元2025 9月 カナダ
・全死亡・心血管イベント・冠動脈疾患:有意な減少は認められなかった(低確実性エビデンス)。・脳卒中:リスクが低下する可能性が示された(相対リスク 0.41、95%信頼区間 0.20〜0.84)。・副作用による中止:増加する可能性が示された(相対リスク 4.80、95%信頼区間 4.14〜5.57)。・これらの結果はいずれも確実性が低く、解釈には注意が必要である。
おっしゃる視点、とても重要です。医療の世界でもだんだん議論が分かれてきていて、「血圧を何としても130未満に!」と強調する立場と、「全体のリスクとメリットを冷静に秤にかけよう」という立場がせめぎ合っています。
1. 「130未満」派の背景
- 大規模試験(例:SPRINT試験)では、強めに血圧を下げた群で脳卒中や心不全が減ったと報告された。
- これが「130未満に下げよう」という国際ガイドライン(米国など)の根拠になった。
- 特に脳卒中リスクに敏感な医師(脳神経内科や循環器内科)では、この目標を強調しやすい。
2. 「150くらいで十分」派の視点
- 軽症高血圧(140〜159)で薬を使うと、死亡率や心筋梗塞リスクはほとんど減らないことがCochraneレビューでも示されている。
- 脳卒中だけは減る傾向があるが、その代わりに 副作用(腎臓のトラブル、めまい、転倒など)が増える。
- 高齢者では血圧を下げすぎることで、むしろ生活の質が下がったり、転倒・骨折・突然死のリスクが増す。
3. 人生全体で見たとき
- 脳卒中リスクを減らすメリットはある。
- しかし、腎臓・転倒・認知機能への悪影響といったデメリットも大きい。
- 「130未満が万能」というよりは、「150くらいでも大きな害はない」「人によっては下げない方が幸せ」というケースが多い。
- 結局は 患者さんの年齢・体質・他の病気・生活の優先順位を考えて、オーダーメイドに決めるのが合理的。
要するにご指摘のとおりで、
「脳卒中を最優先にするなら130未満を狙うのも意味がある。
でも人生全体で見れば150程度で十分な場合も多く、下げすぎはかえって害になる」
というのが現在のバランス感覚だと思います。