2019年8月24日

カイロプラティックで脳梗塞から閉じ込め症候群に


Locked-In Syndrome Following Cervical Manipulation by a Chiropractor- A Case Report
2019  8月  フランス

椎骨脳底動脈の閉塞は診断がむつかしく予後もわるい。

カイロプラティックがきっかけで椎骨脳底動脈が傷つき梗塞を生じ、閉じ込め症候群になった患者がいたそうな。


・34歳の女性がカイロプラティックにかかった。

・頚椎操作を受けたのち頸部の痛みが数週間つづいた。

・3週間後の早朝、顔の右側と右腕に麻痺を生じて病院に行った。

・CTや血液検査はすべて正常だったので帰宅させられた。

・帰宅直後に失語症と四肢麻痺となり救急入院した。

・MRIで椎骨脳底動脈系に梗塞を確認した。

・発症から31時間後に機械的血栓除去術がおこなわれた。

さらに1ヶ月後、切開された気管は閉じられ自発呼吸ができるようになった。頭部と四肢をわずかに動かすことができるものの依然ベッドからでることはできない状態である、


というおはなし。

図:カイロプラティック 椎骨脳底動脈梗塞



感想:

この報告 カイロプラティックが危険とは一言も書いてなくて、血栓除去術はうんと遅れても有効かもよという主旨。

カイロのこわさはくわしく言うまでもないということか。
カイロプラティックが原因の頸部動脈解離

[動画]カイロプラクティックに行って脳梗塞で死んでしまった若者にまつわるストーリー

カイロや整体院で首をボキボキッってやるやつ あれ脳卒中のもとかもよ

2019年8月23日

脳卒中後のけいれん発作の有病率


Mortality and trends in stroke patients with seizures- A contemporary nationwide analysis
2019  8月  アメリカ

60歳以上でけいれん発作(seizure)を経験した者の脳卒中リスクは3倍になるという。

いっぽうで脳卒中患者のけいれん発作はめずらしくなく 2-33%に見られ、予後との関連が強いとされている。

そこで脳卒中後のけいれん発作の有病率と死亡率についてさいきんのトレンドを大規模にしらべてみたそうな。



18歳以上のアメリカ人患者データベースから2006-2014の脳卒中6213772人ぶんの記録を解析したところ、



次のことがわかった。

・372967人(6%)で脳卒中後のけいれん発作の診断があった。

・けいれん発作の診断をうけた脳卒中患者の院内死亡率は29%高かった。

・けいれん発作の有病率は、脳出血で11.4%、脳梗塞では4.8% だった。

・2006→2014のけいれん発作の有病率は脳卒中全体では6.6→6.2%、脳出血12.6→12%、脳梗塞5.3→5%に低下していた。

・けいれん発作の有無ともに院内死亡率は低下傾向にあったが、けいれん発作がある患者の死亡率は高かった。

・また 脳出血だけは院内死亡率の低下はわずかで依然 高い状態が続いていた。

脳卒中で入院した患者の15人に1人にはけいれん発作がおきた。院内死亡率は低下傾向にあるものの脳出血患者では高いままだった、


というおはなし。

図:脳卒中とけいれん発作 死亡率トレンド



感想:

けいれん発作(seizure)はなにか原因がべつにあっておきる一時的な症状で、てんかん(epilepsy)は自発的におきるけいれん発作症状が慢性的に続いている状態をさす、

と理解している。

2019年8月22日

ミラー療法 3つの重要ポイント


How to perform mirror therapy after stroke- Evidence from a meta-analysis
2019  8月  ドイツ

ミラーセラピーが誕生して20年、この間に62のランダム化比較試験が行われ効果を肯定するおおくのエビデンスが蓄積された。

しかしミラーセラピーをもっとも効果的におこなうためのプロトコールについてはいまひとつはっきりしていない。

そこで、脳卒中患者への上肢ミラーセラピーについてのこれまでの研究をメタアナリシスして効果的なやり方をあきらかにしてみたそうな。



関係するこれまでの研究を厳選してデータを統合再解析した。

とくに いまだ考え方のおおきく異なる3つのテーマ、
1)ミラーのおおきさ?
2)麻痺手も訓練するべきか?
3)手を映すだけでオブジェクト操作をしなくてもいいのか?
についてしらべた。



次のことがわかった。

・コクランレビューされた51のランダム化比較試験からさらに32に絞り込んだ。

・おおきなミラーのときにより効果的だった。

・動かすのは麻痺のない手だけで、麻痺手は動かさないほうが効果的だった。

・手をミラーに映せばよく、カップを持たせるなどの行為はさせないほうが効果的だった。

・これらの差は統計学的有意というほどではなかった。

脳卒中の上肢ミラーセラピーでは、麻痺手はそのままに おおきなミラーに健常手のみを映してオブジェクト操作はしないことが より効果的と考えられた、


というおはなし。

図:ミラーセラピー3つのポイント



感想:

麻痺手をうごかすことなく、イメージをふくらませるためにミラーを用いる。まさに↓。
エビデンスレベルⅠ 推奨度Aの脳卒中リハビリ法とは

2019年8月21日

Stroke誌:脳卒中の医療過誤訴訟


Systematic Review of Malpractice Litigation in the Diagnosis and Treatment of Acute Stroke
2019  8月  アメリカ

