2019年5月31日

ほぼまちがいなく復職できる条件


Impact of Upper Limb Function and Employment Status on Return to Work of Blue-Collar Workers after Stroke
2019  5月  日本

日本の脳卒中患者にしめる65歳未満の労働者割合は14%である。彼らにとってもとの仕事に復帰することは切実な願いでもある。

これまでの研究からブルーカラーよりもホワイトカラー労働者のほうが復職しやすいことがわかっている。

そこで、ブルーカラー労働者の復職に関連する身体的、認知的、社会的要因をくわしくしらべてみたそうな。



15-64歳で脳卒中発症時ブルーカラー(一次産業、製造、サービス、運輸、建築など)労働者だった71人について、6ヶ月後の就労状況をききとりした。
ただし、あらたに事務仕事に就いた場合は「復職」とはみなさなかった。

退院時の上下肢の運動機能および認知機能との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・38人(53.6%)が復職し、そのうち21人は自営業者だった。

・上肢運動機能のSTEFスコアが復職と関連していて そのオッズ比は1.08だった。

・「自営業者」であることと復職との関連は著しく、オッズ比は185だった。

脳卒中を経験したブルーカラー労働者の復職には上肢運動機能と自営業ステータスがつよく関わっていた、


というおはなし。

図:自営業者の復職可能性



感想:

ブルー ホワイトにかぎらず雇われ人には「体力バカ」であることが要求される。だから脳卒中後の疲れやすさは復職にとても不利。

みずからの労働を100%裁量できる自営業者が最強なのは自明。

サンプル71人にしめる自営業者が26人。比率が高すぎ、けつろんありきか。

2019年5月30日

禁煙は余命を○年のばし 再発を○○年遅らせる


Smoking cessation and risk of recurrent cardiovascular events and mortality after a first manifestation of arterial disease
2019  4月  オランダ

脳卒中患者の30-50%は喫煙者で、その中毒性ゆえに脳卒中のあともかれらの1/4-1/3は喫煙をやめることができないという。

そこで禁煙することの効果をあきらかにするべく、動脈イベントのあった患者の喫煙ステータスとその後の再発および死亡との関連をくわしくしらべてみたそうな。



平均年齢61、脳卒中や冠動脈 末梢動脈疾患などを経験して1年以内の患者4673人について喫煙状況をしらべ(Second Manifestations of ARTerial diseas: SMARTスタディ)、
7年前後フォローした。




次のことがわかった。

・心血管イベントのあと1/3の患者が喫煙をやめていた。フォロー期間中に794人が死亡し、692人に主要血管イベントの再発があった。

・喫煙をやめなかった患者とくらべて、禁煙した患者の再発リスクは0.66倍、死亡リスクは0.63倍だった。

・禁煙した患者は平均で5年間ながく生存し、再発が10年間おそくなった。

・特に70歳をこえて心血管イベントがおきて禁煙をはじめた患者は 非喫煙者に匹敵する生存率の改善をしめした。

脳卒中などの血管イベントのあと禁煙を実行した患者は余命が5年伸び、再発を10年遅らせることができた、


というおはなし。

図:禁煙と脳卒中の再発



感想:

たばこをやめると「5年ながいきして再発が10年ずれる」
これはわかりやすい。

2019年5月29日

超早期リハビリの費用対効果


Economic evaluation of a phase III international randomised controlled trial of very early mobilisation after stroke (AVERT)
2019  5月  オーストラリア

脳卒中経験者の65%にはなんらかの障害がのこり日常生活に介助がひつようになるという。

脳卒中の回復をうながす方法として早期リハビリテーションが有効であるとながらく信じられてきた。

これをたしかめるべくおこなわれた臨床試験AVERTにはオーストラリア、イギリス、ニュージーランド、シンガポール、マレーシアの58の病院が参加し、2104人の患者についてフェイズⅢまで調査がなされた。

その結果、24時間以内に開始する超早期リハビリテーションは3ヶ月後の回復度が通常ケアよりも悪化することがあきらかになった。

しかし12ヶ月後の効果とコストとの関係についてはまだわかっていなかったので、くわしく解析してみたそうな。



AVERTのデータから、急性期病院やリハビリ病院でかかったコスト、自宅やコミュニティでのコストを推定し、
回復度mRSスコアを0-2と3-6にわけて、
質調整生存年(QALYs:Quality Adjusted Life Years)を算出し超早期リハビリと通常ケアとを比較した。



次のようになった。

・超早期リハビリと通常ケアとではリソース利用とコストの量は等しかった。

・12ヶ月後の回復良好者の割合やQALYsにも差はなかった。

超早期リハビリは通常ケアにくらべて12ヶ月後の回復度、コスト、質調整生存年に違いはなかった。しかし3ヶ月後の回復度はあきらかに悪いので、費用対効果が良いとはいえず とても勧められない、


というおはなし。

図:超早期リハビリ



感想:

AVERT関連↓記事。
Stroke誌:超早期リハビリと認知機能

超早期リハビリで死亡者続出 AVERT続報

ランセット誌:超早期リハビリぜんぜん効果ない

2019年5月28日

JAMA誌:若年脳卒中 15年後の死亡率


Association of Stroke Among Adults Aged 18 to 49 Years With Long-term Mortality
2019  5月  オランダ

脳卒中の10-15%は18-49歳の若年患者がしめている。彼らの死亡リスクについての前の研究のおおくは病院ベースのもので すでに古くサンプル数もフォロー年数もすくない。

そこでこれを大規模かつ長期に脳卒中の種類別にくわしくしらべてみたそうな。



1998-2010に18-49歳で脳卒中になったオランダの15323人について、2017までフォローした。

30日以上生存した者の15年後までの総死亡リスクを推定し、一般人とくらべたところ、



次のようになった。

・トータルで3540人が死亡した。このうち1776人は30日以内に死亡した。

・30日生存者の15年死亡率は17.0%だった。

・一般人にたいする脳梗塞患者の死亡率比は、5.1だった。(年間1000人あたりの死亡率は 12.0 vs. 2.4)

・一般人にたいする脳内出血患者の死亡率比は、8.4だった。(年間1000人あたりの死亡率は 18.7 vs. 2.2)

18-49歳で脳卒中を経験した者の死亡リスクは15年後も一般人にくらべかなり高い状態が続いていた、


というおはなし。

図:脳卒中後15年までの年間死亡率



感想:

脳内出血から10年経つ。一般人死亡率の8.4倍とはいうものの まったく死ぬ気がしない。

2019年5月27日

【結論】片手訓練と両手訓練


Comparison of bilateral and unilateral upper limb training in people with stroke- A systematic review and meta-analysis
2019  5月  中国

脳卒中の上肢麻痺のリハビリテーション方法として片手訓練(unilateral upper limb training)と両手訓練(bilateral upper limb training)がある。

