2019年2月19日

nature.com:慢性期脳卒中へのトレッドミル訓練


Effects of high intensity speed-based treadmill training on ambulatory function in people with chronic stroke: A preliminary study with long-term follow-up
2019  2月  アメリカ

脳卒中経験者の70%以上は歩行になんらかの問題(速度や対称性など)をかかえるという。この状態が運動不足につながり再発リスクを高めQoLを低下させると考えられる。

これを改善するためにトレッドミルを使った4週間の高強度のインターバルトレーニングの長期効果を検証してみたそうな。


慢性期脳卒中で自立歩行のできる16人について、

1回40分間x週3回x4週間のトレッドミルトレーニングを行った。

トレーニング内容は運動と休憩を繰り返すインターバル方式で歩行可能な最大速度まで取り入れた。

この効果を3ヶ月後までフォローしたところ、


次のようになった。

・トレーニングのあと、最大歩行速度(10m歩行テスト)が19%アップし、歩行耐久性(6分間歩行テスト)は12%向上した。

・これらの改善は3ヶ月間持続した。

トレッドミルを使った高強度インターバルトレーニングは脳卒中経験者の歩行訓練に効果的である、


というおはなし。

図:脳卒中経験者の歩行速度


感想:

脳卒中リハビリテーション研究でよくあるトリックがここでも用いられている。

上の表をみると訓練開始の時点で被験者の歩行速度はすでに秒速1mに達している。
時速3.6km相当だから健常者よりもほんの少し遅いのかもしれない。

かれらをトレーニングして速度アップしたからといって いったいなにがすごいのか?

このように元気な脳卒中経験者を事前選抜することでリハビリテーションの効果や実績は簡単に創ることができる。

2019年2月18日

片頭痛は発症年齢が重要だった


Migraine Age of Onset and Association With Ischemic Stroke in Late Life- 20 Years Follow-Up in ARIC
2019  1月  アメリカ
片頭痛は若くして始まることがおおい。とくに前兆(閃輝暗点ともいう視界異常)をともなうばあいのちの脳梗塞リスクが高いとされ、若い女性におおくみられるという。

そこで、前兆付き片頭痛が若いうちに始まった場合に その後の累積効果でより脳梗塞になりやすくなるものなのか、くわしくしらべてみたそうな。


1993-1995年に11592人への片頭痛歴の調査をおこない、
脳卒中の発生を20年間フォローして関連を解析した結果、

次のことがわかった。

・447人に前兆付き片頭痛歴があり、1128人には前兆のない片頭痛歴があった。

・頭痛のないグループにくらべ、50歳を過ぎてから前兆付き片頭痛が始まったグループの脳梗塞リスクはあきらかに高く、2.17倍だった。

・前兆付き片頭痛が50歳未満で始まったグループでは脳卒中との関連はみられなかった。

・前兆のない片頭痛は年齢によらず脳卒中との関連はなかった。

・この間の脳卒中発生率は、前兆付き片頭痛で8.27%、前兆なし片頭痛は4.25%だった。

頭痛なしにくらべ 晩年になってから前兆付き片頭痛がはじまった者の脳卒中リスクがあきらかに高かった。若いうちに前兆付き片頭痛が始まったからといってのちに脳卒中になりやすいわけではなかった、


というおはなし。

図:前兆付き片頭痛の脳卒中リスクと年齢


感想:

うえのグラフみると 初めての片頭痛の発生時期が50歳をすぎたあたりから急激に脳卒中の可能性がたかまっている。

前兆付き片頭痛が示す「何か」が長年つもりつもって悪さをする というわけではないようだ。

2019年2月17日

怒りや敵愾心(てきがいしん)と脳卒中


Anger, hostility and risk of stroke- a meta-analysis of cohort studies
2019  2月  中国

怒りや敵愾心といった感情が冠動脈疾患リスクや回復度に影響するとする報告がいくつもある。

脳卒中との関連についての報告も増えてきてはいるがそれらの結論は必ずしも一致していない。

そこで脳卒中との関連について これまでの研究のメタアナリシスをこころみたそうな。


関連する研究論文を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者52277人を含む10の研究がみつかった。

・怒りや敵愾心レベルと脳卒中リスクとの間にあきらかな関連はみられなかった。

・ただし社会経済的地位の高いグループを除くと有意な関連がみられリスク1.30倍となった。

怒りや敵愾心は全体として脳卒中リスクを高めるものではなかったが、社会経済的地位の低い人々に限定すると正の関連が確認できた、


というおはなし。

図:怒り


感想:

金銭や能力に余裕があると、隣近所や職場に我慢がならなくなったら引っ越しや転職が比較的容易にできる。

これができないと酒やタバコ 過食に走ったり、ストレスホルモンがあがって炎症がすすみ血管がもろくなり血小板反応も高まる、ということ。

怒るから脳卒中なのか それとも脳卒中だから怒るのか

争おうとする意気込みの強いひとは脳卒中リスク2倍以上

怒りと脳卒中との関連が明らかに

2019年2月16日

上肢痙縮になる患者の特徴


Predictors of upper limb spasticity after stroke- A systematic review and meta-analysis
2019  2月  イギリス

脳卒中患者の上肢に麻痺がある場合、痙縮は3日時点で25%に 12ヶ月後には46%に見られるという報告がある。

また 痙縮がある脳卒中患者の医療コストは4倍になるという。

上肢が痙縮になりやすい脳卒中患者の特徴をしらべたいままでのシステマチックレビューに質の高いものが見つからなかったので あらためてメタアナリシスをこころみたそうな。


これまでの関連する研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者856人を含む10の研究がみつかった。

・1ヶ月時点での痙縮のあきらかな予測因子は、オッズ比の大きい順に 運動障害、感覚麻痺、脳出血、年齢だった。

・6ヶ月時点では 運動障害のみが痙縮の予測因子として残った。
運動障害、感覚麻痺、脳出血、高齢が痙縮になりやすい脳卒中患者の特徴だった、


というおはなし。
図:痙縮の予測因子


感想:

「脳出血」が意外だった。

2019年2月15日

Stroke誌:人工甘味飲料でラクナ梗塞2倍


Artificially Sweetened Beverages and Stroke, Coronary Heart Disease, and All-Cause Mortality in the Women’s Health Initiative
2019  2月  アメリカ

砂糖飲料と心血管疾患との関連はよく調べられている。いっぽう人工甘味飲料と心血管疾患との関連についての調査は限定的でかつ結論に一致をみていない。

そこで 閉経後女性10万人を対象とした健康調査(Women’s Health Initiative study)のデータを用いて、脳卒中の種類別にその関連をしらべてみたそうな。


50-79歳の女性93676人を12年間フォローした結果、


次のことがわかった。

・64.1%は人工甘味飲料はまったく摂らないか週1回未満で、5.1%のみが1日2回以上摂っていた。

・人工甘味飲料をほとんど摂らない群にくらべもっとも多く摂る群の脳卒中リスクはあきらかに高く、

・脳卒中全体でリスク1.23倍、脳梗塞は1.31倍だった。脳出血のあきらかなリスク上昇はなかった。

・糖尿病や心血管疾患歴がなくても人工甘味飲料を高頻度に摂る者のラクナ梗塞( small artery occlusion)リスクは2.44倍だった。

・これらの関連はBMI30以上の者で顕著だった。
人工甘味飲料を多く摂る者は脳梗塞のリスクが高く、とくにラクナ梗塞になりやすかった、


というおはなし。

図:人工甘味飲料とラクナ梗塞リスク


感想:

おデブさんほどカロリーを気にして積極的に人工甘味飲料を摂るから、、、という影響もあるようだ。

Stroke誌:ダイエットコーラで脳卒中と認知症が3倍に

2019年2月14日

脳卒中になる人の歩行ペース


Abstract TP520- Walking Pace and the Risk of Stroke- A Dose-Response Meta-Analysis
2019  2月  中国

歩行のペースと脳卒中リスクとの関連について、これまでの研究をメタアナリシスしてみたそうな。

先週の国際脳卒中会議2019ホノルル での上海大学の発表。


関係する研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者136117人、脳卒中患者2254人を含む8の研究がみつかった。

・歩行ペースがもっとも速いグループに対するもっとも遅いグループの脳卒中リスクは1.84倍だった。

・歩行ペースが4km/hを下回る領域では1km/h遅くなるごとに脳卒中リスクが19%高くなった。

・ただし歩行ペースが4km/hより速くてもあきらかなリスクの変化はなかった。

・この関連は脳卒中の種類や性別によらなかった。
歩行ペースが4km/h を下回るひとは脳卒中リスクがあきらかに高かった、


というおはなし。
図:歩行

感想:

たしかに歩くのが遅かった。
自分は歩きが遅い!と自覚するひとは脳卒中の素質あり

2019年2月13日

脳卒中のあと がんになりやすいは本当?


