2017年2月28日

脳卒中急性期に上体を起こしておくのは意味があるの?

元
In Stroke, No Clear Benefit for Head Positioning
2017  2月  オーストラリア

脳卒中の急性期に上体を起こしておくと脳の浮腫や肺炎の防止によいかも...といわれている。

ほんとうのところはどうなのか大規模に調べてみたそうな。

先週の国際脳卒中会議での発表。


世界114病院の脳卒中患者11000人以上について、入院直後の24時間を水平寝または上体起こし(30度以上)で過ごす2グループに分けて90日後の状態を比較したところ、


次のようになった。

・水平寝の13%、上体起こしの4%がなんらかの理由で姿勢維持を中断した。

・90日後、完全回復でなかった者の割合は 水平寝47.7%、上体起こし48.2%だった。

・水平寝の29%、上体起こしの40%が要介護または死亡で、

・両グループともに7%が死亡した。

・ぜんたいとして、頭の位置で障害の重さに明らかな差はなかった。

・年齢、脳卒中の種類、重症度などによらず 頭の位置の違いで結果の優劣はなかった。

急性期脳卒中患者のあたまの位置は、水平寝または上体起こしにかかわらず 予後に影響がなかった、


というおはなし。

図:脳卒中急性期の上体起こしの効果


感想:

片方の鼻が詰まっているときその側を上にして寝ると鼻が通る。だから左向きに寝れば右脳の腫れがひくかなとおもった。初期はまだ肩は痛くなかったけど左腕の感覚がゼロで、下にして寝ると腕が変な角度に折れ曲がっていた。ほうっておくとそのまま腕が壊死しそうな気がしてけっきょく左向きでは寝れなかった思い出。

2017年2月27日

末梢感覚刺激で脳梗塞が治る

元
Peripheral sensory stimulation is neuroprotective in a rat photothrombotic ischemic stroke model.
2016  8月  シンガポール

げんざい脳梗塞の有効な治療法はrtPAしかなくしかも適応になる患者は限られる。

末梢感覚刺激による脳の回復効果の報告があるので実験でたしかめてみたそうな。


ネズミを人為的に脳梗塞にした直後から 片方の前脚もしくは両前脚に微弱な電気パルス(末梢感覚刺激)を与えた。

脳波や梗塞体積を評価したところ、


次のことがわかった。

・末梢感覚刺激により体性感覚誘発電位、脳波がもとの状態にもどった。

・梗塞の体積は両前脚に刺激を与えたグループで最小になった。

脳梗塞直後の末梢感覚刺激による神経保護効果を確認できた、


というおはなし。
図:末梢感覚刺激と脳梗塞ボリューム

感想:

これら↓もおなじような理由かな。
太ももの裏をサワサワするとリハビリがはかどる

触覚刺激で脳がすぐに回復し その効果が10年以上続く可能性について

2017年2月26日

糖尿病の脳卒中への影響を生涯リスクで比較してみた

元
Diabetes and lifetime risk of stroke and subtypes in an urban middle-aged population.
2017  2月  日本

糖尿病は脳卒中のリスク要因ではあるがどのていど影響するものなのか直観的に理解しにくい。

年齢のある時点から死亡するまでに疾患を発症する確率 "生涯リスク" で糖尿病の影響を比較してみたそうな。


大阪 吹田市民5515人を1989から2007までフォローし、脳卒中の生涯リスクを解析したところ、


次のようになった。

・40歳時点では、男性の脳卒中生涯リスクは糖尿病なしで15.98%、糖尿病があると26.64%で、

・女性の脳卒中生涯リスクは、糖尿病なしで17.29%、糖尿病があると30.72%だった。

・これら糖尿病による生涯リスクの増加度は 計算開始時点の年齢をあげても同じだった。

・脳卒中の種類別では脳梗塞で同様の結果が得られた。

糖尿病は中年の男女ともに脳卒中の生涯リスクにつよく影響することがわかった、


というおはなし。

図:糖尿病 脳卒中の生涯リスク


感想:

糖尿病があると脳卒中患者数がだいたい10%増えるんだな。

2017年2月25日

脳卒中の音楽感情と脳半球支配

元
Post-stroke acquired amusia: A comparison between right- and left-brain hemispheric damages.
2017  2月  イラン