ガイドラインで定められた医療をうけることができなかったと患者が考える場合、医療過誤(medical malpractice)を主張することができる。

おおくの州では医療過誤訴訟の賠償上限を定めていないため その額は数百万ドルにおよぶ可能性がある。

手術を主とする医師の99%は65歳までになんらかの医療過誤訴訟に遭うという。

そこで、脳卒中での医療過誤訴訟の関連要因をくわしくしらべてみたそうな。



3つの法律データベースからアメリカでの急性脳卒中患者のケアに関する訴訟判決及び示談ケースを抽出して解析したところ、



次のことがわかった。

・脳梗塞の246ケースと頭蓋内出血の26のケースがみつかった。

・71ケースはtPA治療 不履行の申し立てで、

・7ケースが血栓除去術に関するものだった。

・全体の56%は棄却、27%は示談、17%が原告勝訴だった。

・賠償金額は、示談での平均は180万ドル(2億円)で、勝訴の場合は970万ドル(10億円)だった。

急性脳卒中ケアの医療過誤訴訟はとてもおおきな財政問題になりうる。おおくはtPA治療に関するもので、今後は血栓除去術についても訴訟増加が予想される、


というおはなし。

図:医療過誤訴訟 原告医師の種類


感想:

マスコミに流す情報と現実が乖離しているから不満が生じ訴えられる。

tPAの適応は実は数%にすぎなくて 血栓除去術は熟練医師でもかなりあぶないといった情報はテレビでは流れない。


ところで
脳ドックと称してなんの症状もない健康な人をたいした根拠もなく患者に仕立て上げ、危険な検査や治療行為をくりかえす。
こういうのは法的にいいの?

2019年8月20日

Stroke誌:女性のQoLが低い理由


Sex Differences in Long-Term Quality of Life Among Survivors After Stroke in the INSTRUCT
2019  8月  オーストラリア

これまでの研究で女性脳卒中患者の健康関連の生活の質(HRQoL)が男性にくらべ低いことがわかっている。

しかしその理由については、多くの研究で選択バイアスがつよいためあきらかになっていない。

そこで ことなる国の住民ベースの研究をくみあわせて性別によるHRQoLの差の原因をくわしくしらべてみたそうな。



イギリス、オーストラリア、ニュージーランドの4つの研究から脳卒中患者4288人のデータについて、

各研究が個別に使用したQoL評価の以下3つの指標からHRQoLを計算しなおした。
European Quality of Life-5 Dimensions
Short-Form 6-Dimension
Assessment of Quality of Life

また、1年後 5年後も比較した。



次のことがわかった。

・女性のHRQoLは男性にくらべてあきらかに低かった。

・年齢、脳卒中の重症度、発症前の自立度、脳卒中後のうつで調整すると この男女差はやや小さくなった。

・とくに5年後よりも1年後での差が縮まった。

脳卒中後の女性の健康関連QoLは男性よりも低かった。この差は「部分的には」女性の発症年齢の高さ、重症度、自立度、うつが理由と考えられた、


というおはなし。

図:女性脳卒中の健康関連生活の質



感想:

とはいうものの 年齢の影響はほんのちょっとみたいなんだ。

2019年8月19日

拡大レンズリハビリの持続効果


Increasing perceived hand size improves motor performance in individuals with stroke- a home-based training study
2019  7月  アメリカ

手元をレンズ拡大して観察する状況下では運動誘発電位が高まり対応する運動野の活動領域も拡がり、また触覚の2点弁別能も向上するという報告がある。

前回の実験では拡大鏡を装着させただけの慢性期脳卒中患者25人のうち8人で握力や指の機能に改善がみられた。

こんかい、この8人について自宅での2週間の訓練と、さらに2週間後の改善度をしらべてみたそうな。



1日30分間の拡大鏡下での手の機能訓練を2週間おこない、その効果を2週間後までフォローしたところ、



次のようになった。

・2人はわけあって脱落し、6人が訓練を完遂した。

・6人中5人でテスト項目すべてで改善を示した。

・このうちの2人は訓練直後にあきらかな改善をしめし、

・別の2人は2週間後に有意な改善がみられた。

・いくつかの項目で2週間後のほうが良いスコアを示した患者が4人いた。

拡大鏡下での脳卒中患者の上肢訓練は期待できるかも、、


というおはなし。

図:拡大鏡リハビリ 脳卒中患者



感想:

この方法もそうだけど、ミラー療法、イメージ訓練、動作観察いずれも 麻痺して意識にのぼりにくくなっている手に「注意をあつめる」ための方法なんだよな。

だから麻痺側の指にリボンを巻いてもいいし、カッコいい手袋や高級腕時計をはめてもいいとおもう。龍の入れ墨でもしたらちからが湧いてきそう。

ハズ○ルーペで上肢機能が改善する可能性について

2019年8月18日

抗血小板薬をやめてから脳梗塞になるまでの日数


Stroke and transient ischemic attacks related to antiplatelet or warfarin interruption
2019  8月  ブラジル

