2019年7月22日

JAMA誌:玉子はんぶん追加すると脳卒中とかで死ぬ


Associations of Dietary Cholesterol or Egg Consumption With Incident Cardiovascular Disease and Mortality
2019  3月  アメリカ

食事コレステロールと脳卒中など心血管疾患との関連についてはこの数十年間いまだ結論にいたっていない。

とくにアメリカ人向け食事ガイドラインが2015年に 通常の食事でのコレステロールの摂取上限を撤廃した時点からこの議論が再燃するようになった。

コレステロールをおおく含む食品は同時に飽和脂肪酸や動物性蛋白質もおおく含む。これら食品別の心血管疾患との関連もあきらかでなく、とくに玉子はLサイズ1個あたりコレステロールを186mg含むとされおもな摂取源となっている。

そこでコレステロールや玉子の摂取量と心血管疾患および死亡リスクとの関連を大規模にしらべてみたそうな。



アメリカ人 計29615人を17.5年間フォローした6種類の調査データを用いて解析したところ、



次のようになった。

・コレステロールと心血管疾患および死亡リスクは用量関係にあり、

・コレステロールが1日あたり300mgふえるごとに心血管疾患リスクは1.17倍、総死亡リスクは1.18倍になった。

・玉子も同様で、1日あたり半個の追加で心血管疾患リスクは1.06倍、総死亡リスクは1.08倍になった。

コレステロールや玉子をおおく摂るほど心血管疾患や死亡するリスクが高くなった、


というおはなし。

図:心血管疾患リスクと1日の玉子の個数



感想:

文春オンラインの記事が話題になっていて関心をもった。

JAMAは世界五大医学雑誌の1つだからツッコむスキがみつからない。

研究者ごとに結果が180度変わるようなテーマというのは、もともと因果関係のあやしい些細なもんだい ってことと理解している。

じっさいどれも↓結論がよわい。
玉子とコレステロールとapoE4と脳卒中

食事コレステロールがおおいひとの脳卒中リスク

まいにち玉子を食べるアジア人の脳卒中リスクは

玉子のコレステロールで血管詰まる説はなんだったのか?

2019年7月21日

脳卒中後の腸内細菌を長期観察


Persistence of Gut Microbiota Dysbiosis and Chronic Systemic Inflammation After Cerebral Infarction in Cynomolgus Monkeys
2019  6月  中国
腸脳軸(gut–brain axis)は免疫システムを介した腸と脳の双方向コミュニケーションを意味する。

脳卒中を経験すると腸内細菌の多様性やそれらの生成物、炎症因子のバランスがおおきく崩れるディスバイオシス(dysbiosis)がみられるという報告がふえている。

しかしこれら研究のおおくはネズミをつかった実験でしかもフォロー期間が短いためヒトへの解釈には制約がおおきい。

霊長類をつかえば免疫システムや遺伝構造、食事形態、神経系、消化管構造がヒトに近くネズミよりも参考になる。

そこでサルをつかって長期に腸内細菌叢の変化をしらべてみたそうな。



カニクイザル12頭のうち8頭を人為的に脳梗塞にした。4頭は手術のみでコントロールとした。

脳梗塞グループは1.5ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後に解剖して
腸内細菌叢およびその生成物である短鎖脂肪酸(酪酸butylateなど)や
炎症因子(D-lactate, zonulin,LPS, TNF-α,IFN-γ,IL-6)および
腸粘膜を組織分析した。



次のことがわかった。

・脳梗塞のあと腸内細菌の バクテロイデス、プレボテラがあきらかに増加して、フィルミクテス、フィーカリバクテリウム、オスシロスピラ、ラクトバシラスが減少した。

・6,12ヶ月後に腸内で産生される短鎖脂肪酸のおおきな減少がみられた。

・腸粘膜のダメージが確認され、

・調査した炎症因子のほとんどであきらかな増加があり、これらはバクテロイデスの増加と一致していた。

脳梗塞にしたサルで腸内細菌の多様性バランスが崩れ、腸粘膜が損傷し、全身性の炎症が確認された、


というおはなし。
図:腸内酪酸 脳卒中



感想:

1年経ってもおおきな影響があるのか。

腸内を整えるべく4月にヨーグルトメーカーを買ってから毎日0.5Lたべている。
すでにうんこ無臭化と便秘無縁を達成した。
脳卒中での腸内細菌の変化

脳卒中になる腸内環境

脳卒中は腸内細菌に影響し うんこ移植で治る

2019年7月20日

風力発電で脳卒中がふえる?


Association Between Long-Term Exposure to Wind Turbine Noise and the Risk of Stroke- Data From the Danish Nurse Cohort
2019  7月  デンマーク

交通(自動車、鉄道、飛行機)ノイズが高齢者の脳卒中リスク要因であることがわかっている。

ノイズによるストレスが全身によわい炎症反応をひきおこし最終的にコルチゾールが心房筋細胞に影響して脳卒中にいたるとも 考えられている。

風力発電ノイズ(wind turbine noise)についても同様の影響が予想されるが、これまで調査は1件しかなくサンプル数もすくない。

デンマークは2016時点で総電力の37.6%を風力でまかなっており2021までに50%超えを目指している。

さらに国民の12%が風力発電機から6キロ以内に居住していて、風力発電ノイズの健康への影響が関心の的になっている。

そこで 風力発電ノイズと脳卒中との関連を大規模にしらべてみたそうな。



デンマークの44歳以上の女性看護師23912人をおよそ20年間フォローした調査記録をもちいて、

風力発電ノイズ、交通ノイズ、大気汚染と脳卒中の発生との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・この間に1097の脳卒中がおきた。

・調査開始の1982年、居住地から6キロ以内に1基以上の風力発電機のある者は10.3%で、2013年には13.3%になっていた。

・風力発電ノイズのおおきさの平均は26.3dBだった。

・風力発電ノイズへの暴露期間を考慮しても脳卒中発生率とのあいだに関連はみられなかった。

風力発電ノイズへの長期暴露と脳卒中との関連は確認できなかった、


というおはなし。

図:風力発電



感想:

コペンハーゲン大学、国策に反するような結論はだせんわな。

福島医大ですら甲状腺がんふえても因果関係みとめないし、、
飛行機の騒音と脳卒中

交通騒音で頸動脈壁が厚くなるは本当か

交通騒音と脳卒中について

道路交通騒音と大気汚染 脳卒中的にどっちが深刻なのか

空港の近所に住んでいると脳卒中になりやすい

2019年7月19日

脳卒中やったひとの障害余命


Disabled life expectancy with and without stroke- a 10-year Japanese prospective cohort study
2019  7月  日本

日本で脳卒中は死亡原因の4位である。脳卒中経験者の3分の1は永続的になんらかの障害を負うという。

平均寿命が長い日本では彼らへの長期のケアが必要になり社会経済的な負担もおおきい。

そこで障害をもった状態での余命(disabled life expectancy)が脳卒中経験の有無でどのくらいかわるものなのか くわしくしらべてみたそうな。



1999-2009に日本大学がおこなった Nihon University Japanese Longitudinal Study of Aging (NUJLSOA)のデータを用いて解析した。

障害の有無はADL(入浴、着替え、ベッド移動、歩行、外出、トイレ)と
IADL(食事の準備、買い物、金銭管理、電話の使用、軽い家事、交通機関の使用、服薬)のいずれか1つが困難な場合とした。



次のことがわかった。

・もともと障害のなかった者が脳卒中を経験したばあい、65歳時点での平均余命は、脳卒中非経験者にくらべて、トータルで3年短く、障害フリーな年数(健康余命)は4-5年短く、有障害状態での年数は1-2年おおいと推定された。

・調査開始時点ですでに障害があった者では状況は若干わるかった。

脳卒中を経験した高齢者のトータルの平均余命と健康余命は 脳卒中非経験者にくらべ数年短く、障害余命は1-2年長いと考えられた、


というおはなし。

図:脳卒中 障害


感想:

たいした違いに思えない。高齢者にとって脳卒中はおもったより悲惨な病気ではないのかもしれない。
脳卒中 縮む余命は 約10年

2019年7月18日

小脳の梗塞で感情を読み取れなくなる?


Cerebellar contribution to vocal emotion decoding- Insights from stroke and neuroimaging
2019  7月  スイス

大脳皮質にふくまれる神経細胞はその体積の20%程度にすぎない いっぽう、小脳はおよそ70%が神経細胞でその数は680億個以上あるという。

小脳と非運動系の機能 とくに感情のはたらきとの関連は70年代に指摘されてはいたものの長らくみすごされてきた。

最近になり小脳と感情認識についての報告がふえ、小脳後部との関連が指摘されている。

音声感情(vocal emotion, emotional prosody)認識についての研究はまだ結論がでていないので小脳梗塞の患者をつかってくわしくしらべてみたそうな。



慢性期の小脳脳卒中患者15人と年齢 性別のいっちする健常者15人について、

感情(怒り、恐怖、幸福、中立、悲しみ、驚き)を載せた音声を聴かせたときの感情認識精度(エラー率)を計測し、小脳の梗塞位置との関連を 病巣-症状マッピング(Voxel‒based Lesion Symptom Mapping)で解析したところ、



次のことがわかった。

・脳卒中患者と健常者であきらかな違いがみられ、とくに「恐怖」を「驚き」と認識するエラー率が非常に高かった。

・これら感情認識エラーは、右小脳の VIIb, VIII , IX での梗塞と関連が見られた。

小脳梗塞の患者は音声から感情を読み取る際に恐怖を驚きと間違えてしまいがちだった。これには小脳後部が関連しているとかんがえられた、


というおはなし。

図:小脳の音声感情認識力


感想:

小脳と感情がからんでるなんて知らなかったよ。
JAMA Neurol.:小脳への磁気刺激で歩行リハビリ

小脳梗塞になった御犬様の症状とは

鍼治療の「得気」は小脳のはたらきだった

小脳、脳幹の梗塞って重症なんですか?

