2018年11月20日

遠隔虚血コンディショニングはいつはじめたらいいの?


Very Delayed Remote Ischemic Post-conditioning Induces Sustained Neurological Recovery by Mechanisms Involving Enhanced Angioneurogenesis and Peripheral Immunosuppression Reversal
2018  10月  ドイツ

脳卒中のあとに腕や脚の血流を一時的にとめて虚血状態にすることで脳神経を保護できるとする考え方があって、「遠隔虚血コンディショニング」とよばれ おもに動物実験で成果が得られている。

これら実験のおおくは脳卒中のあと24時間以内に虚血コンディショニングがおこなわれているが、臨床応用を考えると早期の適用は現実的ではない。

そこで有効なタイムウィンドウをしらべるべく120時間遅らせた場合で実験してみたそうな。


人為的に脳梗塞にしたネズミについて、
12時間、24時間、5日(120時間)後に両後脚を止血帯で10分しばり10分開放を3サイクルおこない、2週間ほど継続した。


次のようになった。

・梗塞のおおきさは、24時間以内に開始したグループではとても小さくなったが、5日後のグループではそれほどでもなかった。

・しかし神経症状の回復は24時間以内グループでは一時的なのにたいし、5日後グループは長期(3ヶ月間)に持続した。

・24時間以内グループでは熱ショックタンパク質HSP70が関与し、プロテアーゼの働きを弱め、炎症をおさえていた。

・5日後グループでは血管新生がふえ、各種の神経栄養因子、成長因子があきらかに増加していた。

脳卒中後の遠隔虚血コンディショニングはそのタイミングがおおはばに遅れても効果があった。大規模な臨床試験を期待する、


というおはなし。

図:遠隔虚血コンディショニングの長期効果

感想:

たいして危険そうでないので、臨床報告が待ちきれないひとは自分でやるか近所の加圧トレーナーにでも相談してみるといい。

[遠隔虚血]の関連記事

2018年11月19日

nature.com:急性期の脳機能結合と予後


Cerebral Motor Functional Connectivity at the Acute Stage- An Outcome Predictor of Ischemic Stroke
2018  11月  台湾

脳卒中の回復予測は神経症状の重さや梗塞の体積 位置をもとにしておこなわれているがあまりあてにならない。梗塞がちいさいからといって回復良好になるともかぎらない。

いっぽう安静時fMRIは通常のMRI検査に付け加えることができ、被験者に検査中の課題をあたえる必要がない便利なツールである。

安静時fMRIをつかうと脳の異なる部位どうしが同期して活動している程度(Functional Connectivity:機能結合)を評価することができる。

運動ネットワークの機能結合が脳損傷後の数時間内に低下することや運動障害の回復にともない変化することがわかっている。

これまで脳卒中の機能結合にかんする研究は急性期のものがほとんどなくサンプル数もとてもすくなかったので、急性期の患者をたくさんしらべてみたそうな。


発症から3-7日の脳梗塞患者67人と同数の健常者について、安静時fMRIデータを取得した。

3ヶ月後の回復不良(mRS2以上)患者の運動ネットワークの機能結合上の特徴を解析したところ、


次のことがわかった。

・3ヶ月後、患者全体の34%が回復不良だった。

・損傷脳半球の一次運動野(iM1)と対側の前頭前野背側(cPMd)の機能結合が回復不良とあきらかな関連をしめし、

・ROC曲線を描くことができて、この機能結合が0.63以下では回復不良と判定できた。

・デフォルトモードネットワーク(後帯状皮質-前頭前皮質-下頭頂小葉-膨大後部皮質-海馬前部)の機能結合に変化はなかった。

急性期の脳梗塞患者について、運動ネットワークの半球間の機能結合から予後を見通せるようになるかも、


というおはなし。

図:回復不良患者の半球間機能結合

感想:

解析ソフトウェアのブラックボックス感がアレだけど、とても期待している。

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2018年11月18日

前兆つき片頭痛は心房細動をまねく?


