2019年9月30日

軽いしびれやめまいがガチ脳梗塞の率 JAMA Neurol.


Rate and Prognosis of Brain Ischemia in Patients With Lower-Risk Transient or Persistent Minor Neurologic Events
2019  9月  カナダ

一過性脳虚血発作(TIA)の10-17%は90日以内に脳卒中をおこすという。

彼らのおよそ半数は運動や言語症状のない 軽いしびれやめまい ふらつきなどの症状が5分以下しか続かないケースであり、くわしい検査もなしに脳虚血ではない単なる類似症状とみなされることもすくなくない。

こういったばあいに本当に脳虚血が起きているケースがどのくらいの頻度であるものか、MRIの拡散強調画像(Diffusion Weighted Imaging:DWI)でくわしくしらべてみたそうな。



複数国の病院施設での、5分以下しか続かない軽いしびれやめまい症状から8日以内の患者1028人について、追加でMRIのDWIを撮り急性梗塞の有無を判定したところ、



次のことがわかった。

・135人(13.5%)がDWIポジティブで急性脳卒中と診断された。

・最終的に、脳卒中の取り消しも含め 308人(30.0%)の診断が覆った。

・これらローリスク患者の1年後再発率は0.7%で非常に低かった。

軽いしびれやめまいの一過性の患者をMRIで精査したところ、13.5%がほんとうの脳梗塞だった。MRI検査は欠かせない、


というおはなし。

図:MRI検査



感想:

お医者さんもめんどくさいからCTをサッと撮って「異常ありませんね」と家に帰す。

だから「MRIでディフュージョン撮ってください!」と言ってみよう。

2019年9月29日

脳動脈瘤があるなら腹部大動脈瘤にも注意!


Prevalence of Previously Undiagnosed Abdominal Aortic Aneurysms in Patients with Intracranial Aneurysms- From the Brain and Aortic Aneurysms Study (BAAS)
2019  9月  アメリカ

脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の死亡率は26-36%で、腹部大動脈瘤のそれは36-58%という。

ゲノムワイド関連解析によると脳動脈瘤と腹部大動脈瘤には共通の遺伝子が関係していることがわかった。

未破裂の腹部大動脈瘤は破裂予防手術ができることから、くも膜下出血患者には腹部大動脈瘤のスクリーニング検査を受けさせるべきとする考え方がある。

じっさい脳動脈瘤と腹部大動脈瘤が一緒のケースがどのくらいの頻度でありうるのか、くわしくしらべてみたそうな。



2011-2014の脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血患者81人について、

超音波検査で腹部大動脈瘤の有無を確認した。

彼らの30日後の回復良好(mRS4以下)率と、
その後の死亡を5年ほどフォローしたところ、



次のことがわかった。

・10人(12%)に腹部大動脈瘤が見つかり、その径の平均は3.4cmだった。

・そのうち1人は1ヶ月内に死亡した。

・臨床症状や患者の特徴と腹部大動脈瘤の有無に関連は見られなかった。

・彼らの79%は回復良好で、

・1年間の総死亡率は 36% vs. 7% で腹部大動脈瘤のある患者があきらかに高かった。

くも膜下出血のうち腹部大動脈瘤もある患者の割合は高かった。いっしょに腹部大動脈瘤検査もおこなうべき十分な理由と考えられた、


というおはなし。

図:腹部大動脈瘤のあるくも膜下出血の生存率曲線



感想:

これ↓。
大動脈瘤とくも膜下出血の関係

2019年9月28日

Stroke誌:復職できる歩行スピード


Return to Employment After Stroke in Young Adults
How Important Is the Speed and Energy Cost of Walking?
2019  9月  イギリス

65歳以下の脳卒中経験者の25-44%は復職できていないという。

その原因はおもに歩行能力の問題と考えられるが 「若年」脳卒中経験者の歩行能力と復職との関係についての調査はおおくないのでくわしくしらべてみたそうな。



18-65歳 発症から3年以内で 3分間以上連続自立歩行のできる脳卒中経験者46人と、年齢の近い健常者15人について、

歩行パラメータの3D解析と歩行中の酸素消費量測定を行い
復職状況との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・脳卒中経験者の歩行は健常者にくらべ著しく遅く、代謝が非効率だった。

・23%のみが復職できていた。

・数ある歩行パラメータのうち、「歩行スピード」が復職のもっとも強い予測因子で、

・ROCカーブ解析では歩行スピードが0.93m/s以上あるとあきらかに復職しやすかった。

若年脳卒中経験者の歩行はとても遅く非効率だった。歩行スピードは復職の予測因子で 0.93m/s以上が望ましいと考えられた、


というおはなし。

図:歩行



感想:

ようするに普通の人なみに歩ければOKってことで、感心するよな情報ではなかった。

2019年9月27日

自己犠牲マインドは脳卒中のもと?


Self-silencing may lead to increased risk of stroke - EurekAlert! Science News
2019  9月  アメリカ

じぶんの本当の気持ちを表現することはメンタル的にも身体的にもよいと考えられる。

他者との衝突や関係を失うことを恐れて 自分の気持ちを抑え他人の欲求を優先させる 自己犠牲傾向(Self-silencing)が頸動脈プラークを増大させて脳卒中の原因になりうる、という仮説を検証してみたそうな。

今週開催中の北米閉経学会(NAMS)での発表。



閉経直前または閉経後で非喫煙の女性304人について、
超音波で頸動脈のアテローム性動脈硬化の程度を測定した。

彼女らの自己犠牲傾向についてのアンケート結果との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・自己犠牲傾向がつよいとプラーク肥厚のオッズ比が高く、

・これは うつや他の関連要因によらなかった。

社会的感情の発露のがまんは脳卒中の原因になるかも、、


というおはなし。

図:頸動脈エコー



感想:

和のために私を滅することが美徳とされる日本。
うっかり本音を言うと組織から八分にされる。

脳卒中になるしか救いはないのか。

2019年9月26日

地球磁場の乱れと脳卒中死の関係


Geomagnetic disturbances driven by solar activity enhance total and cardiovascular mortality risk in 263 U.S. cities
2019  9月  アメリカ

地球の磁場は太陽黒点(sunspot)活動の11年周期に影響されて地磁気擾(じょう)乱(geomagnetic disturbances:GMD)を引き起こす。

GMDは生物の自律神経系に影響するとされ心拍変動や概日リズム 血圧 との関連も報告されている。

いっぽうGMDが強いほど心房細動が起きにくく脳卒中が少なくなるという報告もある。

そこでGMDと脳卒中など心血管疾患での死亡者数との関連を大規模にしらべてみたそうな。



アメリカの263都市の過去30年間の4千万人以上の死亡記録と、
GMDの程度を示す日々のKp指数の記録との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・GMDと心血管疾患や心筋梗塞での死亡者数とのあいだにあきらかな関連があった。

・GMDの死亡者数への影響は、大気中のPM2.5の1日の平均濃度の影響よりもおおきかった。

・GMDと脳卒中死とのポジティブな関連は確認できなかった。

地磁気擾乱はアメリカ263都市の心血管疾患および心筋梗塞での死亡者数と関連があった。脳卒中死との関連はみられなかった、


というおはなし。

図:黒点数と地磁気擾乱


感想:

GMDはナノテスラレベルの変動らしいから MRIのなかはその1000倍の磁場変動があるわけで、どうせたいした影響じゃないんだろな とは思っていた。
けど PM2.5を超えるとなると宇宙的な注意が必要か。
磁気嵐が脳卒中を引き起こす と判明!