2019年7月17日

脳卒中で長生きに必要な栄養素2つ


Controlling Nutritional Status (CONUT) Score as a Predictor of All-Cause Mortality at 3 Months in Stroke Patients
2019  7月  スペイン

脳卒中患者の栄養不良はめずらしくなく 彼らの回復はわるく死亡率も高いという。

患者の栄養状態は見過ごされがちで 脳卒中に適した栄養評価方法がきまっているわけでもない。

この1-2年間に Controlling Nutritional Status (CONUT)スコアが脳卒中患者の栄養評価に適しているとする報告がNaitoさんとIwakamiさんによってなされた。

これをたしかめるべく3ヶ月後の脳卒中死亡リスクをCONUTスコアで評価してみたそうな。



平均年齢78、急性脳卒中の患者164人を入院時にCONUT評価した。

彼らの3ヶ月後の状態との関連を解析した。

CONUTは血中のアルブミン、リンパ球数、総コレステロール値の3つのみで栄養不良度をスコア化する。それぞれの数値が低いほどスコアは高い。総スコアが0(ゼロ)なら栄養状態は正常。



次のようになった。

・CONUTスコアは 患者の89.6%が低スコア、10.4%が高スコアの栄養不良と分類された。

・3ヶ月後、17.1%(28人)が死亡し このうち28.6%(8人)がCONUTスコア「高」の患者だった。

・時間と生存率とのカーブを描いたところ、CONUTスコア高と低であきらかに異なるパターンがえられた。
CONUTスコアは脳卒中患者の3ヶ月後の総死亡率を反映していた、

図:CONUTスコアと脳卒中生存率



感想:

CONUTスコアしらなかった。

ようするに たんぱく質とコレステロールをがっつり摂っていさえすれば長生きするってこと。わかりやすい。
入院中の栄養不良率 in Japan

脳卒中の栄養療法

脳梗塞になったらたんぱく質をがっつり摂るべき理由

2019年7月16日

サプリメントと脳卒中のアンブレラレビュー


Effects of Nutritional Supplements and Dietary Interventions on Cardiovascular Outcomes- An Umbrella Review and Evidence Map
2019  7月  アメリカ

栄養補助食品(サプリメント)や栄養指導(dietary intervention)の心血管疾患予防効果はいまだあきらかではない。

これらのエビデンスを検証するためにメタアナリシスのメタアナリシスであるアンブレラレビューをこころみたそうな。


関係するランダム化比較試験のメタアナリシスを複数のレビュワーが厳選し データを統合再解析したところ、



次のことがわかった。

・被験者992129を含む、9のシステマティックレビュー、4の新規RCT、105のメタアナリシスを対象とした。

・減塩が正常血圧者の総死亡リスクを下げ 高血圧者の心血管死亡リスクを下げるという中レベルのエビデンスがあった。

・オメガ3多価不飽和脂肪酸が心筋梗塞と冠動脈疾患リスクを下げるという低レベルエビデンスがあった。

・葉酸は脳卒中リスクの低下に関連する低レベルエビデンスがあるいっぽう、カルシウムとビタミンDの組み合わせは脳卒中リスクを上げるという中レベルエビデンスがあった。

・他のサプリメント(ビタミンB6,マルチビタミン、抗酸化物質、鉄)や低脂肪食といった指導には死亡率と心血管疾患へのあきらかな効果は認めれなかった。

減塩、オメガ3多価不飽和脂肪酸、葉酸には若干の心血管疾患予防効果がみとめられた。カルシウムとビタミンDの組み合わせは脳卒中リスクの上昇になるかも、


というおはなし。
図:サプリメント


感想:

塩がサプリメント扱いな点が新鮮だった。

アンブレラレビューといえば、、
理学療法とADLのアンブレラレビュー

2019年7月15日

脳卒中患者にしめるがんの率


Cancer prevalence higher in stroke patients than in the general population; Dutch PSI Stroke study
2019  7月  オランダ

がんと心血管疾患は世界の死因1,2位を占める。がん患者の解剖研究によると15%に脳血管障害の痕跡が確認できたという。

がんがあると血液が凝固亢進状態になり血栓性内膜炎や血管の圧迫がおきる。また治療での放射線や抗がん剤の毒性が脳卒中の原因になりうる。

そこで、脳卒中患者に占めるがんを有する者の率とその種類について大規模にしらべてみたそうな。



脳梗塞またはTIAの患者2736人について、面談と医療歴からがんの有無を判定した。

これを一般人で予想されるがん患者数で割った標準化有病比(Standardized Prevalence Ratio’s:SPR)をがんの種類別にもとめた。


次のようになった。

・12%にがん歴があった。このときのSPRは1.2だった。

・がんの種類別では、中枢神経系がん SPR18.2、頭頸部がんSPR3.4、下部気道がんSPR2.4,尿路がんSPR2.1だった。

・他のがんで一般人よりおおいものはなかった。

・心血管リスク要因、脳卒中の原因、治療、回復いずれもがんの有無でちがいはなかった。
脳卒中患者において、おもに中枢神経系、頭頸部、下部気道、尿路のがんが高率にみられた、


というおはなし。

図:ガン告知



感想:

どっちも老化の病だから高齢になると両方やってもふしぎではない。

最後は脳内出血でむかえたいものだ。
脳卒中のあと がんになりやすいは本当?

脳卒中後のがんは6ヶ月以内にみつかりすでに手遅れ

がんの宣告を受けると脳梗塞になる

軽い脳梗塞とホッとしていたのも束の間 実はガンでしたと告げられる患者の割合と見分け方

若い脳梗塞患者でガンで亡くなってしまう人の特徴

なぜ脳梗塞患者はガンになりやすいのか

2019年7月14日

メタンフェタミンで脳内出血 その予後


Clinical characteristics and outcomes of methamphetamine-associated intracerebral hemorrhage
2019  7月  アメリカ

メタンフェタミンは全世界で3500万人が利用するとされる中毒性の非常の高い薬物である。

神経精神学的毒性のほかに心血管疾患とくに脳卒中(脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血)のリスク要因であることがわかっていて、メタンフェタミン利用者の脳出血リスクは一般人の2-5倍にのぼる。

しかしメタンフェタミン利用下での脳内出血の症状の特徴および回復の良し悪しについてはよくわかっていないので くわしくしらべてみたそうな。



カルフォルニア大学デイビスメディカルセンターの2013-2016の脳内出血患者250人の記録を解析した。

入院時の尿検査でメタンフェタミン反応の陽性 陰性と他の変数との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・患者の16.4%でメタンフェタミン陽性反応がでた。

・彼らは若く 平均年齢52 vs 67、

・拡張期血圧が高く 115 vs 101、

・入院日数もICU日数も長く、

・皮質下出血がおおかった 63% vs 46%。

・また彼らは退院までの回復度mRSスコアの変化がおおきかった。

メタンフェタミン利用中に脳内出血になる患者は若年者がおおく、入院期間はながかった。しかし回復度はおおきく、回復不良にはなりにくかった、


というおはなし。
図:メタアンフェタミン中毒



感想:

この種の薬の副作用をうまくコントロールできたものが向精神薬とされ合法入手できるものもある。受験生やビジネスマンには「スマートドラッグ」として人気という。
脳卒中とメタアンフェタミンの関係

2019年7月13日

麻痺のちいさいほうの上肢のスキル習得能力は


Deficit of Motor Skill Acquisition on the Upper Limb Ipsilesional to the Injured Hemisphere in Individuals with Stroke
2019  7月  韓国

脳卒中リハビリテーションのほとんどは麻痺した側の手脚をターゲットにしておこなわれる。

しかし麻痺していないはずと考えられてきた損傷脳半球と同側の手脚にも若干の運動障害が認められるとする報告が近年ふえている。

これらは筋力低下、感覚低下、巧緻性の障害にみられ その報告範囲も拡大傾向にある。

運動スキル習得(Motor Skill Acquisition)能力については報告がないので実験してみたそうな。



慢性期脳卒中で片麻痺の18人と年齢 性別の一致する一般人18人について、

損傷脳半球と同側の上肢をつかって、

15秒の視空間追跡タスク(サインウェーブを指でなぞる)を50回繰り返し、
その精度指標の時間変化をフォローして比較した。



次のようになった。

・両グループともに繰り返し回数にしたがってスキル(精度指標)の向上がみられた。

・しかしスキル向上度は脳卒中経験者よりも一般人のほうがおおきかった。

・繰り返し回数にたいする時間的変化パターンもあきらかに異なっていた。

脳卒中経験者の同側上肢の運動スキル習得能力が一般人におとることがわかった、


というおはなし。

図:上肢運動精度指標 脳卒中経験者と一般人


感想:

できる方の手は、できない方の手に気を使ってわざと能力を低くみせている。こうすることで できない方の手がやる気を失わずにすむ。

麻痺がおよんでいないはずの手の機能と左右脳との関係

麻痺してない上肢はほんとうに麻痺していないのか?

損傷脳半球と同側の感覚障害について

麻痺していない手の機能も低下するものなのか

たとえば左手が麻痺した場合、右手は健常だと言えるのかい?

2019年7月12日

二重課題エクサゲームで転倒予防訓練


Cognitive-motor exergaming for reducing fall risk in people with chronic stroke- A randomized controlled trial
2019  6月  アメリカ

脳卒中患者の40-70%は転倒を経験するという。脳卒中患者は認知と運動の二重課題下でいずれかもしくは両方のパフォーマンスが低下することがわかっていて、転倒のリスク要因と考えられる。

VRゲームをつかった運動訓練(エクサゲーム:exergaming)に認知課題を重ねることでバランス能力をより改善できるものか実験してみたそうな。



慢性期脳卒中で自立歩行のできる片麻痺患者24人を、

認知-エクサゲームグループと通常バランス訓練グループにわけて6週間の訓練をおこなった。

エクサゲームにはNinteno Wii fit を使用し、ゲームソフト Bub-ble Balance, Table Tilt, Tight-Rope Walking, SoccerHead, Basic Run, Basic Step について認知課題を与えながらプレイさせた。



次のようになった。

・床がいきなり動き出す状況での二重課題下では エクサゲームグループは運動能力および認知能力が改善し、通常訓練グループは、運動能力のみ改善した。

・自分の意思で重心移動をする状況での二重課題下ではエクサゲームグループでのみ運動能力の改善がみられた。
エクサゲームを使った認知-運動訓練はバランスと認知コントロールの改善に効果的かも、


といういおはなし。

図:脳卒中のエクサゲーミング


感想:

完全没入型VRで高層ビルの屋上の縁を歩かせれば(←動画リンク)バランス鍛えられるとおもうよ。
完全没入型バーチャルリアリティ上肢リハビリ

2019年7月11日

「喫煙で脳動脈瘤が破れる」は勘違い


Association of single and multiple aneurysms with tobacco abuse- an @neurIST risk analysis
2019  7月  スイス

未破裂脳動脈瘤は成人の3.2%にあるとされ、画像診断技術の進歩により発見されるケースは増加傾向にある。

これら未破裂脳動脈瘤をすぐに治療するべきか経過観察するべきかはおおくの要因にかかっている。その1つは喫煙と考えられる。

これまでの研究のメタアナリシスでは、喫煙習慣は 改善可能なもっともおおきなくも膜下出血のリスク要因であることを示唆している。

しかし最近では喫煙と脳動脈瘤の破裂との関連を示さない報告がいくつかでてきた。


そこで、スイスの未破裂脳動脈瘤のデータベース @neurIST をもちいて喫煙と脳動脈瘤の形成そして破裂(くも膜下出血) との関連を大規模にしらべてみたそうな。



次のことがわかった。

・未破裂脳動脈瘤の1410人を一般人30万人とくらべたとき、喫煙者率は脳動脈瘤患者で高かった。(56.2% vs. 51.4%)

・喫煙は脳動脈瘤の存在とあきらかに関連し、多発性脳動脈瘤とも関連していた。

・喫煙の期間と多発性脳動脈瘤リスクとに関連がみられた。

・しかしくも膜下出血をおこした(破裂)患者での喫煙者率は未破裂患者のそれと同じだった。

喫煙は脳動脈瘤の形成に関連していた。しかし喫煙で脳動脈瘤の破裂リスクが上がるわけではなかった。喫煙期間が長いと多発性脳動脈瘤になりやすかった


といういおはなし。

図:脳動脈瘤の破裂リスクと喫煙



感想:

MRIが普及して未破裂脳動脈瘤をフォローできるようになったからこその知見だな。

2019年7月10日

たばこの神経保護効果 脳内出血での


Effect of Cigarette Smoking on Functional Outcomes in Patients with Spontaneous Intracerebral Hemorrhage
2019  7月  アメリカ

脳内出血は年間10万人あたり15-25人におき、死亡と長期障害の率が脳卒中のなかでもっとも高い。

脳内出血から1時間以内に脳組織の炎症がみられ数日から数週間つづく。

喫煙が脳卒中のリスク要因の1つであることはあきらかではあるが、たばこに含まれるニコチンの神経保護作用についてはよく知られていない。

自律神経系のニコチン-アセチルコリン受容体 (nAChR)がコリン作動性抗炎症経路(cholinergic anti-inflammatory pathway)を刺激して脳内出血の神経症状が改善されたとする動物実験がいくつかある。

この効果が臨床的に観察できるものか、たしかめてみたそうな。



2009-2017の脳内出血患者545人ぶんの記録について、

発症直前まで(30日以内)喫煙していた、または
喫煙していなかった(非喫煙者、元喫煙者)、に分けて

90日後の回復が「良好」(mRS 0-2)もしくは「非常に良い」(mRS 0-1)になった率を求め、
バーセルインデックスや院内死亡率との関連も解析したところ、



次のことがわかった。
・60人が直前まで喫煙していた。

・喫煙していなかったグループにくらべ直前まで喫煙していたグループの回復良好率は高く 35% versus 23%、非常に良い率は 25% versus 13% だった。

・非喫煙者とくらべても同様の比率だった。

・これらの違いは患者ごとのもとの状態(年齢など)を考慮すると有意差ではなくなった。

・90日後のバーセルインデックス、死亡率もグループ間であきらかな差はなかった。

ニコチンの神経保護効果があるようにみえるが、実際は喫煙の害がうわまわるようだ、


といういおはなし。

図:たばこの喫煙



感想:

喫煙グループは患者年齢が10若い(上図)。回復が良くてとうぜんってことかね。
たばこや酒やってた人の脳内出血予後は

くも膜下出血のあと禁煙するべきでない理由

【ニコチン療法】ニコレットを貼ると半側空間無視が改善することが判明

2019年7月9日

軽い脳梗塞で認知障害の率とその後


The development of cognitive and emotional impairment after a minor stroke. A longitudinal study
2019  7月  ノルウェー

脳梗塞のほとんどを占める軽症(NIHSS 5以下)の患者は感覚運動症状も軽く 急速に回復する。

さいきんこれらの軽症患者であっても認知機能の低下がながく続くとする報告が増えてきた。

さらにうつや不安といった心理症状も多いことがわかってきたが、それら認知機能低下や心理症状の3ヶ月を超えた回復についての報告はほとんどない。

そこで軽い脳梗塞のあとの認知障害の率とうつ 不安などの3ヶ月から12ヶ月にかけての改善可能性についてくわしくしらべてみたそうな。



軽症脳梗塞患者324人について複数の認知機能テストと、うつ 不安 疲労をしらべるアンケートを3ヶ月後、12ヶ月後に行った。



次のようになった。

・認知障害を示すテスト項目数の平均値はこの間に有意に改善(1.8→1.7)していた。

・しかしほとんどの患者は12ヶ月後も認知障害を示し その率は35.4%だった。

・認知機能テストのいくつかの項目は高血圧や喫煙とあきらかな関連をしめした。

・うつの率は増加傾向にあった。

・疲労を示す率は12ヶ月後も29.5%と高いまま変わらなかった。

軽症脳梗塞の認知機能は3ヶ月以降も改善傾向にあったものの、認知障害をしめした患者の率は高いままだった。さらにうつは増加傾向にあり 疲労率は高いままだった、


というおはなし。
図:認知障害


感想:

どうやら minor stroke と mild stroke は別で、重症度的には minor<mild のようだ。

軽度なのに認知障害→睡眠が短かった

無職で軽い脳卒中 2年後の認知障害

軽症なのにすぐにボケてしまう脳卒中患者を簡単に判別する方法が判明

2019年7月8日

「認知症というほどではない認知障害」の率


Systematic review and meta-analysis of the prevalence of cognitive impairment no dementia in the first year post-stroke
2019  6月  アイルランド

脳卒中のあとの認知障害は珍しくないが、その有病率については確かなエビデンスがまだない。

前回のシステマチックレビューでは認知症率が26.5%という結論が得られているものの、「認知症というほどではない認知障害」(cognitive impairment no dementia:CIND)の率についてはあきらかなっていない。

というのも通常用いられる軽度認知症(mild cognitive impairmen:MCI)の評価方法はアルツハイマー病患者を想定していて日常生活動作に問題がないことが条件になってるため脳卒中患者の評価には適しておらず最近では代わりにIADLを使う、などの判定基準上の問題も考えられる。

そこで、これまでの研究から初回または再発の脳卒中のあと12ヶ月間に、認知症判定にはいたらなかった認知障害をしめすすべての患者の率についてメタアナリシスをこころみたそうな。



1995-2017の関係する論文を検索して、7000のアブストラクトから1028の論文にしぼり内容を精査したところ、



次のようになった。

・23の論文を厳選した。これらのデータを統合 再解析したところ、

・CINDの有病率は38%だった。

・異質性の低い5論文に限定しても有病率はおおきくは変わらず、39%をしめした。

脳卒中のあと1年間に「認知症というほどではない認知障害」を示す患者は10人中4人いることがわかった、


というおはなし。

図:cognitive impairment no dementia



感想:

脳卒中やるまえはRAMが4GBくらいあったけど、いまは1GBしかない感じ。
ウィンドウを2枚ひらくと動作が凍りつく。

2019年7月7日

運動イメージ訓練の上肢リハビリ効果


Efficacy of motor imagery additional to motor-based therapy in the recovery of motor function of the upper limb in post-stroke individuals: a systematic review
2019  7月  ブラジル
脳卒中経験者の85%は上肢機能になんらかの障害をもつとする報告がある。その回復は神経可塑性によることになるが、これを促す方法の1つとして運動イメージ訓練(motor imagery)がある。

腕や指を「動かそう」という意思だけで、関連する脳のネットワークが活性化するとされている。

やり方には2種類あって、心の中で一人称視点で動作をシミュレートするものと、一人称または三人称視点で視覚化された動作パフォーマンスを観察する方法がある。

今回、通常のリハビリに運動イメージ訓練を組み合わせたときの効果についてのこれまでの研究のシステマチックレビューをこころみたそうな。



脳卒中上肢麻痺への運動イメージ訓練に関係するランダム化比較試験を厳選して、その効果とエビデンスの質を評価したところ、



次のようになった。

・被験者104人を含む エビデンスレベル(PEDroスコア)中-高 の4つの研究に絞り込んだ。

・すべての研究で統計学的有意な上肢運動機能の改善が見られた。

・肘や手首、指の曲げ伸ばしといった総体的な運動機能の向上は全研究でみられたものの、

・髪をまとめたり 物を取ったりする日常生活動作の向上がみられたのは1つの研究のみだった。

通常の上肢リハビリへの運動イメージ訓練の追加が効果的である とする確かなエビデンスが存在する。より効果的な訓練頻度や手法の研究が期待される、


というおはなし。
図:運動イメージ訓練研究のPEDroスコア



感想:

数あるリハビリ法のうち、もっとも成果をあげているのが運動イメージ訓練(イメージトレーニング、メンタルプラクティス、メンタルリハーサルともいう)なんやで。
磁気刺激上肢リハビリに運動イメージ訓練を足してみた

中低所得国で成果をあげている脳卒中リハビリとは

メンタルプラクティスの上肢リハビリ効果

上肢の運動イメージ訓練とネットワーク変化

2019年7月6日

クロスエデュケーション+ミラーセラピーで背屈筋アップ


Unilateral dorsiflexor strengthening with mirror therapy to improve motor function after stroke- A pilot randomized study
2019  7月  アイルランド

クロスエデュケーションは片側の手脚を鍛えると もう片方の手脚にも筋力増強効果が現れる現象で、脳卒中患者の下肢では30%を超える背屈筋力向上の報告もある。

いっぽうミラーセラピーではミラーニューロンシステムの活性化により両側の一次運動野の働きが強化され、さらに鏡像による感覚フィードバックは脳半球抑制バランスを改善するという。

これまでクロスエデュケーションとミラーセラピーを組み合わせた研究は少ないので、下肢についてその効果をくわしくしらべてみたそうな。



平均年齢62の慢性期の脳卒中経験者35人について、
クロスエデュケーションのみ、と
クロスエデュケーション+ミラーセラピー、の2グループにわけた。

非麻痺足首の背屈筋アイソメトリックトレーニングを週3回x4週間おこなった。

最大随意筋力 MVC、
歩行速度 10-m walk test,
timed up and go (TUG),
Modified Ashworth Scale (MAS),
London Handicap Scale (LHS)
をトレーニング前後で測定したところ、



次のようになった。
・31人が訓練を完遂し、有害事象はなかった。

・クロスエデュケーション+ミラーセラピーグループで、歩行速度のあきらかな向上(0.09m/s)がみられた。

・歩行速度を除いていずれの項目もグループ間での有意な差はなかった。

クロスエデュケーションにミラーセラピーを組み合わせた訓練は、麻痺側の訓練がむつかしい患者の運動機能を改善できるかもしれない


というおはなし。

図:ミラーセラピーとクロスエデュケーション



感想:

効果のほどはそれほどではないにしても、麻痺側をひたすら訓練させるような考え方にくらべたらずっと好感がもてる。
ミラーセラピーは両側性転移を促す

ミラー訓練がクロスエデュケーションを強化する...

上肢ミラーセラピーの効果的なやり方

2019年7月5日

ベジタリアン食は脳卒中予防にいいの?


Relation of Vegetarian Dietary Patterns With Major Cardiovascular Outcomes- A Systematic Review and Meta-Analysis of Prospective Cohort Studies
2019  6月  カナダ

ベジタリアン食では家畜肉を摂らないほかに 魚や乳製品 玉子も除く場合もある。

ベジタリアン食にすると食物繊維、抗酸化物質やファイトケミカル、植物性タンパク質がふえることになる。
そして飽和脂肪酸がへる。

これまでベジタリアン食は冠動脈疾患の予防に良いとされてきたが脳卒中や心血管疾患全体との関連はよくわかっていなかったので、メタアナリシスをこころみたそうな。



ベジタリアン食の有無と、すくなくとも心血管疾患、冠動脈疾患、脳卒中のいずれかを1年間以上フォローした過去の研究を複数のレビュアーが厳選して

データを統合 再解析したところ、



次のことがわかった。

・被験者197737人 8430イベントを含む7の研究がみつかった。

・ベジタリアン食は冠動脈疾患の死亡および発生リスクの低下とあきらかな関連をしめしたが、

・心血管疾患および脳卒中の死亡リスクの有意な低下はみられなかった。

・エビデンスの確実性は「非常に低い」と判定された。
非常に低質なエビデンスではあるがベジタリアン食は冠動脈疾患の死亡と発生リスクの低下と関連し、脳卒中や心血管疾患全体との関連はみられなかった、


というおはなし。

図:ベジタリアン



感想:

ベジタリアン食にこだわるとあぶない。10年くらい続けていたらコレステロールが下がりすぎて脳が血を吹いた。

そのあたりの知識は人一倍詳しいとおもっていただけに恥ずかしい。

2019年7月4日

刺激豊富な環境は遅くても間に合うの?