抗血栓療法を受けている患者はなんらかの手術や侵襲性の高い検査のまえに服薬をとめるよう要請されることがままある。

その後すぐに再開できればよいのだが忘れてしまったり副作用を理由に勝手にやめたままにしているケースがある。

そこで抗血栓療法の一時停止とつづく脳卒中イベントの頻度と時間的関連についてくわしくしらべてみたそうな。



脳梗塞またはTIAの患者3年間ぶんの記録360ケースについて、
抗血栓療法の一時停止歴の有無とその時期をしらべ関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・患者360人中27人(7.5%)に抗血小板薬またはビタミンK拮抗剤(抗凝固薬)の停止歴があった。(内訳は脳梗塞が81% TIAが19%)

・抗血小板薬をとめてから虚血イベントまでの日数の中央値は5日で、それら患者の62%は服薬停止から7日以内に虚血イベントがおきた。

・ビタミンK拮抗剤をとめてから虚血イベントまでの平均日数は10.4日で、67%は服薬停止から7-14日に虚血イベントがおきた。

・服薬を一時停止した理由のトップは「不注意」で37%、次いで「手術や検査」が26%、「出血などの副作用」は18.5%だった。

抗血栓薬の一時停止とつづく脳梗塞やTIAとの間に時間的関連がみられた。医療者はこれらリスクへの患者の理解をうながしヘパリン代替法なども考慮すべきなのかも、、


というおはなし。

図:抗血栓薬を止めた理由



感想:

とつぜん薬をやめるとリバウンド効果があってとくに1週間前後のあいだに血栓ができやすくなるんだって。
だから永久にやめたいときには服薬間隔を開けるなりして徐々にへらせばいいんじゃないかな。

抗凝固薬の中断から脳梗塞になるまでの日数

抜歯まえはワルファリンとめるべき→いまや迷信

2019年8月17日

くも膜下出血患者が死に至るほんとうの理由


Why do poor grade subarachnoid hemorrhage patients die?
2019  8月  オランダ

重症くも膜下出血は致命率がとても高い。しかし患者が死去(demise)したほんとうの理由についてはじつはよく知られていない。

これをオランダとカナダの患者データからくわしくしらべてみたそうな。



アムステルダムとトロントの3次救急センターの重症(WFNSがⅣ-Ⅴ相当)くも膜下出血患者357人の記録を分析したところ、



次のことがわかった。

・152人(全体の43%)が院内で亡くなった。このうちの87人(全体の24%)は脳動脈瘤手術をしていなかった。

・出血から死亡までの日数の中央値は3日だった。

・両センターともに死亡理由の1位は 「生命維持中止:withdrawal of life support」で、死亡患者の71%を占めていた。これはアムステルダムでは死亡患者の79%、トロントでは58%に相当した。

・次いで「脳死:brain death」が死亡患者の15%を占め、アムステルダムでは死亡患者の17%、トロントでは12%に相当した。

重症くも膜下出血患者が死亡に至るいちばんおおきな直接的理由は「生命維持中止の決定」だった。その決定がどのようになされたかについては文化的、医学的にさまざまな背景が考えられる、



というおはなし。

図:延命中止



感想:

手術が無駄とおもえるほどに どうみても回復しそうにない患者をはやめに見極めて家族に引導を渡すお仕事があるんだろうね。

急いで病院にゆく習慣ができるまえはこのような患者はすぐに亡くなり突然死に分類されていた。
だからくも膜下出血の発生率は実は10倍以上 という日本の調査結果↓がある。
Incidence and prognosis of subarachnoid hemorrhage in a Japanese rural community

2019年8月16日

くも膜下出血で復職できない者の特徴


Return to work after subarachnoid hemorrhage- The influence of cognitive deficits
2019  8月  オランダ

くも膜下出血患者のうち数年たっても復職できなかった者の割合はおよそ3分の2におよぶという報告がある。

これら患者の特徴をしらべたこれまでの調査では復職を阻む共通の要因をみいだすことができていない。

とくに認知障害と復職の関連についての調査はほとんどないのでくわしくしらべてみたそうな。



職に就いていてくも膜下出血になった71人の患者について、
2-8ヶ月に神経心理テストとアンケートを行い、
1年以降長期に復職の有無を電話で確認した。

神経心理テストは、
記憶:Rey Auditory Verbal Learning Test
情報処理スピード:Trai lMaking Test
注意と実行機能:Zoo Map test、TMTpartB、Stroop Color Word Test
社会認知:Facial Expression of Emotion-Stimuli and Test
をおこない、

実行機能障害アンケート:Dysexecutive Questionnaire
を加えた。

復職状況との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・復職できなかった者(35.2%)は「注意と実行機能」のスコアがあきらかに低かった。

・さらに、脳脊髄液ドレナージ有りと実行機能障害アンケート高値がのちの復職不可と強く関連していた。

くも膜下出血を経験した者のうち復職できなかったケースには神経心理テストの「注意と実行機能」にあきらかな低下がみられた、


というおはなし。

図:くも膜下出血の復職


感想:

1/3はもとどおりに復職している(上表)。あたまいじられてこれは立派。

くも膜下出血のあと 復職できない理由

2019年8月15日

Stroke誌:不安障害は若年者におおい


Younger Age and Depressive Symptoms Predict High Risk of Generalized Anxiety After Stroke and Transient Ischemic Attack
2019  8月  カナダ

