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2017年1月31日

若年脳卒中患者の回復コース


Effects of professional rehabilitation training on the recovery of neurological function in young stroke patients.
2016  11月  中国

若年脳卒中患者の回復パターンについてしらべてみたそうな。


2014年の中国首都医科大学の脳卒中患者について、若年100人(18-44歳)と中高年100人(45歳以上)にわけ、退院後6ヶ月間フォローしたところ、


次のことがわかった。
・若年グループの59.6%は脳出血で、中高年グループの60.0%は脳梗塞だった。

・中高年にくらべ若年者の教育レベルは高く、高血圧 糖尿病 心疾患はすくなかった。

・若年者の平均入院期間は長く、

・おもなリスク要因は 高血圧、飲酒、喫煙 だった。

・リハビリは理学療法、作業療法、言語聴覚療法、鍼灸が主で、

・1日の平均リハビリ時間は2.5時間、退院時には生活自立度と身体機能が改善していた。

・退院後6ヶ月をすぎると仕事や経済面での不満が表出した。

・家族生活の満足度はかわらなかったが 交友関係の満足度は改善した。

正規のリハビリテーションにより若年脳卒中患者の身体機能はあきらかに改善したが、6ヶ月以内に社会復帰できる者はすくなかった、


というおはなし。

図:若年脳卒中患者の入院期間

感想:

脳出血がおおいから入院が長いのかな?

2017年1月30日

葉酸サプリメントで糖尿病からの脳卒中を予防できる!


Longitudinal association between fasting blood glucose concentrations and first stroke in hypertensive adults in China: effect of folic acid intervention.
2017  1月  中国

葉酸(ビタミンB9)の脳卒中予防効果に関心があつまっている。

血糖値が高い人の脳卒中リスクと葉酸サプリメントの脳卒中予防効果をしらべてみたそうな。


高血圧で治療中の20327人について、葉酸サプリメントあり(0.8mg/日)となしのグループに分けて脳卒中の有無を4.5年間フォローしたところ、


次のことがわかった。

・この間に616人が脳卒中になった。(497人が脳梗塞)

・空腹時血糖値が7.0mmol/L(=126mg/dl)以上だと明らかに脳卒中がおおかった。

・葉酸サプリメントグループでは血糖値5.0mmol/L以上で脳卒中予防効果がみられ、

・特に7.0mmol/L以上だと葉酸グループの脳卒中リスクがさらに小さかった(5.0mmol/L未満の0.66倍)。

高血圧の中国人について、空腹時血糖値が7.0mmol/L以上だと脳卒中リスクが非常に高かった。彼らへの葉酸サプリメントの投与で脳卒中リスクが34%低下した、


というおはなし。

図:血糖値と脳卒中リスク

感想:

葉酸サプリメント優秀だな。これ↓思い出した。
高コレステロールに朗報 葉酸サプリの脳卒中予防効果

2017年1月29日

脳梗塞に効くコレステロール比 TC/HDLとは


The total cholesterol to high-density lipoprotein cholesterol as a predictor of poor outcomes in a Chinese population with acute ischaemic stroke.
2017  1月  中国

これまで 血中コレステロール値と脳梗塞の予後の関連については研究により相反する結果が得られている。

そこを確かめるべく多くの患者で調べてみたそうな。


2013-2015の急性脳梗塞患者871人の3ヶ月後の生存率、回復度を調査し入院時のコレステロールレベルとの関連を解析したところ、


次のことがわかった。
・3ヶ月後10.8%が死亡した。

・入院時の総コレステロールTC および HDLコレステロールとの比 TC/HDL が予後につよく関連していた。

・特に TC/HDL が高いと死亡リスクがとても低く、

・回復良好(mRS=0-2)の可能性も高かった。

・TC/HDL が4.09以上だとあきらかに予後が良かった。

TC/HDL が高いと急性脳梗塞患者の3ヶ月後の生存率、回復良好の可能性が高かった、


というおはなし。
図:回復良好な脳梗塞患者のコレステロール

感想:

TC=LDL+HDL+TG/5 だから LDLコレステロールはたっぷりあったほうがいいってことなんだよな。

これ↓
悪玉善玉比L/Hが低いと脳内出血で死ぬことが明らかに

2017年1月28日

脳卒中やった子供の社交性


Psychosocial function in the first year after childhood stroke.
2017  1月  オーストラリア

子供の脳卒中は脳の発達をさまたげ 運動 認知 言語能力に問題を生じうることが知られている。しかし心理社会的な影響についてはよくわかっていないので調べてみたそうな。


平均年齢6.8歳の子供脳卒中患者37人について、発症後1年間の社交性をフォローした結果、


次のことがわかった。
・6ヶ月後、12ヶ月後の社交性は発症まえにくらべ 劣っていた。

・とくに感情障害や注意欠陥、多動性といった心理的な問題がおおかった。

・発症年齢がおそくなるほど、神経症状が重いほど社交性が低下した。

・これら心理社会的問題は親のメンタルヘルスとよく関連していた。

脳卒中を経験した子供の中には心理社会的な障害を受ける者が少なからずいた。特に子供の年齢や神経症状、親の精神状態が関連していた。親の影響がつよいことから 家族へのサポートが子供の治療につながるかもしれない、


というおはなし。
図:子供脳卒中の社交性

感想:

大人=高年齢の子供 と考えるとソーシャル能力へのダメージは計り知れない。フェイスブックとツイッターに挫折した原因はこのあたりにあるのかも。

2017年1月27日

麻痺してない上肢はほんとうに麻痺していないのか?