Delayed exposure to environmental enrichment improves functional outcome after stroke
2019  6月  中国

脳卒中のあと刺激豊富な環境(enriched environment)に曝すと回復が促されるとする動物実験の報告がおおくある。

これら報告のほとんどは脳卒中の早期に適用したもので、臨床応用を考えると24時間以内の暴露を想定することになり現実的ではない。

では刺激豊富な環境へおくタイミングを遅らせた場合の神経 認知機能、神経形成についてはよくわかっていないので実験してみたそうな。



人為的に右脳を虚血/再灌流したネズミを、5日後から通常環境と刺激豊富な環境の2グループにわけた。

刺激豊富な環境グループには広いケージ、おおくのネズミ、遊具、はしご、ハンモック、トンネルなどを置き、それらの設置を毎日変更した。
水と食事内容は通常環境グループと同じにした。

神経症状テスト:Modified neurological severity score (mNSS)
空間学習 記憶テスト:Morris water maze task
神経形成と分化 移動の観察:Immunofluorescence
発現タンパク質解析:Western blot analysis

をしらべて比べたところ、


次のことがわかった。

・遅れ刺激豊富な環境グループでは神経機能と記憶障害の程度がちいさく、

・海馬の神経形成とシナプス形成がすすみ、

・脳室下帯での神経新生と損傷部位への移動が促された。

・これらにはHDAC2, synapse-associated proteins 、BDNFといったタンパク質の関与が推測された。

脳卒中のあと遅れて刺激豊富な環境に曝したばあい、機能回復が持続し、海馬の神経形成とシナプス形成がすすみ、損傷部位への神経芽細胞の移動が促された、


というおはなし。

図:刺激豊富な環境



感想:

同病の仲間とおしゃべりして、他人にかまってもらいながらひろいスペースを動き回りあとはゲームや本 テレビを見て過ごす。

まんまリハビリ病院の環境なんだな。

2019年7月3日

皆とならちゃんと食べてくれるかな


Acute stroke patients not meeting their nutrition requirements- Investigating nutrition within the enriched environment
2019  6月  オーストラリア

栄養不良の脳卒中患者は合併症が増え 回復がわるく入院期間が長いという。

かといってサプリメントはエビデンスが乏しいし 経管栄養はだれにでも使えるわけでもない。

身体、認知、社会的な刺激をもたらすいわゆる 刺激豊富な環境(enriched environment)環境に患者をおくと回復が促されるという報告がおおくある。

そこで刺激豊富な環境下で脳卒中患者の栄養摂取がすすむものか、くわしくしらべてみたそうな。



脳梗塞または脳出血から24-72時間の患者で、じぶんでベッドと椅子を移動できる程度に症状のかるい60人を、通常ケアと刺激豊富な環境グループにわけた。

刺激豊富な環境グループでは、
朝食と昼食を仲間がいる共有スペースで摂り、
食事をサポートするアシスタントがつく。
ベッドサイドには栄養摂取に関する啓発資料が備えられ、
栄養知識に詳しいナースが直接指導に訪れる。

残飯から栄養摂取量(熱量とタンパク質)を評価し、栄養不良度は体重から評価した。

6週間の介入の前後で比較したところ、



次のようになった。

・通常ケアと刺激豊富な環境の両グループともに熱量とタンパク質のいずれも必要量の7割ほどしか摂れていなかった。

・平均体重もそれぞれ0.92Kg ,0.64Kg減少し、

・栄養不良率もそれぞれ、3.3%→26.6% 、6.6%→13.3%に増加した。
急性脳卒中患者は必要とする栄養摂取ができておらず、体重が減少した。刺激豊富な環境は栄養摂取にかんしてなんの効果もなかった、


というおはなし。

図:栄養不良



感想:

脳卒中になりたての患者がそれまでとおりに食がすすむと考えるほうがどうかしてるとおもうよ。

2019年7月2日

Neurology誌:認知機能の低下スピード 脳卒中前後で


Progression of cognitive decline before and after incident stroke
2019  7月  イギリス

脳卒中になると急な認知機能の低下が見られ、のちの認知症のきっかけになると考えられている。

脳卒中と認知機能低下についての調査のおおおくは脳卒中のあとをしらべたものがおおい。脳卒中まえの認知機能低下を評価したものは少なく しかも結論が一致していない。


そこで脳卒中をきっかけに認知機能の低下傾向がどのように変化するものか、英国縦断的高齢化調査(English Longitudinal Study of Aging:ELSA)のデータをもちいて大規模にしらべてみたそうな。



脳卒中や認知障害歴のない平均年齢63の9278人について、認知機能と脳卒中の有無を12年間フォローしたところ、



次のことがわかった。

・5.1%が脳卒中を経験した。

・彼らの認知機能は、脳卒中を経験しなかった者にくらべると、

・認知機能全般、記憶、言語流暢性、時間見当識の順に、

・脳卒中の前後でその低下度は 0.029→0.064, 0.016→0.046, 0.022→0.033, 0.024→0.037 SD/y だけおおきくなり、

・脳卒中のタイミングではそれぞれ 0.257, 0.150, 0.121, 0.272 SD だけ低下した。

脳卒中を起こすひとは脳卒中になる前もあとも認知機能の低下スピードが大きかった、


というおはなし。

図:脳卒中前後での認知機能の低下スピード



感想:

同じようなグラフを思い出した。↓
Stroke誌 : 脳卒中後の認知機能低下の特徴

2019年7月1日

Stroke誌:脳卒中のきっかけになる感染症の種類


Infection as a Stroke Trigger
2019  6月  アメリカ

感染症は脳卒中の発生を促すと考えられおおくの研究がなされてきた。

しかし感染症の種類や脳内出血とくも膜下出血の区別をした調査はほとんどない。

そこで発症前の感染症暴露期間もふくめてくわしくしらべてみたそうな。



ニューヨークの患者データベースから2006-2013の記録を用いて、

感染症の種類(皮膚、尿路、敗血症、腹部、呼吸器)および
脳卒中の種類(脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血)

と、発症直前の感染症暴露期間として 7, 14, 30, 60, 90, 120日間との関連を、
その1年前の状況をコントロールとして解析したところ、



次のことがわかった。

・152356の脳梗塞と、27257の脳内出血、11853のくも膜下出血があった。

・すべての種類の感染症が急性脳梗塞の可能性の上昇と関連があった。

・とくに尿路感染症との関連がもっとも強く、直前7日間の暴露でオッズ比5.32だった。

・脳内出血と尿路感染症との関連は弱く、直前14日間の暴露でオッズ比1.54だった。

・呼吸器感染症のみがくも膜下出血と関連し、直前14日間の暴露でオッズ比1.95をしめした。

すべての種類の感染症が急性脳梗塞と関連していた。とくに尿路感染症がもっとも強い関連をしめした、


というおはなし。

図:感染症とくも膜下出血リスク



感想:

尿路感染症て、地味な印象だけどこわいのね。

2019年6月30日

nature.com:活発なひとはくも膜下出血になりやすい?


Physical activity associates with subarachnoid hemorrhage risk- a population-based long-term cohort study
2019  6月  フィンランド

くも膜下出血は致命率がおよそ40%で、その発生にはライフスタイルが深くかかわっているという。

喫煙、血圧、年齢、脂質、性別がリスク要因としてわかっている。

いっぽう身体活動は脳梗塞の予防には良いとされているが くも膜下出血についての調査はすくなく、身体活動によりかえってくも膜下出血がおきやすくなるとする報告もある。

その報告は身体活動の種類を区別していなかったので、余暇活動、通勤、仕事のそれぞれの身体活動度とくも膜下出血リスクとの関連について長期かつ大規模にしらべてみたそうな。



1972-2014にフィンランドの65521人について行われたFINRISK調査のデータを使用した。

身体活動を、余暇、通勤、仕事の3種類に分け、くも膜下出血発生との関連を解析したところ、



次のようになった。

・この間に534のくも膜下出血があった。

・週に30分間の余暇活動がふえるとくも膜下出血リスクが0.95倍になった。

・通勤の身体活動度も同様にくも膜下出血リスクを下げたが、退職年齢でその効果が消えた。

・対照的に、仕事での身体活動が中レベル以上にふえると くも膜下出血リスクは高くなった。

・余暇活動による予防効果は年齢や高血圧によらなかったが、現在喫煙者にはより一層の効果があった。

余暇や通勤での身体活動は男女ともにくも膜下出血リスクをさげる効果が見られた。とくに喫煙者で顕著だった、



というおはなし。

図:身体活動とくも膜下出血リスク 喫煙者



感想:

余暇の運動は予防で 仕事で運動するとコブがやぶれる。どういうメカニズムなんだろう。

2019年6月29日

リズム刺激をあたえても歩行は変わらない


Walking with rhythmic auditory stimulation in chronic patients after stroke- A pilot randomized controlled trial
2019  6月  ドイツ

脳卒中患者の歩行に際して外部から音刺激でリズムキュー(rhythmic cue)を与えると歩行パラメータが改善したとする報告が多数ある。

しかしこれらのおおくは脳卒中の早期の患者を対象にし、しかも評価をブラインドにしていないものがほとんどである。

そこで、慢性期の脳卒中患者についてリズム音響刺激(rhythmic auditory stimulation:RAS)の効果をくわしくしらべてみたそうな。



平均年齢67、発症から6年前後の脳卒中患者12人をRASの有無で2グループに分けた。

1回30分間の歩行訓練セッションを、週3回、4週間継続して
歩行速度、6分間歩行テスト、バランス能力、歩長を測定した。

実験担当や評価者にはRASの有無を知らせなかった。

RASグループにはmp3プレーヤをもたせてヘッドフォンで音楽を聴かせた。ただし音楽と歩行についてなんのアドバイスも行わなかった。



次のことがわかった。

・両グループともに歩行速度や歩行能力、バランス、歩長は改善した。

・しかしグループ間のあきらかな違いはみられなかった。

慢性期脳卒中患者の歩行に際し、リズム音響刺激をあたえてみたがなんのベネフィットもなかった、


というおはなし。

図:リズムキューと脳卒中の歩行速度



感想:

ふつう患者が実験意図を忖度(そんたく)して 歩行テストでいつもよりがんばってあげるんだけど、それがなかったってことだな。

よほど趣味にあわない音楽を聴かされたか 実験担当者の態度が悪かったか、、。

2019年6月28日

周産期脳卒中に特徴的な疲労の神経メカニズム


Fatigue in children with perinatal stroke- clinical and neurophysiological associations
2019  6月  カナダ

