元2025 12月 中国
脳卒中のあとには約4割の人に認知機能の低下が起こり、リハビリの進みや日常生活の自立を大きく妨げる要因となっている。
これまでの認知訓練や運動療法は効果が限定的で、磁気刺激やVRなどの新しい方法も費用や設備の問題がある。近年、運動しながら同時に考える課題を行う「デュアルタスク訓練」が注目されているが、本当に通常のリハビリや単一課題訓練より認知機能に良いのか、どれくらいの期間続ければ効果が出るのかははっきりしていなかった。
そこで、脳卒中患者におけるデュアルタスク訓練の効果を、多数の臨床試験をまとめて解析してみたそうな。
医学データベースから、脳卒中患者を対象にデュアルタスク訓練を行った無作為比較試験(RCT)を検索した。対象は、運動と認知課題を同時に行う訓練群と、通常のリハビリまたは単一課題訓練群である。評価にはMMSE、MoCA、トレイルメイキングテスト、ストループテスト、数字記憶テストなどの標準的な認知検査を用いた。最終的に15本の研究を統合し、統計的に効果を比較した。
次のことが分かった。
デュアルタスク訓練を行った群では、・全体的な認知機能(MMSE、MoCA)が有意に改善した。・注意力や処理速度をみるTMT-Aは、6週間を超える介入で明らかに良くなった。・作業記憶をみる数字逆唱は4週間以上で有意に改善した。・短期記憶(数字順唱)も4週間以上で改善が認められた。ストループ(抑制機能の一部)では差が明確でなかったが、それ以外の多くの認知領域では、4~6週間以上のデュアルタスク訓練で通常リハより有意な改善が確認された
運動と同時に頭を使うデュアルタスク訓練は、脳卒中後の認知機能低下に対して、通常のリハビリや単一課題訓練より効果が高いことが示された。特に前頭葉の働きに関係する注意力や実行機能、作業記憶の改善は、4~6週間以上の継続で明確になる、
というおはなし。
感想:
『スマホいじりながらの散歩でもいいの?』
以下、医師国家試験正答率98%AIの進化版GPT-5の回答コピペ↓
結論から言うと、「理屈の上ではアリ。ただし質はかなり落ちる」です。
1段階目の確認。
この論文でいうデュアルタスクは、
「運動+意図的に設計された認知課題(注意配分・ワーキングメモリ・抑制・切り替え)」
を同時に行わせ、前頭葉‐頭頂ネットワークを強制的に共活性化させる訓練です。
スマホいじり歩行も形式上は「運動+認知」なので枠組みは一致します。
2段階目。
しかしスマホ操作の認知負荷は
・反射的
・報酬系ドーパミン駆動
・注意の切り替えではなく奪取
という性質が強く、
実行機能トレーニングというより「注意資源の浪費」に近い。
つまりデュアルタスク干渉は起きるが、可塑性を鍛える干渉ではない。
3段階目。
リハ的に意味があるのは
・暗算しながら歩く
・しりとりしながら歩く
・数字逆唱しながら歩く
・歩行速度を変えつつ課題切替
のような「前頭前野を使わせる課題付き歩行」。
スマホは外注認知なので、脳を鍛える代わりに脳をサボらせます。
要約すると一言で:
「スマホ歩行は“デュアルタスク風”だが、神経可塑性トレーニングにはならない。やるなら“頭を使う歩行”にせよ。」
『じゃあ脳卒中経験者は外注認知のAIつかうとボケが加速するの?』
短く言うと
「使い方次第で、加速も抑制も両方ありうる」。
確認を3段階で。
1段階目:脳の原則
脳は「代行される機能は衰え、負荷をかけられた回路は強化される」。
これは筋トレと同じで、使わない回路は可塑性が落ちる。
脳卒中後はとくに“余剰の可塑性窓”が開いているので、
外注しすぎると回路の再編成が起きにくくなる。
2段階目:AIの本質
AIは
・記憶
・検索
・要約
・判断の一次案
を肩代わりする装置。
つまり「ワーキングメモリと実行機能を使わなくても済む方向」に働きやすい。
この使い方だけをすると、
脳卒中後にいちばん守りたい前頭葉ネットワークを休ませすぎることになる。
この意味では、
“考える代わりに答えをもらうAI”は認知予備能を削る方向に働きうる。
3段階目:逆の使い方
一方で、
・自分で仮説を立ててAIに反論させる
・要約させて自分で再構成する
・説明させて誤りを探す
・会話で思考を外在化して前頭前野を回す
こう使うと、AIは
「認知負荷増幅器」「メタ認知トレーナー」になる。
この場合はむしろ、
デュアルタスク訓練に近い前頭葉刺激になる。
結論を一言でまとめると:
AIは
「思考の義足」にすると廃用が進み、
「思考の負荷装置」にすると回復を促進する。
脳卒中経験者にとって危険なのはAIそのものではなく、
“考えなくて済む快適さに脳を浸す使い方”。
