2018年1月31日

脳卒中の過活動膀胱とQoL


Effects of Overactive Bladder Symptoms in Stroke Patients' Health Related Quality of Life and Their Performance Scale.
2017  12月  韓国

過活動膀胱では感染症などの原因がないにもかかわらず尿意切迫感があり頻尿、夜間頻尿、ときに失禁を伴う症状をしめす。

脳卒中は過活動膀胱のリスクの1つとしてしられていて、日本の研究では脳卒中患者500人中28%が過活動膀胱だったとの報告もある。

そこで過活動膀胱が脳卒中リハビリにおよぼす影響をしらべてみたそうな。


リハビリ病院に入院した脳卒中患者30人に尿路症状についてアンケートをとり、過活動膀胱グループをわけた。

彼らの 健康関連QoL、歩行能力、生活自立度、認知機能を3ヶ月後までフォローしたところ、


次のことがわかった。

・過活動膀胱でないグループではすべての評価指標で改善を示した。

・過活動膀胱グループでは生活自立度と認知機能の点で改善が思わしくなく、

・とくに活力とQoLの精神的側面のスコアがあきらかに低かった。

過活動膀胱は脳卒中患者の健康関連QoLをおおきく低下させうる、


というおはなし。
図:頻尿

感想:

脳卒中後しばらくは頻尿でほんと困った。

じぶんの場合は降圧薬が原因だった。そこで3年前に降圧薬を勝手にやめた。以来 頻尿もんだいはない。

[過活動膀胱]の関連記事

2018年1月30日

さいきん脳動脈瘤がちいさくなっている


Size of Ruptured Intracranial Aneurysms Is Decreasing
2018  1月  フィンランド

近年、くも膜下出血の発生率は低下傾向にある。フィンランドではとくに50歳未満でこの傾向がいちじるしい。

そこで、破裂脳動脈瘤のサイズと位置についてさいきんの傾向をしらべてみたそうな。


1989→2008年のくも膜下出血患者2660人について調査したところ、


次のことがわかった。
・患者の59%は女性で、44%は50歳未満だった。

・この間に、50歳未満では破裂脳動脈瘤のサイズが男性で16%(9.2→7.7mm)、女性では13%(9.3→8.1mm)小さくなった。

・50歳以上の患者では破裂脳動脈瘤サイズに変化はなく、

・後方循環系に発生した破裂脳動脈瘤の割合が5→13%のおよそ3倍に増加した。

若年患者の破裂脳動脈瘤のサイズは縮小傾向にあった。いっぽう50歳以上では後方循環系の脳動脈瘤破裂の割合が増加した、


というおはなし。
図:破裂脳動脈瘤のサイズトレンド

感想:

瘤がちいさくなった理由は喫煙率や高血圧の減少で、

後方循環云々は救急医療の進歩でいままで突然死としてカウントされていなかった生還者が入ってきたせいではないか、、、といってる。


かならずしも瘤が成長したあげくに破裂するわけではないんだな。

今後どうするんだろ、ちっちゃい瘤をつまんだり詰め物したりするのかね?

2018年1月29日

無職で軽い脳卒中 2年後の認知障害


Working before and after stroke is good for brain health
2018  1月  イスラエル

軽症の脳卒中であってもその前後での就労状況が2年後の認知機能の低下に関連するという、
先週の国際脳卒中学会 in ロスアンゼルスでの報告。


労働可能年齢の軽い脳卒中またはTIAの患者252人について発症から2年後までフォローしたところ、


次のことがわかった。

・発症前に無職だった患者は2年後の認知障害の可能性が 職に就いていた者の3倍以上で、

・さらに彼らは神経障害やうつ症状が重く、炎症反応も高かった。

・画像解析によると無職だった患者は脳皮質厚と白質体積が減少していた。

・また糖尿病や高血圧にもなりやすかった。

・ちなみに2年間に4.4%が死亡し、8.9%で認知障害が見られた。

・復職できた患者の認知障害リスクは低かった。

軽症脳卒中であっても無職であること自体が認知障害や死亡のリスクになる。とにかく働け、


というおはなし。
図:脳卒中後の復職

感想:

無職くらいで脳の体積が減るとか ホントかよ?と思う。
働いていた軽症脳卒中患者は回復に不満が少ない

2018年1月28日

読者レポート:中枢性疼痛を解決する方法

脳卒中後の中枢性疼痛では体験者にしか理解できないほどの非常にはげしい痛みを感じる。これに耐えかねて自殺する者もいるという。
脳卒中後の痛みで自殺してしまう患者がいる
しかも中枢性疼痛にはいまだ有効な治療法がほとんどない。
中枢性疼痛の治療法と効果について
こんかい、中枢性疼痛が自然に治ってしまったという報告があったので紹介する。


脳卒中後の中枢性疼痛体験についておそらく日本でいちばんたくさん語っているブログがあります。

これ↓
脳出血・半身不随になった元IT系社長の独り言
上記ブログの「中枢性疼痛」関連記事へのリンク

先日、このブログを実名で運営している岡下俊介さんからメールをもらいました。

許可を得て引用します。

-------------------------------------------ここから

今回、貴殿が運営されておられる
「サバイバのゼンデラ」という
脳卒中に関する情報サイトに役立つのではないかと私の症状緩和の経験を
一方的ではありますがお伝えさせて頂きます。

その症状とは視床痛いわゆる中枢性疼痛の症状ですが、ご存知かどうか分かりませんが、私は脳出血を発症後、半年程度経過してから視床痛いわゆる中枢性疼痛に5年程悩まされ続けました。上記の情報サイトでも紹介されていた疎経活血湯も試してみたり、抗うつ剤なども試してみたりしていました。ところが約9年耐え続けた結果、現在では症状がほとんどなくなっていることに気付きました。

あれ程根治が難しいと言われている視床痛がなんと自然治癒?したようなのです。当時は曇天や雨の日や低気圧が近づくだけで症状が悪化していたのですが、現在ではそんな天気にも左右されず、緩和したままなのです!