Movement Kinematics of the Ipsilesional Upper Extremity in Persons With Moderate or Mild Stroke.
2017  1月  スウェーデン

脳卒中で損傷した脳半球と同側の手脚も麻痺の影響を受けるとする報告が増えてきている。

同側の麻痺の影響が日常生活動作にどの程度影響するものか調べてみたそうな。


軽症脳卒中患者40人と健常者20人について、
発症間もない頃と3ヶ月後の水飲み動作を3Dモーション解析した。

2017年1月26日

自宅でかんたん半側空間無視治療 VFTとは


Efficacy of home-based visuomotor feedback training in stroke patients with chronic hemispatial neglect
2017  1月  イギリス

半側空間無視の治療法は数多く提案されてはいるが 効果は定かでなく手法もまちまちで臨床応用がむつかしい状況にある。

シンプル過ぎてこれまでほとんど見向きもされなかった治療法に
"視覚運動フィードバック訓練"(Visuomotor Feedback Training:VFT) がある。

VFTは目の前に置かれた棒の中点を推定し、その位置を指でつまみ上げるだけの動作がメイン。

半側空間無視により視野が左右の一方に偏っている場合 持ち上げた棒がおおきく傾くため中点位置の誤りが瞬時にフィードバックされる。長さの異なる棒をいくつか用意してこの動作を繰り返すだけなので、簡単かつ経済的な治療法でもある。

VFTの自宅訓練効果を長期的かつ日常生活的に評価してみたそうな。


右脳損傷で半側空間無視の脳卒中患者20人をVFTと比較グループに分けた。
50、75、100cmの棒を使用した。
VFTは自宅で2週間にわたり1回約15分の訓練を計10セッションおこなった。
比較グループは棒の右端をつまみ上げる訓練をおこなった。

直前、直後、4ヶ月後に複数の指標で空間無視の程度を評価した。


次のようになった。

・線分二等分テスト、行動性無視検査など短 長期的にVFTグループでスコアが明らかにすぐれていた。

・VFTグループでは日常生活動作の改善もあった。

視覚運動フィードバック訓練VFTは自宅でできる簡単 効果的な半側空間無視の治療法である。さらなる研究が期待される、


というおはなし。
図:Visuomotor Feedback Training

感想:

シンプルでいい。
この方法 20年くらいまえに発見されて、いままで2件の研究しかないんだって。

2017年1月25日

胃ろうが必要でない脳卒中患者のBMIは、、


Factors Predicting Recovery of Oral Intake in Stroke Survivors with Dysphagia in a Convalescent Rehabilitation Ward.
2017  1月  日本

脳卒中のあとの嚥下障害は27-64%の患者にみられ、半数は2週間以内に回復する。胃ろうや経鼻チューブなどの対策はいずれも一長一短であり避けれるものなら避けたい。

そこで経口摂取が勝手に復活する患者の特徴をしらべてみたそうな。


2009-2015に脳卒中で嚥下障害になった患者のうち
リハビリ病院へ転院するまでに経口摂取が可能になった患者とそうでないグループとにわけ特徴を比較したところ、


次のことがわかった。

・経口摂取可能になった34人とそうでない38人の記録がみつかった。

・経口可能になったグループは年齢が若く、BMIが高く、発症から入院までが短かった。

・経口可能予測因子は、入院時の肥満度BMI、認知機能的自立度FIM、嚥下重症度DSSの3つであり、

・これら3つの変数からその後の経口摂取の可否を精度良く予測できた。

脳卒中で嚥下障害の患者のうち、BMI、 FIM、DSSが高い者は退院までに経口摂取が可能になった。これら患者への胃ろう造設を避けることができるだろう、


というおはなし。

図:経口摂取可能とBMI

感想:

このブログはじめてから、痩せてることが善とするはなしをきいたことがないわ。

2017年1月24日

要介助の割合 3年間の傾向


How Many Patients Become Functionally Dependent after a Stroke? A 3-Year Population-Based Study in Joinville, Brazil.
2017  1月  ブラジル

脳卒中のあと3年間でどのくらいの患者が要介助にあるのかしらべてみたそうな。


ブラジル・ジョインヴィレでの2009年の脳卒中患者407人について電話アンケートもつかって3年後までフォローしたところ、


次のことがわかった。

・患者内訳は脳梗塞が83%、脳出血10%、クモ膜下出血7%だった。

・退院時点での要介助状態(mRS=3-5)の患者は32.7%だった。

・退院時から3年後までの要介助患者の割合は、脳梗塞で33%→8%、

・脳出血で38%→14%、クモ膜下出血で19%→4% と推移した。

・脳梗塞のなかでは心原性のタイプがもっとも要介助リスクが高かった。

脳卒中のあと最初の1年間は3分の1の患者が要介助だった、


というおはなし。
図:脳卒中後の要介助割合

感想:

うえのグラフだと要介助の減少は回復したからではなく 死亡が理由のようにもみえる。

2017年1月23日

ヨーガは脳卒中にいいの?