片手訓練は麻痺側の手の課題指向型訓練が相当し、それをさらに集中的におこなうCI療法を含む。

いっぽう両手訓練は健常手とのカップリング効果を期待して麻痺手の改善をはかる方法である。

これまで片手訓練と両手訓練の効果をくらべたメタアナリシスがいくつかなされたが そのいずれもが片手訓練にCI療法を含んでいた。

CI療法は訓練量のおおさとスケジュールの緻密さにより患者の68%が訓練を完遂できず、恩恵をうけるのはわずか20-25%のみという。

さらにその適応基準は非常にきびしく、患者は手首を10度以上伸ばせて親指と他の指が開くことを事前要求される。

結果的にCI療法は軽度の麻痺患者のみが対象になってしまうことから、これをメタアナリシスに含むことはまったく適切ではないと考えられる。

そこでCI療法を除いて、片手訓練と両手訓練についてメタアナリシスをやりなおしてみたそうな。



CI療法をふくまない片手訓練および両手訓練のこれまでの研究を厳選し、データを統合 再解析して、

評価基準
Fugl-Meyer Assessment of Upper Extremity (FMA-UE),
Wolf Motor Function Test (WMFT),
Action Research Arm Test (ARAT)
Box and Block Test (BBT)

について効果を比較したところ、



次のようになった。

・被験者842人を含む21のランダム化比較試験がみつかった。

・片手訓練にくらべて両手訓練はFMA-UEスコアがあきらかに優れていた。

・しかしWMFTの完遂率および WMFT,ARAT,BBTの機能パフォーマンスの点では有意な差は確認できなかった。

両手訓練は運動機能FMA-UEの改善にあきらかに優れていた。しかし巧緻性をしめすWMFT,ARAT,BBTの点で片手訓練と有意な差はなかった、



というおはなし。
図:片手訓練と両手訓練のメタアナリシス



感想:

「CI療法は はじめからなかったことにしましょう」←著者が言いたいこと。

2019年5月26日

じつは治っていない空間無視を見つける方法


Increased Cognitive Load Reveals Unilateral Neglect and Altitudinal Extinction in Chronic Stroke
2019  5月  ベルギー

半側空間無視は脳卒中で右脳を損傷した患者の13-82%にみられる。かれらの60-90%は3-12ヶ月のうちに回復するという。

急性期では頭部と両目の向きが脳の損傷側へ偏っているので半側空間無視に気づきやすい。

つうじょう診断には紙と鉛筆をつかったテストが用いられるが その感度の低さとテストへの慣れが問題視されている。

そしてじゅうぶんに時間が経ち無視症状がなおったようにみえる患者でも、左右同時に視覚刺激をあたえたときに対側のターゲットを消失(extinction)することがよくある。

これら隠れた注意障害をあぶりだすために認知負荷のかかる二重課題下におく方法がいくつか報告されている。

そこで かつて半側空間無視があった2人の患者についてこれを確かめてみたそうな。




右脳の脳卒中で3年以上経ち、当初あった半側空間無視の症状が通常のテストではすでにみられない患者2人について、

視野の中心部に現れるターゲットの形状 および
視野周辺部(左右、上下)のターゲットを認識させるテストを、
個別または同時に(二重課題)おこなった。




次のようになった。

・患者#1について、二重課題時に左方の無視と上方の消失があきらかになった。

・患者#2は左右方向の無視症状は示さなかったが、二重課題時にターゲットを上下同時表示した際に 下方ターゲットを試行回数の半数以上で見落とした。

・このとき上下ターゲットを別個に表示した場合には 見落としはなかったことから、水平性消失(altitudinal extinction)と考えられた。

通常の検査ではもはや半側空間無視がみとめられない慢性期の脳卒中経験者にたいして、二重課題を与えることで空間的注意障害をあらたに確認することができた、


というおはなし。

図:水平性消失



感想:

刺激が1つずつ提示されているのに見落としてしまうことを無視(neglect)、2つ同時提示したときにいっぽうを見落としてしまうことを消失(extinction)という。

ようするに注意がいっぱいいっぱいなときには思わぬ見落としがおきる。左方にかぎらず。
同側への無視が起きる条件

刺激密度が高いときの半側空間無視

2019年5月25日

玉子とコレステロールとapoE4と脳卒中


Egg consumption, cholesterol intake, and risk of incident stroke in men- the Kuopio Ischaemic Heart Disease Risk Factor Study
2019  5月  フィンランド

玉子は黄身にコレステロールがおおくふくまれることからながらく摂り過ぎないように とされてきた。

玉子と脳卒中リスクについての研究は比較的すくないものの、最近のいくつかのメタアナリシスでは脳卒中リスクが上がる、下がる、変わらないとする相反した結論が得られている。

玉子と血圧についても同様で調査により結論がことなる。

いっぱんに食事から摂るコレステロールは血中コレステロールにほとんど影響しない。しかしアポリポタンパク質E (apoE)の遺伝子の特定の型を持つ者は食事コレステロールにおうじて血中のLDLコレステロールが増える可能性があることが知られている。

apoEのうち4型遺伝子が表現型にある者は脳卒中など心血管疾患になりやすいという。またフィンランド人の3分の1は apoE4表現型を持つ。

そこで、玉子と食事コレステロールと脳卒中との関連をapoE4表現型のキャリアーもふくめてくわしくしらべてみたそうな。


1984-1989に42-60歳だった男性1950人について食事調査をおこない、

脳卒中の発生を20年間ほどフォローした。



次のことがわかった。
・この間に217の脳卒中があり、そのうち166が脳梗塞で55が脳出血だった。

・玉子をほとんど摂らない者にくらべもっともおおくく摂る者の脳卒中リスクは0.81倍、脳梗塞リスクは0.84倍、脳出血リスクは0.75倍だった。

・食事コレステロールについても順に、0.86、0.74、1.10となった。

・玉子をおおく摂ると拡張期血圧が1.6mmHg低かったが、収縮期血圧および食事コレステロールとの関連はみられなかった。

・apoE4遺伝子の表現型との関連もみられなかった。

玉子および食事コレステロールと脳卒中との関連は、apoE4遺伝子の影響を考慮にいれても確認できなかった、


というおはなし。
図:目玉焼き



感想:

「玉子は危険」とながねん洗脳されてきたから いまだに目玉焼き2個たべただけで罪悪感に気づく。
中国50万人の玉子と脳出血

玉子 おどろきの脳卒中予防効果

玉子のコレステロールで血管詰まる説はなんだったのか?

2019年5月24日

ランセット誌:ロボット上肢リハビリ まったく効果ない


Robot assisted training for the upper limb after stroke (RATULS): a multicentre randomised controlled trial
2019  5月  イギリス

ロボット支援の上肢トレーニングは麻痺が比較的重い患者であっても多くの繰り返し動作をおこなうことができるため期待されている。

しかしこれまでの研究のおおくは手法や訓練量、評価方法に偏りがつよくいっちした見解がえられていない。

そこでマルチセンターの大規模ランダム化比較試験(RATULSトライアル)をやってみたそうな。



脳卒中から5年以内で中レベル以上の上肢麻痺の患者770人について、
つぎの3グループにわけた。

ロボット支援(RT:robot-assisted training MIT-Manus robotic gym)
上肢集中訓練(EULT:enhanced upper limb therapy)
通常ケア(UC:usual care)

各訓練は、45分間x週3回x12週間 おこない、

ARATスコアで改善度を評価した。



次のようになった。

・ARATスコアであきらかな改善をしめした患者の割合は、RT44%、EULT50%、UC42%だった。

・通常ケアUCにくらべロボット支援RTと上肢集中訓練EULTはすぐれているとは言えず、

・RTとEULTにあきらかな効果の違いはみられなかった。

・深刻な有害事象は、RT15%、EULT13%、であり、UC8%よりもおおかった。

中レベル以上に重い上肢麻痺の脳卒中患者へのロボット支援リハビリテーションは通常ケアをうわまわる効果はなかった。日常のリハビリテーションに取り入れるべき根拠はまったくないと考えられる、