私は最近、ベストセラーになったと言われる「大往生したけりゃ医療とかかわるな」の著者の中村仁一先生がその著書に書かれているように、人間は医療と一切関わらずにいれば、たとえ癌でも、眠るように「自然死」できるというように、視床痛も無理に医療を施す事なく、「放置(自然のまま)にしておけば、自然治癒するのではないかと自分自身の前述のような体験からも感じている次第です。


中枢性疼痛緩和についてもう一点だけお伝えしたい事があります。

実はあの疼痛で苦しんでいた当時、確かに何をしても和らぐ事はありませんでした。ただひとつだけ明らかに和らぐと確信した事があるのです。

それは、何と、涙する程感動することでした。例えば私はあのロッキーの映画が好きなんですが、ロッキーを観ると、何度観ても涙してしまうのです。
ところがそんな風に涙した瞬間から少なくとも数時間は疼痛がなくなっているんです。

これは確信に近いものがあります。
理由は分かりませんが、感動というものが脳になんらかの影響を及ぼすのではないかと勝手に考えています。
その事に確信をしてから、できるだけ涙するような映画を観ようと

「最後の忠臣蔵」「永遠のゼロ」を観たり、NHK の「ハゲタカ」というドラマの最終回なんかは何度も観ましたよ(笑)

それによって疼痛緩和できるからです


ここまで-------------------------------------------


自殺したくなるほどの激しい痛みが何年も消えなかったとしても、必ずしも一生つづくわけではないことを岡下さんの事例があきらかにしています。

図:中枢性疼痛

感想:

感動して痛みが消える、はとても興味深い。

ブログ主の岡下さんとはふしぎと共通点があって、

・生まれ年が1年差。
・脳内出血発症日が同じ年の2週間ちがい。
・ブログ開始日もほんのひと月のズレ。
・いまだにアクティブに更新が続いている。
...

2018年1月27日

脳卒中患者はなぜリハビリを受けないのか?


Are Stroke Patients Skipping Rehab?
2018  1月  アメリカ

脳卒中のあとのリハビリは非常に大事であると信じられているが、
おおくの脳卒中患者がリハビリを受けないでいるという。
今週水曜日、国際脳卒中学会 in ロスアンゼルスでの報告。


・退院時にリハビリサービスを紹介されたノースカロライナの脳卒中患者369人をフォローした。

・自宅リハビリサービスを紹介された115人のうち30日以内に利用した者は43.5%だった。

・外来リハビリを紹介された85人では34%のみが利用していた。

・年齢や重症度、障害の程度を考慮すると非白人患者は白人患者よりも外来リハビリを受けない傾向が78%つよかった。

・自宅リハビリサービスを紹介された患者には年齢や職業、所得での差はなかった。

自宅リハビリには保険の自己負担ぶんもないにもかかわらず半数以上がサービスを利用しない。なぜなのか理由がわからない、、、


というおはなし。
図:脳卒中後のリハビリ

感想:

脳卒中患者のほとんどは軽症である。急性期こそ麻痺がひどくてびっくりするが、機能低下ぶんの70%以上は比例回復則にしたがい数ヶ月で自然と回復してしまう。

ようするに脳卒中後のリハビリサービスには一般に考えられているほどの高いニーズはない、ってこと。

じぶんも勧められるままにリハビリ病院へ転院したけど、行かなくてもなにも変わらなかったろうな、、、とは いまさらながらに思う。

療法士さんには気持ちの支えになってくれたという点で感謝している。

2018年1月26日

同名半盲ドライバーとプリズム順応療法


Driving With Hemianopia VI: Peripheral Prisms and Perceptual-Motor Training Improve Detection in a Driving Simulator.
2018  1月  アメリカ

同名半盲だと通常の視野の半分でイベント検出能に障害が生じるが、こんな状態でもアメリカのおおくの地域では自動車運転免許が合法的に取得できてしまう。

そこでプリズム順応療法で運転者の視野能力が改善できるものか実験してみたそうな。


運転歴のある脳卒中で同名半盲の患者11人について、プリズムメガネを2週間着けさせ順応させた。 加えて視野のそとへ注意を拡げる訓練を行った。

その効果をドライブシミュレータを使って3ヶ月後までフォローした結果、


次のようになった。
・メガネへの順応後に半盲側の検出能が42→56%に改善した。さらに訓練により72%にまで向上した。

・メガネで反応速度も改善して精度が31→44%に、訓練でさらに55%になった。

・3ヶ月後、検出能は維持されていたが反応精度は戻っていた。

・これらの効果は個人差が大きかった。

・視野シフトによる走行レーンの逸脱やハンドル操作ミスといった有害事象はなかった。

同名半盲患者のプリズムメガネ2週間の順応期間と訓練により半盲側の検出能が改善した。野放しになっている同名半盲ドライバーの助けになるかも、、


というおはなし。
図:同名半盲とプリズムメガネ


感想:

まえにネットで「同名半盲だけど運転している」という書き込みを見たことがあった。そのときは冗談だとおもっていたけどリアルなはなしなんだな。

2018年1月25日

ウェルカム 脳内出血のあとのけいれん発作


Seizures following Intracerebral Hemorrhage: Incidence, Risk Factors, and Impact on Mortality and Morbidity.
2018  1月  アメリカ

脳内出血はてんかんの原因になることがおおい。しかし脳内出血後のけいれん発作のリスクや死亡率との関連はよくわかっていない。

そこで脳内出血後のけいれん発作の関連要因についてしらべてみたそうな。


全米の診療報酬データベースから1990-2011の脳内出血患者を抽出して、けいれん発作の有無、関連要因、死亡率を解析したところ、


次のことがわかった。

・脳内出血患者220075人のうち11.87%にけいれん発作があった。

・脳浮腫、アルコール中毒、脳腫瘍、脳卒中歴があるとけいれん発作がおきやすかった。

・けいれん発作があったというだけで院内死亡率があきらかに低かった。

脳内出血のあとけいれん発作がおきた患者は、他の併疾患によらず死亡率が低かった。だからけいれん発作は気にしなくていいと思う、、、


というおはなし。
図:けいれん発作

感想:

むしろ歓迎すべきことだったんだなぁ。

2018年1月24日

脳梗塞後の心筋梗塞と脳卒中再発率


Long-Term Risk of Myocardial Infarction Compared to Recurrent Stroke After Transient Ischemic Attack and Ischemic Stroke: Systematic Review and Meta-Analysis.
2018  1月  フランス

脳梗塞またはTIAを経験した患者がひきつづき心筋梗塞を起こすリスクについて実はよくわかっていないので、これまでの研究をまとめてみたそうな。


関係する信頼性の高い研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・131299人の脳梗塞/TIA患者を含む58の研究が見つかった。

・心筋梗塞は年間1.67%で、近年(1970-2010)低下傾向にあるが発症から10年間のリスク変化はなかった。

・いっぽう脳卒中再発率は年間4.26%で、近年 変化はないものの発症からの年数にしたがいおおきく低下した。

・致命的心筋梗塞のリスクは再発脳卒中による死亡リスクの半分だった。

脳梗塞やTIAのあとの心筋梗塞リスクは年間2%未満で、心筋梗塞よりも脳卒中の再発で死亡するケースのほうがずっと多かった、


というおはなし。
図:TIA後の脳卒中再発リスクの推移

感想:

発症後、脳卒中の再発リスクは年々さがるけど心筋梗塞リスクはかわらない。けど、亡くなる人は再発脳卒中がおおい。

ようするに脳梗塞のあとの心筋梗塞はあまり気にしなくてもいいと。

2018年1月23日

日本で脳卒中リスクの高い職種と業種


Differences in stroke and ischemic heart disease mortality by occupation and industry among Japanese working-aged men.
2016  12月  日本

職種や業種は脳卒中や虚血性心疾患リスクの1つと考えることができる。厚生労働省の統計では年間の労災認定数は脳卒中がおよそ400件(22%が死亡)、虚血性心疾患が250件(65%が死亡)とある。

そこで脳卒中や虚血性心疾患での死亡リスクの高い職種、業種をしらべてみたそうな。


厚生労働省のデータベースをつかって2010年の25-59歳の男性2300万人について、
販売員(職種)、卸売 小売業(業種) を基準としたときの脳卒中、虚血性心疾患での死亡リスクを解析したところ、


次のことがわかった、
・脳卒中の死亡は2298件、虚血性心疾患での死亡は2767件あった。

・リスクの高い職種は サービスや経営 管理者で、業種では 農業、漁業、建設業、採掘業、電力、ガス、運輸などだった。

サービスや経営 管理に携わる者と 一次二次産業の労働者に脳卒中や虚血性心疾患のリスクが高かった、


というおはなし。
図:脳卒中リスクの高い産業

感想:

なるほどホワイトカラーのサラリーマンがいちばんぬるいってことか。

2018年1月22日

動作観察訓練の効果


Action observation training to improve motor function recovery: a systematic review.
2018  1月  イタリア

ミラーニューロンシステムには他者の動作を見て それを自分のことのように脳内を活性化するはたらきがあり 90年代に発見された。

動作観察訓練(Action observation training)もミラーニューロンシステムで説明ができる。脳卒中などの中枢神経の損傷により手足が動かない患者に他人の動作をビデオ等で観察させることで脳の関連ネットワークを刺激し劣化を防ぎ、その後のリハビリを円滑にできると考えられている。

そこで動作観察訓練についてのこれまでの研究をまとめてみたそうな。


神経科や整形での動作観察訓練について、信頼性の高い研究を厳選してコクランツールでバイアスリスクを評価したところ、


次のことがわかった。

・20件のランダム化比較試験がみつかった。

・4つの研究で慢性期脳卒中の上肢機能の改善があり、亜急性期と急性期脳卒中の研究も1つずつあった。

・6つの研究で慢性期脳卒中の歩行改善効果があり そのうち3つでバランス能力の改善があった。

・パーキンソン病での日常生活動作および上下肢の自発的運動の改善効果もあった。

・脳性小児麻痺の子どもや術後の整形外科患者での改善効果も示されていた。

動作観察訓練は通常リハビリへのおまけとしては概ね効果的だった。さらにくわしい研究が期待される、


というおはなし。

図:動作観察訓練のランダム化比較試験

感想:

重症でなくても入院してしばらくのあいだは手足が絶望的にうごかない。そんなときにリハビリがんばっても自信をなくして落ち込むだけ。

そこでNetflixのアクション映画で動作観察をおすすめしたい。

2018年1月21日

サポートつき立ちっぱなし訓練の効果


Passive standing as an adjunct rehabilitation intervention after stroke: a randomized controlled trial.
2015  7月  イタリア

脳卒中患者をサポートしながら立位を維持させる訓練は麻痺脚や体幹の筋肉を刺激し のちの歩行訓練にそなえさせる効果が期待できる。

これまでの研究ではサポート付き立位維持訓練の有用性について結論がでていない。

そこで よりくわしくしらべてみたそうな。


発症から4週間以内で歩行機能に重い障害のある脳卒中患者75人について、つぎの3グループに分けた。

*手すりサポート付き立位維持訓練を1日に40分間、
*朝晩20分ずつ、
*通常の理学療法のみ、

3ヶ月後の運動機能、自立度、歩行能力を評価 比較したところ、


次のようになった。

・有害事象はなかった。

・全グループで改善がすすんだが、

・すべての指標でグループ間のあきらかな差はなかった。

サポート付き立位維持訓練には特別な効果を確認できなかった、


というおはなし。
図:サポート付き立位維持訓練の効果

感想:

入院中暇すぎて、病室のベッドの柵に手をそえてひたすら立ち続ける修行をしていた。

けど突っ立っているだけだと骨密度低下の予防にもならない。
骨密度の低下をふせぐ立ち上がり動作とは
もしいま入院中なら、Netflixでアクション映画を観てるとおもう。
動作観察療法というのがあって、、、

2018年1月20日

骨密度の低下をふせぐ立ち上がり動作とは


Upright activity and higher motor function may preserve bone mineral density within 6 months of stroke: a longitudinal study.
2018  1月  オーストラリア