周産期(妊娠22週~出産後7日)に脳卒中を経験した子供の疲労(fatigue)および運動パフォーマンスと皮質脊髄路の興奮性との関連について、とくに同側性投射(ipsilateral corticospinal projections)についてしらべてみたそうな。



周産期に脳卒中を経験して片麻痺の 6-18歳の45人について、

疲労スコア PedsQL(Pediatric Quality of Life Inventory)
運動パフォーマンス(Assisting Hand Assessment [AHA], Box and Blocks Test, grip strength)そして

TMSをつかった両手への運動誘発電位MEP(Motor evoked potentials)
を測定し 関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・およそ半数がいまだに疲労を経験していた。

・麻痺のない方の手の運動パフォーマンス(Box and Blocks Test, grip strength)が麻痺手よりもつよく疲労スコアと関連していた。

・損傷脳と対側の脳半球から麻痺手への同側性投射が残存するばあい、その経路の興奮性が疲労度の低さに関連していた。

・疲労スコアは年齢、性別、AHAスコアと関連がなかった。
疲労は周産期脳卒中を経験したこどもに珍しくなく、麻痺のない側の手の運動パフォーマンスにつよく影響していた。また対側脳半球からの同側性投射の興奮性と疲労が関連していた、


というおはなし。
図:周産期脳卒中とMEPと疲労スコア



感想:

同側性投射は成長の早い時期にほとんど消えてしまい交差性投射に代わるという。脳卒中からの回復過程で皮質脊髄路への可塑的適応に失敗すると同側性投射が残り、スペシャルな疲労パターンになるのではないか、、、といいたいようだ。

2019年6月27日

瞑想で痙縮を改善できるのか?


Mindfulness Meditation Effects on Poststroke Spasticity- A Feasibility Study
2019  6月  アメリカ

脳卒中患者のおよそ30%は痙縮を経験するという。

痙縮の治療法としてボツリヌス療法など薬物をつかったものや作業療法、理学療法があるがいずれもコストが高くしかも満足のゆく結果はえられていない。

低コストで効果的な痙縮対策がもとめられている。

痙縮が「不安」といった感情ストレスと関係しているという報告がある。

そこで自宅でおこなう短時間の瞑想で痙縮がよくなるものか、実験してみたそうな。



発症後1年以上経つ痙縮のある脳卒中経験者10人について、

自宅ベースの15日間のマインドフルネス瞑想を実行させた。

自宅では1回3-5分間の瞑想をおこない、週に1回だけ40分間瞑想した。

この前後でのひじと手首の痙縮度、およびQoL等を測定したところ、




次のようになった。

・瞑想を実行できた日数は平均12.5日間だった。

・有害事象はみられなかった。

・ひじおよび手首の痙縮度に有意な改善があった。

・QoLのエネルギー、人格、仕事生産性の各項目にも改善が見られた。
慢性期脳卒中への自宅ベースの短時間瞑想は目立った困難もなくほぼ全員が実行できていた。さらにひじや手首の痙縮にあきらかな改善効果もみられた、



というおはなし。
図:瞑想の痙縮緩和効果



感想:

たまに手脚のこわばりがとても強い日がある。そんなときは横になって目を閉じるとほぼ脱力することができる。
だからまったく不随意というわけではないようだ。

マインドフルネス関連↓。
脳卒中リスニング療法の効果

脳卒中後の疲労はマインドフルネスで治るのか

2019年6月26日

脳卒中をふせぐピーナッツの量


Increased Nut Consumption and Subsequent Cardiovascular Disease Risk Among U.S. Men and Women- Three Large Prospective Cohort Studies (OR17-08-19)
2019  6月  アメリカ

ナッツには脳卒中など心血管疾患の予防効果があるとする報告がおおくある。

そこで3つの大規模研究のデータをつかってナッツ摂取量およびその種類と心血管疾患との関連をくわしくしらべてみたそうな。



男性34222人のHealth ProfessionalsFollow-up スタディ (1986–2012)、
女性77957人のNurses’ Healthスタディ (1986–2012)、
女性80756人のNurses’ Health スタディII (1991–2013)、

について4年毎におこなった食事内容調査から得られたナッツ摂取量と、17年前後のフォロー中におきた心血管疾患(冠動脈疾患、脳卒中)との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・この間に8478の心血管疾患があり、そのうち4989は冠動脈疾患、3489が脳卒中だった。

・ナッツ摂取量が1日あたり14gふえるとあきらかなリスク低下があり、

・その効果は くるみ>ピーナッツ>他の木の実 の順におおきかった。

・ナッツ14g/日以上の摂取を4年間継続したときのリスク低下度は まったくナッツを摂らない場合にくらべ、心血管疾患0.95倍、冠動脈疾患0.80倍、脳卒中0.68倍だった。
まいにち14g以上くるみやピーナッツなどのナッツ類を摂ると脳卒中や冠動脈疾患のリスクがあきらかに低下した、


というおはなし。

図:ナッツ頻度と脳卒中リスク


感想:

バタピーは安いからよく食べる。1つぶ1gくらいなので14gはほんのひとにぎり。
ナッツと心房細動の関係があきらかに

脳卒中予防に適したナッツの量がわかった

2019年6月25日

完全没入型バーチャルリアリティ上肢リハビリ


Upper Extremity Rehabilitation Using Fully Immersive Virtual Reality Games with a Head Mount Display- A Feasibility Study
2019  6月  韓国

VR(バーチャルリアリティ)をつかった脳卒中リハビリが期待されている。刺激豊富な環境下で課題志向型の繰り返し訓練を飽きずに実行できるという。

VRには非没入型から完全没入型まであって、これまでなされてきたVRリハビリテーション研究のほとんどはNintendo Wiiのような非没入型VRを使ったものだった。

近年、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)の進歩が著しく Oculus Rift や HTC Viveといった市販機で完全没入型VRを利用できるようになった。

これらHMDを利用することでミラーセラピーや動作観察療法で得られる脳への可塑的刺激をさらに上回る効果が期待される。

そこでHMD上肢リハビリの実行可能性と有害事象についてくわしく実験してみたそうな。



脳卒中で上肢機能に麻痺のある12人について、

HMD(HTC Vive)ゲームでの5種類の上肢課題訓練を、
1回30分間x週2-3回、計10セッションおこない、

action arm reach test,
box and block test,
modified Barthel index
を評価したところ、




次のようになった。

・3人の患者が脱落した。9人は訓練を完遂した。

・乗り物酔いなどの有害事象はなかった。

・上肢機能評価にあきらかな改善がみられた。

・満足度のリッカート尺度は全患者を平均して7点中6.3だった。
脳卒中患者にヘッドマウントディスプレイを着けておこなう上肢リハビリは有害事象もなくほとんどの患者が訓練を完遂し、満足度は高く機能改善もみられた、


というおはなし。

図:HTC vive rehabilitation



感想:

さいきん Oculus Quest(オキュラス クエスト)という低価格かつ高性能でかんたん設定のHMDがでて話題になっている。

ゲームではビートセイバーが人気で、スターウォーズ世代のおっさんのモチベーションがあがりまくり。VR上肢リハビリに最適とおもう、やってみたい。
Youtube動画リンク←)

2019年6月24日

脳内出血にならないLDLコレステロール値


Low-density Lipoprotein Cholesterol and Risk of Intracerebral Hemorrhage- A Prospective Study, Systematic Review, and Meta-analysis (P18-029-19)
2019  6月  アメリカ

LDLコレステロールと脳内出血リスクについて大規模にしらべてみたそうな。



脳卒中や心筋梗塞 がんでない平均年齢51の96043人について LDLコレステロール値を2年毎に9年間ほどフォローして脳内出血の発生との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・この間に753の脳内出血がおきた。

・脳内出血リスクはコレステロール値70-99mg/dLと100mg/dL以上の範囲とでは同程度に低かった。

・70-99mg/dLにくらべ70mg/dL未満だと脳内出血リスクがあきらかに高かく、

・50-69mg/dLではリスク1.65倍、50mg/dL未満ではリスク2.69倍だった。

・過去の11の関連研究とあわせてメタアナリシスすると、LDLコレステロール値が10mg/dL減るごとに脳内出血リスクが1.03倍になった。

LDLコレステロール値が70mg/dLを下回る範囲ではその値が低くなるほど脳内出血リスクがひじょうに高くなっていった。70mg/dL以上の範囲では脳内出血リスクは低くほぼ一定だった、


というおはなし。

図:LDLコレステロールと脳内出血リスク



感想:

うえのグラフがわかりやすい。70超えてればオッケー。
コレステロールと中性脂肪を下げてはいけない理由

再発予防にベストなLDLコレステロール値は

2019年6月23日

子がいない脳卒中経験者が早死する理由


Parents survive longer after stroke than childless individuals- a prospective cohort study of Swedes over the age of 65
2019  4月  スウェーデン

いっぱんに子が1-2人いる者にくらべ子がいない者の死亡率はたかいことが知られている。その理由として親の健康状態に子のサポートが影響するからと考えられる。

スウェーデンでは脳卒中のリハビリサービスは無償にもかかわらず、これを利用する者はすくなくほとんどが家族のサポートに頼っている。

そこで脳卒中経験者の子の数と生存率との関連についてくわしくしらべてみたそうな。



1998-2002に65歳以上で脳卒中になった男女70149人について、
12年間フォローして子の数と総死亡率との関連を解析したところ、




次のことがわかった。

・子が2人にくらべ子がいないもしくは1人の脳卒中経験者の死亡率は男女ともに高かった。

・子がいないことの短命の程度は配偶者のいる脳卒中女性でもっともおおきく、配偶者のある脳卒中男性でもっとも小さかった。

脳卒中経験者のうち子が複数いる者の生存率は高かった。とくに配偶者のいる脳卒中女性にとって子がいることの生存上の意義は大きかった、


というおはなし。
図:生存率 子供がいると



感想:

子はいなくても夫は妻のサポートが期待できるが その逆はない。だから子がいない妻が脳卒中になると孤立無援で早死する。

ぎゃくに考えると、脳卒中になった高齢の男性は家族にたいへんな負担をしいているってこと。

えらそうにしていてはいかんね。

2019年6月22日

歩けるのに運動しない理由3つ


Perceived barriers to exercise reported by individuals with stroke, who are able to walk in the community
2019  6月  ブラジル

脳卒中経験者の身体活動レベルがひくいままだと再発しやすくなる。

いっぱんに1日30分程度の中強度の運動を週5日こころがけるよう薦められているが、脳卒中経験者の77%は座ったままになりがちで運動不足という。

かれらの運動をさまたげる要因の調査は これまで慢性期患者についてのものがおおかった。

そこで、亜急性期で自立して歩行できる患者について 運動のさまたげになっている主観的要因をくわしくしらべてみたそうな。



軽度の脳卒中から4ヶ月前後で、退院して自立歩行速度0.8m/s以上の患者95人について運動状況について聞き取り調査した。

運動の29のベネフィットと14の障害について評価する exercise Benefits/Barriers Scale(EBBS) をもちいた。



次のことがわかった。

・運動のさまたげになる主な理由は、「疲労」「場所がない」「遠い」で、

・EBBS項目以外では「介助人がいない」「どう運動したらいいかわからない」が挙げられた。

・主観的な運動の妨げの程度はうつと社会経済的ステータスと関連していた。

歩行できるのに運動しないのは、疲労と利用できる場所 そこまでの距離がおもな理由だった、


というおはなし。

図:運動する理由としない理由



感想:

退院したてのころ、運動のためにひるま近所を散歩していると すれ違う小学生にやたら挨拶され、交差点の見守りじじいにあからさまに不審者を見る目で睨まれて、とてもこころが痛んだおもいで。

2019年6月21日

Stroke誌:長時間労働は脳卒中のもと?