Cancer risk in stroke survivors followed for up to 10 years in general practices in Germany
2019  2月  ドイツ

近年、がんの診断のあとに血液の凝固性亢進や腫瘍そのものによる影響で脳卒中になるリスクが高まるとする報告がふえてきた。

いっぽう脳卒中の診断のあとにがんになるリスクが高まるとする報告はあまりない。

そこで、ドイツの10年間の一般診療データをもちいて脳卒中後のがん発生との関連を大規模にしらべてみたそうな。


2006-2015の患者データベースから年齢条件のひとしい脳卒中(脳梗塞)経験のある者、ない者を男女べつにそれぞれ9579人、9089人ずつ抽出して(計37336人)、
10年間のがんの発生との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・男性では脳卒中経験者の29.3%が、非脳卒中経験者の23.8%ががんと診断された。

・女性では脳卒中経験者の25.0%が、非脳卒中経験者の20.5%ががんと診断された。

・脳卒中の診断とがんの発生はあきらかに相関があり、男性でリスク1.18倍、女性では1.22倍になった。

・この関連は男女ともに呼吸器や胸郭内のがんで顕著で、消化器のがんは男性でおおかった。

脳卒中を経験するとがんになるリスクがあきらかに高くなった、


というおはなし。

図:脳卒中後のがんリスク


感想:

この論文にはデータなかったけど、たぶんアルコールが共通の原因じゃないかな。
脳卒中後のがんは6ヶ月以内にみつかりすでに手遅れ

2019年2月12日

刺激密度が高いときの半側空間無視


Visuospatial neglect is more severe when stimulus density is large
2019  2月  オランダ

半側空間無視は左右視空間への注意のバランスが崩れた状態をさす。評価方法として視覚走査をともなうキャンセレーション課題が用いられるが、これは作業記憶への依存がおおきく状況限定的で実生活を反映していない。

たとえば左に1個 右に0個の対象物がある場合と、左に35個 右に34個ある場合では、いずれも1個のちがいではあるが対象の刺激密度はあきらかにことなる。

刺激密度を考慮した半側空間無視の研究は非常にすくなく一致した見解が得られていない。そこで作業記憶に依存しない評価方法を考案し、刺激密度の半側空間無視への影響を大規模にしらべてみたそうな。


脳卒中患者207人について、

スクリーン上の左右に個数のことなるオブジェクト(小さな円)を同時に表示して、左右のどちらに個数がおおいかを答えさせる課題を条件を変えながら80回試行した。

それらのエラー率を解析したところ、


次のことがわかった。

・事前の検査で、患者全体の18.8%が半側空間無視を示し、そのうちの84.6%は損傷脳半球の対側への無視、15.4%は同側への無視症状を示した。

・エラー率はオブジェクトの個数が増えるほど高くなり、

・この影響は半側空間無視の患者で顕著で、

・とくに損傷脳半球の対側に多くのオブジェクトが提示されたときにつよかった。

半側空間無視の症状は刺激密度が高まるほど よりあきらかになった。日常生活への影響はこの傾向を加味するべきだろう、


というおはなし。

図:刺激密度と半側空間無視

感想:

いままで無視症状を指摘されたことはないんだけど、さいきんでもまれに左から突然車が現れてびっくりすることがある。

テレポーテーションじゃないかと思うほどおどろく。

2019年2月11日

若年者が脳卒中になる理由


AHA News- High Blood Pressure Top Risk Factor for Stroke in Young Adults - Health News - US News
2019  2月  アメリカ

脳卒中は65歳以上におおい。

全体的として発生率は低下傾向にあるいっぽう、若年者の脳卒中発生率は上昇傾向にあるという。

この背景をくわしくしらべてみたそうな。先週のホノルル国際脳卒中会議2019 での発表。


北カルフォルニアの健康保険データベースをつかって、出生後ひと月から49年の若年者について最近15年間のデータを抽出して、

脳卒中のリスク要因である 高血圧、糖尿病、喫煙、肥満、高コレステロールとの関連を 年齢の等しい脳卒中経験者と非経験者についてくらべたところ、


次のことがわかった。

・高血圧や他のリスク要因をもつ場合、20代に入ると脳卒中のなりやすさがあきらかに上昇し、

・次の20年間にかなりなレベルに達する。

・リスク要因が2つ以上ある場合、30-40代での脳卒中のなりやすさはリスク要因のない者の10倍に達した。

30-40代であっても高血圧などのリスク要因のある者の脳卒中のなりやすさは 同年齢の健常者にくらべ非常に高かった、


というおはなし。

図:


感想:

若年者での脳卒中比率があがっているとする説明にはなっていないな。

中学生のころから血圧高いといわれてきた身としては、早くに降圧薬治療をうけていればよかった、、とはまったくおもっていない。

そういう体質なんだから健診のたびに呼び出して説教したりしないでほしかった。

2019年2月10日

80代の認知を正す「遠隔虚血コンディショニング」


Efficacy of remote ischemic conditioning on improving WMHs and cognition in very elderly patients with intracranial atherosclerotic stenosis
2019  1月  中国

MRIで観察できる脳の白質病変は のちの認知障害や脳卒中のリスクとされている。

白質病変の原因はよくわかっていない。近年、とくにアジアで脳動脈の狭窄による慢性的な脳の虚血状態が認知障害や脳卒中を起こすとされ、白質病変との関連を示す報告が増えている。

白質病変の有効な治療法はいまだない。

いっぽう腕や脚を一時的に虚血 再還流することにより全身の虚血耐性を高めるとする「遠隔虚血コンディショニング」が注目をあつめ多くの報告があがってきている。

そこで、脳動脈に狭窄のある80代を対象として長期の遠隔虚血コンディショニング(RIC : remote ischemic conditioning)による白質病変および認知機能への影響をくわしくしらべてみたそうな。


頭蓋内の動脈に狭窄のある平均年齢84の患者58人を2グループにわけ、いっぽうにはRICを施した。

RICは、両腕に巻いたカフに200mmHgの圧力をかけ血流を5分間とめ 5分間再還流の5セットを 1日に2回行い、
300日間継続した。

コントロールの偽のRICグループではカフ圧を30mmHgとした。

180日後、300日後の白質病変および認知機能の程度をそれぞれ複数の指標で評価したところ、


次のことがわかった。

・RICグループでは、180日、300日後の白質病変スコアがあきらかに低下した。コントロールグループではこのような低下はみられなかった。

・認知機能スコアは180日、300日後いずれもRICグループで統計学的有意にすぐれていた。

遠隔虚血コンディショニングは超高齢者の白質病変の進行を抑え 認知障害を改善できる有望な治療法かも


というおはなし。

図:遠隔虚血コンディショニングのやり方

感想:

これ、なにげにすごいことだと思うんだけど。

[遠隔虚血コンディショニング]の関連記事

2019年2月9日

うつや無気力になる脳の損傷位置


The Influence of Stroke Location on Cognitive and Mood Impairment. A Voxel-Based Lesion-Symptom Mapping Study
2019  2月  フランス

脳卒中患者のうつや無気力 認知障害などは見た目にはわからないハンディキャップである。

脳の損傷位置とこれら障害との関連はあきらかになっていない。

そこで、頭部ボリュームデータの全ボクセルについてこれら障害との関連をしらべるvoxel-based lesion-symptom mapping (VLSM)という手法をもちいて大規模に解析してみたそうな。


重症でない脳梗塞患者265人の頭部全体のMRIを撮った。

3ヶ月後の
うつ 不安スコア(HAD:Hospital Anxiety and Depression scale)、
無気力スコア(AI:apathy inventory) および

認知機能スコア(MoCA:Montreal Cognitive Assessment)
をしらべ関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・梗塞の位置とHADおよびAIスコアとの関連はみられなかった。

・言語や記憶に関するパフォーマンスは左脳の損傷と関連し、

・両側に損傷のある場合は視空間や実行機能 注意力の低下がおおきかった。

うつや不安 無気力といった気分障害と梗塞位置との関連は確認できなかったが、一部の認知機能との関連はみられた。


というおはなし。

図:損傷位置と認知機能


感想:

うつや無気力は局所的なもんだいじゃぁないってこと。

2019年2月8日

JAMA誌:がんばって血圧下げれば認知症にならない?