Migraine with visual aura a risk factor for incident atrial fibrillation- A cohort study
2018  11月  アメリカ

これまでの調査から片頭痛に視覚的な前兆(閃光や暗点、波線、視野のぼやけ)をともなうタイプは心原性の脳梗塞と関連があることがわかっている。

心房細動は心原性の脳梗塞の原因の1つでもあることから、前兆つき片頭痛で心房細動がおきやすくなっているものか くわしくしらべてみたそうな。


心房細動や脳卒中歴のない11939人について片頭痛と前兆、脳卒中を20年間ほどフォローしたところ、


次のことがわかった。

・426人が前兆つき片頭痛を経験し、1090人が前兆なしの片頭痛、1018人は片頭痛以外の頭痛、9405人は頭痛なしだった。

・心房細動は、片頭痛のあった1516人の15%に、頭痛のない9405人の17%にそれぞれみられた。

・前兆つき片頭痛の心房細動リスクは、頭痛なしにくらべて1.30倍で、

・前兆なしの片頭痛とくらべると1.39倍だった。

前兆つき片頭痛があると心房細動リスクが高かった。これが脳梗塞の原因なのかも、、


というおはなし。

図:前兆つき片頭痛と心房細動 脳梗塞との関係


感想:

身近にいるので関心をもった。

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2018年11月17日

NEJM誌:ビタミンDサプリメントの脳卒中予防効果


Vitamin D Supplements and Prevention of Cancer and Cardiovascular Disease
2018  11月  アメリカ

日照量のおおい地域では脳卒中など心血管疾患やがんでの死亡が少ないという報告がいくつもある。

ビタミンDの関与が考えられるが因果関係はあきらかでない。ビタミンDサプリメントをつかった実験でも被験者1万人を超えるものはまだない。

そこでビタミンDサプリメントと心血管疾患やがんとの関連を大規模にしらべてみたそうな。


50代以上の男女25871人をサプリメント(1日2000IU)と偽薬グループにわけた。

心筋梗塞や脳卒中、さらにがんの発生を5.3年間フォローしたところ、


次のようになった。
・この間に心血管疾患はサプリメントグループで396件、偽薬グループで409件あった。

・がんはそれぞれ793件、824件だった。

・サプリメントによる心血管疾患リスクは0.96倍(脳卒中は0.95)、がんの死亡リスクは0.83倍で偽薬と有意な差がなかった。

ビタミンDのサプリメントを摂っても脳卒中やがんの予防にはならなかった、


というおはなし。

図:ビタミンDサプリメントと脳卒中リスク

感想:

うつ対策にはいいかも。
脳卒中後のうつと季節 日光浴のすすめ

2018年11月16日

上肢感覚リハビリの方法と効果予測


Initial severity of somatosensory impairment influences response to upper limb sensory retraining post-stroke
2018  10月  オーストラリア

脳卒中患者のおよそ半数は触覚や深部感覚の障害を経験する。しかしリハビリテーションはおもに運動機能にフォーカスしているため感覚障害はあつかわれないことがすくなくない。

上肢の運動機能障害に関しては Proportional Recovery Rule(比例回復則)があって、初期の障害程度に比例した自発的回復が予想できる。
しかし重度の障害患者ではこのルールに則らないことがわかっている。

そこで感覚障害患者に積極的な感覚リハビリをおこなったときに、その回復が初期の障害程度に比例するものか実験してみたそうな。


感覚の弁別能と認識能を再訓練するための方法 "SENSe therapy" (→7つの原理の 詳しいYoutubeリンク)を用いた2つの臨床試験のデータを用いた。

脳卒中で上肢感覚麻痺の80人の患者について、感覚訓練の効果を質感弁別、手首の深部感覚、触覚による物体認識について訓練前後で評価したところ、


次のことがわかった。

・訓練後の感覚障害の回復は訓練まえの障害程度に比例していた。

脳卒中で上肢感覚麻痺患者への感覚訓練の効果は、訓練まえの障害程度と比例関係にあり予測が可能だった。この感覚訓練は重度の感覚障害にも期待できる、


というおはなし。

図:脳卒中感覚障害の比例回復

感想:

比例回復則からのおちこぼれ(non-fitter)を救えるんだね この感覚リハビリは。
感覚障害も比例回復則するの?

