2019年7月22日

JAMA誌:玉子はんぶん追加すると脳卒中とかで死ぬ


Associations of Dietary Cholesterol or Egg Consumption With Incident Cardiovascular Disease and Mortality
2019  3月  アメリカ

食事コレステロールと脳卒中など心血管疾患との関連についてはこの数十年間いまだ結論にいたっていない。

とくにアメリカ人向け食事ガイドラインが2015年に 通常の食事でのコレステロールの摂取上限を撤廃した時点からこの議論が再燃するようになった。

コレステロールをおおく含む食品は同時に飽和脂肪酸や動物性蛋白質もおおく含む。これら食品別の心血管疾患との関連もあきらかでなく、とくに玉子はLサイズ1個あたりコレステロールを186mg含むとされおもな摂取源となっている。

そこでコレステロールや玉子の摂取量と心血管疾患および死亡リスクとの関連を大規模にしらべてみたそうな。



アメリカ人 計29615人を17.5年間フォローした6種類の調査データを用いて解析したところ、



次のようになった。

・コレステロールと心血管疾患および死亡リスクは用量関係にあり、

・コレステロールが1日あたり300mgふえるごとに心血管疾患リスクは1.17倍、総死亡リスクは1.18倍になった。

・玉子も同様で、1日あたり半個の追加で心血管疾患リスクは1.06倍、総死亡リスクは1.08倍になった。

コレステロールや玉子をおおく摂るほど心血管疾患や死亡するリスクが高くなった、


というおはなし。

図:心血管疾患リスクと1日の玉子の個数



感想:

文春オンラインの記事が話題になっていて関心をもった。

JAMAは世界五大医学雑誌の1つだからツッコむスキがみつからない。

研究者ごとに結果が180度変わるようなテーマというのは、もともと因果関係のあやしい些細なもんだい ってことと理解している。

じっさいどれも↓結論がよわい。
玉子とコレステロールとapoE4と脳卒中

食事コレステロールがおおいひとの脳卒中リスク

まいにち玉子を食べるアジア人の脳卒中リスクは

玉子のコレステロールで血管詰まる説はなんだったのか?

2019年7月21日

脳卒中後の腸内細菌を長期観察


Persistence of Gut Microbiota Dysbiosis and Chronic Systemic Inflammation After Cerebral Infarction in Cynomolgus Monkeys
2019  6月  中国
腸脳軸(gut–brain axis)は免疫システムを介した腸と脳の双方向コミュニケーションを意味する。

脳卒中を経験すると腸内細菌の多様性やそれらの生成物、炎症因子のバランスがおおきく崩れるディスバイオシス(dysbiosis)がみられるという報告がふえている。

しかしこれら研究のおおくはネズミをつかった実験でしかもフォロー期間が短いためヒトへの解釈には制約がおおきい。

霊長類をつかえば免疫システムや遺伝構造、食事形態、神経系、消化管構造がヒトに近くネズミよりも参考になる。

そこでサルをつかって長期に腸内細菌叢の変化をしらべてみたそうな。



カニクイザル12頭のうち8頭を人為的に脳梗塞にした。4頭は手術のみでコントロールとした。

脳梗塞グループは1.5ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後に解剖して
腸内細菌叢およびその生成物である短鎖脂肪酸(酪酸butylateなど)や
炎症因子(D-lactate, zonulin,LPS, TNF-α,IFN-γ,IL-6)および
腸粘膜を組織分析した。



次のことがわかった。

・脳梗塞のあと腸内細菌の バクテロイデス、プレボテラがあきらかに増加して、フィルミクテス、フィーカリバクテリウム、オスシロスピラ、ラクトバシラスが減少した。

・6,12ヶ月後に腸内で産生される短鎖脂肪酸のおおきな減少がみられた。

・腸粘膜のダメージが確認され、

・調査した炎症因子のほとんどであきらかな増加があり、これらはバクテロイデスの増加と一致していた。

脳梗塞にしたサルで腸内細菌の多様性バランスが崩れ、腸粘膜が損傷し、全身性の炎症が確認された、


というおはなし。
図:腸内酪酸 脳卒中



感想:

1年経ってもおおきな影響があるのか。

腸内を整えるべく4月にヨーグルトメーカーを買ってから毎日0.5Lたべている。
すでにうんこ無臭化と便秘無縁を達成した。
脳卒中での腸内細菌の変化

脳卒中になる腸内環境

脳卒中は腸内細菌に影響し うんこ移植で治る

2019年7月20日

風力発電で脳卒中がふえる?


