元2026 10月 アメリカ
直径3mm以下の非常に小さな未破裂脳動脈瘤は、破裂する危険性がきわめて低いと考えられている。
それにもかかわらず、破裂予防のために治療されることが少なくない。
そこで、こうした小さな動脈瘤の治療で、どの程度の合併症が起きるのか、また、どのような場合に危険性が高まるのかをくわしくしらべてみたそうな。
2013~2025年に複数の医療施設で治療された未破裂脳動脈瘤5107個のデータを分析した。
このうち783個(15.3%)が直径3mm以下であった。
3mm以下と3~5mmの動脈瘤について、治療中・治療後の合併症や死亡率、その後の回復状態などを比較した。
次のようになった。
・3mm以下の動脈瘤の患者は比較的若く、女性が多かった。また、血管の病気につながる危険因子や、くも膜下出血の経験、動脈瘤の家族歴を持つ人が多かった。・合併症の発生率は、
- 治療中:3mm以下で5.2%、3~5mmで5.1%- 治療後:3mm以下で8.4%、3~5mmで8.7%
であり、大きさによる明らかな違いはなかった。・院内死亡率や長期的な回復状態にも明らかな差はなかった。・さらに、治療中の合併症の起こりやすさは、
- 前交通動脈の動脈瘤で約4.9倍- 後交通動脈の動脈瘤で約4.1倍
- ステントを併用したコイル塞栓術で約4.0倍となっていた。・一方、治療前の日常生活にほぼ支障がなかった患者では、治療後の合併症が起こりにくかった。
3mm以下の未破裂脳動脈瘤は破裂リスクが非常に低いにもかかわらず、予防的治療が広く行われている。
3mm以下の動脈瘤の治療による合併症リスクは低く、やや大きな動脈瘤と同程度である。
ただし、動脈瘤の場所や治療方法、治療前の身体機能によって危険性は異なる。
そのため、治療するかどうかは、破裂する危険性と治療そのものの危険性を考え合わせて判断すべきである、
というおはなし。
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感想:
『未破裂瘤を持ってるひとって、たいていのばあいなんの症状もない健常者よね。それを患者扱いしてまともな根拠のない手術をそそのかし、5-8%に合併症を負わせる。これをもって「合併症率は低い」っていったい何を言ってるの?日本の施設も含まれているし、、この研究者たちのアタマ大丈夫なの?』
以下、医師国家試験正答率98%AIの次の進化版GPT-6の回答コピペ↓
この論文の結論には、かなり重大な問題があると思う。
とくに気になるのは、研究者たちが「何をもって安全と判断しているのか」である。
未破裂脳動脈瘤を持つ人の多くは、何の症状もなく普通に生活している。動脈瘤は存在するが、それによって生活に支障をきたしているわけではない。
そのような人に予防的治療を行い、
- 術中合併症:5.2%
- 術後合併症:8.4%
という結果を得ながら、「合併症リスクは低い」と結論する。
これは、少なくとも患者の立場から見れば、容易には納得できない表現である。
もちろん、合併症の重症度はさまざまで、全員に永続的な障害が残ったわけではない。また、術中と術後の合併症には重複もありうる。
しかし、最大の問題は、この研究が「治療した人同士」しか比較していないことだ。
3mm以下の瘤を治療した人と、3~5mmの瘤を治療した人を比較し、合併症率に差がなかったというだけである。
治療せずに経過観察した場合より健康上の利益があったのかは、検証していない。
しかも、2018年のJAMA Neurologyには、3mm以下の未破裂瘤について「治療も定期画像検査もしない」という選択が、モデル分析上、最も健康上の利益をもたらすとする研究が発表されている。ただし、破裂リスクが高い一部の患者は例外となりうる。
さらに興味深いのは、同じ号に掲載されたJohnstonの論説である。
タイトルは、
「Leaving Tiny, Unruptured Intracranial Aneurysms Untreated: Why Is It So Hard?」
日本語にすれば、
「小さな未破裂脳動脈瘤を治療せずにおくことは、なぜそんなに難しいのか?」
である。
この論説では、小さな動脈瘤の破裂率が非常に低く、予防的治療にも危険があるという知見が積み重なっているのに、治療を勧める医師が多い現状を批判している。
つまり、この問題は以前から専門家の間でも指摘されているのである。
ただし、今回の研究には、くも膜下出血の既往や家族歴を持つ人も含まれている。全員が偶然見つかった低リスクの無症状者だったわけではなく、研究者らも全例への治療を推奨しているわけではない。
それでも、今回の研究には根本的な疑問が残る。
「手術を比較的安全に実施できた」ということと、「そもそも手術するべきだった」ということは、まったく別問題である。
日本の施設も関与する国際的な研究だからこそ、治療技術の安全性だけでなく、無症状の人に介入すること自体の妥当性を、もっと厳しく問うてほしい。
予防医療では、健康だった人に医療行為による不利益を与える可能性がある以上、治療の必要性と利益を証明する責任は、治療を勧める側にあるはずだ。
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### 参考文献
1. El-Hajj VG, et al. Tiny (≤3 mm) Unruptured Intracranial Aneurysms: A 13-Year Contemporary Insight on Treatment Safety From a Multicenter Registry. Neurosurgery. 2026.
2. Malhotra A, et al. Management of Tiny Unruptured Intracranial Aneurysms: A Comparative Effectiveness Analysis. JAMA Neurology. 2018;75(1):27–34.
3. Johnston SC. Leaving Tiny, Unruptured Intracranial Aneurysms Untreated: Why Is It So Hard? JAMA Neurology. 2018;75(1):13–14.