2018年11月15日

NEJM誌:魚油サプリメントの脳卒中予防効果


Marine n-3 Fatty Acids and Prevention of Cardiovascular Disease and Cancer
2018  11月  アメリカ

魚油におおくふくまれるn-3(オメガ3)不飽和脂肪酸は脳卒中など心血管疾患の予防に期待できるとされている。

その効果について小-中規模の臨床試験はあるが結果がまちまちである。

そこで、n-3不飽和脂肪酸サプリメントの心血管疾患予防効果を大規模にしらべてみたそうな。


50代以上の男女25871人をサプリメント(魚油1日1g:n-3不飽和脂肪酸840mg+EPA,DHA)と偽薬グループにわけた。

心筋梗塞や脳卒中、さらにがんの発生を5.3年間フォローしたところ、


次のようになった。

・この間に心血管疾患はサプリメントグループで386件、偽薬グループで419件あった。

・がんはそれぞれ820件、797件だった。

・サプリメントによる心血管疾患リスクは0.93倍(脳卒中は1.04)、がんのリスクは0.97倍で偽薬と有意な差がなかった。

n-3不飽和脂肪酸のサプリメントを摂っても脳卒中やがんの予防にはならなかった、


というおはなし。

図:n-3不飽和脂肪酸サプリの脳卒中予防効果

感想:

これ摂りすぎると心房細動からの脳梗塞になりやすいってはなしをおもいだした。↓
魚でふせげる脳梗塞と増える脳梗塞

2018年11月14日

脳動脈瘤が成長する条件


Risk factors for growth of conservatively managed unruptured intracranial aneurysms
2018  11月  アメリカ

未破裂の脳動脈瘤は成人の2-3%にみられる。かならずしも積極的に治療する必要はなくて、定期的にMRAなどで動脈瘤の成長を観察することになる。

未破裂脳動脈瘤の成長可能性と関連要因についてはよくわかっていないのでくわしくしらべてみたそうな。


未破裂脳動脈瘤のある1532人のうち、
過去にくも膜下出血がなく、保存的に経過観察中で、
最後の画像診断から2年以内の349人の385個の脳動脈瘤について、

瘤の成長を6年半ほどフォローした記録を解析したところ、、


次のことがわかった。

・この間に64個の動脈瘤がおおきくなった。これは1年間あたり脳動脈瘤ぜんたいの2.9%に相当した。

・とくに発見された直後の3年間の成長が著しく年率7.5%におよび、その後は2.7%だった。

・瘤がおおきくなる要因として、サイズ(5mm以上)、位置(椎骨動脈の尖部)、体重減少(BMI低下)、があきらかに関連していた。

保存的に観察中の未破裂脳動脈瘤は年間2.9%がおおきくなった。これにはサイズ、位置、体重減少が関連し、発見直後の数年間に成長する瘤がおおかった、


というおはなし。

図:未破裂脳動脈瘤の成長率

感想:

「発見直後に成長」と「体重減少」がユニークでおもしろい。

たぶんこういうこと↓。

動脈瘤がみつかるとビビって急に摂生に努め食事を減らす。
栄養不足で血管壁がよわり動脈瘤がふくらむ。

数年経つと身体がなれて瘤が安定する。

2018年11月13日

脳卒中後のうつと季節 日光浴のすすめ


Impact of seasons on stroke-related depression, mediated by vitamin D status
2018  11月  中国

脳卒中後のうつは、さいきんのメタアナリシスによると5年以内に29%が経験するという。

いっぽうビタミンDは神経ステロイドともよばれ脳の発達や可塑性 保護 免疫と関係していて、
血中ビタミンDの低下とうつとの関連をしめす報告がふえている。

また 季節変化とうつとの関連をしめす報告もおおく、夏季にくらべ冬季にうつがふえる。

そこで、脳卒中後のうつの季節変化とビタミンDとの関連をくわしくしらべてみたそうな。


脳卒中患者402人について、入院後24時間以内の血液サンプルからビタミンD濃度を測定し、
1ヶ月後の うつスコア Hamilton Rating Scale for Depression (HAMD)をしらべた。