脳卒中患者が発症後1年間に大腿部を骨折をするリスクは健常者の2-4倍という。骨折した患者の1ヶ月後の死亡率は高く ふたたび歩けるようになる可能性も小さい。

骨密度の低下は脳卒中患者でおおきく骨折要因の1つと考えられている。

そこで脳卒中発症後6ヶ月までの骨密度変化と関連要因をしらべてみたそうな。


平均年齢70の脳卒中患者37人の腓骨について、入院から2週間と3,6ヶ月後に二重エネルギーX線吸収法をもちいた骨密度測定を行った。

加速度計を着けて1日の運動状況もしらべた。
さらに骨代謝に関連するタンパク質も定量したところ、


次のことがわかった。

・6ヶ月間で麻痺脚での骨密度が健常脚にくらべ1.5%低下した。

・自立歩行ができるようになった患者は骨密度の低下傾向がちいさかった。

・入院初期に 1日の立っている時間ではなく 立ち上がり回数の多かった患者ほど骨代謝回転が低く骨密度が減少しにくかった。

運動 歩行能力の回復のよい患者ほど骨密度の低下は少なかった、



というおはなし。
図:立ち上がり動作

感想:

立ってる時間よりも立ったり座ったりする「回数」が骨密度にはいいみたい。

2018年1月19日

TIA後の再入院回数と5年間死亡リスク


Five-Year Mortality After Transient Ischemic Attack
2018  1月  アメリカ

心血管代謝性併存症(糖尿病、冠動脈疾患、心不全、心房細動 のこと)はおおくの人に見られるがTIA(一過性脳虚血発作)患者での割合はよくわかっていない。

そこで、TIA患者の再入院と死亡率、心血管代謝性併存症との関連をしらべてみたそうな。


初回TIA患者251人について5年間フォローしたところ、


次のことがわかった。
・TIA患者の53%が心血管代謝性併存症のうち1つを、22%が2つを持っていた。

・5年間に491回(うち27%が心血管代謝性併存症 )の再入院があり、75人(心血管代謝性併存症は36%)が死亡した。

・心血管代謝性併存症の数が増えるほど死亡率は上昇し、冠動脈疾患と心不全の組み合わせで最大化した。

・再入院回数が1回増える毎に死亡リスクが1.5倍になった。


TIA患者の5年間の死亡率は心血管代謝性併存症および入院回数と関連していた、


というおはなし。


図:TIA後の再入院回数と死亡率

感想:

TIAのあと入院繰り返すごとに死亡率があがってゆくようすが上のグラフ。これに冠動脈疾患とかが絡むとさらにアブナイってことか。

2018年1月18日

毎日の運動で血行動態が改善するしくみ


Higher Daily Physical Activity Level Is Associated with Lower RBC Aggregation in Carotid Artery Disease Patients at High Risk of Stroke.
2017  12月  フランス

アテローム性動脈硬化がすすむと頸動脈にプラークが形成され血行動態が変化して脳梗塞の原因になる。

いっぽう身体活動レベルがあがると血中の脂肪やコレステロールが低下し血行動態を改善すると考えられている。
そこで頸動脈疾患患者について身体活動レベルと血行動態との関連をしらべてみたそうな。


頸動脈内膜切除術を受けた80人の患者(症候性15人と無症候性65人)および健常者14人について、血液粘度、赤血球凝集能および赤血球変形能を測定し、

アンケート調査した日々の身体活動レベルとの関連を解析したところ、


次のようになった。

・症候性の頸動脈疾患患者は血液粘度と赤血球凝集能が健常者よりも高かった。

・身体活動が活発な者は ほとんど動かない者にくらべ赤血球凝集能があきらかに低かった。

・血液粘度と赤血球変形能は身体活動レベルで変わらなかった。

症状の重い頸動脈疾患では血行動態上の異常(血液粘度と赤血球凝集能の上昇)が見られた。身体活動レベルの高い患者は赤血球凝集能が低かった、


というおはなし。
図:赤血球凝集と身体活動レベル

感想:

日々の運動で血液粘度がさがるわけではなくて、しかも血小板ではなくて赤血球の凝集能が低くなる。

赤血球の凝集ときたら抗原抗体反応がどうのこうのなんだよな。

2018年1月17日

下肢で比例回復則Fitterなら上肢でもFitter?


Is the proportional recovery rule applicable to the lower limb after a first-ever ischemic stroke?
2018  1月  オランダ

脳卒中のあと6ヶ月間の神経障害からの回復は単に時間の問題であり、回復はほとんどすべて自然に起こるという報告がいくつもある。しかしこのしくみについてはよくわかっていない。

その回復ぶんは上肢、半側空間無視、失語で共通していて、脳卒中で低下した機能スコアの60-97%の回復が期待でき、"proportional recovery rule"(比例回復則)とよばれる。

この比例回復則が上肢機能に適合しない患者は、半側空間無視にも適合しないことから神経障害に共通した自発的回復メカニズムがあることをうかがわせる。

そこでほとんど検証されていない下肢機能の比例回復則の有無と適合者(Fitter)および非適合者(non-Fitter)を見分ける特徴とその条件が上肢機能にもあてはまるものか確かめてみたそうな。


脳梗塞患者202人について、発症後72時間以内と6ヶ月後に下肢機能(FMA-LE)および上肢機能(FMA-UE)を評価した。

発症直後の下肢機能から比例回復則で予測される機能回復を果たした適合者と予測から外れた非適合者の特徴をしらべた。


次のようになった。

・87%の患者の下肢機能が比例回復則にしたがっていた。

・その回復は機能低下ぶんの64%だった。

・発症直後のFMA-LEスコアが14ポイント以上のすべての患者は比例回復則に適合していた。

・しかし14ポイント未満であっても78人のうち51人が比例回復則に適合していた。

・非適合者は適合者よりも初期の神経症状が重かった。

・下肢機能の比例回復則に適合しなかったすべての患者は上肢機能の比例回復則にも適合しなかった。

比例回復則への適合度は患者ごとに下肢と上肢で一貫しているようにみえた。適合者を見分ける方法が確立すればリハビリ計画におおきく役立つだろう、


というおはなし。
図:下肢の比例回復則 Fitter non-Fitter

感想:

昨年の報告でも下肢のFitter率は非常に高い。
Stroke誌:下肢運動機能の比例回復則からわかること
つまり重症患者を除くと、歩行訓練はやってもやらなくても ほとんど全員が自然と歩けるようになるということ。

[比例回復則 "proportional recovery rule"]の関連記事

2018年1月16日

Stroke誌:歯周病のグレードと脳梗塞リスク


Periodontal Disease, Regular Dental Care Use, and Incident Ischemic Stroke
2018  1月  アメリカ

これまで歯周病と脳梗塞リスクとの関連をしめす報告がいくつかなされているが歯周病の定義にあいまいなところがあり因果関係を結論づけるには至っていない。

そこで、歯周病のグレードを細かく分類して脳梗塞との関連を大規模に調査してみたそうな。

歯科患者6736人について歯周病グレード(PPC)を A:健康、B:軽症、C:高度歯肉炎、、→G:重症、の7段階に分類した。

15年間に発生した脳梗塞患者299人との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・歯周病グレードがあがるにつれ脳卒中リスクは増加し、

・脳梗塞発生率は年間1000人あたり、PPC-A:1.29人、PPC-B:2.82人、、、→PPC-G:5.03人となった。

・歯周病は心原性と血栓性の脳梗塞とあきらかな関連をしめした。

・定期的な歯科通院によって脳卒中リスクが0.77倍になった。

歯周病と脳卒中リスクのあきらかな関連を確認できた。特に心原性と血栓性の脳梗塞で顕著だった。定期的な歯科通院が脳卒中予防になるかも、


というおはなし。
図:歯周病グレードと脳梗塞発生率

感想:

軽い歯周病でも脳梗塞発生率が倍以上になるんだな。

2018年1月15日

脳卒中の比例回復則 リハビリはほんとうに必要か?


Does Stroke Rehabilitation Really Matter? Part A: Proportional Stroke Recovery in the Rat.
2018  1月  カナダ

脳卒中で失われた患者の機能が、障害の程度に比例してその70%くらいまで自発的に回復する現象を "proportional recovery rule"(比例回復則)と呼ぶ。

これまで比例回復則は上下肢の運動機能および半側空間無視、失語症でも報告されていて、脳卒中患者のおよそ80%がこの現象をしめす。

皮質脊髄路や運動誘発電位の健全性が比例回復則と関連するとの見方もある。

回復が自発的にすすみリハビリの有無によらないことから生物の持つ本質的な治癒メカニズムと考えられ、脳卒中リハビリの存在意義が問われている。

ところが人で実験する場合、いかなるリハビリ行為もまったく行わない群を設けるのはほとんど不可能に近い。

そこで完全管理の動物をつかって比例回復則を確認できるものか 実験してみたそうな。


人為的に脳梗塞にしたネズミ593匹について、リハビリなしグループ383匹と刺激豊富な環境下でエサ取得訓練を毎日おこなったリハビリグループ210匹にわけた。

3-10週間後、エサ取得動作からみた機能回復度と梗塞のサイズや位置を評価し、比例回復則に適合した個体(Fitter)を分別したところ、


次のようになった。

・全体の30%のネズミが比例回復則を示し、発症直後の機能低下分の66%まで回復した。

・比例回復則を示したネズミの分布にリハビリ有無での偏りはなかった。

・比例回復則のネズミは神経症状が軽く、梗塞が小さく、線条体へのダメージがすくない傾向があった。

・人にくらべ比例回復則に適合する割合が小さい理由として、人為的に発生させた梗塞のダメージが人よりもおおきい可能性が考えられた。

脳卒中のあとの比例回復則は種の壁をこえて観察できる現象だった、


というおはなし。
図:比例回復則の適合者分布

感想:

脳卒中の大部分を占める軽症患者はリハビリをせずとも自然に回復する。

だからリハビリにムキになってはいけない。療法士さんと遊んであげるくらいの気持ちの余裕がほしい。
半側空間無視と失語症にも比例回復則はアリ?

Stroke誌:下肢運動機能の比例回復則からわかること

[比例回復則 "proportional recovery rule"]の関連記事

2018年1月14日

脳卒中の5年再発率 イランでは


Five-Year Recurrence Rate and the Predictors Following Stroke in the Mashhad Stroke Incidence Study: A Population-Based Cohort Study of Stroke in the Middle East.
2018  1月  イラン

脳卒中の再発率は国ごとに異なるとかんがえられるが、低中所得国での調査はおおくない。

そこでイラン第二の都市マシュハド周辺住民を対象にくわしくしらべてみたそうな。


2006年の初回脳卒中患者624人について再発の有無を5年間フォローしたところ、


次のようになった。
・最初の1年間の再発率は5.6%で、5年間では14.5%だった。

・高齢と重度の神経症状が再発の主なリスク要因だった。

・30日死亡率は初回脳卒中患者の24.7%にたいし、再発患者では43.2%だった。

イランでの脳卒中再発率は高所得国の10年前の状況に相当していた。再発時の致命率はとても高く高所得国の20年前相当だった、


というおはなし。
図:脳卒中累積再発率の5年間推移

感想:

自動車の代わりにラクダが走っていて 半世紀くらい遅れている印象があった。けどあまり違わないんだね。

2018年1月13日

働いていた軽症脳卒中患者は回復に不満が少ない


Pre-stroke employment results in better patient-reported outcomes after minor stroke: Short title: Functional outcomes after minor stroke.
2017  1月  アメリカ

神経症状の重さをしめすNIHSSスコアが低い軽度の脳卒中で、片麻痺や失語などの客観的な障害が残らなかったとしても 手や脚の動かしづらさや注意力不足などを訴える脳卒中患者はすくなくない。

