2018年2月3日

感覚遮断が脳の可塑性をうながす理由


Sensory deprivation after focal ischemia in mice accelerates brain remapping and improves functional recovery through Arc-dependent synaptic plasticity
2018  1月  アメリカ

脳卒中のあとの手足の麻痺からの回復はダメージをうけた脳皮質周辺での機能の再編能力にかかっている。

このプロセスをうながすべくネズミのヒゲを刈り取り無感覚にすることで脳に機能的空きスペースを作ってみたそうな。


人為的に脳梗塞にして右前足を麻痺させたネズミを用意して、
半数のネズミについて損傷脳と反対がわのヒゲを刈り取り触覚刺激が得られないようにした。

これを8週間フォローして左右前足の使用頻度と脳皮質活動の分布をしらべたところ、


次のことがわかった。

・直後は両グループともに麻痺していない左の前足を使っていた。

・しかし4週間後、ヒゲなしグループでは右前足を使い始め、

・8週間後には左右の前足をおなじように使うようになった。

・いっぽうヒゲありグループでは4週間後にはなんの改善もなく、8週間経って部分的な回復をしめしただけだった。

・右の前足を動かしているときの脳皮質の活動分布をしらべたところ、ヒゲなしグループでは損傷部位に隣接するヒゲ刺激をうけとるための皮質に右前足の機能が移っていた。

・ヒゲありグループでは損傷部位に隣接する複数の箇所にその機能が分散していた。

・さらにヒゲが完全に再び伸びきったあとでも、元ヒゲ担当の皮質には右前足機能が残り はたらきは維持されていた。

・乗っ取られたヒゲ機能が復活できたかどうかは不明。

感覚遮断により 対応する脳皮質に失われた機能を代替させることが可能だった、


というおはなし。



感想:

ということは、
片麻痺患者の健常な手に袋をかぶせて使えなくすると、麻痺していない手の皮質機能が麻痺手のそれに乗っ取られて取り返しのつかないことになるかもしれない、ってことだよね。
急性期脳卒中患者へのCI療法は?(←リンク)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇■

過去7日間で人気の記事ベスト10