Determining the potential benefits of yoga in chronic stroke care: a systematic review and meta-analysis.
2017  1月  オーストラリア

ヨーガは仏教やヒンズーに由来し 姿勢維持、呼吸法、瞑想などからなる伝統的な健康法である。これは脳卒中後の長期にわたる身体的 心理的問題への助けになる可能性がある。

これまでの研究をまとめてみたそうな。


1950年以降の関連する研究を厳選し データを統合 再解析したところ、


次のようになった。

・5つの研究がみつかった。いずれもサンプルサイズはn=17-47で小さかった。

・ヨーガは不安やうつの改善に効果があった。

・バランス能力やQoLにも良さそうだった。

ヨーガ人気のわりにはエビデンスは少なかった。慢性期脳卒中患者の心理面での改善効果がありそうだった、


というおはなし。
図:ヨーガの脳卒中効果

感想:

ヨーガ自体 漠然としていてなんだかよくわからないとこがいちばんの問題じゃないかね。

2017年1月22日

教育歴と脳卒中後の認知障害について


Effect of Formal Education on Vascular Cognitive Impairment after Stroke: A Meta-analysis and Study in Young-Stroke Patients.
2017  1月  オランダ

脳卒中のあとの血管性認知障害は脳損傷が同程度であっても個人でおおきく異なる。これは教育歴からくる認知的予備力の差によるとも考えられる。

そこで血管性認知障害と教育歴との関連をくわしくしらべてみたそうな。


関連する過去の研究を厳選し データを統合 再解析した。

これとは別に若年脳卒中患者277人と健常者146人を11年間フォローしたデータを解析した。


次のことがわかった。

・被験者7770人を含む21の研究が見つかった。

・いずれの研究も規模がちいさかった。教育歴が血管性認知障害におよぼす影響は強いとは言えなかった。

・若年患者277人11年の調査では 低教育歴の患者で注意力が平均を下回ることが多かった。


教育歴と血管性認知障害に関連はあったが その影響は小さかった。低教育歴の脳卒中患者で注意力の低下が見られた、


というおはなし。
図:

感想:

認知的予備力は「テスト慣れ」の別表現だとおもう。

リハビリ入院直後にテストがあって、文字と図形をひたすら対応させる課題だった。試験者が説明しているあいだに全部のパターンを暗記しておいたら「こんなスコアいままで見たことが無い!」って驚かれたよ。

2017年1月21日

80歳以上の脳卒中を防ぐ方法がわかった


Physical inactivity is a strong risk factor for stroke in the oldest old: Findings from a multi-ethnic population (the Northern Manhattan Study).
2017  1月  アメリカ

80歳以上の人口割合が急増している。かれらへの脳卒中予防のための積極介入は多剤併用をまねきやすい。

しかし運動ならその心配はない。そこで高齢者の身体活動と脳卒中リスクとの関連をしらべてみたそうな。


平均年齢69の3298人に余暇の身体活動習慣をアンケートし、脳卒中の有無を14年間フォローしたところ、


次のようになった。

・80歳以上が17%を占め、40.8%は余暇の時間に身体活動がまったくなかった(仕事や歩行時間を含まない) 。

・14年間に391人が脳卒中になった。80歳以上と余暇の不活動があきらかに関連していた。

・80歳以上では、余暇活動がまったくないばあい脳卒中リスクは1.60倍だった。

・いっぽう糖尿病や高血圧、心不全は80歳以上にとっては脳卒中リスクではなかった。

80歳以上の高齢者にとって運動不足は脳卒中の強いリスク要因だった。運動をうながすことで容易に改善できるかもしれない、


というおはなし。
図:余暇時間に運動しないと脳卒中80歳以上

感想:

年金はあてになりそうもないので生涯 労働はつづく。要介護になって社会の負担にならぬよう、つかの間の余暇タイムにも運動が奨励される素敵なみらい。

2017年1月20日

肥満 飲酒 喫煙と脳卒中の予後について


Lifestyle Factors and Early Clinical Outcome in Patients With Acute Stroke
2017  1月  デンマーク