Association Between Long-Term Exposure to Wind Turbine Noise and the Risk of Stroke- Data From the Danish Nurse Cohort
2019  7月  デンマーク

交通(自動車、鉄道、飛行機)ノイズが高齢者の脳卒中リスク要因であることがわかっている。

ノイズによるストレスが全身によわい炎症反応をひきおこし最終的にコルチゾールが心房筋細胞に影響して脳卒中にいたるとも 考えられている。

風力発電ノイズ(wind turbine noise)についても同様の影響が予想されるが、これまで調査は1件しかなくサンプル数もすくない。

デンマークは2016時点で総電力の37.6%を風力でまかなっており2021までに50%超えを目指している。

さらに国民の12%が風力発電機から6キロ以内に居住していて、風力発電ノイズの健康への影響が関心の的になっている。

そこで 風力発電ノイズと脳卒中との関連を大規模にしらべてみたそうな。



デンマークの44歳以上の女性看護師23912人をおよそ20年間フォローした調査記録をもちいて、

風力発電ノイズ、交通ノイズ、大気汚染と脳卒中の発生との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・この間に1097の脳卒中がおきた。

・調査開始の1982年、居住地から6キロ以内に1基以上の風力発電機のある者は10.3%で、2013年には13.3%になっていた。

・風力発電ノイズのおおきさの平均は26.3dBだった。

・風力発電ノイズへの暴露期間を考慮しても脳卒中発生率とのあいだに関連はみられなかった。

風力発電ノイズへの長期暴露と脳卒中との関連は確認できなかった、


というおはなし。

図:風力発電



感想:

コペンハーゲン大学、国策に反するような結論はだせんわな。

福島医大ですら甲状腺がんふえても因果関係みとめないし、、
飛行機の騒音と脳卒中

交通騒音で頸動脈壁が厚くなるは本当か

交通騒音と脳卒中について

道路交通騒音と大気汚染 脳卒中的にどっちが深刻なのか

空港の近所に住んでいると脳卒中になりやすい

2019年7月19日

脳卒中やったひとの障害余命


Disabled life expectancy with and without stroke- a 10-year Japanese prospective cohort study
2019  7月  日本

日本で脳卒中は死亡原因の4位である。脳卒中経験者の3分の1は永続的になんらかの障害を負うという。

平均寿命が長い日本では彼らへの長期のケアが必要になり社会経済的な負担もおおきい。

そこで障害をもった状態での余命(disabled life expectancy)が脳卒中経験の有無でどのくらいかわるものなのか くわしくしらべてみたそうな。



1999-2009に日本大学がおこなった Nihon University Japanese Longitudinal Study of Aging (NUJLSOA)のデータを用いて解析した。

障害の有無はADL(入浴、着替え、ベッド移動、歩行、外出、トイレ)と
IADL(食事の準備、買い物、金銭管理、電話の使用、軽い家事、交通機関の使用、服薬)のいずれか1つが困難な場合とした。



次のことがわかった。

・もともと障害のなかった者が脳卒中を経験したばあい、65歳時点での平均余命は、脳卒中非経験者にくらべて、トータルで3年短く、障害フリーな年数(健康余命)は4-5年短く、有障害状態での年数は1-2年おおいと推定された。

・調査開始時点ですでに障害があった者では状況は若干わるかった。

脳卒中を経験した高齢者のトータルの平均余命と健康余命は 脳卒中非経験者にくらべ数年短く、障害余命は1-2年長いと考えられた、


というおはなし。

図:脳卒中 障害


感想:

たいした違いに思えない。高齢者にとって脳卒中はおもったより悲惨な病気ではないのかもしれない。
脳卒中 縮む余命は 約10年

2019年7月18日

小脳の梗塞で感情を読み取れなくなる?


Cerebellar contribution to vocal emotion decoding- Insights from stroke and neuroimaging
2019  7月  スイス

大脳皮質にふくまれる神経細胞はその体積の20%程度にすぎない いっぽう、小脳はおよそ70%が神経細胞でその数は680億個以上あるという。

小脳と非運動系の機能 とくに感情のはたらきとの関連は70年代に指摘されてはいたものの長らくみすごされてきた。

最近になり小脳と感情認識についての報告がふえ、小脳後部との関連が指摘されている。

音声感情(vocal emotion, emotional prosody)認識についての研究はまだ結論がでていないので小脳梗塞の患者をつかってくわしくしらべてみたそうな。



慢性期の小脳脳卒中患者15人と年齢 性別のいっちする健常者15人について、

感情(怒り、恐怖、幸福、中立、悲しみ、驚き)を載せた音声を聴かせたときの感情認識精度(エラー率)を計測し、小脳の梗塞位置との関連を 病巣-症状マッピング(Voxel‒based Lesion Symptom Mapping)で解析したところ、



次のことがわかった。

・脳卒中患者と健常者であきらかな違いがみられ、とくに「恐怖」を「驚き」と認識するエラー率が非常に高かった。

・これら感情認識エラーは、右小脳の VIIb, VIII , IX での梗塞と関連が見られた。

小脳梗塞の患者は音声から感情を読み取る際に恐怖を驚きと間違えてしまいがちだった。これには小脳後部が関連しているとかんがえられた、


というおはなし。

図:小脳の音声感情認識力


感想:

小脳と感情がからんでるなんて知らなかったよ。
JAMA Neurol.:小脳への磁気刺激で歩行リハビリ

小脳梗塞になった御犬様の症状とは

鍼治療の「得気」は小脳のはたらきだった

小脳、脳幹の梗塞って重症なんですか?