脳卒中が感情に与える影響については言葉や韻律、音声、表情についての研究がすでに行われている。

音楽への感情反応について実験してみたそうな。


31-71歳、慢性期の脳卒中で右脳損傷の25人、左脳損傷の20人と健常者25人について
短い音楽から感情をよみとる正確さを評価する「音楽感情テスト」"Musical Emotional Bursts"を行い比較したところ、


次のようになった。

・脳卒中グループはいずれも音楽感情スコアが明らかに低かった。

・右脳損傷グループは左脳損傷にくらべ「悲しみ」「中性」感情の認識力が有意に低かった。

・全グループで年齢がたかいほど音楽感情スコアは低下し、特に右脳損傷で顕著だった。

左脳よりも右脳の脳卒中で失音楽症がおきやすいと考えられた。右脳がネガティブな感情をつかさどるとする"感情価仮説"(valence hypothesis)を支持する結果になった、


というおはなし。
図:感情価仮説と右脳優位仮説

感想:

たしかに音楽聴いて心震わすことはなくなったね、とくにさいきん。

ちなみに脳の感情支配のもうひとつの説に、感情の種類によらず右脳がつかさどるとする"右脳優位仮説"がある。

2017年2月24日

脳内出血のあとのうつ そして認知症

元
Bleeding stroke survivors at higher risk of depression, dementia
2017  2月  アメリカ

脳内出血後のうつと認知症との関連をしらべてみたそうな。

今週の国際脳卒中会議での発表ないよう。


脳内出血経験者695人について、うつや認知障害の有無を6ヶ月ごとに電話でフォローした結果、


次のことがわかった。

・50ヶ月以内に脳内出血経験者の40%がうつになった。

・この比率は年に7%相当で、一般人よりも高かった。

・うつと認知症を併発した者は全体の63%におよび、

・かれらのうち80%は、うつのあと平均18ヶ月後に認知症を発症していた。

脳内出血のあと うつになりやがて認知症になる割合はとても高かった、


というおはなし。

図:うつと認知症

感想:

いままで 脳内出血→認知症ってはなしはよくでてきた。うつが前兆ってとこがあたらしい。

[脳内出血 認知症]の検索結果

2017年2月23日

ブルーライトセラピーが脳卒中うつをいやす

元
After Stroke, 'Blue' Light May Help Beat the Blues
2017  2月  デンマーク

精神科医のあいだでは青色光が記憶力やうつを改善する効果がよく知られている。
脳卒中後のうつにも効くものか実験してみたそうな。

今週水曜日の国際脳卒中会議での発表内容。


脳卒中でリハビリ入院した患者84人について、
リハビリ室の照明を *通常光または *青色光の2グループに分けた。


次のことがわかった。

・14日間のリハビリ後、青色光グループのうつレベルが 通常光にくらべ有意に低かった。

・ブルーライトが概日リズムに影響すると考えられた。


脳卒中患者は屋内で過ごすことが多く、青色光を多く含む日光をじゅうぶんに浴びることができない。青色光療法は薬や副作用のない脳卒中うつ対策になるかも、


というおはなし。

図:青色光療法


感想:

病人があつまる部屋が青色照明だったら ますます病的に見えてかえってひどくなりそうな気がするよ。

2017年2月22日

脳卒中で入院中に運転指導はあるの?

元
Shifting gears: An inpatient medical record audit and post-discharge survey of return-to-driving following stroke/transient ischaemic attack.
2017  2月  オーストラリア

オーストラリアでは 脳卒中患者はすくなくとも4週間 自動車運転を控えること、とされている。

いっぽうで 脳卒中患者は自分の運転能力を過大評価するという報告もある。

軽症脳卒中患者への運転復帰指導の現状をしらべてみたそうな。


平均年齢67、軽症脳卒中で自宅に退院した患者78人の医療記録とアンケート調査の結果を解析したところ、


次のことがわかった。

・35%の患者にのみ運転復帰の指導記録があった。

・運転を控える期間を明示された患者は13%のみだった。

・アンケートに回答した31人のうち20人が自動車運転を再開していた。

・21人は運転復帰指導のために呼び出しを受け、

・7人は運転を控えるべき1ヶ月以内に運転を再開していた。

脳卒中患者への運転復帰指導にかんする記録には整合性が欠けていた。必要とする患者に指導がおこなわれたかはよくわからない、


というおはなし。
図:

感想:

上のグラフ、運転再開の理由 1位「できると思ったから」。

あと数十年でほとんどの車は自動運転になる。
『あのころはすごかった。ボケ老人やてんかん、片麻痺患者が好き勝手に運転していたよ、、』と振り返る。
脳卒中経験者は自動車運転をナメきっていることが判明

2017年2月21日

花粉症と脳卒中との関連があきらかに

元
The association between hay fever and stroke in a cohort of middle aged and elderly adults.
2008  5月  アメリカ

喘息が脳卒中と関連するという報告はあるが、花粉症と脳卒中との関連はよくわかっていない。
しらべてみたそうな。


平均年齢62.4、9272人の花粉症歴を聞き取り、脳卒中の有無を4.4年間フォローしたところ、


次のようになった。

・この間に125人が脳卒中になった。

・花粉症のある者は全体の10.4%で、彼らのうち2.2%が脳卒中になった。

・花粉症のない者で脳卒中になったのは1.25%だった。

・年齢、性別、人種、喫煙、肥満度、糖尿、高血圧、飲酒、高脂血症を考慮に入れても花粉症があると脳卒中のなりやすさが1.87倍だった。

・炎症関連物質の影響や 鼻詰まりによる閉塞性睡眠時無呼吸症が脳卒中の原因と考えられる。

花粉症は脳卒中のリスク要因だった、


というおはなし。

図:花粉症と脳卒中


感想:

ことしは花粉が多いのか いきなり鼻水がとまらない。くやしいのでさかのぼって検索したらこの報告(2008)だけがヒットした。

2017年2月20日

社会経済的地位と脳卒中の予後 in 中国

元
The influence of individual socioeconomic status on the clinical outcomes in ischemic stroke patients with different neighborhood status in Shanghai, China.
2017  1月  中国

社会経済的地位と脳卒中との関連をしめす報告がおおくある。上海市で脳卒中患者の予後と社会経済的地位との関連をしらべてみたそうな。


18-80歳の脳梗塞患者471人について、社会経済的地位を 教育歴、収入、職業、医療費で総合的に評価し 高 中 低に分類した。

周辺住人の社会経済的地位は戸籍情報をもちいて推測した。

脳梗塞後の有害事象と総死亡率との関連を解析したところ、


次のようになった。
・患者の社会経済的地位は周辺住人のそれと強い関連があった。

・社会経済的地位が低レベルの患者はあきらかに有害事象が多く 総死亡率も高かった。

・他の要因を考慮にいれてなお 患者本人および周辺住人の社会経済的地位が低いと患者の予後がよくなかった。

脳梗塞患者とその周辺住人の社会経済的地位が低いと 有害事象や死亡があきらかに多かった、


というおはなし。

図:社会経済的地位と脳卒中死亡率

感想:

中国のhukouは戸籍カーストとも言える制度で、出自のよしあしが脳卒中の回復にも影響してくるってことなのかね。

2017年2月19日

脳卒中患者と介護人の生活の質

元
Roles of Changing Physical Function and Caregiver Burden on Quality of Life in Stroke: A Longitudinal Dyadic Analysis.
2017  2月  イタリア
脳卒中患者とその介護人の生活の質QoLと 関連要因をしらべてみたそうな。


リハビリ病院を退院した脳卒中患者とその介護人の226組を12ヶ月間フォローしたところ、


次のことがわかった。

・脳卒中患者の平均年齢は70.8、介護人は52.4だった。

・この間に脳卒中患者の身体的 心理的QoLはあきらかに改善した。ただし社会的QoLに変化はなかった。

・介護人のQoLは 平均すると変化がなかった。

・脳卒中患者の身体機能の改善は 患者本人と介護人のQoLの向上に関連があった。

・介護人の負担が軽減すると 介護者本人のQoLがあきらかに向上した。ただし患者のQoLには影響しなかった。

脳卒中患者と介護人のQoLは 脳卒中患者の身体機能の変化におおきく影響を受けた、

というおはなし。

図:脳卒中患者と介護者

感想:

容易に予想できる結果だ。患者はじぶんのことでアタマいっぱい。介護人にまで気が回らない。

2017年2月18日

アクティブ音楽療法を脳卒中患者でやってみた

元
Active music therapy approach for stroke patients in the post-acute rehabilitation.
2017  1月  イタリア

