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2014年7月31日

[もぐさパワー] 肩の痛みと手のむくみに効くツボにお灸をすえてみた


Effect of warm acupuncture stimulation of Waiguan (TE 5) on post-stroke shoulder-hand syndrome.
2014  7月  中国

脳卒中患者の肩手症候群(肩の痛みと手の浮腫み)に効くツボの効果を検証してみたそうな。


肩手症候群の脳卒中患者60人を2グループに分けて、一方にはツボ Waiguan (TE5)への灸(温熱刺激)治療を行った。

両グループには併行して、別のツボへの定型の鍼刺激と通常のリハビリ訓練を行った。

週5日x2週間の治療の前後で、肩の痛み、手の浮腫み、運動機能を測定し、比較した。


次のようになった。

・両グループで肩の痛みと手の浮腫みが著しく軽減した。

・肩の運動機能も改善した。

・肩手症候群の改善した者の割合は
「比較グループ vs. 灸グループ」の順で、
完全に治癒: 0% vs. 6.7%
著しい改善:23.3% vs. 83.3%
まあ効果的: 56.7% vs. 6.7%
全然 ダ メ: 20.0% vs. 3.3%
となり、灸グループの効果が上回っていた。


脳卒中で肩手症候群の患者には従来型のリハビリや鍼治療に加えて灸も行うと効果的である、


というおはなし。

外関:Waiguan (TE5) の位置

外関


感想:

なぜ灸なのか?

2014年7月30日

歩ける脳卒中患者は厳しく訓練すると 伸びる


Does the speed of the treadmill influence the training effect in people learning to walk after stroke? A double-blind randomized controlled trial.
2014  7月  韓国

高速トレッドミルとだんだん速くなるトレッドミルのリハビリ効果を比較してみたそうな。


歩行可能な脳卒中患者61人について、通常のリハビリに加えて1回30分間のトレッドミル訓練を5週間、計20回行った。

トレッドミルスピード別に次の2グループに分けた。

*だんだんと速くしてゆくグループ
*通常の歩行速度よりも速いスピード(秒速1.2m)で終始歩行するグループ

その後、敏捷性、持久力、歩調を測定し比較した。


次のようになった。

・敏捷性を示すタイムアップアンドゴーテストは 「だんだん速く vs. 高速」 の順で -1.96 vs. -5.02/s、

・持久力を示す6分間歩行テストは 38.35 vs. 64.40 m となった。

・ステップ長は若干伸び、ステップ幅に差はなかった。


高速トレッドミル訓練は脳卒中患者の歩行リハビリに効果的である、


というおはなし。



感想:

なにかおかしい。
秒速1.2m って時速4キロを超える。健常者以上の能力だ。

もはやリハビリする必要がないと思うのだが、、

2014年7月29日

重度に手が麻痺した患者の回復可能性がわかった


Can stroke survivors with severe upper arm disability achieve clinically important change in arm function during inpatient rehabilitation? A multicentre, prospective, observational study.
2014  7月  オーストラリア

脳卒中で重度の上肢麻痺になった患者のうち、まともに回復できる人の割合を調べてみたそうな。


16ヶ所のリハビリ施設に入院した重度上肢麻痺の脳卒中患者618人について、入院時と退院時の上肢機能を評価した。

そのスコアから、

ⅰ)統計学的有意な改善、
ⅱ)臨床的に意義のある最小レベルの改善、
ⅲ)重度→軽度への明らかな改善

おのおのに当てはまる者の割合を調べた。


次のようになった。

・226人が退院時に統計学的有意に改善した。

・そのうち68%(155人)が臨床的に意義のある最小レベルの改善を示した。

・また、45%(102人)は重度から軽度への明らかな改善が見られた。

・大きく改善した者には、発症からリハビリ入院までの期間が非常に短いという特徴があった。


脳卒中で重度上肢麻痺になった患者は、リハビリ病院入院中に臨床的に明らかな回復を示しうる、


というおはなし。



感想:

618人全員に対する割合で計算すると、重度上肢麻痺患者のうち 実感できる程度に回復する者の割合は20%前後になる。

なるほど って感じかな、、

2014年7月28日

早期リハビリに適した運動強度がわかった


Gradually increased training intensity benefits rehabilitation outcome after stroke by BDNF upregulation and stress suppression.
2014  6月  香港

