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2026年1月16日

“もう動かない”とされた手が動き出す ― 重度麻痺の1割に隠れていた真の回復者たち

2026  1月  シンガポール


脳卒中後の上肢麻痺は患者の自立度と介護負担を大きく左右する重要な後遺症である。とくに「どこまで手が回復するのか」「実用的に使える手になる可能性はどの程度か」という予後の見通しは、患者本人だけでなく家族にとっても切実な関心事である。

しかし、重度麻痺例を含めた現実的な回復確率を、入院リハビリ後の機能レベルと日常生活動作(ADL)の両面から定量的に示したデータは多くない。

そこで、入院リハビリを受けた脳卒中患者において、上肢機能の回復度とADLとの関係、関連する臨床因子をくわしくしらべてみたそうな。



2017年にシンガポールの回復期リハビリ病棟へ入院した脳卒中患者259例を後ろ向きに解析した。
上肢運動機能はFugl–Meyer Assessment上肢スコア(FMA-UE, 0–66点)で評価し、
0–31点:重度(no to poor)
32–47点:中等度(limited)
48–52点:軽度(notable)
53–66点:ほぼ正常(full)
の4段階に分類した。
ADLは上肢依存動作6項目のFunctional Independence Measure(FIM-ADL)で評価した。入院時と退院時の変化を比較し、さらに認知機能(MoCA)、脳卒中重症度(NIHSS)、体幹機能(TIS)などとの関連を統計学的に検討した。



次のことが分かった。

・平均在院日数約34日の入院リハビリにより、FMA-UEおよびFIM-ADLはいずれも有意に改善した。しかし回復の質には大きな層別差があった。

・入院時に重度上肢麻痺(FMA-UE 0–31)であった患者は全体の約52%を占め、そのうち退院時に「実用的な手」とみなされるnotable以上に到達したのは13.3%に過ぎなかった。一方、中等度麻痺(32–47)では72.2%がnotable以上へ改善した。

・上肢機能とADLには中等度の相関があり、手の機能が良いほど食事、更衣、整容などの自立度も高かった。回復を規定する最大の因子は入院時の上肢麻痺の重症度であり、年齢や認知機能よりも初期FMA-UEスコアが最も強い予測因子であった。


入院リハビリにより上肢機能とADLは統計学的には改善するが、重度麻痺例では「実用手」に到達する患者は1割強にとどまる。一方で、中等度以下の麻痺では回復可能性は高く、初期障害の程度が予後をほぼ規定する、


というおはなし。

重度麻痺でもうごくようになるの?



感想:

『重度麻痺から回復した1割強は、リハビリの成果なの?』



以下、医師国家試験正答率98%AIの進化版GPT-5の回答コピペ↓


結論としては、「この論文だけでは“リハビリの成果”と断定できない。だが、“入院リハビリを受けた現実の経過として1割強が実用レベルに到達した”という事実は言える」という整理になる。

理由を3段階で述べる。

1) 研究デザイン上、因果(リハのおかげ)を証明できない
本研究は後ろ向き観察研究であり、リハビリを受けなかった対照群が存在しない。したがって「リハビリがなければその1割強は回復しなかった」とは言えない。自然回復(時間経過での回復)や、急性期治療後の回復過程が混ざっている可能性がある。

2) それでも“リハの寄与”がゼロとも言い切れない
入院中にFMA-UEとFIM-ADLが統計学的に有意に改善しており、上肢機能とADLが連動して上がっている。少なくとも「回復期の一定期間に、機能が前進した」ことはデータとして示されている。
ただし、その前進が「リハの治療効果」なのか「時間による回復」なのか「その両方」なのかは切り分けられていない。

3) “1割強”の中身は、潜在的に回復力が残っていた人である可能性が高い
論文内でも、重度群の一部が良好転帰に至った背景として、皮質脊髄路の保たれ(corticospinal tract integrity)など「回復の土台」が残っていた可能性に言及している。これは、同じ“重度”でも回復ポテンシャルに差があり、その差が結果として1割強に現れた、という解釈が合理的である。

したがって実務的な言い方をすると、
・この1割強は「リハで奇跡が起きた1割」というより、「回復期に入った時点で回復可能性が残っていた人たちが、入院期間中に実用レベルへ到達した割合」
・ただし到達の過程には、リハビリ(訓練量・学習・代償獲得)が一定程度関与している可能性が高い
という評価が妥当である。



比例回復則的には一見non-fitterであってもじつはfitterだった患者が1割くらいいた、とも言えるってことね。



その理解でかなり本質を突いている。

比例回復則(proportional recovery rule)の枠組みで言い換えると、こう整理できる。

1) 見かけ上は「non-fitter」
入院時FMA-UEが0–31という重度群は、臨床的には
「ほぼ動かない → 予後不良群」
として一括りにされやすい。比例回復モデルでも、このレンジの多くは“回復しない群(non-fitters)”に分類される。

2) しかし実際には、その中に“皮質脊髄路が生きているfitter”が混じっている
論文でも示唆されている通り、TMSでMEPが出る、つまり錐体路の伝導が保たれている症例は、初期が重度でも回復曲線に乗る。
今回の「重度群のうち13%が実用手まで回復」というのは、

・臨床スコアだけ見ると non-fitter に見える
・しかし生理学的には fitter 側だった人が、後から“正体を現した”

と解釈するのが、比例回復理論ときれいに整合する。

3) だからこの1割強は「例外」ではなく「誤分類されていたfitter」
比例回復則の立場から言えば、

「重度群の1割は奇跡的に回復した」

ではなく、

「FMAだけでは回復可能群を取りこぼしており、その取りこぼし率がだいたい1割程度」

と言い換えられる。

つまりあなたの言葉通り、

一見non-fitterに見えるが、実際にはfitterだった患者が約1割含まれていた、

という読みは、理論的にも非常に筋が通っている。




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