アクティブ音楽療法は神経学的音楽療法の1つで、おもに患者の心理 コミュニケーションの改善を目的としている。同時に上肢機能への影響も期待されている。

この効果を脳卒中患者でたしかめてみたそうな。


脳卒中患者38人を2グループにわけて、両グループに通常のリハビリと いっぽうにはアクティブ音楽療法をほどこした。

アクティブ音楽療法は、木琴やドラム、パーカッションなどのリズム楽器をもちいて患者と療法士が非言語的にコミュニケーションをはかる取り組みである。これを1回30分間、3週間で20セッションおこなった。


次のようになった。
・両グループともに生活の質スコアが向上した。

・とくにアクティブ音楽療法グループで不安やうつの程度が低下した。

・また、非利き手(麻痺手ではない)のつまみ動作スコアがアクティブ音楽療法グループで有意に向上した。

・患者と音楽療法士との関係性スコアも向上した。

脳卒中患者へのアクティブ音楽療法により心理面と上肢機能面でポジティブな結果が得られた、


というおはなし。

図:アクティブ音楽療法と脳卒中

感想:

脳卒中やってから言葉を紡ぐのがホント面倒くさくかんじるようになった。
これがわるいこととは思ってないんだけど、太鼓たたきたい気持ちも理解できる。

2017年2月17日

ミクログリアを味方にして慢性期脳梗塞を治療する方法

元
Microglia preconditioned by oxygen-glucose deprivation promote functional recovery in ischemic rats.
2017  2月  日本

中枢神経の5-20%を占めるミクログリア細胞は、周辺の神経を食べたり保護したりと 状況によりあいはんする働きをする。
急性期の脳梗塞ではミクログリアが脳保護的にはたらくことがわかっている。

こんかいミクログリアを脳虚血と同様の低酸素 低ブドウ糖環境にさらすことで脳保護の性質をもたせることに成功した。
これを慢性期の脳卒中に投与して治療効果をたしかめてみたそうな。

2017年2月16日

一次運動野刺激療法は中枢性疼痛にどのくらい効くのか

元
The Effect of Motor Cortex Stimulation on Central Poststroke Pain in a Series of 16 Patients With a Mean Follow-Up of 28 Months.
2017  1月  中国

中枢性疼痛の治療法で 脳表に電極を貼り付け運動野を電気刺激する "一次運動野刺激療法"(MCS)は1991年に日本人が初めて報告した。

どのくらい効くものなのか脳卒中患者で確かめてみたそうな。


MCS手術を受けた脳卒中で中枢性疼痛の患者16人の医療記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・手術前の痛みスコアは最大10点中 8.0、手術後1ヶ月で3.8、約28ヶ月時点では5.3 だった。

・脳出血または脳梗塞、脳の損傷位置、電極の硬膜上下のちがいは除痛効果に影響しなかった。

・事前のrTMS検査でMCSが効果的な患者を識別できた。

一次運動野刺激療法で脳卒中後の中枢性疼痛をいちじるしく和らげることができた。その効果は脳卒中の種類、損傷位置に依らなかった、


というおはなし。
図:一次運動野刺激療法 中枢性疼痛の

感想:

なぜ効くのかはよくわかっていないんだって。

そもそも なんでこういうことをやろうと思ったんだろうね。

2017年2月15日

30mL未満の脳内出血なら安心していいの?

元
Clinical Course and Outcomes of Small Supratentorial Intracerebral Hematomas.
2017  2月  アメリカ

脳内出血は脳卒中のなかでももっとも致命的で およそ3人に1人が30日以内に亡くなる。初期の血腫のおおきさが30mL以上で拡大傾向にあると ほぼ間違いなく予後不良と考えられている。

では30mL未満のばあいはどうなのか、しらべてみたそうな。


血腫の体積が30mL未満の患者375人について30日後の状態を評価し 他の要因との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・血腫増大が19.2%、早期の神経症候憎悪が7.5%に見られた。

・血腫増大は早期神経症候憎悪につよく関連していた。

・血腫増大は出血位置に依らなかった。

・13.9%が院内で死亡し、29.1%に重度の障害が残った。(計43%)

・出血位置が皮質か深部かで予後不良度に差はなかった。

30mL未満の脳内出血患者は出血位置にかかわらず30日時点の予後不良率が高かった。5人に1人は血腫が増大して早期の神経症候憎悪または死亡していた、


というおはなし。
図:脳内出血位置と血腫増大

感想:

じぶんは29.7mLだった。2週間後、MRIで白質が変色しているところも入れると130mLくらいになっててオドロイタョ。↓(動画)

2017年2月14日

桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)の脳梗塞治療効果

元
The neuroprotective effects of Tao-Ren-Cheng-Qi Tang against embolic stroke in rats.
2017  2月  台湾

伝統中国医学と西洋医学のくみあわせは多くの疾患に応用されている。

こんかい、桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)とアスピリンの脳卒中治療効果について実験してみたそうな。


人為的にに脳梗塞にしたネズミについて、
桃核承気湯およびアスピリンの組み合わせごとにグループ分けした。

30日後まで治療をつづけ、梗塞ボリュームなどを評価したところ、


次のことがわかった。
・桃核承気湯のみ またはアスピリンとの組み合わせは、蒸留水グループにくらべ梗塞ボリュームが明らかに小さく神経症状も改善していた。

・同様に、炎症関連タンパク質がはっきりと減少し、

・細胞死関連のタンパク質も減少した。

・活性酸素レベルも低下していた。

桃核承気湯は脳卒中後の炎症や細胞死を抑えることで梗塞を小さくし神経症状を改善した、



というおはなし。
図:

感想:

アスピリンはほとんど効果なかったようだ。
ツムラ漢方桃核承気湯エキス顆粒(12日分 2500円)

2017年2月13日

脳梗塞の発生率が低下している理由

元
Declining Incidence of Ischemic Stroke
What Is the Impact of Changing Risk Factors? The Tromsø Study 1995 to 2012
2017  2月  ノルウェー

この数十年で脳梗塞の発生率が低下している。なにが理由で低下しているのかしらべてみたそうな。


ノルウェー・トロムソの住民26329人を対象とした1995-2012の調査記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・この間に1226人の脳梗塞があった。

・心血管リスク要因の変化が脳梗塞発生率の低下の57%に影響していた。

・とくに収縮期血圧の平均値と喫煙率の低下がもっとも関連していた。

・いっぽう糖尿病率の増加は脳梗塞発生率の低下傾向を相殺していた。

近年の脳梗塞発生率の低下は おもに収縮期血圧と喫煙率の低下によるもの と考えられた、


というおはなし。
図:脳梗塞の発生率推移

感想:

でも脳内出血の発生率はさがってないんだって。↓
脳内出血の48時間致命率の年代推移

2017年2月12日

慢性期脳卒中の下部尿路症状について

元
A questionnaire survey to assess lower urinary tract symptoms in patients with chronic stroke.
2017  2月  日本

排尿困難や頻尿などの下部尿路症状は脳卒中患者の30-50%にみられ 生活の質におおきく影響する。

慢性期脳卒中患者について下部尿路症状の特徴をしらべてみたそうな。

2017年2月11日

降圧薬いっぱい飲むと歩みが遅くなるの?

元
Effect of Intensive Blood Pressure Control on Gait Speed and Mobility Limitation in Adults 75 Years or Older: A Randomized Clinical Trial.
2017  2月  アメリカ

収縮期血圧を厳格コントロールする大規模な臨床試験(SPRINT)の結果、120mmHg未満を目標にすることで心血管疾患の有病率、死亡率がさらに低下するとわかった。

特に75歳以上で歩行スピードの遅い高血圧患者に この傾向があきらかだった。

歩行スピードは健康状態の反映とも考えられることから、厳格な血圧コントロールが歩行スピードに影響していた可能性を検証してみたそうな。


糖尿病や脳卒中経験のない75歳以上の高血圧患者2636人について、収縮期血圧を120mmHgを目標にするグループと140mmHgのグループにわけ、歩行スピードを3年間フォローしたところ、


次のようになった。
・歩行スピードの経年的な低下の度合いは両グループで差はなかった。

・年齢、性別、人種、他の病気を考慮に入れても差はなかった。

75歳以上の収縮期血圧目標を140→120mmHgにしても歩行スピードには影響なかった、


というおはなし。
図:

感想:

頻尿のため降圧薬は2015の1月1日をもって完全にやめた。勝手に。

頻尿は瞬時に治ったし血圧も高くない。やめてよかったと思ってる。
NEJM誌:脳卒中で死なない血圧は120未満だからね

SPRINTの結果発表を受けて:厳格な降圧治療の有用性と有害事象への注意(日本高血圧学会)