そこで軽症脳卒中患者の主観的回復度と関連要因についてくわしくしらべてみたそうな。


発症から3ヶ月前後で、NIHSSスコア4以下の軽症脳卒中患者151人
およびTIAまたは脳卒中類似症状の患者40人について、

身体機能の主観的な問題の数(1-50)およびその深刻さを3段階評価してかけ合わせた負担度(1-150)、
そしてうつ 疲労の程度を測定し 比較した。


次のことがわかった。
・患者の主観的問題数は 11.7 vs. 6.9、負担度は 26.5 vs.12.3 でいずれも軽症脳卒中グループが高く、

・うつ、疲労の程度も高かった。

・これらは脳卒中患者の重症度や教育歴、収入、結婚歴と関連は無かったが、

・発症前に現役労働者だった場合には全カテゴリについて良好な回復を報告していた。

・この関連は他の要因を考慮にいれても変わらなかった。
軽症脳卒中患者の発症直前の就労状況が予後に反映していた。現役労働者だった患者は年齢や重症度によらず主観的な回復が良かった、


というおはなし。
図:雇用ステータスと脳卒中転帰

感想:

労働者にもとめられるもっとも重要な特性は、

「自分の体調もふくめ日々変化する状況に適応できる能力である」、と考えれば納得がゆく。

2018年1月12日

JAHA誌:脳卒中経験者に特におおい自殺方法とは


Risk of Suicide Attempt in Poststroke Patients: A Population‐Based Cohort Study
2018  1月  台湾

脳卒中は身体障害のおもな原因の1つである。欧米にくらべアジア地域は文化的に身体障害に対して寛容であるとする見方があり、脳卒中患者の自殺率も低いと予想される。

これをたしかめるべく台湾の住民について大規模にしらべてみたそうな。


脳卒中患者713690人および脳卒中でない1426009人について12年間フォローして自殺を実行した有無を調査した。


次のことがわかった。
・脳卒中経験者の自殺を実行するリスクは非脳卒中経験者の2.20倍で、

・種類別では脳出血で1.87倍、脳梗塞2.25倍だった。

・おもなリスク要因は収入の低さ、田舎住まい、肉体労働、50歳未満での発症 だった。

・非脳卒中経験者とくらべたときの自殺方法別のリスクは、服毒2.28倍、排ガス1.42倍、首吊り1.73倍、手首カット1.93倍、飛び降り4.22倍だった。

台湾人脳卒中経験者の自殺リスクは一般人のおよそ2倍で、欧米での結果と差はなかった、


というおはなし。
図:脳卒中経験者が自殺する方法

感想:

上の表をみると絶対数は服毒自殺がダントツなんだけど、脳卒中経験者に特徴的なのは飛び降り。欧米では代わりに銃をつかうことが多いという。

ちなみに
自己責任と他人に迷惑をかけないことを尊ぶ日本ではリスクが10倍↓
[住みやすい国] 日本の脳卒中と自殺との関連について

2018年1月11日

ボツリヌス療法の歩行改善エビデンス


A systematic review: efficacy of botulinum toxin in walking and quality of life in post-stroke lower limb spasticity.
2018  1月  オーストラリア

脳卒中経験者にとって歩行の改善はもっとも関心のたかいテーマである。下肢痙縮へのボツリヌス療法の歩行とQoL改善効果についてはいまだあきらかでない。

そこでこれまでの研究についてシステマチックレビューをおこなってみたそうな。


研究データベースから関連する論文を抽出し、信頼性の高いランダム化比較試験のみを厳選したところ、


次のことがわかった。

・2026件の研究記録がみつかりそれらのうちの107の論文から、5件のランダム化比較試験が残った。

・これら5件のうち2件で歩行速度のあきらかな改善があり、

・1件で歩行距離の改善があった。

・QoLに関するものは1件のみで、有意な改善はなかった。

・歩行評価手法が統一されていないのと、サンプル数が少なすぎることからデータを統合したメタアナリシスを行うことができなかった。

今回のシステマチックレビューでは脳卒中患者の下肢ボツリヌス療法の効果の有無について結論を出すことが出来なかった。ちゃんとした研究がなされることを期待する、


というおはなし。
図:

感想:

研究記録が2000あるのだから研究者が少ないわけではなさそう。
なのにまともな研究がない。

だれかがガチの臨床研究をやって効果を確定できれば もっと薬は売れるし病院ももうかり患者はハッピーになる。
なのにやらないのは 本気で効果があると思っているひとが誰もいないから?

2018年1月10日

脳卒中経験者の方向転換 二重課題のとき


The performance of stroke survivors in turning-while-walking while carrying out a concurrent cognitive task compared with controls.
2017  12月  香港

歩行中の方向転換動作には視覚、前庭感覚、体性感覚を統合する高度な認知機能が要求される。

じっさい高齢の脳卒中患者の転倒のおおくは方向転換中におきる。
方向転換中の転倒はまっすぐ歩行時の転倒にくらべ大腿部骨折が7.9倍起きやすいという報告もある。

そこで脳卒中患者に認知課題を与えたときの歩行中の方向転換動作の変化を、健常者とくらべてみたそうな。


脳卒中経験者59人と健常者45人について
聴覚ストロープテストの反応時間と精度 および
歩行中の方向転換動作に要する時間とステップ数を測定し、
さらに両者を組み合わせたとき(二重課題)の結果も比較した。


次のようになった。
・脳卒中経験者は二重課題時に正答精度があきらかに低下したが、反応速度に変化はなかった。

・方向転換動作については単一課題時と二重課題時でほぼおなじだった。

・健常者とくらべ脳卒中経験者はいずれの課題でも反応時間が長く精度は低かった。

・おなじく脳卒中経験者の方向転換にかかる時間とステップ数は健常者よりも大きかったが、

・二重課題にしたときの変化割合(dual-task cost)は健常者とあきらかな差がなかった。

脳卒中経験者では方向転換動作を優先するために認知課題を犠牲にしているようにみえた、


というおはなし。
図:

感想:

注意リソースの競合理論というのがあって、1)注意リソース自体の減少、2)注意リソース分配能力の低下、3)要求される注意リソース量の増加、
二重課題もんだいは これらの組み合わせで説明がつくらしいんだけど、