Association Between Reported Long Working Hours and History of Stroke in the CONSTANCES Cohort
2019  6月  フランス

長時間労働と脳卒中との関連が疑われている。日本では Karoshi(過労死)の60%は脳卒中が直接の原因という。

長時間労働と脳卒中との関連をしめすメタアナリシスもあるにはあるが関連要因の調整がなされていない。べつの調査では脳出血とのみ その関連が示されている。

そこで、長時間労働と脳卒中について住民ベースの大規模調査をやってみたそうな。



フランスの18-69歳の住民を対象にした CONSTANCESコホートのデータから142512人を抽出し 年齢、性別、労働時間、病歴等をアンケート調査した。

1日10時間以上の勤務が年間50日以上あるばあいを「長時間労働」とした。

パートタイム労働者は除いた。

脳卒中経験との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・0.9%が脳卒中を経験し、29.6%は長時間労働だった。10.1%は長時間労働が10年以上続いていた。

・複数要因の調整後、長時間労働は脳卒中とあきらかに関連していて(オッズ比1.29)、

・とくに長時間労働が10年以上つづくばあいの関連はつよかった。(オッズ比1.45)

・この関連は男女の差はなかったが、50歳未満のホワイトカラー労働者で強かった。

長時間労働は脳卒中とあきらかに関連していた。とくに10年以上つづいているばあいに顕著だった、


というおはなし。
図:Karoshi stroke



感想:

長時間労働にある正規と非正規労働者で 脳卒中耐性をくらべてほしいな。
日本人の労働時間と脳卒中

脳卒中になりやすい労働時間がわかった ランセット誌

2019年6月20日

アスピリンの脳梗塞予防効果と安全性


Aspirin for Primary Prevention of Cardiovascular Events
2019  6月  エジプト

アスピリンは心筋梗塞や脳梗塞の再発(2次)予防薬として用いられている。しかし1次予防の効果と安全性については調査により結論が異なっている。

これまでの調査にさいきんの臨床試験↓
JPAD 2 study (Japanese Primary Prevention ofAtherosclerosis With Aspirin for Diabetes)
ARRIVE (Aspirin to Reduce Risk ofInitial Vascular Events)
ASCEND(AStudyofCardiovascular Events in Diabetes)
ASPREE(Aspirin in Reducing Events in the Elderly)
をくわえてシステマティックレビューをこころみたそうな。



被験者165502人(アスピリン83529人、コントロール81973人)を含む15のランダム化比較試験を対象とした。

アスピリンの1次予防効果について総死亡率、心血管疾患、および安全性(出血)との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・総死亡率、心血管死亡リスクはグループ間で差はなかった。

・心筋梗塞、TIA、脳梗塞のリスクはアスピリングループがあきらかに低かった。

・頭蓋内出血、消化管の大出血リスクもアスピリングループで非常に高かった。

アスピリンには虚血イベントを防ぐ効果がみられたが、出血イベントがあきらかに増えた。いずれも致命的なものではなかった、


というおはなし。

図:アスピリンの効果と安全性



感想:

2次予防でも同じ程度にあちこちが出血するんだろうけど、再発するよりはマシか、、、という判断なのかな。

こんな人がアスピリンで脳内出血 JAMA Neurol.

NEJM誌:アスピリンは予防効果ないうえにとても危険

2019年6月19日

理学療法士さんのコーチング 役に立たなかった


A physical activity program is no more effective than standard care at maintaining upper limb activity in community-dwelling people with stroke: secondary outcomes from a randomized trial
2019  6月  ノルウェー

脳卒中患者は72時間時点で48%が上肢に障害を生じ、3ヶ月後ではその割合が50%になるという。

専門家の指導のもと 長期に身体活動レベルをあげることで脳卒中後の運動機能を改善できるか否かをしらべた LASTスタディ(Life After Stroke study)がおこなわれ、

歩行、バランス、日常生活動作、生活の質の点でなんら改善がみられないことがさいきんあきらかになった。

これを上肢機能についても解析してみたそうな。



2011-2014におこなわれたLASTスタディの記録をつかった。
複数病院の発症から3ヶ月後の脳卒中患者380人をえらび、つぎの2グループにわけた。

介入グループでは
地域のセンターで理学療法士のもと週1回、45-60分間の高強度運動をおこなった。
さらに毎日自主運動30分間を課し、
月に1回理学療法士が訪問してコーチングをほどこした。
これらを18ヶ月間継続した。

コントロールグループでは、
理学療法士のもと週1回45分間の軽い運動をおこなった。
これのみを3-6ヶ月間続けた。

上肢運動機能は、
Motor Assessment Scale items 6, 7, and 8.
National Institute of Health Stroke Scale item 5
Stroke Impact Scale domain 7
Modified Ashworth Scale in flexion/extension of the elbow
について評価 比較した。



次のようになった。

・上肢運動機能についてグループ間で有意な差はまったくみられなかった。

・とくに軽い上肢麻痺の患者では3ヶ月時点ですでに最大値の74%回復していて、18ヶ月後であっても77%の回復を維持していた。

理学療法士の親身な指導のもと18ヶ月間におよぶ過酷なエクササイズを経ても、下肢 上肢ともになんの改善もみられなかった、


というおはなし。
図:



感想:

LASTスタディこれ↓。
Stroke誌:PTの運動指導 まったく効果なかった
すくなくとも 軽症患者に3ヶ月をこえるリハビリをほどこす意味はないわな。

2019年6月18日

恥ずかしくて病院にゆけない 脳卒中かもしれんけど


Reasons for delayed admission after stroke- results of a qualitative and quantitative survey
2019  5月  ドイツ

急性脳梗塞の再灌流治療には時間制限があって早ければ早いほど効果的と考えられる。

ひとつのタイムリミットである4.5時間以内に入院できる患者は全体の3分の1にとどまりその割合は20年間かわっていないという。

一人暮らしや症状が軽いばあいに病院到着が遅れがちであることがわかっていて、早期の入院をうながすための知識を啓発するキャンペーンがおこなわれている。

病院到着が遅れる患者の感情面での要因、たとえば 怖れ、拒絶、遠慮 などとの関連についてくわしくしらべてみたそうな。



まず病院到着に4.5時間以上かかった脳梗塞患者15人に面談して感情面でのテーマ分析をおこないアンケートを作成した。

このアンケートをつかって、
100人の患者(4.5時間以内30人、4.5時間超え70人)について定量評価をこころみた。



次のことがわかった。

・時間内到着にくらべ遅れてきた患者のおおくは、自分自身で症状に気づいていた。

・かれらにもっとも共通した感情は、確信のなさ(uncertainty)と恥ずかしさ(shame)だった。

・そして続くアクションとしてほとんどが 様子見(waiting)をえらんだ。

・彼らの脳卒中に関する知識レベルは中程度であったが知識に自信がないわけではなかった。

・脳卒中知識の情報源として雑誌が51%で医師からが26%だった。

・自由回答式ではない選択式の問いに関しては高い知識レベルを示していた。

自分自身で症状に気づいたあとの恥ずかしさと現状への確信のなさが病院へ遅れるおもな理由だった、


というおはなし。
図:はずかしい



感想:

「人様に迷惑をかけるな」「他人を巻き込まずに一人で氏ね」といったフレーズをさいきんよく目ににする。

だから手がしびれて舌がもつれるくらいで救急車は呼べない、恥ずかしくて。
nature.com:身内ほど救急車を呼ばないパラドックス

脳卒中なのに救急車を呼ばない理由

2019年6月17日

TIAの誤診率は、、


Rate and associated factors of transient ischemic attack misdiagnosis
2019  5月  アメリカ

TIA(一過性脳虚血発作)のおおくは主観的な症状報告のみでその症状もすぐにおさまってしまう。そのためTIAの診断は患者の既往歴やリスク要因におおきく影響される。

TIAのあとには脳卒中がおきやすいことがわかっている。TIAを経験すると1年後生存率が4%下がり 9年後生存率は20%低くなるとする報告もある。

しかしTIAの過剰診断をすると被爆の強い検査(CTアンギオ)や侵襲度の高い治療(機械的血栓除去) 副作用の強い薬(抗血栓薬)を患者にしいることにもなりうる。

TIAの誤診率については報告がすくないのでくわしくしらべてみたそうな。



病院や専門クリニックで入院時にTIAと診断された254人について、

退院時または退院後のフォローアップ時に改めてくだされた診断結果と、
後日患者の臨床データおよび画像情報から2人の神経医が下した最終診断結果が

一致(correctly)したか否(misdiagnosed:誤診)か、をしらべたところ、



次のことがわかった。

・2人の神経医がTIAとした最終診断結果の互いの一致率は80.9%だった。

・24人の患者はTIA専門クリニックに直行した。この場合のTIA誤診率は45.8%だった。

・のこりの230人は病院に入り、このときのTIA誤診率は60.0%だった。

・さらに退院時にもTIAと診断された患者は54.3%いたものの、最終的にTIAとされた患者は24.8%にすぎなかった。

・入院時にTIAと診断された患者のほとんどにはなんの治療も為されず、診断結果を確かめる追加検査もおこなわれていなかった。

TIAの誤診率は救急救命部や専門クリニックのいずれでもひじょうに高かった、


というおはなし。

図:TIA誤診の理由



感想:

頭痛やめまい なにかの中毒症状を高率にTIAと勘違いしているということ。
軽い脳卒中と間違えるならまだしも、そもそも検査にひっかからない さいしょから実体のないTIAというなぞの病気を疑うことにいったいなんの意義があるのか?
じつは脳卒中でなかった割合 in Japan

2019年6月16日

ハイテクトイレが脳卒中患者を支援


Technology-assisted toilets- Improving independence and hygiene in stroke rehabilitation
2017  8月  カナダ