脳卒中早期の身体トレーニングは効果的なリハビリに欠かせない。しかし通常その運動強度は一定である。

リハビリ運動強度とその効果との関係を調べてみたそうな。


人為的に脳梗塞にしたネズミ60匹を運動強度別に次の4グループに分け、1回30分間のトレッドミル訓練を7日間行った。


*比較(なにもしない)グループ
*低速度グループ(5m/分)
*低速度から高速度に徐々に速くするグループ
*高速度グループ(26m/分)

訓練後の運動機能、血中コルチコステロンでストレス度、脳神経再生を促すタンパク質(BDNF)を測定、比較した。


次のようになった。

・徐々に運動強度を強くするグループで運動機能の著しい改善があり、

・同時に海馬でのBDNF濃度がもっとも高くなった。

・高強度グループではストレスレベルが非常に高かった。


徐々に運動強度を高めてゆくトレーニングは効果的でかつストレスも少ない。この結果は人に応用できるかも知れない、


というおはなし。


BDNF濃度
脳の各所でのBDNF濃度 グループ別


感想:

こういう結果になる理由として、運動のストレスはありすぎても なさすぎても良くないから、と考察している。

ほどほどの見極めが大切らしい。

2014年7月27日

tDCSは歩行リハビリにも効くのか


The effect of single session bi-cephalic transcranial direct current stimulation on gait performance in sub-acute stroke: A pilot study.
2014  6月  イギリス

tDCS(経頭蓋直流電気刺激)の上肢リハビリ効果の報告は多い。

そこで、歩行機能への影響を調べてみたそうな。


亜急性期の脳卒中患者14人について左右脳半球を同時に刺激するtDCS治療を施した。

病側頭皮にプラス極、健常側頭皮にマイナス極を貼った。

このうち7人には偽の刺激を与えた。

歩行機能は複数の方法で評価した。


次のようになった。

・tDCSグループは偽刺激グループにくらべ敏捷性が大きく向上した。

・歩行バランス機能は両グループで差がなかった。


tDCSは歩行リハビリに使えるかもしれない、


というおはなし。


メモ:

tDCSの講義ビデオ 27分以降臨床応用編


このテーマでこんなにしゃべる人がいてオドロイタ

2014年7月26日

自分で脈をみるだけで脳卒中後の心房細動を見つけられることが明らかに


Peripheral pulse measurement after ischemic stroke: A feasibility study.
2014  7月  ドイツ

脳梗塞の再発を防ぐためには通常、病院で長い時間をかけて心電図を測り心房細動の有無を調べなくてはならない。

代わりに患者が自分で手首の脈を測って心房細動がわかるものなのかどうか実験してみたそうな。


256人の脳梗塞患者について、

*医療のプロ
*患者家族
*患者本人

それぞれに手首の脈から心房細動を見分けるコツを教育した。

そののち、本番一回勝負で患者の脈を測り心房細動の有無を判定させ、実際の診断結果と比較した。


次のようになった。

・感度(病気の人を病気と判定する割合)は、医療プロ:96.5%、患者家族:76.5%、本人:54.1%だった。

・特異度(病気でない人を病気でないとする割合)は、それぞれ94.0%、92.9%、96.2%だった。

・特に、本人測定での擬陽性率(病気としたが間違っている割合)は、2.7%だった。


擬陽性率が非常に低いので、手首の脈から調べるこの方法は簡易的な一次検査として大いに使えるかも知れない、


というおはなし。

橈骨動脈


感想:

自分で脈とってみて そのリズムがほんの一瞬でもおかしいな…と思ったら病院に行ってみな、ってことなんだと思う。

2014年7月25日

ネットの向こう側から上肢機能を自動で評価できるシステムを作ってみた


Remote intelligent Brunnstrom assessment system for upper limb rehabilitation for post-stroke based on extreme learning machine.
2014  4月  中国

未来の遠隔リハビリテーションのための人工知能リハビリ評価システムを試作してみたそうな。


脳卒中患者の上肢リハビリ動作を自動サンプリングして データをサーバに転送する仕組みを構築した。

次に動作データからブルンストロームステージ解析を行う学習アルゴリズムを開発した。

信頼性確認のため、実際にこれらのシステムを用いて脳卒中患者23人および4人の健常者について上肢動作を評価して 専門家による結果と比較した。


次のようになった。

・自動評価システムによる結果は、専門家のそれと高い精度(92.1%)で一致していた。


このシステムはやがて、脳卒中患者の上肢機能を遠隔かつ自動で評価できるようになるだろう。そして患者は自宅や病院以外の施設でリハビリを受けられるようになる、


というおはなし。


感想:

患者がペッパー君に付き添われてリハビリしている様子が目に浮かぶ、、

2014年7月24日

床屋で顔にカミソリあてられてもあまり感じないんだよね


Orofacial functional impairments among patients following stroke: a systematic review.
2014  7月  香港

脳卒中患者の口腔顔面機能の低下についてしらべてみたそうな。


医学論文データベースから関連する研究を厳選して内容を再吟味したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中患者は健常人に比べ概ね 唇の力や唾液量、咀嚼機能が低下していた。

・麻痺側の咀嚼力や生活の質の変化の詳細についてははっきりしたことはわかっていない。


過去の調査を見直すことで 脳卒中患者の多くが口腔顔面機能の低下を経験していることがわかった。これらの機能低下が自発的に治ることは少ない。リハビリ的になにかできることはないだろうか…


というおはなし。

口腔顔面


感想:

いまだ顔左半分の触覚が鈍く、ご飯粒が付いても気づかない。ふと気を抜いたとき ヨダレが垂れることがある。ガムを噛んでいると 左頬の内側を噛んで血豆を作ることがよくある。

発症当初は顔が歪み、左目がとんでもない方向を向いていたことを考えると 現状は十分に満足すべき と考えている。


2014年7月23日

ピラティスは脳卒中リハビリに使えるのか?


Feasibility and outcomes of a classical Pilates program on lower extremity strength, posture, balance, gait, and quality of life in someone with impairments due to a stroke.
2014  7月  アメリカ

ピラティス・メソッドには脳卒中患者の歩行、バランス、姿勢を改善できる可能性がある。

9ヶ月間におよぶピラティス訓練を ひとりの患者に試してみたそうな。


通常のリハビリに併行して、ピラティス訓練を週2回のペースで9ヶ月間行った。

その結果、

・バランス、下肢筋力、QoLの改善がみられた。

・姿勢や歩行スピードに変化はなかった。


今回の結果がピラティスによるものとは断言できないが、脳卒中リハビリの役に立ちそうなことはわかった、


というおはなし。



感想:

いままで一度も耳にしたことがなかったが、「ピラティス」で検索すると意外にもたくさんのページがヒットする。

ひとことで言うと 「道具を使うヨーガ」 かな。

2014年7月22日

イラク人も脳卒中パターンが同じなんだなぁ


Risk factors and 30-day case fatality of first-ever stroke in Basrah, Iraq.
2014  5月  イラク

脳卒中の主な要因と致命率を調べてみたそうな。


2008年、バスラの病院での脳卒中患者225人について、入院後30日間フォローし 脳卒中のもとになった要因と死亡率を調査した。


次のようになった。

・平均年令は64、56%が男性だった。

・脳梗塞が84%、脳内出血が16%、クモ膜下出血が0.4%だった。

・主なリスク要因は、高血圧症66%、家族歴32%、虚血性心疾患29%、喫煙28%、糖尿病28%、TIA、心房細動、心不全の順だった。

・30日間の致命率は23%だった。


脳卒中には脳梗塞が多く、高血圧、家族歴、喫煙、糖尿病などが主なリスク要因だった。致命率も西洋諸国と大差はなかった、


というおはなし。




感想:

数字だけ見ると 近所のことと区別がつかない。

2014年7月21日

子供は脳梗塞よりも脳出血が多い


Risk Factors and Imaging Characteristics of Childhood Stroke in China.
2014  7月  中国

子供の脳卒中の特徴について調べてみたそうな。

患者データベースから2002-2011の子供の脳卒中事例を抽出した。


次のことがわかった。

・478人の子供が脳卒中で入院した。そのうち229人が脳梗塞、249人が脳出血だった。

・脳梗塞、脳出血いずれも男児が60%以上を占めていた。

・脳卒中の主な原因は、もやもや病が脳梗塞で 動静脈奇形が脳内出血だった。

・片麻痺と頭痛がおもな症状だった。

・脳梗塞では内頚動脈と中大脳動脈が関連するケースが多かった。

・脳内出血で計8人が亡くなった。


子供の脳卒中では脳梗塞よりも脳出血が多かった。それらの多くは動脈の病気に由来するものだった、


というおはなし。


 Beijing Tiantan Hospital
この病院

2014年7月20日

ヨーガでリハビリはどんな効果があるのか


Randomized controlled trial of yoga for chronic poststroke hemiparesis: motor function, mental health, and quality of life outcomes.
2014  6月  オーストラリア

