2019年4月10日

ランセット誌:適量などない!酒は脳卒中のもと


Conventional and genetic evidence on alcohol and vascular disease aetiology : a prospective study of 500 000 men and women in China
2019  4月  中国

アルコールの危険性を示す多くの研究があるいっぽう、ほどほどに飲酒したほうが脳卒中予防に良いとする観察結果も数多く存在する。

これがなにかのバイアスや別の要因によるものではなく本当に因果関係によるものなのかを確かめる方法として、関係する遺伝子の変異(一塩基多型)を変数とするメンデルランダム化解析(mendelian randomization analysis)がある。

アルコールはその代謝過程でアセトアルデヒドに変換され、さらに分解される。
この過程に関与する遺伝子に変異があるとアルコールの代謝が進まず多くの酒を呑むことができない。

この遺伝子変異にはいくつかの種類があって、とくにアジア人におおい。そしてこれら遺伝子変異と実際の飲酒量との関連もあきらかになっている。

そこで アルコール摂取量と脳卒中リスクとの関連を、従来型の自己申告による飲酒量に基づく場合と、遺伝子変異から推定される飲酒量を使った場合とでくらべてみたそうな。



中国人男女50万人あまりが登録する カドーリバイオバンク(Kadoorie Biobank) のデータを用いた。
アルコール代謝に関連する遺伝子変異を2種類えらび、被験者を抽出した。

脳卒中の発生を10年間フォローした結果と、

アンケートによる飲酒量との関連を従来型解析し、
さらに遺伝子変異から推定した飲酒量との関連をメンデルランダム化解析したところ、



次のことがわかった。
・男性の33%、女性の2%が頻繁に飲酒していた。

・自己申告による飲酒量の場合、脳卒中発生率との関連はU字型をしめし、週に100g程度のアルコールを摂ったときにもっとも脳卒中リスクが低かった。

・遺伝子変異から推定した飲酒量のばあい、脳卒中発生率とは正の直線的関連になり U字型にはならず、

・とくに脳内出血との関連が強かった。

・心筋梗塞および女性ではサンプルが少なく、これらの関連は確認できなかった。

・いずれのモデル(自己申告と遺伝推定)でも飲酒量と血圧のつよい正の相関がみられた。

ほどほどの飲酒が脳卒中を防ぐかのように見える現象について、大規模な遺伝疫学的解析によると そこに因果関係はなかった。アルコール摂取による血圧上昇だけが認められた、


というおはなし。
図:飲酒量と脳卒中リスク


感想:

飲んだら飲んだぶんだけダメージになるってこと。

まったく酒をのまないグループには身体が弱く病気がちなひとが多かっただけだから(reverse causality)なのかもしれんね。
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