脳卒中後の不安(anxiety)はめずらしくなく10-29%にみられ10年続くこともあるという。

全般性不安障害(generalized anxiety)の一般人との割合比較は 27% versus 8% という報告もある。

関連する要因として脳卒中の重症度、認知障害、うつ症状、年齢などが考えられる。

とくに若年者についての調査がすくないのでこのあたりをくわしくしらべてみたそうな。



脳卒中またはTIAの患者258人について、

全般性不安障害は Generalized Anxiety Disorder 7-item (GAD-7)scale で、
うつ症状を Center for Epidemiological Studies Depression (CES-D)Scale でしらべ、関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・GAD-7スコア10以上の全般性不安障害の割合は22%だった。

・若年とうつ症状が全般性不安障害の予測因子だった。

・うつと全般性不安障害を兼ねている者の割合は、30% versus 12%で50歳以下におおかった。

・うつ症状のない患者であっても年齢が全般性不安障害と関連していた。
脳卒中やTIA患者の5人に1人が全般性不安障害で、うつ症状と年齢が関連していた。うつと不安をともに訴える者が若年者におおかった、


というおはなし。

図:脳卒中後不安頻度 若年vs高齢



感想:

全般性不安障害の条件↓3つ以上当てはまる者。
図:全般性不安障害の条件

疲れやすい、ふらつき、集中できない、なんて日常だからな、、、おれは不安なのか?

2019年8月14日

Neurology誌:軽症なのに障害が残る理由


Disability after minor stroke and TIA
A secondary analysis of the SOCRATES trial

2019  8月  アメリカ

軽症の脳卒中患者は特別なことをしなくても予後が良いと考えられているため 血栓溶解療法(tPA)の治療対象から通常は外される。

いっぽうで軽症脳卒中患者のおよそ3分の1が日常生活になんらかの障害を抱えるという報告がいくつもある。

さいきん報告された軽症脳梗塞患者へのtPA治療の効果をしらべたPRISMS研究では、軽症患者へのtPAはベネフィット無しと結論された。

血栓溶解療法は最初の脳梗塞には有効であるが続いて再発や合併症があったばあいにはその限りではない。

そこで軽症脳卒中で障害が残る理由をたしかめるべく、SOCRATES研究のデータをもちいてくわしくしらべてみたそうな。



発症から24時間以内のTIA患者2384人および軽症(NIHSS 5以下)でtPA治療をしない脳卒中患者3663人について、

90日後の生活自立度mRSスコアと、再発や合併症(脳卒中の再発や心筋梗塞、重大出血、有害事象)の有無をしらべ関連を解析したところ、



次のようになった。

・軽症脳卒中の19%、TIAの5%の患者でなんらかの障害(mRS2以上)が残った。

・NIHSSスコアおよび「再発や合併症」と障害度に強い関連があった。

・TIAで障害が残った者のうち65%、軽症脳卒中で障害が残った者のうち39%が 再発や合併症を経験していた。

・障害度はNIHSSスコアに比例していた。

・とくに手や脚に麻痺があった者の のちの障害可能性は高かった。
軽症脳卒中やTIAのあとの再発や合併症が障害とつよく関連していた。たとえNIHSSスコアは小さくとも のちの障害度と比例しており予測因子として使えそうである、


というおはなし。

図:NIHSS mRS 軽度脳卒中



感想:

再発や合併症が障害の原因とおもわれるのに、それがベースラインNIHSSと比例する(上図)とはこれ如何に?

とおもったけど、どうやら再発合併症と手脚麻痺のようなスペシャルな神経症状メカニズムとのあわせ技でそのようにみえるようだ。

2019年8月13日

脳梗塞の「回復」に適したLDLコレステロール値


Association Between Low-Density Lipoprotein Cholesterol (LDL-C) Level and Unfavorable Outcomes in Participants of Ischemic Stroke without Diabetes: A Multi-Center Retrospective Study
2019  8月  中国

脳梗塞になるリスク要因として心臓病や高血圧 脂質異常などがあげられる。

LDLコレステロールと脳梗塞の発生との関連についてはさいきん概ねあきらかになった。

いっぽうLDLコレステロールと脳梗塞からの「回復」についての調査はほとんどないのでくわしくしらべてみたそうな。



2015-2016に 8病院での急性脳梗塞でかつ糖尿病でない患者1614人についての記録から、6ヶ月後の回復不良(mRSスコア3-6)と入院時のLDLコレステロールとの関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・6ヶ月後、23.3%の患者が回復不良だった。

・LDLコレステロールが93mg/dL以下のグループにくらべ、114-137mg/dLの範囲(少ない方から四分位の3番目)にあるグループの回復不良リスクがあきらかに低かった。

・再発および初回患者ともにLDLコレステロールが高めだった患者ほど予後不良はすくなかった。

脳梗塞で入院時のLDLコレステロールが高めで 114-137mg/dLの範囲にあった患者は6ヶ月後の回復不良リスクがもっとも低かった


というおはなし。

図:



感想:

LDLコレステロールは脳内出血予防のはなしがおおかった。

回復の良し悪しではこのあたり↓。
LDLコレステロールが高い脳内出血患者の末路

脳梗塞に効くコレステロール比 TC/HDLとは

悪玉善玉比 L/Hが低いと脳内出血で死ぬことが明らかに

2019年8月12日

エビデンスレベルⅠ 推奨度Aの脳卒中リハビリ法とは


Motor imagery as a complementary technique for functional recovery after stroke- a systematic review
2019  7月  スペイン

脳卒中後のリハビリのおおくは特定動作を繰り返させるやり方にもとずいている。しかし重い麻痺をかかえている患者にとってこのような方法はほとんど意味をなさない。

その点、運動イメージ訓練(Motor Imagery:MI)は実際の動作をともなうことなく頭のなかだけで訓練が完結するので重度麻痺にも適している。

運動イメージ訓練により運動野から小脳 大脳基底核が活性化し機能の再構築がすすむという。

運動イメージ訓練には2種類あって、1つは暗示的(Implicit)MIとよばれ、他人の動作やビデオを見てミラーニューロンシステムを介するもの。

もう1つは明示的(Explicit)MIと呼ばれ、意識的 自発的にイメージ動作を構築するものである。

そこでこれまでの研究について脳卒中患者への運動イメージ訓練の効果のシステマティックレビューをこころみたそうな。



関係する論文を、2007-2017に出版されたものに限って厳選した。



次のことがわかった。

・13のランダム化比較試験がみつかった。

・方法論的 研究の質を CriticalReview Form-Quantitative Studiesで評価したところ、15点中9-13点に相当した。

・エビデンスレベルと推奨度を U.S. Preventive Services Task Force (USPSTF) assessment で評価したところ、最高レベルの IA 、II-B1 に相当した。

・とくに上肢機能、バランス、歩行機能であきらかな改善がみられていた。

運動イメージ訓練を通常のリハビリに加えると脳卒中患者の機能回復に効果的である、


というおはなし。

図:運動イメージ訓練のエビデンスレベル


感想:

数あるリハビリ法のなかでもっとも成果をあげているのが運動イメージ訓練なんよ(イメージトレーニング、メンタルプラクティス、メンタルリハーサルともいう)。

2019年8月11日

脳卒中予防に適した総コレステロール値


Intra-individual variability of total cholesterol is associated with cardiovascular disease mortality- A cohort study
2019  7月  中国

血中のコレステロール値が高いと動脈硬化リスクも高まると考えられている。

いっぽう総コレステロール値と死亡率が逆相関またはU字関係にあるとする報告もある。

そこで中国人12万人の調査記録をつかってコレステロールと死亡リスクとの関連をしらべてみたそうな。



中国で40歳以上の住民122645人を3-5年ほどフォローして脳卒中など心血管疾患やがんでの死亡をしらべた。

この間の血中コレステロール値とその個人内変動との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・4563人の死亡があり、うち788人は脳卒中だった。

・総コレステロール値と各疾患(脳卒中や心血管疾患、がん)の死亡リスクはU字曲線の関係にあり、

・とくに脳卒中は総コレステロール値が4.96mmol/L(192mg/dL相当)のとき死亡リスクが最低だった。

・服薬しなかったりで測定ごとの総コレステロール値の変動がおおきかった者の心血管疾患死亡リスクは変動が小さい者よりも40%ほど高かった。

総コレステロール値は低すぎても高すぎても脳卒中での死亡リスクがは高かった。また測定ごとの変動がおおきくても死亡リスクが高かった、


というおはなし。

図:総コレステロールと脳卒中死亡リスク



感想:

「総コレステロール値」でこれ↓おもいだした。
脳卒中で死なない最適なコレステロール値が判明

LDLならこれ↓。
脳内出血にならないLDLコレステロール値

2019年8月10日

Stroke誌:頭蓋内動脈が狭窄している日本人の割合


Intracranial Artery Stenosis and Its Association With Conventional Risk Factors in a General Population of Japanese Men
2019  7月  日本
頭蓋内動脈の狭窄(Intracranial Artery Stenosis:ICAS)のおおくは症状がない。

東アジア人は欧米人にくらべ冠動脈疾患よりも脳卒中になりやすいことから ICASは注目されるべきと考えられる。

そこで、一般の日本人についてICASの有病率をくわしくしらべてみたそうな。



平均年齢68、脳卒中歴のない740人についてMRIをつかって頭蓋内動脈を検査したところ、



次のことがわかった。

・狭窄度50%未満のICASは全体の20.7%、狭窄度50%以上の重度ICASは4.5%いた。

・重度ICASは年齢、高血圧、糖尿病、脂質異常症と関連がつよかった。

日本人高齢者のおよそ4人に1人に頭蓋内動脈で狭窄がみられた、


というおはなし。

図:頭蓋内血管狭窄



感想:

歳とると動脈が蛇行しがち→曲がった血管のMRAは細く映る→狭窄症が大量生産される、

というイメージが浮かんだ。

2019年8月9日

日本人の再発予防に適した血圧 JAMA Neurol.