慢性期脳卒中で片麻痺の患者への ヨーガの効果を調べてみたそうな。


22人の患者をヨーガグループとヨーガなしグループに分けて10週間のヨーガ訓練前後での身体機能および心理面での評価を行い比較した。


次のことがわかった。

・ヨーガは客観的には運動機能改善効果はほとんど確認できなかった。

・しかし、主観的な運動機能上のQoL改善と、主観的な回復程度の改善が著しかった。

・ヨーガグループでは記憶関連QoLスコアが非常に高かった。

・またヨーガ参加者の不安レベルが臨床的有意に低下した。


慢性期脳卒中患者のヨーガはメンタルヘルスと生活の質の改善に良さそうである、


というおはなし。


この研究者のニュース映像



感想:

筋肉や神経の話が一切でてきそうもない こういうアプローチは嫌いじゃない。

2014年7月19日

高学歴な女性ほど脳卒中になりやすい理由とは


Socioeconomic Status Inconsistency and Risk of Stroke Among Japanese Middle-Aged Women.
2014  7月  日本

日本人女性について社会経済階層と脳卒中リスクの一見矛盾した関係について調べてみたそうな。


中年女性14742人を20年間追跡し、教育歴と職の適格性および脳卒中リスクとの関連を解析した。


次のことがわかった。

・学歴にふさわしい職に就いている女性に比べ、職に対し過剰学歴の女性の脳卒中リスクは約2倍だった。

・特に 高い学歴で専門職または管理職にある女性に比べ、高学歴なのに手作業労働やサービス産業で働く女性の脳卒中リスクは3倍以上だった。


日本人女性にとって、高学歴でありながら相応しい職がない状況は脳卒中リスクになり得る、


というおはなし。




感想:

これって「努力や成果に見合った報酬が得られない状況」って言い換えることができると思う。

男性も含めどこにでも起きうる 特殊な状況とは思えないけど、なぜ女性なのか?

2014年7月18日

ナイアシン サプリメントは脳卒中予防にならないばかりかとても有害:NEJM誌


Niacin too dangerous for routine cholesterol therapy

Effects of extended-release niacin with laropiprant in high-risk patients.
2014  7月  アメリカ

これまでナイアシン(ビタミンB3)は善玉(HDL)コレステロールを増やし、脳卒中などの心血管疾患の予防効果があるとされてきた。

50-80歳のコレステロール治療を受けている2万人以上を対象とした4年間の大規模調査の結果、

・ナイアシンの投与が心血管疾患の予防に役に立たないばかりか、

・総死亡率の上昇、肝臓病、感染症増加、出血拡大、痛風、血糖上昇、糖尿病の進行など、とても有害であることがわかった、


というおはなし。



感想:

そういえばナイアシンは脳にイイという話を思い出した。
ナイアシンを摂ると脳の可塑性が加速する

ナイアシンが脳梗塞治療に有望そう

2014年7月17日

理学療法はネットの向こう側にいてもできるものなの?


Bidirectional and multi-user telerehabilitation system: clinical effect on balance, functional activity, and satisfaction in patients with chronic stroke living in long-term care facilities.
2014  7月  台湾

脳卒中患者を対象にした双方向遠隔リハビリの効果を調べてみたそうな。


3ヶ所の療養施設にいる24人の脳卒中患者について、

*遠隔での複数人同時リハビリグループ
*対面での通常の理学療法グループ

に分けて、1回50分間x週3回x4週間のバランス関連のリハビリを行い効果を比較した。

遠隔リハビリの現場にはリハビリの素人を1人アシスタントとして配置した。


次のようになった。

・両グループともにバランス機能が大きく改善した。

・バランス機能、満足度ともにグループ間で差はなかった。


遠隔リハビリは技術的にも問題はなく、従来型のリハビリと同等の成果を挙げることができた、


というおはなし。

テレリハ

感想:

理学療法って、患者に触れてなんぼのものと思ってた。

遠隔でしかも1対複数人でも成立すると証明してしまったら、べつにだれがやってもいい仕事になりはしないかい?