血液サンプル時の季節(夏季6-11月、冬季12-5月)との関連を解析したところ、


次のようになった。

・脳卒中後のうつは夏季よりもあきらかに冬季におおかった。

・血中ビタミンD濃度は夏季よりも冬季に低かった。

・ビタミンD濃度が低いと うつスコアが高かった。

・他の関連要因も考慮にいれると、脳卒中後のうつは季節と関連してはいるものの、

・どちらかというとビタミンD濃度との関連がつよかった。

脳卒中後のうつになる率は季節によるあきらかな違いがあった。これにはビタミンDが関係していると考えられた、


というおはなし。

図:ビタミンDと脳卒中後うつスコア

感想:

ビタミンDは紫外線をあびると生合成される。

この調査は入院時の血液測定だから、脳卒中後の紫外線を浴びる機会のすくなさとは関係ないもよう。

いずれにしても日光浴がうつ対策によさそう。

2018年11月12日

脳のここをやられると時間がわからなくなる


Does the insula contribute to emotion-related distortion of time- A neuropsychological approach
2018  11月  スイス

時間の認識には脳のひろいはんいがかかわっていると考えられている。その箇所の1つとして島皮質があげられるが どう働くのかはよくわかっていない。

これを脳卒中患者でしらべてみたそうな。


左または右の島皮質を損傷した脳卒中患者21人について、

主観的な時間間隔の識別能をしらべるために音響刺激をつかった時間二等分課題(temporal bisection task)をおこなった。

さらに音源として子供の泣き声などの感情をともなう刺激や中立的なものを使用してそれらの違いも観測した。


次のようになった。

・右島皮質の損傷患者は左損傷もしくは健常者にくらべ時間感度があきらかに低かった。

・感情音源による違いは健常者と差がなかった。

右の島皮質には時間を認識するとくべつなはたらきがあると考えられた。しかし感情の影響をうけるものではなかった、


というおはなし。

図:島皮質の損傷

感想:

いちばんひどいときに右の島皮質への直撃をくらってたから理解できる。音楽がわからなくなってたよ。
右の島皮質の梗塞は死亡率が高い その理由とは

失音楽症と関係する脳の場所がわかった

2018年11月11日

脳卒中をふせぐ昼寝時間がわかった


Joint effect of less than 1 h of daytime napping and seven to 8 h of night sleep on the risk of stroke
2018  5月  中国

いっぱんに昼寝は とくに高齢者にとって健全なライフスタイルの1つと考えられている。

これまでの研究から昼寝時間がながいと心血管疾患リスクが上がるとするメタアナリシスがある。

しかし脳卒中に限定して昼寝との関連をしらべた研究はほとんどないので大規模にやってみたそうな。


20-74歳の7887人を約5年間フォローしたところ、


次のことがわかった。

・昼寝なしで夜間の睡眠が7-8時間にくらべて、昼寝1時間以上では脳卒中リスク1.94倍、夜間睡眠9時間以上だと脳卒中リスクは2.24倍だった。

・さらに昼寝なし夜間睡眠7時間未満では 脳卒中リスクは2.61倍、

・昼寝1時間以上でかつ、夜間睡眠が7時間未満、7-8時間、8-9時間、9時間以上での脳卒中リスクはそれぞれ 2.16、2.36、2.41、3.37倍になった。

昼寝なしか1時間未満で夜間睡眠7-8時間のとき脳卒中リスクは低くかった。昼寝1時間以上かつ夜間睡眠9時間以上または昼寝なしか1時間以上でかつ夜間睡眠7時間未満のとき脳卒中リスクがもっとも高かった、


というおはなし。

図:脳卒中予防に適した昼寝時間


感想:

上の図がわかりやすい。

ゼロでも1時間以上でも良くないので、ちょっと昼寝するのがいいみたい。

2018年11月10日

コクランレビュー:動作観察の上肢リハビリ効果


Action observation for upper limb rehabilitation after stroke
2018  10月  ブラジル

脳卒中で上肢麻痺があると日常生活動作や社会参加のさまたげになる。

このリハビリ方法として「動作観察」がある。

健常者の動きを直接もしくはビデオで観察することでミラーニューロンシステムが刺激され、実際の運動動作とおなじ脳の活動をしめすようになるという。

動作観察療法は安全でかつ特別な装置やセラピストの監督も必要でないことからとても期待されている。

その効果をこれまでの研究からまとめてみたそうな。


脳卒中患者の手や腕の機能と動作観察療法に関係する2017年10月までの研究を厳選して、データを統合 再解析したところ、


次のようになった。

・被験者478人を含む12の研究がみつかった。

・ほとんどがビデオを観たあとに実際の動作をおこない、徐々に難度を高めてゆくものだった。

・おおむねポジティブな結果で、腕よりも手の機能改善効果が顕著だった。

・日常生活動作の改善効果もみられた。

・サンプルサイズが小さいなどエビデンスレベルは低かった。

動作観察で上肢運動機能や日常生活動作の改善がみられた。エビデンスの質が良くないのでしばらく見守りたい、


というおはなし。

図:動作観察

感想:

インド映画みてると一緒に踊りたくてそわそわしてくる感じがそれなのかな、、、とおもう。

2018年11月9日

魚でふせげる脳梗塞と増える脳梗塞


Substitution of Fish for Red Meat or Poultry and Risk of Ischemic Stroke
2018  11月  デンマーク


魚をおおくたべることは脳梗塞予防によいと考えられている。しかしこれまでの研究はトータルのエネルギー収支を考慮にいれていないことがおおかった。つまり魚を増やせば他の食材を減らさなくてはならない。

そこで、牛や豚、鶏といった家畜肉の代わりに魚を摂ったばあいの脳梗塞リスクを大規模にしらべてみたそうな。


50-65歳の57053人に食事アンケートをとり、脳梗塞の有無を13.5年間フォローした。

家畜肉を魚の等重量でおきかえた場合のモデルで脳梗塞リスクを原因別に解析したところ、


次のことがわかった。

・この間に1879の脳梗塞があり、そのうち319はアテローム血栓性、102は心原性、844は小血管病変 だった。

・家畜肉を魚で置き換えることは脳梗塞のトータルの発生率には影響しなかったが、アテローム血栓性の脳梗塞リスクはあきらかに低下し、

・とくに脂肪のおおい魚で家畜肉を置き換えると、ラクナ梗塞リスクが低下した。

・しかし心原性の脳梗塞リスクだけは上昇した。とくに鶏肉を魚に替えた場合のリスクは1.42倍に跳ね上がった。

牛や豚 鶏の代わりに魚を摂ると、脳梗塞全体には影響なかったが、アテローム血栓性脳梗塞が減り、脂肪のおおい魚でラクナ梗塞も減った。しかし鶏肉を魚に替えると心原性脳塞栓症は増えた、


というおはなし。

図:肉を魚にしたときの脳梗塞リスク

感想:

魚に含まれるn-3不飽和脂肪酸をおおく摂りすぎると心房細動が増えるんだって。

2018年11月8日

性的少数者の脳卒中リスク


Cardiovascular Disease Disparities in Sexual Minority Adults- An Examination of the Behavioral Risk Factor Surveillance System (2014-2016)
2018  11月  アメリカ

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルといった性的少数者について関心が高まっている。

彼ら性的少数者と脳卒中など心血管疾患との関連についての研究はすくないのでくわしくしらべてみたそうな。


アメリカでの 電話による大規模な健康行動調査(Behavioral Risk Factor Surveillance System)の40万人近くのデータをつかって解析したところ、