というおはなし。

図:脳卒中のロボット上肢リハ



感想:

繰り返し訓練自体に効果がないのだからロボットつかったところで改善しないのは自明。
課題指向型訓練 いくらやっても役には立たない

コクランレビュー:反復課題訓練 エビデンスない

訓練繰り返すほど良くなると思ってたら そうでもなかった

JAMA誌:課題指向型訓練 やる意味ない

2019年5月23日

NEJM誌:血栓溶解治療が9時間までOKな理由


Thrombolysis Guided by Perfusion Imaging up to 9 Hours after Onset of Stroke
2019  5月  オーストラリア

血栓溶解治療は脳梗塞の発症から4.5時間以内と決められている。このガイドラインは非造影のCTをつかった初期の調査結果にもとずいている。

しかしさいきんでは造影剤をつかったCTパーフュージョンとMRIディフュージョン検査を組み合わせることで、再灌流が可能な脳組織が4.5時間を超えて存在しうることがわかってきた。

そこで再灌流域がおおきく残っている患者への4.5-9時間での血栓溶解治療を実験してみたそうな。



脳梗塞の発症から4.5-9時間の患者
もしくは起床時脳梗塞であっても睡眠時間の中央の時刻から9時間以内の患者について、
アルテプラーゼとプラシボの2グループに分けた。

彼らにはCTもしくはMRIパーフュージョンとMRIディフュージョン検査を行い、
梗塞コアを正常組織の30%未満の血流域もしくはディフュージョン高信号域とし、
血液灌流速度に遅延が生じている領域との差分を再灌流可能域とした。

この比が1.2倍以上もしくは再灌流可能域が10mL以上で梗塞コアが70mL未満を適応患者とした。

これらの判断はコンピュータソフトウェア(名称:RAPID)により自動で行われた。

mRSスコアが0-1の回復良好患者の割合と、mRSスコアの患者分布を比較したところ、



次のようになった。

・アルテプラーゼ113名、プラシボ112名についてしらべた。

・90日後mRSが0-1の患者はアルテプラーゼ35.4%、プラシボ29.5%だった。

・症状のある脳内出血はアルテプラーゼ6.2%、プラシボ0.9%におきた。

・90日後mRSの患者分布に有意が違いはみられなかった。

脳梗塞後4.5-9時間であっても 再灌流可能域のある患者への血栓溶解治療により回復良好患者の割合がふえた。しかし脳内出血をおこした患者数はふえた、



というおはなし。
図:アルテプラーゼ9時間の効果



感想:

うえの図みるとなにげに死亡(mRS6)がおおいような。

これ↓の続報。
病院へ急がなくてもよいことになった

2019年5月22日

抗凝固薬が認知症をふせぐ?


Less dementia and stroke in low-risk patients with atrial fibrillation taking oral anticoagulation
2019  5月  スウェーデン

心房細動があると認知症のリスクが高まるとする報告がいくつかある。

おおきな血栓が脳卒中を起こすように微小な血栓が脳組織への血流を阻み認知機能を低下させると考えられている。

じっさい、抗凝固薬を使用することで認知症リスクが半分になったという報告もある。

しかし因果関係はわかっておらず、ランダム化比較試験を行おうにも脳卒中リスクのある心房細動患者に抗凝固薬を与えないわけにもいかない。

そこで、心房細動だけで脳卒中リスクのない患者について抗凝固薬と認知症との関連をしらべ、因果関係を推定してみたそうな。



スウェーデンの患者データベースから2006-2014に心房細動と診断された456960人について、

脳梗塞リスクを評価する CHA2DS2-VASc(心不全、高血圧、高齢、糖尿病、脳梗塞歴、冠動脈疾患、女性)スコア が2点以上の者を除いた。

残りの患者91254人を凝固薬の使用の有無(43%が使用)で2グループに分け、他の条件の一致する23746人ずつにしぼり 認知症の発生を5年ほどフォローしたところ、



次のようになった。

・抗凝固薬グループの認知症リスクはあきらかに低く、非使用者の0.62倍だった。

・脳梗塞や脳出血のリスクは65歳以上では12%低かったが、

・60歳未満では有害事象のほうがおおかった。
心房細動で抗凝固薬を使用している者の認知証リスクは非使用者よりも低かった。65歳以上であれば脳梗塞リスクによらず抗凝固薬のベネフィットがおおきいと考えられた、


というおはなし。

図:抗凝固薬と認知症リスク


感想:

抗凝固薬みなおした。でもこわいのでおれは納豆とたまねぎを食べる。
血液サラサラの薬で認知症予防

2019年5月21日

若年脳梗塞患者はt-PA率が低いはず?


Thrombolysis in young adults with stroke:Findings from Get With The Guidelines-Stroke
2019  5月  アメリカ

t-PAによる血栓溶解治療の患者のほとんどは高齢者である。

若年者は脳卒中に関心がひくいため病院に遅れがちで、病院に着いてもまず別の病気を疑われることから診断がでるまで時間を要しt-PA治療が間に合わなくなることがおおいと考えられる。
また出血の副作用のおおきさも高齢者とはことなるはずである。

そこで若年者にたいするt-PA治療の実際をアメリカの全国規模のデータベースをつかってくわしくしらべてみたそうな。



2009-2015の1983病院の脳梗塞患者1320965人の記録を解析したところ、



次のことがわかった。

・2.3%が18-40歳の若年患者だった。

・このうち 12.5%がt-PA治療を受けた。40歳以上のt-PA率は8.8%だった。

・しかし病院到着から25分以内に脳の画像検査を受ける率は若年患者が低く、

・60分以内にt-PA治療を受ける率も若年患者で低かった。

・頭蓋内出血をおこす率は1.7% vs 4.5%で若年患者が低く、院内死亡率も2.0% vs 4.3%で若年患者が低かった。

予想に反してt-PA治療は高齢患者よりも若年患者に適用されやすかった。診断から治療までの時間はおおくかかっていたが、回復はよく頭蓋内出血も少なかった、


というおはなし。

図:t-PA若年vs高齢



感想:

若い患者は血管が丈夫だから診断にまよったらとりあえずt-PA打っちゃえってことなんだろな。
病院へ急がなくてもよいことになった

2019年5月20日

飛行機の騒音と脳卒中


Aircraft Noise and the Risk of Stroke
2019  4月  ドイツ

騒音による自律神経系へのストレスにより血圧やインスリン抵抗性、睡眠への障害が考えられる。

ドイツでは日中の騒音規制レベルを55dB未満、夜は45dB未満としている。

騒音と虚血性心疾患との関連はあきらかになっているが脳卒中についてはよくわかっていない。

そこで航空機の騒音について脳卒中との関連をしらべるべく、初のシステマティックレビューをこころみたそうな。



騒音レベルを 日中、夕方+5dB、夜間+10dB と重み付け平均した day–evening–night noiselevels:LDEN とし、

これまでの関係する研究論文を厳選してデータを統合 再解析した。



次のことがわかった。

・9の研究がみつかった。LDENが10dBあがるごとに脳卒中リスクが1.013倍(1.3%の上昇)になった。

・しかしこれらの研究は、脳梗塞や脳出血の区別がなく、騒音推定方法もまちまちで、質が高いとは言えなかった。

・さらに最大騒音値での評価がなかったため影響が過小評価されている可能性が残った。

航空機騒音と脳卒中リスクの関連がみられたが、統計学的有意なほどではなかった、


というおはなし。

図:飛行機騒音

感想:

ちょうどこの記事↓をみた直後だったので関心をもった。
「どうにかしてほしい」市民から悲鳴 普天間飛行場で過去最高の124・5デシベル 人間の聴力の限界に迫る騒音

2019年5月19日

身長が高いと脳梗塞になりにくい理由


Greater Height Is Associated with a Larger Carotid Lumen Diameter
2019  5月  アメリカ

身長が高いほど脳梗塞リスクが低くなることがわかっている。しかしこのメカニズムはあきらかではなく諸説ある。

そのなかの1つに背の高い者は動脈が太く、プラークがつもるまでに時間をようするからという説がある。

これをたしかめるべく、総頚動脈について身長との関連をくわしくしらべてみたそうな。



231人の成人について超音波をつかって総頚動脈の径(common carotid artery diameter:CCAD)と内膜中膜複合体肥厚(intima–media thickness:IMT)を測定し、身長との関連を解析した。

並行して肥満、血圧、血清脂質も測定し調整した。



次のことがわかった。

・身長とCCADがあきらかに関連しており、

・身長が1cm高くなるごとにCCADは0.03mmおおきくなった。

・これは身長が150cmに対し200cmでは動脈断面積が60%以上拡大することを意味する。

・いっぽうIMTは身長とあきらかな関連はなかった。

身長が高いほど頚動脈の径がおおきくなった。いっぽう血管壁厚は身長と関連はなかった。高身長で脳梗塞リスクが低い理由はこのあたりにあるのかも、


というおはなし。
図:身長と総頚動脈の直径


感想:

脳出血リスクもおなじく高身長で低い↓んだけど、どう説明するのかな。
身長と脳卒中 まとめ

2019年5月18日

後ろに歩かせると違いがわかる


Assessment of backward walking unmasks mobility impairments in post-stroke community ambulators
2019  5月  アメリカ

脳卒中のリハビリで後方歩行(backward walking)を気にすることはすくない。

じっさい長い距離を後方歩行する機会は通常ない。しかし狭い場所や混み合った部屋、ドアの開閉、着席時には短い後方歩行が必要になる。

前方歩行とはことなり後方歩行にはとくべつな視覚情報処理、筋肉活動、エネルギー代謝が必要で、

これら注意需要を反映して脳の感覚運動野と前頭前皮質が通常よりも活発になると考えられている。

健常者は後方歩行をタイムリバースするかのように前方歩行にくらべおおきな変化もなくやってのけるが、脳卒中患者の後方歩行について運動力学的な観察はすくないのでしらべてみたそうな。



平均年齢60の自立歩行できる脳卒中経験者15人と健常者12人について、

前方歩行と後方歩行での動作を3Dモーション解析したところ、



次のことがわかった。

・脳卒中経験者は、前方歩行にくらべ後方歩行の速度、歩幅、歩調が非常に低く、2脚支持時間は長かった。

・脳卒中経験者の後方歩行では股関節の進展と膝の屈曲の変化のおおきさが前方歩行よりもちいさかった。

・健常者は後方歩行で足底屈の減少と背屈の増加がみられたが、脳卒中経験者では背屈の程度はよわかった。

後方歩行をみることで前方歩行では検出できなかった脳卒中経験者の歩行障害を評価することができた、


というおはなし。
図:後方歩行


感想:

たしかに日常で1-2歩さがるシーンはすくなくない。

でも前方への注意でいっぱいいっぱいで、いきなりさがって人にぶつかるなんてことがよくあった。
後方歩行トレーニングの効果

カニ歩きと後ろ歩き 片麻痺リハビリに効果的なのは、、

2019年5月17日

入院中の栄養不良率 in Japan


Relationship of Malnutrition During Hospitalization With Functional Recovery and Postdischarge Destination in Elderly Stroke Patients
2019  5月  日本

脳卒中で入院中の栄養不良は6.1-79%の患者におこるとされ、その後の日常生活動作や退院先に影響すると考えられている。

いっぽう数ある栄養評価方法のうち、高齢者向けの栄養評価指標 Geriatric Nutritional Risk Index. (GNRI)は 血清アルブミンと身長 体重のみから計算できるので、コミュニケーションや意識に障害のある急性期脳卒中患者に適していると考えられる。


そこで これまでの脳卒中患者のデータをつかって 入退院時のGNRIにもとずく栄養状態と退院時ADLおよび退院先との関連をくわしくしらべてみたそうな。



2010-2016の高齢脳卒中患者205人について、
栄養状態GNRIを次式でもとめた。

GNRI=(1.489×血清アルブミン(g/L))+41.7×(現体重(kg)/標準体重(kg))

98以上のとき栄養じゅうぶん。

他の要因との関連を解析したところ、



次のようになった。

・入院時の42%、退院時76%の患者が栄養不良だった。

・入院時の栄養状態によらず、高齢、脳内出血、嚥下障害があると栄養不良になりやすく、

・入院中にGNRIがあがった患者はADLは改善し、自宅に退院できていた。
脳卒中患者には栄養不良がおおく 入院中に栄養状態がさらに悪化していた。GNRIの入退院時の差分がその後の回復とあきらかに関連していた、


というおはなし。
図:経鼻栄養



感想:

かるい脳卒中ですぐに退院した患者の退院時データがなかったそうなので、実際はこれ↓に近いかと。
退院後の栄養不良と予後

2019年5月16日

よろけたときによくある踏み出しパターン


Stepping characteristics during externally induced lateral reactive and voluntary steps in chronic stroke
2019  5月  アメリカ
脳卒中患者のおよそ40%は最初の1年間に転倒を経験し、骨折につながるリスクは一般人の4倍という。

バランスをくずした際にとっさにステップを踏み出せる能力は転倒予防に重要である。

そこで、外部から動揺をくわえたときのステップの特徴を脳卒中患者についてくわしくしらべてみたそうな。



慢性期の脳卒中で片麻痺の患者10人と 年齢のいっちする一般人10人について、

腰にひもをつけて機械で横方向に瞬間的にひっぱるときのステップを観察した。

踏み出しにようする時間、歩幅、速度等を記録した。
視覚合図にたいして自発的に踏み出す場合も測定した。

踏み出したステップが複数歩になってしまうときの腰ひもの力をバランス限界(Balance tolerance limit:BTL)とした。

BTL時の最初のステップのパターンを次の3つに分類した。

1. lateral step : 引かれた側の足を外へ踏み出す。
2. crossover step : 引かれる側でない足を踏み出しまえでクロスする。
3. medial step : 引かれる側でない足を内側へクロスしない程度に踏み込む。



次のようになった。

・腰ひもを引かれてから反応するまでの時間にグループ間のあきらかな差はなく、自発的に踏み出すよりも速かった。

・脳卒中患者の踏み出し速度はおそく、歩幅はせまかった。

・脳卒中患者のBTLは低く、medial step(内側へのステップ)がおおかった。

両グループともにバランスのくずれへの反応は速かった。脳卒中患者の踏み出しは遅く狭かった。おおくの場合 負荷のかかっていない足を内側へ踏み出していた。これは続く外側への踏み出しに要する大腿関節のトルクを軽減させるためと考えられた、


というおはなし。
図:medial step内側へのステップ



感想:

ついさいきん転んだ↓ので関心をもった。
退院後なんども転ぶ患者の割合と特徴

2019年5月15日

こんな人がアスピリンで脳内出血 JAMA Neurol.