トイレを使用して自らの肛門や会陰周辺を清潔に保つ能力は高齢になるほど衰える。

とくに脳卒中を経験して片麻痺になると「拭く動作」に困難が生じ、トイレ使用が自立できた者は退院時で51.6%、6ヶ月経っても16.4%が依存状態とする報告もある。

水流による洗浄からファンでの乾燥まで自動でおこなってくれるハイテクトイレは日本では普及しているが北アメリカやヨーロッパではいまだ贅沢品のあつかいである。

ハイテクトイレはリハビリ過程にある脳卒中患者の自立をうながし、介護者の負担をへらし、さらには衛生状況の改善も期待できる。

この点についての先行研究はほとんどないのでやってみたそうな。



リハビリ入院中の脳卒中患者30人について、

いくつかの状況下で
福祉機器の心理評価スケール(PIADS:Psychosocial Impact of Assistive Devices Scale)
をもちいてハイテクトイレを採点させた。



次のようになった。

・通常のトイレにくらべハイテクトイレのPIADSスコアはあきらかに高く、

・73%のケースで完璧に洗浄できていた。

ハイテクトイレには通常トイレにくらべ脳卒中患者の心理社会的自立をうながす効果があり、かれらほとんどの肛門をキレイキレイにした、


というおはなし。

図:ウォシュレット


感想:

この実験に使用したハイテクトイレは
TOTO Washlet S350e(←動画リンク)で、
便座が自動開閉し ハンドリモコンですべて操作できる。

リモコン?とおもったけど、右麻痺にはありがたいかも。

2019年6月15日

くも膜下出血の遅発性脳虚血の割合


Delayed cerebral ischaemia in patients with aneurysmal subarachnoid haemorrhage- Functional outcome and long-term mortality
2019  6月  デンマーク

くも膜下出血は脳卒中ぜんたいの3%をしめ、その80-85%は脳動脈瘤の破裂によるもので、発生率は年間10万人あたり8-20人である。

遅発性脳虚血(delayed cerebral ischaemia:DCI)はくも膜下出血から4-14日後におきやすいという。

DCIは血管攣縮や炎症 酸化ストレスが原因とされカルシウム拮抗薬のニモジピンに若干の予防効果があるとされるものの他には有効な予防手段がない。

DCIは患者の20-30%にみられるとされているが 昏睡状態にあるとわからないことから過小評価されていると考えられる。

そこでくも膜下出血患者のDCI率と長期死亡率をくわしくしらべてみたそうな。



デンマーク国立病院の2010-2013のくも膜下出血患者492人の記録を抽出した。

患者を3グループにわけた。
a)DCIグループ:意識の低下または1時間以上つづく局在症状とした。
b)DCIなしグループ
c)評価不能グループ(unassessable ):昏睡状態のため。

6ヶ月後のmRSスコアとDCIの有無、4年後の死亡率との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・患者の23%にDCIがおきた。これは意識があり評価可能だった患者の33%に相当した。

・DCIなしグループの回復度がもっとも高く、

・評価不能グループはDCIグループよりも回復がわるかった。

・DCIグループの死亡率はDCIなしグループよりもあきらかに高かった。

遅発性脳虚血はくも膜下出血患者のおよそ3割にみられ、短期的 長期的な回復の悪さと関連していた、

というおはなし。

図:遅発性脳虚血 くも膜下出血 mRS



感想:

クリップやコイルは再出血予防のためであって、DCIには影響ないようだ。

数十年まえはあわてて救急車をよぶ習慣がなくて、くも膜下出血であたまがいたくても何週間も病院にゆかないことがふつーにあった。
Stroke誌:クモ膜下出血で手術をしなかったときの死亡率

2019年6月14日

Stroke誌:くも膜下出血のあと精神病になる割合


Antipsychotic Use Among 1144 Patients After Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage
2019  5月  フィンランド

くも膜下出血は55歳前後の若年者におおく、脳動脈瘤の破裂によるものがほとんどを占める。

脳動脈瘤は一般人口の3%にみられおおくは破裂にいたらないが年間10万人あたり7-12人がくも膜下出血をおこす。

くも膜下出血では頭蓋内出血、脳室内出血、遅延性脳虚血、水頭症、頭蓋内圧亢進症や再出血予防手術による合併症などにより脳の損傷がおきる。

くも膜下出血患者の長期の精神疾患と抗精神病薬の使用についての研究はなさそうなので大規模にしらべてみたそうな。



くも膜下出血後12ヶ月間生存できた1144人と年齢性別のいっちする一般人3432人について、その後の抗精神病薬の使用を9年前後フォローしたところ、



次のことがわかった。

・患者の12%がくも膜下出血のあとに抗精神病薬をはじめた。いっぽう一般人では4%だった。

・抗精神病薬の利用率は1年後6%、5年後9%で、一般人では順に1%、2%だった。

・回復良好患者(mRS0-1、シャントなし、脳内出血や脳室内出血なし)での抗精神病薬の5年後利用率は2%で、

・シャントや水頭症だった患者の抗精神病薬の5年後利用率は23%だった。

・抗精神病薬利用者の63%は抗うつ薬と抗てんかん薬を同時にのんでいた。

くも膜下出血を経験した患者は一般人にくらべあきらかに高率で抗精神病薬をのんでいた。かれらは抗うつ薬や抗てんかん薬もいっしょに飲んでいた。脳への直接のダメージがなかった者はこれらの薬を飲む割合が低かった、


というおはなし。

図:抗精神病薬 くも膜下出血後の



感想:

メンタルの不調をうったえるといろんな薬をもらえるんだな。

2019年6月13日

自然な光環境とメンタルヘルス


An exploratory investigation of the effect of naturalistic light on depression, anxiety, and cognitive outcomes in stroke patients during admission for rehabilitation: A randomized controlled trial
2019  5月  デンマーク

サーカディアン(概日)リズムは神経伝達物質の放出や体内時計遺伝子の発現に影響することがわかっている。

また太陽光に含まれる波長の短い成分ブルーライトにたいしてサーカディアン・リズムは敏感である。

そこで室内にいることのおおい脳卒中患者を、自然光を模した環境においたときのうつ 不安 認知機能への影響をしらべてみたそうな。



リハビリ病院の脳卒中患者90人の生活環境を2グループにわけた。

自然光グループ:活動域全体にLED照明を配し、ブルーライトの含有率を日周期にあわせて変動させた。
蛍光灯グループ:施設内の通常環境をコントロールとした。

入院時と退院時の
うつ:Hamilton Depression scale (HAM-D6) 、Major Depression Inventory scale (MDI)
不安:Hospital Anxiety and Depression Scale (HADS)
認知機能:Montreal Cognitive Assessment (MoCA)
精神的健康状態:Well-being Index (WHO-5)

を評価 比較したところ、



次のようになった。

・通常環境にくらべ自然光環境のグループはうつ 不安の程度があきらかに低下し、

・精神的健康状態は向上した。

・認知機能には差がみられなかった。

リハビリ入院中の脳卒中患者を自然光を模した環境においたところメンタルヘルスがおおいに改善された、



というおはなし。
図:自然光と脳卒中後うつ 不安



感想:

部屋の蛍光灯 換えてみるかな。

ブルーライトセラピーが脳卒中うつをいやす

半側空間無視を癒やす色と光の位置がわかった

発光ダイオードで植物状態患者の手が動く

2019年6月12日

アジア人の身長と脳卒中死亡リスク


Association of taller stature with lower cardiovascular disease mortality in Asian people- a systematic review
2019  6月  日本

身長には遺伝のほかに栄養や経済状態などの環境要因が反映していると考えられ 健康度の指標とされることがある。

じっさいこれまでの研究から身長が6.5cm高くなるごとに総死亡リスクが3%低下し、心血管疾患についても同様の傾向があることがわかっている。

しかしこれらの研究のおおくは西洋人を対象としたもので、身長が低いアジア人についてはよくわかっていない。

そこで、アジア人の身長と脳卒中など心血管疾患での死亡リスクについて これまでの研究を総括してみたそうな。



関係する研究を厳選してシステマチックレビューを試みたところ、



次のことがわかった。

・9件の研究がみつかり、そのうち4件は心臓 冠動脈疾患について、5件は脳血管疾患についてのものだった。

・心臓 冠動脈疾患については高身長ほど心臓病死亡リスクが男性で低く、心血管疾患死亡リスクは女性で低かった。

・脳血管疾患については、高身長は脳卒中死亡リスクがあきらかに女性で低かったが、男性についても低下傾向にあった。

アジア人についても西洋人どうよう、身長の高さは心血管疾患や脳血管疾患での死亡リスクと逆相関にあった、


というおはなし。
図:身長差


感想:

アジア人におおきな人はあまりみない。どんぐりの背比べから傾向を引き出すのはかなり苦しい作業だったはず。
身長が高いと脳梗塞になりにくい理由

身長と脳卒中 まとめ

2019年6月11日

梗塞の[位置+体積]と機能的自立度FIM


Predictive value of the combination of lesion location and volume of ischemic infarction with rehabilitation outcomes
2019  6月  アメリカ

これまで脳梗塞のリハビリ病院での回復度と脳の損傷位置や体積との関係を別個にしらべた報告はある。

しかし位置と体積を組み合わせた調査はすくない。

そこで脳梗塞の位置と体積および機能的自立度FIM(Functional Independence Measure)との関連をくわしくしらべてみたそうな。


急性脳梗塞でリハビリ入院した平均年齢68の患者162人について解析したところ、



次のことがわかった。

・リハビリ病院での最終的なFIMの中央値は52だった。

・左の大脳基底核(basal ganglia)および左の前頭葉(frontal lobe )にある梗塞の体積とFIMスコアが逆相関にあった。

発症時の梗塞の位置と体積がのちのFIMスコアと関連していた。とくに左脳の大脳基底核および前頭葉におおきな梗塞があると機能的自立度が低かった、


というおはなし。

図:梗塞の位置



感想:

左脳がわのダメージでFIMスコアが低いのは失語症のためなんだって。

2019年6月10日

O型の脳内出血が止まりにくいはほんとうか?