次のことがわかった。

・男性はゲイが2.2% バイセクシュアルは1.5%で、女性はレズビアンが1.3%、バイセクシュアルが2.4% いた。

・性的少数者の男性は強い精神的ストレスやうつの率が高かった。

・異性愛者にくらべ ゲイの男性は現在喫煙者がおおく、肥満はすくなかった。

・性的少数者の女性の場合、強い精神的ストレス、うつ、現在喫煙、大酒飲み、肥満 がおおく、身体活動レベルは高かった。

・レズビアン女性は心臓発作はすくなく、バイセクシュアル女性には脳卒中がおおかった。

性的少数者の心血管疾患リスクは女性におおく、とくにバイセクシュアルの女性は脳卒中になりやすかった、


というおはなし。

図:ゲイ

感想:

LGBTをみとめることが進歩的とするさいきんの風潮にはどうしてもなじめない。

2018年11月7日

コクランレビュー:脳卒中の嚥下治療まとめ


Swallowing therapy for dysphagia in acute and subacute stroke
2018  10月  イギリス

脳卒中患者はしばしば嚥下障害を経験する。

嚥下障害により胸部感染症やQoLの低下、入院がながびくなどの問題が生じる。嚥下治療がこれらのリスクを下げ脳卒中からの回復をうながすと信じられている。

これまでの研究成果から脳卒中の嚥下障害の治療効果をまとめてみたそうな。


2018年6月までの関係する研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者2660人を含む41の臨床試験がみつかった。

・嚥下治療の種類として、鍼、行動介入、投薬、神経筋電気刺激、咽頭電気刺激、物理刺激、tDCS、TMS があった。

・これら嚥下治療は死亡者や障害者数を減らす効果はなかった。

・嚥下機能スコア "Penetration-Aspiration Score" を改善する効果もなかった。

・ しかし、入院日数が短くなったり、肺炎になりにくかったり、嚥下障害が軽くなったりした患者がいないわけではなかった。

・どの治療法がもっとも効果的かはあきらかでなかった。

・エビデンスレベルは非常に低かった。

脳卒中後の嚥下治療にはさまざまな方法があるが、いずれもあきらかな効果は確認されていない、


というおはなし。

図:嚥下障害


感想:

ほとんどお手上げ状態、よくて気のせいレベルの改善。自発的な回復を待つしかないってこと。

このレビューで論文数がいちばん多かったのが「鍼」という時点で推して知るべしか。

2018年11月6日

Stroke誌:超早期リハビリと認知機能


Early Mobilization After Stroke Is Not Associated With Cognitive Outcome
2018  9月  オーストラリア

脳卒中のあとの認知障害や認知症はめずらしくない。

いっぱんに身体活動レベルが高いほど認知機能も良好であると考えられている。脳卒中患者についても同様の傾向がみられるという。

しかし早期リハビリの認知機能への影響はわかっていない。動物実験ではポジティブな報告があるものの、人間では脳循環を低下させ かえって認知機能を悪化させる可能性もある。

そこで、脳卒中患者への超早期リハビリと認知機能の関連をAVERT研究のデータからしらべてみたそうな。


56施設の脳卒中で、認知機能検査スコア(Montreal Cognitive Assessment)30以下の患者2104人について、
24時間以内にベッドから離床させ座位、立位、歩行などを行う「超早期リハビリ」と通常ケアのグループにわけた。

3ヶ月後の認知機能との関連を解析したところ、


次のようになった。

・年齢や脳卒中の重症度で調整したところ、3ヶ月後の認知機能スコアは超早期リハビリグループと通常ケアグループでまったく差がなかった。

脳卒中急性期の患者をできるだけ早い時期に動かしてみたものの、その後の認知機能にはなんの影響もなかった、


というおはなし。

図:超早期リハビリと認知機能

感想:

超早期リハビリは「危険」という報告がおおいなか、認知機能が悪化しなかっただけマシ。
コクランレビュー:超早期リハビリは効果ないし危ない

【やはり】亜急性期のリハビリは効果ないうえに危険

nature.com:脳卒中の超早期リハビリ やる意味ない

Stroke誌:早期リハビリがんばる意味ない

超早期リハビリで死亡者続出 AVERT続報

ランセット誌:超早期リハビリぜんぜん効果ない
ほかにも↓
失語症の早期リハビリ まったく効果ない

超早期リハビリをやってはいけない理由

超早期リハビリには脳の細胞死を促す効果があった!