Frequency of Intracranial Hemorrhage With Low-Dose Aspirin in Individuals Without Symptomatic Cardiovascular Disease- A Systematic Review and Meta-analysis
2019  5月  台湾

心筋梗塞や脳梗塞の再発予防にアスピリンは期待されている。しかし1次予防効果については出血のリスクが予防効果を上回るとする報告がすくなくない。

とくに頭蓋内での出血は死亡率が高く深刻である。

頭蓋内出血には、脳内出血、くも膜下出血、硬膜下と硬膜外の出血がある。これら種類別のメタアナリシスは無いので最新の報告も含めてくわしくしらべてみたそうな。



冠動脈疾患や脳卒中、末梢動脈疾患のない者への低用量アスピリンの効果について1966-2018のランダム化比較試験を厳選し、
データを統合再解析して、頭蓋内出血のリスクを評価したところ、



次のようになった。

・被験者134446人を含む13のアスピリンの1次予防効果についてのランダム化比較試験がみつかった。

・アスピリン使用者の頭蓋内出血リスクは非使用者の1.37倍だった。

・とくに、硬膜下 硬膜外出血のリスクが脳内出血やくも膜下出血よりも高かった。

・アスピリンによって脳内出血をおこしやすい特徴はアジア人や低BMIの者だった。

1次予防目的のアスピリンの使用は頭蓋内出血リスクの上昇と関連していた。とくにアジア人または低BMIだと脳内出血リスクが高かった、


というおはなし。

図:アスピリンで頭蓋内出血



感想:

アジア人データは日本のものなので、やせた日本人はとくに注意。

「血液サラサラ」とは血管の外にサラサラと流れ出るの意味のようだ。
NEJM誌:アスピリンは予防効果ないうえにとても危険

2019年5月14日

ベテラン理学療法士の片麻痺共感脳力


Effects of pseudoexperience on the understanding of hemiplegic movements in physical therapists- An fMRI study
2019  4月  日本

理学療法士には 観察をとおして患者の身体と心の状態を推し量る能力が求められる。

他者の精神や機能の推測には心の理論(Theory of Mind)から、ミラーニューロンシステムをふくむ脳の領域「Action Observation Network:AON」 および「right Temporo-parietal junction:rTPJ」が関係していることがわかっている。

日常的に片麻痺患者をみている理学療法士は、これら脳の領域(AON,rTPJ)に患者への共感過程(pseudoexperience)でなんらかの変化がおきていることが考えられる。
これを脳機能MRIでたしかめてみたそうな。



脳卒中患者を扱う経験が8年前後のベテラン理学療法士19人と、
片麻痺患者をみたこともない素人19人についてfMRI測定をおこなった。

測定中、被験者には片麻痺患者の麻痺手と非麻痺手の動作ビデオを交互にみせて、
患者の身体機能と心のはたらきに共感するよう促した。

fMRI測定後、その共感内容をこまかくアンケートで確認した。



次のことがわかった。

・素人にくらべ理学療法士のAONおよびrTPJの活動域があきらかにおおきかった。

・理学療法士が麻痺手の動作をみているときのrTPJとAON間の実効的結合がつよかった。

・アンケートによる行動解析では理学療法士の片麻痺患者への共感度は高かった。

理学療法士は日頃の経験により片麻痺をみたときのアクションオブザベーションネットワークと右側頭頭頂接合部のはたらきに変化が生じていた。これが片麻痺患者にたいする共感力を反映しているのかも、


というおはなし。
図:AONとrTPJの活動 理学療法士の



感想:

素人には麻痺手も非麻痺手も区別がつかないし 関心もない。

だから素人とくらべて差がでたからといって、ベテラン理学療法士の熟達した共感力が脳皮質にあらわれたと考えるには無理がある。

ここは素人相手ではなく お金をもらっているプロ同士、理学療法士1年目の新人さんと比較しなくてはいけない。

→ きっとなんの差もでないとおもうよ。↓
日本の理学療法士はどういう根拠に基づいて仕事をしているのか?

2019年5月13日

退院後なんども転ぶ患者の割合と特徴


Falls-Related EvEnts in the first year after StrokE in Ireland- Results of the multi-centre prospective FREESE cohort study
2018  9月  アイルランド

脳卒中ののち退院した患者の19-73%は転倒を経験し、5%は骨折などの重い怪我を負うという。

転倒のリスク要因として歩行障害やバランスの低下、鎮静剤、向精神薬、うつ、認知障害、転倒歴、生活自立度などが考えられるが、

転倒を繰り返す者の特徴はよくわかっていないのでくわしくしらべてみたそうな。



5つの病院の脳卒中患者128人(平均年齢69)を選び、

退院後、転倒日記をつけてもらい12ヶ月間フォローしたところ、



次のことがわかった。

・44.5%が転倒し、25.6%は転倒を繰り返した。

・転倒の回数は1-18回(中央値2回)で、5人が骨折した。

・転倒者の47%はすくなくとも1回屋外で転倒した。

・転倒者の10%が骨密度改善薬を摂っていた。

・生活自立度が低いまたは向精神薬を使用している者は複数回の転倒とつよく関連していた。

退院後1年間で4分の1の患者がおもに屋内で転倒をくりかえしていた。生活自立度が低いまたは向精神薬を使用する患者には注意が必要である、



というおはなし。
図:転倒



感想:

昨日転倒したので関心をもった。

屋内で体重15キロの近所の2才児がとつぜん左腕にぶらさがってきてバランスをくずした。
とっさに足をだすこともできたが子供を踏まないようにあえてべつの方向に派手に倒れた。

触覚や足首感覚がにぶいと反応するまでに時間を要する。気づいたときには手遅れだった。

けど高校は柔道部だったので受け身がとれた。

2019年5月12日

歯周病対策で脳梗塞をふせげる?


Dental treatment procedures for periodontal disease and the subsequent risk of ischemic stroke- a retrospective population-based cohort study
2019  4月  台湾

これまで歯周炎と脳卒中との関連をしめすおおくの報告がある。

しかし歯周炎の前段階でもある歯肉炎と脳卒中との関連についてはかならずしも明らかではない。

また歯肉炎や歯周炎に積極的な治療をほどこしたときの脳卒中リスクについてもわかっていないので大規模にしらべてみたそうな。



台湾の健康保険研究データベースから、2000-2009の歯肉炎74516人および歯周炎87407人の患者を抽出し、
その後の脳梗塞の発生を7年前後フォローした。

デンタルスケーリング(歯石除去)や
ルートプレーニング(スケーリング後に歯根面を磨く)、
歯周ポケット掻爬術(ポケット内の炎症組織を取り除く)
といった治療の有無もふくめて関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・脳梗塞リスクは歯周炎が歯肉炎の1.16倍だった。

・およそ10年間の生存率曲線も歯周炎グループが下回っていた。

・治療を受けることで脳梗塞リスクは低下し、歯肉炎ではリスク1.00→0.36、歯周炎ではリスク1.16→0.79になった。

・ただし抜歯術を受けた場合はリスクが1.17倍に上昇した。

歯周炎は歯肉炎よりも脳梗塞のリスクが高く、これらへの治療が脳梗塞のリスク低下と関連していた、


というおはなし。

図:歯周炎 歯肉炎 脳梗塞



感想:

因果関係があるってことなんだな。
Stroke誌:歯周病のグレードと脳梗塞リスク

2019年5月11日

Stroke誌:家族性脳動脈瘤は破れやすいのか?


