2019年3月23日

腸内細菌への長期の影響は


Rsearchers explore stroke's effects on microbiome -- ScienceDaily
2019  3月  アメリカ

腸と脳はたがいに関係しあってはたらいていて(gut-brain axis:腸脳相関)、脳卒中になると腸内細菌叢の構成がおおきく変わることが報告されている。

しかし長期の変化をしらべたものはないので動物実験してみたそうな。
2月の国際脳卒中会議でのウェストバージニア大学の報告。



脳卒中にしたグループとしなかったグループの腸内細菌を3日後、14日後、28日後までフォローしたところ、



次のことがわかった。

・脳卒中グループでは14日、28日後までにビフィズス菌で有名なビフィドバクテリウム属の細菌がおおきく減少した。28日時点ではヘリコバクター属の細菌が大勢をしめていた。

・肥満や糖尿、炎症の指標となるFirmicutes(フィルミクテス門) / Bacteroidetes(バクテロイデス門) の比が高くなり、14日ではコントロールの6倍、28日時点でも3倍以上をしめした。

・さらに顕微鏡観察で、脳卒中グループの腸の柔毛が28日時点でもおおきく崩れている様子が確認された。

脳卒中による腸内細菌叢および腸の構造への影響は1ヶ月後にもみられた。逆にサプリメントなどをつかった腸内細菌叢への介入で脳卒中の回復をうながすことができるかも、、


というおはなし。

図:脳卒中後の腸絨毛



感想:

つい先日、かきにあたって激しい下痢と悪寒で2日間絶食した。お腹が空になったついでにヨーグルトを1リットルたべて腸内細菌のリフレッシュを期待した。

すると翌日、はなみずとくしゃみの花粉症状が消えてしまった。
しかしその効果は1日しかもたなかった。

腸内環境への関心がたかまっている今日このごろ。

[腸内細菌]の関連記事

2019年3月22日

復職後 長期の就労率トレンド


Factors, trends, and long-term outcomes for stroke patients returning to work- The South London Stroke Register
2019  3月  イギリス

脳卒中の4分の1は労働可能年齢者で、脳卒中を経験したかれらは一般人よりも失業する可能性が3倍になるという。

脳卒中ののち復職する者を長期にフォローをした調査はすくないのでやってみたそうな。



ロンドンの脳卒中患者データベースをつかって、
1995-2014の患者5609人について、1,5,10年後の就労状況を調べたところ、



次のことがわかった。

・940人が脳卒中の直前まで職に就いていて、かれらのうち19%が3ヶ月後に復職していた。

・その率は、1年後では18%、5年後12%、10年後3%に低下した。

・機能的に自立していて入院が短い患者は早くに復職していた。

・若い患者は 5年後、10年後に就労しつづけていることがおおかった。

・非肉体労働者は10年後の就労可能性がたかかった。

・早くに復職した者ほど5年後、10年後の就労可能性がたかかった。

・機能的に自立状態にあった患者のうち、1年後に48%、5年後42%、10年後28%が就労していた。

・不安やうつの程度がひくくQoLの高いことが1年後の就労と関連していた。

機能的に自立しているほど復職しやすいと考えられるいっぽう、かれらのうち非常におおくの者が復職していなかった、


というおはなし。

図:


感想:

しごとやめたいけど踏ん切りがつかない、、とおもっている人にとって ほどほどの脳卒中は絶好の機会。だから復職しないのだとおもう。
復職後 なん年間仕事を続けられるのか 日本で

2019年3月21日

歯周病と脳内出血の因果関係は


Association between intensive periodontal treatment and spontaneous intracerebral hemorrhage-a nationwide, population-based cohort study
2019  3月  台湾

歯周病は歯石と細菌のはたらきにより歯肉炎からはじまり歯周炎にいたる。一般人の90%が経験するという。

全身にひろがった炎症は動脈硬化をうながし心血管疾患と関連すると考えられている。じっさい、歯周病を脳梗塞や脳内出血のリスク要因として認める報告がいくつもある。しかしその因果関係をあきらかにした調査はまだない。

そこで歯周病治療により脳内出血が減少するものか大規模にしらべてみたそうな。



台湾の健康保険データベースの歯周病患者から、
歯周病の積極的な治療術(フラップ歯肉剥離掻爬術)といった外科治療を受けた者とそうでない者を他の条件をひとしくして32480人ずつ抽出した。

およそ5年間に脳内出血をおこした者との関連を解析したところ、



つぎのようになった。

・歯周病治療グループは非治療グループにくらべ脳内出血リスクが0.60倍で あきらかにひくかった。

・この関連はとくに高齢の男性、2度以上治療を受けた者に顕著だった。

歯周病治療者の記録を解析したところ、かれらのとくに高齢男性の脳内出血リスクはあきらかにひくかった。この因果関係を確認するさらなる調査が望まれる、



というおはなし。

図:歯周病治療術の有無と脳内出血



感想:

フラップ術について10年以上まえにしらべた際、とても危険だと理解した記憶がある。

こんご「脳内出血になるよりはいいでしょ」がフラップ術を勧める際の殺し文句になるかも。
Stroke誌:歯周病のグレードと脳梗塞リスク

口の中が汚いと脳内出血になるという根拠について

脳内出血を起こす虫歯菌の種類が判明

2019年3月20日

慢性期に効く「豆乳リハビリ」とは


Soymilk ingestion immediately after therapeutic exercise enhances rehabilitation outcomes in chronic stroke patients- A randomized controlled trial
2019  3月  台湾

慢性期の脳卒中患者の30-60%はリハビリをいくらがんばっても運動機能がまったく改善しないという。さらに筋肉の萎縮もすすむ。

いっぱんに身体トレーニングとタンパク質の摂取を組み合わせることで筋力と筋肉量を増強できることが知られている。

大豆由来のタンパク質は安価で高品質である。とくに豆乳はアジアでポピュラーでコレステロールフリーしかも種類豊富でコンビニでも手に入る。

そこで理学療法の直後に豆乳を飲むトレーニングセットを8週間続けたときの効果をくわしくしらべてみたそうな。



慢性期の脳卒中で自立歩行のできる外来患者22人を2グループにわけて、
いっぽうには訓練直後に豆乳を他方には水をそれぞれ500mlを2回に分けてあたえた。

理学療法訓練は1回120分x週3回x8週間 継続した。

この前後での筋肉量、身体パフォーマンス(short physical performance battery:SPPB)、歩行速度、筋肉量あたりの歩行パフォーマンス(8-fts walking performance per unit lean mass:WPPULM)、握力、6分間歩行距離
を測定したところ、



次のようになった。

・8週間のリハビリ訓練で両グループともに機能改善があった。

・とくに豆乳グループでは握力、歩行速度、筋肉量あたりの歩行速度、歩行耐久能 が水グループよりもあきらかにすぐれていた。

・しかし身体パフォーマンスと筋肉量に有意な差はなかった。

リハビリ訓練だけではなく、その直後に豆乳を飲むことで 歩行速度、耐久能、握力、筋肉機能のあきらかな改善が慢性期患者に見られた


というおはなし。

図:豆乳療法と慢性期脳卒中



感想:

うえのグラフみると豆乳パワーすごい。

でも豆乳はそんなに安くないし まめ臭い。湯豆腐ならいける。


メモ:
かきにあたった。つらい。

2019年3月19日

nature.com:身内ほど救急車を呼ばないパラドックス


Social networks and risk of delayed hospital arrival after acute stroke
2019  3月  アメリカ

心臓発作のシーンでは医療機関へかかるまでの時間が長くなると患者の死亡率が高くなる。この時間のおくれは患者の症状の目撃者が 状況を理解できず救急車をよばないことによると考えられている。

しかし1000人以上の心臓発作患者の調査では まったくの他人や会社の同僚はすぐに救急要請をするものの、患者に親しい家族とくに配偶者は救急車を呼ばないというパラドックスが報告されている。

これと同様の傾向が脳卒中患者についても見られるものかくわしくしらべてみたそうな。


軽-中程度の症状の脳卒中患者175人について、
患者を中心とした個人的な社会ネットワークについてアンケートをおこない、構成員の人数、ひろがり、密度、つながりの強さ、を評価し、
入院までの時間と救急要請時の状況との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・患者の属する社会ネットワークが小規模でかつ 家族中心の むすびつきがつよいものほど入院が遅れた。

・外部視点の入る余地がすくない近親者ネットワークにいると経過観察(watch-and-wait)戦略が採られやすかった。

脳卒中患者が家族中心のちいさな社会ネットワークにいるばあい入院はおくれがちだった。結びつきの強いひとびとに囲まれていると過剰に協議がなされ けっきょく様子見になることがおおかった、


というおはなし。

図:脳卒中患者の社会ネットワーク



感想:

患者を想い もっとも理解しているのは身内。

あかの他人ならためらいもなく病院へ「丸投げ」できるけど、じぶんの家族にそんなことはできない。
やはり119しないで見守ると思う。

2019年3月18日

nature.com:脳内出血ここをやられると意識が戻らない


Deep structural brain lesions associated with consciousness impairment early after hemorrhagic stroke
2019  3月  アメリカ

脳卒中からの意識回復のメカニズムはよくわかっていない。これまで皮質下の、視床、被殻、尾状核、淡蒼球といった構造の重要性が指摘され これに関係する上行性網様体賦活系(ascending reticular activating system :ARAS)や mesocircuit model といった障害と回復のモデルが提唱されている。

そこで脳内出血での皮質下の脳損傷と意識レベルとの関連をくわしく解析してみたそうな。


脳内出血患者158について、入院時のMRIと集中治療室ICUをでる時点での意識レベルとの関連を機械学習アプローチで解析して、

最初のMRI画像からのちの意識回復を予測するモデルを構築した。



次のことがわかった。

・MRI時点で患者の3分の1は意識がなかった。

・彼らの半数はICUをでるときには意識がもどっていた。

・従来の出血体積と正中偏位の評価に加えて、MRIからみた深部構造への病変のひろがりから意識障害と回復の予測ができた。

・とくに、中脳の脳脚部(midbrain peduncle)と橋被蓋(pontine tegmentum)に病変が及んでいるか否かが予測結果におおきく影響していた。

・今回のモデルで意識回復が予測された患者では機能回復も良好だった。
これまでの血腫体積と正中偏位の評価に加え、MRIで病変の深部構造へのひろがりをみることで意識回復の可能性をより正確に予測できるであろう、


というおはなし。

図:脳内出血 意識 脳構造


感想:

MRIの音がやんだ直後にAIが間髪いれず「意識が戻る確率は3720分の1です」っておしえてくれる世の中は もう すぐそこ。

2019年3月17日

脳梗塞を防ぐに最適な乳製品は


Substitutions between dairy products and risk of stroke- Results from the EPIC-NL cohort
2019  2月  デンマーク

高血圧予防のための食事ガイドライン DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)ダイエットでは全脂肪の乳製品を控えて低脂肪のそれをすすめている。

その後の改訂DASHの試みでは全脂肪乳製品を勧めて同程度の効果を得ている。

さいきんの18の研究のメタアナリシスでも全脂肪乳製品の使用が脳卒中リスクを下げるという結果が得られている。

またチーズなどの発酵乳製品が脳卒中リスクをさげるという報告も得られている。

そこで、乳製品の種類と脳卒中リスクとの関連を大規模にしらべてみたそうな。



デンマークの男女36886人に食事アンケートをおこない脳卒中の発生を15年間フォローした。

乳製品は、ミルク、バターミルク、ヨーグルト、チーズ、バターのそれぞれについて全脂肪と低脂肪の区別をして、カロリーを揃えた量で置換解析をおこなった。



次のことがわかった。

・この間に884人が脳卒中になった。

・全脂肪ヨーグルトの代わりに低脂肪ヨーグルトを摂ると脳梗塞リスクは2.58倍になり、

・全脂肪ヨーグルトを他の乳製品の代わりに摂ると脳梗塞リスクは0.33-0.36倍になった。

・脳出血との関連はまったくみられなかった。

全脂肪ヨーグルトは脳梗塞予防の観点から他のいずれの乳製品よりもすぐれていた、


というおはなし。

図:全脂肪ヨーグルト


感想:

全脂肪乳にふくまれるリノール酸および ヨーグルト菌がプロバイオティクスに適していることの2つが理由ではないか、と言ってる。

2019年3月16日

脳波筋電図コヒーレンスの皮質分布


Cortico-Muscular Coherence Is Reduced Acutely Post-stroke and Increases Bilaterally During Motor Recovery- A Pilot Study
2019  2月  ドイツ

脳卒中後の運動機能の回復はダメージを受けた脳の機能を他の部分が引き継ぐことによりすすむと考えられる。

脳皮質の活動EEGと筋肉の電気活動EMGとの同期の程度である脳波筋電図コヒーレンス(Cortico-Muscular Coherence:CMC)は脳卒中のあとに低下することが知られていて、運動機能回復の指標にできると期待されている。

さらにブレインコンピュータインターフェイス(BCI)をつかったリハビリテーションではターゲットとなる脳皮質の位置を知るためにCMC解析が必要になる。

そこで脳卒中患者について運動機能の回復と脳皮質の位置ごとのCMCとの関連を長期にしらべてみたそうな。


脳卒中で左脳損傷の4人と右脳損傷1人および健常者7人について、

発症から10日後、7週間後、11ヶ月後の手首の運動機能とCMCを評価したところ、



次のようになった。

・βバンド(12-30Hz)にCMCが観察され、運動機能の回復にしたがい高くなっていった。

・さらに運動野上の患者のCMCは健常者のそれよりも高かった。

・皮質上の高CMC領域の分布もことなり、健常者にくらべ両側にひろく患者ごとにその分布はおおきく異なっていた。

脳波筋電図コヒーレンスは脳卒中患者の運動機能回復のバイオマーカーとして期待できる、


というおはなし。

図:脳波筋電図コヒーレンス


感想:

運動機能が回復したからコヒーレントなのであって、コヒーレントにしようとしてなるものではないとおもうんだよね。
脳波筋電コヒーレンスでなにがわかるのよ

2019年3月15日

脳卒中であらたに視覚異常になる率


High incidence and prevalence of visual problems after acute stroke- An epidemiology study with implications for service delivery
2019  3月  イギリス

脳卒中経験者のおおくになんらかの視覚異常がみられることがよく知られている。

しかしこれまでの調査のほとんどは発症から検査までの時間がバラバラで脳卒中によりあらたに生じた視覚異常との区別もあいまいだった。

そこで急性脳卒中患者の視覚検査をきっちりとおこない有病率をしらべてみたそうな。


3つの病院の急性脳卒中での入院患者1295人について調べたところ、



次のことがわかった。

・このうち20.2%は退院済みなどの理由で視覚検査ができず、1033人が検査を完遂した。

・フルの視覚検査にようした日数は4日前後だった。

・もともと視覚に問題のあった者を除くと、あらたに視覚異常を示した者は入院時に48%、2週間後には60%だった。

・けっきょく全体の73%がなんらかの視覚の異常を示し、

・内訳はおおい順に、視力低下、眼球運動異常、視野欠損、視覚不注意 で、

・27%の患者の視覚は正常だった。

急性脳卒中のあとに発生した視覚異常はおおく 患者の半数を超えていた、


というおはなし。

図:視力検査


感想:

退院のあと半年以上たって免許センターで運転適正検査をすませた。そして運転再開した直後に「ぜんぜん見えん、、!」とびっくりして メガネやに飛び込んだ。
脳卒中まえは1.5を下回ったことがなかった視力が0.4になっていた。

この間、病院も免許センターも視力検査はなかった。10年もまえのことだけど やばくね?

2019年3月14日

短下肢装具を与えると転倒3倍


The effect of ankle-foot orthoses on fall-near fall incidence in patients with (sub-)acute stroke- A randomized controlled trial
2019  3月  オランダ

入院中に転倒を経験する脳卒中患者は14-65%、退院後6ヶ月間の転倒は37-73%という。

これは年間1.3-6.5回の転倒頻度に相当し、一般高齢者の0.65回をおおきく上回る。

短下肢装具はつま先のクリアランスを確保しかかと着地を促す。短下肢装具によって転倒を防ぐ効果が期待できるがくわしい調査はまだない。

そこでランダム化比較試験を試みたそうな。



急性期の脳卒中で片麻痺の患者33人をすぐに短下肢装具を与える早期グループ16人と9週間後から与える遅延グループ17人にわけた。

1-8週、さらに9-52週目まで転倒の有無をフォローしたところ、



次のようになった。
・1-8週では、短下肢装具を早期に与えられたグループで転倒があきらかにおおく 11回 vs. 4回で、頻度は2.9倍だった。

・さらに 転倒した早期グループのうち63.6%は装具を着けていないとき(移乗や立ち上がり)に転倒していた。

・転倒しそこねたケースは 1-8週、9-52週でグループ間に差はなかった。

・骨折を含む重症を負ったケースは6件あった。

早期に短下肢装具を与えられた患者グループで転倒回数があきらかにおおかった。しかも彼らの63.6%は装具を着けていないときに転倒していた、


というおはなし。

図:短下肢装具と転倒回数


感想:

急性期は自発的な回復が起こっている真っ最中(比例回復則)なわけで、そんなタイミングに足首の固定をこころみるのはおかしい。

また 早い時期に物々しい装具を与えることは「じぶんはもうまともに歩けないんだ」という意識を強化して歩行への自信を失わせるだけである。だから装具を着けてもいないのに転ぶ。

これ↓とおなじ。
脳卒中リハビリは害!? 骨折しやすくなることが判明


そもそも装具を急ぐ理由はなさそうだ。
下肢装具をやめてしまう理由

短下肢装具を始めるに適した時期は、、

短下肢装具は使ったほうがいいの?

2019年3月13日

日本人の労働時間と脳卒中


Working Hours and Risk of Acute Myocardial Infarction and Stroke Among Middle-Aged Japanese Men
2019  3月  日本

欧米人を対象としたさいきんのメタアナリシスでは労働時間が長くなると冠動脈疾患や脳卒中のリスクが高くなることがわかっている。

日本人の労働時間と心血管疾患をしらべた研究はほとんどなくサンプル数も少ない。

そこで、多目的コホート研究(JPHCコホートII)のデータをつかってくわしくしらべてみたそうな。



40-59歳の男性15277人を1993年から約20年間フォローしたところ、



次のことがわかった。

・この間に212の心筋梗塞と745の脳卒中があった。

・1日の労働時間が7-9時間にくらべ11時間以上になると心筋梗塞リスクが1.63倍、脳卒中リスクは0.83倍となった。

・この長時間労働と心筋梗塞との関連は 年齢の高いサラリーマンでさらに顕著だった。
中年日本人男性については労働時間がながくなると心筋梗塞のリスクが高くなった、


というおはなし。

図:残業



感想:

とくに脳出血ではリスク0.64倍で長時間労働は予防効果すら期待できるようだ。

昨日の管理職ピロリ菌仮説もそうだけど 日本人は仕事のストレスがつよそうなグループほどなぜか脳卒中リスクが低い。

心筋梗塞と脳卒中とで真逆の結果になった理由として著者は 日本人には心筋梗塞とおなじメカニズムのアテローム性動脈硬化による血栓塞栓性の脳梗塞が欧米人の半分くらいしかいないから、と言ってる。

脳卒中になりやすい労働時間がわかった ランセット誌

2019年3月12日

日本人の管理職も脳卒中リスクは低い?


Occupational Class and Risk of Cardiovascular Disease Incidence in Japan- Nationwide, Multicenter, Hospital-Based Case-Control Study
2019  3月  日本

欧米の研究では管理職や専門職といった仕事の階級が高い者の心血管疾患(冠動脈疾患、脳卒中)リスクは低いという報告がいくつもある。

これとおなじ傾向が サービス残業のために「名ばかり管理職」にされストレスで酒とタバコに溺れる日本人においても確認できるものか大規模にしらべてみたそうな。


1984-2016 複数の病院の入院患者110万人あまりの記録を解析した。

ブルーカラー産業、サービス産業、ホワイトカラー産業のそれぞれについて、
ブルーカラー産業の一番下のクラスの労働者にたいする各産業の管理職、専門職の心血管疾患リスクを評価したところ、



次のことがわかった。

・喫煙や飲酒で調整してなお、高いクラスの仕事(管理職、専門職)に就いている者ほど冠動脈疾患リスクが高かった。

・この傾向はどの産業にも共通していたが、とくにサービス産業で顕著だった。

・いっぽう、この傾向を相殺するかのように脳卒中については高いクラスの仕事に就いている者ほどリスクは低かった。

高いクラスの仕事に就いているほど心血管疾患リスクが低いという傾向は日本人にはあてはまらず、彼らの冠動脈疾患リスクは底辺労働者よりも高かった、


というおはなし。

図:職業クラスと脳卒中リスク



感想:

冠動脈疾患と脳卒中で真逆の結果がでた理由として著者はピロリ菌を挙げている。

ピロリ菌は日本人の70%がもっていて、とくに貧乏人におおく感染し 彼らは脳卒中リスクが高い。貧乏人は高クラスの仕事には就かないから相対的にこうなる、って言ってる。

さすがお医者さまだわ、、

で結局、ピロリ菌があると脳卒中的にはどうなの?