2014年7月16日

プッシャー現象 なぜ脳卒中患者は傾くのか


Effects of galvanic vestibular stimulation combined with physical therapy on pusher behavior in stroke patients: A case series.
2014  7月  日本


脳卒中患者の身体が麻痺側に傾く症状(プッシャー現象)を前庭感覚電気刺激(GVS)で改善できるものか実験してみたそうな。


プッシャー現象を示す脳卒中患者2人について、通常のリハビリに併行して隔週でGVSを計2週間 行った。

1週ごとに患者の傾きを複数の方法で評価した。


次のようになった。
・両患者はGVSを行った週にのみ傾きが改善した。


プッシャー現象に前庭感覚電気刺激が効くかも知れない、


というおはなし。



感想:

自分も傾くので関心を持った。

いまだに 車の運転やレースゲームをやっている最中に いつの間にか身体が左に傾いている。

座っているときに特有のことかな?とも思ったけど、瞑想中には傾かない。

1つの作業に極度に集中しているときに傾きやすい、、という印象がある。


これらの記事を思い出した。
脳卒中経験者は傾く

前庭感覚電気刺激で半側空間無視をやっつけろ!

2014年7月15日

病気の重大さをよく理解して自分で対処できると考えている患者ほど復職はむつかしい


Factors influencing return to work after aneurysmal subarachnoid hemorrhage.
2014  7月  アメリカ

クモ膜下出血は50歳前後の若年者にも影響を与えうる脳卒中の1つである。

復職は主な回復目標の1つではあるが達成率は低い。

そこで クモ膜下出血後の復職に影響する要因を調べてみたそうな。


クモ膜下出血発症後1-2年の患者134人について、病気認知(病気の重大さと自分の対処能力を見積もる認識度)および機能状態のアンケート調査を行い内容を解析した結果、


次のことがわかった。

・病気認知度が高いと復職可能性が低かった。

・高いレベルの病気認知は復職が失敗する要因だった。

・一方、結婚していることは復職が成功する要因でもあった。


クモ膜下出血患者の病気に対する認識の高さが復職の障壁になっている。復職をうながすためにはこの問題に取り組む必要があるだろう、


というおはなし。


病気認知アンケート(clickで拡大)



感想:

「目の前にこんなにも深刻な問題があって、頼りになるのは自分だけ」ってときに、のんきに通勤してる場合じゃねぇ!って考え方かな。

わかる気がする。

2014年7月14日

脳卒中患者に適した靴の形状が判明!


Changes in postural sway according to footwear types of hemiparetic stroke patients.
2014  6月  韓国

脳卒中患者の姿勢動揺と履き物との関係を調べてみたそうな。


脳卒中でリハビリ入院中の32人の患者について、

履き物別に、

A)カカトの深い靴  B)平底靴  C)スリッパ  D)素足

での開眼時、閉眼時の姿勢動揺を測定した。

靴


次のようになった。

・平底靴またはスリッパのときの姿勢動揺は、素足やカカトの深い靴を履いている時に比べ非常に大きかった。

・履き物によらず閉眼時の姿勢動揺は大きかった。


平底靴やスリッパを履いていると 素足やカカトの深い靴に比べ、立位バランスの維持がとても難しくなることがわかった、


というおはなし。



感想:

カカトが深いと足首のサポートついでに位置感覚がつかみやすくなるからではないか、と考察している。

車を運転するからペッタンコの靴ばかり履いていたけど もっと早く知りたかったな。

2014年7月13日

脳卒中になるとなんでトイレが近くなるの?


The experience of urinary incontinence in stroke survivors: a follow-up qualitative study.
2014  4月  オーストラリア

脳卒中で退院したのちに尿失禁で困っている人たちの経験を調査してみたそうな。


面談内容を主題分析したところ、


次の4つのテーマが浮かび上がった。
・トイレに行かなければならない!
→常に逼迫したトイレ需要。

・誰もアドバイスをくれなかった。
→病院ですらなにも教えてくれない。

・なにをするにも まずトイレに行かなければならない。
→仕事にならない。

・単に計画性の問題でもある。
→危機管理戦略。


脳卒中経験者の尿失禁は退院後も起こりうる問題であり、適切な知識の欠如、激しい苦悩、行動の制限といった特徴をもつ、


というおはなし。


感想:

とても強い確信があるんだけど、これはひとえに降圧薬の問題と考える。

カルシウム拮抗薬なのに飲むとほぼ1日中すごい頻尿になる。

チビリそうになることしばしばで、生活の質がはげしく下がる。

検索してもほとんど資料が出てこない。しもの話なので体験談も少ない。

ちょっと頭にきてる。o(`ω´*)o

2014年7月12日

startReact効果 「よーい」「どん」って言ったらスタートね、、


Startling acoustic stimuli can evoke fast hand extension movements in stroke survivors.
2014  6月  アメリカ