2018年11月5日

失語症は腕を動かして治す


Robotic Arm Rehabilitation in Chronic Stroke Patients With Aphasia May Promote Speech and Language Recovery (but Effect Is Not Enhanced by Supplementary tDCS)
2018  10月  アメリカ

脳卒中を経験すると運動機能や感覚、認知、コミュニケーションに障害をもつことがある。これらを個別にリハビリしてゆくのはとても骨が折れるので、一石二鳥に回復できる方法が望まれている。

2007年に、ロボット支援の上肢訓練とtDCS(経頭蓋直流電気刺激)の組み合わせで亜急性期脳卒中の失語症がよくなった、という報告があった。

これを慢性期患者でたしかめてみたそうな。


左脳の脳卒中で失語症の慢性期患者17人について、ロボット支援の右の上肢運動訓練を週3回x12週間おこなった。

訓練前にtDCSについて on/off のグループにわけた。

この間、失語症訓練は行わなかった。

訓練前後の失語症評価を比べたところ、


次のようになった。

・ぜんたいとして運動性発話能力(ディアドコキネシス)があきらかに改善した。

・失語症の 意味カテゴリー語想起(Category naming)と失語症評価(Western Aphasia Battery)スコアも改善した。

・tDCSは失語症の改善度にまったく関連しなかった。

上肢運動訓練がその領域をこえて失語症の回復をも促す可能性を示せた、


というおはなし。

図:上肢リハビリで失語症が回復

感想:

左腕を動かすと半側空間無視が治る、ってはなしと似ている。
左手を動かすと半側空間無視が改善するしくみをしらべてみた

左手を動かしてあげる → 半側空間無視対策

2018年11月4日

歯周病とラクナ梗塞の予後


Periodontitis as a risk indicator and predictor of poor outcome for lacunar infarct
2018  10月  スペイン

壊死組織のおおきさが1.5cm未満であるラクナ梗塞は脳小血管病に分類され 脳梗塞全体の25%を占める。

ラクナ梗塞はおおむね予後良好であるが、3分の1ほどは回復がよくない。そのリスク要因として高血圧や糖尿病が挙げられる。

さいきんのメタアナリシスでは、歯周病があるとアテローム血栓性の脳梗塞リスクが2.8倍になるという。

いっぽう歯周病と脳小血管病とその予後についての関係はよくわかっていない。そこで歯周病とラクナ梗塞についてくわしくしらべてみたそうな。


ラクナ梗塞の120人と健常者157人について歯周病の検査をおこない、3ヶ月後の回復不良者(mRSが2より大)との関連を解析したところ、


次のようになった。

・歯周病はラクナ梗塞患者にあきらかにおおく見られた。

・回復不良はラクナ梗塞の25.8%(31人)にみられ、そのうち90.3%は歯周病だった。

・歯周組織の炎症表面積が727mm2以上だとまずまちがいなく回復不良だった。

歯周病とラクナ梗塞は関連があった。歯周病が重いとラクナ梗塞の回復がよくなかった、


というおはなし。

図:ラクナ梗塞回復不良の歯周病率

感想:

脳内出血も脳小血管病だから関連あるだろね、、
Stroke誌:歯周病のグレードと脳梗塞リスク

2018年11月3日

シータバーストで半側空間無視がよくなる


The effect of theta-burst stimulation on unilateral spatial neglect following stroke- a systematic review
2018  10月  カナダ

半側空間無視の治療には視覚走査訓練、プリズムメガネ、アイパッチ、投薬などの方法があるがいずれも効果が短く、状況限定的である。

いっぽう非侵襲的な脳刺激法として経頭蓋磁気刺激(TMS)が治療に用いられることがある。これは脳半球間の拮抗モデルにもとずいて、片方の脳半球を活性化または抑制することで脳卒中によるバランスの崩れをただすという考え方で 半側空間無視にも期待されている。