2019年3月11日

安静時fMRIでみたTIA脳の異常


The Local Brain Abnormalities in Patients With Transient Ischemic Attack- A Resting-State fMRI Study
2019  1月  中国

TIA(一過性脳虚血発作)は症状が一時的ではあるがのちの認知症リスクは4倍で、3分の1はなんらかの認知障害を経験するという。TIAのあと脳の萎縮や血液還流の低下が報告されているが脳機能に与えるくわしいメカニズムはわかっていない。

安静時の脳機能MRI(rs-fMRI)は患者にタスクを課すことなくただ寝かせておくだけで脳機能をしらべることができる方法として期待されている。

これまでrs-fMRIについて数々の解析方法(FC,graph theory,ICAなど)が提唱されているが、

fMRI信号の低周波成分(0.01-0.08Hz)のゆらぎのおおきさを示すALFF(amplitude of low frequency fluctuation)および

同期するボクセルの拡がりを示すReHo(regional homogeneity)、

ネットワーク全体での重要性のDC(degree centrality)、
の3つの指標が近年ちゅうもくされている。

そこでTIA患者について ALFF, ReHo, DC を健常者との比較として評価してみたそうな。



平均年齢41、TIA患者48人と健常者41人について安静時 全脳のfMRIデータおよび血液 血圧検査をおこない、比較 解析したところ、



次のことがわかった。

・自発的神経活動を反映するALFFは健常者にくらべTIA患者の左中側頭回であきらかな低下を示し、

・DCもまた右の下前頭回の三角部で低下していた。

・ReHoにグループ間で差はなかった。

・これらの局所異常と血液血圧検査結果との関連はなかった。

TIA患者の安静時fMRIから、ALFFとDCの局所的な低下を確認することができた。病気メカニズムの理解に役立つかもしれない、


というおはなし。

図:ALFF TIA患者


感想:

脳の安静時ネットワークにはデフォルトモードネットワークのほかいろんな種類があって 脳はいろいろといそがしいようだ。ぼーっとしていてもお腹がすく理由はこれかな。

脳卒中後うつのfALFF解析

2019年3月10日

軽い脳卒中でも脳が縮む?


Longitudinal Brain Atrophy Rates in Transient Ischemic Attack and Minor Ischemic Stroke Patients and Cognitive Profiles
2019  2月  カナダ

TIAのあとおよそ3分の1の患者はなんらかの認知障害をしめす。しかしそのメカニズムはわかっておらず 隠れた梗塞があるわけでもない。

アルツハイマー病などの研究では認知障害まえの脳体積の減少が報告されている。

そこで、TIAや軽い脳卒中患者での脳の萎縮と認知障害との関連をくわしくしらべてみたそうな。



TIAや軽い脳卒中の患者80人と健常者70人について、全脳のMRIを3年ほどの期間をあけて複数回撮り、認知機能もしらべた。

脳萎縮率を自動評価するソフトウェア(Structural Image Evaluation using Normalization of Atrophy:SIENA)を用いて関連を解析したところ、



次のようになった。

・TIAや軽い脳卒中の患者はこの3年間に 健常者にくらべてあきらかな高レベルの脳萎縮を示した。

・糖尿病が脳の高萎縮の予測因子だった。

・脳の高萎縮と認知機能の情報処理スピードは関連をしめしたが 記憶力や実行機能との関連はみとめられなかった。

TIAや軽い脳卒中の経験者は認知機能に障害がでる以前に あきらかに高い脳の萎縮をしめしていた、


というおはなし。

図:脳萎縮


感想:

TIAですら数年でわかるほど脳が縮むのなら10年経ったじぶんはどうなってんのよ、、、とおもった。

2019年3月9日

nature.com:ラクナ梗塞の再発予防法「酒を飲む」


Recurrence Rate and Relevant Associated Factors of Stroke among Patients with Small Artery Occlusion in Northern China
2019  2月  中国

小動脈閉塞(Small Artery Occlusion=ラクナ梗塞)はヨーロッパでは脳梗塞の20%を、中国では31.3%を占めている。

小動脈閉塞の再発率と関連要因をあきらかにするべく大規模な調査をおこなってみたそうな。



2005-2014の小動脈閉塞の患者2524人について、3、12、36ヶ月後までフォローしたところ、



次のことがわかった。

・再発した者の率はそれぞれ、3ヶ月後3.1%、12ヶ月後、12.7%、36ヶ月後36.5%だった。

・3ヶ月時点では 男性、高齢、重症患者で再発リスクが高かった。

・12ヶ月時点では、C反応性蛋白レベルの上昇が再発リスクと関連があったが、

・飲酒習慣のある者の再発リスクは飲酒習慣の無い者にくらべ39%低かった。

・36ヶ月時点では、高血圧、心房細動、肥満もまた再発リスクだった。

小動脈閉塞の再発要因は年齢、性別、高血圧、心房細動、肥満、C反応性蛋白の上昇だったが、飲酒習慣だけは再発リスクの低下に関連していた、



というおはなし。

図:ラクナ梗塞の再発リスクとアルコール


感想:

今回の結果を励みにして好きなだけ飲むといい。じぶんはのまんけど。

2019年3月8日

左脳をやられると勃起不全


Positive Correlation between Left Hemisphere Lesion and Erectile Dysfunction in Post-Stroke Patients
2019  2月  インドネシア

インドネシアでは脳卒中は死亡と身体障害の原因の1位である。

さらに脳卒中の日常生活への影響、とくに性生活についての報告はほとんどない。他の国の研究では勃起不全(Erectile Dysfunction)がおおく報告されているがそのメカニズムはよくわかっていない。

脳の損傷位置と勃起不全との関連についても、副交感神経に影響する左脳の損傷でおきるとする説や右脳や大脳基底核、小脳、損傷位置は関係ないとする説などさまざまである。

そこで、脳の左右脳半球の損傷と勃起不全との関連をくわしくしらべてみたそうな。


脳卒中の発症から6ヶ月以上で、結婚して妻と暮らしている40-59歳の男性74人について調査したところ、



次のことがわかった。

・患者うちわけは、左脳損傷35人、右脳損傷39人で、勃起不全あり38人、勃起不全なし36人だった。

・弱いながらも統計学的有意に左脳損傷と勃起不全に関連が認められた。

左脳損傷の脳卒中男性にはあきらかに勃起不全がおおかった、


というおはなし。

図:勃起障害と左右脳半球ダメージ


感想:

疲労や無気力アパシー系のそれと共通で 損傷位置とはあまり関係ないような気がする。
脳のここをやられると勃起不全になる

脳梗塞の位置と勃起不全(ED) について

2019年3月7日

Brain誌:半側空間無視のシータバーストと比例回復則


Theta burst stimulation in neglect after stroke- functional outcome and response variability origins
2019  2月  スイス

脳卒中で半側空間無視の患者の、過活動状態にある健常側の脳半球のはたらきを磁気刺激などの非侵襲的な方法で抑えると 無視症状が緩和されるという報告がいくつかある。

ただしこの効果はすべての患者にあてはまるものではなく個人差がおおきい。

そこで、健常脳を抑制する条件と、効果があらわれる個人の特徴をくわしくしらべてみたそうな。



亜急性期の右脳の脳卒中で、左の半側空間無視の患者30人と無視症状のない30人について、

右脳の後頭頂葉に連続シータバースト磁気刺激をあたえた。

適した刺激量をさぐるため、1バーストトレイン44秒の磁気刺激を4日間で計8トレインまたは16トレイン、偽刺激 の3グループにわけて実験した。

無視症状と日常生活動作ADL、機能的自立度FIMを3ヶ月後までフォローした。

損傷の位置と拡がりを画像ボクセル解析VLMSでしらべた。

また比例回復則(proportional recovery rule)で予想される回復程度(~70%)とも比較した。



次のようになった。

・全体としてシータバースト刺激グループ(8と16トレイン)で無視症状のあきらかな低下が見られ、効果が3ヶ月以上持続して、

・彼らは身体機能の回復もすぐれていた。

・個人レベルではシータバーストの効果が見られない者は脳梁の、とくに背側注意ネットワークのある後頭頂葉に損傷がおよんでいた。

・シータバーストにより無視症状と機能的自立度があきらかに改善した者の脳梁構造は無傷に保たれていた。

・さらに比例回復則から予測されるADLと無視症状の回復幅はシータバーストにより大きくなっていた。

無視症状のある脳卒中患者で左右脳半球の結合が保たれている場合は、健常脳への連続シータバースト刺激により無視症状はおおきく改善する


というおはなし。

図:脳梁の健全性


感想:

比例回復則はリハビリの有無にかかわらず 運動機能や無視 失語について 機能低下したぶんの70%が数ヶ月間で自発的に回復するという経験則をさす。これに従うものをFitter、はずれる者をnon-Fitterと呼ぶ。

シータバーストにより non-FitterがFitterになるわけではなく、70%の期待回復度が100%ちかくになるようだ。


でもこんな↓はなしもあるからうのみにはできない。
半球間抑制のアンバランスは片麻痺の原因ではなかった

2019年3月6日

経験者の肥満の自覚と減量成果


Self-Reported Body Weight Changes, Perceptions, and Weight Loss Techniques among Stroke Survivors
2019  2月  アメリカ

脳卒中で障害をもつと不活発な生活になり体重が増えることが考えられる。実際、脳卒中経験者の過体重 肥満率は一般人の1.2倍という。

体重がおおいとリハビリの効果があがらない、死亡率が高いなどとされるいっぽう、かえって再発や心血管死亡リスクが下がり保護効果があるとする「肥満パラドックス」も報告されている。

これらはある時点での体重のみに着目しているので、脳卒中経験者の体重がどのように移り変わってきているのか大規模にしらべてみたそうな。



米国国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey: NHANES)の2011-2014のデータから50歳以上の脳卒中経験者387人、非経験者5085人を抽出した。

25歳時点での体重、現在もしくは脳卒中発症時点から10年前、1年前の体重をアンケート調査したところ、



次のことがわかった。

・脳卒中経験者の54%は脳卒中のあとにもっとも体重がおおくなった。

・脳卒中経験者 非経験者ともに70%が過体重か肥満だった。

・脳卒中経験者の24%のみが体重を減らそうとしていた。非経験者では35%が減量を試みた。

・そして過去1年間にいずれのグループも10-15%のみが5%以上の減量を達成できていた。

・おもな減量方法は、食事を減らす、運動、フルーツや野菜をおおく摂る、だった。

脳卒中経験者のおおくは脳卒中のあと体重がさらに増え、その後減量を試みた者のほとんどが失敗していた、


というおはなし。

図:脳卒中経験者の肥満


感想:

ちまたの健康情報にまどわされずゴーイングマイウェイな姿勢に好感。
Stroke誌:脳卒中でなお太ろうとする肥満の率

2019年3月5日

理学療法とADLのアンブレラレビュー


Subacute stroke physical rehabilitation evidence in activities of daily living outcomes: A systematic review of meta-analyses of randomized controlled trials
2019  2月  スペイン

脳卒中のリハビリテーションの主軸は理学療法であると考えられている。

脳卒中の理学療法について、これまでおおくの研究がなされてきたがメタアナリシスのメタアナリシスであるアンブレラレビューはわずかしかないうえに古い。

そこで、理学療法の最近の治療法もふくめてくわしいアンブレラレビューをこころみたそうな。



複数のレビュワーにより 亜急性期の脳卒中の理学療法について、
日常生活動作ADLを評価したランダム化比較試験RCTのメタアナリシスを厳選した。

データを統合 再解析して、
標準化平均値の差:Standardized mean differences (SMD)と統計学的異質性を評価したところ、



次のようになった。

・被験者13787人を含む314のRCT、21種類(ロボット、スリング、Nintendo Wii、tDCS、灸、鍼、CI療法、mCI療法、仮想現実、FES、繰り返し訓練、両手訓練、拡張現実、イメージ訓練、電気鍼、太極拳、水中訓練、ミラー療法、rTMS、サーキット、末梢電気刺激)の介入方法についての55のメタアナリシス論文がみつかった。

・仮想現実、CI療法、拡張現実、tDCS と理学療法の組み合わせでは異質性の低いわずかながらの改善効果がみられた。

・灸、太極拳、鍼(はり)はもっとも高い効果が得られていたが、異質性が高かった。

・これらのなかで鍼と理学療法の組み合わせのみが勧められるレベルにあった。

おおくの種類の介入方法が理学療法との組み合わせで試されてきているものの、ADLの改善を裏付ける質の高いエビデンスはいずれの方法でも得られていなかった、


というおはなし。

図:理学療法のアンブレラレビュー


感想:

なぜ鍼のようにまったく異なる信念体系の成果が しれっと理学療法の手柄にされているのか、不思議におもい しばらく考えて気がついた。

理学療法というのは理学療法士の指導のもとでなにかしらの体のエクササイズを行うことを指していて、

体に電気をながしながらでもいいし、
踊りながらでもいい、
おなじ動作をひたすら繰り返すだけでもいい、
鏡をみながらでもテレビゲームやりながらでもいい、

もちろん鍼をさしたあとでもいい、

そこに理学療法士がいて体をうごかしたらそれはもう「すべて理学療法」なのである!!!


ようやく理学療法のなんたるかについて理解できた気がしている。

2019年3月4日

亡くなる若年患者は肥満でかつ脳出血


Body mass index and fatal stroke in young adults- A national study
2019  2月  オーストラリア

近年、若年者の脳卒中発生率が上昇傾向にある。

彼らはおもにくも膜下出血と脳内出血を起こす。このリスク要因としてアルコール、タバコ、薬物、肥満などがある。

若年脳卒中で死に至ったケースについて 肥満との関連の報告はないのでくわしくしらべてみたそうな。



オーストラリアの死因究明調査結果を公開している「国立コロナー情報システム」のデータベースをつかって、
15-44歳で脳卒中が死亡原因の2009-2016年179例を抽出して解析したところ、



次のことがわかった。

・内訳は脳出血165例(くも膜下出血102例を含む)、脳梗塞14例 だった。

・BMI別では低体重5.6%、標準体重37.4%、過体重27.4%、肥満29.6% だった。

・BMIの高い者にくも膜下出血と高血圧がおおかった。

・高BMIとアルコール、喫煙、精神刺激薬との関連はみられなかった。

脳卒中で死亡した若年者には過体重と肥満がおおくを占めていた。若年者の肥満と高血圧への対策がもとめられる、


というおはなし。

図:若年死亡脳出血とBMI


感想:

脳内出血は太るほど減っているけど、くもはふえるとこが興味深い。

若いと脳梗塞で死ぬことはほとんどないんだな(~8%)。
若年者が脳卒中になる理由

2019年3月3日

脳卒中医師の4割は燃え尽き寸前


Burnout syndrome- are stroke neurologists at a higher risk?
2019  2月  ブラジル

燃え尽き症候群は仕事のストレスや対人関係からくる精神疾患と考えられ、興味関心の喪失、離人症(魂が体から抜ける)、自尊心や仕事の達成感の低下を伴う。

医師に多いとされ、医療の質の低下や医療過誤、さらには自身の薬物中毒や突然の退職の原因になるという。

ブラジルでは神経科医についての調査がこれまで1件しかないのでくわしくしらべてみたそうな。



神経科の医師74人にアンケート調査した。

燃え尽き症候群の判定は Maslach Burnout Inventoryを用いた。



次のようになった。

・彼らのうち44.6%が燃え尽き症候群と判定された。

・女性(60.6%)と脳卒中専門医(51.5%)に若干おおかった。

・脳卒中の救急治療を専門とする医師とそれ以外の神経科医では、いずれも精神的消耗度は中レベルで、仕事の達成感は脳卒中専門医が高かった。

・年齢と精神的消耗度は比例関係にあり、

・女性神経科医は仕事の達成感レベルが低かった。

神経科医の燃え尽き症候群は4割にみられ、他の報告と一致していた。脳卒中の専門医と外来患者を主対象とする神経科医とではあきらかな差はみられなかった、


というおはなし。

図:脳卒中専門医の燃え尽き


感想:

日本でも4割↓。これを知っていると医師の冷たさや態度の悪さにいちいちショックを受けなくなる。
患者が死んでも構わない 脳卒中医の4割が「燃え尽き症候群」

2019年3月2日

半球間抑制のアンバランスは片麻痺の原因ではなかった


Rethinking interhemispheric imbalance as a target for stroke neurorehabilitation
2019  2月  アメリカ

半球間競合モデル(interhemispheric-competition model)によると、左右の脳半球は平常時には脳梁を介して互いの働きを抑制しあいバランスを保っている。

ところが脳卒中で健常な側への抑制がはずれると、損傷脳半球への抑制が過剰にはたらき さらにひどい片麻痺におちいってしまう と考えられている。

このアンバランスな状態を正すことが脳卒中の運動機能回復につながると信じられていて、さまざまな脳刺激法(rTMSやtDCSなど)が試されている。

しかしこれまでのアンバランスな半球間抑制の報告は慢性期の患者ばかりである。

さらに2017年の112の研究のメタアナリシスでは 健常脳半球の過剰興奮を裏付けるエビデンスは1つもみつかっていない。

そこで、ほんとうにアンバランスな半球間抑制が急性期にも存在していて運動機能の回復と関連するものなのか、たしかめてみたそうな。



脳梗塞患者22人と健常者11人について、

半球間抑制の程度を ダブルパルスTMSパラダイムで評価し、運動機能との関連を調べた。

これを1年間、計5回(1,4,12,24,54週目)フォローしたところ、



次のことがわかった。

・指の運動に際する半球間抑制は急性期や亜急性期には正常レベルにあり、その異常は慢性期にのみ確認することができた。

・半球間抑制の影響は運動能力が回復するにしたがいひどくなった。

・さらにこの半球間抑制の程度は運動機能の種類(FMA、力、器用さ)のいずれとも関連を示さず、

・慢性期に向かって半球間抑制のアンバランスさが目立つにつれ、指の器用さの回復幅もわるくなっていった。

これらの結果から、半球間抑制のアンバランスさは片麻痺の回復がよくない原因というよりはむしろ回復結果の反映と考えられる。半球間抑制のバランスを正すことがはたして運動機能の回復につながるのかは おおいに疑問である、


というおはなし。

図:半球間アンバランス測定


感想:

原因と結果を都合よく勘違いしていたってことなんやね。

「健常脳を抑制したら〇〇が良くなった」という報告がやたら目について、単純化しすぎているな、、とはおもっていたよ。

2019年3月1日

nature.com:1度のカイロプラティックで筋力アップ


The effects of a single session of chiropractic care on strength, cortical drive, and spinal excitability in stroke patients
2019  2月  ニュージーランド

カイロプラティックはホリスティックな概念の治療法で、脊椎全体にたいしてサブラクセーション(subluxation)という手技をもちいて各椎体のズレを調節することが問題の解決につながるとされている。

カイロプラティックによる筋力強化や中枢神経系への影響の報告がいくつかあるので、脳卒中患者の弱った筋力についてその効果の有無を検証してみたそうな。


慢性期の脳卒中患者12人について、

1回のカイロプラティック施術の前後での足底屈筋力および
V-波(volitional waves:皮質からの信号)
H-波(Hoffman reflex:脊髄反射)
を測定して、

コントロール(同じ施術環境でのサブラクセーションだけを行わない)と比べたところ、


次のようになった。

・カイロプラティックにより足底屈筋力があきらかに強くなった。

・V-波も強くなり、H-波に変化はなかった。

1回のカイロプラティックにより足底屈筋力が増強した。皮質レベルでの変化があったと考えられる、


というおはなし。

図:カイロプラティックの足底屈筋力効果


感想:

被験者にはブラインドになっているみたいだけど、施術者はあきらかに確信的なわけで、その立ち居振る舞いにはあふれんばかりの自信がにじみ出ているはず。
それがもたらす強力なプラシボ効果だと考える。

けど 入院していたときにひたすら仙骨をいじるだけの療法士に出会い、肩の痛みを一瞬で治してもらったことがあるので あなどれない。

命をかけて↓いちかばちかでやってみる価値はあるのかも。
カイロプラティックが原因の頸部動脈解離

[動画]カイロプラクティックに行って脳梗塞で死んでしまった若者にまつわるストーリー

カイロや整体院で首をボキボキッってやるやつ あれ脳卒中のもとかもよ

2019年2月28日

脳が老ける年数 Lancet Neurol.