あらかじめ思い描いていた動作が、びっくりするような音刺激をきっかけに無意識のうちに(短時間に)発動される反射がある。これをstartReact効果と呼ぶ。

脳卒中経験者の肘の屈曲動作についてのstartReact効果は、その反応速度、筋肉の動き共に健常者のそれと差がないことがわかっている。

手の伸展動作についてもstartReact効果が脳卒中後そのままであるかどうかを実験してみたそうな。


脳卒中経験者8人と同年齢の健常者10人について、次の2つの音刺激のあとに手を伸展させるよう教えた。

"get ready"

"go"

このときランダムに"go" の部分をびっくり音に置き換えた。

それぞれの反応動作および反応速度を測定し、比較した。


次のようになった。

・両グループ間で 動作および反応速度に差はなかった。


脳卒中経験者でも手のstartReact効果は完全にそのままであることがわかった。リハビリに応用できるかも知れない、


というおはなし。


感想:

徒競走の発砲音はこういう効果を狙っているのかね?

startReactか?

2014年7月11日

争おうとする意気込みの強いひとは脳卒中リスク2倍以上


Chronic Stress, Depressive Symptoms, Anger, Hostility, and Risk of Stroke and Transient Ischemic Attack in the Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis
2014  7月  アメリカ


ストレスやウツ、怒り、敵愾心などネガティブな感情と脳卒中との関連を調べてみたそうな。


年齢45-84で病気のない6749人(白人、黒人、ヒスパニック、アジア人)について、慢性的なストレスやウツ、怒り、敵愾心などをアンケート調査し、脳卒中やTIAの有無を8.5年間ほど追跡調査した。


次のことがわかった。

・この間に147件の脳卒中、48件のTIAがあった。

・敵愾心の強い人は脳卒中やTIAのリスクが2倍以上高かった。

・同様に、ウツ症状が強いと1.9倍高く、ストレスが強いと1.6倍高かった。

・怒りの感情と脳卒中リスクとの関連は見られなかった。


高レベルのストレスや敵愾心、ウツ症状は脳卒中のリスクを著しく上昇させることがわかった、


というおはなし。



感想:

怒り(anger)と敵愾心(hostility)の違いがよくわからないので調べてみた。

敵愾心→「争おうとする意気込み」

強い善悪判断を伴わない競争意識...かな。

2014年7月10日

脳卒中患者はいつごろまでに何の機能がどのくらい回復するものなのか?


Temporal recovery of activities of daily living in the first year after ischemic stroke - a prospective study of patients admitted to a rehabilitation unit.
2014  7月  シンガポール

脳卒中患者の日常生活動作が長期的にどう回復してゆくのか調べてみたそうな。


163人の脳梗塞患者について、入院直後から1年間、日常生活動作の各項目について自立度を追跡調査した。


次のようになった。

・被験者は平均年齢64、3分の2が男性だった。

・自立度スコアの総合値は、1年間で41→73→88→91→84と変化した。

・食事、身繕い、排泄、移動、歩行のスコアは、発症後3ヶ月後に上限に達した。

・着替え、階段昇降スコアは6ヶ月時点で伸びが止まった。

・入浴スコアは12ヶ月後には安定した。

・日常生活動作が「自立レベル」と判定された患者の割合は、入院時から1年間で0%→9%→32%→41%→50%と増加した。

・筋力スコアと自立度が強く関連していた。

・1年後の自立可能性に影響する要因が多数ある中で、年齢要因がダントツだった。


日常生活動作上の機能の多くは発症後3ヶ月以内に回復した。ただし着替え、階段昇降、入浴動作はさらに時間を要した。また、年齢が若いほど自立可能性が高かった、


というおはなし。

シンガポールの病院
この病院

2014年7月9日

ゲームリハビリ すぐに効くのは右脳?左脳?


Comparison of the immediate effect of the training with a virtual reality game in stroke patients according side brain injury.
2014  7月  ブラジル

ビデオゲームリハビリは左脳損傷と右脳損傷のどちらで効きやすいのか 実験してみたそうな。


平均年令50、左脳損傷または右脳損傷の脳卒中患者10人ずつと健康な20人についてビデオゲーム前後での水を飲む際の上肢動作の詳細な解析を行い比較した。

ビデオゲームはXBOX360 Kinectの卓球ゲームを、45秒x10セットを15分開けて2回(計30分間)行った。


次のようになった。

・健常人と患者とではゲームの打数やパフォーマンスにおおきな差があった。

・ビデオゲームの直後、右脳損傷患者のみ左上肢の肩、肘の角度が健常人のそれに近づいた。


右脳損傷患者にはビデオゲームリハビリの即効性が見られた、


というおはなし。


このゲーム

2014年7月8日

体幹コントロールは左よりも右片麻痺患者で・・・


Is the basic trunk control recovery different between stroke patients with right and left hemiparesis?
2014  7月  イタリア