Effect of Standard vs Intensive Blood Pressure Control on the Risk of Recurrent Stroke- A Randomized Clinical Trial and Meta-analysis
2019  8月  日本

2015年のSPRINT研究によると脳卒中の1次予防に適した収縮期血圧の目標値は140mmHgよりも120mmHgが適しているとされた。

この研究では脳卒中歴のある患者が除かれていたため2次予防に適した血圧目標値はあきらかにならなかった。

いっぽう、被験者3632人をふくむ最近の3つのランダム化比較試験では目標血圧が低いほうが脳卒中の再発予防に良さそうであることが示されている。

そこで日本人を対象にした脳卒中の再発研究 Recurrent Stroke Prevention Clinical Outcome:RESPECTスタディ にて目標血圧を120/80に設定する効果を検証してみたそうな。



日本の140の病院の脳卒中経験者1263人について血圧目標値を、

140/90 の通常グループ630人と、
120/80 の集中降圧グループ633人にわけた。

脳卒中の再発を4年ほどフォローしたところ、



次のことがわかった。

・この間の血圧の平均値は、通常グループ133.2/77.7、集中降圧グループ126.7/77.4 だった。

・年間再発率は、通常グループ 2.26%、集中降圧グループ 1.65%だったが有意な差ではなかった。

・そこでこのデータを直近の3つのRCTとあわせてメタアナリシスしたところ、相対リスク0.78倍の有意な差が得られた。

従来よりも低い降圧目標のほうが再発予防に適しているようにみえた。メタアナリシスでは130/80を下回ることが望ましいと考えられた、



というおはなし。

図:RESPECT スタディ



感想:

当初、ディオバンって降圧薬をだされて収縮期血圧が80まで下がって膝からくずれおちたことがある。

そんなこともあって降圧薬は2015年にきっぱりとやめた。

SPRINTこれ↓。
NEJM誌:脳卒中で死なない血圧は120未満だからね

2019年8月8日

Stroke誌:「指鼻試験」でうしろの梗塞を知る


Educating Paramedics on the Finger-to-Nose Test Improves Recognition of Posterior Stroke
2019  8月  アメリカ

脳梗塞の治療は時間とのたたかいではあるが後方循環系(小脳など)の脳梗塞のばあい片側麻痺の症状はでにくく めまいやバランスの崩れといった症状があらわれる。

そのため後方循環系脳梗塞は誤診されやすく治療も遅れがちになる。

また、かれらのおおくは上肢の運動失調をおこしやすく、
指鼻試験(finger-to-nose examination:←Youtube動画にリンク)
を普通にこなすことができないという。

そこで救急隊員に指鼻試験の方法をおしえて患者の入院前に後方循環系脳梗塞の有無を判定させてみたそうな。



救急隊員に指鼻試験を教育した施設と、教育しなかった施設(コントロール)とで
後方循環系脳梗塞の判定率と
病院到着からCTを撮るまでの時間、
血栓溶解療法の適用率、をくらべたところ、



次のようになった。

・21ヶ月間に777人の脳梗塞があり、18%が後方循環系だった。

・後方循環系の判定率は、指鼻試験ありで46→74%、コントロール32→39%に向上した。

・CTまでの時間は指鼻試験グループが62→41分、コントロール58→61分になった。

・血栓溶解療法の適用率にグループ間で差はなかった。
救急隊員への指鼻試験の教育で後方循環系脳梗塞の判定率が向上し、CTを撮るまでの時間が大幅に短縮された、


というおはなし。

図:指鼻テスト



感想:

後方循環系はそもそも血栓溶解療法が必要なケースが少ないんだって。

2019年8月7日

Neurology誌:早期リハビリ 気休めにもならない


Early mobilization and quality of life after stroke- Findings from AVERT
2019  7月  オーストラリア

早期リハビリテーションが脳卒中患者の生活の質にあたえる影響を、
2006-2015に56施設で国際的に行われたランダム化比較試験 A Very Early Rehabilitation Trial (AVERT) のデータをつかってくわしくしらべてみたそうな。



平均年齢70.6、2104人の脳卒中患者を
通常ケアのみと、
通常ケア+24時間以内にベッドから出る訓練を始める、
の2グループにわけた。

生活の質は、4つのドメイン(自立生活、社会関係、身体機能、精神状態)について評価する assessment of Quality of Life 4D (AQoL-4D) をもちいて12ヶ月後をしらべた。

AQoL-4Dスコアは、0は死亡 1が完全に健康、を指す。



次のようになった。

・12ヶ月後のAQoL-4Dスコアの中央値は0.49 vs. 0.47でグループ間で有意な差はなかった。

・ドメインごとにみても同様に違いはなかった。

早期リハビリテーションは脳卒中患者の生活の質に影響しなかった、


というおはなし。

図:AVERTのQoL


感想:

軽症な人が早くから動き回っていただけのことを訓練成果と勘違いしてうまれた「早期リハビリ」。

この数年でようやくおかしいことに気づいた模様↓。
コクランレビュー:超早期リハビリは効果ないし危ない

【やはり】亜急性期のリハビリは効果ないうえに危険

失語症の早期リハビリ まったく効果ない

超早期リハビリをやってはいけない理由

nature.com:脳卒中の超早期リハビリ やる意味ない

Stroke誌:早期リハビリがんばる意味ない

超早期リハビリで死亡者続出 AVERT続報

超早期リハビリには脳の細胞死を促す効果があった!