Incidence and prevalence of dementia associated with transient ischaemic attack and stroke- analysis of the population-based Oxford Vascular Study
2019  2月  イギリス

脳卒中を経験すると認知症のリスクがおよそ10年の加齢に相当するぶんすすむと考えられている。しかし脳卒中の重症度を考慮しての認知症リスクについての調査はほとんどない。

そこで、重症 軽症の脳卒中およびTIA患者の認知症リスクを大規模にしらべてみたそうな。


イギリス オックスフォード住民92728人を10年間フォローした研究データを解析したところ、


次のことがわかった。

・2305人の脳卒中またはTIAの患者が発生した。30%がTIAで70%が脳卒中だった。

・脳卒中以前に認知症と診断された者は225人で、のちの脳卒中の重症度が高い者に多かった。

・残りの2080人のうち432人が脳卒中後5年間に認知症と診断された。

・脳卒中後1年間での認知症率は、重症脳卒中の34.4%、軽症脳卒中の8.2%、TIAでは5.2%だった。

・年齢や性別のおなじ一般人と比べたときの認知症率は、重症脳卒中47.3倍、軽症脳卒中5.8倍、TIA3.5倍で、

・脳卒中やTIAが起きなかった場合の老化に要する年数をそれぞれ25年、4年、2年、先取りしていることに相当した。

脳卒中やTIA後の認知症のなりやすさは重症度によりおおきくことなり、重度の脳卒中のばあい一般人の50倍の認知症率だった。しかし軽症脳卒中やTIAのそれはずっと低かった、


というおはなし。

図:脳卒中 TIA後の認知症率


感想:

脳卒中ゆえに認知症なのか、認知症になるような人が脳卒中になるのか、そう単純ではないようだ。
若年脳卒中患者は脳の老化が10-20年進んでいた

2019年2月27日

脳卒中になる腸内環境


Higher Risk of Stroke Is Correlated With Increased Opportunistic Pathogen Load and Reduced Levels of Butyrate-Producing Bacteria in the Gut
2019  2月  中国

腸内細菌と脳卒中との関連をしめす報告がふえている。

しかし脳卒中になる直前の腸内細菌の状態をしらべた研究はすくない。そこで脳卒中のハイリスクとされる人々の腸内細菌の特徴をくわしくしらべてみたそうな。


60歳以上で脳卒中歴のない141人について、
脳卒中リスク(高血圧、心房細動、糖尿病、脂質異常、喫煙、運動不足、肥満)を評価して LowRisk, MidiumRisk, HighRisk の3グループに分けた。

彼らの糞便を分析して腸内細菌の種類と、それらの代謝産物である短鎖脂肪酸の種類別の量を測定した。


次のようになった。

・低リスクにくらべて高リスクでは、日和見病原体と乳酸産生菌がおおく、酪酸産生菌はすくなかった。

・短鎖脂肪酸である酪酸(Butyrate)の量もまた あきらかにすくなかった。

・他の短鎖脂肪酸の量にグループ間での差はなかった。

脳卒中のハイリスクグループの腸内には日和見病原体がおおいいっぽう、酪酸産生菌がすくなく 酪酸そのものもすくなかった、


というおはなし。

図:脳卒中ハイリスクの腸内細菌産生短鎖脂肪酸


感想:

酪酸は繊維を多く摂ると増える。食物繊維が推奨される理由の1つがこれ。
Hypertension誌:脳動脈瘤は腸内細菌のせい

高血圧は腸内環境のせいだった

脳卒中は腸内細菌に影響し うんこ移植で治る

2019年2月26日

Cell誌:脳卒中/エイズ/遺伝子/ユダヤ人


CCR5 Is a Therapeutic Target for Recovery after Stroke and Traumatic Brain Injury
2019  2月  アメリカ

CCR5はエイズウィルス(HIV)がリンパ球に浸入する際の受容体遺伝子として1996年に発見された。

2016年、CCR5をノックアウトしたネズミで記憶や学習能力 シナプスの可塑性が強化されることが明らかになった。

そこでCCR5が脳卒中治療のターゲットにもなりうるものか たしかめてみたそうな。


1)脳卒中にしたネズミの運動前野にCCR5をノックダウンするRNAウィルスを注入して回復を観察した。

2)CCR5の拮抗薬(エイズ治療薬)でも同様の観察をした。

3)CCR5が機能しない変異(CCR5-Δ32)をもつ人での脳卒中回復度を検証した。


次のようになった。

・脳卒中のあとCCR5の皮質上での発現が増えた。

・CCR5をノックダウンしたネズミの運動機能の回復は速く、樹状突起スパインの維持と複数の神経伝達物質が増加していた。

・CCR5拮抗薬をもちいた場合も同様の運動機能と認知機能の回復がみられた。

・イスラエルでの軽中程度の脳卒中をフォローした臨床試験(TABASCO study)の被験者のうち、CCR5-Δ32をもつ者の神経症状と認知機能の回復度はあきらかにおおきかった。

これらの事実から、CCR5には脳卒中の回復を抑えるはたらきがあると考えられる。マラビロクなどの拮抗薬を使うことで回復を促すことができるようになるかもしれない


というおはなし。

図:CCR5遺伝子と脳卒中回復


感想:

CCR5-Δ32は被験者の15.2%いて、かれらの89.7%はアシュケナージ系のユダヤ人だったと書いてある。(変異のないグループでのアシュケナージ率は57.6%。)

しらべると北ヨーロッパ人にはこの変異の率が高く アシュケナージはとくに高いという

おそらくユダヤ人の知能が高いとされる理由は CCR5の抑制がはずれているから。

さらに CCR5が機能しない変異を持った彼らはエイズを発症しない。

エイズはユダヤ人が人類削減計画のために開発したウィルス兵器であるとする説に若干の信憑性を感じる。


ちなみに中国人科学者が受精卵のゲノム編集でエイズにならないよう設計した双子女児の誕生ニュースがすこしまえにあった。このときのノックダウン対象がCCR5だったという。

2019年2月25日

nature.com:リズム歩行訓練の効果的な時間と頻度


Effects of (music-based) rhythmic auditory cueing training on gait and posture post-stroke- A systematic review & dose-response meta-analysis
2019  2月  インド

音楽のリズムに合わせて歩行訓練をおこなう rhythmic auditory cueing は聴覚と運動機能の結合性を高め、脳卒中患者の損傷脳側の運動皮質のはたらきを活発にするとかんがえられている。

最新の知見を含めたレビューがないので、その効果と適した訓練量についてメタアナリシスをこころみたそうな。


9つの医学データベースから、脳卒中患者へのリズム歩行訓練の臨床試験について、理学療法の臨床試験での信頼性を示す PEDroスケール4以上の研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・患者968人を含む38の研究がみつかった。

・リズム歩行訓練は患者の歩行と姿勢安定にあきらかに効果的で、

・1回あたり20-45分間、週に3-5回おこなうと、

・歩行速度、歩幅、歩調 の改善につながっていた。

脳卒中患者へのリズム歩行訓練をつよく勧めたい、


というおはなし。

図:リズミックキュー 脳卒中歩行リハビリ


感想:

さいきんスマートフォンを胸ポケットにいれて、Youtubeで米津玄師のフラミンゴをリピートしながら歩くようにしている。

2019年2月24日

Stroke誌:脳卒中でなお太ろうとする肥満の率


Achievement of Guideline-Recommended Weight Loss Among Patients With Ischemic Stroke and Obesity
2019  2月  アメリカ

アメリカ成人の38%は肥満であるという。彼らは体重を減らすことで高血圧や糖尿病などの血管リスクをさげることができると考えられている。

いっぽう肥満の脳卒中患者が体重を落とすことによる再発予防効果についてはあきらかなエビデンスはまだない。

ガイドラインでは最低でも5%の減量もしくはBMIが27未満の達成を勧めている。

これに適っている者がどれくらいいるものか、くわしくしらべてみたそうな。


脳卒中後のインスリン抵抗性を調査した臨床試験(IRIS trial)の血糖降下薬をのまなかったプラセボグループ1937人のデータを解析したところ、


次のことがわかった。

・44%が肥満だった。

・1年後、かれらのうち21%が5%以上の減量を達成し、2%はBMI27未満になった。

・しかし14%は体重が5%以上増加した。

・2年後、25%が5%以上の減量を達成し、3%がBMI27未満になった。

・しかし19%は体重が5%以上増加した。

肥満でかつ脳卒中を経験した4人に1人のみが ガイドラインの勧める減量を達成できていた。むしろ5人に1人は体重が増加していた、


というおはなし。

図:肥満で脳卒中


感想:

みなビビってもっと体重落としてるかとおもってた。さらに太るという精神的図太さは見習いたい。

2019年2月23日

降圧薬のうちきりが認知症をふせぐ?


Discontinuation of Antihypertensive Medication, Cognitive Complaints, and Incident Dementia
2019  2月  オランダ

70代の70%以上は高血圧という。彼らの血圧と認知症リスクとの関係は Jシェイプを描き、血圧を下げるとかえって認知障害を起こしやすくなるので降圧薬治療をやめるべきとする考え方がある。

実際に降圧薬治療をうちきった場合の認知症リスクを調査した例はほとんどないので
Prevention of Dementia by Intensive Vascular care trial(preDIVA試験)のデータを用いてくわしくしらべてみたそうな。


preDIVAの被験者7772人のうち降圧薬治療を受けていた70-78歳の1934人を2年毎に6-8年間フォローして、降圧薬の処方を打ち切られた者と
認知症の発生との関連を解析した結果、


次のことがわかった。

・認知症率は 13.4% vs 6.2% で降圧薬治療をやめたグループにおおく発生していた。

・このときの認知症リスクは2.15倍で、血圧や薬の数、脳卒中歴などを考慮するとリスク1.79倍になった。

・死亡率への影響を効果を考慮したモデルでは降圧薬をやめることによる認知症リスクは1.49倍だった。
70代高齢者の降圧薬治療のうちきりはむしろ認知症リスクを上昇させてしまうかも、


というおはなし。

図:


感想:

さきにボケちゃったから医師が薬を停止したケースは気にしなくていいレベルなんだって。
JAMA誌:がんばって血圧下げれば認知症にならない?