じぶんにあてはめると 注意リソースの総量は変わらないけれど 麻痺した手足を操るためにあらたにおおくの注意を要するため 結果として足らなくなる、
そういう印象がある。

[二重課題 歩行]の関連記事

2018年1月9日

関節の柔軟性から動脈硬化を知る方法


Association of body flexibility and carotid atherosclerosis in Japanese middle-aged men: a cross-sectional study.
2018  1月  日本

心肺能力や筋力が低いひとは糖尿病や脳卒中になりやすい。同様に関節をフルに動かすことのできる「柔軟性」の高さもこれらの慢性病に影響すると考えられる。

そこで腕と体幹の柔軟性と頸動脈の動脈硬化度(内膜厚とプラーク形成)との関連をしらべてみたそうな。


35-59歳の健康な男性1354人について腕伸展性テストと座位リーチテストをおこなった。

(腕伸展性テストは下の写真を見ればわかる)
図:arm extensibility test


さらに超音波検査で頸動脈の内膜中膜肥厚およびプラーク形成を測定し、関連を解析したところ、


次のようになった。

・腕伸展性テストで腕を伸ばしきれた者は55.0%で、37.8%にプラーク形成が確認できた。

・腕の完全伸展ができた者の内膜厚とプラークはあきらかに小さく、座位リーチ距離は大きかった。

・プラーク形成があった者の完全伸展者割合と座位リーチ距離はあきらかに小さく、内膜厚は有意に大きかった。

腕の伸展性と体幹の柔軟性が動脈硬化と関連していた。さらにこれらの関連は年齢 血圧 血糖 肥満 ライフスタイルに依らなかった、


というおはなし。


感想:

120度くらいが限界で 腕伸ばしきれなかったよ。ショックだ。

2018年1月8日

抜歯まえはワルファリンとめるべき→いまや迷信


The mythology of anticoagulation therapy interruption for dental surgery.
2018  1月  アメリカ

脳卒中予防の目的でワルファリン等の抗凝固療法をうけている者が歯科で抜歯やインプラントなどの手術を受ける場合、一時的に服薬をとめるべきであると信じられていた時代があったそうな。


抗凝固薬を継続すると出血のリスクがあり、服薬をとめると血栓が生じて塞栓症を起こすリスクがある。

どちらのリスクをとるべきか60年以上にわたり議論が続けられてきた。

そしてこれまでの研究から服薬を続けてもおおきな出血はまれで ましてや致命的なものは無かった一方、服薬を停止することで致命的な塞栓症を起こすことがありうる とわかってきた。

ようやく
「歯科手術に際して抗凝固薬を停止するべきでない」という考えでほとんどの研究グループ間で意見の一致をみるようになった、


というおはなし。
図:歯科手術まえの抗凝固療法 継続か?停止か?

感想:

小学2年以来 歯科にかかったことのないじぶんにいわせると、脳卒中予防と歯科治療をおなじ天秤にかけることじたいがナンセンス。

歯科治療なんか命にかかわるものじゃぁないんだから我慢すればいいだけ。

2018年1月7日

2年間の認知機能変化を追跡


A 2-year prospective follow-up study of temporal changes associated with post-stroke cognitive impairment.
2018  1月  韓国

脳卒中経験者のおよそ50%は認知障害を経験し、主に処理スピードが低下する。次いで計算力、注意力、視空間認識、言語、遂行機能、記憶力に影響する、という報告もある。

しかしこれら認知機能への影響が時間とともにどのように変わるのか よくわかっていないので調べてみたそうな。


52人の脳卒中患者について、入院直後、3、6、12、24ヶ月後の認知機能をフォローしたところ、


次のことがわかった。
・認知機能のもっとも大きな変化は3-6ヶ月の間におきた。

・認知障害者の割合は23.1%から42.3%の幅があり、3ヶ月後がもっとも多く、6ヶ月後がもっとも少なかった。

・性別(女性)、教育レベル、病変サイズなどが関連要因だった。

脳卒中後の認知機能は3-6ヶ月間にダイナミックな変化を示した。そういうものと理解したうえでのサポートが必要だろう、


というおはなし。

図:脳卒中後2年間の認知障害

感想:

3ヶ月後にボケててもすぐに治るから悲観しなくてもいいよ ってことなのかな。

上図右下は遂行機能。1年以降の低下っぷりに共感できる。

2018年1月6日

Stroke誌:TIAを経験するとかならず脳が萎縮する


Transient Ischemic Attack Results in Delayed Brain Atrophy and Cognitive Decline
2018  1月  スイス

脳の虚血がながびくと梗塞が起きる。さらに2次的な神経変性の影響も考えられ 動物実験の結果はあるが人ではよくわかっていない。

そこで一過性脳虚血発作(TIA)の患者についてその影響をフォローしてみたそうな。


TIA患者50人について造影剤をつかったCT検査で脳の還流状態を測定した。さらにMRIで直後と90日後の脳の解剖情報を取得し、脳の各部位の体積変化をソフトウェアで自動計測した。

認知症検査を並行してこれらの関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・全患者で脳全域の灰白質の減少があった。

・前頭葉虚血の患者では橋および虚血脳半球側でのあきらかな体積減少があった。

・前頭葉虚血だった患者は認知症検査スコアがあきらかに低く、視床の萎縮との関連も示唆された。

TIA患者すべてに虚血から離れた部位での脳萎縮が広く確認され、認知機能低下への影響も示された、


というおはなし。
図:TIAと脳萎縮

感想:

TIAには神経保護作用があるっていわれてるわりにはヒドイ結果だ。

[TIA 神経保護]の関連記事

2018年1月5日

血糖値たかめの脳卒中患者は認知障害に


Prediabetes is associated with post-stroke cognitive impairment in ischaemic stroke patients.
2017  12月  中国

糖尿病は脳卒中のリスク要因の1つで、脳卒中後の認知障害との関連もあきらかになっている。

そこで糖尿病前症(正常と糖尿病の中間)と脳卒中後の認知障害との関連についてしらべてみたそうな。


急性脳梗塞患者201人について食後2時間後の血糖値とヘモグロビンA1cの値をもとに糖尿病、糖尿病前症、非糖尿病の3グループにわけた。

1ヶ月後の認知機能検査との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・糖尿病前症グループは 35.7 vs. 18.1% で非糖尿病グループよりも認知障害が多く、