2019年7月17日

脳卒中で長生きに必要な栄養素2つ


Controlling Nutritional Status (CONUT) Score as a Predictor of All-Cause Mortality at 3 Months in Stroke Patients
2019  7月  スペイン

脳卒中患者の栄養不良はめずらしくなく 彼らの回復はわるく死亡率も高いという。

患者の栄養状態は見過ごされがちで 脳卒中に適した栄養評価方法がきまっているわけでもない。

この1-2年間に Controlling Nutritional Status (CONUT)スコアが脳卒中患者の栄養評価に適しているとする報告がNaitoさんとIwakamiさんによってなされた。

これをたしかめるべく3ヶ月後の脳卒中死亡リスクをCONUTスコアで評価してみたそうな。



平均年齢78、急性脳卒中の患者164人を入院時にCONUT評価した。

彼らの3ヶ月後の状態との関連を解析した。

CONUTは血中のアルブミン、リンパ球数、総コレステロール値の3つのみで栄養不良度をスコア化する。それぞれの数値が低いほどスコアは高い。総スコアが0(ゼロ)なら栄養状態は正常。



次のようになった。

・CONUTスコアは 患者の89.6%が低スコア、10.4%が高スコアの栄養不良と分類された。

・3ヶ月後、17.1%(28人)が死亡し このうち28.6%(8人)がCONUTスコア「高」の患者だった。

・時間と生存率とのカーブを描いたところ、CONUTスコア高と低であきらかに異なるパターンがえられた。
CONUTスコアは脳卒中患者の3ヶ月後の総死亡率を反映していた、

図:CONUTスコアと脳卒中生存率



感想:

CONUTスコアしらなかった。

ようするに たんぱく質とコレステロールをがっつり摂っていさえすれば長生きするってこと。わかりやすい。
入院中の栄養不良率 in Japan

脳卒中の栄養療法

脳梗塞になったらたんぱく質をがっつり摂るべき理由

2019年7月16日

サプリメントと脳卒中のアンブレラレビュー


Effects of Nutritional Supplements and Dietary Interventions on Cardiovascular Outcomes- An Umbrella Review and Evidence Map
2019  7月  アメリカ

栄養補助食品(サプリメント)や栄養指導(dietary intervention)の心血管疾患予防効果はいまだあきらかではない。

これらのエビデンスを検証するためにメタアナリシスのメタアナリシスであるアンブレラレビューをこころみたそうな。


関係するランダム化比較試験のメタアナリシスを複数のレビュワーが厳選し データを統合再解析したところ、



次のことがわかった。

・被験者992129を含む、9のシステマティックレビュー、4の新規RCT、105のメタアナリシスを対象とした。

・減塩が正常血圧者の総死亡リスクを下げ 高血圧者の心血管死亡リスクを下げるという中レベルのエビデンスがあった。

・オメガ3多価不飽和脂肪酸が心筋梗塞と冠動脈疾患リスクを下げるという低レベルエビデンスがあった。

・葉酸は脳卒中リスクの低下に関連する低レベルエビデンスがあるいっぽう、カルシウムとビタミンDの組み合わせは脳卒中リスクを上げるという中レベルエビデンスがあった。

・他のサプリメント(ビタミンB6,マルチビタミン、抗酸化物質、鉄)や低脂肪食といった指導には死亡率と心血管疾患へのあきらかな効果は認めれなかった。

減塩、オメガ3多価不飽和脂肪酸、葉酸には若干の心血管疾患予防効果がみとめられた。カルシウムとビタミンDの組み合わせは脳卒中リスクの上昇になるかも、


というおはなし。
図:サプリメント


感想:

塩がサプリメント扱いな点が新鮮だった。

アンブレラレビューといえば、、
理学療法とADLのアンブレラレビュー

2019年7月15日

脳卒中患者にしめるがんの率


Cancer prevalence higher in stroke patients than in the general population; Dutch PSI Stroke study
2019  7月  オランダ

がんと心血管疾患は世界の死因1,2位を占める。がん患者の解剖研究によると15%に脳血管障害の痕跡が確認できたという。

がんがあると血液が凝固亢進状態になり血栓性内膜炎や血管の圧迫がおきる。また治療での放射線や抗がん剤の毒性が脳卒中の原因になりうる。

そこで、脳卒中患者に占めるがんを有する者の率とその種類について大規模にしらべてみたそうな。



脳梗塞またはTIAの患者2736人について、面談と医療歴からがんの有無を判定した。

これを一般人で予想されるがん患者数で割った標準化有病比(Standardized Prevalence Ratio’s:SPR)をがんの種類別にもとめた。


次のようになった。

・12%にがん歴があった。このときのSPRは1.2だった。

・がんの種類別では、中枢神経系がん SPR18.2、頭頸部がんSPR3.4、下部気道がんSPR2.4,尿路がんSPR2.1だった。

・他のがんで一般人よりおおいものはなかった。

・心血管リスク要因、脳卒中の原因、治療、回復いずれもがんの有無でちがいはなかった。
脳卒中患者において、おもに中枢神経系、頭頸部、下部気道、尿路のがんが高率にみられた、


というおはなし。

図:ガン告知



感想:

どっちも老化の病だから高齢になると両方やってもふしぎではない。

最後は脳内出血でむかえたいものだ。
脳卒中のあと がんになりやすいは本当?