2019年2月22日

太極拳が右脳に良い証拠


Effects of Tai Chi on Cerebral Haemodynamics and Health-related Outcomes in Older Community Adults at Risk of Ischaemic Stroke: A Randomized Controlled Trial
2019  2月  中国

太極拳はゆっくりとした連続動作と呼吸や脳内イメージを組み合わせた運動法で、脳卒中のリスク要因を改善できるとする報告もおおく期待されている。

このメカニズムを調べるべく、大規模なランダム化比較試験をおこなったそうな。


脳卒中リスクがあって運動習慣のない55-75歳の170人について、
太極拳グループと比較グループにわけた。

太極拳は1回60分間x週5回x12週間おこなった。
比較グループは通常の生活をつづけてもらった。

12週間後と24週間後に超音波を使った脳内の血流動態測定および血漿成分検査をおこなった。


次のことがわかった。

・12週間後、太極拳グループで右の前大脳動脈の流速および血管抵抗性があきらかに改善し、

・さらに右の中大脳動脈の流速もあきらかな改善をしめした。

・左の動脈流速に変化はなかった。

・また、太極拳グループでは中性脂肪、空腹時血糖値やホモシステインレベルが低下し、

・バランス能力も改善した。

脳卒中リスクのある高齢者への12週間の太極拳エクササイズには 脳内の血行動態や血漿パラメータおよびバランス能力の改善効果が期待できる、


というおはなし。

図:



感想:

なぜ右脳の血流ばかりよくなるのかについての考察がみつからなかった。

そういうものなのか?

2019年2月21日

テロメア長と脳梗塞について 結論


No Causal Effect of Telomere Length on Ischemic Stroke and Its Subtypes- A Mendelian Randomization Study
2019  2月  中国

テロメアは染色体の末端にある塩基列 TTAGGGの繰り返し構造で、細胞分裂の安定化を担いその長さは老化と関連すると考えられている。

これまでテロメア長が短いと脳梗塞になりやすいという報告があるいっぽう それを否定する報告もある。

これはテロメア長と脳梗塞の因果関係の方向を勘違いしているか別の因子によるバイアスの結果とも考えられる。

そこで、これらバイアスの影響を受けずに因果関係をあきらかにする方法としてメンデルランダム化解析(mendelian randomization analysis)をこころみたそうな。


MEGASTROKEコンソーシアム50万人のデータを用いて、

テロメア長に関連する一塩基多型(SNPs)を7つ選択し、これらを変数としてランダム化を行い脳梗塞との関連を解析した。


次のことがわかった。

・テロメア長と脳梗塞とのあいだにあきらかな関連は確認できなかった。

・脳梗塞の種類(アテローム血栓性、心原性塞栓、小血管閉塞)別にみても同様だった。

一塩基多型を変数とする解析ではテロメア長と脳梗塞とのあいだにあきらかな因果関係は認められなかった、


というおはなし。

図:テロメア長に関連するSNPs


感想:

選んだSNPsが知らずのうちに別の形質にも関係しているときには話があやしくなるんだって。

[テロメア]の関連記事

2019年2月20日

ミラーニューロンを使った失語症リハビリ


Aphasia rehabilitation based on mirror neuron theory- a randomized-block-design study of neuropsychology and functional magnetic resonance imaging
2019  2月  中国

ミラーニューロンシステムは他者のジェスチャーの意味を読み取るコミュニケーション上の必要性から発達してきたとする考え方があり、じっさいブローカ野やウェルニッケ野にもまたがっている。

そこで、言語訓練に並行して手の動作を見せることでミラーニューロンシステムが刺激をうけ言語皮質の可塑性が促されて失語症が改善するという仮説を立てた。
これを検証してみたそうな。


慢性期脳卒中で失語症の患者24人をつぎの3グループにわけた。

*動作観察(目的別に手で物を扱うビデオ)+物の呼称を繰り返し
*物体観察(台上で物が回るだけのビデオ)+物の呼称を繰り返し
*通常の言語リハビリ

それぞれ、1回35分間x週5回x2週間 行った。

また、一部の患者と健常者のfMRIを撮り比べた。


次のようになった。

・物体観察グループにくらべ動作観察グループの失語症検査(Western Aphasia Battery)スコアは高く、

・トータルで通常の失語症リハビリにも匹敵し、

・語彙抽出と自発発語の点ではむしろ優れていた。

・fMRIでは 動作観察グループで ブローカ野や ウェルニッケ野 縁上回を含むミラーニューロンシステムがより強く活性化していた。

手の動作観察により言語野をふくむミラーニューロンシステムが活性化され、可塑性がうながされ訓練効果があがったと考えられる、


というおはなし。

図:動作観察 失語リハビリ


感想:

まいどミラーニューロンの万能感。

いちど闘ったあいての技をコピーしてしまう北斗神拳奥義「水影心」もまたミラーニューロンのはたらきなのだろうか。

[ミラーニューロン]の関連記事

2019年2月19日

nature.com:慢性期脳卒中へのトレッドミル訓練


Effects of high intensity speed-based treadmill training on ambulatory function in people with chronic stroke: A preliminary study with long-term follow-up
2019  2月  アメリカ

脳卒中経験者の70%以上は歩行になんらかの問題(速度や対称性など)をかかえるという。この状態が運動不足につながり再発リスクを高めQoLを低下させると考えられる。

これを改善するためにトレッドミルを使った4週間の高強度のインターバルトレーニングの長期効果を検証してみたそうな。


慢性期脳卒中で自立歩行のできる16人について、

1回40分間x週3回x4週間のトレッドミルトレーニングを行った。

トレーニング内容は運動と休憩を繰り返すインターバル方式で歩行可能な最大速度まで取り入れた。

この効果を3ヶ月後までフォローしたところ、


次のようになった。

・トレーニングのあと、最大歩行速度(10m歩行テスト)が19%アップし、歩行耐久性(6分間歩行テスト)は12%向上した。

・これらの改善は3ヶ月間持続した。

トレッドミルを使った高強度インターバルトレーニングは脳卒中経験者の歩行訓練に効果的である、


というおはなし。

図:脳卒中経験者の歩行速度


感想:

脳卒中リハビリテーション研究でよくあるトリックがここでも用いられている。

上の表をみると訓練開始の時点で被験者の歩行速度はすでに秒速1mに達している。
時速3.6km相当だから健常者よりもほんの少し遅いのかもしれない。

かれらをトレーニングして速度アップしたからといって いったいなにがすごいのか?

このように元気な脳卒中経験者を事前選抜することでリハビリテーションの効果や実績は簡単に創ることができる。

2019年2月18日

片頭痛は発症年齢が重要だった


Migraine Age of Onset and Association With Ischemic Stroke in Late Life- 20 Years Follow-Up in ARIC
2019  1月  アメリカ
片頭痛は若くして始まることがおおい。とくに前兆(閃輝暗点ともいう視界異常)をともなうばあいのちの脳梗塞リスクが高いとされ、若い女性におおくみられるという。

そこで、前兆付き片頭痛が若いうちに始まった場合に その後の累積効果でより脳梗塞になりやすくなるものなのか、くわしくしらべてみたそうな。


1993-1995年に11592人への片頭痛歴の調査をおこない、
脳卒中の発生を20年間フォローして関連を解析した結果、

次のことがわかった。

・447人に前兆付き片頭痛歴があり、1128人には前兆のない片頭痛歴があった。

・頭痛のないグループにくらべ、50歳を過ぎてから前兆付き片頭痛が始まったグループの脳梗塞リスクはあきらかに高く、2.17倍だった。

・前兆付き片頭痛が50歳未満で始まったグループでは脳卒中との関連はみられなかった。

・前兆のない片頭痛は年齢によらず脳卒中との関連はなかった。

・この間の脳卒中発生率は、前兆付き片頭痛で8.27%、前兆なし片頭痛は4.25%だった。

頭痛なしにくらべ 晩年になってから前兆付き片頭痛がはじまった者の脳卒中リスクがあきらかに高かった。若いうちに前兆付き片頭痛が始まったからといってのちに脳卒中になりやすいわけではなかった、


というおはなし。

図:前兆付き片頭痛の脳卒中リスクと年齢


感想:

うえのグラフみると 初めての片頭痛の発生時期が50歳をすぎたあたりから急激に脳卒中の可能性がたかまっている。

前兆付き片頭痛が示す「何か」が長年つもりつもって悪さをする というわけではないようだ。

2019年2月17日

怒りや敵愾心(てきがいしん)と脳卒中


Anger, hostility and risk of stroke- a meta-analysis of cohort studies
2019  2月  中国

怒りや敵愾心といった感情が冠動脈疾患リスクや回復度に影響するとする報告がいくつもある。

脳卒中との関連についての報告も増えてきてはいるがそれらの結論は必ずしも一致していない。

そこで脳卒中との関連について これまでの研究のメタアナリシスをこころみたそうな。


関連する研究論文を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者52277人を含む10の研究がみつかった。

・怒りや敵愾心レベルと脳卒中リスクとの間にあきらかな関連はみられなかった。

・ただし社会経済的地位の高いグループを除くと有意な関連がみられリスク1.30倍となった。

怒りや敵愾心は全体として脳卒中リスクを高めるものではなかったが、社会経済的地位の低い人々に限定すると正の関連が確認できた、


というおはなし。

図:怒り


感想:

金銭や能力に余裕があると、隣近所や職場に我慢がならなくなったら引っ越しや転職が比較的容易にできる。

これができないと酒やタバコ 過食に走ったり、ストレスホルモンがあがって炎症がすすみ血管がもろくなり血小板反応も高まる、ということ。

怒るから脳卒中なのか それとも脳卒中だから怒るのか

争おうとする意気込みの強いひとは脳卒中リスク2倍以上

怒りと脳卒中との関連が明らかに

2019年2月16日

上肢痙縮になる患者の特徴


Predictors of upper limb spasticity after stroke- A systematic review and meta-analysis
2019  2月  イギリス

脳卒中患者の上肢に麻痺がある場合、痙縮は3日時点で25%に 12ヶ月後には46%に見られるという報告がある。

また 痙縮がある脳卒中患者の医療コストは4倍になるという。

上肢が痙縮になりやすい脳卒中患者の特徴をしらべたいままでのシステマチックレビューに質の高いものが見つからなかったので あらためてメタアナリシスをこころみたそうな。


これまでの関連する研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者856人を含む10の研究がみつかった。

・1ヶ月時点での痙縮のあきらかな予測因子は、オッズ比の大きい順に 運動障害、感覚麻痺、脳出血、年齢だった。

・6ヶ月時点では 運動障害のみが痙縮の予測因子として残った。
運動障害、感覚麻痺、脳出血、高齢が痙縮になりやすい脳卒中患者の特徴だった、


というおはなし。
図:痙縮の予測因子


感想:

「脳出血」が意外だった。

2019年2月15日

Stroke誌:人工甘味飲料でラクナ梗塞2倍


Artificially Sweetened Beverages and Stroke, Coronary Heart Disease, and All-Cause Mortality in the Women’s Health Initiative
2019  2月  アメリカ

砂糖飲料と心血管疾患との関連はよく調べられている。いっぽう人工甘味飲料と心血管疾患との関連についての調査は限定的でかつ結論に一致をみていない。

そこで 閉経後女性10万人を対象とした健康調査(Women’s Health Initiative study)のデータを用いて、脳卒中の種類別にその関連をしらべてみたそうな。