・そのオッズ比は関連要因を考慮にいれてなお3.062倍だった。

脳卒中患者で糖尿病の前段階にある者は血糖値が正常な者にくらべあきらかに認知障害になりやすかった、


というおはなし。

図:糖尿病前症と脳卒中後の認知障害

感想:

やはり糖分は控えないといかんな。
脳卒中やるひとがアルツハイマー病にもなりやすい理由

糖尿病だと脳卒中の回復が遅い理由

やがて認知症になる脳卒中患者の特徴

2018年1月4日

テロメアは長いほうが脳梗塞になりやすいという結論


Telomere length associated with the risks of high-risk and ischemic stroke in southern Chinese Han population.
2017  12月  中国

テロメアは染色体の末端にあるDNA構造で、染色体同士の融合を防ぎ安定化させる役割をもっている。

テロメアは細胞分裂のたびに短くなり、細胞の老化と細胞死に関連している。このプロセスは慢性的な炎症や活性酸素によって加速され、血管のアテローム性動脈硬化や心血管疾患と関連するとも考えられている。

これまでの研究でテロメア長が短いと冠動脈疾患になりやすいことがわかっている。しかし脳梗塞との関連については結論がでていないので、脳梗塞の高リスク群もふくめきっちりとしらべてみたそうな。


脳梗塞患者400人と高血圧や糖尿病 肥満などの高リスクの409人および健康な399人について白血球のテロメア長を測定し、関連を解析したところ、


次のことがわかった。
・脳梗塞患者のテロメア長は健康な人よりも明らかに長かった。

・テロメア長と脳梗塞リスクの関連はU字カーブを描き、テロメアが長くても短くても脳梗塞リスクが高かった。

・高リスク群についても同様だった。

テロメアが長いと脳梗塞のリスクおよび脳梗塞リスクを持つリスク が高かった、


というおはなし。
図:テロメア長と脳卒中リスク

感想:

これまででてきたテロメア研究のそれとは真逆の結論。
ながければ良いってわけでもないんだね。

[テロメア]の関連記事

2018年1月3日

くも膜下出血で回復良好だった患者の性機能について


Sexual Dysfunction after Good-Grade Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage.
2017  12月  スイス

回復が良かったくも膜下出血患者の性的機能についてしらべてみたそうな。


くも膜下出血でグラスゴーアウトカムスケールが4-5で回復が良かった女性19人と男性14人について匿名アンケート調査したところ、


次のことがわかった。
・31.3%の患者がくも膜下出血後にセックスの楽しみが低下したと報告していた。

・女性性機能インデックス(FSFI:female sexual function index)によると女性の47.4%が性機能不全に該当した。

・そして女性19人全員が不感症を訴えていた。

・国際勃起機能スコア(IIEF:International Index of Erectile Function)によると男性の50%が勃起不全に該当した。

・くも膜下出血の重症度でWFNSグレード2の患者は1にくらべあきらかに性機能低下の報告が多かった。

くも膜下出血で回復良好だった患者でも性機能不全はありふれたことだった、


というおはなし。

図:性別

感想:

くも膜下出血患者は若くて元気なひとおおいから深刻だな。

2018年1月2日

夜間に心拍数がふえる脳血管病は


Association Between Heart Rate and Subclinical Cerebrovascular Disease in the Elderly.
2017  12月  アメリカ

心拍数の増加は心血管死亡率と相関することがわかっている。自律神経の緊張による心拍数の増加が血管抵抗と高血圧を反映する。

とくに最近の研究では安静時や日中の心拍数よりも夜間心拍数が重要であると考えられている。

しかし脳卒中と心拍数との関連はいまだあきらかでない。そこで患者数がおおい無症候性の脳梗塞と白質病変について心拍数との関連をくわしくしらべてみたそうな。


平均年齢74の高齢者680人に24時間の心拍数モニター行い、MRIでの無症候性脳梗塞と白質病変体積との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・無症候性脳梗塞は13.7%に見られた。

・白質病変体積が特に大きいグループでは夜間心拍数とのみ あきらかな相関があり、収縮期血圧や他の心血管リスク要因に依らなかった。

・日中の心拍数や心拍変動との同様な関連は確認できなかった。

・心拍数と無症候性脳梗塞との関連も確認できなかった。

高齢者の調査では夜間心拍数の増加が無症候性の脳血管病である白質病変体積と相関していた、


というおはなし。
図:心拍数と無症候性の脳梗塞と白質病変体積

感想:

自慢じゃないけど心拍数は高い。

2018年1月1日

心房細動患者の11年間 脳卒中, 心不全, 突然死亡率


The Cumulative Incidence of Stroke, Myocardial infarction, Heart Failure and Sudden Cardiac Death in Patients with Atrial Fibrillation.
2017  12月  ボスニア・ヘルツェゴビナ

心房細動は不整脈のおもな原因であり、脳卒中や心不全、突然死の原因の1つである。

そこで心房細動患者の心臓および脳血管発作の発生率をしらべてみたそうな。


2352人の心房細動患者を11年間フォローして、心筋梗塞、心不全、脳卒中、心臓突然死の累積発生率を調査したところ、


次のようになった。
・心臓突然死の累積発生率は1.71%、脳卒中は2.56%、心筋梗塞1.20%、心不全5.73%だった。

・心房細動と死亡リスクは女性で高かった。

心房細動管理の進歩にもかかわらずいまだ不整脈は脳卒中、心不全、突然死のおもな原因の1つである、


というおはなし。
図:心房細動と11年間の脳卒中発生率

感想:

全部足すと11年間で11.2%。1年1%ペースで上のなにかが起こる。

意外と大したことない印象。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇■

 無料メールマガジン:脳卒中をやったなら
 おぼえておきたい回復のヒント100
メールアドレス  例:stroke@example.co.jp


過去7日間で人気の記事ベスト10