肥満、飲酒、喫煙はいずれも脳卒中の発症要因である。これらライフスタイルの脳卒中予後への影響調査は、これまで小規模 施設限定的なものがおおく結論がでていない。

そこで非健康的ライフスタイル(肥満or痩せ、飲酒、喫煙)と脳卒中予後との関連を大規模にしらべてみたそうな。


デンマークの脳卒中患者データベースから82597人の記録を抽出して解析したところ、


次のことがわかった。

・発症30日以内に18.3%が重症化し、7.8%が肺炎、12.5%が尿路感染症、9.9%が死亡した。

・ライフスタイルと脳卒中の重症度、死亡率の関連は性別により異なった。

・非健康的ライフスタイルの男性患者は脳卒中重症度と30日死亡率が低かった。はんたいに女性患者は重症度と死亡率が高かった。

・肺炎と尿路感染症については男女の違いはなく、有意なリスク上昇もなかった。

・低体重だと男女ともに30日死亡率が明らかに高かった。

非健康的ライフスタイルの男性脳卒中患者の予後は悪くなかった。しかし低体重は男女ともにあきらかな予後悪化要因だった、


というおはなし。
図:不健康なライフスタイルと脳卒中の予後

感想:

いっけんパラドックスめいてておもしろうそうだけど、脳卒中になってしまったんだから 何をいまさらだ。

ただ「痩せ」だけはどうにも擁護のしようがない、ってことだな。

2017年1月19日

PTとOTの違い 上肢麻痺患者のばあい


Content of conventional therapy for the severely affected arm during subacute rehabilitation after stroke: An analysis of physiotherapy and occupational therapy practice.
2017  1月  オランダ

脳卒中リハビリで麻痺上肢に費やされる時間にはかたよりがあると言われているが内訳がよくわかっていない。

そこでPT(理学療法)とOT(作業療法)にわけて上肢の麻痺が重い脳卒中患者へのリハビリ時間で比べてみたそうな。


上肢が重度に麻痺した脳卒中患者46人の医療記録を解析した。
各リハビリ内容に要した時間を国際生活機能分類(ICF)のメインカテゴリ別(心身機能、活動、参加、その他)に集計した。

次のことがわかった。

・PT,OTともに30分間のセッションのうち4-7分間を上肢リハにあてていた。

・PTは麻痺上肢よりも心身機能へあきらかに多くの時間を費やしていた。

・OTは移動や身支度 家事の 活動カテゴリに特に多くの時間を費やしていた。

・ICFの全15のサブカテゴリのうち上記3つを除く12では時間配分がPT,OTで酷似していた。

重度に上肢が麻痺した脳卒中患者は上肢に特化したPTやOTの時間がほとんどなかった。療法士は上肢リハビリの時間をおもに心身機能向けに使っていた。PTとOTの時間配分では15あるリハビリカテゴリのうち12が完全にダブっていた、

というおはなし。

図:PTとOT 上肢に割く時間


感想:

いっそ資格を統合して PTOT(ピィーティーオーティー) にすればよくね? (㌰
じつは上肢リハビリがほとんど行われていなかった!

2017年1月18日

ハンドグリップで脳梗塞が治るというエビデンス


Physiological Ischemic Training Promotes Brain Collateral Formation and Improves Functions in Patients with Acute Cerebral Infarction.
2016  12月  中国

生理学的虚血トレーニング(Physiological Ischemic Training)という考え方があって、たとえば手脚への虚血刺激で 離れた位置にある心臓の血管新生が促され血のめぐりがよくなるという。

ハンドグリップを用いたアイソメトリック運動での心臓の報告があることから、脳についても同様の効果を確かめてみたそうな。


脳梗塞患者10人と健常者10人について、虚血トレーニングと通常リハビリにグループ分けした。

虚血トレーニングでは、
[ハンドグリップを全力で1分握って1分休み]を10セット x 4回/日 x 5回/週 x 4週間とした。

この前後での脳の還流状態をMRIで測定し、運動機能や血液中の血管増殖因子なども調べたところ、


次のことがわかった。

・トレーニング後、いずれのグループも運動機能、ADL、QoLがおおきく改善した。

・通常リハにくらべ虚血トレーニングでは運動機能とQoLスコアがあきらかに高かった。

・さらに虚血トレーニングでは局所脳血流が通常リハよりも有意に高く、

・同様に血中のVEGF(血管内皮細胞増殖因子 )、EPCs(内皮前駆細胞)も多かった。

・運動機能と局所脳血流レベル、VEGFレベル、EPCs数に正の相関があった。

生理学的虚血トレーニングは血管新生をうながし脳の血の巡りをよくする。その結果、脳卒中患者の運動機能や日常生活動作、生活の質の改善につながるのだろう、


というおはなし。
図:脳血流と生理学的虚血トレーニング

感想:

ようするに健側だけでもいいから筋トレやれってことじゃないかな。

これ↓思い出した。
脳梗塞が簡単に治る 下肢遠隔虚血コンディショニングとは

2017年1月17日

刺激豊富な環境っていうけど、どの刺激がいいの?