さらに初期のTMSでは刺激パルスが単発的だったのにたいし、機器の進歩により高速にパルスを繰り出せるようになった。とくに可塑性が促されるとされる脳波のシータ波(4-7Hz)相当のリズムをもったTMSパルスの群れをシータバースト刺激(TBS)と呼ぶ。

シータバーストを間欠的(iTBS)または連続的(cTBS)にあたえる方法があり、それぞれシナプスの長期増強(LTP), 長期抑制(LTD)効果が得られるとされている。

そこで半側空間無視治療へのTBSの効果をこれまでの研究からまとめてみたそうな。


おもに脳卒中で半側空間無視になった患者へのTBS治療に関する論文を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者148人を含む9の論文がみつかった。

・8件がcTBSで1件がiTBSによるものだった。

・いずれの刺激法でも半側空間無視がおおきく改善していた。

・TBSに視覚走査訓練を加えてもさらなる改善は見られなかった。

・症状のとらえかたや治療手順に研究ごとのばらつきがおおきかった。

脳卒中の半側空間無視の治療にはシータバースト刺激が有効そうにみえた。しかしエビデンスの質は高いとはいえなかった、


というおはなし。

図:脳の可塑性

感想:

効果あるのかもしれんけど、1日ほんの数10分間の刺激を2週間やってもらうために なん10万円も支払うことが見合うのかどうか、、、が問題。
新しい磁気刺激治療法 シータバーストとはなんなのか

2018年11月2日

睡眠時間と脳卒中のまとめ


Self-Reported Sleep Duration and Quality and Cardiovascular Disease and Mortality- A Dose-Response Meta-Analysis
2018  10月  イギリス

睡眠が脳卒中など心血管疾患のリスク要因であるとする報告が数多くあがってきている。

しかしこれらの結果から適切な睡眠時間をガイドラインで勧めるまでには至っていない。

そこでこれまでの研究をまとめてみたそうな。


関係する研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のようになった。

・被験者300万人あまりをふくむ74の研究がみつかった。

・睡眠7時間にくらべ8時間を超えると総死亡リスクがあがり、

・9時間では1.14倍、10時間で1.30倍、11時間で1.47倍になった。

・7時間未満では脳卒中を含めて心血管疾患死亡リスクに時間ごとでおおきな差はなかった。

・主観的な睡眠の質が良くないと、冠動脈疾患のリスクのみが高かった。

睡眠時間が7-8時間の範囲からはずれるほどに心血管疾患や死亡のリスクが高かった。睡眠時間は短いよりも長いほうが状況は深刻だった、


というおはなし。

図:睡眠時間と総死亡リスク


感想:

これは因果関係をしめすものではない。

睡眠が長いのはべつの病気か、無職で貧困な鬱の引きこもり状態を反映してのこと、と考えることもできる。

だから睡眠時間を調節してもかならずしも問題の解決にはならない。

2018年11月1日

無煙タバコと脳卒中


Smokeless tobacco use and circulatory disease risk- a systematic review and meta-analysis
2018  10月  アメリカ

無煙タバコには嗅ぎたばこ(煙草葉の粉末を鼻から吸引するスナッフ(snuff)や粉末の小袋を歯茎にはさむスヌース(snus))と 煙草葉を直接口に含む噛みたばこがある。

これらの脳卒中などの循環器系疾患との関連について、最近の研究もふくめてメタアナリシスしたそうな。


関係する論文を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・17の研究がみつかった。

・無煙タバコ使用者は非使用者にくらべ、アメリカ人では心臓病リスクが1.17倍、脳卒中リスクが1.28倍になり、

・スウェーデン人ではこの関連はみられなかった。

アメリカの無煙タバコ使用者には心臓病や脳卒中リスクの上昇がみられた、


というおはなし。

図:禁煙

感想:

スウェーデンの無煙タバコにはヒ素やカドミウム、鉛といった毒性の高い物質の含有量が少ないからではないか、って言ってる。


電子式たばこや加熱式たばこは燃焼式ではないけれど無煙たばこというわけではないようだ。

電子式はベープ蚊取り器とおなじで人工合成された液体医薬品を蒸散させて吸う。加熱式は煙草葉そのものを熱するという違いがある。

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