脳卒中後のがんは6ヶ月以内にみつかりすでに手遅れ

がんの宣告を受けると脳梗塞になる

軽い脳梗塞とホッとしていたのも束の間 実はガンでしたと告げられる患者の割合と見分け方

若い脳梗塞患者でガンで亡くなってしまう人の特徴

なぜ脳梗塞患者はガンになりやすいのか

2019年7月14日

メタンフェタミンで脳内出血 その予後


Clinical characteristics and outcomes of methamphetamine-associated intracerebral hemorrhage
2019  7月  アメリカ

メタンフェタミンは全世界で3500万人が利用するとされる中毒性の非常の高い薬物である。

神経精神学的毒性のほかに心血管疾患とくに脳卒中(脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血)のリスク要因であることがわかっていて、メタンフェタミン利用者の脳出血リスクは一般人の2-5倍にのぼる。

しかしメタンフェタミン利用下での脳内出血の症状の特徴および回復の良し悪しについてはよくわかっていないので くわしくしらべてみたそうな。



カルフォルニア大学デイビスメディカルセンターの2013-2016の脳内出血患者250人の記録を解析した。

入院時の尿検査でメタンフェタミン反応の陽性 陰性と他の変数との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・患者の16.4%でメタンフェタミン陽性反応がでた。

・彼らは若く 平均年齢52 vs 67、

・拡張期血圧が高く 115 vs 101、

・入院日数もICU日数も長く、

・皮質下出血がおおかった 63% vs 46%。

・また彼らは退院までの回復度mRSスコアの変化がおおきかった。

メタンフェタミン利用中に脳内出血になる患者は若年者がおおく、入院期間はながかった。しかし回復度はおおきく、回復不良にはなりにくかった、


というおはなし。
図:メタアンフェタミン中毒



感想:

この種の薬の副作用をうまくコントロールできたものが向精神薬とされ合法入手できるものもある。受験生やビジネスマンには「スマートドラッグ」として人気という。
脳卒中とメタアンフェタミンの関係

2019年7月13日

麻痺のちいさいほうの上肢のスキル習得能力は


Deficit of Motor Skill Acquisition on the Upper Limb Ipsilesional to the Injured Hemisphere in Individuals with Stroke
2019  7月  韓国

脳卒中リハビリテーションのほとんどは麻痺した側の手脚をターゲットにしておこなわれる。

しかし麻痺していないはずと考えられてきた損傷脳半球と同側の手脚にも若干の運動障害が認められるとする報告が近年ふえている。

これらは筋力低下、感覚低下、巧緻性の障害にみられ その報告範囲も拡大傾向にある。

運動スキル習得(Motor Skill Acquisition)能力については報告がないので実験してみたそうな。



慢性期脳卒中で片麻痺の18人と年齢 性別の一致する一般人18人について、

損傷脳半球と同側の上肢をつかって、

15秒の視空間追跡タスク(サインウェーブを指でなぞる)を50回繰り返し、
その精度指標の時間変化をフォローして比較した。



次のようになった。

・両グループともに繰り返し回数にしたがってスキル(精度指標)の向上がみられた。

・しかしスキル向上度は脳卒中経験者よりも一般人のほうがおおきかった。

・繰り返し回数にたいする時間的変化パターンもあきらかに異なっていた。

脳卒中経験者の同側上肢の運動スキル習得能力が一般人におとることがわかった、


というおはなし。

図:上肢運動精度指標 脳卒中経験者と一般人


感想:

できる方の手は、できない方の手に気を使ってわざと能力を低くみせている。こうすることで できない方の手がやる気を失わずにすむ。

麻痺がおよんでいないはずの手の機能と左右脳との関係

麻痺してない上肢はほんとうに麻痺していないのか?

損傷脳半球と同側の感覚障害について

麻痺していない手の機能も低下するものなのか

たとえば左手が麻痺した場合、右手は健常だと言えるのかい?

2019年7月12日

二重課題エクサゲームで転倒予防訓練


Cognitive-motor exergaming for reducing fall risk in people with chronic stroke- A randomized controlled trial
2019  6月  アメリカ

脳卒中患者の40-70%は転倒を経験するという。脳卒中患者は認知と運動の二重課題下でいずれかもしくは両方のパフォーマンスが低下することがわかっていて、転倒のリスク要因と考えられる。

VRゲームをつかった運動訓練(エクサゲーム:exergaming)に認知課題を重ねることでバランス能力をより改善できるものか実験してみたそうな。



慢性期脳卒中で自立歩行のできる片麻痺患者24人を、

認知-エクサゲームグループと通常バランス訓練グループにわけて6週間の訓練をおこなった。

エクサゲームにはNinteno Wii fit を使用し、ゲームソフト Bub-ble Balance, Table Tilt, Tight-Rope Walking, SoccerHead, Basic Run, Basic Step について認知課題を与えながらプレイさせた。



次のようになった。

・床がいきなり動き出す状況での二重課題下では エクサゲームグループは運動能力および認知能力が改善し、通常訓練グループは、運動能力のみ改善した。

・自分の意思で重心移動をする状況での二重課題下ではエクサゲームグループでのみ運動能力の改善がみられた。
エクサゲームを使った認知-運動訓練はバランスと認知コントロールの改善に効果的かも、


といういおはなし。

図:脳卒中のエクサゲーミング


感想:

完全没入型VRで高層ビルの屋上の縁を歩かせれば(←動画リンク)バランス鍛えられるとおもうよ。
完全没入型バーチャルリアリティ上肢リハビリ

2019年7月11日

「喫煙で脳動脈瘤が破れる」は勘違い


Association of single and multiple aneurysms with tobacco abuse- an @neurIST risk analysis
2019  7月  スイス

未破裂脳動脈瘤は成人の3.2%にあるとされ、画像診断技術の進歩により発見されるケースは増加傾向にある。

これら未破裂脳動脈瘤をすぐに治療するべきか経過観察するべきかはおおくの要因にかかっている。その1つは喫煙と考えられる。

これまでの研究のメタアナリシスでは、喫煙習慣は 改善可能なもっともおおきなくも膜下出血のリスク要因であることを示唆している。

しかし最近では喫煙と脳動脈瘤の破裂との関連を示さない報告がいくつかでてきた。


そこで、スイスの未破裂脳動脈瘤のデータベース @neurIST をもちいて喫煙と脳動脈瘤の形成そして破裂(くも膜下出血) との関連を大規模にしらべてみたそうな。



次のことがわかった。

・未破裂脳動脈瘤の1410人を一般人30万人とくらべたとき、喫煙者率は脳動脈瘤患者で高かった。(56.2% vs. 51.4%)

・喫煙は脳動脈瘤の存在とあきらかに関連し、多発性脳動脈瘤とも関連していた。

・喫煙の期間と多発性脳動脈瘤リスクとに関連がみられた。

・しかしくも膜下出血をおこした(破裂)患者での喫煙者率は未破裂患者のそれと同じだった。

喫煙は脳動脈瘤の形成に関連していた。しかし喫煙で脳動脈瘤の破裂リスクが上がるわけではなかった。喫煙期間が長いと多発性脳動脈瘤になりやすかった


といういおはなし。

図:脳動脈瘤の破裂リスクと喫煙



感想:

MRIが普及して未破裂脳動脈瘤をフォローできるようになったからこその知見だな。

2019年7月10日

たばこの神経保護効果 脳内出血での


Effect of Cigarette Smoking on Functional Outcomes in Patients with Spontaneous Intracerebral Hemorrhage
2019  7月  アメリカ

脳内出血は年間10万人あたり15-25人におき、死亡と長期障害の率が脳卒中のなかでもっとも高い。

脳内出血から1時間以内に脳組織の炎症がみられ数日から数週間つづく。

喫煙が脳卒中のリスク要因の1つであることはあきらかではあるが、たばこに含まれるニコチンの神経保護作用についてはよく知られていない。

自律神経系のニコチン-アセチルコリン受容体 (nAChR)がコリン作動性抗炎症経路(cholinergic anti-inflammatory pathway)を刺激して脳内出血の神経症状が改善されたとする動物実験がいくつかある。

この効果が臨床的に観察できるものか、たしかめてみたそうな。



2009-2017の脳内出血患者545人ぶんの記録について、

発症直前まで(30日以内)喫煙していた、または
喫煙していなかった(非喫煙者、元喫煙者)、に分けて

90日後の回復が「良好」(mRS 0-2)もしくは「非常に良い」(mRS 0-1)になった率を求め、
バーセルインデックスや院内死亡率との関連も解析したところ、



次のことがわかった。
・60人が直前まで喫煙していた。

・喫煙していなかったグループにくらべ直前まで喫煙していたグループの回復良好率は高く 35% versus 23%、非常に良い率は 25% versus 13% だった。

・非喫煙者とくらべても同様の比率だった。

・これらの違いは患者ごとのもとの状態(年齢など)を考慮すると有意差ではなくなった。

・90日後のバーセルインデックス、死亡率もグループ間であきらかな差はなかった。

ニコチンの神経保護効果があるようにみえるが、実際は喫煙の害がうわまわるようだ、


といういおはなし。

図:たばこの喫煙



感想:

喫煙グループは患者年齢が10若い(上図)。回復が良くてとうぜんってことかね。
たばこや酒やってた人の脳内出血予後は

くも膜下出血のあと禁煙するべきでない理由

【ニコチン療法】ニコレットを貼ると半側空間無視が改善することが判明

2019年7月9日

軽い脳梗塞で認知障害の率とその後


The development of cognitive and emotional impairment after a minor stroke. A longitudinal study
2019  7月  ノルウェー

脳梗塞のほとんどを占める軽症(NIHSS 5以下)の患者は感覚運動症状も軽く 急速に回復する。

さいきんこれらの軽症患者であっても認知機能の低下がながく続くとする報告が増えてきた。

さらにうつや不安といった心理症状も多いことがわかってきたが、それら認知機能低下や心理症状の3ヶ月を超えた回復についての報告はほとんどない。

そこで軽い脳梗塞のあとの認知障害の率とうつ 不安などの3ヶ月から12ヶ月にかけての改善可能性についてくわしくしらべてみたそうな。



軽症脳梗塞患者324人について複数の認知機能テストと、うつ 不安 疲労をしらべるアンケートを3ヶ月後、12ヶ月後に行った。



次のようになった。

・認知障害を示すテスト項目数の平均値はこの間に有意に改善(1.8→1.7)していた。

・しかしほとんどの患者は12ヶ月後も認知障害を示し その率は35.4%だった。

・認知機能テストのいくつかの項目は高血圧や喫煙とあきらかな関連をしめした。

・うつの率は増加傾向にあった。

・疲労を示す率は12ヶ月後も29.5%と高いまま変わらなかった。

軽症脳梗塞の認知機能は3ヶ月以降も改善傾向にあったものの、認知障害をしめした患者の率は高いままだった。さらにうつは増加傾向にあり 疲労率は高いままだった、


というおはなし。
図:認知障害


感想:

どうやら minor stroke と mild stroke は別で、重症度的には minor<mild のようだ。

軽度なのに認知障害→睡眠が短かった

無職で軽い脳卒中 2年後の認知障害

軽症なのにすぐにボケてしまう脳卒中患者を簡単に判別する方法が判明

2019年7月8日

「認知症というほどではない認知障害」の率


Systematic review and meta-analysis of the prevalence of cognitive impairment no dementia in the first year post-stroke
2019  6月  アイルランド

脳卒中のあとの認知障害は珍しくないが、その有病率については確かなエビデンスがまだない。

前回のシステマチックレビューでは認知症率が26.5%という結論が得られているものの、「認知症というほどではない認知障害」(cognitive impairment no dementia:CIND)の率についてはあきらかなっていない。

というのも通常用いられる軽度認知症(mild cognitive impairmen:MCI)の評価方法はアルツハイマー病患者を想定していて日常生活動作に問題がないことが条件になってるため脳卒中患者の評価には適しておらず最近では代わりにIADLを使う、などの判定基準上の問題も考えられる。

そこで、これまでの研究から初回または再発の脳卒中のあと12ヶ月間に、認知症判定にはいたらなかった認知障害をしめすすべての患者の率についてメタアナリシスをこころみたそうな。



1995-2017の関係する論文を検索して、7000のアブストラクトから1028の論文にしぼり内容を精査したところ、



次のようになった。

・23の論文を厳選した。これらのデータを統合 再解析したところ、

・CINDの有病率は38%だった。

・異質性の低い5論文に限定しても有病率はおおきくは変わらず、39%をしめした。

脳卒中のあと1年間に「認知症というほどではない認知障害」を示す患者は10人中4人いることがわかった、


というおはなし。

図:cognitive impairment no dementia



感想:

脳卒中やるまえはRAMが4GBくらいあったけど、いまは1GBしかない感じ。
ウィンドウを2枚ひらくと動作が凍りつく。

2019年7月7日

運動イメージ訓練の上肢リハビリ効果


Efficacy of motor imagery additional to motor-based therapy in the recovery of motor function of the upper limb in post-stroke individuals: a systematic review
2019  7月  ブラジル
脳卒中経験者の85%は上肢機能になんらかの障害をもつとする報告がある。その回復は神経可塑性によることになるが、これを促す方法の1つとして運動イメージ訓練(motor imagery)がある。

腕や指を「動かそう」という意思だけで、関連する脳のネットワークが活性化するとされている。

やり方には2種類あって、心の中で一人称視点で動作をシミュレートするものと、一人称または三人称視点で視覚化された動作パフォーマンスを観察する方法がある。

今回、通常のリハビリに運動イメージ訓練を組み合わせたときの効果についてのこれまでの研究のシステマチックレビューをこころみたそうな。



脳卒中上肢麻痺への運動イメージ訓練に関係するランダム化比較試験を厳選して、その効果とエビデンスの質を評価したところ、



次のようになった。

・被験者104人を含む エビデンスレベル(PEDroスコア)中-高 の4つの研究に絞り込んだ。

・すべての研究で統計学的有意な上肢運動機能の改善が見られた。

・肘や手首、指の曲げ伸ばしといった総体的な運動機能の向上は全研究でみられたものの、

・髪をまとめたり 物を取ったりする日常生活動作の向上がみられたのは1つの研究のみだった。

通常の上肢リハビリへの運動イメージ訓練の追加が効果的である とする確かなエビデンスが存在する。より効果的な訓練頻度や手法の研究が期待される、


というおはなし。
図:運動イメージ訓練研究のPEDroスコア



感想:

数あるリハビリ法のうち、もっとも成果をあげているのが運動イメージ訓練(イメージトレーニング、メンタルプラクティス、メンタルリハーサルともいう)なんやで。
磁気刺激上肢リハビリに運動イメージ訓練を足してみた

中低所得国で成果をあげている脳卒中リハビリとは

メンタルプラクティスの上肢リハビリ効果

上肢の運動イメージ訓練とネットワーク変化

2019年7月6日

クロスエデュケーション+ミラーセラピーで背屈筋アップ


Unilateral dorsiflexor strengthening with mirror therapy to improve motor function after stroke- A pilot randomized study
2019  7月  アイルランド

クロスエデュケーションは片側の手脚を鍛えると もう片方の手脚にも筋力増強効果が現れる現象で、脳卒中患者の下肢では30%を超える背屈筋力向上の報告もある。

いっぽうミラーセラピーではミラーニューロンシステムの活性化により両側の一次運動野の働きが強化され、さらに鏡像による感覚フィードバックは脳半球抑制バランスを改善するという。