Effect of Physical and Social Components of Enriched Environment on Astrocytes Proliferation in Rats After Cerebral Ischemia/Reperfusion Injury.
2017  1月  中国

グリア細胞の1つであるアストロサイトはさいきんまで脳の回復の妨げになると考えられてきたが、実はとても重要であることがわかってきた。

いっぽう刺激豊富な環境が脳の回復をうながすという報告が数多くある。どの種類の環境刺激が脳にいいのかアストロサイトに着目してしらべてみたそうな。


人為的に脳虚血にしたネズミを5つのグループにわけた。

*運動刺激環境(PE):ひろいケージに1匹で遊具がいっぱい
*社会刺激環境(SE):ひろいケージに12匹飼い
*運動社会刺激環境(PSE):ひろいケージに遊具と仲間12匹
*虚血+通常環境(IS):せまいケージに食べ物だけ
*虚血なし+通常環境:せまいケージに食べ物だけ


次のことがわかった。

・行動テストの結果は通常環境にくらべて刺激豊富な環境のネズミで回復がおおきかった。

・梗塞体積が減少したのは運動刺激のあるPE,PSEグループのみだった。

・PE,PSEグループではSEグループにくらべアストロサイトとBDNF(脳由来神経栄養因子)が激増していた。

・アストロサイトとBDNFの増加は機能回復度とよく相関していた。

アストロサイトとBDNFの点で、環境刺激のうち "身体活動" が脳卒中からの回復により重要な刺激要素であった、


というおはなし。
図:梗塞体積と刺激豊富な環境

感想:

これ↓思い出した。
刺激豊富な環境で脳梗塞が治る理由

2017年1月16日

脳卒中を見逃さない BE-FAST とは


BE-FAST (Balance, Eyes, Face, Arm, Speech, Time)
2017  1月  アメリカ

脳梗塞の血栓溶解治療にてきした時間はとても短い。
脳卒中の発症に早く気づくためにFAST (Face, Arm, Speech, Time)アルゴリズムが考案された。

しかしFASTでは脳梗塞患者のおおくを取りこぼす可能性があるため、これに歩行バランス(Balance)と視覚症状(Eye)を加えた "BE-FAST" が提案されている。
この脳卒中発見率をくらべてみたそうな。


脳卒中患者736人の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・入院時 14.1%にはFASTの症状はなく、

・そのうちの42%は歩行バランスの低下が、40%には視覚症状があり、70%にいずれかの症状があった。

・この2つの症状をFASTに加えた "BE-FAST"で選別しなおすと、あてはまらない患者は4.4%に減った。

脳卒中患者の14%はFASTで識別できなかった。歩行バランスと視覚症状を加えたBE-FASTにすると見逃し率が大きく減った、


というおはなし。
図:BE-FAST


感想:

思い返すに、脳卒中と確信する6時間以上まえに 登りの階段でなんどもつまずいていた。こういう知識があればもっとはやく気づいてたかもね。
脳卒中のサインはFASTだけではなかった!

2017年1月15日

脳卒中患者がよだれをこぼす理由


Oral tactile sensitivity and masticatory performance are impaired in stroke patients.
2017  1月  スイス

脳卒中になると嚥下障害にならないまでも よだれや味覚低下がある。

そこで脳卒中患者の咀嚼(そしゃく)能力と口の触覚障害との関連をしらべてみたそうな。


脳卒中患者27人と健常者27人についてカラーガム等をつかった咀嚼能力テスト、唇や顎の筋力、触覚しきい値検査を行い比較したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中患者は口の渇きやたべものを口からこぼすことが多かった。

・口腔内のあきらかな触覚低下は脳卒中の反対側にみられた。

・脳卒中患者のくちびるは両側ともに触覚がにぶかった。

・咀嚼能力とくちびるのちからは脳卒中患者で低かったが、

・噛む力は健常者と同レベルだった。

・口腔内の触覚と咀嚼能力には関連があった。

脳卒中は反対側の口腔内触覚に影響して、咀嚼能力が低下すると考えられる、


というおはなし。
図:脳卒中の咀嚼筋能力

感想:

顔はんぶん触覚がにぶくガムを噛んでると左の頬も噛んで血が出ることがよくある。そういうことだとおもう。

2017年1月14日

脳卒中チルドレンのてんかんと早期けいれん発作


Early seizures predict the development of epilepsy in children and adolescents with stroke.
2016  12月  ドイツ

脳卒中のあとてんかんになる割合は 成人でおよそ10% こどもでは16-26%である。

こどもの場合 早期けいれん発作がのちのてんかんと関連するという。これを確かめてみたそうな。


18歳以下の脳卒中患者を2年間フォローした93人分の記録を解析した。

脳卒中から48時間以内のけいれん発作を「早期」とした。2年間に2回以上のけいれん発作を「てんかん」とした。


次のことがわかった。

・てんかんになった子供脳卒中患者は 年齢が低く、早期けいれん発作と脳皮質にかかる病変が特徴的だった。

・早期けいれん発作は、てんかんの子供の79%が経験し、非てんかんの子供では13%に過ぎなかった。

脳卒中のあと48時間以内のけいれん発作はのちにてんかんになるリスクが高かった。早期けいれん発作がないばあい てんかんはまれだった、


というおはなし。
図:脳卒中でてんかんになる子供の特徴

感想:

これ↓思い出した。
けいれん発作を起こした脳卒中の子供は 再びけいれん発作を繰り返すのか?