【太陽フレア】磁気嵐で脳卒中が増える可能性について

2019年9月25日

TIA患者のデフォルト・モード・ネットワーク


Altered Functional Connectivity within Default Mode Network in Patients with Transient Ischemic Attack- A Resting-State Functional Magnetic Resonance Imaging Study
2019  9月  中国

一過性脳虚血発作(TIA)では神経症状は24時間以内に解消し梗塞も残らない。

しかし認知障害や脳卒中を起こしやすくなることから脳の異常性をあきらかにすることは重要である。

さいきん安静時脳機能MRI(Rs-fMRI)によりデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)の存在を確認できるようになった。

これまでの報告からDMNは認知機能に関連するとされ、脳卒中患者ではDMN内の一部の機能結合性の低下が指摘されている。

TIA患者でのDMNについてはわかっていないのでくわしくしらべてみたそうな。



TIA患者48人と年齢の一致する健常者41人について、
Rs-fMRIを実行し、DMNにについてシードベースの機能結合性評価をおこなった。



次のことがわかった。
・左の中側頭回(MTG) 角回(AG)と 内側前頭前皮質(mPFC)および後帯状皮質(PCC) 楔前部(Pcu)との機能結合性が健常者にくらべあきらかに低下していて、

・さらにmPFCと右Pcu,左PCC,左AG, および右Pcuと左PCCの結合性の低下も見られた。

・1年後までに次の虚血イベントを経験した患者では、mPFCと左PCCとの結合性が有意に低下していた。

・臨床症状、生理学的、生化学的マーカーと機能結合性との関連は確認できなかった。

TIA患者のデフォルト・モード・ネットワークには結合性の異常な箇所がいくつか見られた。そのうち内側前頭前皮質と左の後帯状皮質との結合性低下は虚血イベントの再発と関係がありそうだった、




というおはなし。

図:デフォルト・モード・ネットワーク


感想:

上の図がデフォルト・モード・ネットワークの要所。脳が安静状態のとき、これらの活動が数十秒周期で同期するんだって。
安静時fMRIでみたTIA脳の異常

nature.com:急性期の脳機能結合と予後

感覚障害の機能的ネットワーク結合

脳幹梗塞のデフォルト・モード・ネットワーク

心房細動患者のデフォルトモードネットワークに異常

脳卒中後うつ患者の脳内ネットワーク

脳卒中後うつのfALFF解析

脳卒中後のうつ不安とデフォルトモードネットワーク

メンタルプラクティス+理学療法の効果を脳のネットワーク的に見ると、、

脳卒中患者のデフォルト・モード・ネットワークは…

2019年9月24日

Stroke誌:身体的健康感をきめる要因


Neighborhood Socioeconomic Status and Trajectories of Physical Health-Related Quality of Life Among Stroke Survivors
2019  9月  アメリカ

身体的健康感(Physical Health-Related Quality of Life:PH-QOL)の20%は医療サービスからきていて、あとの80%は社会、経済、環境、行動的要因に影響されると考えられている。

とくに脳卒中のばあい 身体的健康感がどういった要因に影響されるものか、その経時的な変化をふくめてくわしくしらべてみたそうな。



45歳以上のアメリカの脳卒中患者284人について、
身体的健康感を測定するアンケートSF-12を3年間フォローした。

被験者の住居を含む国勢統計区ごとの社会経済レベルをふくめて関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・身体的健康感は全体を平均すると時間変化はなかった。

・しかし女性や若年者に限定すると、男性や高齢者よりも身体的健康感は向上してゆく傾向にあった。

・社会経済状況の高い地域の住人は すべての時点において身体的健康感がすぐれていた。

脳卒中患者の身体的健康感は社会経済環境や性別、年齢と関連していた、


というおはなし。

図:脳卒中の身体的健康感と性別



感想:

上のグラフみると男性は最初だけイキってQOLが高いけど どんどん降下して逆転される。女性のQOLが低いといわれる理由がわかった気がする。
Stroke誌:女性のQoLが低い理由

2019年9月23日

麻痺のない手の機能障害と脳半球


Functional Deficits in the Less-Impaired Arm of Stroke Survivors Depend on Hemisphere of Damage and Extent of Paretic Arm Impairment
2019  9月  アメリカ

脳卒中で麻痺していない方の手の機能障害の報告は1967年からある。

これと損傷脳半球の左右との関係については報告によりことなる。

そこで麻痺のない方の手の機能と損傷脳半球、麻痺手の重症度との関連をくわしくしらべてみたそうな。



脳卒中で左脳損傷の48人と右脳損傷の62人、同年齢の一般人54人について、

非麻痺手の機能を次の3つの指標で評価した。
(1)Jebsen-Taylor Hand Function Test (JHFT),
(2) Grooved Pegboard Test (GPT),
(3) grip strength (握力)

麻痺手の重症度は upper-extremity component of the Fugl-Meyer (UEFM)で評価した。

これらの関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・JHFTに反映される非麻痺手の運動機能障害は損傷脳半球の側と麻痺手の重症度UEFMにより変わり、

・左脳損傷で麻痺手が重症のときに非麻痺手の運動機能障害がおおきかった。

・非麻痺手のGPTと握力は麻痺手の重症度により変わったが損傷脳の側にはよらなかった。

麻痺手が重症な患者ほど非麻痺手の運動機能障害がおおきかった


というおはなし。

図:非麻痺手の障害の脳半球依存性



感想:

左脳損傷だと非麻痺手は左手、利き手でないぶん余裕がなく障害がおもてにでやすい。そういうことのようだ。

麻痺のちいさいほうの上肢のスキル習得能力は

麻痺がおよんでいないはずの手の機能と左右脳との関係

麻痺してない上肢はほんとうに麻痺していないのか?

損傷脳半球と同側の感覚障害について

麻痺していない手の機能も低下するものなのか

たとえば左手が麻痺した場合、右手は健常だと言えるのかい?