50-79歳の女性93676人を12年間フォローした結果、


次のことがわかった。

・64.1%は人工甘味飲料はまったく摂らないか週1回未満で、5.1%のみが1日2回以上摂っていた。

・人工甘味飲料をほとんど摂らない群にくらべもっとも多く摂る群の脳卒中リスクはあきらかに高く、

・脳卒中全体でリスク1.23倍、脳梗塞は1.31倍だった。脳出血のあきらかなリスク上昇はなかった。

・糖尿病や心血管疾患歴がなくても人工甘味飲料を高頻度に摂る者のラクナ梗塞( small artery occlusion)リスクは2.44倍だった。

・これらの関連はBMI30以上の者で顕著だった。
人工甘味飲料を多く摂る者は脳梗塞のリスクが高く、とくにラクナ梗塞になりやすかった、


というおはなし。

図:人工甘味飲料とラクナ梗塞リスク


感想:

おデブさんほどカロリーを気にして積極的に人工甘味飲料を摂るから、、、という影響もあるようだ。

Stroke誌:ダイエットコーラで脳卒中と認知症が3倍に

2019年2月14日

脳卒中になる人の歩行ペース


Abstract TP520- Walking Pace and the Risk of Stroke- A Dose-Response Meta-Analysis
2019  2月  中国

歩行のペースと脳卒中リスクとの関連について、これまでの研究をメタアナリシスしてみたそうな。

先週の国際脳卒中会議2019ホノルル での上海大学の発表。


関係する研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者136117人、脳卒中患者2254人を含む8の研究がみつかった。

・歩行ペースがもっとも速いグループに対するもっとも遅いグループの脳卒中リスクは1.84倍だった。

・歩行ペースが4km/hを下回る領域では1km/h遅くなるごとに脳卒中リスクが19%高くなった。

・ただし歩行ペースが4km/hより速くてもあきらかなリスクの変化はなかった。

・この関連は脳卒中の種類や性別によらなかった。
歩行ペースが4km/h を下回るひとは脳卒中リスクがあきらかに高かった、


というおはなし。
図:歩行

感想:

たしかに歩くのが遅かった。
自分は歩きが遅い!と自覚するひとは脳卒中の素質あり

2019年2月13日

脳卒中のあと がんになりやすいは本当?


Cancer risk in stroke survivors followed for up to 10 years in general practices in Germany
2019  2月  ドイツ

近年、がんの診断のあとに血液の凝固性亢進や腫瘍そのものによる影響で脳卒中になるリスクが高まるとする報告がふえてきた。

いっぽう脳卒中の診断のあとにがんになるリスクが高まるとする報告はあまりない。

そこで、ドイツの10年間の一般診療データをもちいて脳卒中後のがん発生との関連を大規模にしらべてみたそうな。


2006-2015の患者データベースから年齢条件のひとしい脳卒中(脳梗塞)経験のある者、ない者を男女べつにそれぞれ9579人、9089人ずつ抽出して(計37336人)、
10年間のがんの発生との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・男性では脳卒中経験者の29.3%が、非脳卒中経験者の23.8%ががんと診断された。

・女性では脳卒中経験者の25.0%が、非脳卒中経験者の20.5%ががんと診断された。

・脳卒中の診断とがんの発生はあきらかに相関があり、男性でリスク1.18倍、女性では1.22倍になった。

・この関連は男女ともに呼吸器や胸郭内のがんで顕著で、消化器のがんは男性でおおかった。

脳卒中を経験するとがんになるリスクがあきらかに高くなった、


というおはなし。

図:脳卒中後のがんリスク


感想:

この論文にはデータなかったけど、たぶんアルコールが共通の原因じゃないかな。
脳卒中後のがんは6ヶ月以内にみつかりすでに手遅れ

2019年2月12日

刺激密度が高いときの半側空間無視


Visuospatial neglect is more severe when stimulus density is large
2019  2月  オランダ

半側空間無視は左右視空間への注意のバランスが崩れた状態をさす。評価方法として視覚走査をともなうキャンセレーション課題が用いられるが、これは作業記憶への依存がおおきく状況限定的で実生活を反映していない。

たとえば左に1個 右に0個の対象物がある場合と、左に35個 右に34個ある場合では、いずれも1個のちがいではあるが対象の刺激密度はあきらかにことなる。

刺激密度を考慮した半側空間無視の研究は非常にすくなく一致した見解が得られていない。そこで作業記憶に依存しない評価方法を考案し、刺激密度の半側空間無視への影響を大規模にしらべてみたそうな。


脳卒中患者207人について、

スクリーン上の左右に個数のことなるオブジェクト(小さな円)を同時に表示して、左右のどちらに個数がおおいかを答えさせる課題を条件を変えながら80回試行した。

それらのエラー率を解析したところ、


次のことがわかった。

・事前の検査で、患者全体の18.8%が半側空間無視を示し、そのうちの84.6%は損傷脳半球の対側への無視、15.4%は同側への無視症状を示した。

・エラー率はオブジェクトの個数が増えるほど高くなり、

・この影響は半側空間無視の患者で顕著で、

・とくに損傷脳半球の対側に多くのオブジェクトが提示されたときにつよかった。

半側空間無視の症状は刺激密度が高まるほど よりあきらかになった。日常生活への影響はこの傾向を加味するべきだろう、


というおはなし。

図:刺激密度と半側空間無視

感想:

いままで無視症状を指摘されたことはないんだけど、さいきんでもまれに左から突然車が現れてびっくりすることがある。

テレポーテーションじゃないかと思うほどおどろく。

2019年2月11日

若年者が脳卒中になる理由


AHA News- High Blood Pressure Top Risk Factor for Stroke in Young Adults - Health News - US News
2019  2月  アメリカ

脳卒中は65歳以上におおい。

全体的として発生率は低下傾向にあるいっぽう、若年者の脳卒中発生率は上昇傾向にあるという。

この背景をくわしくしらべてみたそうな。先週のホノルル国際脳卒中会議2019 での発表。


北カルフォルニアの健康保険データベースをつかって、出生後ひと月から49年の若年者について最近15年間のデータを抽出して、

脳卒中のリスク要因である 高血圧、糖尿病、喫煙、肥満、高コレステロールとの関連を 年齢の等しい脳卒中経験者と非経験者についてくらべたところ、


次のことがわかった。

・高血圧や他のリスク要因をもつ場合、20代に入ると脳卒中のなりやすさがあきらかに上昇し、

・次の20年間にかなりなレベルに達する。

・リスク要因が2つ以上ある場合、30-40代での脳卒中のなりやすさはリスク要因のない者の10倍に達した。

30-40代であっても高血圧などのリスク要因のある者の脳卒中のなりやすさは 同年齢の健常者にくらべ非常に高かった、


というおはなし。

図:


感想:

若年者での脳卒中比率があがっているとする説明にはなっていないな。

中学生のころから血圧高いといわれてきた身としては、早くに降圧薬治療をうけていればよかった、、とはまったくおもっていない。

そういう体質なんだから健診のたびに呼び出して説教したりしないでほしかった。

2019年2月10日

80代の認知を正す「遠隔虚血コンディショニング」


Efficacy of remote ischemic conditioning on improving WMHs and cognition in very elderly patients with intracranial atherosclerotic stenosis
2019  1月  中国

MRIで観察できる脳の白質病変は のちの認知障害や脳卒中のリスクとされている。

白質病変の原因はよくわかっていない。近年、とくにアジアで脳動脈の狭窄による慢性的な脳の虚血状態が認知障害や脳卒中を起こすとされ、白質病変との関連を示す報告が増えている。

白質病変の有効な治療法はいまだない。

いっぽう腕や脚を一時的に虚血 再還流することにより全身の虚血耐性を高めるとする「遠隔虚血コンディショニング」が注目をあつめ多くの報告があがってきている。

そこで、脳動脈に狭窄のある80代を対象として長期の遠隔虚血コンディショニング(RIC : remote ischemic conditioning)による白質病変および認知機能への影響をくわしくしらべてみたそうな。


頭蓋内の動脈に狭窄のある平均年齢84の患者58人を2グループにわけ、いっぽうにはRICを施した。

RICは、両腕に巻いたカフに200mmHgの圧力をかけ血流を5分間とめ 5分間再還流の5セットを 1日に2回行い、
300日間継続した。

コントロールの偽のRICグループではカフ圧を30mmHgとした。

180日後、300日後の白質病変および認知機能の程度をそれぞれ複数の指標で評価したところ、


次のことがわかった。

・RICグループでは、180日、300日後の白質病変スコアがあきらかに低下した。コントロールグループではこのような低下はみられなかった。

・認知機能スコアは180日、300日後いずれもRICグループで統計学的有意にすぐれていた。

遠隔虚血コンディショニングは超高齢者の白質病変の進行を抑え 認知障害を改善できる有望な治療法かも


というおはなし。

図:遠隔虚血コンディショニングのやり方

感想:

これ、なにげにすごいことだと思うんだけど。

[遠隔虚血コンディショニング]の関連記事

2019年2月9日

うつや無気力になる脳の損傷位置


The Influence of Stroke Location on Cognitive and Mood Impairment. A Voxel-Based Lesion-Symptom Mapping Study
2019  2月  フランス

脳卒中患者のうつや無気力 認知障害などは見た目にはわからないハンディキャップである。

脳の損傷位置とこれら障害との関連はあきらかになっていない。

そこで、頭部ボリュームデータの全ボクセルについてこれら障害との関連をしらべるvoxel-based lesion-symptom mapping (VLSM)という手法をもちいて大規模に解析してみたそうな。


重症でない脳梗塞患者265人の頭部全体のMRIを撮った。

3ヶ月後の
うつ 不安スコア(HAD:Hospital Anxiety and Depression scale)、
無気力スコア(AI:apathy inventory) および

認知機能スコア(MoCA:Montreal Cognitive Assessment)
をしらべ関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・梗塞の位置とHADおよびAIスコアとの関連はみられなかった。

・言語や記憶に関するパフォーマンスは左脳の損傷と関連し、

・両側に損傷のある場合は視空間や実行機能 注意力の低下がおおきかった。

うつや不安 無気力といった気分障害と梗塞位置との関連は確認できなかったが、一部の認知機能との関連はみられた。


というおはなし。

図:損傷位置と認知機能


感想:

うつや無気力は局所的なもんだいじゃぁないってこと。

2019年2月8日

JAMA誌:がんばって血圧下げれば認知症にならない?