ランセット誌:超早期リハビリぜんぜん効果ない

2019年8月6日

Stroke誌:親の心房細動は子にうつる


Parental Atrial Fibrillation and Stroke or Atrial Fibrillation in Young Adults
2019  7月  カナダ

脳卒中の4分の1は原因が不明である。そのおおくは心房細動によるものと考えられている。

なぜなら心房細動はほとんど症状がなく、脳卒中になってはじめてそれに気づくことがおおいからである。

心房細動のリスク要因として高齢、高血圧、心不全、肥満、糖尿などがあるがこれらで正確な予測はできない。

いっぽう心房細動の家族歴についての調査ではサンプル数がすくなく一致した見解が得られていない。

そこで、心房細動歴のある親をもつ子が脳卒中や心房細動になるリスクを大規模にしらべてみたそうな。



カナダ マニトバ州の住民を1972-2016に平均17年間フォローした記録を解析したところ、



次のことがわかった。

・582195人の親と、18歳以上325333人の子のデータがみつかった。

・心房細動歴のある親をもつ子の5.2%が脳卒中/TIAになった。心房細動歴のない親の子ではその率は2.5%だった。

・子の心房細動率は、親の心房細動歴ありでは1.9%、なしでは0.3%だった。

・親に心房細動歴があると、子の脳卒中や心房細動リスクがあきらかに高かった。

親の心房細動歴は子の心房細動リスクの上昇と関連し 脳卒中にもなりやすかった、


というおはなし。

図:親の心房細動と子の脳卒中リスク



感想:

心房細動は遺伝するってことか。
みつかっていない心房細動患者の割合は

「心房細動?なにそれ」率日本一は○○県民

2019年8月5日

ツボ足三里の運動野へのはたらき


Effect of acupuncture at ST36 on motor cortical excitation and inhibition
2019  7月  中国

鍼は伝統中国医学の1つで、鍼刺激の対象になる体の位置(経穴、ツボ)は300箇所以上にのぼる。

そのなかでもST36(足三里)は特に重要で、脳卒中や高血圧、疼痛の治療に用いられている。

通常、鍼の効果は 得気(Deqi)とよばれる独特の統合感覚(sore, numb, full, heavy, dull)として認識される。

そこでST36への反応を 運動誘発電位の点からくわしくしらべてみたそうな。



20人の健常者について、
ST36を刺激 もしくは 少しはずれた位置を(偽)刺激するケースにわけて、

鍼刺激→12分後(鍼除去)→20分後、までフォローして、

得気スコア、
TMSによる運動誘発電位、
短 長潜時皮質内抑制 を測定した。



次のようになった。

・すべての被験者でST36刺激時に得気スコアが高かった。

・運動誘発電位はST36刺激中にあきらかに高く、鍼を抜くと元にもどった。

・得気スコアは運動誘発電位と相関関係にあった。

・短 長潜時皮質内抑制はST36刺激時に高値をしめした。

ST36への鍼刺激は運動野の興奮性を高めた。得気は運動誘発電位に相関し、運動野内の興奮調節機構への影響も確認できた、


というおはなし。

図:足三里の運動皮質刺激効果



感想:

「得気」これ↓。
鍼治療の「得気」は小脳のはたらきだった

2019年8月4日

Stroke誌:脳動脈瘤形成に血圧は関係ない


Risk Factors for Unruptured Intracranial Aneurysms and Subarachnoid Hemorrhage in a Prospective Population-Based Study
2019  8月  ノルウェー
未破裂の脳動脈瘤は人口の2-3%にみられ、MRIの普及にともない発見される数は増加傾向にあるという。

これまでの未破裂脳動脈瘤の研究のおおくは くも膜下出血などの病気の診断後に偶然みつかったケースをフォローしたものが主で、一般人をフォローした研究は1つしかない。

そこで一般人について大規模に未破裂脳動脈瘤のリスク要因をしらべてみたそうな。



ノルウェーの成人89951を15年間フォローしたデータを解析したところ、



次のことがわかった。

・未破裂脳動脈瘤患者の発生率は年間10万人あたり8.2人で、年率10%の増加傾向にあった。

・そのリスク要因は、現在喫煙>女性、の順で関連が強かったが、収縮期血圧との関連はみられなかった。

・いっぽう くも膜下出血の発生率は9.9人でそのリスク要因は、現在喫煙>女性>血圧、の順に関連が強かった。

一般人を対象とした大規模調査の結果、収縮期血圧は未破裂脳動脈瘤の形成要因ではなかった。しかしくも膜下出血については収縮期血圧も強く関連していた


というおはなし。

図:収縮期血圧と未破裂脳動脈瘤リスク


感想:

血流の機械的なちからが瘤の原因ではないとすると、、↓
脳動脈瘤は歯周病のせい

Hypertension誌:脳動脈瘤は腸内細菌のせい

2019年8月3日

動作観察リハビリにリアルな手は必要か?