2017年2月10日

片麻痺の両手訓練と日常生活動作

元
Effectiveness of Bilateral Arm Training for Improving Extremity Function and Activities of Daily Living Performance in Hemiplegic Patients.
2017  2月  韓国

上肢の運動支配は 左右それぞれ対側の脳半球が90%、同側の脳半球が10%を担っている。また、損傷した脳皮質は 麻痺手のみを動かす場合に比べ 両手運動時により活発になることがわかっている。

これらの事実から脳卒中の上肢リハビリには両手を用いる運動が推奨できるが、日常生活動作への影響はよくしらべられていない。


脳卒中で片麻痺の患者30人について、両手訓練と通常リハビリのみのグループにわけた。

両手訓練では皿洗い、コーヒー準備、タイピング、くだものをむく、洗濯物たたみ の5つの動作を訓練した。

両グループには通常のリハビリも行い、8週間後の上肢機能と日常生活動作を評価 比較したところ、


次のことがわかった。

・両グループともに上肢機能、日常生活動作がおおきく改善した。

・それらの改善度は両手訓練グループであきらかにすぐれていた。

脳卒中で片麻痺の患者には両手を使う訓練を加えると 日常生活動作の改善により効果的である、


というおはなし。
図:両手運動リハビリの効果

感想:

かつて麻痺手のみの強制訓練がベストであると かたくなに信じられていた時代があった。それを知らないと なぜことさらに "両手" をアピールするのか理解できないだろう。

2017年2月9日

若い脳卒中患者の不眠状況を1年間フォローした

元
The Course and Impact of Poststroke Insomnia in Stroke Survivors Aged 18 to 65 Years: Results from the Psychosocial Outcomes In StrokE (POISE) Study.
2017  2月  オーストラリア

脳卒中のあとの不眠症は患者の12-37%に起き、うつや自殺 復職に影響すると考えられている。

不眠症が時間的にどう推移するかの研究はおおくない。そこで労働年齢に限定してしらべてみたそうな。


65歳未満の脳卒中患者441人について、発症後28日、6ヶ月、12ヶ月の不眠、うつ、不安、復職状況を調査したところ、


次のようになった。

・いずれの時点でも不眠症は30-37%の患者に見られ、女性におおかった。

・16%は1年をとおして慢性的な不眠症だった。

・このグループはうつ、不安、なんらかの障害や復職できない者がおおかった。

若年脳卒中患者の慢性的な不眠は 1年後の障害 復職状況に影響した。不眠対策が機能回復の助けになるかもしれない、


というおはなし。

図:不眠症と復職 脳卒中のあと

感想:

睡眠だけは困ったことがないので不眠には共感ができない。

2017年2月8日

脳卒中の幹細胞治療に前向きな患者の割合

元
Attitudes to Stem Cell Therapy among Ischemic Stroke Survivors in the Lund Stroke Recovery Study.
2017  1月  スウェーデン

脳卒中からの回復に幹細胞治療が期待され 臨床試験では安全性の確認が進んでいる。

脳卒中患者の幹細胞治療にかんする知識と意欲についてしらべてみたそうな。


20-75歳で重症でない脳卒中患者108人についてアンケート調査したところ、


次のことがわかった。

・幹細胞治療の事前知識があった者は12%。

・学習後、63%は好意的で 36%が臨床試験に参加したいと述べた。

・細胞移植に不安を示したのは5-8%のみだった。

・男性で回復良好な者ほど幹細胞治療へ前向きだった。

脳卒中患者はもともと幹細胞治療の知識がすくなかったが、一旦それを知ると多くは前向きだった。性別や回復度が幹細胞治療への態度に影響しているようだった、


というおはなし。


感想:

だいぶん前に勤め先の同僚30人以上の脳をMRIで撮って体積を比べたことがある。

いちばん大きかったのがじぶんで1655cc(←動画)
いちばん小さかったのが総務の女性で1170cc(←動画)だった。

ペットボトル1本ぶんほども脳の量が違うのに当時おそらく彼女の方が社員ランクは上だったと思う。
図:脳の体積の比較

脳はボリュームじゃない。壊死して空いた脳の隙間をよそからの細胞で埋めることができたとして、それで以前の働きが戻ると考えるのは楽観的にすぎる。

だから脳卒中の幹細胞治療にはぜんぜん期待していないんだ。

2017年2月7日

脳卒中の女性は代替医療を好む

元
Gender-based differences in mortality and complementary therapies for patients with stroke in Taiwan.
2017  1月  台湾