片麻痺の左右の違いと体幹機能(体位の保持能力)の回復度との関連を調べてみたそうな。


94人の脳卒中患者(48人の左片麻痺、46人の右片麻痺)について、入院時と退院時に体幹機能テストと自立度テストを行いスコアを比較した。


次のことがわかった。

・体幹機能スコアは左片麻痺で47→63、右片麻痺で49→79になり、右片麻痺患者の回復が大きかった。

・自立度テストの結果は両グループで差がなかった。


片麻痺の左右の違いによって体幹機能の回復に差があり、右片麻痺患者での回復が大きかった。この差は自立度には反映されなかった、


というおはなし。

2014年7月7日

ヨーガ呼吸法とアーユルヴェーダで失語症がよくなった


Yogic breathing and ayurveda in aphasia: a case study.
2014  7月  アメリカ

アーユルヴェーダ医学は古くから伝わる治療法ではあるが西洋では馴染みが薄い。

ヨガの呼吸法とアーユルヴェーダ療法で失語症が良くなった女性がいるそうな。


彼女は脳卒中後、通常の言語療法を受けていたが発症から5週間目にやめて

アーユルヴェーダ療法を選んだ。

独特の身体操作、呼吸法、食事法などを学んだ。


この治療を受けている3ヶ月間、認知機能と言語機能のテストは継続された。


その結果、言語機能、視覚注意力、気分が改善したことがわかった。


彼女に起きた言語機能の改善効果は、ヨガ呼吸法やアーユルヴェーダ療法に依るものかも知れない、


というおはなし。



感想:

これを思い出した。
【いますぐ実践】片鼻呼吸法で失語症が改善することが明らかに

よくみたら同じ研究者だった。

2014年7月6日

デュアルtDCSで失語症を治療してみた


Ipsilesional and contralesional regions participate in the improvement of poststroke aphasia: a transcranial direct current stimulation study.
2014  6月  イタリア

デュアルtDCS(経頭蓋直流電気刺激)の失語症への効果を調べてみたそうな。


右脳損傷で交差性失語の脳卒中患者について、

・右脳の下前頭回(ブロードマンエリア 44/45:下前頭回)にマイナス極、左脳の下前頭回(44/45)にプラス極を貼る治療を2週間おこなったところ、命名課題スコアが大きく改善した。

・同じ刺激をブロードマンエリア(39/40)について行ったところ、ほとんど改善効果はなかった。

・ところが電極の極性を入れ替えたところ、下前頭回を刺激したときよりも大きく改善した。


脳卒中の失語症回復には損傷側脳、健常側脳の両方のエリアが関与していそうである。tDCSが治療に役立つかも知れない、


というおはなし。
ブロードマンの脳地図
感想:

脳表面のずいぶんと細かい位置を指定をしているものの、塩水で湿らせたでかい電極スポンジを頭皮に貼っている風景を想像するに この種の実験をする研究者のおおらかさ というか心の広さを感じずにはいられない。

2014年7月5日

クモ膜下出血の死亡率の高い病院の特徴


Hospital Case Volume is Associated With Mortality in Patients Hospitalized With Subarachnoid Hemorrhage.
2014  6月  アメリカ

クモ膜下出血患者の院内死亡率と、病院の症例数との関連を調べてみたそうな。


2003-2012の脳卒中登録データベースを使って、病院ごとのクモ膜下出血患者の年間症例件数と病院内死亡率との関連を解析した結果、


次のことがわかった。

・685施設、31973人のクモ膜下出血患者データを対象とした。

・1病院あたりの年間クモ膜下出血症例件数の中央値は8.5人だった。

・院内死亡率の平均は25.7%で、扱う症例が増えるほど死亡率は低かった。

・症例数がもっとも少ない病院にくらべ、もっとも多い病院では死亡率が約2割低かった。

・症例数と入院日数にも関連があったが、予後の良さとは関連はなかった。


クモ膜下出血患者をたくさん経験している病院ほど死亡率が低かった、


というおはなし。



感想:

この差が大きいのか小さいのかわからない。

頼りにされる病院ほど難しい患者が多くきて逆に死亡率が高くなりそうではある。

患者や病院の特徴によらない、とあるから 術者の経験に依るところが非常に大きいのかもしれない。

2014年7月4日

[コミュ障] 右脳損傷患者は会話から感情を読み取れないことが明らかに


Right hemisphere dysfunction is better predicted by emotional prosody impairments as compared to neglect.
2014  1月  アメリカ