2017年1月13日

ストレスで脳卒中になる仕組みがわかった


Relation between resting amygdalar activity and cardiovascular events: a longitudinal and cohort study
2017  1月  アメリカ

ストレスと脳卒中など心血管疾患との関連は数多く報告されているものの そのメカニズムよくわかっていない。
動物実験では不安やうつへの反応をつかさどる扁桃体との関係が指摘されている。そこで人間でしらべてみたそうな。


平均年齢55の293人の安静時PETの全身検査で扁桃体や骨髄 動脈の活性を調べた。心血管疾患の有無を3.7年間フォローして自覚ストレスとの関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・22人が脳卒中をふくむ心血管疾患になった。

・扁桃体の活性が骨髄活性、動脈活性、心血管疾患とあきらかに関連していた。

・自覚ストレスと扁桃体活性、C反応性タンパク質が関連していた。

・ストレス→扁桃体→骨髄で白血球→動脈で炎症プラーク→心血管疾患の関係ルートが考えられた。

脳の扁桃体の活発さが脳卒中など心血管疾患と関連していた。感情にストレスをうけると扁桃体から骨髄へ白血球増産シグナルがでて動脈壁の炎症からプラークにつながると考えられた、


というおはなし。
図:ストレス-扁桃体-骨髄-血管炎症
感想:

もう何十年もまえから自分の怒りっぽさにホトホト嫌になる自覚はあったよ。

2017年1月12日

口の中が汚いと脳内出血になるという根拠について


Oral Cnm-positive Streptococcus Mutans Expressing Collagen Binding Activity is a Risk Factor for Cerebral Microbleeds and Cognitive Impairment
2016  12月  日本

虫歯原因の1つであるミュータンス菌にはコラーゲンと結びつくcnm遺伝子をもつ種類があり微小脳内出血との関連が疑われている。

口腔内のミュータンス菌と微小脳内出血、認知症との関連をたしかめてみたそうな。


平均年齢70の男女279人について唾液を採取し cnm型ミュータンス菌とコラーゲン結合活性の有無、MRIでの微小脳内出血、認知機能の検査をおこなった。


次のことがわかった。

・cnm型ミュータンス菌は微小脳内出血のある者におおく観察された。

・ミュータンス菌がコラーゲン結合活性をしめすグループの微小脳内出血リスクは明らかに高く、

・とくに深部の微小脳内出血が67%とおおく 認知機能は低かった。

脳卒中と認知症の予防のためには口の中を清潔にしておく必要があるだろう、


というおはなし。
図:微小脳内出血

感想:

94%がミュータンス菌をもってて そのうち3分の1がcnm型で25%がコラーゲン結合活性を示すんだって。
これ↓思い出した。
脳内出血を起こす虫歯菌の種類が判明

2017年1月11日

脳卒中でてんかんになる2つの特徴


Risk Factors to Develop Post Stroke Epilepsy: Epidemiology and Lesion Mapping
2016  12月  イギリス

脳卒中のあとてんかんになりやすい患者の特徴をしらべてみたそうな。
先月の米国てんかん学会2016での発表。


慢性期の脳卒中患者450人の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・てんかんを起こした患者の割合は 左脳損傷で11.4%、右脳損傷で11.1%だった。

・性別、利き手での差はなかった。

・てんかん患者の年齢は 44 vs. 56 で 非てんかん患者よりも若かった。

・脳の病変体積は 148 vs. 73cc でてんかん患者が倍ちかく大きかった。

・てんかん患者の脳損傷は大脳基底核や視床におよんでいるケースが多かった。

脳卒中患者の11%がてんかんを経験していた。彼らは若く脳の損傷体積が明らかにおおきかった、


というおはなし。
図:てんかんを起こした脳卒中患者

感想:

糖質制限に関心あるもんで てんかんって聞くとケトン食療法を連想するんだよね さいきん。

2017年1月10日

脳卒中で復職可能な年数がわかった


Return to Work after a Stroke in Working Age Persons; A Six-Year Follow Up.
2017  1月  スウェーデン

若年脳卒中の増加で復職は社会的にも重要なテーマである。復職率にかんする報告には幅があって45-75%といわれている。

そこで脳卒中患者6年間の復職率と関連要因をしらべてみたそうな。


63歳以下の脳卒中患者174人を6年間フォローしたところ、


次のことがわかった。

・最終的に74.7%が復職した。

・48%は1年内に復職し、 3年間は復職者は増加し続けた。

・脳梗塞と脳内出血で復職率に明らかな違いはなかった。

・退院時の身体障害度と脳卒中まえの病気休職が復職できないリスク要因だった。

脳卒中ですべての患者が復職できるわけではなかったが、これまで考えられてきたよりも長期にわたって復職は可能だった。障害が重かったり別の病気があると復職はむつかしかった、


というおはなし。
図:脳梗塞と脳内出血 復職率

感想:

傷病or障害手当金の支給がとまったことをもって復職と判断したとある。ほんとうの復職率はもっと低いんだろな。

2017年1月9日

マグネシウムと脳卒中後うつ


Association between Serum Magnesium Levels and Depression in Stroke Patients.
2017  1月  中国

血中マグネシウムが低いと脳卒中リスクが高くなることがわかっている。また どうぶつ実験ではマグネシウムの欠乏でうつに似た症状が確認されている。

そこで脳卒中後のうつとマグネシウムとの関連をしらべてみたそうな。


脳卒中患者209人について入院時の血中マグネシウムレベルと3ヶ月後のうつ症状をしらべ、
健常者120人と比較したところ、


次のことがわかった。

・3ヶ月時点で28.2%が脳卒中後うつと診断された。

・脳卒中患者のマグネシウムはうつの有無にかかわらず健常者にくらべて低かった。

・うつになった脳卒中患者のマグネシウムは非うつ患者よりもさらに低かった。

・マグネシウムが 0.84mmol/L 以下だとうつリスクが明らかに高かった。

脳卒中入院時の血中マグネシウムレベルが低いと3ヶ月後のうつの可能性が高かった、


というおはなし。
図:血清マグネシウムと脳卒中後うつ

感想:

マグネシウムは葉緑素を多く含むほうれん草などに多く、スパイスやナッツ、豆、ココア、全粒穀物にも含まれる。
[マグネシウム]←関連記事

2017年1月8日

1年経っても死にたがっている脳卒中患者の割合


Suicidal ideation at 1-year post-stroke: A nationwide survey in China.
2017  1月  中国

脳卒中や心筋梗塞のあとは自殺行動が増えることがわかっている。生への関心がなくなり死ぬことを考えるようになる「自殺念慮」と脳卒中との関連は多くの報告があるが いずれも小規模 短期の調査である。

そこで、脳卒中から1年後の自殺念慮の割合と関連要因を全国的にしらべてみたそうな。

2017年1月7日

TIAのあとの脳梗塞は軽い はほんとうか?


Study on influence of transient ischemic attack on subsequent cerebral infarction.
2016  12月  中国

虚血の前処置をした臓器に保護効果が誘導されるという報告は動物実験をふくめ数多くある。

脳梗塞の前にTIA(一過性脳虚血発作)を経験した患者でこの効果を確かめてみたそうな。


脳梗塞患者232人を発症48時間以内のTIA経験の有無と年齢別に次の6つにグループ分けした。

*A1,A2:55歳未満 
*B1,B2:55-75歳
*C1,C2:75歳より上、 1-TIAあり 2-TIAなし

11日後までの神経症状スコアを比較したところ、


次のようになった。

・75歳以下のグループAとBで直前のTIA経験者の梗塞のおおきさと神経症状スコアがTIAなしグループよりも明らかに低かった。

・75歳をこえるとTIA経験の有無によるちがいはなくなった。

脳梗塞の直前のTIA経験には神経保護効果があり 年齢と強く関連していた、


というおはなし。
図:TIAの有無と脳梗塞予後

感想:

呼吸を止めるような訓練で脳の虚血耐性を鍛えることができるかもしれんね。

これ↓思い出した。
[TIA + 神経保護]

2017年1月6日

脳卒中後の肩の痛みにヒアルロン酸


The effects of hyaluronic acid on hemiplegic shoulder injury and pain in patients with subacute stroke: A randomized controlled pilot study.
2016  12月  台湾

脳卒中で肩が弛緩すると つぎに痛みで悩むことになる。この原因として肩の腱板損傷が考えられる。

腱板損傷には通常 ステロイドやヒアルロン酸の注入が行われる。ステロイドはよく効くが副作用もつよい。

脳卒中の肩の痛みへのヒアルロン酸注射については報告がないので実験してみたそうな。


亜急性期脳卒中で肩が痛い患者26人をヒアルロン酸または生理食塩水のグループに分けて、各々週1回ペースで計3回 超音波ガイド下で肩に注入した。


次のようになった。

・いずれのグループも肩の痛み度、屈曲、上肢運動機能がかいぜんした。

・特にヒアルロン酸グループで肩の痛みスコアと外転運動にあきらかな改善があった。

脳卒中で肩の痛みのある患者へのヒアルロン酸注射で肩の痛みが和らいだ、


というおはなし。
図:ヒアルロン酸で腱板断裂 脳卒中の肩の痛み

感想:

じぶんの経験にてらして 腱板損傷説は信じていない。

ヒアルロン酸ってインチキ健康食品のイメージだったけど まともな使い方もあるんだね。

2017年1月5日

脳内出血は右脳がヤバイはほんとうか?