『ISUIAでは7mm未満は破裂しませんでした。さいきん見た論文(https://doi.org/10.1007/s10143-026-04507-3)も5mm未満の188個の未破裂瘤が5年間にゼロ破裂でした。未破裂瘤の手術vs保存の唯一のランダム化比較試験TEAMは、あまりにも破裂しなくてデータが集まらず中止されたままです。合併症とはいっても死亡も含まれるわけで、たとえば5mm未満の未破裂瘤の手術で3%が院内死亡しているという報告(https://doi.org/10.1007/s10143-026-04517-1)があります。治療すべきまともな根拠がないのに手術を勧めてくる脳外科医は詐欺罪とかで逮捕されるべきだとおもいます。』
問題提起の核心には賛成できる。
無症状で普通に生活している人に対して、将来の破裂を防ぐという理由で手術を勧めるのであれば、医師には「治療しない場合よりも、患者にとって利益が大きい」と説明できるだけの根拠が求められる。
ところが、小さな未破裂脳動脈瘤では、その肝心の根拠が十分に確立していない。
そして、挙げられた論文を確認すると、この問題はさらに深刻に見えてくる。ただし、数字について重要な補足が3点ある。
## 1. 自然経過では、実際にほとんど破裂していない
ISUIAでは、くも膜下出血の既往がなく、前方循環に位置する7mm未満の瘤について、5年間の破裂率は0%だった。ただし、後方循環・後交通動脈では2.5%である。
2026年9月29日発表のブラジルの研究でも、5mm未満の未破裂瘤を持つ113人を5年間追跡し、破裂はゼロだった。
この研究は188個ではなく、113人を対象とした研究であり、565人年の追跡で破裂ゼロという結果である。
しかも、5人では瘤が自然に消失していた。
ただし、破裂ゼロという観察結果は、真の破裂確率がゼロであることの証明ではない。この研究でも、年間破裂率の95%信頼区間上限は0.65%とされている。
それでも、予防的手術をしない選択を支持する重要な結果である。
## 2. 5mm以下の未破裂瘤で院内死亡3%
こちらも確認できた。
2026年9月29日発表の中南米8施設の研究では、1519人のうち未破裂瘤は1098人で、その院内死亡率は3%だった。
ただし、正確には「手術した人だけの死亡率3%」ではない。保存的に管理された人も含む未破裂瘤群全体の死亡率である。
研究者らは、未破裂瘤患者の死亡には主として治療関連の要因が関係していたと報告している。
つまり、3%をそのまま手術死亡率とは呼べないものの、予防的治療を含む診療において死亡が生じている事実は重い。
## 3. TEAM試験は、破裂が少なすぎたから中止されたのか?
ここは少し訂正が必要である。
TEAM試験は2006年に始まり、2009年に中止された。予定していた2002人に対し、登録できたのは80人だけだった。
その間、両群とも主要評価項目に該当するイベントはゼロだった。
しかし、中止の直接的理由は破裂の少なさではなく、患者登録が進まず、研究資金が打ち切られたことだった。
興味深いのは、担当医が対象患者を研究に参加させることに消極的だったという事情である。
つまり、治療の有効性を検証する重要な研究が、十分に実施できなかったのである。
そして、2022年の欧州脳卒中機構(ESO)のガイドラインには、非常に重要な記述がある。
未破裂脳動脈瘤の管理について、完了したランダム化比較試験がなく、推奨の根拠となるエビデンスはいずれも「非常に低い」というのだ。
そのうえで、予防的治療は、推定される5年間の破裂リスクが治療リスクを上回る場合に検討するよう提案している。
これは現在の医療界自身が、確かな根拠の不足を認めているということでもある。
## 4. では、脳外科医は詐欺罪に問われるべきなのか?
ここは医学的な批判と法的な責任を分ける必要がある。
単に質の高い比較試験がない治療を勧めたというだけでは、日本の刑法上の詐欺罪は成立しない。
しかし、たとえば医師が、
- 破裂リスクを意図的に誇張する
- 治療の有効性が証明されているかのように説明する
- 合併症や死亡のリスクを意図的に隠す
- 経過観察という選択肢を知らせず、手術を受けるよう誘導する
といった行為をした場合は、医療倫理上、重大な問題となる。事情によっては説明義務違反などの法的責任も問題になり、意図的な欺罔による財産上の利益取得まで立証されれば、詐欺罪も検討対象となりうる。
ただし、個別の医師について、そのような行為があったと決めつけることはできない。
## 私が最も重大だと考えること
今回の3mm以下の瘤の研究では、術中合併症5.2%、術後合併症8.4%という数字を示しながら、研究者らは合併症リスクが低いと評価した。
しかし、この研究からは、患者が治療によってどれだけ長生きできたのか、どれだけ死亡や重度障害を防げたのかがわからない。
さらに、治療しなかった場合の転帰との比較もない。
予防医療で最も重要なのは、病変を消せたかどうかではなく、患者が治療を受けなかった場合より健康で長く生きられるかどうかである。
だからこそ、次の問いを研究者に突きつけたい。
「あなた方の治療によって、助かった患者は何人いるのか。そして、治療しなければ健康に暮らせたはずなのに、障害を負ったり死亡したりした患者は何人いるのか?」
この問いに答えられないまま「合併症率は低い」と強調するのは、予防的治療の正当性を説明するには不十分である。
### 参考文献
1\. ISUIA(2003年)
2\. Rosi J Jr, et al. 5mm未満の未破裂脳動脈瘤の5年間の自然経過(2026年)
3\. Jaume Favaro A, et al. 5mm以下の脳動脈瘤と院内死亡(2026年)
4\. Raymond J, et al. TEAM試験の結果と中止理由(2011年)
5\. 欧州脳卒中機構(ESO)未破裂脳動脈瘤ガイドライン(2022年)
