障害

元
Speech and Language Impairments After Childhood Arterial Ischemic Stroke- Does Hemisphere Matter?
2018  12月  オーストラリア

子供の脳卒中では入院時28-55%になんらかのコミュニーケーション障害がみられるという。

成人については発話障害や構音障害、失語症が左脳損傷患者におおくみられることがわかっている。

しかし子供については脳の損傷位置と発話 言語機能との関連はよくわかっていないので、これまでにない人数でしらべてみたそうな。


3-17歳の子供で、脳卒中から2週間以内の62人について次の3項目について調査した。

構音障害(Dysarthria):声が鼻にぬけて、弱く、乱れ、不明瞭、聞き取りにくい状態。

発話障害(Apraxia, dyspraxia):発話に一貫性がなく、連続する音韻が途中抜ける、吃音をふくむ。

言語障害(Language impairment):失語症、言語理解、言語生成、単語発見、文法操作の問題。

これらと脳の損傷位置、年齢との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・左脳損傷が32%、右脳損傷は44%、両脳半球に損傷のある者は24%いた。

・構音障害は74%、言語障害は50%にみられた。

・発話障害は11%のみだった。

・年齢や脳の損傷位置をふくめてこれら障害と関連のある要素は確認できなかった。

子供の脳卒中ではその年齢によらずコミュニーケーションに障害をもつリスクが高かった。成人とことなり左脳損傷との関連はみられなかった、


というおはなし。

図:子供の言語障害と脳半球


感想:

脳の機能分化がおわってないから、ということらしい。

脳卒中になる20年くらいまえから「君がなにを言っているのかさっぱりわからない」と少なからぬ人に言われていたことをおもいだした。
こども脳の可塑性が言語回復をさまたげる

2019年1月1日

脳卒中の栄養療法

元
Effects of Nutrition Therapy in Older Stroke Patients Undergoing Rehabilitation- A Systematic Review and Meta-Analysis
2018  12月  日本
入院中の脳卒中患者のおよそ半数は栄養失調状態にあるという。これは回復不良、死亡、合併症と関連すると考えられている。

また栄養失調が原因で筋肉が減少し筋力が衰えるサルコペニアが障害をより重くする。そのためとくに高齢者では栄養療法がリハビリテーションの助けになると考えられるが脳卒中患者についての研究をレビューしたものはすくない。

そこで これまでの研究でメタアナリシスをこころみたそうな。


栄養療法としてカロリーとたんぱく質に重点をおいた介入をえらんだ。ビタミンなどの微量栄養素のみの研究は除いた。

関係する研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・65歳以上の脳卒中でリハビリ中の患者5484人をふくむ8つの研究がみつかった。

・栄養療法にADL(日常生活動作)の改善効果は確認できなかった。

・しかし感染症のリスクはあきらかに低下した。

・死亡率、肺炎率、障害度、歩行能力、転倒、再発、QoLとの関連はなかった。

高齢脳卒中患者への栄養療法はADLの改善効果はみられなかったが、感染症の発生リスクがあきらか低下した、


というおはなし。

図:脳卒中患者の栄養と感染症

感想:

感染症へるのなら死亡や肺炎もすくなくなりそうだけど、そこまでのインパクトはないんかね。

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