通常、右脳損傷後の認知機能障害の有無は半側空間無視テストで判断される。

しかしながら、右脳はコミュニケーション関連のさまざまな機能も担っている。

そこで、言葉の調子(韻律)から感情を読み取る能力の低下をもって認知機能障害を判定できるものか調べてみたそうな。


右脳損傷の脳卒中患者28人と、年齢、教育レベルの同等な24人の一過性脳虚血発作患者について、

*感情韻律タスク:音声を聴いて感情を当てるテスト
*半側空間無視テスト

を行った。

結果を解析して右脳損傷患者(であるかどうか)の判別能を比較した。


次のようになった。

・右脳損傷患者の判別能は、韻律テストが79%、半側空間無視テストで56%だった。

・韻律テストの結果を用いると、神経症状の重症度をはかるNIHSS評価とほぼ同等の右脳損傷判別能があった。


言葉の調子から感情を読み取る能力のテストは、半側空間無視テストよりも右脳機能障害の有無を判定する目安として適しているかも知れない、


というおはなし。

感想:

自分は右脳出血なのでコミュ障をさらにこじらせている可能性があるわけで…

でも 自覚すること が大切なんだと思う。

2014年7月3日

自分はたばこを吸わなくても家族に喫煙者がいるとクモ膜下出血が…


Stroke mortality associated with environmental tobacco smoke among never-smoking Japanese women: a prospective cohort study.
2014  6月  日本

自宅での喫煙環境と脳卒中死亡率との関連を調べてみたそうな。


喫煙経験のない36021人の女性を約15年間追跡調査した結果、


次のことがわかった。

・この間に906人が脳卒中で死亡した。

・家族に喫煙者がいる場合、脳卒中死亡リスクは全年齢で1.14倍、40-79歳に限定すると1.24倍、80歳以上では0.89倍となった。

・この関連はクモ膜下出血でもっとも顕著だった。


自宅に喫煙者がいる場合、たばこを吸わない女性の脳卒中死亡リスクは上昇する、


というおはなし。

2014年7月2日

楽器演奏で半側空間無視を治す


Reducing chronic visuo-spatial neglect following right hemisphere stroke through instrument playing.
2014  6月  デンマーク

半側空間無視は脳卒中で右脳を損傷した患者に特徴的に起きる 左方への注意が著しく欠けた状態を指す。

これを音楽演奏によって改善できるものか試してみたそうな。


半側空間無視で慢性期の2人の患者について、

音階の異なる12本のキーを左右に等間隔に並べた楽器を演奏させた。

単純なメロディーを選び、慣れるにしたがってキーの間隔を広げた。

1回30分間の演奏療法を、週に1回のペースで4週間おこなった。

各回の前後および最終回の1週間後に、半側空間無視の程度を測定する複数のテストを行いスコアを比較した。
横長楽器

次のようになった。

・2人の患者は、短期的、長期的に著しい改善を示した。

・1人は最終回の1週間後に ほとんど正常レベルの改善度を維持していた。


横長の楽器を演奏させることは半側空間無視の治療に役立つかも知れない、


というおはなし。


感想:

半側空間無視が脳のどういう仕組みでなるのか自分にはさっぱりなんだけど、治療法のほとんどは左方への注意喚起で とてもシンプル。

そのへんのギャップがおもしろい。

2014年7月1日

動作観察療法は利き手の方がよく効くのか?


Action observation therapy in the subacute phase promotes dexterity recovery in right-hemisphere stroke patients.
2014  5月  イタリア

動作観察をした患者は自らの利き手での動作を強くイメージする。

右利きの患者を集めた場合、左脳損傷(右片麻痺)のケースでこそ改善幅が大きくなるであろう、という仮説を検証してみたそうな。


右利きの亜急性期 脳卒中患者67人(左脳損傷30人)について、

上肢の動作観察療法あり、なしのグループに分け、

4週間継続、その効果を5ヶ月後までフォローした。


次のようになった。

・動作観察療法グループでの明らかな上肢機能改善効果があった。

・そのうち、特に右脳損傷患者(左片麻痺)での改善効果が大きかった。


予想に反して動作観察療法は、麻痺が利き手じゃないほうが効きますよ、


というおはなし。


感想:

ちょっと前の記事を思い出した。
動作観察療法が右脳損傷患者には効かないかもしれない理由
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