女性の脳卒中予後は悪い、いや男女同じだ、女性のほうが良い、などさまざまな報告がある。

台湾での脳卒中予後の男女差と関連要因をしらべてみたそうな。


2009-2013台湾衛生福祉局の患者データベースをつかって解析したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中関連の入院患者12万人、外来患者62万人の記録がみつかった。

・脳卒中死亡率と医療コストは男性が高く、特に50歳未満で顕著だった。

・既婚女性は既婚男性よりも死亡率があきらかに低かった。

・西洋医学に鍼や漢方薬を組み合わせることに女性のほうが明らかに好意的だった。

・伝統中国医学を組み合わせたほうが西洋医学のみよりも死亡率が低かった。

台湾では脳卒中関連死亡率は男性のほうが高かった。結婚や性ホルモンが女性をまもるのかもしれない。また、女性のほうが代替医療を志向していた。西洋医学の治療と鍼や漢方薬の組み合わせが効果的なのかも、


というおはなし。
図:脳卒中死亡率の男女比


感想:

女性のほうが予後良しとするはなしはあまりきいたことないな。

2017年2月6日

脳内出血の48時間致命率の年代推移

元
Temporal trends in early case-fatality rates in patients with intracerebral hemorrhage
2017  1月  フランス

この数十年間で脳梗塞の発生率は減少傾向にあるのに脳内出血はそうはなっていない。

脳内出血の致命率の年代推移を48時間 30日間で区切ってしらべてみたそうな。


1985-2011の脳内出血患者531人の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・30日致命率は この間に40.9%→29.6% へ徐々に低下した。

・1ヶ月内死亡の43.6%は48時間以内に起き、この比率は全期間通じて変わらなかった。

過去27年間で脳内出血の30日致命率はあきらかに低下した。いっぽう48時間致命率はなんの改善もなかった、


というおはなし。

図:

感想:

まったく進歩がないってことは、二日間は実質的に 特別なことはなにもやっていないんだろね。

2017年2月5日

片麻痺のアームスリングは"害" 使わないほうがいい

元
A randomized controlled trial on the immediate and long-term effects of arm slings on shoulder subluxation in stroke patients.
2017  1月  ベルギー

脳卒中で片麻痺患者の肩関節の亜脱臼をふせぐために腕吊り(スリング)がよく使用される。

しかしその効果はよくわかっていないので実験してみたそうな。


重度の上肢麻痺の脳卒中患者28人を次の3グループに分けた。

*スリング1(商品名:Actimove,BSN medical社)
*スリング2(商品名:Shoulderlift,V!GO社)
*スリングなし

6週間使用して、肩関節の間隙mm、痛み、関節可動域、痙縮度、運動機能を比較したところ、


次のことがわかった。
・スリングによる肩関節の間隙の補正度は時間が経つにつれ低下した。

・脱臼程度をしめす肩峰と上腕骨頭までの距離があきらかに縮まったのはスリングなしグループのみだった。

・スリング1では安静時の痛みが増加した。

・スリング1,2で関節可動域が減少した。

スリングは片麻痺の肩の亜脱臼の治癒を妨げる。スリングを使用しないほうが治りは早いようだ、


というおはなし。

図:片麻痺スリング

感想:

スリングは「肩が痛い!」と文句を言う患者を病院にいるあいだだけ黙らせるためのツールなんだろな。

2017年2月4日

太ももの裏をサワサワするとリハビリがはかどる

元
Effect of sensory training of the posterior thigh on trunk control and upper extremity functions in stroke patients.
2017  1月  トルコ

脳卒中患者への触覚刺激が運動機能の回復をうながすとする報告がいくつかある。

実験で確かめてみたそうな。


慢性期脳卒中患者26人を触覚トレーニングと比較グループに分けた。

触覚トレーニングでは患者の両腿のうしろを次の方法で刺激する。

*トゲトゲボールをやさしくころがす。
*バイブレータで振動刺激をあたえる。
*硬さのことなるスポンジでこする。
*電気刺激をあたえる。

これら刺激の組み合わせを1回45分間、2週間で計10セッション行った。

両グループに通常のリハビリも施し、体幹、上肢、肩、バランス、ADL、触覚能力の評価を行ったところ、


次のようになった。

・セッション終了後、触覚トレーニングの患者で座位での上肢前方リーチ課題のスコアが明らかにすぐれていた。

・触覚トレーニングから10日後、生活自立度の向上も確認できた。

・触覚能力にグループ間の差はなかった。

ふともも裏への触覚刺激トレーニングを脳卒中リハビリに追加するべき、


というおはなし。
図:脳卒中の触覚トレーニング

感想:

こういう考え方は ボバース法に通じるところがあるんだって。

2017年2月3日

Stroke誌:これ エビデンス? 早期リハビリの...