2019年9月22日

脳梗塞のあとに心房細動がみつかると認知症


Atrial fibrillation diagnosed after stroke and dementia risk- cohort study of first-ever ischaemic stroke patients aged 65 or older
2019  9月  カナダ

高齢化がすすむにつれ心房細動(AF)の患者も増加傾向にある。かれらの認知障害や認知症のリスクは「AFなし」の2倍以上といわれている。

脳卒中の診断の後に心房細動がみつかる(atrial fibrillation diagnosed after stroke:AFDAS)は急性脳梗塞の24%にみられるという。

脳卒中になるまえから心房細動がわかっている場合(known atrial fibrillation:KAF)にくらべてAFDASは神経性の原因も加わりメカニズムはことなると考えられる。

AFDASは不整脈が30秒以上続かないことがおおいのでKAFよりも認知症リスクは低いと予想できる。しかしその関連はわかっていないのでくわしくしらべてみたそうな。



65歳以上9791人の脳梗塞患者をつぎのグループに分類した。

AFなし:5195人
KAF:脳梗塞まえにAFがみつかる 3162人
iAFDAS:脳梗塞で入院中にAFがみつかる 492人
oAFDAS:退院後にAFがみつかる 942人

認知症の発生を5年半ほどフォローして関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・認知症リスクは「AFなし」にくらべて KAFで1.26倍、AFDASは1.73倍だった。

・iAFDASはoAFDASよりも認知症リスクがやや高かった。

・経口抗凝固薬を使用するAFDAS患者の認知症リスクはAFなしの0.6倍だった。

脳梗塞のあとに心房細動がみつかった患者の認知症リスクはかなり高かった。かれらのうち経口抗凝固薬使用者の認知症リスクは低かった、


というおはなし。

図:脳卒中後の心房細動の認知症リスク



感想:

これ↓思い出した。
心房細動で認知症はほんとうか?

心房細動だけで認知症になることがあきらかに

2019年9月21日

ハイリスク群への葉酸サプリメントの脳卒中予防効果


The effect of folic acid in patients with cardiovascular disease- A systematic review and meta-analysis
2019  9月  中国

ホモシステインは酸化ストレスを高め血管内皮を損傷し血栓の原因をつくる。

葉酸0.5-5.0mgを含むサプリメントを摂ることでホモシステインレベルを25%程度さげることができる。

ホモシステインレベルが25%下がれば虚血性心疾患リスクが11%低くなるという報告がある。

しかし葉酸サプリメントと脳卒中リスクについての過去2つのメタアナリシスでは一致した結論が得られていないので、あらためてメタアナリシスをこころみたそうな。



すでに心血管疾患である患者を対象としたランダム化比較試験で
脳卒中リスク、冠動脈疾患リスク、総死亡リスクをフォローした研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、



次のことがわかった。

・被験者47523人を含む12の研究がみつかった。

・葉酸サプリメントを摂ることで、脳卒中リスクは0.85倍になった。

・総死亡リスクや冠動脈疾患リスクに葉酸サプリメントの有無で差はなかった。

葉酸サプリメントにより すでにハイリスクな人たちの脳卒中リスクがあきらかに低下した、



というおはなし。

図:葉酸サプリメントの脳卒中リスク



感想:

再発防止によさそうってことか。

[葉酸 サプリメント]の関連記事

2019年9月20日

BMJ誌:亜急性期の体トレは効果ないうえに危険


Physical Fitness Training in Patients with Subacute Stroke (PHYS-STROKE)- multicentre, randomised controlled, endpoint blinded trial
2019  9月  ドイツ

トレッドミルをつかった体力トレーニング(physical fitness training)は脳卒中患者の神経可塑性をうながし歩行や日常生活動作を改善すると考えられている。

じっさいアメリカ心臓協会のガイドラインでは、
亜急性期に最大心拍数の55-80%の有酸素運動20-60分間を週に3-5セットおこなうことを勧めている。

しかし亜急性期の体力トレーニングの効果をしらべたこれまでのランダム化比較試験9件のうち実際に効果を示したものは2件のみだった。

そこで体力トレーニングの効果と安全性についてマルチセンター(PHYS-STROKE)トライアルできっちりとしらべてみたそうな。



ドイツ7箇所の施設にて、発症から5-45日
NIHSSスコア8前後の中程度以上に神経症状の重い脳卒中患者200人について、

体力トレーニング105人と
リラクゼーション95人 の2グループにわけた。

体力トレーニンググループは体重支持つきトレッドミル上を最大心拍数の50-60%で25分間歩かせる。

リラクゼーショングループでは心拍に影響のない強度での筋肉緊張を解くエクササイズを25分間おこなった。

両グループともにこれらを週に5回 x4週間継続した。

3ヶ月後の日常生活動作をバーセルインデックスで、最大歩行速度を10m歩行テストでしらべた。
有害事象もフォローした。



次のようになった。

・体力トレーニングはリラクゼーションにくらべ最大歩行速度のあきらかな向上はみられなかった。

・日常生活動作についても差はなかった。

・有害事象は 22 vs. 9件 で体力トレーニングにはっきりと多く、とくに転倒リスクが高かった。

亜急性期の体力トレーニングはまったく効果ないばかりか危険だった。ガイドラインを見直したほうがいい、


というおはなし。

図:PHYS-STROKE



感想:

急性期の運動は効果ないし危険、亜急性期も効果ないし危険。

脳卒中の早期リハビリはがんばる人がバカを見る↓。
Neurology誌:早期リハビリ 気休めにもならない

コクランレビュー:超早期リハビリは効果ないし危ない

【やはり】亜急性期のリハビリは効果ないうえに危険

失語症の早期リハビリ まったく効果ない

超早期リハビリをやってはいけない理由

nature.com:脳卒中の超早期リハビリ やる意味ない

Stroke誌:早期リハビリがんばる意味ない

超早期リハビリで死亡者続出 AVERT続報

超早期リハビリには脳の細胞死を促す効果があった!

ランセット誌:超早期リハビリぜんぜん効果ない

2019年9月19日

シータバースト刺激が脳卒中に良い理由


Beneficial Effects of Theta-Burst Transcranial Magnetic Stimulation on Stroke Injury via Improving Neuronal Microenvironment and Mitochondrial Integrity
2019  9月  中国

反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)は、低い頻度では神経活動を抑制し高頻度では活性化すると考えられている。

うつなどの精神疾患にも応用され アルツハイマー病やパーキンソン病ではβアミロイドを減らしBDNFなどの神経促進タンパクを増やす効果が報告されている。

脳梗塞でのrTMSの影響メカニズムをくわしくしらべてみたそうな。



人為的に脳梗塞にしたネズミに3時間後からrTMSの5Hzのバーストパルスを5日間与えた。

この前後での行動、梗塞体積、脳組織の変化を観察した結果、



次のことがわかった。

・行動障害と梗塞体積があきらかに減少した。

・シナプス減少や神経退化も少なくなった。

・グリア細胞の増殖や炎症性サイトカイン、酸化ストレスによる神経ダメージも抑えられた。

・ミクログリア、アストロサイトの型が 傷害性から保護性にシフトした。

・抗炎症性のサイトカインが増加し、ミトコンドリアの細胞膜の健全性が維持されアポトーシス経路が抑制された。

rTMSのシータ刺激による脳虚血へのつよい神経保護作用がしめされた。炎症-酸化-ミトコンドリアの微小環境への改善効果が関係しているようだ


というおはなし。

図:磁気刺激 脳梗塞


感想:

ネズミ頭部に対するヘルムホルツコイルの巨大さ(上図)が気になった。

脳全体を刺激するシータリズムがミクロレベルにいいのか。

[シータバースト]の関連記事

2019年9月18日

勃起不全と脳卒中のメタアナリシス


Erectile Dysfunction Predicts Cardiovascular Events as an Independent Risk Factor- A Systematic Review and Meta-Analysis
2019  9月  中国

勃起不全(ED)は性交渉に必要な勃起レベルに達しないまたは維持できない状態をさす。ED人口は世界で1億人以上いるとされ、2025人には3億人を超えるという。

脳卒中などの心血管疾患でEDがよくみられることがわかっている。高血圧や糖尿病、喫煙、肥満など共通のリスク要因もすくなくない。

ぎゃくにED患者に心血管疾患が見られるとする報告もおおい。

これらのメカニズムはいまだよくわかっていない。

前回のメタアナリシスではサンプル数が十分でなくEDの程度と心血管疾患リスクとの関連もわかっていない。

そこで最新の研究を含めてEDからの心血管疾患についてメタアナリシスをこころみたそうな。



関係する研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、



次のことがわかった。

・被験者154794人をふくむ25の研究がみつかった。

・EDなしにくらべEDがあると心血管疾患リスク1.43倍、冠動脈疾患リスク1.59倍、脳卒中リスク1.34倍、総死亡リスク1.33倍だった。

・EDの程度がひどくなるほど心血管疾患および総死亡リスクがたかくなった。

EDは心血管疾患や脳卒中、総死亡リスクとあきらかな関連があった。重度のEDほどこれらリスクは高かった、


というおはなし。

図:勃起不全の程度と心血管疾患リスク


感想:

たしかに脳が血を吹く1年くらいまえから元気がなかったわ。
左脳をやられると勃起不全

脳のここをやられると勃起不全になる

2019年9月17日

こども脳卒中のIQと言語機能と脳半球


Language and cognitive outcomes after childhood stroke- Theoretical implications for hemispheric specialization
2019  9月  フランス

子供(1ヶ月~15歳)の脳卒中率は年間10万人あたり0.2-7.9人で、脳梗塞と脳出血はほぼ同数といわれている。

彼らの3分の1は完全回復し、半数は長期に障害が遺る。

これまでなされた彼らの言語機能についての調査はすくなくサンプル数もちいさい。

そこで大規模にくわしくしらべてみたそうな。



1992-2015の子供脳卒中患者184人について、

発症4ヶ月後にウェクスラー式知能検査をおこない、最大40ヶ月後までフォローした記録を解析したところ、



次のことがわかった。
・脳卒中の種類は、脳梗塞が79人 脳出血が105人だった。

・IQの平均値は、フルスケール 85, 言語 93, パフォーマンス 85 だった。

・語彙、文法表現と理解については26-52%が障害レベルだった。

・学校の標準カリキュラムについてゆける子供は27%に過ぎず、

・別の27%は特殊学級プログラムが適用されていた。

・左脳損傷での言語関連スコアはあきらかに低く発症年齢によらなかった。

・右脳損傷では6歳以下の発症のとき言語関連スコアが低かった。

脳卒中を経験した子供のおおくは知能指数が障害レベルで、とくに左脳損傷のばあい言語機能がいちじるしく影響を受けた、


というおはなし。

図:子供脳卒中 言語スコア 左右脳損傷



感想:

必ずしもそうでもないみたいなんだよな↓。
こどもの発話障害 構音障害

こども脳の可塑性が言語回復をさまたげる

2019年9月16日

大動脈瘤とくも膜下出血の関係


Association of Aortic Aneurysms and Dissections With Subarachnoid Hemorrhage
2019  9月  アメリカ

脳動脈瘤と大動脈瘤は 共通するリスク要因はあるものの、その形成メカニズムがまだよくわかっていない。

経験的には大動脈瘤患者に脳動脈瘤がよくみつかるといわれているが、くわしい調査はないのでこれらの関連をしらべてみたそうな。



2008-2015のメディケア受益者1781917人から、
大動脈の瘤や解離のある患者を抽出してくも膜下出血の発生をフォローしたところ、



次のことがわかった。

・全体の1.8%に大動脈瘤または大動脈解離があり、

・4.6年前後のフォロー中に0.14%にくも膜下出血があった。

・この発生率は年間10000人あたり9人で、大動脈瘤や解離のない場合は3人だった。

・関連要因を調整したあとのくも膜下出血リスクは1.4倍だった。
大動脈瘤や大動脈解離があるとくも膜下出血のリスクがあきらかに高かった、


というおはなし。

図:大動脈瘤があるときのくも膜下出血率



感想:

脳動脈瘤ができやすい全身性の状態があって、そういうタイミングで脳動脈瘤は非常に短期間に発生成長して破裂する。

だから観測可能な脳動脈瘤はすでに安定化している。治療したところで別の瘤ができて破裂するのでくも膜下出血リスクは高いまま。

これは破裂脳動脈瘤の再出血予防治療についてもおなじ↓。
Risk of Recurrent Subarachnoid Hemorrhage After Complete Obliteration of Cerebral Aneurysms

2019年9月15日

cell.com:脳をガッツリ再生するNeuroD1遺伝子治療


A NeuroD1 AAV-Based Gene Therapy For Functional Brain Repair After Ischemic Injury Through In Vivo Astrocyte-To-Neuron Conversion
2019  9月  アメリカ

哺乳類の脳は海馬や脳室下帯をのぞいて神経再生機能をもっていない。そのため虚血で損傷した脳組織が自力で再生できる割合は失われた神経の1%にも満たないとされている。

神経前駆細胞を外部から導入する実験では動物や人で期待できる成果が得られている。
いっぽう神経幹細胞の導入には免疫拒絶や腫瘍化など問題がおおい。

さいきん、脳に豊富にあるグリア細胞(アストロサイト)を神経細胞に変身させる転写因子「NeuroD1」が実験室レベルでみつかった。

これを実際に脳の中で働かせることができれば失われた神経細胞を再生でき、しかももともと周辺にあった細胞なので機能回復に好都合かもしれない。

そのための技術を開発し動物で実験してみたそうな。



望む位置のグリア細胞にNeuroD1を発現させるために 必要なDNA配列をもったベクターウィルス (adeno-associated virus:AAV)を造った。