Effect of Intensive vs Standard Blood Pressure Control on Probable Dementia- A Randomized Clinical Trial
2019  1月  アメリカ

認知症を防ぐ有効な方法はまだない。

65歳以上の75%は高血圧である。そして高血圧は認知症リスクの1つであることから、

血圧を通常の目標値よりもさらに積極的にさげることで認知症の発生率を改善できるものか、大規模にしらべてみたそうな。


アメリカ 102の病院の、高血圧の外来患者で糖尿病や脳卒中歴のない9361人を2グループにわけて、

収縮期血圧を 120mmHgまたは 140mmHgを目標に降圧薬治療をほどこした。

認知症の発生を5年以上にわたりフォローしたところ、


次のようになった。

・彼らの平均年齢は68、

・認知症の発生率はそれぞれ、年間1000人あたり7.2人 vs. 8.6人で、

・統計学的有意な差とは言えなかった。

高血圧患者の収縮期血圧を120mmHgにまで下げたところで 認知症リスクのあきらかな低下は見られなかった、


というおはなし。

図:高血圧治療と認知症


感想:

降圧薬しばらく飲んでたけど、血圧下げると脳の血の巡りが悪くなってかえってボケが進むと思うんだよね。

じっさいそういった報告もある。↓
Effects of Low Blood Pressure in Cognitively Impaired Elderly Patients Treated With Antihypertensive Drugs

Low systolic blood pressure is associated with impaired cognitive function in the oldest old: longitudinal observations in a population-based sample 80 years and older

2019年2月7日

脳卒中なのに救急車を呼ばない理由


Why more people don't call 911 when stroke symptoms hit
2019  1月  アメリカ

これまでの調査では脳卒中患者のおよそ3人に1人以上が救急車を使わないことがわかっている。

その理由をしらべてみたそうな。

ホノルルでの国際脳卒中会議2019 南フロリダ病院の発表。


救急車以外の方法で入院してきた脳卒中患者38人に面談して理由をたずねたところ、


次のことがわかった。

・もっともおおかったのは「かかりつけの病院があって、救急車だとどこの病院につれてゆかれるか不安だから」という理由で3分の1を占めていた。

・次いで「救急の事態とは思わなかった」

・「自分や家族の運転のほうが救急車よりもはやく病院に着けると考えたから」、という順だった。

・ガイドラインでは急性脳梗塞がうたがわれる場合には血栓溶解治療のできる最寄りの病院へ連れてゆくことになっていて、

・患者による病院指定があっても救急医師は断る権利を有する、とされている。

"Time is brain" であることをもっと周知するべき、


というおはなし。

図:救急車


感想:

都会だと病院おおいしどこもレベルが高そうだけど、田舎にいると選択肢が極端にせまくなって「死んでもいいからここにだけは入れないでくれ」と思うような病院ばかりになってくる。

だから2度めがあったら 自分もたぶん呼ばない。

2019年2月6日

銀行員が人前でマスターベーション →前頭葉の梗塞でした


Behavioural changes as the first manifestation of a silent frontal lobe stroke - BMJ Case Reports
2019  1月  スペイン
前頭葉の梗塞はその発症率の低さもあって どんな症状を示すのか もしくは症状がないのか、についてじつはよくわかっていない。

あきらかな行動異常をしめした前頭葉梗塞の患者がみつかったそうな。


・67歳の男性が家族に付き添われて入院してきた。

・家族の報告ではこの2週間で急に人格が変わってしまった、とのこと。

・彼は銀行でマネージャーとして勤めていた。

・まずテーブルマナーが乱れ、食事中に卑猥な言葉を発するようになった。

・やがて家族のまえで臆することなくマスターベーションをはじめた。

・彼は自身の行動の異常さをまったく意識していない様子だった。

・彼には高血圧と糖尿病の持病がありそれらの薬はのんでいた。

・CTとMRI検査の結果、前頭葉に5.5×2×6cmの梗塞がみつかった。

・アスピリンを与えて1週間ほど入院しているうちに状態はよくなった。
前頭葉の病気は診断がむつかしく見過ごされることが少なくない、行動異常に気づく家族の報告は貴重である、


というおはなし。

図:前頭葉の梗塞


感想:

さいきん ダイバーシティの名のもとに特異な性癖をもった人々の権利を積極的に認めようとする風潮があるけど、彼らは前頭葉が壊れているだけかもしれんね。

2019年2月5日

なぜ幹細胞治療に魅せられるのか?