元
Impact of Rehabilitation on Outcomes in Patients With Ischemic Stroke
2017  1月  日本

脳卒中患者のリハビリを開始するタイミング、リハビリ量と日常生活動作ADL改善度との関連をしらべてみたそうな。


日本の診断群分類包括評価DPCデータベースから2012-2014にリハビリを受けた脳卒中入院患者10万人ぶんの記録を抽出して解析したところ、


次のことがわかった。

・ADL改善度は、入院から3日以内にリハビリを開始し かつ

・1日5単位以上こなした患者で有意に高かった。

早期の集中的リハビリテーションが脳卒中患者のADLを改善した、


というおはなし。


感想:

おかしいなぁ "早期リハは効果なし" がトレンドなのに、、と思って目を通すと

いちばん最後に数行、
『今回使用したデータベースには患者の重症度の情報は含まれていない』って書いてある。
図:エビデンスの作り方

ショックを受けた。

圧倒的多数を占める軽症の患者ほどおおくのリハビリに耐えられるのだから、重症度を無視したらリハビリ量とADL向上度が相関するのは当然だろう。調べるまでもない。


それ以前に バーセルインデックスの差分を比較することにどれほどの意味があるのか。

2017年2月2日

ビタミンBサプリ 再発防止のエビデンス

元
Meta-analysis reveals protective effects of vitamin B on stroke patients.
2015  8月  中国

ビタミンB(B6,B9,B12)には動脈硬化の原因となる血中ホモシステインを低下させる働きがあり脳卒中予防に有効であるとする報告が数多くある。

いっぽうで脳卒中になったあとでのビタミンBサプリメントの効果については結論がでていない。そこでこれまでの研究をまとめてみたそうな。


ビタミンBサプリメントの脳卒中治療に関する研究を厳選し データを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・7474人の脳卒中患者を含む12の研究がみつかった。

・ビタミンBサプリメントはあきらかに血中ホモシステインを低下させ、

・脳卒中の再発や心筋梗塞による死亡が減少した。

・好意的結論のみが公表される偏り(バイアス)はみられなかった。

ビタミンBサプリメントを脳卒中患者の正規の治療に加えてもいいのではないか、、


というおはなし。
図:

感想:

これまでの [ビタミンB関連記事] をみなおした。

2017年2月1日

脳卒中患者がTimed Up and Goをイメージする能力

元
Evaluating the Effect of Cognitive Dysfunction on Mental Imagery in Patients with Stroke Using Temporal Congruence and the Imagined 'Timed Up and Go' Test (iTUG).
2017  1月  フランス

運動イメージは脳卒中のリハビリに深く関わっていて、その能力は実際の運動に要した時間とイメージの時間とのズレで評価できる(Temporal Congruence:TG)。

歩行動作について運動イメージ能力をしらべてみたそうな。


脳卒中患者20人と健常者20人について、
タイムアップアンドゴーテスト:TUG(椅子から立ち上がってひとまわりしてまた座るまでの時間計測)
の実動作とイメージに要する時間(iTUG)をそれぞれ測定した。

運動イメージは、動作を感覚的にとらえる方法と1人称または3人称視点で視覚的に描く方法のいずれでもよしとした。

TG(%)=(TUG-iTUG)/((TUG+iTUG)/2)x100 と定義した。

認知機能テストもおこない関連を解析したところ、


次のようになった。

・運動イメージ能力のズレの大きさTGは脳卒中患者で45%、健常者で24%だった。

・イメージに要した時間iTUGは注意力を測るBells Test スコアと正の相関があった。

脳卒中リハビリに運動イメージ訓練を応用するばあい、患者の注意障害の可能性を考慮するひつようがあるだろう、


というおはなし。

図: temporal congruence

感想:

この↓はなしに似ているとおもった。
重度感覚麻痺がイメージ能力に及ぼす影響とは

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