脳卒中ネズミで実験したところ、



次のようになった。

・目標組織にAAV感染させることで、脳虚血で失われた神経細胞の3分の1を再生することができた。またダメージを受け瀕死のニューロンの3分の1を護ることができ神経の回復につながった。

・アストロサイトから神経細胞への転換はmRNAとプロテインレベルで確認できた。

・2ヶ月後には再生した神経細胞でシナプス反応を確認できた。

・再生した神経細胞からのロングレンジの軸索投射も確認できた。

・運動と認知機能でのあきらかな改善がみられた。

NeuroD1を介した細胞転換による遺伝子治療は、神経を大幅に再生し失われた機能を取り戻すことができるかも、


というおはなし。

図:NeuroD1で脳梗塞再生



感想:

AAV自体はすでにFDA認可のあるウィルスなんだって。

よそから細胞をもってくるのではなく、もともとたくさんあるグリア細胞を利用する戦略がある。↓
脳の損傷部位にあらたな神経細胞を誘導する方法

ミクログリアを味方にして慢性期脳梗塞を治療する方法

刺激豊富な環境っていうけど、どの刺激がいいの?

ダメージを負った脳組織が勝手に再生する仕組みが明らかに

2019年9月14日

若年脳卒中にがんが見つかる率


Increased risk for cancer after stroke at a young age- etiological relevance or incidental finding?
2019  9月  ドイツ

脳卒中患者のほとんどは75歳以上であるが、およそ10%は55歳以下という。

彼ら若年者が脳卒中になる原因は血管リスク要因だけでは説明がつかない。

潜在的ながんにより引き起こされる血栓形成傾向(thrombophilia)についての報告がいくつもあがっている。

これらの研究のおおくはがん患者の脳卒中の発生をしらべたもので、脳卒中になったのちがんが診断されたケースの調査はすくない。

そこで脳卒中患者を10年間フォローした研究データをつかってくわしくしらべてみたそうな。



ドイツの医薬品疾病データベースから
がんと診断されていない脳梗塞患者18668人と、同数の脳卒中でない患者記録を抽出してその後10年間のがん診断の有無との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・全体の15.5%が55歳以下だった。

・脳卒中患者のがん診断率は、高齢で29.4%、55歳以下17.3%だった。

・非脳卒中患者とくらべ脳卒中患者のがん診断率は高く、55歳以下では17.3% vs. 9.5%、高齢では29.4% vs. 24.9%だった。

若年で脳卒中になった患者の10年間のがん診断率は非脳卒中患者のおよそ2倍だった、


というおはなし。

図:若年脳卒中のがん発症率


感想:

これ↓おもいだした。
脳卒中患者にしめるがんの率

脳卒中のあと がんになりやすいは本当?

脳卒中後のがんは6ヶ月以内にみつかりすでに手遅れ

がんの宣告を受けると脳梗塞になる

軽い脳梗塞とホッとしていたのも束の間 実はガンでしたと告げられる患者の割合と見分け方

若い脳梗塞患者でガンで亡くなってしまう人の特徴

なぜ脳梗塞患者はガンになりやすいのか

2019年9月13日

Stroke誌:脳電気刺激の神経保護効果


Central Nervous System Electrical Stimulation for Neuroprotection in Acute Cerebral Ischemia
2019  9月  アメリカ

中枢神経系への電気刺激は脳卒中からの回復促進に応用されることがあり 頭皮に電極を貼り弱い電流を流すtDCSやtACS が知られている。

ほかに侵襲性の高い方法として脳深部に電極を挿し込む刺激法もある。

中枢神経系への電気刺激には虚血に陥った脳組織を保護する効果も期待されていて、動物実験での報告がおおくある。

刺激の考え方はおもに2つあって、1つは虚血脳半球に直接電極を貼る方法で、もう1つは虚血部位から離れた核(nuclei)を電気刺激する方法である。

そこで中枢神経系への電気刺激の神経保護効果についてこれまでの前臨床研究のメタアナリシスをこころみたそうな。



関係する動物実験の研究を厳選してデータを統合 再解析した。

6つの刺激戦略について最終的な梗塞体積の変化を調べた。

そのうち3つは陰極、陽極または交互にパルス刺激する方法で、

残りの3つは虚血域からはなれた以下の核をターゲットにした刺激である。
室頂核(fastigial nucleus)、
視床下血管拡張域(subthalamic vasodilator area)、
背側中脳水道周囲灰白質(dorsal periaqueductal gray)。



次のことがわかった。

・350の実験動物をふくむ21の急性脳虚血への電気刺激についての研究がみつかった。

・全体として、電気刺激なしに比べて梗塞体積は37%減少した。

・刺激方法ごとに効果はことなり、とくに虚血脳半球への刺激では陰極半球刺激(cathodal hemispheric stimulation:CHS)でのみあきらかな梗塞体積の減少(27%)がみられた。

・虚血域からはなれた核への刺激方法3つはすべてで梗塞体積が半分ほどになっていた。

・臨床応用へはCHSがもっとも有望と考えられた。

中枢神経系への電気刺激の前臨床実験では梗塞体積をちいさくすることができた。人の臨床実験には虚血半球への陰極刺激が適していると考えられる、


というおはなし。

図:陰極半球刺激と梗塞体積のメタアナリシス



感想:

動物では頭をあけて直接電極を貼ったり強い電流つかったりできるのでなんらかの効果を観測できる。

ところが人に応用する場合、たとえば「経頭蓋のtDCSやtACS」だとそもそも脳に電流がとどかない。
さらに通電中は電極に接する皮膚のチクチク感が常にあるため被験者にたいし盲検を設けることができないという本質的な問題もかかえる。

そのためtDCSやtACSの臨床実験では 被験者が実験意図を容易に忖度(そんたく)してしまいポジティブなデータばかりが得られてしまう。
tDCSってホントに脳を刺激してるの?

2019年9月12日

くも膜下出血がおきやすい時間帯


Relationship between Circadian Variation in Ictus of Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage and Physical Activity
2019  9月  韓国

くも膜下出血の発生は24時間の概日(circadian)パターンをしめすとする報告が数おおくあがっている。

これには1日の身体活動変化の影響も考えられるが くわしい報告がないのでしらべてみたそうな。



2012-2017の脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血335人のうち、

発症時刻と身体活動パターンがあきらかな234人を抽出して関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・1日のうちの発症時刻は、はっきりとしたふたコブパターンをしめし、08:00-12:00におおきなピークがあり次いで16:00-20:00にピークがあった。

・日中の身体活動強度は 深夜00:00-04:00が最低で、08:00-12:00にゆるやかなピークをしめすのみだった。

・日中の身体活動強度が、低い(1-4METs)グループと高い(5-8METs)グループとの比較では くも膜下出血発生リスクへの有意な影響は認められなかった。

くも膜下出血の発生時刻はふたコブパターンをしめしとくに朝に高かった。このパターンは身体活動強度に影響されなかった、


というおはなし。

図:くも膜下出血の起きる時間帯



感想:

身体活動は動脈瘤を破裂させる影響よりも 保護効果のほうが強い↓。
nature.com:活発なひとはくも膜下出血になりやすい?