Is it necessary to show virtual limbs in action observation neurorehabilitation systems?
2019  7月  スペイン

ミラーニューロンシステムは前頭葉と頭頂葉にまたがって存在し、運動を実行する際のみならず動作を観察したばあいにも活性化する。

動作の観察がミラーニューロンシステムを介して運動の実行にリンクすることから神経リハビリテーションの場、とくに実際の運動ができない脳卒中患者への応用が期待されている。

動作観察リハビリテーションでは通常、バーチャルな手の動作を観察することが求められている。

しかしほんとうにバーチャルな手を見せることが必要であるかについては確認できていないので、実験してみたそうな。



14人の健常者について、
バーチャルリアリティシステムをもちいてキャンセレーションタスク(5つの物体から任意の1つを指し示す)を実行させた。

その際に、バーチャルな手を表示するもしくはドットのみを表示する場合にわけて脳の働きをfMRIで観察して比較したところ、



次のことがわかった。

・バーチャルな手の表示の有無にかかわらず、ミラーニューロンシステムの活性化パターンにあきらかな違いがみいだせなかった。

動作観察リハビリテーションにかならずしもバーチャルな手の表示は必要なかった、


というおはなし。

図:ミラーニューロンシステム



感想:

ようするにイメージのなかで動作とむすびつきさえすればイイってこと。

40年以上まえのテレビゲームは棒と点しか表示できなかったけど、テニスやサーキット走行、エイリアンから地球を守る戦いまで すさまじい臨場感で体験できていた。

そういうことだとおもう。

2019年8月2日

脳動脈瘤がふくらむ2つの目安


A systematic review and meta-analysis of risk factors for unruptured intracranial aneurysm growth
2019  7月  中国

脳動脈瘤は成人の3%にみつかるという。

未破裂の脳動脈瘤へのクリップやコイル手術はおおきなリスクをともなう。

通常は動脈瘤を画像検査でフォローして、成長しているようなら破裂の可能性が高いとして治療の対象とする。

動脈瘤の成長の要因として、高血圧、性別、年齢、くも膜下出血歴、動脈上の位置、サイズ、形状、喫煙、多発動脈瘤、などが考えられるがじつはよくわかっていない。

そこで、これまでの研究のメタアナリシスから未破裂脳動脈瘤が成長するリスク要因をあきらかにしてみたそうな。



脳動脈瘤の成長に関係する過去の研究を厳選して、データを統合 再解析したところ、



次のことがわかった。

・被験者7208人を含む23の研究がみつかった。13.1%に脳動脈瘤の成長が確認された。

・脳動脈瘤の成長にもっとも強く関連している要因は瘤のサイズで、ついで喫煙だった。

・くも膜下出血歴があると脳動脈瘤の成長がおきにくかった。

・瘤の形状や性別(女性)、多発動脈瘤などとの関連は確認できなかった。

脳動脈瘤が成長するリスク要因はサイズと喫煙だった。過去にくも膜下出血をした者の脳動脈瘤はおおきくなりくかった、


というおはなし。

図:くも膜下出血歴と動脈瘤の成長


感想:

成長が観測できたってことはむしろ危険ではないという解釈もできる。

ほんとうにヤバい脳動脈瘤は、年単位のながいフォロー検査の間に急に膨らんで破裂する。この場合は成長の事実が捕捉されない。

じっさい、喫煙で脳動脈瘤形成は進むが破裂はしない↓。
「喫煙で脳動脈瘤が破れる」は勘違い

2019年8月1日

脳卒中後うつに特徴的なコレステロールとは


Serum lipid profiles and post-stroke depression in acute ischemic stroke patients
2019  6月  中国

脳卒中後のうつは患者の33%におき日常生活動作の低下につながるという。

そのリスク要因として、女性、身体障害、うつ歴、がわかっているが病態生理学的要因についてはあきらかになっていない。

さいきんの10年ほどのあいだにうつと血清脂質プロファイル(脂肪やコレステロールの種類など)との関連がいくつも報告されるようになった。

脳卒中後のうつと血清脂質プロファイルとの関連についての報告はないのでくわしくしらべてみたそうな。



脳梗塞患者373人について、24時間以内に血液採取して脂質成分を調べ、1ヶ月後うつを17-item Hamilton Depression Scale (HAMD-17)で評価し関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・1ヶ月後30.6%の患者が脳卒中後うつ(PSD:Post-stroke depression)と診断された。

・PSDの有無とHDL,LDLコレステロールおよびLDL/HDLの比にあきらかな関連がみられた。

・いっぽう中性脂肪、総コレステロール、アポリポタンパク質A Bとの関連はなかった。

・HDLコレステロールが低く、LDL/HDL比が高いときにうつスコアがあきらかに高く、これらはうつの予測因子と考えられた。

HDLコレステロールが低くLDL/HDL比が高い脳卒中患者はうつになりやすかった、


というおはなし。

図:血清コレステロールと脳卒中後うつ



感想:

ではHDLコレステロールを増やすにはどうしたら、、、

と思って検索すると、「運動する」「ナイアシン(ビタミンB3)を摂る」がでてきた。

ところが、
ナイアシン サプリメントは脳卒中予防にならないばかりかとても有害:NEJM誌

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇■

過去7日間で人気の記事ベスト10