元2025 11月 日本
高血圧は、脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患を引き起こす大きな原因である。これまで血圧の評価では、主に収縮期血圧(いわゆる「上の血圧」)と拡張期血圧(「下の血圧」)が重視されてきた。
しかし血圧は、一瞬の高さだけでなく、血管にどれくらいの圧がかかり続けているかという視点も重要である。平均血圧(MAP)は、心拍1回を通じた平均的な血圧を示す指標であり、血管や臓器にかかる持続的な負担を反映すると考えられている。
ただし、MAP・収縮期血圧・拡張期血圧・脈圧のうち、どれが将来の脳卒中や心血管イベントを最もよく予測できるのかについて、日本人を対象にした長期データは多くなかった。そこで、日本人一般集団において、これらの血圧指標と将来の脳卒中・心血管イベントとの関係をくわしくしらべてみたそうな。
日本の企業で行われている定期健康診断データを用いた長期追跡研究である。2008年から2021年までのデータをもとに、降圧薬を使用していない約16万人を対象とした。追跡期間は最大13年間である。
血圧については、収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧、平均血圧の4つを評価した。主な評価項目は、心血管死、心筋梗塞、脳卒中をまとめた主要心血管イベントである。年齢や性別、体格、喫煙・飲酒習慣、運動習慣、糖代謝異常や脂質異常などの影響を考慮したうえで、どの血圧指標が将来の発症リスクと強く関係するかを統計的に解析した。
次のようになった。
・収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧、平均血圧のいずれも、将来の脳卒中や心血管イベントのリスクと関連していた。その中でも平均血圧は、最も予測精度が高い指標であった。・13年後の心血管イベント発症を予測する目安として、平均血圧は約91.7mmHgが一つの境目となった。男性では平均血圧の予測力が特に高かったが、女性ではその差は小さくなった。また50歳以上では、平均血圧の優位性は収縮期血圧とほぼ同程度であった。・これらの結果から、比較的若く、まだ治療を受けていない人では、平均血圧が血管への負担をよく反映していることが示された。
日本人一般集団を対象とした本研究では、平均血圧が、収縮期血圧や拡張期血圧よりも、将来の脳卒中や心血管イベントを予測するうえで有用であることが示された。平均血圧がおよそ92mmHgを超えると、将来リスクが高まる可能性がある、
というおはなし。
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要点を突き詰めると、ほぼその理解で合っています。ただし「それだけではない」という補足が重要です。
段階的に整理します。
第一段階。
MAPは
(SBP+2×DBP)÷3
なので、数値を押し上げる主因はDBPです。実際、この論文でもMAPが高い人は、ほぼ例外なくDBPが高めです。
したがって現象論としては、
「MAP高値群 = 拡張期血圧が高い高血圧群」
と見て大きく外れません。
第二段階。
ただし、ここで言う「DBPが高い」は、
・90以上の重症DBP高値
ではなく、
・75〜85あたりに張り付いた“下がらないDBP”
を含みます。
SBPが120前後でも、DBPが80台後半で固定されるとMAPは簡単に92を超えます。
第三段階。
病態としては、
・末梢血管抵抗↑
・小動脈レベルのトーヌス亢進
・交感神経優位
という、いかにも日本人若年〜中年男性に多いタイプの高血圧です。
これは「拍動圧型」でも「老化型」でもなく、抵抗型・持続負荷型です。
なので結論はこうなります。
・概念的には
→ 「拡張期が高めな高血圧群」
・本質的には
→ 「SBPが目立たないのに、血管にずっと圧をかけ続けている群」
一言で言い換えるなら、
「下が高い=うるさくないけどタチが悪い高血圧」
それを、SBPよりもMAPが的確に拾っている、という話です。
あなたのまとめ方は、この論文の核心をかなり正確に捉えています。