Blood Type O Predicts Hematoma Expansion in Patients With Intracerebral Hemorrhage
2019  6月  中国
脳内出血は脳卒中の20%を占め死亡率がたかい。その3分の1には血腫増大がおき予後が悪化するといわれている。

血腫増大には止血の仕組み(Hemostasis)がつよく関わっているとされ、とくに血液O型では第8凝固因子とフォン・ヴィレブランド因子があきらかに少ないことから他の血液型にくらべ出血がつづきやすいと考えられる。

そこで脳内出血から早い時期での血腫増大がO型でおきやすいものかたしかめてみたそうな。



発症後6時間以内にCTを撮ることのできた患者のうち48時間後CTと比較して、33%もしくは6mL以上拡大したばあいを「血腫増大」とした。

患者210人の記録を解析したところ、



次のことがわかった。

・患者の34.3%がO型だった。

・かれらのうち41.7%に血腫増大がおきた。他の血液型での血腫増大は18.1%だった。

・O型および入院時意識レベル(GCS)スコアは独立した血腫増大の予測因子だった。

血液O型の脳内出血患者は血腫増大リスクが高かった、


というおはなし。

図:O型と血腫増大


感想:

じつはこっちの調査↓ではB型で血腫増大した。
脳内出血がとまりにくい血液型
その理由として初回CTのタイムリミットを24時間以内としていたため早期の血腫増大をみのがしていたからではないか、、、と言ってる。

2019年6月9日

Stroke誌:血液中の金属と脳卒中


CirculatingZ Multiple Metals and Incident Stroke in Chinese Adults
2019  6月  中国

環境に存在する重金属は人間の代謝や機能に影響し有害となりうる。

これまでの研究から、ヒ素、鉛、銅、セレニウムの単体と心血管疾患との関連があきらかになっている。

しかし脳卒中との関連については結論がでていない。

そこで、同時に複数の金属にさらされているばあいの脳卒中との関連をくわしくしらべてみたそうな。



中国 Dongfeng-Tongji cohort研究の 2008-2016の脳梗塞1035例、脳出血269例と他の条件の等しい一般人について、

血中の24種類の金属濃度との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・銅、モリブデン、チタンが脳梗塞リスクの上昇とあきらかな関連を示し、

・ルビジウム、セレニウムは脳出血リスクの低下と関連していた。

・これら複数の金属の血中濃度から脳梗塞や脳出血のリスク予測ができた。

血中の銅、モリブデン チタンは脳梗塞リスクの上昇と、ルビジウム セレニウムは脳出血リスクの低下と関連していた、


というおはなし。
図:セレニウムと脳出血リスク


感想:

ルビジウムとセレニウムは「善」なんだな 憶えとこ。

2019年6月8日

【メタ解析】ロボット支援歩行リハビリ...効果ない


Robotic-Assisted Gait Training Effect on Function and Gait Speed in Subacute and Chronic Stroke Population: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials
2019  6月  サウジアラビア

脳卒中経験者の65%は下肢運動機能になんらかの問題を抱えているという。

ロボティクスの脳卒中リハビリへの応用は セラピストを支援して患者の麻痺脚のアクティビティを高めることができると期待されている。

そこで下肢運動機能の回復にロボット訓練がどのていど有効なものかこれまでの研究をメタアナリシスしてみたそうな。



研究データベースから信頼度の高い(PEDroスコア6-8)ランダム化比較試験を厳選して、データを統合 再解析したところ、



次のことがわかった。

・1371の研究から9つに絞り込んだ。そのうち4件は慢性期、5件は亜急性期のものだった。

・歩行スピードの点でロボット訓練と通常訓練ではあきらかな差がなかった。

・しかし慢性期患者に限定すると効果量0.04のごくごくわずかなアドバンテージがみられた。

ロボット支援の歩行訓練は通常訓練よりもすぐれているとはいえなかった、


というおはなし。
図:ロボットリハビリ



感想:

派手な見た目は「客寄せパンダ」として優秀。
HALリハビリ 期待外れだった
上肢も↓
ランセット誌:ロボット上肢リハビリ まったく効果ない

2019年6月7日

〇〇なひとは「PM2.5→脳内出血→死亡」


Association between incidence of fatal intracerebral hemorrhagic stroke and fine particulate air pollution
2019  6月  中国

脳卒中は病気死亡原因の2番目に位置し 患者の3分の2は低中所得国にいる。大気汚染と脳卒中の研究から脳梗塞についてはその関連があきらかになってきた。

脳出血の報告は増えてきたが とくに脳内出血と大気汚染との関連はよくわかっていない。

中国は深刻な大気汚染に直面している。そこでPM2.5と致命的脳内出血との関連をくわしくしらべてみたそうな。



2012-2014、上海市の疾病予防センターのデータベースから脳内出血での死亡事例5286件を抽出して、発症3日まえまでのPM2.5濃度との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・平均のPM2.5濃度は77.45μg/m3 だった。

・致命的脳内出血発生率はPM2.5濃度とあきらかに関連し、

・とくに糖尿病のある者でそのリスクが高かった。

・高濃度PM2.5への暴露から2日後の関連が強かった。

・高血圧と喫煙による影響はみとめられなかった。
死に至るほどの脳内出血の発生とPM2.5濃度にはあきらかな関連があった。とくに糖尿病患者でこのリスクが高かった、



というおはなし。

図:PM2.5 脳内出血



感想:

PM2.5の日本の環境基準の上限は 35μg/m3。
中国のPM2.5と脳卒中の種類

PM2.5は脳梗塞か それとも脳出血か?

中国から流れてくるPM2.5は脳卒中を引き起こすのか?

2019年6月6日

脳卒中後うつと死亡率


Post stroke depression and risk of stroke recurrence and mortality- A systematic review and meta-analysis
2019  3月  中国

脳卒中後うつは、強い不安、睡眠障害といった自律神経兆候、活力の低下、認知障害、社会的孤立、自殺などと関連があるとされる精神症状で脳卒中患者の30%にみられるという。

脳卒中後うつと再発または死亡との関連について これまでいくつかのメタアナリシスがあるが一致した見解が得られていない。

最新の知見をふくめてあらためてメタアナリシスを試みたそうな。



2018年8月までの関係する研究を厳選してデータを統合 再解析して脳卒中後うつと再発 死亡との関連をしらべた。



次のことがわかった。

・被験者25万人と最長15年のフォローをふくむ15の研究がみつかった。

・脳卒中後うつがあると総死亡リスクが1.59倍になった。

・再発リスクについてはじゅうぶんなデータがなく結論をだせなかった。

脳卒中後のうつがあると患者の死亡率はあきらかに高かった。再発との関連はさらなる研究が求められる、


というおはなし。
図:脳卒中後うつ



感想:

うつが直接ひとをころすわけではない。
治療のためにもらう薬が じつは最大の問題だったりする。
脳卒中後うつで抗うつ薬飲んでいる割合

2019年6月5日

脳卒中での腸内細菌の変化


Dysbiosis of the intestinal microbiota in neurocritically ill patients and the risk for death
2019  5月  中国

重症筋無力症やパーキンソン病、脳卒中などの神経疾患と腸内細菌との関連が指摘されている。

また腸内細菌の多様性が失われる「ディスバイオシス」が死亡リスクと関連するという報告もある。

そこで、脳神経の疾患患者の腸内細菌の構成の変化と死亡リスクとの関連をくわしくしらべてみたそうな。



脳梗塞、脳内出血、脳症などの患者98人と年齢性別のいっちする健常者84人について、

発症から72時間後の糞便を採集して16S rRNA系統解析で構成をしらべ、180日後までフォローした。



次のようになった。
・健常とくらべて脳疾患ではあきらかに腸内細菌の構成がことなっていた。

・入院中に多様性指数(shannon index)が低下し、ルミノコッカスとラクノスピラがおおきく減少した。

・エンテロバクターのおおさは退院時の自立度mRSスコアと正の相関をしめした。

・クリステンセネラセエとエリュシペロトリクスは死亡リスクの増加と関連した。

・とくに初週ICUでエンテロバクターが増加すると 180日後死亡リスクが約2倍だった。

脳疾患の腸内細菌の構成は健常者とおおきくことなっていて、ディスバイオシスはICUにいるあいだにおおきくすすみ180日後の死亡リスクに関連していた。腸内細菌を調べれば予後がわかるかも、、


というおはなし。

図:脳卒中患者の腸内細菌の多様性



感想:

腸内環境をととのえるため、4月にアイリスオーヤマのヨーグルトメーカー(3千円)を買った。以来 ヨーグルトをまいにち0.5L たべている。

2ヶ月間つづけて1つだけ激変したことがある。

→「うんこが無臭になった」

妖精にでも生まれ変わったきぶん。

腸内細菌への長期の影響は

脳卒中になる腸内環境

便秘すると脳卒中で死ぬの?

2019年6月4日

脳卒中と認めてもらえない女性 JAMA Neurol.


Sex Differences in Presentation and Outcome After an Acute Transient or Minor Neurologic Event - Acute Coronary Syndromes
2019  5月  カナダ

重症度が中レベル以上の脳卒中のばあい症状のでかたが男女でことなることがしられていて、麻痺や言語障害といった典型症状は女性ですくない。

のちの機能回復度や生活の質も女性で低い傾向がある。

いっぽう脳梗塞患者の半数以上をしめる軽度または一時的な脳卒中の男女差についてはあきらかになっていない。

軽い神経症状の患者は最終的にその3分の1が脳卒中類似症状(stroke mimic)と分類されるという。

そこで軽度の脳卒中患者の入院時症状とその後の男女差を大規模にしらべてみたそうな。



2013-2017 複数の大学病院で、軽いもしくは一時的な脳虚血症状をしめす患者について、
その診断結果(脳梗塞 or 類似症状)および90日後の再発や死亡をフォローしたところ、



次のことがわかった。

・70歳前後の患者1648人を対象とした。

・MRIを撮っていても、女性が脳梗塞と診断される割合は相対比0.88で男性よりも低かった。

・しかし90日時点での再発や死亡のリスクに差はなかった。

・入院時の症状(局在 or 非局在)にあきらかな男女差はなかった。

軽い脳卒中では入院時の症状が男女おなじであっても女性のほうが類似症状とみなされることがおおかった。再発リスクに男女差がなかったことからこれら類似症状扱いされた女性は2次予防指導をうける機会を逸したと考えられる、


というおはなし。
図:脳卒中類似症状



感想:

女性は片頭痛や精神ストレスで病院にかかることがおおいため「またか...」と思われてしまうことが理由ではないか、と言ってる。
じつは脳卒中でなかった割合 in Japan

2019年6月3日

脳卒中後うつへの鍼治療の効果


The effectiveness of acupuncture therapy in patients with post-stroke depression- An updated meta-analysis of randomized controlled trials
2019  5月  中国

脳卒中後のうつは患者の29-35%にみられ、社会活動 認知機能 リハビリテーションや死亡率にも影響するという。

たいさくとして心理療法や薬物治療が考えられるが、たとえば抗うつ薬には目のかすみ 閉尿 性機能不全 ふるえ 低血圧 不眠 などの副作用がある。

いっぽう鍼をつかえば副作用のしんぱいはほとんどない。

これまで脳卒中後うつへの鍼治療研究のメタアナリシスは、2010年までの15の研究についてのものが最新で このときは鍼治療の効果は確認できなかった。

そこで、2010以降の研究についてあらたにメタアナリシスをおこなってみたそうな。



2010-2018の関係するランダム化比較試験を厳選してデータを統合 再解析したところ、



次のことがわかった。

・鍼治療の脳卒中後うつ緩和についての7つの研究がみつかった。

・鍼をつかわない場合にくらべ、鍼治療によりあきらかな改善効果がみられ、データの異質性はI自乗検定で4%と非常に低かった。

・薬物治療と比較した研究が3つあり、これも統計学的有意な効果をしめしていた。

さいきんの研究のメタアナリシスで 脳卒中後うつへの鍼治療の効果が支持された。さらに薬物治療にまさる可能性もしめされた、



というおはなし。

図:脳卒中うつ 鍼の効果



感想:

うつだと鍼灸師に会いに行く元気もでないんじゃないかな。薬を飲む手軽さでツボを刺激する方法はないものか。
鍼治療は脳卒中後うつの予防になる?

とりあえず鍼打っとけばうつにならないの?

お腹にお灸すると脳卒中後ウツが治る

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇■

過去7日間で人気の記事ベスト10