Comparison of Rupture Risk of Intracranial Aneurysms Between Familial and Sporadic Patients
2019  3月  オランダ

家族性脳動脈瘤は、第一近親者(両親または子)の2人以上に脳動脈瘤がみつかる場合を指す。未破裂脳動脈瘤に占める家族性の有病者率比は、家族性でない場合(散発性)の3.4倍という。

さらに2009年の報告では家族性の破裂率は散発性の17倍におよぶという。
しかしこの報告は患者の選択方法におおきな偏りがみられるので、

オランダ人について家族性脳動脈瘤の破裂率をくわしくしらべてみたそうな。



1994-2016に未破裂脳動脈瘤がみつかった患者について、
その後のくも膜下出血の発生をフォローしたところ、



次のことがわかった。

・家族性の62人に91個の未破裂脳動脈瘤がみつかった。散発性の412人に542個の未破裂脳動脈瘤がみつかった。

・家族性は散発性にくらべ動脈瘤のサイズが小さく、低リスクな場所に位置していることがおおかった。

・破裂率は家族性の場合、未破裂動脈瘤100個中 年間0.77。散発性では未破裂脳動脈瘤100個中 年間0.51だった。

家族性の未破裂脳動脈瘤が破裂するリスクは散発性のそれよりもわずかに高い程度だった、


というおはなし。
図:家族性の未破裂脳動脈瘤の破裂リスク


感想:

これ↓おもいだした。
Stroke誌:家族性脳動脈瘤は破れるサイズもおなじ?

2019年5月10日

同側への無視が起きる条件


Ipsilesional Impairments of Visual Awareness After Right-Hemispheric Stroke
2019  4月  イタリア

損傷をうけた脳半球と反対側に無視症状があらわれることがあり(半側空間無視)、認知負荷をかけることで見落とし率が増加し無視範囲が拡大することがわかっている。

いっぽう、損傷脳半球と同じ側については、より注意が高まるとする説、障害がおきているとする説、健常であるとする説がある。

そこで、半側空間無視のある脳卒中患者について、損傷脳半球と同側への視認精度を認知負荷をかけたときも含めくわしくしらべてみたそうな。



右脳損傷の慢性期脳卒中で 左方への半側空間無視のある患者12人について、

コンピュータスクリーンの右視野に短時間表示される1-2個の点を視認させる課題を繰り返させ精度を評価した。

このとき、ターゲット表示時に視野中心に図形を表示する(視覚負荷) または音を重ねた(音響不可)ばあいの影響をしらべた。



次のようになった。
・ターゲットが2個同時表示されたときと 視覚負荷または音響負荷をかさねたときに視認エラーがおおかった。

・とくに視覚負荷をあたえたときに右寄りのターゲットを見落とすことがおおかった。

右脳の脳卒中により同側への注意能力は高まるどころか障害をうけていた。とくに視覚負荷がかかっている状況で顕著だった、


というおはなし。
図:右脳卒中患者の同側無視の検査



感想:

右脳損傷やばい。なるほど世界がコマ落ちしてみえるときがあるよ。
刺激密度が高いときの半側空間無視

2019年5月9日

nature.com:手脚のリハビリで対側の前頭前野がんばる


Limb linkage rehabilitation training-related changes in cortical activation and effective connectivity after stroke- A functional near-infrared spectroscopy study
2019  4月  中国

脳卒中後のリハビリテーションで手脚の運動がもたらす脳皮質の回復メカニズムはよくわかっていない。脳の皮質活動はPETやMRIで観察することができるがこれら装置は患者のわずかな動きにも弱い。

近赤外線分光をつかった血流評価による脳皮質の機能測定は、高い時間分解能をもつため患者のうごきにつよく、運動課題をともなう測定が可能である。

得られたデータを解析する方法として「機能的結合:functional connectivity」がある。これは脳の異なる領域からの信号の同期の程度を評価するもので互いの結合の方向はわからない。

いっぽう「実効的結合:effective connectivity」では領域間の同期のみならず それらの方向や因果関係を推定することができる。

そこで脳卒中患者と健常者とで安静時および手脚の運動課題をあたえたときの脳皮質の活動を近赤外線分光で測定し、脳皮質間の実効的結合への影響をくわしくしらべてみたそうな。



脳卒中で左麻痺の6人と右麻痺の7人および健常者16人について

両側の前頭前野、運動野、後頭葉に計24チャンネルの分光検出器を貼り付けた。

安静時と上肢下肢の運動課題時の時系列データを測定して、
動的ベイズ推定をつかって領域間のカップリング強度と方向を解析し、実効的結合とした。

このとき、信号を周波数別につぎの4グループに分けた。
I, 0.6-2 Hz
II, 0.145-0.6 Hz
III, 0.052-0.145 Hz
IV, 0.021-0.052 Hz

これらはそれぞれ順に、心拍、呼吸、血管平滑筋、神経 に由来する活動を反映していると考えられている。



次のことがわかった。
・脳卒中患者は健常者にくらべ運動関連皮質の活動が非対称で、損傷脳半球の反対側で活発だった。

・周波数域ⅠとⅡで、脳卒中患者の実効的結合が安静時と運動課題時で健常者よりもあきらかに低かった。

・右麻痺患者では、運動野と後頭葉から右の前頭前野へ向かう実効的結合が、安静時と運動課題時で周波数域Ⅳについてあきらかに高かった。

・左麻痺患者では、運動野と後頭葉から左の前頭前野へ向かう実効的結合が、運動課題時に周波数域ⅢとⅣであきらかに高かった。

上下肢の運動課題後に神経活動を反映する超低周波域での 運動野と後頭葉から反対側の前頭前野へ向かう実効的結合のあきらかな増強効果は、障害を代償するべく認知リソースを脳内再編している様子と考えられた、


というおはなし。

図:実行結合 超低周波 前頭前野



感想:

この研究↓のつづきみたいなんだけど、
がんばって手脚を動かしても効果がない理由

同じデータでも解析する方法がことなると結論もずいぶんとちがうのね。

2019年5月8日

Neurology誌:若年脳卒中 さいきんのトレンド


Stroke incidence in young adults according to age, subtype, sex, and time trends
2019  5月  オランダ

初回脳卒中の10-15%は18-50歳の若年者でおきている。高齢者の脳卒中発生率は減少傾向にあるいっぽう、若年者の脳卒中発生率は上昇傾向にあるという。

これら若年脳卒中患者を、年齢層別、男女別、脳卒中の種類別にさいきんのトレンドをオランダ人についてくわしくしらべてみたそうな。



オランダの患者データベースから1998-2010の18-50歳の脳卒中患者15257人を抽出して解析したところ、



次のことがわかった。

・患者の55.3%は脳梗塞、20.2%が脳内出血だった。

・脳卒中発生率は男女ともに年齢層が上がるにしたがい指数関数的に高くなった。女性のほうが脳卒中発生率は高く、とくに若い層18-44歳で顕著だった。

・脳梗塞の相対比率は年齢層が上がると増加するいっぽう、脳内出血の相対比率は減少した。

・若年脳卒中の発生率は年間10万人あたり、1998年には14.0人で2010年には17.2人とたかくなり、これらはおもに35歳以上の脳梗塞の46%増加によるもので、50歳以上では脳卒中発生率は329.1→292.2人に11%低下している。