2019年9月11日

痙縮が強くなる姿勢


Influence of positional changes on spasticity of the upper extremity in poststroke hemiplegic patients
2019  9月  中国

痙縮は脳卒中経験者の20-40%にあらわれるという。

上肢の痙縮は寝ているときよりも立って歩いているときに よりわかりやすい。

片麻痺患者の姿勢と上肢の痙縮についての報告はほとんどないのでくわしくしらべてみたそうな。



脳卒中で上肢に痙縮のある84人の患者について、

肘、手首、手指の屈筋の痙縮の程度を3つの指標

Modified Ashworth Scale (MAS)、
Modified Tardieu Scale (MTS) 、
Triple Spasticity Scale (TSS)、

で、仰臥位、座位、立位でそれぞれ測定したところ、



次のことがわかった。

・仰臥位では3つの指標すべてで痙縮度が他の姿勢よりもあきらかに低く、

・MTSとTSSスコアは座位よりも立位で有意に高かった。

脳卒中片麻痺患者について、仰臥位や座位から立位になるとその上肢痙縮度はあきらかに高くなった、



というおはなし。

図:3つの姿勢での痙縮



感想:

最初のころは療法士さんにC-3POみたい とからかわれた。しかし間もなく気にならないレベルにまで腕の筋肉の緊張は解けた。

なるほど痙縮は脳の問題なんだなぁ、、とおもった。

2019年9月10日

nature.com:脳梗塞が再発しやすい両上腕血圧差


Inter-arm Blood Pressure Difference is Associated with Recurrent Stroke in Non-cardioembolic Stroke Patients
2019  9月  韓国

血圧管理の最新のガイドラインでは両腕での血圧測定をすすめている。

両腕で血圧が異なるケースは珍しくなく、両上腕血圧差(inter-arm blood pressure difference:IABD)と呼ばれ 一般人の4%、糖尿病の7%、脳卒中の10%に見られるという。

IABDは大動脈や鎖骨下動脈系の動脈硬化や狭窄を反映していると考えられている。

IABDと脳卒中の再発との関連についての研究はほとんどないのでくわしくしらべてみたそうな。



心原性タイプでない脳梗塞の患者1226人について、

24ヶ月間 再発ケースをフォローした。

入院時のABI(Ankle-brachial index:足関節上腕血圧比)検査からIABDをもとめて関連を解析したところ、



次のようになった。

・両腕の血圧差が10mmHg以上ある者は、収縮期血圧で9.7%、拡張期血圧で5.0%いた。

・この間に8.5%が脳梗塞を再発した。

・IABDが10mmg以上あった者の再発リスクは、収縮期血圧の場合で1.77倍、拡張期血圧では2.92倍だった。

両上腕血圧差が10mmHg以上あるとあきらかに脳梗塞が再発しやすかった、


というおはなし。

図:両上腕血圧差と生存曲線



感想:

以前はかったら15くらい差があって、ビビって2度とはかっていない。
脳卒中やったひとは両腕で血圧が違うかも

2019年9月9日

食事マグネシウムと脳卒中の関係


The Effect of Magnesium Intake on Stroke Incidence- A Systematic Review and Meta-Analysis With Trial Sequential Analysis
2019  8月  中国

食事からのマグネシウムの不足は アルツハイマー病、喘息、ADHD、糖尿病、高血圧、心血管疾患、片頭痛、骨粗鬆症、がん、などと関連しているという。

しかしマグネシウムと脳卒中については食事ガイドラインで適量を勧められるほどには用量関係があきらかになっていない。

そこで最新の研究もふくめたメタアナリシスに逐次解析(trial sequential analysis)を適用してマグネシウムと脳卒中の用量関係をあきらかにしてみたそうな。



2019 Jan.までの関係する研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、



次のことがわかった。

・マグネシウムをほとんど摂らないグループにくらべもっともおおく摂るグループの脳卒中リスクは11%低く、脳梗塞リスクは12%低かった。

・脳出血との関連についても逆相関にあったが統計学的有意なほどではなかった。

・1日あたりマグネシウム量が100mgふえるごとに脳卒中リスクは2%低下した。

マグネシウムを多く摂ることは脳卒中予防になり用量関係がみられた、


というおはなし。

図:食事マグネシウムと脳卒中リスク



感想:

ナッツや豆によくふくまれている。バターピーナッツ50gで100mg摂れる。
マグネシウムと脳卒中後の認知障害

マグネシウムが少ないと脳動脈瘤が破裂する?

2019年9月8日

ベジタリアンの脳卒中リスク


Risks of ischaemic heart disease and stroke in meat eaters, fish eaters, and vegetarians over 18 years of follow-up- results from the prospective EPIC-Oxford study
2019  9月  イギリス
健康、環境、動物愛護の観点からベジタリアンやビーガンになる人が増加している。

これまでの研究ではベジタリアンは虚血性心疾患のリスクが低いとされている。

しかし脳卒中との関連については報告がほとんどないのでくわしくしらべてみたそうな。



1993-2001にイギリスでおこなわれた食事健康調査 EPIC-Oxford研究にはベジタリアンがおおく含まれる。

このデータから健康な48188人を抽出して、次の3グループに分けた。

ミートイーター(meat eaters)24428人:肉も魚も食べる。
フィッシュイーター(fish eaters)7506人:肉は食べないけど魚は食べる。
ベジタリアン(vegetarians)16254人:肉も魚もたべない。

脳卒中と虚血性心疾患の発生を2016までフォローしたところ、



次のようになった。

・この間に虚血性心疾患2820、脳卒中トータル1072、脳梗塞519、脳出血300があった。

・ミートイーターにくらべフィッシュイーターとベジタリアンは虚血性心疾患リスクがそれぞれ13%、22%低かった。

・この関連はコレステロール値や血圧、糖尿病、BMIで調整すると弱まった。

・いっぽう脳卒中トータルのリスクはベジタリアンがミートイーターより20%高かった。

・脳出血に限定するとベジタリアンのリスクは43%高かった。

・これらの関連は血圧、糖尿病、BMIなどで調整してもほとんど変わらなかった。

ベジタリアンの虚血性心疾患リスクは低かったが、脳卒中リスクは高く とくに脳出血になりやすかった、


というおはなし。

図:ベジタリアン食と脳出血リスク



感想:

人は 「米、大豆、じゃがいも」で生きられるとするじぶん勝手な仮説を立てて10年あまりその生活を実践していた。

そしてコレステロールが下がりすぎたためか 脳が血を吹いた。

これに懲りたいまは普通のミートイーター。

2019年9月7日

日本人の脳卒中死はラーメン屋のせい


Ramen restaurant prevalence is associated with stroke mortality in Japan- an ecological study
2019  9月  日本

日本の食事には塩分がおおく動物性脂肪が少ないと言われている。

ライフスタイルの変化により冠動脈疾患にくらべ脳卒中死亡率はおおきく低下してきた。

しかしどういうわけか東日本の脳卒中死亡率は西日本よりも高い。

この背景に日本の国民食「ラーメン」があると考え、仮説を検証してみたそうな。



厚生労働省のデータベースをつかって2017年の県ごとの脳卒中死亡率とコントロールとして心筋梗塞死亡率をもとめた。

NTTの電話帳から県別のラーメン屋、ファーストフード店、フレンチ イタリアンレストラン、うどん そば店を抽出して、人口あたりの件数分布をしらべた。

これらの関連を男女別に解析したところ、



次のことがわかった。

・県人口あたりのラーメン屋件数がおおいと男女ともにあきらかに脳卒中死亡率が高く、

・この関連はファーストフード店やフレンチ イタリアン、うどん そば店との間には見られなかった。

・また、ラーメン屋密度と心筋梗塞死亡率にも関連はみられなかった。

日本の県ごとのラーメン屋密度と脳卒中死亡率にはあきらかな関連がみられた、


というおはなし。

図:ラーメン屋分布と脳卒中死亡率



感想:

上の図みると福岡と熊本はラーメン屋密度たかいのに脳卒中死亡率が最低。

とんこつ系は脳卒中的にわるくないのかも。

カップラーメンを週2回以上食べる女性が脳卒中になりやすい理由について

近所にファーストフード店があると脳卒中になるの?

2019年9月6日

サーモセラピーで筋力アップとうつ解消


Thermotherapy Combined With Therapeutic Exercise Improves Muscle Strength and Depression in Patients With Ischemic Stroke
2019  9月  インドネシア

脳卒中患者へのサーモセラピー(温熱療法)では筋肉に血流が増え弛緩すると考えられていて、その結果として関節可動域や筋力、柔軟性、疼痛しきい値が上がったなどの改善効果が報告されている。

超音波や電気をつかって深部まで温める方法もあるものの、熱したウォータパックを筋肉に当てる方法が低コストかつシンプルであり低中所得国の患者に適している。

そこでサーモセラピーにエクササイズを組み合わせた4週間の自宅リハビリで筋力とうつに改善効果がみられるものか実験してみたそうな。



脳卒中のあと12日前後の すでに退院してなんのリハビリも受けていない片麻痺の患者22人について、

41℃に熱したウォータパックを肩の三角筋と膝に10分間あてたのち運動訓練をさせる方法を介護者に教育して、
これを1日2回x週7日x4週間、計56セッション実行させた。

この前後で 上下肢の筋力とうつスコアを測定したところ、



次のようになった。

・4週間のサーモセラピーと運動訓練のあと、上下肢の筋力があきらかに強くなった。

・うつスコアもおおきく低下した。

・もっともおおきな改善は3週目におきた。

サーモセラピーを加えた自宅リハビリにより脳卒中患者の筋力とうつがあきらかに改善した、


というおはなし。

図:脳卒中の温熱療法 筋力



感想:

日本人の論文がいくつも引用されてた。たぶん温泉に浸かるんだろね。

2019年9月5日

フローダイバーターの合併症率


Flow diversion treatment for acutely ruptured aneurysms
2019  9月  オランダ

くも膜下出血で脳動脈瘤の再破裂をふせぐためにコイルを詰める方法がある。しかしコイル手術には破れた脳動脈瘤をさらに傷つけてしまう可能性もある。

さいきん、フローダイバーターというステントを母血管に挿入することで血管内腔を再建して破裂動脈瘤に触れずに塞いでしまう方法が利用できるようになった。

しかしこの方法には血栓による脳梗塞や頭蓋内出血の合併症をおこすリスクもある。

このあたりの安全性情報が少ないのでくわしくしらべてみたそうな。



6つの施設のくも膜下出血でフローダイバーター治療をおこなった患者44例の記録を解析したところ、



次のことがわかった。

・発症から数カ月後、回復良好(mRS0-2)は20名(45%)だった。

・トータルで57件の合併症がおき、そのうち20名(45%)の合併症25件は手術に関係するもの(手術中の血栓による梗塞や血管解離などが5件、手術後の梗塞や脳出血、消化管出血などが20件)だった。

・12名(27%)で永続的な障害となり、5名(11%)で再出血した。8名(18%)が死亡した。

・手術関連の合併症を負った患者は回復不良(mRS3-6)になりがちだった。

・サイズ20mm以上の瘤の再出血率は20mm未満にくらべ、60% (3/5) vs 5% (2/39)で非常に高かった。

・およそ10ヶ月後、アンギオ検査できた患者の93%で完全閉塞が確認できた。

破裂脳動脈瘤へのフローダイバーター治療は 合併症率が非常に高く、再出血率も高かった。合併症を負った患者の予後は悪かった、


というおはなし。

図:フローダイバーターの合併症



感想:

検索で表示される日本語ページみると良いことしか書いてないんだよ、フローダイバーター。

カテーテル系の治療は素人目にはあんぜんそうだけど実はしくじりがおおい。健康な若年者へのコイルですら致命率はクリップの3倍↓。
未破裂瘤手術の合併症率と致命率 JAMA Neurol.

2019年9月4日

くも膜下出血が起きやすい天気と瘤の形


Association Between Meteorological Factors and the Rupture of Intracranial Aneurysms
2019  9月  中国

くも膜下出血の85%は脳動脈瘤の破裂によるものである。

脳動脈瘤の形成、破裂の関連要因として血圧、喫煙、女性、家族歴などがあげられる。

さらに気象条件との関連を示す報告もいくつかあるが、調査により結論が異なっている。

そこで、脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血と気象条件との関連を、脳動脈瘤の形状もふくめてくわしくしらべてみたそうな。


くも膜下出血患者1751人の2124個の脳動脈瘤の記録と、発症当時の気象パラメータとの関連を、脳動脈瘤の形状(瘤のサイズ、ネック幅、高さ、母血管径、ブレブ、アスペクト比、サイズ比、ボトルネック比)もふくめて解析した。



次のことがわかった。

・日々のくも膜下出血発生率は気温(1日の平均、最高、最低)と逆相関にあり、

・1日の平均気圧と正の相関をしめした。

・複数の脳動脈瘤をもつ58人の記録から瘤の形状についてしらべたところ、アスペクト比(高さ/ネック幅)のみが有意に破裂と関連していた。

・ROC解析では破裂しやすい瘤のしきい値は、サイズ3.45mm、アスペクト比1.05だった。

気温が低く気圧が高い日は脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血がおきやすかった。このような日には破裂しやすい瘤のしきい値が下がると考えられた、