Stroke survivor attitudes toward, and motivations for, considering experimental stem cell treatments
2019  2月  オーストラリア
脳卒中経験者のおよそ3分の1は身体的 認知機能的に障害をかかえることになる。

幹細胞治療は将来的に期待のできる選択肢の1つではあるが、すくなくともアメリカ、イギリス、オーストラリアでは臨床応用は認可されていない。

いっぽうアジア、ロシア、南アメリカでは個人経営のクリニックで実験的に幹細胞治療を受けることができる。

しかし幹細胞治療にはガンやてんかん発作 さらなる脳卒中をおこす危険性があり、
これまで行われた臨床試験でも比較対照群をもうけた信頼性の高い研究はほとんどない状況である。

そこで 効果や安全性のさだかでない幹細胞治療に魅せられる脳卒中経験者の特徴をしらべてみたそうな。


オーストラリアの脳卒中経験者183人からアンケートを回収したところ、


次のことがわかった。

・25%の脳卒中経験者が幹細胞治療に前向きだった。

・しかし57.4%はこの治療法についてまったく知らなかった。

・彼らはテレビやネットがおもな情報源で、医師や看護師に相談したことがあるものは3.8%に過ぎなかった。

・同様に ほとんどの者が 安全性や効果、利用できる施設やコストについて知らなかった。

・脳卒中経験が長く、身体機能に障害のある、若年で、介護者の負担がおおきい場合に、幹細胞治療に前向きになりやすかった。

脳卒中経験者のなかにはその安全性や費用 効果をよく知らないままに個人クリニックで幹細胞治療を受けようとする者がいた。
医療関係者には正しい情報を伝える努力が求められている、


というおはなし。

図:3バイオの株価チャート


感想:

脳梗塞の幹細胞治療薬の開発をうたっていた日本のバイオ企業の株価が今月にはいって暴落した。

株価最高潮のころの臨床試験報告を読むかぎり、感心できる点はなにもなかった。↓
慢性期脳卒中への幹細胞治療 その後
にもかかわらず有望株としてもてはやされていたことから、世論をあおる影響力をもったこわ~いバックがいるはずで、やたらなことは書けないな、、、とは思っていた。

2019年2月4日

電子タバコの脳卒中リスク


Stroke Risk Higher Among E-Cigarette Users, Study Finds - Shots - Health News - NPR
2019  1月  アメリカ

いっぱんに電子タバコは通常のタバコにくらべて害がとても少ないと考えられている。そのためかアメリカの高校生の間では2011-2015に電子タバコ使用者が900%増加した。

そこで電子タバコの害、とくに脳卒中と心臓発作について大規模にしらべてみたそうな。ホノルルでの国際脳卒中会議2019 カンザス大学の発表。


50州 18歳以上の40万人にアンケートしたところ、


次のことがわかった。

・66795人が少なくとも1回、電子タバコを使用していた。

・非使用者にくらべて彼らの脳卒中リスクは71%、心臓発作リスクは59%高かった。

・電子タバコ使用者は通常のタバコも使用していることがおおいので、電子タバコのみの使用者について解析したところ、

・脳卒中リスクは29%、心臓発作リスクは25%高かった。

・使用頻度についてはデータがなく用量関係は不明。

電子タバコはそれのみの使用であっても脳卒中や心臓発作のリスクがあきらかに高くなった。通常のタバコも併用した場合は、リスクがさらに高くなると考えられた、


というおはなし。

図:電子タバコと脳卒中

感想:

電子タバコ使ってるひとをみたことがない。

2019年2月3日

「他人の視線」で半側空間無視を治す


Direct Gaze Partially Overcomes Hemispatial Neglect and Captures Spatial Attention
2019  1月  ポルトガル

視線は他者との交流をはかる社会的な合図(social cue)の一つである。とくに自分と視線が合う場合(Direct gaze:直視)は、視線が逸れている場合(Averted gaze:逸視)にくらべて もたらされる注意の優先度が高い。このような傾向は出生時よりあらわれ、無意識下でも反応がみられることがわかっている。