若年者の脳卒中発生率は35歳以上で上昇しており、18-44歳では女性で発生率が高い。この10年で脳卒中発生率は23%増加し、おもに脳梗塞の増加によるものだった。脳内出血のそれは男女ともに同程度でおおきな変化はなかった、


というおはなし。
図:若年脳卒中のトレンド


感想:

脳梗塞だけふえている理由のひとつとしてMRIの普及をあげている。

脳内出血みるにはCTが適している。MRIはちいさな脳梗塞でもはっきり見える。さらにディフュージョン強調をとれば超急性期の梗塞までわかる。これらの普及時期とぴったり一致するからたぶんそれが正解。

これ↓のこたえがわかった。
若年者が脳卒中になる理由

2019年5月7日

脳梗塞患者は水を飲む量が少なかった in Japan


Daily Habit of Water Intake in Patients with Cerebral Infarction before its Onset; Comparison with a Healthy Population- A Cross-Sectional Study
2019  5月  日本

脳梗塞の予防にはひんぱんな水分摂取がいいとよくいわれるものの、これを調べた報告はすくない。

そこで日本人についてくわしくしらべてみたそうな。



3つの病院施設の脳梗塞患者274人と健常者1013人について、
現在の1日の水分摂取量を面談調査した。

この量が脳梗塞まえにくらべて、増えた(increased)、変わらず(unchanged)、減った(decreased)、
と答えた3つのグループに分類して、

「変わらず」と答えたグループの水分摂取量を脳梗塞まえの値とした。
これを健常者とくらべたところ、



次のようになった。

・患者の151人が「増えた」グループで、105人が「変わらず」、18人が「減った」だった。

・平均水分摂取量は、順に1702mL, 1494mL, 1268mLで、健常者は1720mLだった。

・関連要因で調整後、「変わらず」のグループと健常者とであきらかな差が確認され、

・カットオフ値1570mL/dayを下回ると脳梗塞のオッズ比は2.48倍だった。
脳梗塞患者が発症まえに摂っていた水分量は健常者のそれをあきらかに下回っていた。水分摂取をこころがけることで脳梗塞をふせげるかも、


というおはなし。
図:脳梗塞まえの水分摂取量 患者の健常者の比較


感想:

脱水がすすむ真夏には脳梗塞がふえるかというとぜんぜんそんなことはなくて脳梗塞はむしろ冬におおい↓。
脳梗塞が夏におおいは間違いだった

水飲めば脳梗塞を防げるとする考えは生物の「恒常性」にそぐわない。

水を摂る量が少ないのは身体の不活発さの反映と考えるほうが理解しやすい。

水分とる日本人は脳卒中で死なない

努めて水を飲んでいれば脳卒中で死なないのか?

水をたくさん飲むと脳卒中にならない、はホントだった

2019年5月6日

シータバーストで上肢リハビリ


Intermittent theta burst stimulation enhances upper limb motor function in patients with chronic stroke- a pilot randomized controlled trial
2019  4月  台湾
脳卒中を経験した50-60%はリハビリをおこなったとしても運動機能になんらかの麻痺がのこる。

rTMS(反復経頭蓋磁気刺激)は非侵襲的に運動機能の回復をうながすことができると期待されてきたが、さいきんのメタアナリシスでは上肢機能の改善効果はなにもないことが示された。

いっぽうrTMSの別の一形態である iTBS(間欠的シータバースト磁気刺激)はその効果がより持続するとしてあらたに期待されている。

半球間競合モデルにもとずいて、損傷脳半球の運動野をiTBSで活性化する、または反対側の脳半球の運動野をcTBS(連続シータバースト磁気刺激)で抑制する使い方が考えられているが、いまだ結論に一致をみない。

そこで脳卒中後の上肢機能についてiTBSの効果をランダム化比較試験してみたそうな。



30-70歳で慢性期脳卒中で片麻痺の患者22人について、

損傷脳半球の運動野へのiTBSまたは偽刺激(コイルの向きを変える)を1日1セッションx週5回x2週間の計10セッションおこなった。

刺激強度は運動しきい値を超えないように設定し、被験者がどちらの刺激をうけているのかわからないようにした。

介入前後の
Modified Ashworth Scale (MAS),
Fugl-Meyer Assessment Upper Extremity (FMA-UE),
Action Research Arm Test (ARAT),
Box and Block test (BBT),
Motor Activity Log (MAL) を評価したところ、



次のようになった。

・iTBSグループで痙縮度MASと上肢機能FMA-UE、上肢アクティビティのARAT、手の巧緻性BBTスコア が偽刺激グループよりもおおきくスコアをのばした。

・上肢使用頻度のMALはグループ間の差はみられなかった。

損傷脳半球への間欠的シータバースト磁気刺激は慢性期患者の上肢の痙縮をやわらげ、上肢運動機能の特に巧緻性を改善した。こんごに期待したい、



というおはなし。
図:iTBS刺激
Magstim Rapid stimulator



感想:

半球間競合モデルにはちょっと疑いがある↓。
半球間抑制のアンバランスは片麻痺の原因ではなかった
iTBSもこれ↓のなかまだから推して知るべしか。
[結論] rTMSの上肢リハビリ効果について

2019年5月5日

みんな抗凝固薬こわくないの?


Perception of the Risk of Stroke and the Risks and Benefits of Oral Anticoagulation for Stroke Prevention in Patients With Atrial Fibrillation- A Cross-Sectional Study
2019  4月  アメリカ

心房細動の患者にとって脳卒中予防はおおきなテーマで、ガイドラインでは CHA2DS2-VAScスコアが2以上のばあい生涯にわたる抗凝固薬の使用をすすめている。

しかし抗凝固薬には出血のリスクがともなう。抗凝固薬をながねん使用している者であってもリスクと効用の理解におおきなギャップがあるという。

そこで、かれらが抗凝固薬にたいして漠然と感じているリスクと 現実との関係をくわしくしらべてみたそうな。



心房細動で通院している患者227人について、

抗凝固薬をつかわなかった場合の脳卒中リスクと抗凝固薬使用による出血リスクについて推定させた。

これらをCHA2DS2-VAScスコアによる脳卒中予測およびHAS-BLEDスコアによる出血予測とで比較したところ、



次のことがわかった。

・CHA2DS2-VAScの平均スコアは4.3、HAS-BLEDスコアは2.3だった。

・心房細動は発作性が53.3%、持続性が46.7%だった。

・ほとんどの患者が脳卒中と出血のリスクを過大評価していて、

・52.9%が脳卒中リスクを年間20%以上とし、(現実はほとんどが10%以下)

・53.5%が抗凝固薬による出血リスクを年間10%以上と考えていた。(現実はほとんどが6%以下)

・90%の患者は抗凝固薬が脳卒中リスクを50%以上低下させるものと考えていた。(おおむね正しいという)

