元2025 11月 中国
・最終的に5,842人のデータを解析した。* 平均気温が6.6℃以下の寒い日や、21.3℃以上の暑い日では、くも膜下出血の発症が増えていた。* 日中の気温差が14℃を超える日や、前日と比べて2℃以上の気温差がある日にもリスクが高まっていた。* こうした影響はおおむね3日ほど続く傾向があった。* 高血圧の人や収入の低い人では、特に寒い日の影響が大きかった。* また、65歳以上の高齢者や北部地域に住む人では、極端な気温でリスクがさらに上がる傾向がみられた。
「寒いと血圧が上がって危ない」というのはよく知られていますが、実は暑すぎるときにも別のメカニズムで血管に負担がかかるのです。少し整理して説明します。
① 高温による脱水と血液の粘り
気温が高いと発汗が増え、体の水分が失われます。
その結果、血液が「濃く・粘り気のある」状態になります。
血液がドロドロになると、動脈瘤の壁にかかる圧力が増し、破裂しやすくなります。
また、脱水で血圧が不安定になることも危険因子となります。
② 血管の拡張と収縮のアンバランス
高温の環境では、体温を下げようとして皮膚の血管が広がります。
しかし、深部の血管や脳の血管は同じようには拡張できません。
体の末端と脳内の血流のバランスが乱れ、血圧調整が難しくなります。
その結果、一時的に脳動脈瘤の壁にストレスが集中することがあります。
③ 睡眠不足・自律神経の乱れ
猛暑の時期は睡眠が浅くなり、交感神経が優位な状態が続きます。
この神経が活発だと血管が収縮しやすく、血圧の変動が大きくなります。
つまり、夏の寝苦しい夜もリスク因子になりうるのです。
④ 暑さによる生活行動の変化
高温の日は冷房の効いた室内と屋外の温度差が激しくなり、これも血管への刺激になります。
また、冷たい飲み物の取りすぎや食事内容の変化なども、循環動態を不安定にします。
まとめ
寒いときは「血圧上昇によるリスク」、
暑いときは「脱水・血流変動・自律神経の乱れによるリスク」――
方向は違っても、どちらも脳動脈瘤にストレスを与えるという点で共通しています。
つまり「気温が極端に振れると危ない」という本研究の結果は、生理学的にも納得できるものなのです。