というおはなし。

図:脳動脈瘤の形状パラメータ



感想:

未破裂脳動脈瘤の国際研究ISUIAでは7mm以下の破裂率は0.05%未満で まず破裂しないといわれている。それにくらべてしきい値3.45mmは小さすぎるし 0.01mm単位で示すほどの精度があるのか?
クモ膜下出血がおこる気象条件

2019年9月3日

動作観察トレーニングのメタアナリシス


The effects of action observation training on improving upper limb motor functions in people with stroke- A systematic review and meta-analysis
2019  8月  中国
脳卒中患者の最大80%は上肢に麻痺を生じ、およそ50%はその状態が何年もつづく。

上肢リハビリ法のおおくは麻痺手のくりかえし運動がベースになっている。しかし麻痺手が動かない重症の患者には適していない。

動作観察(action observation)によりミラーニューロンシステムを介し運動皮質への働きかけが進むことがわかっていて、麻痺手の運動を必要としない「動作観察トレーニング」として期待されている。

動作観察トレーニングの効果を検証するべくこれまでの研究をメタアナリシスしてみたそうな。



関係する研究論文のうち、脳卒中患者への訓練セッション5回以上のランダム化比較試験を厳選して データを統合 再解析したところ、



次のことがわかった。

・脳卒中被験者276人をふくむ7つの研究がみつかった。

・動作観察による上肢トレーニングは効果がちいさいながらもあきらかな改善を示していた。

脳卒中で上肢麻痺の患者への動作観察トレーニングは有効そうである、


というおはなし。

図:動作観察トレーニングのメタアナリシス


感想:

ミラーニューロンがどうのといってるけど これは運動イメージ訓練のImplicitタイプなんだよな↓。
エビデンスレベルⅠ 推奨度Aの脳卒中リハビリ法とは

2019年9月2日

未破裂瘤手術の合併症率と致命率 JAMA Neurol.


Procedural Clinical Complications, Case-Fatality Risks, and Risk Factors in Endovascular and Neurosurgical Treatment of Unruptured Intracranial Aneurysms: A Systematic Review and Meta-analysis
2019  3月  オランダ

未破裂脳動脈瘤は一般人の3%にみつかり、画像診断技術の進歩であらたに発見される未破裂脳動脈瘤の数は増加傾向にある。

脳動脈瘤が破裂するとくも膜下出血になる。このときの平均年齢は60歳で 致命率はおよそ35%である。

未破裂脳動脈瘤を治療することでくも膜下出血を防ぐことができると信じられている。

その方法には 血管内治療(endovascular treatment:EVT)と神経外科治療(neurosurgical treatment:NST)がある。

EVTはコイルやフローダイバーターを、NSTはクリッピングを指す。

これらの治療には合併症のリスクが伴うため 未破裂脳動脈瘤の治療は破裂リスクと治療合併症のリスクとのバランスで決定される。

これら合併症のリスクを評価したメタアナリシスは2013年が最新で、当時はEVTが少なくNSTと区別して評価していなかった。

そこで、EVTとNSTをわけてそれら合併症率と致命率についてのメタアナリシスをあらためて試みたそうな。



2000 Jan.以降の関係する論文を厳選してデータを統合 再解析したところ、



次のことがわかった。

・被験者106433、脳動脈瘤108263個を含む114の研究がみつかった。

・EVTの74の研究から、合併症率は4.96%、致命率は0.30% となった。

・EVTの合併症関連要因は、女性、糖尿病、高脂血症、ネックの広い動脈瘤、後方循環動脈瘤、ステント使用、だった。

・NSTの54の研究から、合併症率は8.34%、致命率は0.10% となった。

・NSTの合併症関連要因は、年齢、女性、抗凝固薬、喫煙、高血圧、糖尿病、後方循環動脈瘤、動脈瘤の石灰化、だった。

未破裂脳動脈瘤をコイルやクリップで治療するばあいの合併症率と致命率をそれぞれあきらかにすることができた、


というおはなし。

図:未破裂脳動脈瘤の治療 合併症と致命率



感想:

コイル致命率はクリップの3倍で、クリップは12人に1人が重い合併症を負うってこと。


ところで、
1999年のStroke誌に日本の研究が載っている。↓
Risk of subarachnoid hemorrhage after surgical treatment of unruptured cerebral aneurysms

未破裂脳動脈瘤をクリップ治療した100人以上を長期フォローした結果、くも膜下出血の発生率が20年間で12.4%あったという内容。

これは年率0.6%に相当して、未破裂脳動脈瘤の自然破裂率とほとんど変わらない。

つまり未破裂脳動脈瘤をクリップ治療したところでくも膜下出血が防げるわけでもなんでもなく、むしろ手術による合併症のリスクがあるぶん治療行為は「まったくの損」であると考えることもできる。

2019年9月1日

脳卒中経験者のツイッターを感情分析した


Stroke Survivors on Twitter- Sentiment and Topic Analysis From a Gender Perspective
2019  8月  スペイン
若年者の脳卒中が増えている、とくに低中所得国で。

彼らがツイッターでつぶやく言葉には意図せずとも感情があらわれていて、健康状態の反映とも考えられる。

いっぱんに女性の脳卒中経験者はQoLが低くうつ症状が重いという。

そこでツイッターの内容を分析して感情の偏りについて男女べつのちがいをくわしくしらべてみたそうな。



2007-2018の脳卒中に関係するツイートをすべて抽出して、投稿者にコンタクトをとり脳卒中経験者であることを確認した。

これらツイートのワードの感情的偏りを8つの基本感情(怒り、恐れ、期待、驚き、喜び、悲しみ、信頼、嫌悪)にもとずいて分類した。

解析に際し、プルチック(plutchik)モデルとヘドノメーター(hedonometer)を用いた。



次のことがわかった。

・全5257433ツイートのうち最近の15%である800424ツイートを解析した。

・このうち女性は244人で396898ツイート 男性は235人403526ツイートで、彼らが脳卒中経験者であることを確認した。

・ポジティブな感情(期待、信頼、喜び)の出現率はあきらかに女性で高く、

・ネガティブな感情(嫌悪、恐れ、悲しみ)の出現率は男性に高かった。

・構造的トピックモデル(structural topic modeling)解析による幸福度スコア(happiness score)はほとんどのトピックで女性が高レベルだった。

脳卒中経験者のツイートを解析したところ、女性は男性よりもポジティブな感情表現がおおく幸福度も高かった、


というおはなし。

図:ハピネススコア ツイッター


感想:

地道な活動が求められる医療分野にツイッターは向いていない。

自己顕示欲のつよいごく一部のひとたちの自慢会場になってしまっているので注意が必要だ。↓
脳外科医のつぶやきはフェイクニュース

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