Functional Long-Term Outcome after Left- versus Right-Sided Intracerebral Hemorrhage.
2017  1月  ドイツ

脳卒中の種類と損傷脳半球の関係で、脳梗塞のばあいは左脳損傷だと予後がわるく、脳内出血では右脳損傷の死亡率が高いという報告がある。

そこで脳内出血患者の条件をできるだけそろえて、脳半球内での損傷位置も考慮にいれて長期的な予後との関連をしらべてみたそうな。


脳内出血患者831人(左429人、右402人)の記録を解析したところ、


次のようになった。
・抗血小板薬、脳梗塞歴、脳室内出血の記録に左右脳損傷で偏りがあった。

・死亡率に差はなかったが極めて良好な回復を示す患者には左脳損傷がおおかった。

・これら患者の条件をそろえて左右各360人ずつにしぼり解析しなおしたところ、

・長期的な機能回復度に左右脳損傷のちがいは反映しなかった。

・出血位置の 深部 vs. 皮質 でもあきらかな違いはなかった。

脳内出血患者の背景因子をキッチリとそろえたところ、損傷脳の左右で予後のちがいを確認できなかった、


というおはなし。
図:脳内出血の回復 左右脳のちがい

感想:

これらの報告↓のこと。
死んでしまいやすい脳内出血は 右脳? それとも左脳?

脳梗塞は左脳がなりやすいことがわかった

2017年1月4日

空気が汚れているとおきやすい脳梗塞の種類


Air Pollution Is Associated With Ischemic Stroke via Cardiogenic Embolism
2016  12月  韓国

大気汚染でおきやすい脳梗塞の種類をしらべてみたそうな。


韓国の脳卒中患者データベースから脳梗塞13535人を抽出し、気象データ(PM10,NO2,SO2,O3,CO)と脳梗塞の種類(心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、その他)との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・過去7日間のPM10やSO2がおおいと心原性脳塞栓症がふえた。

・季節や地域による大気汚染レベルの違いでも心原性脳塞栓症は増減した。

大気汚染に短期的にさらされた結果として心原性脳塞栓症が増加した、


というおはなし。
図:大気汚染と脳卒中 季節と地域

感想:

不整脈がおきやすくなるんだって。

2017年1月3日

腹部肥満で脳卒中 男女のちがい


Sex-related differences in abdominal obesity impact on ischemic stroke risk.
2016  12月  スペイン

肥満は心血管疾患のリスク要因ではあるが、脳血管疾患との関連については結論がでていない。

そこで腹部肥満と脳卒中との関連を男女別に調べてみたそうな。


75歳未満の脳梗塞の男女388人と同性同年齢の健常者732人について調査したところ、

次のことがわかった。

・高BMIと脳卒中リスクとの関連は、男性で予防効果が確認できた。

・腹部肥満は女性の脳梗塞のあきらかなリスク要因で、ウエスト長とウエスト身長比が関連していた。

男性のばあいBMIが高くなると脳卒中リスクは低下した。腹部肥満は女性の脳梗塞と関連していた、

というおはなし。
図:

感想:

肥満は絶対悪ではないんだな。ガイドラインでは脳卒中の再発予防のために「痩せろ」とは指導しないとある。

2017年1月2日

Stroke誌:ラクナ梗塞はミューズ細胞で治る


Human Muse Cells Reconstruct Neuronal Circuitry in Subacute Lacunar Stroke Model
2016  12月  日本

ラクナ梗塞は脳梗塞の25%を占め、概ね予後は良好だが皮質脊髄路にかさなると重い障害が残る。

幹細胞治療が期待されているが胚性幹細胞やiPS細胞には外部から遺伝子を導入する手間や腫瘍化のリスクがある。
いっぽう骨髄に含まれる幹細胞のひとつミューズ細胞にはこれらの問題はない。

そこでミューズ細胞のラクナ梗塞治療を実験してみたそうな。

2017年1月1日

高血圧は腸内環境のせいだった


Alterations in the gut microbiota can elicit hypertension in rats.
2016  12月  アメリカ

腸内環境は脳卒中など心血管疾患と関連があるという考え方がある。

そこで高血圧が腸内細菌を入れ替えることで影響されうるものか実験してみたそうな。


普通の血圧のネズミ(WKY)と高血圧ネズミ(SHR)について、
次の4グループを作成した。

*WKYにWKYの腸内容物を食べさせた:WKY g-WKY
*WKYにSHRの腸内容物を食べさせた:WKY g-SHR
*SHRにSHRの腸内容物を食べさせた:SHR g-SHR
*SHRにWKYの腸内容物を食べさせた:SHR g-WKY


次のようになった。

・普通血圧ネズミに高血圧ネズミの腸内容物を与えたWKY g-SHRグループの収縮期血圧が26mmHg上昇した。

・高血圧ネズミに普通ネズミの腸内容物を与えたSHR g-WKYグループの収縮期血圧が低下傾向にあった。

・血圧が上昇したWKY g-SHRグループの糞便では腸内細菌の構成比率が明らかに変わっていた。

腸内細菌の共生バランスが収縮期血圧に影響していた。腸内環境操作で高血圧治療ができるかもしれない、


というおはなし。
図:糞便移植で高血圧を治療

感想:

降圧薬を飲むよりは害が少なそう。腸内細菌をいしょくするとその人の能力もコピーできるらしいから イチローの腸内細菌がほしいね。
参考:腸脳相関

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