そこで半側空間無視の患者についても 直視でより注意が喚起される可能性を検証してみたそうな。


右脳損傷で半側空間無視のある脳卒中患者8人について、
視覚探索課題をおこなった。

探索対象は目を閉じた写真に混ぜた 目を開けた写真で、
直視の写真または逸視の写真をもちいた。

それぞれのケースでのヒット率、空振り率を評価したところ、


次のようになった。

・被験者は直視の写真を使用したばあいに、あきらかに優れたパフォーマンスを発揮していた。

直視効果によって被験者の注意がうながされ半側空間無視の影響が弱まった、


というおはなし。

図:半側空間無視を直視効果で治す

感想:

ってことは、
左の頬に目立つシールでも貼っておけば左方からの好奇の視線を集めることができて、自然と意識がそちらへ誘導されるようになる。そして半側空間無視が治るんだな。

2019年2月2日

骨折と脳卒中経験で自殺リスクアップ


Fractures as a suicidal behavior risk factor- A nationwide population-based cohort study
2019  1月  台湾

65歳以上の高齢者で脊椎骨折の経験者はすくなくとも3年間 自殺リスクが高いとする報告がある。

もっと広い年齢範囲で骨折と自殺行動との関連をしらべてみたそうな。


国の健康保険データベースから骨折経験のある82804人と他の条件の近い骨折経験のない82804人を抽出して、

自殺行動が理由で病院を訪れたケースとの関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・骨折経験がある場合の調整後の自殺行動リスクは2.21倍だった。

・このリスクは1年間では2.90倍、5年間では2.00倍だった。

・とくに自殺行動リスクが高い条件は、35歳未満、脳卒中経験者、睡眠障害だった。

・複数箇所の骨折を経験している場合のリスクは1.69倍だった。

骨折経験はそれだけで自殺行動のリスク要因だった。なかでも35歳未満、脳卒中や睡眠障害、複数骨折の者はさらにリスクが高かった。この影響はすくなくとも5年以上続いた、


というおはなし。

図:骨折経験と自殺行動


感想:

骨折はそんなにキケンだったのか。

骨折すると心理社会的ストレスに加え、炎症関連サイトカインやミクログリアがどうのこうので、、、だから自殺したくなる、と言っているが そういうものなのか?

2019年2月1日

がんばって手脚を動かしても効果がない理由


Frequency-specific functional connectivity related to the rehabilitation task of stroke patients
2019  1月  中国

脳卒中の片麻痺からの回復のためには手脚をうごかす訓練をおこなうことがもっとも効果的であると信じられている。

訓練と脳の可塑性により脳機能ネットワークが再編される。このとき脳皮質の各領域間で機能的に同期した低周期の活動パターンが観測できる。この同期の程度をもって「機能結合性」とし回復度が反映されると考えることができる。

そこで、リハビリ訓練がダイレクトに機能結合性に反映されるものか、MRIよりも周波数分解能の高い近赤外線センサーでくわしくしらべてみたそうな。


右または左脳損傷の脳卒中患者18人と健常者16人について、

24チャンネルの近赤外線センサーをもちいて、
安静時および四肢の運動訓練をした直後の脳活動を測定した。

このデータから、各チャンネル間の位相の同期度を評価したWPCO(wavelet phase coherence)を機能結合性の指標とした。

さらにWPCOは次の4つの周波数バンド別に評価した。
I, 0.6-2 Hz
II, 0.145-0.6 Hz
III, 0.052-0.145 Hz
IV, 0.021-0.052 Hz

これらはそれぞれ順に、心拍、呼吸、筋肉、神経 に由来する活動のゆらぎを反映していると考えられている。


次のことがわかった。

・健常者は4つのバンドすべてで安静時での結合性が訓練後よりもつよかった。

・脳卒中患者では、バンドⅡまたはⅢでのみ訓練後の結合性の増強がみられ、とくに右脳損傷患者で顕著だった。

・しかし、神経活動を反映すると考えられているバンドⅣでの訓練後の結合性の増強効果はまったく見られなかった。

健常者と脳卒中の左右脳損傷患者で安静時および運動訓練後の結合性にあきらかなちがいがみられた。とくに運動訓練がバンドⅣでの結合性にまったく影響しなかったことから、手脚の運動は神経リハビリとしては意味が無さそうである、


というおはなし。

図:機能結合性リハビリ後の


感想:

これら最新エビデンス↓の背景がわかってきたってことやね。
課題指向型訓練 いくらやっても役には立たない

コクランレビュー:反復課題訓練 エビデンスない

訓練繰り返すほど良くなると思ってたら そうでもなかった

JAMA誌:課題指向型訓練 やる意味ない
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