これまでクロスエデュケーションとミラーセラピーを組み合わせた研究は少ないので、下肢についてその効果をくわしくしらべてみたそうな。



平均年齢62の慢性期の脳卒中経験者35人について、
クロスエデュケーションのみ、と
クロスエデュケーション+ミラーセラピー、の2グループにわけた。

非麻痺足首の背屈筋アイソメトリックトレーニングを週3回x4週間おこなった。

最大随意筋力 MVC、
歩行速度 10-m walk test,
timed up and go (TUG),
Modified Ashworth Scale (MAS),
London Handicap Scale (LHS)
をトレーニング前後で測定したところ、



次のようになった。
・31人が訓練を完遂し、有害事象はなかった。

・クロスエデュケーション+ミラーセラピーグループで、歩行速度のあきらかな向上(0.09m/s)がみられた。

・歩行速度を除いていずれの項目もグループ間での有意な差はなかった。

クロスエデュケーションにミラーセラピーを組み合わせた訓練は、麻痺側の訓練がむつかしい患者の運動機能を改善できるかもしれない


というおはなし。

図:ミラーセラピーとクロスエデュケーション



感想:

効果のほどはそれほどではないにしても、麻痺側をひたすら訓練させるような考え方にくらべたらずっと好感がもてる。
ミラーセラピーは両側性転移を促す

ミラー訓練がクロスエデュケーションを強化する...

上肢ミラーセラピーの効果的なやり方

2019年7月5日

ベジタリアン食は脳卒中予防にいいの?


Relation of Vegetarian Dietary Patterns With Major Cardiovascular Outcomes- A Systematic Review and Meta-Analysis of Prospective Cohort Studies
2019  6月  カナダ

ベジタリアン食では家畜肉を摂らないほかに 魚や乳製品 玉子も除く場合もある。

ベジタリアン食にすると食物繊維、抗酸化物質やファイトケミカル、植物性タンパク質がふえることになる。
そして飽和脂肪酸がへる。

これまでベジタリアン食は冠動脈疾患の予防に良いとされてきたが脳卒中や心血管疾患全体との関連はよくわかっていなかったので、メタアナリシスをこころみたそうな。



ベジタリアン食の有無と、すくなくとも心血管疾患、冠動脈疾患、脳卒中のいずれかを1年間以上フォローした過去の研究を複数のレビュアーが厳選して

データを統合 再解析したところ、



次のことがわかった。

・被験者197737人 8430イベントを含む7の研究がみつかった。

・ベジタリアン食は冠動脈疾患の死亡および発生リスクの低下とあきらかな関連をしめしたが、

・心血管疾患および脳卒中の死亡リスクの有意な低下はみられなかった。

・エビデンスの確実性は「非常に低い」と判定された。
非常に低質なエビデンスではあるがベジタリアン食は冠動脈疾患の死亡と発生リスクの低下と関連し、脳卒中や心血管疾患全体との関連はみられなかった、


というおはなし。

図:ベジタリアン



感想:

ベジタリアン食にこだわるとあぶない。10年くらい続けていたらコレステロールが下がりすぎて脳が血を吹いた。

そのあたりの知識は人一倍詳しいとおもっていただけに恥ずかしい。

2019年7月4日

刺激豊富な環境は遅くても間に合うの?


Delayed exposure to environmental enrichment improves functional outcome after stroke
2019  6月  中国

脳卒中のあと刺激豊富な環境(enriched environment)に曝すと回復が促されるとする動物実験の報告がおおくある。

これら報告のほとんどは脳卒中の早期に適用したもので、臨床応用を考えると24時間以内の暴露を想定することになり現実的ではない。

では刺激豊富な環境へおくタイミングを遅らせた場合の神経 認知機能、神経形成についてはよくわかっていないので実験してみたそうな。



人為的に右脳を虚血/再灌流したネズミを、5日後から通常環境と刺激豊富な環境の2グループにわけた。

刺激豊富な環境グループには広いケージ、おおくのネズミ、遊具、はしご、ハンモック、トンネルなどを置き、それらの設置を毎日変更した。
水と食事内容は通常環境グループと同じにした。

神経症状テスト:Modified neurological severity score (mNSS)
空間学習 記憶テスト:Morris water maze task
神経形成と分化 移動の観察:Immunofluorescence
発現タンパク質解析:Western blot analysis

をしらべて比べたところ、


次のことがわかった。

・遅れ刺激豊富な環境グループでは神経機能と記憶障害の程度がちいさく、

・海馬の神経形成とシナプス形成がすすみ、

・脳室下帯での神経新生と損傷部位への移動が促された。

・これらにはHDAC2, synapse-associated proteins 、BDNFといったタンパク質の関与が推測された。

脳卒中のあと遅れて刺激豊富な環境に曝したばあい、機能回復が持続し、海馬の神経形成とシナプス形成がすすみ、損傷部位への神経芽細胞の移動が促された、


というおはなし。

図:刺激豊富な環境



感想:

同病の仲間とおしゃべりして、他人にかまってもらいながらひろいスペースを動き回りあとはゲームや本 テレビを見て過ごす。

まんまリハビリ病院の環境なんだな。

2019年7月3日

皆とならちゃんと食べてくれるかな


Acute stroke patients not meeting their nutrition requirements- Investigating nutrition within the enriched environment
2019  6月  オーストラリア

栄養不良の脳卒中患者は合併症が増え 回復がわるく入院期間が長いという。

かといってサプリメントはエビデンスが乏しいし 経管栄養はだれにでも使えるわけでもない。

身体、認知、社会的な刺激をもたらすいわゆる 刺激豊富な環境(enriched environment)環境に患者をおくと回復が促されるという報告がおおくある。

そこで刺激豊富な環境下で脳卒中患者の栄養摂取がすすむものか、くわしくしらべてみたそうな。



脳梗塞または脳出血から24-72時間の患者で、じぶんでベッドと椅子を移動できる程度に症状のかるい60人を、通常ケアと刺激豊富な環境グループにわけた。

刺激豊富な環境グループでは、
朝食と昼食を仲間がいる共有スペースで摂り、
食事をサポートするアシスタントがつく。
ベッドサイドには栄養摂取に関する啓発資料が備えられ、
栄養知識に詳しいナースが直接指導に訪れる。

残飯から栄養摂取量(熱量とタンパク質)を評価し、栄養不良度は体重から評価した。

6週間の介入の前後で比較したところ、



次のようになった。

・通常ケアと刺激豊富な環境の両グループともに熱量とタンパク質のいずれも必要量の7割ほどしか摂れていなかった。

・平均体重もそれぞれ0.92Kg ,0.64Kg減少し、

・栄養不良率もそれぞれ、3.3%→26.6% 、6.6%→13.3%に増加した。
急性脳卒中患者は必要とする栄養摂取ができておらず、体重が減少した。刺激豊富な環境は栄養摂取にかんしてなんの効果もなかった、


というおはなし。

図:栄養不良



感想:

脳卒中になりたての患者がそれまでとおりに食がすすむと考えるほうがどうかしてるとおもうよ。

2019年7月2日

Neurology誌:認知機能の低下スピード 脳卒中前後で


Progression of cognitive decline before and after incident stroke
2019  7月  イギリス

脳卒中になると急な認知機能の低下が見られ、のちの認知症のきっかけになると考えられている。

脳卒中と認知機能低下についての調査のおおおくは脳卒中のあとをしらべたものがおおい。脳卒中まえの認知機能低下を評価したものは少なく しかも結論が一致していない。


そこで脳卒中をきっかけに認知機能の低下傾向がどのように変化するものか、英国縦断的高齢化調査(English Longitudinal Study of Aging:ELSA)のデータをもちいて大規模にしらべてみたそうな。



脳卒中や認知障害歴のない平均年齢63の9278人について、認知機能と脳卒中の有無を12年間フォローしたところ、



次のことがわかった。

・5.1%が脳卒中を経験した。

・彼らの認知機能は、脳卒中を経験しなかった者にくらべると、

・認知機能全般、記憶、言語流暢性、時間見当識の順に、

・脳卒中の前後でその低下度は 0.029→0.064, 0.016→0.046, 0.022→0.033, 0.024→0.037 SD/y だけおおきくなり、

・脳卒中のタイミングではそれぞれ 0.257, 0.150, 0.121, 0.272 SD だけ低下した。

脳卒中を起こすひとは脳卒中になる前もあとも認知機能の低下スピードが大きかった、


というおはなし。

図:脳卒中前後での認知機能の低下スピード



感想:

同じようなグラフを思い出した。↓
Stroke誌 : 脳卒中後の認知機能低下の特徴

2019年7月1日

Stroke誌:脳卒中のきっかけになる感染症の種類


Infection as a Stroke Trigger
2019  6月  アメリカ

感染症は脳卒中の発生を促すと考えられおおくの研究がなされてきた。

しかし感染症の種類や脳内出血とくも膜下出血の区別をした調査はほとんどない。

そこで発症前の感染症暴露期間もふくめてくわしくしらべてみたそうな。



ニューヨークの患者データベースから2006-2013の記録を用いて、

感染症の種類(皮膚、尿路、敗血症、腹部、呼吸器)および
脳卒中の種類(脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血)

と、発症直前の感染症暴露期間として 7, 14, 30, 60, 90, 120日間との関連を、
その1年前の状況をコントロールとして解析したところ、



次のことがわかった。

・152356の脳梗塞と、27257の脳内出血、11853のくも膜下出血があった。

・すべての種類の感染症が急性脳梗塞の可能性の上昇と関連があった。

・とくに尿路感染症との関連がもっとも強く、直前7日間の暴露でオッズ比5.32だった。

・脳内出血と尿路感染症との関連は弱く、直前14日間の暴露でオッズ比1.54だった。

・呼吸器感染症のみがくも膜下出血と関連し、直前14日間の暴露でオッズ比1.95をしめした。

すべての種類の感染症が急性脳梗塞と関連していた。とくに尿路感染症がもっとも強い関連をしめした、


というおはなし。

図:感染症とくも膜下出血リスク



感想:

尿路感染症て、地味な印象だけどこわいのね。

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