心房細動のほとんどの患者は脳卒中と抗凝固薬による出血のリスクをかなり過大に評価していた、


というおはなし。
図:出血リスクの評価HAS-BLEDスコア


感想:

HAS-BLEDスコアには抗血小板薬の有無が変数としてふくまれている。

しかし抗血小板薬の出血リスクは過小評価↓状態なのでこのスコアはあてにならない。
NEJM誌:アスピリンは予防効果ないうえにとても危険

だから抗凝固薬の出血への怖れは過大とはいえないと思うんだ。

2019年5月4日

ゴルフスイングで解離しやすい頸の動脈は


Cervical artery dissection after sports - An analytical evaluation of 190 published cases
2017  4月  ドイツ

頚部の動脈解離による脳卒中はまれで年間10万人あたり2.5-3人におきる。若年者におおく、15-45歳の脳梗塞の原因のうち20%をしめる。

症状がでる1ヶ月以内に自動車事故などなんらかの頸部外傷を経験している者が41%をしめ、6%はスポーツ由来という。

いずれの外傷も程度は軽く 因果関係を判定することはむつかしいことがおおい。

スポーツが原因と推定された頸部動脈解離の脳卒中事例報告を可能な限りあつめ特徴をしらべてみたそうな。



次のことがわかった。

・患者190人をふくむ115の事例報告がみつかった。45種類のスポーツが関係していた。

・患者の平均年齢は35で、26%が女性だった。

・影響した血流域は、前方(内外頸動脈、中前大脳動脈)後方(椎骨動脈、後下小脳動脈、後大脳動脈)、および左右ともに同頻度だった。

・スポーツカテゴリにより年齢や性別がおおきくことなり、影響する血流域(前方後方)も変わった。

・後方循環系の頸部動脈解離の割合は、ゴルフプレーヤーの88%でもっとも高く、エクササイズは23%、スキューバダイバーは29%と低かった。

・影響血流域の左右、死亡率はスポーツごとでおおきな差はなかった。

頸部の動脈解離による脳卒中はひろい範囲のスポーツで報告されていた。影響する神経血管域はスポーツの種類でことなった。スポーツごとの発生率は今後の調査に期待する、


というおはなし。
図:後方循環系の頸動脈解離の脳卒中


感想:

ゴルフで後方解離がおおいのは、
ゴルフが金銭に余裕ある者のスポーツで若者はやらないことと、椎骨動脈は内頚動脈よりも加齢にともなうスイング動作への脆弱性がたかいからではないか、、、と言ってる。

うえのグラフみるとテニスも後方割合がたかい。にたような理屈なのかな。

2019年5月3日

くも膜下出血後の頭痛に効くツボ


Treating Therapy-Resistant Headache After Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage with Acupuncture
2019  4月  ドイツ
くも膜下出血患者の90%以上は突然の激しい頭痛を経験する。鎮痛薬を使用したとしてもその痛みはとてもつよい。

退院後30日以内の再入院の理由の2位もまた頭痛であり、その後何年間にもわたって頭痛が続くこともあるという。

オピオイド系の鎮痛薬は眠気や呼吸抑制の問題がある。非ステロイド性消炎鎮痛薬は血小板凝集をさまたげるためくも膜下出血をひどくする可能性がある。

そこで、代替医療としての鍼をくも膜下出血後の頭痛に応用してみたそうな。



くも膜下出血のあと複数種類の鎮痛薬使用にもかかわらず非常に強い頭痛が続いている女性3人について3日間の鍼治療をほどこした。

鍼刺激した位置は下図のとおり。



次のようになった。

・すべての患者で痛みがすくなくとも50%以上和らぎ、

・鎮痛薬の使用量を減らすことができた。

・副作用もなかった。

くも膜下出血後の頭痛には鍼治療を加えることが有効かも、


というおはなし。
図:くも膜下出血の頭痛に効くツボの位置


感想:

うえの図をみて 有名どころの風池、合谷、足三里はすぐにわかった。

2019年5月2日

若年脳梗塞の25年間再発率


The very long-term risk and predictors of recurrent ischaemic events after a stroke at a young age- The FUTURE study
2016  12月  オランダ

脳卒中の再発リスクは最初の1ヶ月間のみならずその後10年以上にわたって高い状態がつづくという。

比較的若くして脳卒中を経験した者はその後も数十年にわたる生活が期待される。しかし再発を長期フォローした研究のおおくはせいぜい5年間ていどである。

そこで若年脳卒中経験者の再発をさらに長期フォローして25年先まで予測してみたそうな。


18-50歳で脳梗塞を発症した656人について、
脳梗塞の再発(TIAをふくむ)、動脈イベント(心筋梗塞、冠動脈疾患など)、←これらいずれかの虚血イベントの発生を平均12.4年間フォローした結果、



次のことがわかった。

・25年間の累積の予測再発率は、なんらかの虚血イベントが45.4%、脳梗塞やTIAが30.1%、動脈イベント27.0%だった。

・関連するリスク要因は、喫煙、腎機能低下、末梢動脈疾患、心臓病 だった。

若年脳梗塞経験者の再発リスクは長期にわたり高く、25年間でおよそ半数がなんらかの虚血イベントを、3分の1が脳梗塞やTIAを経験すると考えられた。腎機能低下や喫煙、末梢動脈疾患、心臓病があきらかなリスク要因だった、



というおはなし。

図:若年脳梗塞 長期再発率



感想:

腎機能低下とか末梢動脈疾患は糖尿病が原因なんだって。

2019年5月1日

抗血小板薬は日本人にも効果ないし非常に危険


Influence of blood pressure on the effects of low-dose asprin in elderly patients with multiple atherosclerotic risks
2019  4月  日本

低用量のアスピリン(抗血小板薬)が日本人の高血圧高齢者の脳卒中予防に効くものか、くわしくしらべてみたそうな。



60-85歳で高血圧や高脂血症、糖尿病の14464人を5年間フォローしたJapanese Primary Prevention Project(JPPP)研究のデータを使用して、
被験者の血圧ごとにそのリスクを評価した。



次のことがわかった。

・高血圧の12278人について、アスピリンの心血管疾患、脳卒中、心筋梗塞へのあきらかな1次予防効果はみとめられなかった。

・いっぽうアスピリンを与えることにより、頭蓋外の重大な出血リスクは1.81倍になり、脳出血リスクは1.75倍になった。

・収縮期血圧ごとにみてもアスピリンの1次予防効果はみとめられず、高血圧グループでの脳出血リスクは3.51倍となり、

・高血圧グループの頭蓋外の重大出血リスクは2.14倍だった。

日本人の高齢高血圧患者への低用量アスピリンの脳卒中予防効果はまったくなく、それどころか重大出血のリスクがおおきく上昇した、


というおはなし。

図:抗血栓療法で出血



感想:

これは2014の報告(JAMA誌)↓のつづき。
Low-Dose Aspirin for Primary Prevention of CardiovascularEvents in Japanese Patients 60 Years or Older WithAtherosclerotic Risk Factors

低用量アスピリンが脳卒中予防にまったく効果がないうえにあまりに危険すぎることが途中わかって、7年ほど継続する研究予定を被験者を保護するために急遽5年で切り上げたという。

昨年のこの大規模調査↓もおなじ結論。
NEJM誌:アスピリンは予防効果ないうえにとても危険


このていどのことはとっくの昔に検証されているものとおもっていた。
なぜいまごろなのか?

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