Effect of Intensive vs Standard Blood Pressure Control on Probable Dementia- A Randomized Clinical Trial
2019  1月  アメリカ

認知症を防ぐ有効な方法はまだない。

65歳以上の75%は高血圧である。そして高血圧は認知症リスクの1つであることから、

血圧を通常の目標値よりもさらに積極的にさげることで認知症の発生率を改善できるものか、大規模にしらべてみたそうな。


アメリカ 102の病院の、高血圧の外来患者で糖尿病や脳卒中歴のない9361人を2グループにわけて、

収縮期血圧を 120mmHgまたは 140mmHgを目標に降圧薬治療をほどこした。

認知症の発生を5年以上にわたりフォローしたところ、


次のようになった。

・彼らの平均年齢は68、

・認知症の発生率はそれぞれ、年間1000人あたり7.2人 vs. 8.6人で、

・統計学的有意な差とは言えなかった。

高血圧患者の収縮期血圧を120mmHgにまで下げたところで 認知症リスクのあきらかな低下は見られなかった、


というおはなし。

図:高血圧治療と認知症


感想:

降圧薬しばらく飲んでたけど、血圧下げると脳の血の巡りが悪くなってかえってボケが進むと思うんだよね。

じっさいそういった報告もある。↓
Effects of Low Blood Pressure in Cognitively Impaired Elderly Patients Treated With Antihypertensive Drugs

Low systolic blood pressure is associated with impaired cognitive function in the oldest old: longitudinal observations in a population-based sample 80 years and older

2019年2月7日

脳卒中なのに救急車を呼ばない理由


Why more people don't call 911 when stroke symptoms hit
2019  1月  アメリカ

これまでの調査では脳卒中患者のおよそ3人に1人以上が救急車を使わないことがわかっている。

その理由をしらべてみたそうな。

ホノルルでの国際脳卒中会議2019 南フロリダ病院の発表。


救急車以外の方法で入院してきた脳卒中患者38人に面談して理由をたずねたところ、


次のことがわかった。

・もっともおおかったのは「かかりつけの病院があって、救急車だとどこの病院につれてゆかれるか不安だから」という理由で3分の1を占めていた。

・次いで「救急の事態とは思わなかった」

・「自分や家族の運転のほうが救急車よりもはやく病院に着けると考えたから」、という順だった。

・ガイドラインでは急性脳梗塞がうたがわれる場合には血栓溶解治療のできる最寄りの病院へ連れてゆくことになっていて、

・患者による病院指定があっても救急医師は断る権利を有する、とされている。

"Time is brain" であることをもっと周知するべき、


というおはなし。

図:救急車


感想:

都会だと病院おおいしどこもレベルが高そうだけど、田舎にいると選択肢が極端にせまくなって「死んでもいいからここにだけは入れないでくれ」と思うような病院ばかりになってくる。

だから2度めがあったら 自分もたぶん呼ばない。

2019年2月6日

銀行員が人前でマスターベーション →前頭葉の梗塞でした


Behavioural changes as the first manifestation of a silent frontal lobe stroke - BMJ Case Reports
2019  1月  スペイン
前頭葉の梗塞はその発症率の低さもあって どんな症状を示すのか もしくは症状がないのか、についてじつはよくわかっていない。

あきらかな行動異常をしめした前頭葉梗塞の患者がみつかったそうな。


・67歳の男性が家族に付き添われて入院してきた。

・家族の報告ではこの2週間で急に人格が変わってしまった、とのこと。

・彼は銀行でマネージャーとして勤めていた。

・まずテーブルマナーが乱れ、食事中に卑猥な言葉を発するようになった。

・やがて家族のまえで臆することなくマスターベーションをはじめた。

・彼は自身の行動の異常さをまったく意識していない様子だった。

・彼には高血圧と糖尿病の持病がありそれらの薬はのんでいた。

・CTとMRI検査の結果、前頭葉に5.5×2×6cmの梗塞がみつかった。

・アスピリンを与えて1週間ほど入院しているうちに状態はよくなった。
前頭葉の病気は診断がむつかしく見過ごされることが少なくない、行動異常に気づく家族の報告は貴重である、


というおはなし。

図:前頭葉の梗塞


感想:

さいきん ダイバーシティの名のもとに特異な性癖をもった人々の権利を積極的に認めようとする風潮があるけど、彼らは前頭葉が壊れているだけかもしれんね。

2019年2月5日

なぜ幹細胞治療に魅せられるのか?


Stroke survivor attitudes toward, and motivations for, considering experimental stem cell treatments
2019  2月  オーストラリア
脳卒中経験者のおよそ3分の1は身体的 認知機能的に障害をかかえることになる。

幹細胞治療は将来的に期待のできる選択肢の1つではあるが、すくなくともアメリカ、イギリス、オーストラリアでは臨床応用は認可されていない。

いっぽうアジア、ロシア、南アメリカでは個人経営のクリニックで実験的に幹細胞治療を受けることができる。

しかし幹細胞治療にはガンやてんかん発作 さらなる脳卒中をおこす危険性があり、
これまで行われた臨床試験でも比較対照群をもうけた信頼性の高い研究はほとんどない状況である。

そこで 効果や安全性のさだかでない幹細胞治療に魅せられる脳卒中経験者の特徴をしらべてみたそうな。


オーストラリアの脳卒中経験者183人からアンケートを回収したところ、


次のことがわかった。

・25%の脳卒中経験者が幹細胞治療に前向きだった。

・しかし57.4%はこの治療法についてまったく知らなかった。

・彼らはテレビやネットがおもな情報源で、医師や看護師に相談したことがあるものは3.8%に過ぎなかった。

・同様に ほとんどの者が 安全性や効果、利用できる施設やコストについて知らなかった。

・脳卒中経験が長く、身体機能に障害のある、若年で、介護者の負担がおおきい場合に、幹細胞治療に前向きになりやすかった。

脳卒中経験者のなかにはその安全性や費用 効果をよく知らないままに個人クリニックで幹細胞治療を受けようとする者がいた。
医療関係者には正しい情報を伝える努力が求められている、


というおはなし。

図:3バイオの株価チャート


感想:

脳梗塞の幹細胞治療薬の開発をうたっていた日本のバイオ企業の株価が今月にはいって暴落した。

株価最高潮のころの臨床試験報告を読むかぎり、感心できる点はなにもなかった。↓
慢性期脳卒中への幹細胞治療 その後
にもかかわらず有望株としてもてはやされていたことから、世論をあおる影響力をもったこわ~いバックがいるはずで、やたらなことは書けないな、、、とは思っていた。

2019年2月4日

電子タバコの脳卒中リスク


Stroke Risk Higher Among E-Cigarette Users, Study Finds - Shots - Health News - NPR
2019  1月  アメリカ

いっぱんに電子タバコは通常のタバコにくらべて害がとても少ないと考えられている。そのためかアメリカの高校生の間では2011-2015に電子タバコ使用者が900%増加した。

そこで電子タバコの害、とくに脳卒中と心臓発作について大規模にしらべてみたそうな。ホノルルでの国際脳卒中会議2019 カンザス大学の発表。


50州 18歳以上の40万人にアンケートしたところ、


次のことがわかった。

・66795人が少なくとも1回、電子タバコを使用していた。

・非使用者にくらべて彼らの脳卒中リスクは71%、心臓発作リスクは59%高かった。

・電子タバコ使用者は通常のタバコも使用していることがおおいので、電子タバコのみの使用者について解析したところ、

・脳卒中リスクは29%、心臓発作リスクは25%高かった。

・使用頻度についてはデータがなく用量関係は不明。

電子タバコはそれのみの使用であっても脳卒中や心臓発作のリスクがあきらかに高くなった。通常のタバコも併用した場合は、リスクがさらに高くなると考えられた、


というおはなし。

図:電子タバコと脳卒中

感想:

電子タバコ使ってるひとをみたことがない。

2019年2月3日

「他人の視線」で半側空間無視を治す


Direct Gaze Partially Overcomes Hemispatial Neglect and Captures Spatial Attention
2019  1月  ポルトガル

視線は他者との交流をはかる社会的な合図(social cue)の一つである。とくに自分と視線が合う場合(Direct gaze:直視)は、視線が逸れている場合(Averted gaze:逸視)にくらべて もたらされる注意の優先度が高い。このような傾向は出生時よりあらわれ、無意識下でも反応がみられることがわかっている。

そこで半側空間無視の患者についても 直視でより注意が喚起される可能性を検証してみたそうな。


右脳損傷で半側空間無視のある脳卒中患者8人について、
視覚探索課題をおこなった。

探索対象は目を閉じた写真に混ぜた 目を開けた写真で、
直視の写真または逸視の写真をもちいた。

それぞれのケースでのヒット率、空振り率を評価したところ、


次のようになった。

・被験者は直視の写真を使用したばあいに、あきらかに優れたパフォーマンスを発揮していた。

直視効果によって被験者の注意がうながされ半側空間無視の影響が弱まった、


というおはなし。

図:半側空間無視を直視効果で治す

感想:

ってことは、
左の頬に目立つシールでも貼っておけば左方からの好奇の視線を集めることができて、自然と意識がそちらへ誘導されるようになる。そして半側空間無視が治るんだな。

2019年2月2日

骨折と脳卒中経験で自殺リスクアップ


Fractures as a suicidal behavior risk factor- A nationwide population-based cohort study
2019  1月  台湾

65歳以上の高齢者で脊椎骨折の経験者はすくなくとも3年間 自殺リスクが高いとする報告がある。

もっと広い年齢範囲で骨折と自殺行動との関連をしらべてみたそうな。


国の健康保険データベースから骨折経験のある82804人と他の条件の近い骨折経験のない82804人を抽出して、

自殺行動が理由で病院を訪れたケースとの関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・骨折経験がある場合の調整後の自殺行動リスクは2.21倍だった。

・このリスクは1年間では2.90倍、5年間では2.00倍だった。

・とくに自殺行動リスクが高い条件は、35歳未満、脳卒中経験者、睡眠障害だった。

・複数箇所の骨折を経験している場合のリスクは1.69倍だった。

骨折経験はそれだけで自殺行動のリスク要因だった。なかでも35歳未満、脳卒中や睡眠障害、複数骨折の者はさらにリスクが高かった。この影響はすくなくとも5年以上続いた、


というおはなし。

図:骨折経験と自殺行動


感想:

骨折はそんなにキケンだったのか。

骨折すると心理社会的ストレスに加え、炎症関連サイトカインやミクログリアがどうのこうので、、、だから自殺したくなる、と言っているが そういうものなのか?
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